JP3534998B2 - 衝撃特性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼 - Google Patents
衝撃特性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼Info
- Publication number
- JP3534998B2 JP3534998B2 JP34839697A JP34839697A JP3534998B2 JP 3534998 B2 JP3534998 B2 JP 3534998B2 JP 34839697 A JP34839697 A JP 34839697A JP 34839697 A JP34839697 A JP 34839697A JP 3534998 B2 JP3534998 B2 JP 3534998B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- stainless steel
- martensitic stainless
- excellent impact
- impact
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
たマルテンサイト系ステンレス鋼であり、特にタービン
ブレード用材、冷間工具鋼や軸受用鋼等耐衝撃特性およ
び高強度、耐食性を必要とする材料に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】従来、高強度、耐食性を必要とする材料
として、マルテンサイト系ステンレス鋼が使用されてい
るが、一般にオーステナイト系ステンレス鋼等に比べて
衝撃靱性が劣化するという問題がある。それに対し、例
えば、特開平6−128627号公報等では焼準処理法
による衝撃靱性の向上の検討がなされている。しかし、
そのCuレベルは1.0〜5.0重量%となっている。
また、他の報告でもマルテンサイト組織の安定化および
耐食性の向上として、Cuを0.5重量%以下程度まで
含有するとしたものが一般に多く、Cu量の極低下によ
り衝撃靱性の向上は試みた報告はこれまでにない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の方法では、Cu添加量が多く、Cu添加量の極低下に
よる衝撃特性の向上は図られていない。従って、従来の
方法ではタービンブレード用材等の耐衝撃特性を特に必
要とする用途においては問題があった。本発明ではCu
を低下させることによって、これらの問題を解決し、耐
衝撃特性の優れたマルテンサイト系ステンレス鋼を提供
することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明鋼の要旨とするところは、重量%で、C:
0.10〜0.60%、Si:0.50%以下、Mn:
1.00%以下、P:0.025%以下、S:0.00
5%以下、Ni:0.60%以下、Cr:8.00〜1
6.0%、Mo:0.10〜2.0%、Al:0.00
5〜0.1%を含有し、さらにCu:0.05%以下に
低減し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる耐衝
撃特性の優れたマルテンサイト系ステンレス鋼にある。 【0005】 【発明の実施の形態】次に、本発明を構成する合金の成
分組成を上記の通りに限定した理由を説明する。 C:0.10〜0.60% Cはマルテンサイトに過飽和に固溶し強度の向上に有効
である。そのためには少なくとも0.10%以上のCを
必要とする。しかし、多量に添加すると耐衝撃特性が低
下する。また、Cr炭化物として析出すると粒界腐食、
孔食感受性が増大し、耐食性が劣化する。よって上限を
0.60%とした。 【0006】Si:0.50%以下 Siは脱酸剤として必要であるが、多量に添加すると衝
撃靱性を低下させるので上限を0.50%とした。 Mn:1.00%以下 Mnは脱酸、脱硫および強度確保に有効であるが、多量
に添加すると耐食性、耐酸化性は劣化し、また靱性も低
下させるため、上限を1.00%とした。 【0007】P:0.025%以下 Pは偏析を起こしやすく、熱間割れ性を高め、溶接部の
き裂感受性を助長し、靱性も低下させるため、極力少な
い方が好ましく上限を0.025%とした。 S:0.005%以下 Sは熱間加工性、靱性を劣化する。また、多量に添加す
ると孔食感受性も増大するため、極力少ない方が好まし
く上限を0.005%とした。 【0008】Ni:0.60%以下 Niオーステナイト形成元素で、マルテンサイト相を安
定させ耐食性を向上させるが、Niは高価な元素であり
上限を0.60%とした。 Cr:8.00〜16.0% Crは、強固な不動態膜を形成し、酸化性酸に対して耐
食性の向上に有効であるため、下限を8.00%とし
た。また、多量に添加するとマルテンサイト単相になら
ないので、上限を16.0%とした。 【0009】Mo:0.10〜2.0% Moは不動態を非常に安定化して耐食性を向上させ、塩
化物溶液中における孔食電位を貴にして耐孔食性の向上
に有効である。多量に添加すると耐衝撃特性は劣化する
ため上限を2.0%とした。 Al:0.005〜0.1% Alは脱酸のために必要であり、0.005未満ではそ
の効果が不十分であるため、下限を0.005%とし
た。また、多量に添加すると粗大介在物となり、靱性を
低下させるため上限を0.1%とした。 Cu:0.05%以下 Cuの極力低減は、耐衝撃特性を著しく向上させるため
の本発明の重要な手段であり、0.05%以下とした。 【0010】 【実施例】本発明であるCu低減による耐衝撃特性の向
上効果を評価するため、シャルピー衝撃試験をおこなっ
た。試験片はJISZ2202の4号試験片を使用し
た。また、前処理として980℃×30min、油冷
(650,700,750)℃×1h.空冷の焼入焼戻
をおこなった。その結果を表1に示す。表1に示すよう
に、本発明鋼No1〜7の、いずれもCuを0.05%
以下とした鋼については、シャルピー衝撃評価は良好な
結果を得た。一方、比較鋼No8〜10については、い
ずれも満足なシャルピー評価を得ることはできなかっ
た。また、特に図1はCu量がシャルピー衝撃値に影響
を及ぼすことを示したもので、その試験結果によれば、
Cu:0.05重量%以下の場合は、750℃焼戻しで
の衝撃値は250J/mm2 となっている。これから
も、Cu低減により耐衝撃特性は著しく向上することが
判る。 【0011】 【表1】【0012】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によるCu極
低下により、マルテンサイト系ステンレス鋼の耐衝撃特
性を著しく向上させることができた。
