JP2007302967A - 無電解めっき方法 - Google Patents

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Hideo Noda
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Abstract

【課題】Pd活性化処理を行わずとも、被めっき金属微粒子を無電解めっき法によりめっき用金属にて良好にめっきする方法を提供することを課題とするものである。
【解決手段】被めっき金属微粒子は、まず第三工程においてその表面が清浄化処理されて、機械油、手垢、グリスなどの油脂類、あるいは軽度に脆化した酸化物や水酸化物などが除去され、ついで第一工程において高温度の大気中での加熱や酸化力のある酸水溶液などで酸化処理されてその表面に均一な酸化膜が形成され、最後に第二工程において所望のめっき用金属を自己触媒析出する無電解めっき液に浸漬して無電解めっきされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、無電解めっき方法に関し、特に金属微粒子の表面に他の金属をめっきする無電解めっき方法に関するものである。
金属微粒子の表面に他の金属をめっきした複合金属微粒子は、複合金属焼結体の製造に有用である。従来から、Pd活性化処理を行った微粒子を、その表面積がめっき浴に対して15〜250dm/リットルの割合で、金属イオン濃度を1〜1.5g/リットルとした無電解めっき浴に投入し、液を補充することなく、めっき反応が停止するまで当該無電解めっきを行う微粒子の無電解めっき方法は、後記の特許文献1から公知である。
ところで無電解めっき方法は、一般的に均一なめっきを行える長所を有する反面、めっき速度が遅い短所がある。上記短所は、特許文献1におけるように、被めっき体として微粒子を使用すると、被めっき表面の増大により改善される。しかし、特許文献1ではPd触媒を利用するため、製造コストが高くなる問題点に加えて無電解めっき浴から供給されためっき用金属の一部がPd触媒に付着するので、本来の被めっき対象である上記微粒子に対しては均一めっきが阻害され、めっき速度が低下する問題がある。まためっき速度が低下すると、無電解めっき浴は、不純物の混入、組成変動、あるいは温度変動などによってめっき析出速度が大きく変動し、めっき析出量の制御が困難となる問題もある。
さらに特許文献1は、樹脂粒子など微粒子に無電解めっきを施して導電性粒子を得る場合には有効ではあっても、金属微粒子(以下、被めっき金属微粒子)を他の金属(以下、めっき用金属)でめっきする場合には、得られためっき金属微粒子にPd触媒が混入する不都合があるが、本発明者らは、被めっき金属微粒子の表面に当該被めっき金属の安定した酸化物層を形成すると、上記Pd活性化処理を行わずとも効果的な無電解めっきが達成される、との新知見を得た。なお、通常の金属微粒子は、その表面に或る程度の当該金属の酸化物層を有してはいるが、当該酸化物層は、その厚みが概して不十分であり、また酸化物層の付き方にむらがある、などの問題がある。酸化物層が存在しない、存在してもその厚みが不十分である、あるいはむらがあると、無電解めっき法によるめっき用金属の付着が不十分であったり、付着しても付着力が弱くて剥離脱落し易いなどの問題がある。
特開平2002−339077号公報(請求項1)
本発明は、上記した斯界における諸問題に鑑みて、Pd活性化処理を行わずとも被めっき金属微粒子を無電解めっき法によりめっき用金属にて良好にめっきする方法を提供することを課題とするものである。
本発明の請求項1に係る無電解めっき方法は、平均粒径が5μm以下の被めっき金属微粒子の表面に平均厚みが少なくとも0.5nmの被めっき金属酸化物層を形成する第一工程、上記第一工程で得られた酸化被めっき金属微粒子を上記被めっき金属とは異なるめっき用金属を有する無電解めっき液で処理して上記被めっき金属微粒子をめっきする第二工程を含むことを特徴とするものである。
