JP2615974B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム

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JP2615974B2 JP1035119A JP3511989A JP2615974B2 JP 2615974 B2 JP2615974 B2 JP 2615974B2 JP 1035119 A JP1035119 A JP 1035119A JP 3511989 A JP3511989 A JP 3511989A JP 2615974 B2 JP2615974 B2 JP 2615974B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムに関し、と
くに磁気テープ用ベースフィルム、包装用、各種産業資
材用フィルムとして好適な、耐スクラッチ性や耐摩耗性
に優れた二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
[従来の技術] 先に本出願人により、包装用、コンデンサ用あるいは
磁気テープ用ベースフィルムとして、平均粒径0.05〜2.
0μm、モース硬度7以上の粒子を含有させた二軸配向
ポリエステルフィルムが提案されている(特開昭63−23
0741号公報)。このフィルムにおいては、硬い粒子を含
有させることにより、フィルム表面の耐摩耗性を向上し
つつ、該粒子の粒径を比較的大きなものとすることによ
り、フィルム加工時や製品としたときの良好な滑り性、
走行性を確保するようにしている。
[発明が解決しようとする課題] ところが、ポリエステルフィルム、とくに磁気テープ
用ベースフィルムや高い機械的特性が要求される包装用
フィルムとして使用される二軸配向ポリエステルフィル
ムには、さらに高い耐摩耗性、さらに優れた耐スクラッ
チ性が要求されてきており、上記特開昭63−230741号公
報提案のフィルムでは、未だ十分とはいえなくなってき
た。
たとえば、各種工程等の速度増大に伴い、工程中にあ
る各種高速ロールと接触してもフィルム表面に傷が付か
ないだけの高い耐スクラッチ性が要求されつつあるが、
上記提案フィルムの如く単に比較的粒径の大きな硬い粒
子を含有させるだけでは、該粒子によりフィルム表面上
に突起状に突出する部分については硬度が高められ耐摩
耗性は向上されるものの、フィルムの地肌(上記突出部
以外の表面部)自身については補強されないため、この
地肌部分にかき傷が入るおそれがある。
また、地肌部分が補強されない結果、フィルム表面部
にある、耐摩耗性向上のための粒子の保持力が十分とは
いえず、接触するロール等から受ける外力によって粒子
部がフィルム粉として削られるおそれがあり、該削れが
生じると、それがロール表面等に付着し該付着物によっ
てさらにフィルム表面が傷付けられるとともに、脱落フ
ィルム粉が異物となって、各種加工工程の外乱となった
り、製品自身の性能を低下させたりするおそれがある。
本発明は、上記のような問題点に着目し、二軸配向ポ
リエステルフィルムの表面の耐スクラッチ性および削れ
等に対する耐摩耗性をさらに向上することを目的とす
る。
[課題を解決するための手段] この目的に沿う本発明の二軸配向ポリエステルフィル
ムは、モース硬度がともに6以上の不活性粒子A、Bを
含有し、粒子Aは、平均粒径d1が10〜500nm、含有量が
0.2〜2.0重量%、粒子Bは平均粒径d2が300〜1500nmで
かつ前記粒子Aの平均粒径d1よりも大、含有量が0.005
〜0.15重量%であり、さらにフィルム表面に形成される
突起の高さ分布の標準偏差が250nmよりも小さいことを
特徴とするものから成る。
本発明におけるポリエステルは、エチレンテレフタレ
ート、エチレンα・β−ビス(2−クロルフェノキシ)
エタン−4、4′−ジカルボキシレート、エチレン2,6
−ナフタレート単位から選ばれた少なくとも一種の構造
単位を主要構成成分とする。ただし、本発明を阻害しな
い範囲内、好ましくは15モル%以内であれば他成分が共
重合されていてもよい。
また、エチレンテレフタレートを主要構成成分とする
ポリエステルの場合に耐スクラッチ性がより良好となる
ので特に望ましい。
本発明のフィルムには、二種の不活性粒子A、Bが含
