JP2619266B2 - 着色無電解めっき粉末及びその製造法 - Google Patents

着色無電解めっき粉末及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、着色無電解めっき粉末およびその製造方法
に関する。より詳しくは、粉末状芯材の粒子表面に濃密
で実質的な連続性の着色無電解めっき皮膜を形成してな
る無電解めっき粉末およびその製造法に係る。
〔従来の技術〕 一般に、無電解めっきはその技術の進歩と用途の開発
によって、今日では有機または無機の材質を問わないこ
とは勿論、その形状や大きさに関係なく適用されてい
る。とは言え多くの場合、基材は板状または成型体が多
く、粉末または粒状の芯材についてはその用途開発が新
しいだけに最近のことであって、確立された製造方法は
なく、僅かに従来の一般的方法に従って処理されている
のが実状である。
即ち、無電解めっきする場合には、通常、予め調製さ
れためっき液に被めっき基材を浸漬して予め推測により
定められた時間、反応させた後、反応を停止させる方法
がとられている。
被めっき基材が粉末または粉状体であっても、上記と
同様な方法が取られているが、この場合は速やかにめっ
き液に添加してめっきを施し、反応後はめっき液のろ
過、急冷または希釈等の停止を行わなければならない。
基材が粉粒体(粉末または粉状体)である場合は他の
基材に比べ著しく比表面積が大きいため、めっき反応速
度が異常に速い。
従って、めっき液のpHや各成分の変動も激しいのでpH
の調節や各成分の補給によりめっき液を安定に保持する
ことは極めて困難であるのみならず、その度にめっき速
度も不定となる。
他方、粉粒体を一挙によくめっき液に投入できれば問
題はないが、時間をかけて投入した場合、始めと終わり
とでは浴組成に変動が生じ、めっき皮膜の膜厚にも差が
生じ不均一となる。
特に、粉粒体をめっきする場合に問題なのは凝集した
二次粒子にめっき皮膜が施されるとその使用に際して、
二次粒子が壊れて未被覆面の露出による被覆の欠陥が現
れる。
従って、粉粒体をめっきする場合には可能な限り、二
次粒子の少ない状態によく分散したものにめっき皮膜を
施すことが最も重要なことになるが、従来の方法では全
く期待できないものであった。
このような粉粒体の微細粒子をめっきするに際して生
じる上記の事実に鑑み、本発明者は、先に粉粒状芯材に
無電解めっきをする方法として該芯材を水性懸濁体に
し、これに無電解めっき液を添加することによりめっき
皮膜を付与させる方法を開発し、既にいくつか特許出願
している(特開昭60−59070号公報、特開昭60−16779号
公報、特開昭60−177182号公報、特開昭60−177183号公
報)。
このほかに有機質芯材に無電解めっきする方法におい
て、予備処理として貴金属捕捉正表面処理剤で貴金属イ
オンを担持させた後無電解めっきを施すことにより摩擦
下の抵抗性に優れる金属皮膜を形成させる技術も開発し
た(特開昭61−64882号公報)。
他方、無電解めっきによる金属皮膜マイカを加熱処理
することにより発色させることが知られている。(特開
昭59−78248号公報)。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記の開発技術は、予め建浴しためっき浴に被めっき
材料である粉末を投入して行う従来の無電解めっき方法
に比べて、著しく改良され、品質の向上が認められた
が、なお、改善の予地があり、要求性能を十分に満足す
る金属皮膜を得るには至っていなかった。
すなわち、周知のように無電解めっきするには、その
予備処理として被めっき材表面を塩化パラジウムを用い
て処理し金属パラジウムを触媒核として担持せしめるこ
とが必要であるが、通常の場合には塩化第一錫および塩
化パラジウムの溶液を順次又は同時に処理した後めっき
処理を行う方法が採られている。しかしながら、この方
法によるめっき金属粉末の皮膜は極めて不均質であっ
て、連続皮膜が形成されず又そのような皮膜の形成をす
るにはかなりの膜厚を要求されることが実験的に確かめ
られている。しかも、その皮膜は摩擦下の抵抗性は弱い
うえに、めっき金属粒子が粗で多くは、瘤状の表面を形
成している。
この理由は、めっき反応の律速となるパラジウムの触
媒核が粉体表面に不均質に形成され、この核に基づいて
めっき金属が形成され島状に成長されるからと考えられ
る。
このような被覆状態は、前述した特開昭61−64882号
の方法によりかなりの改善が図られているものの、基本
的には同様の傾向が現出する。
従って、このようなめっき被覆粉末を加熱処理して発
色させても、その外観は光沢性のある美観が得られない
のみならず、より一層使用における摩擦下の抵抗性に欠