本発明では、平均粒径が5μm以下の微粒子を被めっき金属とするので、特許文献1の場合と同様に被めっき表面の増大によりめっき速度が改善される。一方、Pd触媒を使用する必要がないので製造コストが高くなる問題点が解消され、しかも無電解めっき浴から供給されためっき用金属の一部がPd触媒に付着することに基づく前記した諸問題が解消され、さらに上記被めっき金属微粒子の表面に平均厚みが少なくとも0.5nmの被めっき金属酸化物層が形成された微粒子を対象として上記被めっき金属とは異なるめっき用金属を有する無電解めっき液で処理すると、当該めっき用金属の安定しためっき層が予想外の速さで形成される大きな効果もある。また、上記被めっき金属微粒子の表面に上記めっき用金属が均一且つ強固に付着した複合金属微粒子が得られ、当該複合金属微粒子を用いた焼結により高品質の焼結体を工業的に生産することが可能となる。またさらに、無電解めっき液に含まれているめっき用金属の金属イオンを全量消費させることによってめっき用金属の膜厚の制御が容易になるといった従来にない顕著な効果もある。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1は、第三(清浄化)工程、第一(酸化膜形成)工程、および第二(無電解めっき)工程の三工程からなり、第二工程では置換めっき反応とそれに続いて自己触媒めっき反応が進行する。図1の(A)〜(E)は、実施の形態1での後記各工程の前後における、被めっき金属微粒子の概念的な表面状態の変遷を示した断面図である。図1において、(A)は第三工程前の断面図が、(B)は第三工程後の断面図が、(C)は第一工程による酸化膜が形成された後の断面図が、(D)は第二工程における置換めっき反応後の断面図が、(E)は同工程での自己触媒めっき反応後の断面図が、それぞれ示されている。図1において、符号1は被めっき金属微粒子、符号2は汚染物質、符号3は不均一な酸化膜、符号4は均一な酸化膜、符号5は置換めっき膜、符号6は自己触媒めっき膜である。
本発明における被めっき金属微粒子としては、その表面に酸化層を形成し得、且つ常温の乾燥状態において安定な金属、好ましくは大気中において安定な金属、即ち周期律表の第Ib族〜第VIII族のうちで上記の条件を満たす金属元素であって、且つレーザ回折式粒度分布測定装置で測定した平均粒径が5μm以下のものの一種または二種以上が用いられる。上記金属の好ましい例としては、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、錫、鉛、タングステンなどが挙げられる。
工業的に原料として使用される被めっき金属微粒子1の多くは、図1(A)に示すように、その表面には汚染物質2および酸化膜3が不均一に付着しており、そのままで無電解めっきを施しても、均一なめっき用金属層が形成され難いので、先ず第三工程が施される。汚染物質2は、機械油、手垢、グリスなどの油脂類、あるいは軽度に脆化した酸化物や水酸化物などであって、油脂類は、石油エーテル、ベンジン、リグロインなどの低級炭化水素液、アルコール、アセトン、あるいはその他の有機溶剤にて洗浄し乾燥することにより除去可能である。軽度に脆化した酸化物や水酸化物などは、炭酸水素ナトリウムやリン酸水素ナトリウム等の無機化合物の水溶液、陽イオン系界面活性剤水溶液、陰イオン系界面活性剤水溶液などにて洗浄し乾燥することにより除去可能である。一般的には、上記有機溶剤での洗浄、上記水溶液での洗浄、さらには上記洗浄に加えてプラズマ照射処理や紫外線照射処理等を行うと、汚染物質2が除去されて被めっき金属微粒子1の無電解めっき液に対する濡れ性が向上して反応性が向上する。
次に被めっき金属微粒子1の表面に酸化膜を形成する第一工程について説明する。本発明において、後記する無電解めっきを施す第二工程において均一なめっき用金属層を形成するには、無電解めっきされる前の被めっき金属酸化物層は、厚みが0.5nm未満の部分の合計面積が当該被めっき金属微粒子の全表面積の30%以下、特に20%以下となる均一性を有することが肝要である。これに対して、図2(B)に示した通り、工業的に原料として使用される被めっき金属微粒子の表面の酸化膜3は、かかる条件を満たさない不均一なものであって、上記微粒子表面の各所における反応活性が異なり、このためにめっきも不均一に析出する問題がある。かかる不均一析出を防止するため、第一工程では、図2(C)に示す様に、酸化膜の均一性を高める処理が行われる。以下、具体的な酸化膜形成方法について述べる。
酸化膜形成方法としては、被めっき金属微粒子を高温度の酸素含有気体中、例えば大気中や酸素中で加熱する方法、酸化力のある酸水溶液で処理する方法などが例示される。当該加熱方法は、全ての被めっき金属微粒子に適用可能であって、当該金属微粒子の融点より低い高温度で前記した厚みおよび均一性を有する酸化層が形成されるまで加熱すればよいが、被めっき金属微粒子の融点が500℃より高い場合は、200℃〜500℃で30分〜5時間、好ましくは200℃〜300℃で1時間〜3時間加熱するとよい。あるいは被めっき金属微粒子が、水素より標準酸化還元電位が高い金属やアルミニウムで形成されている場合には、上記した酸化力のある酸水溶液、例えば硝酸水溶液、硝酸と硫酸の混酸水溶液に浸漬することで、当該金属表面に表面不動態酸化膜などの酸化膜を形成することができる。
次に、本発明の第二工程について説明する。第二工程においては、上記第一工程で得られた酸化被めっき金属微粒子を上記被めっき金属とは異なるめっき用金属を有する無電解めっき液で処理する。その際に用いられる無電解めっき液としては、上記めっき用金属を有する限り、従来周知あるいは公知の各種のものを使用することができる。例えば前記特許文献1に記載されたような、ホルムアルデヒド、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、あるいはその他の還元剤を含む無電解めっき液であってよい。
上記した所望の酸化物膜を表面に有する酸化被めっき金属微粒子は、無電解めっき液に浸漬されると、当該めっき液中に含まれる還元剤の作用によって、最初に表面の酸化膜が溶解し、当該金属微粒子の表面の金属原子がイオン化する。その後、図2(D)で示された様に、イオン化した金属原子とめっき液中に含まれる上記めっき用金属のイオンとが置換して当該金属微粒子の表面に上記めっき用金属が置換析出する。図2(D)で示された一段目の析出反応は、単純置換反応であるため、当該金属微粒子の標準酸化還元電位は、上記めっき用金属のそれと比べて卑であることが好ましい。
続いて、置換析出した金属上で当該無電解めっき液に含まれている還元剤によって図2(E)で示されたように、上記めっき用金属が自己触媒析出する。なお上記めっき用金属のうちでも、自己触媒析出性の良好な金属は、銅、ニッケル、金、コバルトなどである。また、被めっき金属と自己触媒析出性の良好なめっき用金属との好ましい組み合わせの若干例を次に示す。めっき用金属が銅である場合、被めっき金属はアルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル、錫、鉛、タングステン、パラジウム、などである。めっき用金属がニッケルである場合、被めっき金属は、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、錫、鉛、タングステン、パラジウム、などである。めっき用金属が金である場合、被めっき金属は、白金、アルミニウム、鉄、亜鉛、ニッケル、コバルト、錫、鉛、タングステン、パラジウム、などである。めっき用金属がコバルトである場合、被めっき金属は、アルミニウム、鉄、亜鉛などである。
実施の形態2.
実施の形態2では、本発明の第二工程において上記めっき用金属の析出が不十分である場合や当該析出の速度を向上させたい場合などで、めっき液の反応活性を向上させる方法について説明する。上記反応活性の向上方法として、めっき液中に存在する被めっき金属の量を増加して反応を急激に生じさせる方法A、めっき液中に存在して、めっき反応を安定化させている溶存酸素を減少させる、好ましくは除去する方法B、めっき液中に溶解している金属イオンを還元する物質の効力を向上させるために当該還元剤の濃度を上げる方法Cなどが挙げられる。
上記方法Aに就き説明すると、一般に、被めっき材料(本発明の場合は、被めっき金属微粒子)とめっき液との間には、最適な比率が一般に知られており、当該比率は、被めっき材料の面積をめっき液量で除した値で示され、概ね無電解めっきでは最適な0.005〜0.05m/リットルとされている。この範囲でめっき作業を行えば、めっき反応が徐々に進行し、液の分解等が生じ難いといった利点がある。ところがこの手法によれば、めっき液の反応活性が低いため、被めっき材料の表面にPd等の無電解めっき析出核を付着させておかないと、めっき析出に多大な時間を要し生産性が極めて低くなる。そのために本発明では、被めっき金属微粒子の合計表面積が無電解めっき液1リットルあたり5m〜100mと大幅に増加させて、めっき液の反応性を向上させることが好ましい。かくすると、めっき反応を急激に進行させることができ、析出速度も向上するため、生産性を向上させることができる大きな効果がある。さらにその場合、無電解めっき反応時には水素ガスがめっき液中から発生するため、無電解めっき反応時において液の攪拌を強力に行うことが好ましく、そうすると微粒子のめっきで問題となり易い微粒子士の凝集も防止できる効果もある。
上記方法Bに就き説明すると、具体的には、窒素、アルゴン、あるいはその他のめっき反応に対して不活性なガスをめっき液にバブリングして溶存酸素量を低減、好ましくは除去する。溶存酸素を低減することによって液中に含有されている還元剤の反応効率が増大し、その結果、めっき液の反応性を向上させることができる。
上記方法Cに就き説明すると、当該金属イオンの還元効率を向上させるために、還元剤の濃度をグラム当量数換算で当該金属イオン濃度の5〜200倍に増加させる。かくすると、金属酸化物の還元分解を促進することができる。
実施の形態3.
平均粒径1.0μm、表面積0.3m/gのタングステン微粒子を被めっき金属微粒子とした。清浄化処理前の当該タングステン微粒子の表面をSEMで観察したところ、前記図1(A)のようにかなりの量の汚染物質2が付着したものであった。清浄化処理液として奥野製薬社製の清浄化剤(商品名;エースクリーンA−220を使用)40g/水1リットルの水溶液を使用し、上記タングステン微粒子を40℃の当該清浄化処理液に浸漬して3分間十分に攪拌し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄し、乾燥した。次いで、特級試薬の硝酸と特級試薬の硫酸と水の体積比1:1:1の混酸に25℃で3分間浸漬し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄し、乾燥して、表面に不動態酸化膜を形成した。かくして得られた酸化タングステン微粒子をTEMにて断面状態を観察したところ、その全表面に厚さ約2nm程度の不動態タングステン酸化膜が形成されていた。
次いでかくして得られた酸化タングステン微粒子17.5gに対して、無電解めっき液1リットルを用いて無電解銅めっきを施した。当該無電解めっき液としては、硫酸銅5水和物銅30g/リットル、即ち銅7.64g/リットル(分母のリットルは、水1リットルを示す。以下同様)、ロッシェル塩100g/リットル、37重量%濃度のホルマリン30ミリリットル/リットル、炭酸ナトリウム30g/リットル、および水酸化ナトリウム50g/リットルを含む温度24℃のものを用い、これに上記酸化タングステン微粒子を20分間攪拌下に浸漬して無電解銅めっきを施し、次いで濾過し、イオン交換水で十分に洗浄し、乾燥して、表面に銅めっき膜を有するタングステン微粉体を得た。なお上記した全工程においては、処理液、洗浄水、およびめっき液は、マグネチック・スターラによって常時攪拌した。このマグネチック・スターラによる常時攪拌は、後続の諸実施の形態および比較例においても同様である。
図2に、得られた銅めっきタングステン微粒子のSEM写真を示す。なお図2において、6は還元剤による自己触媒析出反応で析出した銅めっき膜である。図2に示す通り、タングステン微粒子の表面は、銅めっき膜によって良好に覆われていることが分る。当該微粒子を上記混酸に溶解し、銅とタングステンとの重量比率をICPで測定したところ、銅とタングステン比は、銅が29.8重量%に対してタングステンは70.2重量%であった。このようにタングステン微粒子の表面に酸化膜を形成し、無電解めっき液に浸漬することで、Pd触媒を利用しなくとも当該微粒子表面に銅めっき膜を析出させることができた。
実施の形態4.