有される。
粒子A、Bともに、モース硬度は6以上である。粒子
Aは、比較的平均粒径の小さな粒子であり、主としてフ
ィルムの地肌部分を補強するが、モース硬度6未満では
この補強効果が小さくなり、望ましい耐スクラッチ性向
上効果が得られない。また、この地肌補強効果が小さい
と、粒子Bあるいは粒子Bによって形成されるフィルム
表面突起部が、地肌部との結合力が小さくなって削りと
られやすくなるので、フィルム地肌を十分に補強するこ
とが望ましく、この点からも粒子Aのモース硬度は6以
上とされる。粒子Bは、粒子Aよりも平均粒径の大きな
粒子であるから、粒子Bによって形成されたフィルム表
面突起は、粒子Aによって形成されたフィルム表面突起
よりも平均的に高くなり、該粒子Bにより形成されたフ
ィルム表面突起が主にロール等に接触することになる。
したがって、この粒子Bにより形成されるフィルム表面
突起が柔らかすぎると、フィルム表面が削られやすくな
って耐摩耗性が低下するので、望ましい耐摩耗性を得る
ために粒子Bのモース硬度は6以上とされる。
粒子Aは、平均粒径d1が10〜500nmの比較的小さな粒
子である。平均粒径がこの範囲よりも小さいと、フィル
ム地肌部の硬度向上効果、補強効果が薄れ、耐スクラッ
チ性が不良となるので好ましくない。また、平均粒径が
上記範囲よりも大きいと、粒子の分布が粗くなりすぎ、
フィルム地肌補強効果が薄れ、粒子Bあるいは粒子Bに
より形成されたフィルム表面突起を保持する強度が低下
し、粒子Bあるいはそれによるフィルム表面突起が削ら
れやすくなる。また、粒子Aによるフィルム表面突起自
身についても削られる機会が増大するので好ましくな
い。
また粒子Aの含有量は0.2〜2.0重量%の範囲に調製さ
れる。この範囲よりも少ないと、粒子A含有によるフィ
ルム地肌補強効果が薄れ、望ましい耐スクラッチ性が得
られない。この範囲よりも多いと、含有物が多くなりす
ぎるので構造的に脆くなるおそれがあり、フィルム自身
が削り取られやすくなったり、含有粒子が脱落しやすく
なったりするので好ましくない。
粒子Bは、平均粒径d2が300〜1500nmの比較的大きな
粒子であり、かつ、その平均粒径d2は粒子Aの平均粒径
d1よりも大きく設定される(d2>d1)。この粒子Bは、
比較的大きな粒子であるため、該粒子によって形成され
るフィルム表面突起の高さを、粒子Aによるものよりは
高くでき、その部分の表面粗さを粗くできる。粗くなる
と、摩擦係数を低減できるので、結果的にフィルム表面
の耐スクラッチ性が良くなるが、平均粒径d2が上記範囲
よりも小さいと、フィルム表面を粗くする効果が小さく
なり、その分耐スクラッチ性が悪くなるので、好ましく
ない。逆に上記範囲よりも大きいと、粒子B自身あるい
は粒子Bにより形成された表面突起部分が削りとられや
すくなるので、好ましくない。
粒子Bの含有量は0.005〜0.15重量%の範囲に調製さ
れる。この範囲よりも少ないと、粒子B含有による摩擦
係数低減効果が薄れるので、望ましい耐スクラッチ性が
得られない。逆に上記範囲よりも多いと、粒子Bあるい
は粒子Bによるフィルム表面突起部分が多くなりすぎ、
削りとられやすくなるので、好ましくない。
粒子Aと粒子Bとの関係において、平均粒径d1とd2
の大小関係については前述の如くd2>d1とされる。d1
d2であると、上記粒子Aによるフィルム地肌補強と粒子
Bによるフィルム表面摩擦係数低下の機能が逆転する
が、そうなると前記含有量では前述の如く不都合が生じ
る。つまり、本発明においては、d1およびd2の採り得る
範囲は重複しているものの、粒子Aの含有量および粒子
Bの含有量をそれぞれ所定範囲に収めることを前提とし
て、d1<d2とすることが必要である。
また、モース硬度については、粒子Aのモース硬度−
粒子Bのモース硬度>1であることが好ましく、この差
を2以上とることがより好ましい。この差を大きくとる
ことにより、粒子Aはより硬くなる傾向となるので、フ
ィルム地肌補強効果が向上される。粒子Bについては、
モース硬度6以上とされる限り必要なフィルム表面の耐
摩耗性が確保される。
本発明のフィルムにおいては、表面突起の高さ分布の
標準偏差σが250nmより小さいことが必要である。高さ
の高い表面突起は、平均粒径の大きな粒子Bによって形