けて、金属皮膜の剥離が生じやすい欠点があった。
また、上記において被膜に欠陥のあるものを加熱発色
させても、色調が冴えないばかりか、加熱方法によって
著しい色むらが発生して良品質の着色めっき粉末を得る
ことができない。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、以上のような問題点に鑑み、めっき皮
膜自体を改善してより均質で強固な被覆力を有する金属
皮膜を形成することを目的として鋭意研究を重ねた結
果、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明に係る着色無電解めっき粉末は、芯
材粉体の粒子表面に、無電解めっき法で形成された金属
被覆であって、電子顕微鏡(SEM)により5000〜10000倍
の拡大倍率で観察した際に微細な金属粒子が濃密で実質
的な連続皮膜を呈し、かつ金属化率が30重量%以上で、
少なくとも膜厚70Åのめっき層を備える無電解めっき粉
末を、加熱発色させてなることを構成上の特徴とするも
のである。
更に、上記の着色無電解めっき粉末を得るための本発
明の製造方法は、貴金属イオンの捕捉能を有するか、も
しくは表面処理により貴金属イオンの捕捉能を付与した
芯材粉末に貴金属イオンを捕捉させた後、これを還元し
て前記金属を芯材表面に担持せしめる第1工程(触媒化
工程)、前工程で処理された芯材粉末を分散させてスラ
リー濃度10〜500g/の水性懸濁体を調製し、これに無
電解めっき構成液を少なくとも2液にして個別かつ同時
に添加して無電解めっき反応を行わせる第2工程(無電
解めっき工程)、および得られた無電解めっき粉末を可
動状態で300〜450℃の温度に加熱処理してめっき層を発
色させる第3工程(発色処理)とからなることを特徴と
する。
以下、本発明について詳述する。
まず、本発明に係る無電解めっき粉末は、前記のよう
に芯材粉末の表面に無電解めっき法による金属粒子が濃
密で実質的な連続被膜として沈積被覆されていることに
特徴づけられる。
上記の微細な金属粒子が濃密で実質的な連続皮膜は、
電子顕微鏡(SEM)により5000〜10000倍の拡大倍率で観
察した際に視覚的に捉えられる表面性状で評価され、濃
密とは均質で微細な金属粒子が緻密な皮膜形態を呈して
いて、皮膜形成に寄与しない遊離した金属粒子や瘤状に
形成された金属粒子が殆ど確認されない状態をいい、ま
た実質的な連続皮膜とは芯材の表面が濃密な金属粒子皮
膜により一様に覆われていて、芯材面が部分的にも局部
的にも露出していない状態をいう。例えば、図面の各写
真は、いずれも、雲母を芯材としたニッケルめっき粉末
の表面粒子構造を示す電子顕微鏡写真で、第1図(a
図、b図)は、本発明に係るものであり、第2〜5図は
従来のめっき法によるものである。
本発明に係るめっき雲母は濃度で実質的な連続皮膜と
して被覆されているのに比べ、従来法によるめっき雲母
は、金属粒子が粗くかつ不均質で、瘤状粒子が存在して
いるのみならず、芯材の露出面が認められて濃密で実質
的な連続皮膜でないことが判る。
このように本発明に係る無電解めっき粉末は被覆力が
強固であるため、使用における摩擦下の抵抗性が従来の
めっき粉末品に比べて著しく大きい。このことは、芯材
やめっき金属の種類あるいは使用目的によって一様では
ないものの、めっき皮膜は可及的に薄層でありうること
を意味する。多くの場合、膜厚は少なくとも70Åが有利
である。
本発明に係る無電解めっき粉末は、通常は同種金属の
単層めっき品であるが、所望により2種以上の異種金属
による多層めっき品とすることもできる。また、微細な
めっき金属粒子は、その種類やめっき方法によって結晶
質又は非晶質のいずれであってもよい。更に、同様の理
由から、このめっき金属粒子は磁性又は非磁性を示すも
のでありうる。
なお、適用できるめっき金属としては、Ni又はその合
金が代表的で最も好ましいが、その他としてFe、Cu、C
o、Ag、Pd、Auが挙げられ、また、ZnやMnも合金として
適用可能である。
かかるめっき金属は、その固有の金属色とは別に着色
したものであり、多くの場合は、後述する加熱処理に基
づく発色が好ましいが、他の例として、染料をレーキ化
させて着色させたものであってもよい。
特に、加熱発色によるニッケルめっき皮膜は、本発明
における濃密な連続性皮膜の特徴と相俟って、非常に金
属光沢のある、黄、緑、青、紺、又は紫色の美麗な着色
面を有している。
次に、本発明に係る無電解めっき粉末の製造方法につ
き説明する。
まず、ニッケルめっき基材(以下、単に「芯材」とい
う)について説明すると、その第1の特徴は芯材が水に
分散可能なものである。
水に分散可能な芯材というのは、撹拌等の通常の分散