実施の形態4においては、前記実施の形態3で得られた酸化タングステン微粒子を用いて、無電解銅めっきを施した。当該無電解めっき液としては、硫酸銅5水和物銅10g/リットル、即ち銅2.55g/リットル、ロッシェル塩100g/リットル、37重量%濃度のホルマリン65ミリリットル/リットル、炭酸ナトリウム30g/リットル、および水酸化ナトリウム50g/リットルを含む温度24℃のものを用い、また前記実施の形態3とは前記実施の形態2における方法を取り入れて実施した点において異なる。即ち、被めっき金属微粒子の全表面積を無電解めっき液の量で除した値は、8.1m/gとした。具体的には、タングステン微粒子27gに対して無電解銅めっき液を1リットル、銅濃度は2.7g/リットルとした。また、ホルマリン量も1リットル当たり30ミリリットルから65ミリリットルとした。なお65ミリリットルは、無電銅めっき液中に含まれている銅イオングラム当量数の約10倍である。無電解めっきの前に無電解銅めっき液には15分間にわたって、窒素ガスをバブリングして溶存酸素を略除去した。無電解めっき反応時間は、10分間とした。なお、無電解めっき開始後1分で無電解銅めっき液の色は、青色から無色透明へと変化し、当該めっき液中の銅イオンが全て消費されていた。
図3に実施の形態4で得られた銅めっきタングステン微粒子のSEM写真を示す。図3において、6は還元剤による自己触媒析出反応で析出した銅めっき膜であり、7は薄い銅めっきが付着した表面である。図3に示した通り、当該微粒子の表面には、タングステン表面を覆った薄い銅めっき膜の上に粒状の銅めっき膜6が均一に析出していることが分る。当該微粒子を前記混酸に溶解し、銅とタングステンとの重量比率をICPで測定したところ、銅:タングステン=7.9重量%:92.1重量%であった。めっき後に、無電解銅めっき液中の銅濃度をICPによって測定したところ、その濃度は4.3ppmであって、当該めっき液中の銅は、略完全に消費していることが分かった。また上記の銅:タングステンの重量%比は、元の当該めっき液中の銅量とWの比率(2.7:27=10:90)と略一致していた。このように、無電解めっき液中に含まれている金属イオンを全量消費させて無電解めっき反応が停止するまでめっき処理を行えば、被めっき金属微粒子の表面に付着するめっき膜析出量を正確に制御することができる。
比較例1.
前記実施の形態3とは、清浄化処理を省略した点のみ異なる操作を行って、得られた銅めっきタングステン微粉体をSEM観察したところ、銅めっきの付着が極めて不均一であって、大きく付着した銅めっき部分は、振動などの外力で容易に剥離脱落した。
実施の形態5.
前記実施の形態3において用いられたタングステン微粒子を被めっき金属微粒子とし、それを清浄化処理することなく300℃の大気中で2時間加熱し、その後室温に冷却してTEMにて断面状態を観察したところ、その全表面に厚さ約1nm程度のタングステン酸化膜が形成されていた。かくして得られた酸化タングステン微粒子16gに対して、無電解めっき液1リットルを用いて無電解ニッケルめっきを施した。当該無電解めっき液としては、硫酸ニッケル6水和物20g/リットル、即ちニッケル4.49g/リットル、酢酸ナトリウム29g/リットル、クエン酸ナトリウム15g/リットル、および次亜リン酸ナトリウム20g/リットルを含み、pH5、温度90℃のものを用いた以外は前記実施の形態3と同様の処理を行って、表面にニッケルめっき膜を有するタングステン微粉体を得た。得られたニッケルめっきタングステン微粉体は、そのSEM写真からニッケルめっき膜によって良好に覆われていた。当該微粉体を前記混酸に溶解し、ニッケルとタングステンとの重量比率をICPで測定したところ、ニッケル:タングステン=23.0重量%:77.0重量%であった。
実施の形態6.