成されるが、高い突起が多いとそれだけ削りとられやす
くなる。σの測定法については後述するが、現実の測定
においては突起が粒子A、Bのいずれかによって形成さ
れたものかは判定しにくいので、ある表面部分について
全ての突起について測定された分布の標準偏差で規定す
ることが有効であり、σ<250nmとすることによって望
ましい耐摩耗性が得られる。このような突起の高さ分布
の標準偏差は、たとえば溶融製膜のキャスト工程におけ
るドラフト比の適正化により達成できる。
不活性粒子A、Bの具体的な材質としては、上述の要
件を満たす限り特に限定されないが、ポリエステルとの
親和性の良いものが好ましい。親和性が良いと、含有さ
れる粒子が凝集しにくいため容易に均一分散され、ま
た、フィルム母材との結合力を高く保持できるため粒子
あるいは粒子により形成されたフィルム表面突起が削り
とられにくくなる。そのような不活性粒子として、粒子
Aの材質については、たとえばジルコニア、窒化チタ
ン、α−アルミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナが挙げ
られ、粒子Bの材質については、たとえばシリカ、α−
アルミナ、ルチル型二酸化チタンが挙げられる。
本発明は上記組成物を主成分とするが、本発明の目的
を阻害しない範囲内で他種ポリマをブレンドしても良い
し、また酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤な
どの無機または有機添加剤が通常添加される程度添加さ
れていてもよい。
本発明フィルムは上記組成物を二軸配向せしめたフィ
ルムである。未延伸フィルム、一軸配向フィルムでは、
耐スクラッチ性が不良となり、粒子あるいは粒子により
形成されたフィルム表面突起が脱落しやすくなるので好
ましくない。
また、その二軸配向の程度を表わす面配向指数は特に
限定されないが、0.935〜0.975、特に0.940〜0.970の範
囲である場合に耐スクラッチ性、耐摩耗性がより一層良
好となるので望ましい。また、本発明フィルムの密度指
数は、0.02〜.05の範囲である場合に耐スクラッチ性、
耐摩耗性がより一層良好となるので特に望ましい。
また、本発明フィルムは、幅方向の表面平均粗さRaが
0.005〜0.030μm、特に0.007〜0.025μmの範囲にある
場合に耐スクラッチ性がより一層良好となるので特に望
ましい。
本発明におけるフィルムの摩擦係数μKが0.20〜0.35
の範囲にある場合に、耐スクラッチ性がより一層良好と
なるので特に望ましい。
また、本発明のフィルムの表面固有抵抗が1×1015Ω
・cmよりも小さい場合に耐スクラッチ性、耐摩耗性が一
層良好となるので特に望ましい。この値以上になると、
仮にフィルム粉が削りとられた場合、該フィルム粉が静
電気等により塊状になりやすくなり、塊状になったフィ
ルム粉がフィルム面を傷付けやすくなるので、好ましく
ない。
次に本発明フィルムの製造方法について説明する。
まず、所定のポリエステルに不活性粒子A、Bを含有
せしめる方法としては、重合前、重合中、重合後のいず
れに添加してもよいが、ポリエステルのジオール成分で
あるエチレングリコールに、スラリーの形で混合、分散
せしめて添加する方法が有効である。また、粒子の含有
量を調節する方法としては、高濃度のマスターペレット
を製膜時に稀釈する方法が有効である。粒子A、Bを用
いて、高濃度、好ましくは1〜5重量%のマスターペレ
ットの溶融粘度、共重合成分を調整して、ガラス転移点
Tgと冷結晶化温度Tccとの差(Tcc−Tg)を、65〜110
℃、とくに75〜100℃にしておくことが、きわめて有効
である。
また、不活性粒子A、Bは、エチレングリコールに分
散させたスラリーを重合反応前、または重合反応中に添
加するのが本発明範囲の平均粒径を得るのに有効であ
る。
なお、本発明においては、不活性粒子A、Bをそれぞ
れ別に含有する高濃度マスターのポリエステルを製造し
てもよいが、重合時あるいはマスターペレット製造時に
予め所定の混合比で粒子A、Bを高濃度で入れておき、
作成されたマスターペレットをフィルム製造段階で他の
チップ、ペレットにより稀釈して所定の濃度にする方法
が最も好ましい。
かくして、所定量の不活性粒子A、Bを含有するポリ
エステルペレットを十分乾燥させた後、公知の溶融押出