手段により、めっき皮膜が芯材に形成しうる程度に実質
的に水中に分散した懸濁体を形成しうるものをいう。
水に懸濁しうるものであるから、水に実質的に不溶性
のもの、好ましくは酸やアルカリに対しても溶解又は変
質しないものである。
それ故、芯材は水に実質的に不溶性の分散可能なもの
であれば、その形状や大きさは基本的には問題でない
が、多くの場合、芯材というのは粉状ないし粒状を対象
とする。しかし、球状、繊維状、中空状、板状、針状の
ような芯材の物性に起因する特定又は不特定の粒子形状
であってもよい。
従って、芯材が粉末というのは厳密な意味ではなく、
例えば、アスペクト比の大きい板状、針状又は繊維状の
芯材は数cmの大きさのものであっても分散可能であるか
ら芯材として適用することができる。
芯材の材質は、有機質または無機質を問わず無電解め
っき可能な材質を全て包含する。これらは、天然物また
は合成物のいずれであってもよい。また、芯材は化学的
に均一な組織であることを必ずしも要しないのはもちろ
んであるが、それが結晶質または非晶質のいずれであっ
てもよい。
かかる芯材を例示的に列挙すれば、無機芯材として
は、金属(合金も含む)、ガラス、セラミックス、金属
または非金属の酸化物(含水物も含む)、アルミノ珪酸
塩を含む金属珪酸塩、金属炭化物、金属窒化物、金属炭
酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物、金属酸
塩、金属ハロゲン化物または炭素などであり、有機芯材
としては天然繊維、天然樹脂、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブテン、
ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルニ
トリル、ポリアセタール、アイオノマー、ポリエステル
などの熱可塑性樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、シリコー
ン樹脂、エポキシ樹脂、またはジアリルフタレート樹脂
の如き熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらは、1種
または2種以上の混合物であってもよい。
もっとも、加熱発色による着色めっき粉末について
は、耐熱性のある一部の樹脂を除いては、多くの場合芯
材は無機質である。
次に、芯材としての第2の特徴は、芯材が貴金属イオ
ンの捕捉能を有するものであるか、又はその表面処理に
より少なくとも表面が該金属イオンの捕捉能を有するも
のとして改質されているものであるということである。
貴金属イオンの捕捉能を有するとは、貴金属イオンを
キレート又は塩として捕捉しうることをいい、アミノ
基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、水酸
基、ニトリル基又はカルボキシル基の1種又は2種以上
を芯材の表面に有するものである。芯材自体にかかる捕
捉能を有する物質としては、アミノ系樹脂、ニトリル系
樹脂又はアミノ硬化剤で硬化させたエポキシ系樹脂など
の有機質が挙げられ、好適に使用される。アミノ系樹脂
の例として、尿素、チオ尿素、メラミン、ベンゾグアナ
ミン、アセトグアナミン、ジシアンジアミド、アニリン
等のアミノ化合物とホルムアルデヒド、パラホルムアル
デヒド、アセトアルデヒド、グリオキザール等のアルデ
ヒド類との縮合反応によって得られるものである。
従って、本発明において、芯材自体が貴金属イオンの
捕捉能を有しない場合は、いずれの芯材も表面処理によ
り、該捕捉能を有するものに改質する必要がある。この
改質は、特開昭61−64882号公報記載の方法に従って行
うことができる。特に本発明では、アミノ基置換オルガ
ノシラン系カップリング剤やアミン系硬化剤により硬化
するエポキシ系樹脂にて表面処理した芯材の適用が好ま
しい。
また、上記において、貴金属イオンとは、パラジウム
又は銀のイオンが特に好適である。
第1工程(触媒化処理) 芯材自体が前記官能基を有する場合は、直接触媒化処
理を行ってもよいが、そうでない芯材は表面改質処理操
作を不可欠とする。即ち、表面処理剤を溶解した水又は
有機溶媒に芯材を充分に撹拌処理して分散させた後、分
離し乾燥する。用いる表面処理剤は、芯材の物性やその
種類によって一様ではないが、多くの場合、芯材の比表
面積1m2/g当たり0.3〜100mgが適当である。この理由
は、約0.3mg以下の場合は表面の均一な改質効果を与え
るに不充分であり、他方、約100mg以上では改質硬化は
あるものの経済的でないからである。
次に、貴金属イオンの捕捉能を有する芯材を塩化パラ
ジウム又は硝酸銀のような貴金属塩の希薄な酸性水溶液
に分散させて貴金属イオンを捕捉させる。この場合の該
溶液濃度は0.05g/〜1g/の範囲で充分である。
このような予備処理は、パラジウム塩について公知で
あり、通常は、次いで無電解めっき処理を行うが、本発
明では芯材表面に捕捉した貴金属を該めっき薬液で用い
る還元剤により芯材表面を還元させることが重要な操作
となる。この還元処理は、貴金属イオンの捕捉処理後に
還元剤を添加してもよいが、好ましくは捕捉処理後の分
離および水洗したのちに、次のめっき工程に移行させる
ために調製した水性懸濁体に還元剤を溶液として又はそ
れ自体を添加して触媒化処理を完結させる。還元剤の添
加量は、芯材の比表面積により異なるので一様ではない
が、懸濁体に対して0.01〜10g/が適当である。この場
合、錯化剤が存在している方が好ましいが、必ずしも不
可欠なものではない。また、温度は常温又は加温のいず
れでもよく特に限定されるものではない。
このように本発明では、従来のように、塩化第1錫−
塩化パラジウム処理又は単なる塩化パラジウムのキレー
ト捕捉処理による触媒核の形成と異なり均一で完全な触
媒核が形成されるため、これが次の無電解めっき工程の
作用と相俟って強固な連続性めっき金属皮膜を形成する
ことがてきる。
第2工程(無電解めっき処理) この工程で重要なことは、無電解めっきするに当た
り、芯材の可及的な水性懸濁体を調製することである。
凝集した芯材に施されためっき皮膜は、摩擦下の使用に
あたり未処理面の露出が生ずることがあるので、これを
避けるべく芯材を充分に分散させておくことが望まし
い。なお、同様の理由で前工程でも、充分な分散処理が
施される方がよい。
水性懸濁体の分散性は芯材の物性によって異なるの
で、分散方法は適宜所望の手段、例えば、通常撹拌から
高速撹拌、あるいはコロイドミルまたはホモジナイザー
の如き剪断分散装置等を用い、芯材のアグロメレートを
できるだけ除去した一次粒子に近い分散状態の懸濁体を
調製することが望ましい。なお、芯材を分散させるに際
し、例えば界面活性剤等の分散剤を上記したように必要
に応じて用いることができる。懸濁体の濃度は、特に限
定する理由はないが、スラリー濃度が低いとめっき濃度
が低下するので処理容量が大となるから経済的でなく、
また、逆にその濃度が濃くなると芯材の分散性が悪くな
るので芯材の物性に応じ適宜所望のスラリー濃度に設定
すればよい。多くの場合10g/〜500g/、好ましくは2
0g/〜300g/の範囲にある。また、この懸濁体中の芯
材をめっきするに当たり、めっきが効果的に実施される
べく懸濁体の温度をめっき可能温度、多くの場合、55℃
以上に予め調節しておくことが望ましい。
次に、芯材の水性懸濁体の調製は水のみの分散媒でも
差し支えないが、一般には無電解めっき液を構成する成
分の少なくとも1種を含有する水溶液、特に錯化剤の水
溶液で調製することが好ましい。従って、第1工程での
還元処理後は特に分離操作を必要としないので、水素ガ
スの発生が終了した後そのまま第2工程の操作へ連続的
に移行すればよい。
上記において、無電解めっき液を構成する成分の少な
くとも1種とは、錯化剤、酸又はアルカリ剤、界面活性
剤を主として指し、必要があればめっき老化液を用いる
ことができる。
また、錯化剤というのはめっき金属イオンに対し錯化
作用のある化合物であり、例えばクエン酸、ヒドロキシ
酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸またはその
アルカリ金属塩やアンモニウム塩等のカルボン酸
(塩)、グリシン等のアミノ酸、エチレンジアミン、ア
ルキルアミン等のアミン類、その他のアンモニウム、ED
TA、ピロリン酸(塩)等が挙げられ、それらは1種また
は2種以上であってもよい。錯化剤の懸濁体における含
有量は、1〜100g/、望ましくは5〜50g/の範囲と
する。
また、懸濁体のpHは4〜14の範囲にあるが、この範囲
の設定は、めっき金属、および用いる還元剤の種類によ
って異なる。一例を挙げると表1の如くである。
表 1 被覆金属 還 元 剤 適正範囲(pH) ニッケル 次亜りん酸ソーダ 4〜10 ニッケル ヒドラジン 9〜13 ニッケル ほう水素化合物 7〜14 銅 ホルマリン 8〜12 金 ほう水素化合物 8〜14 銀 〃 8〜14 このようにして調製した芯材の水性懸濁体に、無電解
めっき反応をさせるために予め調製されためっき液を徐
々に添加する。この場合、該懸濁体に無電解めっき構成
液を少なくとも2液にしてそれぞれ個別かつ同時に添加
してめっき反応を行わせることが必要である。
適用できる金属塩としては、例えば、硫酸ニッケル、
塩化ニッケルの如きニッケル塩、硫酸銅、硝酸銅の如き