図である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】重量%で、 C :0.10〜0.60%、 Si:0.50%以下、 Mn:1.00%以下、 P :0.025%以下、 S :0.005%以下、 Ni:0.60%以下、 Cr:8.00〜16.0%、 Mo:0.10〜2.0%、 Al:0.005〜0.1%を含有し、さらにCu:
0.05%以下に低減し、残部がFeおよび不可避的不
純物からなる耐衝撃特性の優れたマルテンサイト系ステ
ンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34839697A JP3534998B2 (ja) | 1997-12-18 | 1997-12-18 | 衝撃特性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34839697A JP3534998B2 (ja) | 1997-12-18 | 1997-12-18 | 衝撃特性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11181551A JPH11181551A (ja) | 1999-07-06 |
JP3534998B2 true JP3534998B2 (ja) | 2004-06-07 |
Family
ID=18396746
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34839697A Expired - Fee Related JP3534998B2 (ja) | 1997-12-18 | 1997-12-18 | 衝撃特性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3534998B2 (ja) |
-
1997
- 1997-12-18 JP JP34839697A patent/JP3534998B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11181551A (ja) | 1999-07-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR0175075B1 (ko) | 증기터빈용 회전자 및 그 제조방법 | |
JPH10503809A (ja) | 熱間加工性に優れた耐硫化物応力割れ性を有するマルテンサイト系ステンレス鋼 | |
JP3483493B2 (ja) | 圧力容器用鋳鋼材及びそれを用いる圧力容器の製造方法 | |
JP3747585B2 (ja) | 加工性および耐食性に優れた高硬度マルテンサイト系ステンレス鋼 | |
JP3269799B2 (ja) | 加工性、耐粒界腐食性および高温強度に優れるエンジン排気部材用フェライト系ステンレス鋼 | |
JPH07188863A (ja) | 耐食高強度オーステナイト系ステンレス鋼 | |
JP2000328198A (ja) | 熱間加工性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 | |
JP3534998B2 (ja) | 衝撃特性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼 | |
JPH0643626B2 (ja) | 油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼 | |
JP3814836B2 (ja) | 耐食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管の製造法 | |
JPH0543986A (ja) | 溶接熱影響部の強度低下の小さい高クロムフエライト耐熱鋼 | |
JP3791664B2 (ja) | オーステナイト系Ca添加快削ステンレス鋼 | |
JP3266247B2 (ja) | 熱間加工性に優れた二相ステンレス鋼 | |
KR100411286B1 (ko) | 내식성및내후성이우수한고강도오스테나이트계스테인레스강및이를이용한강판제조방법 | |
JPH08333651A (ja) | 耐haz硬化特性に優れた鋼材 | |
JP2953303B2 (ja) | マルテンサイトステンレス鋼 | |
JPH09291344A (ja) | 低硬度マルテンサイト系ステンレス鋼 | |
JPH09195003A (ja) | 二相ステンレス鋼 | |
JPH1036944A (ja) | マルテンサイト系耐熱鋼 | |
JP2003183781A (ja) | マルテンサイト系ステンレス鋼 | |
JP3525014B2 (ja) | 耐応力腐食割れ性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼 | |
JP2944856B2 (ja) | 冷間加工性および耐孔食性に優れた析出硬化型ステンレス鋼 | |
JP2684109B2 (ja) | 高温高圧用低合金鋼を母材とした剥離抵抗性の優れたオーバレイステンレスクラッド鋼 | |
JPH0811313B2 (ja) | Cr−Mo鋼用TIG溶接ワイヤ | |
JP3491367B2 (ja) | 熱間加工性、冷間加工性、靭延性にすぐれた析出硬化型ステンレス鋼 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040309 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040310 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080319 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090319 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100319 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100319 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110319 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120319 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130319 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130319 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140319 Year of fee payment: 10 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |