JP3277681B2 - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム

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JP3277681B2 JP8322894A JP8322894A JP3277681B2 JP 3277681 B2 JP3277681 B2 JP 3277681B2 JP 8322894 A JP8322894 A JP 8322894A JP 8322894 A JP8322894 A JP 8322894A JP 3277681 B2 JP3277681 B2 JP 3277681B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステルフィルムに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムとしては、結晶化
によって表面突起を形成したフィルムが知られている
(たとえば特開平5−131600号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、フィルムの各用
途、例えば、磁気媒体用途での磁性層塗布、包装用途で
の印刷工程などで、フィルムの加工速度がますます速く
なり、その加工ロールでフィルムの表面が削られて、粉
が発生し、加工ロールを汚染されるという問題が顕在化
してきている。
【0004】本発明はかかる問題点を改善し、高速で加
工ロールと接触走行しても粉が発生しない(以下粉発生
良好という)フィルムを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】ポリエステルからなる基
層部の少なくとも片面に、粒子を含有するポリエステル
組成物を積層してなるフイルムであって、該積層部の厚
さtと粒子の平均粒径dの比、t/dが0.1〜10、
該表面の表面突起間隔Pが0.1〜50μm、かつ、
層部の表面突起間隔P(μm)と積層部に含有する粒子
の粒子数指数の平方根Φ1/2 の積、P・Φ1/2が0〜5
0の範囲であることを特徴とする二軸配向ポリエステル
フィルムとしたものである。本発明の基層を構成するポ
リエステルは特に限定されないが、エチレンテレフタレ
−ト、エチレン2,6−ナフタレ−ト単位から選ばれた
少なくとも一種の構造単位を主要構成成分とする場合に
粉発生がより一層良好となるので望ましい。基層部に
は、必ずしも粒子が含有されている必要はないが、基層
部全体に対し0.01〜1重量%含有されている場合
に、粉発生が一層良好となるので特に望ましい。
【0006】本発明は上記ポリエステルからなる基層部
の少なくとも片面に、結晶化速度の速い高速結晶化ポリ
エステルに粒子を含有せしめた層を積層してなるフィル
ムの場合に、特に、その積層部のポリエステル組成物の
結晶化指数が10〜60℃、好ましくは15〜55℃、
さらに好ましくは20〜50℃の範囲である場合に、粉
発生が一層良好となるので特に望ましい。
【0007】また、積層部のポリエステル組成物の結晶
化温度Tccが90〜150℃である場合に、粉発生が
一層良好となるので望ましい。積層部のポリエステルの
種類も、特に限定されることはなく、上記基層部のポリ
エステルと同種または異種であってもかまわない。ただ
し、エチレンテレフタレ−ト、エチレンα,β−ビス
(2-クロルフェノキシ)エタン-4,4'-ジカルボキシレ−
ト、エチレン2,6-ナフタレ−ト単位から選ばれた少なく
とも一種の構造単位を主要構成成分とする場合に、特
に、エチレンテレフタレ−トを繰り返し単位として85
モル%以上含有するポリエステルの場合に粉発生がより
一層良好となるので望ましい。
【0008】なお、積層部のポリエステルの結晶化速度
を高めるために、少なくともマグネシウムとリンを構成
元素成分とする微細な核を含有する高速結晶化ポリエス
テルとする場合に、粉発生が一層良好となるので望まし
い。また、上記核と15モル%未満の共重合成分、たと
えば、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、ダイ
マー酸など、特に0.001モル%以上のポリエチレン
グリコールを共存させることは、粉発生に一層の効果が
あるので望ましい。
【0009】本発明は上記組成物からなる積層フィルム
を二軸配向せしめたフィルムであるが、その積層部の厚
さtと該層における粒子の平均粒径dの比、t/dが
0.1〜10、好ましくは0.2〜8、さらに好ましく
は0.3〜5の範囲であることが必要である。t/dが
上記の範囲より大きくても、また、小さくても粉発生が
不良となるので好ましくない。
【0010】本発明フィルムは上記積層面の表面突起間
隔Pが0.1〜50μm、好ましくは0.5〜40μ
m、さらに好ましくは1〜20μmの範囲であることが
必要である。Pが上記の範囲より大きいと粉発生が不良
となるので好ましくない。また、Pは通常0.1μm程
度が製造上の下限である。
【0011】また、本発明フィルムは、その表面の横方
向に測定した突起間隔P(μm)と積層部全体に対する
粒子の含有体積分率の平方根Φ1/2 の積、P・Φ1/2
0〜50、好ましくは1〜40、さらに好ましくは1〜
25の範囲であることが必要である。P・Φ1/2 が上記
の範囲より小さくても、また大きくても粉発生が不良と
なるので好ましくない。
【0012】本発明フィルムは、粒子で形成された表面
突起の平均高さが、それ以外の突起の平均高さより高い
場合、特に、10〜1000nm、さらに、20〜50
0nm高い場合に、粉発生が一層良好となるので望まし
い。ここで、粒子で形成された突起とは、その突起の下
に使用しているポリエステル以外の材質からなる物体が
存在する場合をいい、粒子以外の突起とは、その下の突
起起因物が実質的にポリエステルの結晶からなる場合を
いう。
【0013】本発明フィルムは、その積層部に含有する
粒子の平均粒径が0.2〜2μm、特に0.3〜1.2
μmの範囲である場合に粉発生が一層良好となるので望
ましい。
【0014】本発明フィルムは、その積層部に含有する
粒子の粒径分布の相対標準偏差が0.3以下、特に0.
