JP5707247B2 - 導電性粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は導電性粒子の製造方法に関する。
従来、導電性接着剤、異方性導電膜、異方性導電接着剤等に用いられている導電性粉体としては、ニッケル、銅、銀、金、はんだ等の金属粉末;カーボン粉末やカーボン繊維、カーボンフレーク等のカーボン系材料;樹脂粒子の表面を無電解ニッケルめっきして、ニッケルを被覆した導電性粒子が知られている。これらの導電性粉体のうち、樹脂粒子の表面にニッケルを被覆した導電性粒子は、ニッケル皮膜が酸化されやすく、このために経時的に電気抵抗が増加することがある。そこで、導電性を高めることを目的として、ニッケル皮膜上に耐酸化性の高い金属である貴金属のめっき皮膜を形成させることが行われている。例えば特許文献1には、ニッケル−リン被膜からなるめっき層の上に、貴金属の一種であるパラジウム被膜からなるめっき層を形成することが記載されている。
国際公開第2009/099067号パンフレット
しかし、貴金属を含むめっき液を用いてめっき層を形成する場合、貴金属が還元する反応速度が高いことに起因して、ニッケル皮膜上に析出する貴金属が不均一になりやすい。貴金属を均一に析出させるためには析出速度が遅くなる条件を採用すればよい。例えば貴金属を含むめっき液における該貴金属の濃度を低くしたり、めっき時のめっき液の温度を低くしたりすればよい。しかし、このような条件を採用したのでは、生産性が工業的に見合わないものとなってしまう。
本発明の課題は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る導電性粒子の製造方法を提供することにある。
前記の課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討した結果、ニッケル皮膜上に貴金属被膜を形成するに先立ち、該ニッケル皮膜の表面活性をコントロールすることで、工業的に見合う生産性で貴金属被膜を均一に析出させ得ることを知見した。
本発明は前記の知見に基づきなされたものであり、芯材粒子の表面にニッケルめっき層を形成し、
該ニッケルめっき層の表面を酸化処理し、
酸化処理された該ニッケルめっき層の表面に、最表層としての貴金属めっき層を直接形成する工程を有し、
X線光電子分光分析法(XPS)によって測定されたニッケルのNi2p3スペクトルにおいて、855.7±1.0eVの結合エネルギーを有するNi−O結合の比率が、60%以上となるように、前記ニッケルめっき層の表面を酸化処理する導電性粒子の製造方法を提供することにより前記の課題を解決したものである。
本発明の方法によれば、貴金属の析出速度を低下させることなく、該貴金属が均一に析出した導電性粒子を容易に製造することができる。
本発明の方法によって製造される導電性粒子は、中心に位置する芯材粒子と、該芯材粒子の表面に位置するニッケルめっき層と、該ニッケルめっき層の表面に位置する貴金属めっき層の3つの部位に大別される。導電性粒子の具体的な用途によっては、芯材粒子と、ニッケルめっき層との間に1層又は2層以上の他の層が介在していてもよい。これと異なり、ニッケルめっき層と貴金属めっき層とは直接に接しており、両層の間には他の層は介在していない。また、貴金属めっき層は、一般に導電性粒子の最表面をなすが、導電性粒子の具体的な用途によっては、貴金属めっき層の表面に1層又は2層以上の他の層を更に積層してもよい。
導電性粒子の具体的な用途にもよるが、導電性粒子は一般に球形であることが好ましい。尤も、導電性粒子が球形以外の形状であることは何ら差し支えない。また導電性粒子は、その表面に複数の突起を有する形状であってもよい。形状に関連して、導電性粒子の大きさは、導電性粒子の具体的な用途に応じて適切に設定することができる。導電性粒子は一般にその粒径が1〜10μm、特に1〜6μm、とりわけ1〜4μmであることが好ましい。導電性粒子がその表面に複数の突起を有する場合、前記の粒径には突起の高さは含まれない。導電性粒子の粒径は、例えば電子顕微鏡観察によって測定することができる。