銅塩、硫酸コバルト、塩化鉄、硫酸鉄の如き鉄塩、硝酸
銀、シアン化銀の如き銀塩、シアン化金、塩化金酸の如
き金塩、塩化パラジウムのようなパラジウム塩、また、
必要に応じ亜鉛、マンガン等の可溶性塩も合金成分とし
て用いることができ、更に、これらの1種又は2種以上
であってもよい。
次に還元剤としては、例えば次亜りん酸ナトリウム、
水素化ほう素ナトリウム、水素化ほう素カリウム、ジメ
チルアミンボラン、ヒドラジン又はホルマリン等が用い
られる。
その他の薬剤としては、上記した錯化剤、pH調整剤あ
るいは必要に応じて添加できる光沢付与剤が用いられ
る。
金属塩と還元剤の添加すべき配合割合はそれらの組み
合わせにより異なるため一様ではないが、多くの場合そ
れらの組み合わせと配合割合は概ね表2のような関係に
あることが望ましい。
表 2 金属塩 還 元 剤 配合比(モル比) ニッケル 次亜りん酸ソーダ 1:2 〜3 ニッケル 水素化ほう素アルカリ 1:1.5〜2.5 ニッケル ヒドラジン 1:3 〜5 銅 ホルマリン 1:3 〜5 金 水素化ほう素アルカリ 1:1.1〜1.5 銀 〃 1:1.1〜1.5 薬剤濃度は各薬剤の飽和濃度まででよく特に限定しな
いが、薄い場合は経済的でないので下限は実用上から自
ずと限定される。薬剤溶液の添加速度はめっき反応に直
接的に影響し、芯材の表面積、物性等に著しく関係する
ので、これらを考慮しめっき皮膜のむらが生じないよう
均一且つ強固な皮膜を形成させるよう制御して添加する
ことが必要であり、多くの場合徐々に定量的に添加する
方がよい。
なお、当然のことながら、必要に応じて撹拌、超音波
分散処理などを与えておくことが望ましく、また、温度
も制御できるように設定しておくことが望ましい。無電
解めっき液は、水性懸濁体に添加してその容量の大小に
応じて希釈されるために、通常のめっき液濃度の浴に被
めっき基材を浸漬処理してめっき操作を行うのと異な
り、通常のめっき液濃度よりも濃い状態で使用すること
ができる。
めっき液を添加することにより速やかにめっき反応が
始まるが、各薬剤が適正な割合で添加されれば添加した
金属塩は全て還元され、芯材表面に析出するので、添加
量に応じてめっき皮膜の膜厚を任意に調節することがで
きる。
このようにして得た金属被覆粉体は、更にその上に異
種金属を、幾層にも被覆することができる。
この場合、上記のめっき反応終了後、異種金属めっき
液を同様の操作で添加するか又は一度反応液を別し、
新たな懸濁液を調製して改めて異種金属めっき液を添加
することにより遂行される。
めっき液の添加終了後、水素ガスの発生が完全に認め
られなくなってからなお暫時撹拌を続けて熟成させ、め
っき反応操作を終了する。次いで常法により分離、洗浄
および乾燥したのち、必要に応じ粉砕して回収する。
第3工程(発色処理) この工程は、前2工程により得られためっき粉末を加
熱処理することにより、発色させることである。
この加熱処理は、非常に微妙であって加熱条件、即
ち、加熱温度、時間の制御が最も重要であるが、めっき
粉末の物性によっても変化し、多様な金属光沢の着色を
呈することができる。
それ故、加熱条件は一概には特定しかねるが、多くの
場合、250〜600℃好ましくは300〜450℃の範囲の温度で
0.1〜4時間、好ましくは0.5〜3時間である。上記条件
外では、発色しないか、発色後灰色を呈して美観を損な
うなどして適当でない。この際の加熱は、例えば電気炉
中に設置した振動ベッド上での焼成、または流動床炉も
しくはロータリーキルンを用いた可動状態でおこなう。
かかる加熱発色処理を適用することにより、めっき粉末
の色むらを避けるとともに、金属光沢の美観のすぐれた
着色のめっき粉末を得ることができる。
加熱の温度と時間とは、相関性が大であり、例えばNi
めっき雲母について言えば、尤も加熱方法によって多少
の違いは認められるが、350℃の一定温度において、最
初黄色に呈色し次第に赤紫色、青色、緑色と経時変化す
る。
逆に加熱時間を1時間と一定にして温度変化させても
同様に微妙な色調の差異はあるにせよ変色する。
また、着色めっき皮膜の金属光沢性は、一般に芯材の
形状と大きさに影響があり、大きく平滑面のある芯材ほ
ど美観のある着色めっき皮膜が得られる。
その他、めっき皮膜の色調は、めっき層の厚さ、めっ
き金属芯材の種類によっても微妙な変化を与える。
このように加熱発色の機構については、詳細には不明
であるが加熱に伴う薄い酸化皮膜が形成され、その薄膜
の光干渉によるものと考えられる。
かくして、本発明に係る方法によれば、摩擦抵抗性が
大で美麗な着色金属光沢を有するめっき粉末を得ること
ができる。
〔作 用〕
本発明に係る着色無電解めっき粉末は、微細な金属粒
