JP4145884B2 - 光触媒を用いるプリント基板の無電解鍍金方法 - Google Patents

光触媒を用いるプリント基板の無電解鍍金方法 Download PDF

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Description

本発明は光触媒を用いるプリント基板の無電解鍍金方法に係り、より詳しくはナノTiOゾル溶液で基板の表面に活性化層を形成した後、無電解金属鍍金層を形成することにより、微細回路の具現の際、高信頼性及び高接着性を付与することが可能な光触媒を用いるプリント基板の無電解鍍金方法に関するものである。
近年、電子部品の高密度化、高速化、小型化の趨勢に従い、システムの集積化までに対応可能な新たな高集積基板に対する研究が活発に進んでいる。また、このような要求に応えるため、微細回路の具現も主要研究対象として注目を引いている。
したがって、微細回路の具現のために多様な方法が提案されており、多層化、高速化に対応するための多くの研究が進んでいる。特に、微細回路を形成した後、信頼性に対する検証を行うことにより、最終の安定状態で製品量産が可能であるため、その重要性がさらに高くなっている。
従来、微細回路の具現に多く適用されているセミアディティブ法(semi-additive process)は、無電解鍍金により形成されたシード層上に電解銅を積層して微細回路を具現している。また、最近には、微細回路の量産に備えて、既存のシード層である無電解鍍金の代わりに、プラズマで表面を改質し、その表面にスパッタリングでシード層を形成させる方法も検討されている。
しかし、このような微細回路の具現の際、最終信頼性の面で不良(fail)が生じると、かなりの損傷を被ることになる。特に、製品の信頼性のなかでも、イオン移動(ion migration)による、導通不可のところでの導通により、損傷を被る可能性が高い。このような現象は一般のところでは起こらず、量産後の使用中に、特に苛酷な環境(湿気、温度の面で)下にある場合に起こる現象であって、使用者が知らない間に発生し得るものである。
ちなみに、鍍金の表面及び樹脂成形品の寸法精度を維持しながら密着性に優れた無電解鍍金膜を形成する方法として、樹脂材料の表面に紫外線を照射して表面処理を行った後、無電解鍍金を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、無電解鍍金の際、密着性をさらに向上させるため、紫外線照射の後、非イオン界面活性剤を含むアルカリ溶液で表面処理を行う無電解鍍金方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、前記のような方法は、樹脂表面に紫外線を照射した後に行われるアルカリ溶液又は脱脂液による表面処理、Pd−Snコロイド液又は着化液などの活性化液による表面処理、及びSnを除去する酸活性処理などの表面処理工程において、樹脂表面が空気に接する場合、無電解鍍金が析出されない傾向があるため、安定的に無電解鍍金が行えない欠点がある。
前述したように、従来の工程においては、高価のPd金属触媒などから絶縁材に無電解金属鍍金層を形成しようとする試みがあったが、このような方法は単に信頼性面で満足な水準の回路を形成するばかりで、向後の当該産業界の要求事項である微細回路の具現に適用する場合、所望特性を得ることが難しい問題点がある。
したがって、微細回路の具現の際、信頼性及び絶縁材との接合性などを考慮したより改善した処理工程が切実に要求されている。
特開平8−253869号公報 特開平10−88361号公報
したがって、前述したような問題点を解決するために多様な研究を繰り返し行った結果、既存の高価の金属触媒を用いるプリント基板の活性化処理工程をTiOゾル光触媒を用いる処理方法で代替することにより、超親水性による高密着力の効果が得られるとともに、微細回路の具現の際、イオン移動、デラミネーションのような不良による信頼性低下の問題を克服することができるという点に着目して本発明を完成するに至った。
したがって、本発明の目的は、微細回路の具現の際、高信頼性を有し、絶縁材との接着効果に優れており、高速対応用低プロファイル資材として活用可能な光触媒を用いるプリント基板の無電解鍍金方法を提供することにある。
前記のような目的を達成するため、本発明は、プリント基板の鍍金方法において、(a)pH2〜7のナノTiOゾル溶液を用意する工程と、(b)前記TiOゾル溶液を基板の表面にコートした後、紫外線を照射して活性化層を形成させる工程と、(c)少なくとも1種の金属塩、少なくとも1種の還元剤、及び少なくとも1種の有機酸を含む無電解金属溶液を用意する工程と、(d)前記基板の活性化層上に前記金属鍍金溶液を接触させて無電解金属鍍金層を形成させる工程とを含んでなる光触媒を用いるプリント基板の無電解鍍金方法を提供する。
前記TiOゾル溶液は、Cr、Fe、Ni、Nb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属化合物を含み、その含量は0.05〜0.5重量%であるのが好ましい。
また、前記TiOゾル溶液のTiOの平均粒径は5〜60nmであり、前記TiOの濃度は0.05〜0.5モル%であるのが好ましい。
前記紫外線の照射量は5〜80mw/cmであり、前記紫外線の照射時間は5〜30分であるのが好ましい。
前記金属は、銅、ニッケル、コバルト、金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、鉄、アルミニウム、タンタル、窒化チタニウム、チタニウム、タングステン、窒化タンタル、窒化タングステン又はこれらの組合せからなる群から選択されるのが好ましい。尚、前記活性化層の厚さは0.05〜0.8μmであるのが好ましい。
以上のような本発明によると、TiOゾル光触媒の原理をプリント基板の金属鍍金工程に適用して、特に無電解銅鍍金工程において、絶縁材に適用される高価のPd触媒を代替し、さらに金鍍金においてもPd触媒を代替することにより、従来の工程に比べ、簡単な工程ラインにより低費用で生産効率及び品質を向上させることができる利点がある。
また、TiO光触媒特有の超親水性効果により無電解金属鍍金の接合性を向上させることができ、微細回路の具現の際、イオン移動、デラミネーションのような不良による信頼性低下の問題を解決して、高密度、高速信号に対応することができ、低プロファイル絶縁材の使用が可能な利点がある。
また、従来工程の使用による廃水発生の問題点も改善することが可能である。
以下、本発明を添付図面に基づいて具体的に説明する。
本発明は、プリント基板(PCB)の無電解金属鍍金時に行われる高価の金属触媒を用いる基板表面の活性化処理過程を、TiOゾルを用いる光触媒技術で代替することにより、微細回路の具現の際にも高信頼性を有するプリント基板の無電解鍍金方法を提供する。
本発明による鍍金方法との対比のため、図1及び図2に従来技術によるプリント基板の銅鍍金及び金鍍金工程の概略工程流れ図を示し、図3には従来技術によりプリント基板上に金鍍金層が形成された状態を示す。
図1ないし図3に基づき、従来技術によるプリント基板の鍍金方法を説明すると次の通りである。
無電解化学銅鍍金の究極の目的は、ドリル加工されたホール樹脂壁に導電膜を形成してホール内での電気銅鍍金が行えるようにすることにある。一般に、無電解化学銅鍍金はおよそ0.2〜1.2μmの厚さを有するが、電解銅鍍金により、製品の信頼性を確保し得る厚さを得る。
従来技術によるプリント基板の銅鍍金過程は、図1に示すように、(1)クリーニング(コンディショニング)→(2)ソフトエッチング→(3)プレディップ→(4)触媒活性化処理→(5)還元→(6)無電解化学銅鍍金→(7)酸処理→(8)電気銅鍍金→(9)防錆、水洗、乾燥などのようである。
ここで、(1)クリーナ及びコンディショナーによるクリーニング(コンディショニング)過程においては、基板に残存し得る有機物を除去して湿潤性を向上させ、界面活性剤を使用して表面張力を低めることにより、水溶性薬品がホールの表面によく付くようにする。また、ガラス繊維の(−)極性を除去して(+)極又は無極性に転換させ、特にコロイド形態の触媒を使用する場合、ガラス繊維に触媒が付着し易い条件を与える。