芯材粒子としては無機物及び有機物のいずれをも用いることができる。あるいは無機物と有機物との複合材料を用いることもできる。無機物からなる芯材粒子としては、例えば金属(合金も含む)、ガラス、セラミックス、シリカ、カーボン、金属又は非金属の酸化物(含水物も含む)、アルミノ珪酸塩を含む金属珪酸塩、金属炭化物、金属窒化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属リン酸塩、金属硫化物、金属酸塩、金属ハロゲン化物及び炭素などからなる粒子が挙げられる。有機物からなる芯材粒子としては、例えば天然繊維、天然樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブテン、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、アイオノマー、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はジアリルフタレート樹脂などからなる粒子が挙げられる。これらは単独でも使用でき又は2種以上の混合物として使用してもよい。
芯材粒子の形状は目的とする導電性粒子の形状に大きく影響する。後述するように芯材粒子の表面を被覆するニッケルめっき層及び貴金属めっき層の厚みは薄いものなので、芯材粒子の形状がほとんどそのまま導電性粒子の形状に反映される。この観点から、芯材粒子の粒径は、目的とする導電性粒子の粒径と同程度とすることができる。具体的には1〜10μm、特に1〜5μm、とりわけ1〜3μmであることが好ましい。芯材粒子の粒径は、導電性粒子の粒径と同様の方法で測定することができる。上述のとおり、導電性粒子は一般に球形であることが好ましいので、芯材粒子の形状も球形であることが好ましい。もちろん、芯材粒子が球形以外の形状であることは何ら差し支えない。
芯材粒子の表面に位置するニッケルめっき層は、ニッケルを含むめっき液を用い、無電解めっきによって生成した層である。ニッケルめっき層は、めっきの条件に応じ、実質的にニッケルからなる場合と、ニッケル及び他の元素を含むニッケル合金からなる場合とがある。本発明においては、両者を総称してニッケルめっき層という。後者の場合、他の元素としては、例えばめっき液に含まれる次亜リン酸塩に由来するリンが挙げられる。この場合、ニッケルめっき層は、リンを数%程度含むニッケル−リン合金から構成される。
ニッケルめっき層の厚みは、導電性粒子の具体的な用途に応じて適切に設定すればよい。一般には、好ましくは10〜500nm、更に好ましくは50〜200nmに設定することで、芯材粒子の表面全域を均一に被覆することができ、満足すべき導電性を得ることができる。ニッケルめっき層の厚みはこのように極めて薄いものなので、電子顕微鏡観察によって正確に測定することは容易でない。そこで本発明では、ニッケルめっき層を形成するときのニッケルの析出量と、ニッケルの密度と、芯材粒子の粒径とから算出される厚みをもって、ニッケルめっき層の厚みとしている。ニッケルの析出量は、めっきの前後でのめっき液中のニッケルの濃度から求めることができる。
ニッケルめっき層の表面に位置する貴金属めっき層は、貴金属を含むめっき液を用い、置換型無電解めっき又は還元型無電解めっきによって生成した層である。貴金属めっき層は、ニッケルめっき層の酸化を抑制し、導電性粒子の導電性を高める目的で用いられる。貴金属としては、例えば金、パラジウム、白金及び銀などを用いることができる。またこれらの金属を主成分とする合金を用いることもできる。貴金属めっき層は、ニッケルめっき層の表面全域を被覆しているか、又はニッケルめっき層の一部が露出した状態で、該ニッケルめっき層の表面を被覆している。導電性粒子の導電性を一層高める観点からは、貴金属めっき層は、ニッケルめっき層の表面全域を被覆していることが好ましい。
貴金属めっき層の厚みは、導電性粒子の導電性の一層の向上と経済性とのバランスで決定される。貴金属めっき層の厚みを一般には、好ましくは1〜200nm、更に好ましくは5〜50nmに設定することで、必要最小限の使用量でニッケルめっき層の表面全域を均一に被覆することができ、満足すべき導電性を得ることができる。貴金属めっき層の厚みはこのように極めて薄いものなので、電子顕微鏡観察によって正確に測定することは容易でない。そこで本発明では、貴金属めっき層を形成するときの貴金属の析出量と、貴金属の密度と、ニッケルめっき層が形成された芯材粒子の粒径とから算出される厚みをもって、貴金属めっき層の厚みとしている。貴金属の析出量は、めっきの前後でのめっき液中の貴金属の濃度から求めることができる。
以上の構造を有する導電性粒子の製造方法は、(A)ニッケルめっき層の形成工程と、(B)ニッケルめっき層の表面処理工程と、(C)貴金属めっき層の形成工程とに大別される。以下それぞれの工程について説明する。
(A)のニッケルめっき層の形成工程においては、まず芯材粒子の表面改質処理を行うことが好ましい。表面改質処理では、表面処理剤を溶解した水又は有機溶媒に芯材粒子を加えて充分に攪拌して分散させた後、該粉体を分離し乾燥させる。表面処理剤の量は、芯材粉体の種類に応じ、粒子の表面積1m2当り0.3〜100mgの範囲に調整することで、均一な改質効果が得られる。表面改質には、例えば特開昭61−64882号公報に記載の方法を用いることができる。
次に、芯材粒子を、塩化パラジウムや硝酸銀のような貴金属塩の希薄な酸性水溶液に分散させる活性化処理を行う。これによって貴金属イオンを芯材粒子の表面に捕捉させる。貴金属塩の濃度は芯材粒子の表面積1m2当り1×10-7〜1×10-2モルの範囲で充分である。
貴金属イオンを芯材粒子の表面に捕捉させる活性化処理を行う前に、錫イオンを芯材粒子の表面に吸着させる感受性化処理を施してもよい。錫イオンを芯材粒子の表面に吸着させるには、例えば表面改質処理された芯材粒子を塩化第一錫の水溶液に投入し所定時間撹拌すればよい。
活性化処理後、芯材粒子を含む水スラリーに錯化剤及びポリエチレングリコールを添加することが好ましい。錯化剤としては有機カルボン酸又はその塩を用いることが好ましい。具体的にはクエン酸、ヒドロキシ酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸若しくはグルコン酸又はそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩を用いることができる。これらの錯化剤は1種又は2種類以上用いることができる。
このようにして調製された芯材粒子を含む水スラリーに、ニッケルイオン含有液及び還元剤含有液を添加して無電解めっきを行う。ニッケルイオン含有液と還元剤含有液とは、これらを個別にかつ同時に、前記のスラリーに添加することが好ましい。添加は逐次添加及び一括添加のどちらでもよいが、ニッケルの還元速度の制御のしやすさの点からは、逐次添加を採用することが好ましい。
ニッケルイオン含有液は、ニッケルイオン源である水溶性ニッケル化合物、例えば硫酸ニッケルや塩化ニッケルが溶解した水溶液である。ニッケルイオン含有液におけるニッケルイオンの濃度は、0.1〜1.2モル/リットル、特に0.5〜1.0モル/リットルであることが、均一なニッケルめっき層が形成される点から好ましい。
一方、還元剤含有液は、ニッケルイオンの還元剤及びpH調整剤を含むことが好ましい。還元剤としては、例えば次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン等が用いられる。還元剤の濃度は、0.1〜20モル/リットル、特に1〜10モル/リットルの範囲に調整することが、ニッケルイオンの還元速度を適度なものにして、均一なニッケルめっき層を形成する点から好ましい。還元剤とともに用いられるpH調整剤としては、還元剤の還元力が適度なものとなるように、その添加量が適宜調整される。pH調整剤としては、例えば水酸化ナトリウムが用いられる。
ニッケルイオン含有液及び還元剤含有液を逐次添加する場合、それらの液の添加速度は、それらの液に含まれるニッケルイオン及び還元剤の濃度が上述のとおりであることを条件として、芯材1m2に対して0.01〜2ミリリットル/分、特に0.05〜1ミリリットル/分とすることが好ましい。各液の添加速度は同じでもよく、あるいは異なっていてもよい。また、ニッケルイオン含有液及び還元剤含有液の添加速度は、1時間当たりのニッケルの析出量が好ましくは25〜100nm、更に好ましくは40〜60nmとなる程度にすることが、均一なニッケルめっき層を形成する点から好ましい。
ニッケルイオン含有液及び還元剤含有液を、芯材粒子を含むスラリーに添加することで、ニッケルイオンが還元剤によって還元して、芯材粒子の表面にニッケルが析出する。析出によって生成したニッケルめっき層の厚みは、先に述べたとおりとなることが好ましい。
表面に複数の突起を有する導電性粒子を製造する場合には、本工程において、ニッケルからなる複数の突起を形成すればよい。そのような突起の形成方法は、例えば特開2000−243132号公報、特開2006−228474号公報及び特開2010−118334号公報に記載されている。
このようにして得られたニッケル被覆粒子は、その表面の活性が高い状態になっている。この高活性の状態下に、無電解めっきによってその表面に貴金属を還元析出させると、表面のニッケルが高活性であることと、貴金属自体の還元速度が速いことに起因して、貴金属の還元析出が非常に早く進行し、そのことに起因して貴金属を均一に析出させることが容易でなくなる。そこで本製造方法においては、上述の(A)工程で得られたニッケル被覆粒子の表面を、(B)工程である表面処理工程において酸化処理し、表面活性をある程度低下させた後に、(C)工程である貴金属の還元析出を行う工程を採用している。ニッケルの表面活性をある程度低下させることで、貴金属の還元析出速度の制御が容易になり、それによって貴金属の均一な析出が可能になる。
ニッケル被覆粒子の表面の酸化処理は、その程度を過度なものとすると、得られる導電性粒子の導電性が低下する傾向にあるので、適度な酸化を行うことが望ましい。例えば、穏和な条件下での酸化を行うことが望ましい。そのような酸化の一例として、含酸素雰囲気下での加熱酸化が挙げられる。含酸素雰囲気としては、空気が典型的なものとして挙げられる。含酸素雰囲気として空気を用いる場合、空気を好ましくは100〜500℃、更に好ましくは100〜200℃に加熱しておき、この温度に加熱された空気を、スラリーから分離されたニッケル被覆粒子と接触させることが好ましい。表面のニッケルの酸化の程度は、加熱された空気との接触時間によって制御できる。接触時間は空気の加熱温度が前記の範囲内であることを条件として、0.5〜1000h、特に1〜100hとすることが好ましい。加熱された空気は、これを流通させながらニッケル被覆粒子と接触させてもよく、あるいは密閉空間内で接触させてもよい。
(B)工程においてニッケルめっき層の表面を酸化処理する手段は、上述の手段に限られず、ニッケルめっき層の表面を穏和な条件下に酸化できる限りにおいて、他の手段を採用することは何ら差し支えない。ニッケルの酸化の尺度としては、例えばX線光電子分光分析法(XPS)によって測定されたニッケルめっき層表面のNi2p3スペクトル(線源:AlKα線)において、855.7±1.0eVの結合エネルギーを有するNi−O結合の比率を酸化の尺度として採用することができる。この方法で測定されたNi−O結合の比率が好ましくは60%以上、更に好ましくは60〜100%、一層好ましくは60〜95%、更に一層好ましくは60〜90%となるように酸化を行うことが、貴金属の還元析出速度を容易に制御できる点から好ましい。
XPSを用いたNiの結合状態は、Ni2p3スペクトルの形状に基づき、以下の結合エネルギーと対応していると推察されている。
・851.9eV・・・Ni0(金属Ni)
・853.5eV・・・NiO
・855.7±1.0eV・・・Ni(OH)2、Ni23
XPSによってニッケル被覆粒子のNi2p3スペクトルを測定し、該スペクトルを、上述の結合エネルギーごとに波形分離する。波形分離は一般に、XPSの測定装置に付属の装置を用いて行うことができる。分離された各波形の面積を求め、その合計面積STを算出する。そして、各結合に帰属される波形の面積Sをそれぞれ算出し、S/ST×100から各結合の比率を算出する。本発明においてはNi(OH)2及びNi23に対応する結合エネルギーである855.7±1.0eVに対応する波形の面積と、合計面積STとからNi−O結合の比率を算出する。
(B)工程においてニッケル被覆粒子の表面を酸化したら、次に(C)工程である貴金属めっき層の形成工程を行う。本工程においては、貴金属を含むめっき液を用い、無電解めっきによってニッケルめっき層の表面に直接に貴金属めっき層を形成する。貴金属の無電解めっきには、還元型無電解めっき及び置換型無電解めっきのどちらを用いてもよい。これらの無電解めっきのうち、還元型無電解めっきを用いると、置換無電解めっきを行った場合よりもめっき皮膜が緻密になるため、抵抗値が一層低くなり、更に高温高湿試験においても抵抗値の上昇が抑制されるので有利である。
貴金属として例えばパラジウムを用い、還元型無電解めっきを行う場合には、ニッケル被覆粒子を含む水スラリーに、塩化パラジウム等の水溶性パラジウム化合物;次亜リン酸、亜リン酸、ギ酸、酢酸、ヒドラジン、水素化ホウ素、アミンボラン化合物、又はこれらの塩等の還元剤;及び錯化剤等を含有する常用の無電解パラジウムめっき液を加え、更に必要に応じて分散剤、安定剤、pH緩衝剤を加える。そして、塩酸や硫酸等の酸あるいは水酸化ナトリウム等の塩基でpHを調整しつつ、還元型無電解めっきを行い、パラジウムめっき層を形成することができる。置換型無電解めっきを行う場合には、ニッケル被覆粒子を含む水スラリーに、テトラアンミンパラジウム塩等のパラジウムイオン源、錯化剤及び必要により分散剤を添加し、パラジウムイオンとニッケルイオンとの置換反応を利用して、パラジウムを還元析出させればよい。
貴金属として例えば金を用いる場合には、ニッケル被覆粒子の水スラリーに、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、クエン酸二ナトリウム及びシアン化金カリウムを含み、水酸化ナトリウムでpHが調整された無電解めっき液を添加することで、金めっき層を形成することができる。
還元型無電解めっき又は置換型無電解めっきで用いる分散剤としては、例えば非イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤及び水溶性高分子が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンエーテル系の界面活性剤を用いることができる。両性イオン界面活性剤としては、アルキルジメチル酢酸ベタイン、アルキルジメチルカルボキシメチル酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのベタイン系の界面活性剤を用いることができる。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジノン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどを用いることができる。常用の無電解パラジウムめっき液として、例えば、小島化学薬品株式会社、日本カニゼン株式会社、中央化学産業株式会社等から入手可能な市販品を使用してもよい。
(C)工程においては、酸化によって表面活性がある程度低下したニッケルめっき層の表面に貴金属をめっきするので、貴金属の還元析出速度の制御が容易になる。その結果、均一な厚みの貴金属めっき層を形成することができる。
(C)工程において形成される貴金属めっき層は、リンを実質的に含有しないか、あるいは含有量が3重量%以下に低減したものであることが、導電性粒子の導電性及び電気信頼性を高める点から好ましい。そのようなめっき層を形成するためには、例えば置換型無電解めっきを行うか、又は還元型無電解めっきを行う場合には、リン非含有の還元剤(例えばギ酸)を用いればよい。
このようにして製造された導電性粒子においては、ニッケルめっき層の表面が直接にかつ均一に貴金属めっき層で被覆されているので、該導電性粒子は良好な導電性を示す。したがって本発明の方法で製造された導電性粒子は、例えば異方導電フィルム(ACF)やヒートシールコネクタ(HSC)、液晶ディスプレーパネルの電極を駆動用LSIチップの回路基板へ接続するための導電材料などとして好適に使用される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1ないし5〕
真比重が1.1、平均粒径3.0μmの球状スチレン系樹脂を芯材粒子として用いた。その9gを、400mLのコンディショナー水溶液(ローム・アンド・ハース電子材料製の「クリーナーコンディショナー231」)に攪拌しながら投入した。コンディショナー水溶液の濃度は40ml/Lであった。引き続き、液温60℃で超音波を与えながら30分間攪拌して芯材粒子の表面改質処理及び分散処理を行った。次いで水溶液をろ過し、一回リパルプ水洗した芯材粒子を200mLのスラリーにした。このスラリーへ塩化第一錫水溶液200mlを投入した。この水溶液の濃度は5×10-3mol/Lであった。常温で5分攪拌し、錫イオンを芯材粒子の表面に吸着させる感受性化処理を行った。引き続き水溶液をろ過し、1回リパルプ水洗した。次いで芯材粒子を400mlのスラリーにし、60℃に維持した。超音波を併用してスラリーを攪拌しながら、0.11mol/Lの塩化パラジウム水溶液2mLを添加した。そのままの攪拌状態を5分間維持させ、芯材粒子の表面にパラジウムイオンを捕捉させる活性化処理を行った。20g/L酒石酸ナトリウム及び5g/Lのポリエチレングリコールの入った水溶液3Lを70℃に加温し、この水溶液に芯材粒子を攪拌しながら投入し、充分に攪拌分散させて水性スラリーを調製した。次いで、224g/L硫酸ニッケル水溶液と、210g/Lの次亜リン酸ナトリウム及び80g/Lの水酸化ナトリウムを含む混合水溶液とをそれぞれ別個にかつ同時に300mL逐次添加した。添加速度はそれぞれ2.5mL/分とした。液を全量添加した後、70℃の温度を保持しながら5分攪拌を継続した。このようにしてニッケル被覆粒子を得た。ニッケルめっき層は、ニッケル−リン合金から構成されていた。ニッケルの析出量から算出されたニッケルめっき層の厚みは100nmであった。次いで液をろ過し、ろ過物を3回洗浄した後、以下の表1に示す条件1〜5の条件で酸化処理を行った。酸化処理は、乾燥炉内において行った。得られたニッケル被覆粒子N1〜N5とした。この時点で、X線光電子分光分析法(XPS)によってニッケルめっき層表面のNi2p3スペクトルを測定した。測定には、Surface Science Instruments社のS-Probe ESCA Model 2803を用いた。照射X線はAlKα線とし、X線スポット径は250μm×1000μmとした。また、測定には中和電子銃を用いた。この測定によって、855.7±1.0eVの結合エネルギーを有するNi−O結合の比率を求めた。その結果を以下の表2に示す。