子が濃密で実質的な連続皮膜として極めて均質かつ強固
に沈積形成されて美観のあるものである。したがって、
合成樹脂や塗料ビヒクル等に混練しても皮膜が剥離する
などの現象を生じることはなく良好な着色材として適用
することができる。
また、本発明の製造方法によれば、芯材粉末の表面に
捕捉された貴金属キレートが還元されて触媒核が形成さ
れ、これが無電解めっき反応の作用や発色作用と相俟っ
て上記のような著しく良質の着色無電解めっき粉末を再
現性よく製造することができる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1 真比重2.89、平均粒径4.9μm、比表面積7.0m2/gの雲
母粉末30gをアミノシランカップリング剤〔チッソ
(株)製、商品名S−330〕の0.1g/水溶液1に投入
して、約15分間撹拌することにより十分に分散させた後
過分離し、次いで105℃の温度で乾燥して表面改質処
理を施した。
次いで、0.1g/の塩化パラジウムおよび0.1ml/の
塩酸からなる活性化液1に改質雲母粉末を投入して完
全分散化し、5分間の撹拌後、過、リパルプおよび
過してパラジウムイオンの捕捉処理を行った。次に、5g
/酒石酸ナトリウム水溶液1に投入して分散させ温
度を70℃に加温した。
次いで、次亜りん酸ソーダ粉末3gを添加溶解させ、水
素ガスの発生に伴う発泡現象が終了したところで、触媒
化処理を完結させた。
次いで、224g/硫酸ニッケル溶液(a液)および226
g/次亜りん酸ソーダ溶液と85g/苛性ソーダ溶液との
混合液(b液)の各液を600mlに設定して各液共に10ml/
min.の添加速度にて十分に分散して調製された水性懸濁
体中へ撹拌下で添加した。
全量添加後、水素の発生が停止するまで70℃に保持し
ながら撹拌を続けた。
引続き常法により回収操作を施し、それぞれニッケル
被覆めっき雲母を得た。
このようにして得られためっき雲母の試料につき、種
々の加熱条件を設定して電気炉内に設置した振動ベッド
上を遥動しながら加熱したところ、表3の結果に示す種
々のニッケルめっき雲母が得られ、いずれも美観のある
ものであった。
実施例2 芯材を雲母の代わりにガラスビーズ(径75μm)を用
いた以外は実施例1と全く同様な処理操作を行って、黄
色乃至紺色の美観のある金属光沢をもつニッケルめっき
被覆ガラスビーズを得た。
実施例3 芯材を雲母の代わりにガラス短繊維(長さ3mm、径9
μm)を用いた以外は実施例1と全く同様の処理操作を
行って黄色乃至紺色の美観のある金属光沢をもつニッケ
ル被覆ガラス短繊維を得た。
実施例4 芯材を雲母の代わりにガラスフレーク(比重2.52、10
〜48メッシュの部分が80%、厚さ約3μ)を用いた以外
は実施例1と全く同様の処理操作を行って黄色乃至紺色
の美観のある金属光沢をしたニッケル被覆ガラスフレー
クを得た。
実施例5 真比重2.89平均粒径54μmの雲母粉末100gをアミノシ
ランカップリング剤〔チッソ(株)製、商品名S−33
0〕0.1g/水溶液1に投入して、約15分間撹拌により
充分に分散させた後、過分離し、次いで、105℃の温
度で乾燥してキレート能を有する表面処理を施した雲母
粉末を得た。
次いで、0.1g/の塩化パラジウムおよび0.1ml/の
塩酸からなる活性化液1に該粉末を投入して同様に分
散させて5分間撹拌後、過、リパルプおよび過して
パラジウムイオンの捕捉処理を行った。
次いで、この雲母粉末をそれぞれ表4に示す各錯化剤
水溶液に投入して充分に分散処理を施して、温度80℃に
保持した水性懸濁体をそれぞれ調製した後、次亜りん酸
ソーダ粉末を各懸濁体に2g投入し撹拌溶解させた。添加
間もなく水素ガス発生に伴って発泡し始めるが、発泡が
終了したところで触媒化処理を完結させた。
次いで、表5に示す無電解めっき液をa液およびb液
に分けて夫々86mlを10ml/分の添加速度で撹拌しながら
各懸濁体に同時に添加した。
めっき液の全量を添加後、水素の発生が停止するまで
80℃に保持しながら暫時撹拌を続けた。
次いで過、水洗、過および乾燥を施して各ニッケ
ルめっき被覆の雲母粉末を得た。なお、めっき反応後の
液はいずれも無色透明であるところから、供しためっ
き液は完全にめっき反応による樹脂表面への沈積に消費
尽くされ、非常に効果的に処理し得たことが判明した。
得られためっき雲母粉末につき、電子顕微鏡でその表
面を観察したところ、いずれも微細な金属粒子による均
一かつ平滑な面を有しており、このことから、濃密で実
質的に連続皮膜として沈積被覆していることが確認され
た。