(2)ソフトエッチング過程においては、基板の表面をおよそ1μmエッチングして異物を除去することにより銅箔面と鍍金銅間の密着力を向上させるが、一般に硫酸と過酸化水素又は硫酸と過硫酸を使用して行う。
(3)プレディップ過程においては、Cu表面の薄い酸化膜を除去して、Cuイオンが触媒に流入することを防止することにより、触媒剤を保護し、触媒薬品によって目的及び薬品が異なる。例えば、コロイド(Sn−Pdタイプ)触媒を使用する場合は、pH1以下で安定であるので、水の流入によっても不安定になる。したがって、触媒処理前にpHの調整された薬品で処理して、基板に付いて入る水溶液の液性を調節することにより、すなわち液性を強酸に調節することにより、触媒剤の急激なpH変化を防止する。一方、Pd錯化合物を使用する場合は、酸化銅が存在すれば吸着ができないので、硫酸でpHを4未満に維持させ、界面活性剤を少量使用して触媒の付着性を向上させる。
(4)触媒を用いる活性化処理過程においては、樹脂上の化学銅析出反応を活性化させるために必要な触媒として、絶縁層に触媒剤を吸着させる。触媒剤としては、Pd−Snコロイド(酸性)又はPdイオン錯化合物(アルカリ:9.5≦pH≦10.5)を使用する。この過程でPdイオンを付着させるが、これを後続工程の還元過程で金属に還元させる。
(5)還元過程においては、実際に触媒として作用するPd金属を得るための工程であって、Pd−Snコロイドを使用する場合は、過量のSnを熔解、除去することにより、Sn2+が酸化するとともにPd2+が還元されて金属Pdが露出し、Pd錯化合物を使用する場合は、Pd2+が還元されて金属が析出される。
(6)無電解化学銅鍍金過程においては、下記反応式1の化学反応により銅イオンが析出される。
[反応式1]
Cu2+ + HCHO + OH → Cu金属 + HCOO + H
化学銅析出反応はPd触媒により促進されて開始される。この際、反応により生成された水素気体により反応がさらに活性化されるので、自己触媒反応とも呼ばれる。
(7)酸処理過程においては、化学銅鍍金過程を経た基板を酸で中和させて、電気銅鍍金液と同一の液性を有するようにする。
(8)電気銅鍍金過程においては、一般にその基本液組成を、Cu2+;鍍金液の伝導度を向上させるためのHSO;鍍金促進剤の役割をし、溶解性アノードの場合、ブラックフィルムの形成に役立つCl;鍍金成長を促進させるための光沢剤;鍍金成長を抑制するための平滑剤などで構成して電解銅鍍金を行う。
(9)防錆過程は必要に応じて行える工程で、鍍金された銅表面の酸化を防止するための工程である。最終に、乾燥過程は、通常150±20℃の温度で30分〜1時間行う。
一方、従来技術によるプリント基板の金鍍金過程は、図2に示すように、(1)クリーニング(50〜60℃)→(2)温水洗(35〜45℃)→(3)酸洗→(4)ソフトエッチング→(5)プレディップ→(6)活性化処理→(7)Ni鍍金→(8)Au−ストライク→(9)Au鍍金→(10)湯洗(65〜75℃)→(11)2段温水洗(35〜45℃)→(12)乾燥(90〜100℃)→(13)厚さ/密着力検査(Au/Ni厚さ−XRF測定器)→(14)外見検査(拡大鏡)などの工程で行われる。
この過程の主要工程として、(1)クリーニング過程においては、プリント基板の加工時の汚染物を除去し(SR残渣、Cu表面のCuO熔解)、プリント基板表面の親水性を向上させる。
(3)酸洗過程においては、前処理過程で残留する界面活性剤成分を中和し、後続工程のソフトエッチング過程が迅速に処理できるようにプリント基板の表面を調整し、15〜45ml/Lの濃度を有するHSO溶液で実施する。
(4)ソフトエッチング過程においては、プリント基板の加工時に汚染したCu表面を熔解、除去し、Cu表面の酸化皮膜を除去し、プリント基板のCu表面を均一に熔解して、後続の活性化処理過程でPdが均一に付着するようにし、無電解Ni鍍金の密着性を向上させるが、通常20〜30℃の温度で15〜35ml/Lの硫酸、10g/L以下のCuで実施する。
(5)プレディップ過程においては、後続工程の活性化処理過程での活性化浴の安定性を維持し、前工程の不純物(Cu、硫酸など)、水分の混入を防止するが、通常pH4.5〜5.5で行われる。