次に、10g/Lのエチレンジアミン、10g/Lのギ酸ナトリウム及び20g/Lのテトラアンミンパラジウム塩酸塩(Pd(NH34Cl2)溶液(パラジウムとして2.0g/L)、カルボキシメチルセルロース(分子量250000、エーテル化度0.9)100ppmからなる無電解純パラジウムめっき液を調製した。このパラジウムめっき液1.5Lを70℃に加熱し、これを攪拌しながら前記で得られたニッケル被覆粒子試料N1〜N5をそれぞれ添加し、これによって粒子の表面に還元型無電解めっき処理を行った。処理時間は30分とした。パラジウムの析出量から算出されたパラジウムめっき層の厚みは25nmであった。処理完了後、液をろ別し、3回洗浄後、100℃で真空乾燥させ、ニッケルめっき層上にパラジウムめっき層を形成し、目的とする導電性粒子を得た。
〔比較例1及び2〕
実施例と同様にしてニッケルめっき層を形成し、ニッケル被覆粒子を得た。この粒子を、以下の表1に示す条件6及び7で酸化処理してニッケルめっき被覆粒子N6及びN7を得た。これらの粒子について、実施例1と同様にして、ニッケルめっき層表面における855.7±1.0eVの結合エネルギーを有するNi−O結合の比率を求めた。その結果を以下の表2に示す。その後は実施例1と同様にしてパラジウムの還元型無電解めっきを行い、導電性粒子を得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた導電性粒子について、以下の方法で表面状態を観察し、導電性を測定した。それらの結果を以下の表2に示す。
〔表面状態〕
SEM(反射電子像)を用い、パラジウムめっき後の導電性粒子を25000倍に拡大して粒子100個を観察し、パラジウムの析出が不均一な粒子の個数を計測し、その個数を「ばらつき粒子の個数」として表2に記載した。なお、パラジウムの析出が不均一であるかどうかの判断は、前記倍率で導電性粒子の粒子表面を観察したときに、下地めっき層のニッケルめっき層が観察される孔(ホール)が1粒子当たり10個以上存在しているものを不均一と判断し、それより少ない場合は均一であると判断した。
〔導電性〕
エポキシ樹脂100重量部、硬化剤150重量部、トルエン70重量部を混合し、絶縁性接着剤を調製した。これに導電性粒子15重量部を配合してペーストを得た。バーコーターを用い、このペーストをシリコーン処理ポリエステルフィルム上に塗布し乾燥させた。得られた塗工フィルムを用い、全面をアルミニウムで蒸着したガラスと50μmピッチに銅パターンを形成したポリイミドフィルム基板との間の接続を行った。そして電極間の導通抵抗を測定することで、導電性粒子の導電性を評価した。85℃、85%RHで500時間保持した後に抵抗値を測定した。抵抗値が5Ω以下である場合を「○」と評価し、5Ω以上である場合を「×」と評価した。
Figure 0005707247
Figure 0005707247
表2に示す結果から明らかなように、各実施例で得られた導電性粒子は、パラジウムめっきが良好に行われており、かつ導電性の高いものであることが判る。これに対して比較例で得られた導電性粒子は、パラジウムめっきが不均一に行われており、かつ導電性が低いものであることが判る。

Claims (4)

  1. 芯材粒子の表面にニッケルめっき層を形成し、
    該ニッケルめっき層の表面を酸化処理し、
    酸化処理された該ニッケルめっき層の表面に、貴金属めっき層を直接形成する工程を有し、
    X線光電子分光分析法(XPS)によって測定されたニッケルのNi2p3スペクトルにおいて、855.7±1.0eVの結合エネルギーを有するNi−O結合の比率が、60%以上となるように、前記ニッケルめっき層の表面を酸化処理する導電性粒子の製造方法。
  2. 加熱された空気との接触によって前記ニッケルめっき層の表面を酸化処理する請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記貴金属めっき層として、パラジウムめっき層を形成する請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 還元剤を用いた還元型無電解めっき法によって貴金属めっき層を形成する請求項1ないしのいずれか一項に記載の製造方法。
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