表 4 番号 錯化剤の種類 濃度(g/) pH 5−1 クエン酸 5 7 5−2 酒石酸 10 7 5−3 グルコン酸 10 8 5−4 リンゴ酸 10 6 5−5 乳 酸 10 5 5−6 エチレンジアミン 5 7 5−7 EDTA 30 9 次いで、上記で得られたニッケルめっき被覆雲母10g
を、それぞれ実施例1と同じ電気炉にて350℃、1〜3
時間可動状態で加熱処理したところ、赤紫色乃至青色の
微妙に異なった美観のある金属光沢をもつ着色ニッケル
めっき雲母を得た。
実施例6、比較例1〜2 実施例5で用いた同じ雲母粉末についてニッケルめっ
きするに当たり、表6に示すめっき液添加量を変えた以
外は実施例1と全く同様の処理操作にてニッケルめっき
処理を施し、濃密なニッケルめっき被覆雲母を得た。
次いで、各めっき雲母を実施例1と同じ電気炉にて35
0℃、1.5時間可動状態で加熱処理したところ、Niめっき
膜厚の相異にもとずく微妙に色調の異なった赤紫色系乃
至青色系の金属光沢を有する着色ニッケル被覆雲母が得
られた。
実施例7 実施例6で得られたと同じニッケル被覆雲母(No.6−
5)と径30mm、長さ70cmの石英製回転炉にて、350℃の
温度で平均帯時間1時間で加熱したところ、ほぼ同じ色
調の青色系ニッケル雲母を得た。
比較例3 真比重2.89、平均粒径4.9μm、比表面積7.0m2/gの雲
母粉末30gを塩化第1錫10g/および塩酸1ml/からな
る水溶液2に投入し撹拌下でよく分散させて15分間感
受性処理を行った。次いで、この処理物を水洗後、塩化
パラジウム1g/および塩酸1ml/からなる水溶液2
に投入し撹拌下でよく分散させ5分間活性処理を行っ
て、雲母粉末の表面に触媒核を形成させた。
次いで、硫酸ニッケル30g/、次亜りん酸ナトリウム
25g/、クエン酸ナトリウム20g/、酢酸ナトリウム10
g/および酢酸鉛0.001g/からなるpH5のめっき液20
を60℃に加温して建浴し、その浴に先の触媒処理を施し
た雲母粉を投入し撹拌分散させた。なお、反応中溶液の
pHは自動調節装置を用い160g/水酸化ナトリウム水溶
液の添加により始めのpHに保持させた。また、途中反応
が停止したら、200g/次亜りん酸ナトリウム水溶液を
少量づつ添加して反応を継続させた。次亜りん酸ナトリ
ウム水溶液を加えても発泡しなくなったら、全ての添加
を止め、過水洗し、過乾燥して、ニッケル被覆雲母
を得た。
比較例4 真比重2.89、平均径4.9μm、比表面積7.0m2/gの雲母
粉末30gを比較例3と同様にして触媒化処理を行った。
次いで20g/酒石酸ナトリウム水溶液1に投入して分
散させ温度を70℃に加温して、水性懸濁体を調製した。
次いで、次亜りん酸ナトリウム粉末を3g投入し撹拌溶
解させた。添加後間もなく発泡し始めるが、しばらくし
て発泡がおさまったら224g/硫酸ニッケル水溶液(a
液)および226g/次亜りん酸ソーダと119g/水酸化ナ
トリウムの混合水溶液(b液)夫々10.72を個別かつ
同時に10ml/分の速度で撹拌下の上記懸濁体に添加し
た。全量添加後、水素の発生が停止するまで70℃を保持
しながら撹拌を続けた。次いで過水洗し、過および
乾燥した後、ニッケル被覆雲母粉を得た。
比較例5 真比重2.89、平均径4.9μm、比表面積7.0m2/gの雲母
粉末30gを実施例1と同様の方法で触媒化処理を行っ
た。次に比較例3と同一条件で建浴しためっき液にて無
電解ニッケルめっきを施し、ニッケル被覆雲母粉末を得
た。
比較例6 真比重2.89、平均径4.9μm、比表面積7.0m2/gの雲母
粉末30gにつき実施例1と同一条件でパラジウムイオン
の捕捉による触媒化処理を施した。
次いで、5g/酒石酸ナトリウム水溶液1に投入し
て分散させ、温度を70℃に加温して水性懸濁体を調製し
た。次に224g/硫酸ニッケル水溶液(a液)および226
g/次亜りん酸ナトリウムと119g/水酸化ナトリウム
の混合水溶液(b液)の夫々20mlを個別かつ同時に撹拌
下の上記懸濁体に添加してめっき反応を開始させた後、
直ちにa液およびb液を夫々同様に10ml/分の速度で各
液量2.4添加した。全量添加後、水素の発生が停止す
るまで70℃を保持しながら撹拌を続けた。次いで、
過、水洗、過および乾燥した後、ニッケル被覆雲母粉
末を得た。
上記各比較例で得たニッケルめっき被覆雲母につき実
施例1と同じ電気炉にて350℃、2時間可動状態で加熱
処理したところ、いずれも青色の色調をした着色ニッケ
ル被覆雲母となったが、実施例品のめっき雲母と比較す
ると金属光沢に欠けたものであった。
また、実施例1および比較例4のめっき粉末を350
℃、2時間電気炉にて静止状態で加熱して発色させたと
ころ、いずれも色むらが発生して単一色のものは得られ
なかった。
めっき皮膜の耐剥離性 ポリプロピレン35.7ml(32.13g)〔三菱油化(株)製