機に供給し、270℃〜330℃でスリット状のダイからシー
ト状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せし
めて未延伸フィルムを作る。この未延伸フィルムを作る
場合、キャスト時のドラフト比(口金のスリット幅/未
延伸フィルムの厚み)は、16倍以上の高い値であること
が好ましい。高ドラフトキャストを行なうと粒子が表層
部へ集中するという特異な現象が起こり、粒子A、Bに
それぞれねらった機能を発揮させやすくなる。さらに、
粒子の表層部への集中によりフィルム表面の突起高さの
標準偏差が小さくなるため、このような高ドラフトキャ
ストを行なうことが本発明において特に有効である。
次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し二軸配向せしめ
る。延伸方法としては、逐次二軸延伸法、または同時二
軸延伸法を用いることができる。逐次二軸延伸法の場合
は長手方向、幅方向の順に延伸するのが一般的である
が、この順を逆にして延伸してもよい。二軸延伸の条件
は延伸方法、ポリマの種類などによって必ずしも一定で
はないが、通常長手方向、幅方向ともに80〜160℃、好
ましくは90〜150℃の範囲で、延伸倍率はそれぞれ3.0〜
5.0倍、好ましくは3.2〜4.5倍の範囲が、また延伸速度
は1000〜70,000%/分の範囲が好適である。
次にこの延伸フィルムを熱処理する。熱処理条件は定
長下、および幅方向に1〜15%、好ましくは2〜10%の
弛緩下で、また、幅方向に1.01〜1.2倍、好ましくは1.0
5〜1.15倍微延伸下で、150〜230℃、好ましくは170〜22
0℃の範囲で0.5〜60秒間が好適である。
[作用] 上記の如き本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに
おいては、平均粒径d1が小さく、モース硬度が6以上と
高く、かつ含有量の多い粒子Aによって、フィルム地肌
部が十分に補強され、耐スクラッチ性が大幅に向上され
つつ、平均粒径d2が大きく、モース硬度が6以上で、か
つ含有量の少ない粒子Bによってフィルムの表面が粗く
され、摩擦係数が下げられて一層スクラッチ性が向上さ
れるとともに、フィルム表面に形成された粒子Bによる
突起も十分に硬く保たれ、耐摩耗性が向上される。ま
た、粒子Aによりフィルム地肌が補強される結果、粒子
Bあるいは粒子Bにより形成されるフィルム表面突起の
保持力も増大されるので、それらが削りとられにくくな
り、耐摩耗性が一層向上される。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法] 本発明の特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は
次の通りである。
(1)粒子の含有量(重量%) ポリエステル1gをプラズマ装置で灰化させ、原子吸光
分析装置(たとえば島津製作所製AA−680型)を用いて
ポリエステル中の各元素の量を定量し、その元素からな
る粒子の量を粒子の分子量から換算して、重量%として
求める。尚、粒子の化学組成はX線回折などの方法で知
ることができる。
また、必要に応じて、螢光X線分析法や、熱分解ガス
クロマトグラフィー、赤外線吸収、ラマン散乱などを用
いて定量することもできる。
(2)粒子の平均粒径(nm) 粒子を含有したフィルムを、フィルム平面に垂直に厚
さ1000Åの超薄切片とし、透過型電子顕微鏡(例えば日
本電子製JEM−1200EXなど)を用いて粒子を観察し、100
視野について平均した値を平均粒径とした。但し、ここ
で、平均粒径とは一次粒子の平均粒径であり、粒子が凝
集状態にある場合でも個々の一次粒子の実効径から求め
たものをいう。
(3)モース硬度 フィルムに添加する粒子と同じ組成、構造をもった試
験片を測定し、または粒子に粉砕する前の鉱物を試験片
とし、モース硬度測定用の標準鉱物を互いに引っかい
て、引っかきが行われるかどうかで硬さ数を0.1の単位
まで測定する。
(4)表面突起の高さ分布の標準偏差 2検出器方式の走査型電子顕微鏡[ESM−3200、エリ
オニクス(株)製]と断面測定装置[PMS−1、エリオ
ニクス(株)製]においてフィルム表面の平坦面の高さ