(6)活性化処理過程はプリント基板のCu表面に選択的にPd触媒を付与するための工程であるが、PSR部分に付着すると、EL−Niブリッジ広がりにより不良が発生する欠点がある。通常、25〜35℃の温度、Pd濃度70〜90mg/L、Cu濃度50ppm以下、pH3.2〜3.5の条件下で行う。
(7)Ni鍍金過程は、通常、77〜83℃、ニッケルイオン濃度4.3〜5.0g/L、pH4.5〜4.7の条件下で行う。
(8)Au−ストライク過程は、通常、82〜88℃、Auイオン濃度0.8〜1.4g/L、pH4.8〜6.0の条件下で行う。
(9)Au鍍金過程は、通常、82〜88℃、Auイオン濃度3.6〜4.4g/L、pH4.5〜4.7の条件下で行う。
一方、無電解鍍金は、電着性が均一であり、多量で同時に鍍金が可能であり、不導体素材にも良好な密着性を有する。また、耐熱性及び半田性(solderability)に優れ、金属及び非金属の両方に鍍金が可能であり、精度が高く、廃水処理問題を解決することができる利点がある。
通常、表面張力の高い鍍金液は溝になかなか入らないから、脱脂や鍍金がうまく出来上がらなく、鍍金液が付いて出易く、逆に、表面張力の低い鍍金液は溝又は孔によく入るので、脱脂及び鍍金がうまく出来上がり、付いて出る鍍金液の量も少ない。したがって、鍍金液の表面張力を低下させるため、鍍金過程に界面活性剤(表面活性剤)を使用することが好ましい。
前記Ni/Au鍍金の原理を表すと、下記の反応式2及び反応式3の通りである。
[反応式2]
Cu+Pd2+ → Cu2++Pd
[反応式3]
Ni−(P)+Au → Ni2++Au:置換反応
ここで、Ni鍍金は、図3に示すように、銅鍍金層と金鍍金層間の相互拡散防止のために行われる。
このような従来技術の背景を基にして、本発明は、プリント基板の工程において、無電解金属鍍金(例えば、無電解銅鍍金及び/又は無電解金鍍金)処理の際、絶縁材に添加する高価の金属触媒(例えば、Pd)の代わりに、TiOゾルを導入した光触媒技術を用いて代替しようとする。既存に使用されるPd金属触媒は単価が高いだけでなく、微細回路の具現の際、製品の信頼性面でいろいろの問題点(イオン移動、デラミネーション)が予想されるので、このような問題点を光触媒の導入で解決しようとする。
光触媒(photocatalyst)は光(photo=light)+触媒(catalyst)を促進させて、細菌及び汚染物質を分解させる半導体物質である。
光触媒は、1970年代初、フジシマとホンダが、TiO単結晶電極に光を照射すると、光酸化反応と光還元反応により、水が水素と酸素に分離されるという事実を発表して以来、多様な分野で活発な研究が急速に進んでいる。
特に、光触媒としては、図4に示すようなアナターゼ又はルチル結晶型のTiO、特にアナターゼ結晶型のTiOが用いられる。これは、光励起反応を引き起こすのに必要なエネルギーが387.5nm(理論値)程度であって、太陽光から十分なエネルギーを受けることができ、化学的に安定し、光活性に優れ、人体に無害な点など、その物性に優れているからである。前記TiOは、3.0〜3.2eVのエネルギーに対応する400nm以下の短波長に相当するエネルギーが照射されると、価電子帯の電子が伝導帯に励起される半導体特性を有する物質である。特に、光の照射により発生した電子と正孔がTiOの表面に移動して再結合するか、あるいは吸着された物質と酸化−還元反応を起こす。
このような特性を有するTiOは、空気浄化、大気浄化、汚水及び廃水処理、親水−防汚製品、抗菌製品、耐久性強化紫外線遮断用製品などに適用して、優れた要求性能が得られることが知られている。また、TiOゾルを用いて表面処理した基材上に水をコートすると、TiOゾルによる表面処理効果のため、TiO特有の超親水性により水分子の接触角が減少して水滴形成現象がなくなって透明に見え、これにより濡れ性がかなり向上される。さらに、基材上に埃、汚染物質、異染物質などが付かなく、水滴とともに洗い落とされるため、乾燥後にも汚い跡、汚染物質などが表面に残らない。
特に、TiOは化学的に安定であり、光活性に優れ、価格が低い特性がある。通常に使用するTiOの性状は、下記の表1に示すように、二つに大別可能である。そのうち、TiOゾルは、既存に多く使用されている光触媒粉末に比べ、脱臭、抗菌性に優れており、大気汚染防止システム及びプリント基板の絶縁材の表面にコートしても透明度がそのまま維持されるだけでなく、維持補修が容易な利点がある。
[表1]
Figure 0004145884
このようなTiO光触媒の製造方法としては、代表的に熱加水分解法(hydrothermal method)及びゾル−ゲル方法(sol-gel method)などがある。特に、ゾル形態においては、量子サイズ効果(quantum size effect)により半導体粒子のサイズが10nm以下に非常に小さくなると、バルク状態よりバンドギャップ(Band Gap)が広くなり、表面積/容積の比が増大して吸着部が増大し、生成された電子と正孔の界面到達拡散距離が減少して光触媒反応の効率が増大する特性がある。
したがって、本発明者らは、TiOゾルをプリント基板の鍍金工程に適用することにより、プリント基板の品質を数等向上させることができるだけでなく、このような技術が次世代の核心技術であって、世界市場に備えることが可能であると考えた。
本発明において、前記TiOゾルを使用することにより得られる利点としては、大きな比表面積により十分な光反応が可能であり、従来では、粉末を使用する場合は溶液に作る2次工程が必要であるが、本発明ではゾル状態で2次工程なしでそのまま適用することができ、使用条件を適宜調節して粒子の沈殿現象なしで溶液内に均等に分散させることにより、プリント基板の絶縁材への適用の際、均等に分散、分布させることができるなどの利点がある。
また、本発明においては、既存のアナターゼのほかにもルチル結晶型を使用することができる。この際、TiOとHOとの酸化反応は水酸化ラジカルを、Oとの還元反応はスーパーオキサイドを生成し、このような生成物は光触媒反応において重要な役割をする。さらに、2次副産物の発生なしで常圧で活用可能な利点のほかに常温で反応が起こるので、エネルギーが少なく消耗される利点がある。
前述したようなTiOゾルの特性を用いて、本発明はつぎのような工程に従って特定の条件下でプリント基板の無電解金属鍍金を行う。
まず、pHがおよそ2〜7のTiOゾル溶液を基板の表面にコートした後、紫外線を照射して活性化層を形成させる。
前記TiOコーティングの製造方法としては、ゾル−ゲル法を用いるコーティング法、スピンコーティング法、真空装置を用いるCVD法、スパッタリング法など、当該分野に知られている方法であれば、特に限定されなく使用可能であるが、好ましくはゾル−ゲル法を使用する。
本発明に使用されるTiOゾル溶液のTiOの平均粒径は5〜60nm、好ましくは10〜50nmである。前記TiOの平均粒径が5nm未満の場合は、製造し難くて経済的に不利な欠点があり、60nmを超える場合は、コーティング後の透明性及び光活性が低下する欠点がある。
前記TiOゾル溶液のTiOの濃度は0.05〜0.5モル%、好ましくは0.1〜0.4モル%である。前記TiOの濃度が0.05モル%未満の場合は、透明性に優れているが、薄膜の厚さが薄いだけでなく、部分的にコーティング効果が低下して信頼性低下の問題が生じ、0.5モル%を超える場合は、不透明なコーティングとなり、光学特性にも劣る欠点がある。
前記TiOゾル溶液のpHはおよそ2〜7、好ましくはおよそ3〜6である。前記TiOのpHが2未満の場合は、相対的に凝集現象が強く発生して沈殿を生成させる欠点があり、7を超える場合は、分散性に優れているが、相対的に光特性が低下する欠点がある。
前記紫外線の照射量は5〜80mw/cm、好ましくは10〜70mw/cmであることがよい。前記紫外線の照射量が5mw/cm未満の場合、活性化度が低下し、触媒現象が急激に低下する欠点がある。反面、80mw/cmを超える場合は、絶縁材の高分子鎖が壊れて材料特性の低下のみならず脆性的現象も発生する欠点がある。
前記紫外線の照射時間は5〜30分が好ましいが、前記範囲を外れる場合、膜のコーティング性が良くなくて光学特性が低下する欠点がある。