MA−4、PPホモポリマー〕とニッケルめっき雲母試料粉
6.3mlをBRABENDER PLASTOGRAPHを用いて、温度220℃、3
0R.P.Mの条件で5分間混練した後取り出し、次に熱ロー
ルで板状に延ばし、更にホットプレスで厚さ1mmの板を
成形した。成形した板を30×60mmに裁断した試験片につ
き電気抵抗値を測定して比抵抗値を求め実施例品(実施
例6で代表する。)および比較例品の導電性の測定を行
って、めっき被膜の耐剥離性を評価した。この結果を表
7に示す。
なお、Niめっき被膜の膜厚はめっき雲母の試料を硝酸
に投入して、皮膜を溶解した後分析して得られためっき
量から計算して求めた。
表7から明らかなように、比較例品は実施例品よりも
ニッケルめっき被覆量が著しく多く、その膜厚が大であ
るにも拘らず樹脂との混練に際し比抵抗が大きくなって
いる。
これは、樹脂との混練に際して摩擦により、めっき皮
膜の剥離が生じたことを意味するが、本発明に係るめっ
き皮膜がいずれも摩擦抵抗性の大きい被覆力のすぐれた
ものであることが判った。
〔発明の効果〕
本発明に係るめっき粉末は、従来のめっき粉末に比べ
て著しく均一で強固なめっき皮膜を有している。即ち、
瘤状の粒子やめっきムラなどのない微細な金属粒子によ
る濃密で実質的な連続皮膜として沈積被覆されている結
合力の大きい着色無電解めっき粉末であり、このものは
顔料として各種の合成樹脂はじめ塗料など多様な用途へ
の適用が期待できる。
更に、本発明に係る方法によれば、従来のようなコロ
イド状又は単なるキレート状のパラジウムによる触媒核
と異なって被めっき表面に捕捉され貴金属キレートが還
元されて触媒核を形成しているために、添加方式に基づ
くめっき粉末を再現性よく工業的に有利に製造すること
ができる。
従って、本発明によれば金属化率を可及的に小さく、
換言すればサブミクロン級の強力なめっき皮膜を付与す
ることができるので美観があり、かつ比重の軽い着色め
っき粉末を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
図面は、いずれも無電解ニッケルめっき雲母のめっき皮
膜の表面粒子構造を示す電子顕微鏡写真であり、第1−
a図は本発明の実施例のもの(500倍)、第1−b図は
その拡大写真(5000倍)である。第2図は比較例3(10
000倍)、第3図は比較例4(10000倍)、第4図は比較
例5(10000倍)、そして第5−a図(500倍)と第5−
b図(5000倍)は第1−a図と第1−b図に対応する比
較例6でそれぞれ得られた比較例品のものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹下 淳一 東京都江東区亀戸9丁目15番1号 日本 化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−181294(JP,A) 特開 昭62−207875(JP,A) 特開 昭63−93872(JP,A) 特開 昭59−78248(JP,A) 特開 平1−242782(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芯材粉体の粒子表面に、無電解めっき法で
    形成された金属被覆であって、電子顕微鏡(SEM)によ
    り5000〜10000倍の拡大倍率で観察した際に微細な金属
    粒子が濃密で実質的な連続皮膜を呈し、かつ金属化率が
    30重量%以上で、少なくとも膜厚70Åのめっき層を備え
    る無電解めっき粉末を、加熱発色させてなることを特徴
    とする着色無電解めっき粉末。
  2. 【請求項2】貴金属イオンの捕捉能を有するか、もしく
    は表面処理により貴金属イオンの捕捉能を付与した芯材
    粉末に貴金属イオンを捕捉させた後、これを還元して前
    記金属を芯材表面に担持せしめる第1工程(触媒化工
    程)、前工程で処理された芯材粉末を分散させてスラリ
    ー濃度10〜500g/の水性懸濁体を調製し、これに無電
    解めっき構成液を少なくとも2液にして個別かつ同時に
    添加して無電解めっき反応を行わせる第2工程(無電解
    めっき工程)、および得られた無電解めっき粉末を可動
    状態で300〜450℃の温度に加熱処理してめっき層を発色
    させる第3工程(発色処理)とからなることを特徴とす
    る着色無電解めっき粉末の製造法。
  3. 【請求項3】無電解めっき構成液がニッケル又はその合
    金のめっき液である請求項2記載の着色無電解めっき粉
    末の製造法。
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