を0として走査したときの突起の高さ測定値を画像処理
装置[IBAS2000、カールツァイス(株)製]に送り、画
像処理装置上にフィルム表面突起画像を再構築する。次
に、この表面突起画像で突起部分を2値化して得られた
個々の突起の面積から円相当径を求めこれをその突起の
平均径とする。また、この2値化された個々の突起部分
の中で最も高い値をその突起の高さとし、これを個々の
突起について求める。この測定を場所をかえて500回繰
返し、測定された突起についてその高さ分布を正規分布
(高さ0の点を中心とする正規分布)とみなして最小2
乗法で近似して高さ分布の標準偏差を求めた。また走査
型電子顕微鏡の倍率は、1000〜8000倍の間を選択する。
(5)面配向指数 ナトリウムD線(波長589nm)を光源としてアッベ屈
折率計を用いて、二軸配向フィルムの厚さ方向の屈折率
(Aとする)および溶融プレス後10℃の水中へ急冷して
作った無配向(アモルファス)フィルムの厚さ方向の屈
折率(Bとする)を測定し、A/Bをもって面配向指数と
した。マウント液にはヨウ化メチレンを用い、25℃、65
%RHにて測定した。
(6)ガラス転移点Tg、冷結晶化温度Tcc パーキンエルマー社製のDSC(示差走査熱量計)II型
を用いて測定した。DSCの条件は次の通りである。すな
わち、試料10mgをDSC装置にセットし、300℃の温度で5
分間溶融した後、液体窒素中で冷却する。この急冷試料
を10℃/分で昇温し、ガラス転移点Tgを検知する。さら
に昇温を続け、ガラス状態からの結晶化発熱ピーク温度
をもって冷結晶化温度Tccとした。ここで、TccとTgの差
(Tcc−Tg)を△Tc gと定義する。
(7)密度指数 n−ヘプタン/四塩化炭素からなる密度勾配管を用い
て測定したフィルムの密度をρ(g/cm3)とし、この
フィルムを溶融プレス後、10℃の水中へ急冷して作った
無配向(アモルファス)フィルムの密度ρとの差(ρ
−ρ)をもって密度指数とした。
(8)摩擦係数μk テープ走行性試験機TBT−300型[株式会社横浜システ
ム研究所製]を使用し、20℃、60%RH雰囲気で走行さ
せ、初期のμk(摩擦係数)を下記の式より求めた。
μk=0.733log(T1/T0) ここで、T0は入側張力、T1は出側張力である。ガイド
径は6mmφであり、ガイド材質はSUS27(表面粗度0.2
S)、巻き付け角は180゜、走行速度は3.3cm/秒である。
(9)表面固有抵抗 超絶縁計[川口電機製作所株式会社製]VE−40型を使
用して測定した。
(10)耐スクラッチ性 テープ走行試験機TBT300D/H型[株式会社横浜システ
ム研究所]を使用し、フィルムを幅1/2インチのテープ
状にスリットし、張力30g、走行速度250m/分で、ビデオ
カセットのテープガイドピン(表面粗さがRtで2500nm程
度の表面を持ったステンレス製ガイドピン)上を巻付角
60゜で60m走行させ、その時につく傷の量を次の基準に
したがい目視で判定した。
まったく傷のないもの………5点 浅い傷のあるもの……………3点 深い傷のあるもの……………1点 また、5点と3点の中間を4点、3点と1点の中間を
2点とした。この時、3点以上を耐スクラッチ性良好、
3点未満を耐スクラッチ性不良とした。
この時の判定で3点未満のフィルムは、フィルムの加
工時や製品としたときの走行時にフィルム表面が摩耗し
て深い傷が発生するため、製品の品質が著しく悪くな
る。
(11)耐削れ性 フィルムを幅1/2インチにテープ状にスリットしたも
のに片刃を垂直に押しあて、さらに0.5mm押し込んだ状
態で20cm走行させる(走行張力:500g、走行速度:6.7cm/
秒)。この時片刃の先に付着したフィルム表面の削れ物
の高さを顕微鏡で読みとり、削れ量とした(単位はμ
m)この削れ量の両面の平均値が5μm以下の場合は耐
削れ性:非常に良好、5〜7μmの場合は耐削れ性:良
好、7μmを越える場合は耐削れ性:不良と判定した。
この7μmという値は、印刷工程やカレンダー工程など
の加工工程で、フィルム表面が削れることによって、工
程上、製品性能上のトラブルがおこるか否かを厳しく判
定するための臨界点である。
[実施例] 本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1〜15 不活性粒子Aとして、平均粒径d1がそれぞれ異なるが