一方、前記TiOゾル溶液には、相対的に小さい粒径を維持して光効率を増大させ、特に可視光線領域でTiOの光効率を向上させるため、Cr、Fe、Ni、Nb及びVからなる群から選択された少なくとも1種が遷移金属化合物のイオン形態で添加可能である。
本発明の一具体例によると、V5+が前記ゾル溶液に添加される場合、数nmの微細粒子が単分散された形態として存在して相対的に低い結晶性を表す。また、Fe3+、Ni2+、Nb5+などの遷移金属イオンが添加される場合、純粋なTiOゾル溶液に比べ、ゼータ電位が上昇することから、金属イオンの添加によりゾル溶液がさらに安定化することが分かる。
また、遷移金属イオンの添加によるTiOゾルの光吸収度の変化を調べると、遷移金属化合物の添加により、純粋TiOゾルの光吸収領域に比べ、長波長の可視光線領域に光吸収がシフトされるので、長波長に相当するバンドギャップエネルギーを表す。
ここで、前記遷移金属化合物の含量は0.05〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%がよい。前記含量が0.05重量%未満の場合は、遷移金属の添加による物性的特性が十分に発現されなく、光特性の向上効果も得られない。一方、0.5重量%を超える場合は、前記遷移金属が複合物形態をなして、一部はイオン形態として存在するが、一部は複合物として残って沈殿が生じ、光特性が低下する欠点がある。
前述したように形成された活性化層の厚さは0.05〜0.8μmがよい。前記活性化層の厚さが0.05μm未満の場合は、透明性には優れているが、コーティング性に劣り、部分的に光特性を表し得ない欠点がある。反面、0.8μmを超える場合は、透明性が高くなり、相対的に光特性に劣る欠点がある。
次いで、前記基板の活性化層上に、当該分野の公知技術に従い、少なくとも1種の金属塩、少なくとも1種の還元剤、及び少なくとも1種の有機酸を含む通常の無電解金属鍍金溶液を接触させて無電解金属鍍金層を形成させる。
本発明のプリント基板の金属鍍金に適用される金属としては、無電解鍍金が可能な金属であればどんなものであっても使用可能である。無電解鍍金の可能な金属としては、銅、ニッケル、コバルト、金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、鉄、アルミニウム、タンタル、窒化チタニウム、チタニウム、タングステン、窒化タンタル、窒化タングステン又はこれらの組合せが挙げられる。最適の例としては、銅又はニッケル/金が無電解鍍金される。
本発明によると、無電解金属鍍金の可能な表面、又は既に無電解鍍金された表面を少なくとも部分的に有するプリント基板であれば、どんなものであっても本発明の鍍金方法により金属を鍍金することができる。無電解金属鍍金に適した表面材質の例としては、通常の絶縁樹脂だけでなく、アルミニウム、窒化チタニウム、窒化タンタル、タングステン、銅、シリコン、コバルト、ニッケル、ロジウム、パラジウム又はこれらの組合せが挙げられる。
また、本発明の鍍金方法は、層間にインターコネクタを提供して(例えば、プラグ及びビア)接触させるなどのように、金属を電子部品の表面に鍍金するのに特に有用である。好ましい適用として、銅を予備鍍金して、後続の銅電解鍍金を可能にすることもできる。
前述したような本発明の鍍金方法が適用される好ましい具体例として、無電解銅鍍金及び無電解Ni/Au鍍金に適用した場合の概略的な工程流れを図5及び図6にそれぞれ示す。
ここで、注目すべき点は、従来技術の金属鍍金過程において、金属触媒を用いる活性化処理の代わりに、TiOゾルを導入した光触媒技術を適用することにより、銅鍍金工程の場合、図1に示す従来技術の銅鍍金工程のうち、矢印で包括的に示す4段階(プレディップ/活性化処理/3段水洗/還元)の過程をTiOゾルコーティング段階の1過程で代替可能であるという点である。同様に、金鍍金工程の場合にも、図2に示す従来技術の金鍍金工程のうち、矢印で包括的に示す3段階(ソフト−エッチング/プレディップ/活性化処理)の過程をTiOゾルコーティング段階の1過程で代替することにより、より簡単な工程ラインを構築して生産速度及び効率を極大化することができる利点がある。