実施の形態5で得られた酸化タングステン微粒子17.5gに対して、無電解めっき液1リットルを用いて無電解コバルトめっきを施した。無電解めっき液として、硫酸コバルト7水和物15g/リットル、即ちコバルト3.55g/リットル、酒石酸ナトリウム115g/リットル、次亜リン酸ナトリウム21g/リットル、およびほう酸30g/リットルを含み、pH5、温度90℃のものを用いた以外は前記実施の形態3と同様の処理を行って、表面にコバルトめっき膜を有するタングステン微粉体を得た。得られたコバルトめっきタングステン微粉体は、そのSEM写真からコバルトめっき膜によって良好に覆われていた。この当該微粉体を前記混酸に溶解し、コバルトとタングステンとの重量比率をICPで測定したところ、コバルト:タングステン=16.9重量%:83.1重量%であった。
実施の形態7.
平均粒径3.5μm、表面積0.15m/gのアルミニウム微粉体を被めっき金属微粒子とした。清浄化処理前の当該アルミニウム微粉体の表面をSEMで観察したところ、前記図1(A)のようにかなりの量の汚染物質2を有するものであった。清浄化処理液として奥野製薬社製の清浄化剤(商品名;エースクリーンA−220を使用)40g/水1リットルの水溶液を使用し、上記アルミニウム微粉体を40℃の当該清浄化処理液に浸漬して3分間十分に攪拌し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄し、乾燥した。次いで、特級試薬の硝酸と水の体積比1:1の希硝酸に25℃で3分間浸漬し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄し、乾燥して、表面に不動態酸化膜を形成した。かくして得られた酸化アルミニウム微粒子をSEM写真にて表面状態を観察したところ、その全表面に厚さ約3nm程度の不動態アルミニウム酸化膜が形成されていた。
次いでかくして得られた酸化アルミニウム微粒子6gに対して、無電解めっき液1リットルを用いて無電解銅めっきを施した。当該無電解めっき液としては、前記実施の形態3と同じ組成のものを用い、これに上記酸化アルミニウム微粒子を20分間、攪拌下に浸漬して無電解銅めっきを施し、次いで濾過し、イオン交換水で十分に洗浄し、乾燥して、表面に銅めっき膜を有するアルミニウム微粉体を得た。なお上記の全工程において、処理液、洗浄水、およびめっき液は、スターラによって常時攪拌した。得られた銅めっきアルミニウム微粒子は、そのSEM写真から銅めっき膜によって良好に覆われていた。この当該微粉体を前記希硝酸に溶解し、銅とアルミニウムとの重量比率をICPで測定したところ、銅:アルミニウム=55.0重量%:45.0重量%であった。
比較例2.
前記の実施の形態7とは、清浄化処理を省略した点のみ異なる操作を行って、得られた銅めっきアルミニウム微粒子をSEM観察したところ、銅めっきの付着が極めて不均一であって、大きく付着した銅めっき部分は、前記比較例1の場合と同様に振動などの外力で容易に剥離脱落した。
実施の形態8.
前記実施の形態6で得られた酸化アルミニウム微粒子8gに対して、無電解めっき液として前記実施の形態5で用いられた無電解ニッケルめっき液1リットルを用いた以外は前記実施の形態7と同様の処理を行って、表面にニッケルめっき膜を有するアルミニウム微粒子を得た。得られたニッケルめっきアルミニウム微粒子は、そのSEM写真からニッケルめっき膜によって良好に覆われていた。当該微粒子を前記希硝酸に溶解し、ニッケルとアルミニウムとの重量比率をICPで測定したところ、ニッケル:アルミニウム=35.9重量%:64.1重量%であった。
実施の形態9.