本発明範囲内であり、モース硬度が本発明範囲内に入
る、ジルコニア、窒化チタン、α−アルミナ、γ−アル
ミナ、δ−アルミナ粒子を選び、粒子Bとして、平均粒
径d2がそれぞれ異なるが本発明範囲内であり、モース硬
度が本発明範囲内に入る、シリカ、α−アルミナ、ルチ
ル型二酸化チタン粒子を選び、それぞれ、エチレングリ
コール中に均一に分散させ、195℃で2時間熱処理した
のち、テレフタル酸ジメチルとエステル交換反応後重縮
合し、各粒子を本発明で規定した範囲よりは相当高い濃
度で含有するポリエステルを作成し、それをマスターペ
レットにした。
各マスターペレットと、粒子を含有していないポリエ
ステルペレットとを、粒子Aおよび粒子Bが本発明の含
有率の範囲となるように混合し、混合したペレットを18
0℃で3時間減圧乾燥(3Torr)した。このペレットを押
出機に供給し、290℃で溶融押出し、静電印加キャスト
法を用いて表面温度30℃のキャスティング・ドラムに巻
き付けて冷却固化し厚さ約180μmの未延伸フィルムを
作った。このときのドラフト比は22であった。
この未延伸フィルムを90℃にて長手方向に3.4倍延伸
した。この延伸は2組のロール周速差で行なわれ、延伸
速度は10000%/分であった。この一軸フィルムをステ
ンターを用いて延伸速度3000%/分で100℃で幅方向に
3.6倍延伸し、幅方向に1.05倍微延伸させつつ、210℃に
て5秒間熱処理し、厚さ15μmの二軸配向ポリエステル
フィルムを得た。これらのフィルムの性能は第1表に示
した通り、不活性粒子A、Bの平均粒径、モース硬度、
含有量が本発明範囲であるので、耐スクラッチ性、耐削
れ性ともに優れたフィルムが得られた。
比較例1〜10 不活性粒子A、Bの平均粒径が本発明の範囲から外れ
るもの、含有量が本発明の範囲から外れるもの、およ
び、モース硬度に関し本発明の範囲から外れるものにつ
いて、それぞれ前記実施例と同一の製造方法にて厚さ15
μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。これらの
フィルムの性能は第2表に示した通り、粒子A、Bの平
均粒径、モース硬度、含有量のいずれが本発明の範囲か
ら外れても、耐スクラッチ性、耐削れ性を両立させるこ
とのできるフィルムは得られなかった。なお、実施例、
比較例ともにポリエステルはポリエチレンテレフタレー
トであった。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、特定の範囲の
平均粒径、モース硬度、含有量および突起の高さ分布を
有する二種の不活性粒子A、Bを含有する二軸配向ポリ
エステルフィルムとしたので、最近の苛酷な使用条件に
も耐え得る、優れた耐スクラッチ性、耐削れ性(耐摩耗
性)を備えたフィルムが得られる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 (56)参考文献 特開 昭62−205133(JP,A) 特開 昭63−235340(JP,A) 特開 平1−311131(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モース硬度がともに6以上の二種の不活性
    粒子A、Bを含有し、粒子Aは、平均粒径d1が10〜500n
    m、含有量が0.2〜2.0重量%、粒子Bは平均粒径d2が300
    〜1500nmでかつ前記粒子Aの平均粒径d1よりも大、含有
    量が0.005〜0.15重量%であり、さらにフィルム表面に
    形成される突起の高さ分布の標準偏差が250nmよりも小
    さいことを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】前記粒子Aのモース硬度と前記粒子Bのモ
    ース硬度との差が1よりも大きい請求項1記載の二軸配
    向ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】表面固有抵抗が1×1015Ω・cmよりも小さ
    い請求項1又は2記載の二軸配向ポリエステルフィル
    ム。
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