本発明の一具体例による金鍍金方法によりプリント基板に金鍍金層が形成された状態を、従来技術の場合(図3)に対比して図7に示す。
本発明によると、無電解鍍金処理(無電解鍍金前、絶縁材上に、又はレーザ加工(デスミア含み)後、ビア内側に光触媒の原理を適用)、及び金鍍金処理(金鍍金前、銅回路に光触媒の原理を適用)の前に、絶縁材上に、レーザ加工後(デスミア含み)のビア又は金鍍金処理前、Cu回路にTiOゾル光触媒の原理を適用した後、後続の工程を開始することができる。これにより、既存のPd触媒を使用する場合に比べ、低費用で高密着力及び高信頼性の微細回路を具現することができる。
本発明は、本発明の技術的思想又は保護範囲内で当該分野の通常の知識を有する者によって多様に変形及び改良可能なものである。したがって、本発明の単純な変形ないし変更は全て本発明の範囲に属するもので、本発明の具体的な保護範囲は特許請求の範囲によって決められるものである。
従来技術によるプリント基板の銅鍍金工程を概略的に示すフローチャートである。 従来技術によるプリント基板の金鍍金工程を概略的に示すフローチャートである。 従来技術によりプリント基板上に金鍍金層が形成された状態を示す断面図である。 本発明で光触媒として使用されるTiOのアナターゼ及びルチル結晶の構造をそれぞれ示す図である。 本発明の一具体例によるプリント基板の銅鍍金工程を概略的に示すフローチャートである。 本発明の一具体例によるプリント基板の金鍍金工程を概略的に示すフローチャートである。 本発明によりプリント基板上に金鍍金層が形成された状態を示す断面図である。

Claims (11)

  1. プリント基板の鍍金方法において、
    (a)pH2〜7のナノTiOゾル溶液を用意する工程と、
    (b)前記TiOゾル溶液を樹脂基板の表面にコートした後、紫外線を照射して活性化層を形成させる工程と、
    (c)少なくとも1種の金属塩、少なくとも1種の還元剤、及び少なくとも1種の有機酸を含む無電解金属溶液を用意する工程と、
    (d)前記基板の活性化層上に前記金属鍍金溶液を接触させて無電解金属鍍金層を形成させる工程とを含んでなることを特徴とする光触媒を用いるプリント基板の無電解鍍金方法。
  2. 前記TiOゾル溶液は、Cr、Fe、Ni、Nb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の無電解鍍金方法。
  3. 前記TiOゾル溶液中の遷移金属化合物の含量は0.05〜0.5重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無電解鍍金方法。
  4. 前記TiOゾル溶液のTiOの平均粒径が5〜60nmであることを特徴とする請求項1に記載の無電解鍍金方法。
  5. 前記TiOゾル溶液のTiOの平均粒径が10〜50nmであることを特徴とする請求項4に記載の無電解鍍金方法。
  6. 前記TiOゾル溶液のTiOの濃度が0.05〜0.5モル%であることを特徴とする請求項1に記載の無電解鍍金方法。
  7. 前記TiOゾル溶液のpHが3〜6であることを特徴とする請求項1に記載の無電解鍍金方法。
  8. 前記紫外線の照射量が5〜80mw/cmであることを特徴とする請求項1に記載の無電解鍍金方法。
  9. 前記紫外線の照射時間が5〜30分であることを特徴とする請求項1に記載の無電解鍍金方法。
  10. 前記金属が、銅、ニッケル、コバルト、金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、鉄、アルミニウム、タンタル、窒化チタニウム、チタニウム、タングステン、窒化タンタル、窒化タングステン又はこれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の無電解鍍金方法。
  11. 前記活性化層の厚さが0.05〜0.8μmであることを特徴とする請求項1に記載の無電解鍍金方法。
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