前記実施の形態6で得られた酸化アルミニウム微粒子8gに対して、前記実施の形態6で用いられた無電解コバルトめっき液1リットルを用いて無電解コバルトめっきを施した。上記酸化アルミニウム微粒子を20分間、攪拌下に浸漬して無電解コバルトめっきを施し、次いで濾過し、イオン交換水で十分に洗浄し、乾燥して、表面にコバルトめっき膜を有するアルミニウム微粉体を得た。なお上記の全工程において、処理液、洗浄水、およびめっき液は、スターラによって常時攪拌した。得られたコバルトめっきアルミニウム微粉体は、そのSEM写真からコバルトめっき膜によって良好に覆われていた。当該微粒子を前記希硝酸に溶解し、コバルトとアルミニウムとの重量比率をICPで測定したところ、コバルト:アルミニウム=30.8重量%:69.2重量%であった。
本発明は、前記の実施の形態I〜9に限定されるものではなく、本発明の解決課題並びにその解決手段の精神に沿った種々の変形形態を包含する。例えば、無電解めっき液としては、前記した以外にもNiP、NiB、CoW、CoWP、CoWPB、NiFeなどの複合体や、Au、Ptなどを析出する自己触媒析出特性を有する無電解めっき液などであってもよい。
本発明で得られためっき金属微粒子は、焼結合金の製造に利用される可能性が高い。
本発明における各工程前後における被めっき微粒子の表面の概念的な断面図である。 本発明の実施の形態3による無電解銅めっき後の微粉体の表面SEM写真である。 本発明の実施の形態4による無電解銅めっき後の微粉体の表面SEM写真である。
符号の説明
1 微粉体、2 汚染物質、3 不均一な酸化膜、4 均一な酸化膜、
5 置換めっき膜、6 還元剤による自己触媒析出反応で析出した銅めっき膜、
7 薄い銅めっきが付着した表面。

Claims (7)

  1. 平均粒径が5μm以下の被めっき金属微粒子の表面に平均厚みが少なくとも0.5nmの被めっき金属酸化物層を形成する第一工程、上記第一工程で得られた酸化被めっき金属微粒子を上記被めっき金属とは異なるめっき用金属を有する無電解めっき液で処理して上記被めっき金属微粒子をめっきする第二工程を含むことを特徴とする無電解めっき方法。
  2. 上記第一工程の前に、上記被めっき金属微粒子を清浄化処理する第三工程を含むことを特徴とする請求項1記載の無電解めっき方法。
  3. 上記第一工程は、上記被めっき金属微粒子を、その融点より低い高温度の酸素含有気体中で加熱する工程、および酸化性の酸水溶液で処理する工程、のうちの少なくともいずれか1つの工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の無電解めっき方法。
  4. 上記第一工程で形成された上記被めっき金属酸化物層は、厚みが0.5nm未満の部分の合計面積が上記被めっき金属微粒子の全表面積の30%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の無電解めっき方法。
  5. 上記第二工程は、上記被めっき金属微粒子の合計表面積が上記無電解めっき液1リットルあたり5m〜100mとすること、上記無電解めっき液に不活性ガスを導入して溶存酸素を除去すること、および上記無電解めっき液に含まれている還元剤の濃度を上記めっき用金属のイオン濃度の5〜200倍とすること、のうちの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の無電解めっき方法。
  6. 上記第二工程は、上記無電解めっき液に含まれている上記めっき用金属の金属イオンを消費させ、無電解めっき反応が停止するまでめっき処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の無電解めっき方法。
  7. 上記被めっき金属微粒子は、タングステン微粒子であり、上記めっき用金属は、銅であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項記載の無電解めっき方法。
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JP2013001995A (ja) * 2011-06-22 2013-01-07 Nippon Chem Ind Co Ltd 導電性粒子の製造方法

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