25以下である場合に粉発生が一層良好となるので望ま
しい。
【0015】本発明フィルムは、その積層部に含有する
粒子の粒径比が1.5以下、特に1.3以下である場合
に粉発生が一層良好となるので望ましい。
【0016】本発明の積層部に含有する粒子は特に限定
されないが、無機粒子、特に球形シリカ、炭酸カルシウ
ム、酸化タングステン、アルミナである場合に、高速走
行時の摩擦係数が低くできるので、工程の張力が高い場
合などには望ましい。また、有機粒子、特に、ポリジビ
ニルベンゼン、架橋ポリスチレン、不飽和ポリエステル
の場合は高速走行時に傷がつきにくくなるので、傷が商
品価値を大きく損なう用途などには好適である。
【0017】また、粒子として有機粒子、無機粒子、例
えば、ポリジビニルベンゼンと球形シリカ、ポリジビニ
ルベンゼンと炭酸カルシウムなどのように両者を併用を
した場合に、粉発生が一層良好となるので望ましい。
【0018】本発明フイルムの積層部は、上記組成物を
主要成分とするが、本発明の目的を阻害しない範囲内
で、他種ポリマをブレンドしてもよいし、また酸化防止
剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などの
有機添加剤が通常添加される程度添加されていてもよ
い。
【0019】本発明フィルムは、上述のとおり、二軸配
向フイルムであるが、一軸あるいは無配向フイルムでは
粉発生が不良となるので好ましくない。この配向の程度
は特に限定されないが、高分子の分子配向の程度の目安
であるヤング率が長手方向、幅方向ともに400kg/
mm2 以上である場合に粉発生がより一層良好となるの
できわめて望ましい。分子配向の程度の目安であるヤン
グ率の上限は特に限定されないが、通常、1500kg
/mm2 程度が製造上の限界である。
【0020】さらに本発明フィルムは、フィルム横方向
のヤング率を縦方向より大きく、望ましくは50kg/
mm2 以上大きくすることによって、粉発生をより一層
良好とすることができるので望ましい。
【0021】次に、本発明フィルムの製造方法について
説明する。まず、ポリエステルに粒子を含有せしめる方
法としては、上記高速結晶化ポリエステルの重合工程で
粒子を含有せしめる方法、粒子を実質的に含有しない高
速結晶化ポリエステルをあらかじめ重合しておきそこに
粒子をベント式二軸混練機等を用いて練り込む方法等特
に限定されないが、粒子をベント式二軸混練機等で高濃
度に含有せしめた後、このポリエステルと実質的に粒子
を含有しないポリエステルを適宜混合して、濃度調整す
るのが有効である。ここで本発明に望ましい高速結晶化
ポリエステルを得る方法は、特に限定されるものではな
く、無機、または、有機の結晶核剤による方法、あるい
は、ポリエステルポリマ製造時のエステル交換触媒、重
合触媒の種類、量を工夫して結晶化速度を高める方法
が、表面が均一なり、本発明の目的のために望ましい。
特にエステル交換触媒として、酢酸マグネシウムなどの
マグネシウム塩、ジメチルフェニルホスフォネートなど
のリン化合物を用い、それらを主体とする結晶核によっ
て、結晶化速度を高める方法が、表面が均一なり、本発
明の目的のために望ましい。
【0022】次に、粒子を含有するポリエステルAのペ
レットを、乾燥したのち、公知の溶融押出機1に供給
し、ポリエステルB(Bには粒子を含有されていなくて
も良いが、基層部に対し0.01〜1重量%含有されて
いる場合が望ましい)を押出機2に供給し、2または3
層以上のマニホ−ルドまたは合流ブロックを用いて、ポ
リエステルAをポリエステルBの少なくとも片面に積層
し、スリット状の口金から2または3層以上のシートを
押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フイ
ルムを作る。この場合、合流断面が矩形の合流ブロック
を用いて積層する方法が、本発明の高速結晶化ポリエス
テルをむらなく積層し、平均粒径と厚さの関係を安定し
て得るのに有効である。
【0023】本発明においては、ポリエステルを主成分
とする溶融押出フイルムを、冷却ロール表面で冷却する
過程において、ポリエステルAのガラス転移温度Tg以
上、かつ融解温度Tmより100℃高い温度(Tm+1
00℃)以下で、未延伸フイルムを該冷却ロールと接触
する反対の面から熱処理し、その後に該未延伸フイルム
を二軸延伸することによって、所望の表面突起が形成さ
れるので好ましい。より好ましくはTgより20℃高い
温度(Tg+20℃)以上、かつTmより80℃高い温
度(Tm+80℃)以下、さらに好ましくは、Tgより
40℃高い温度(Tg+40℃)以上、かつTm以下で
ある。未延伸フイルムを該冷却ロールと接触する反対の
面から熱処理する方法としては、熱風又は、赤外線ヒー
タによる輻射熱を用いることができるが、この方法に限
定されるものではない。
【0024】前記、冷却ロール表面の表面粗さが0.2
S以上で、かつ、10S以下であると、延伸前のフイル
ム表面を所望の結晶化度にまで結晶性を高めることがで
き好ましい。より好ましくは、該冷却ロール表面の表面
粗さが0.3S以上で、かつ、8S以下である。ロール
表面の表面粗さが0.2S未満であると、冷却ロールに
未延伸フイルムが粘着して好ましくない。また10Sを
超える表面粗さでは所望の表面突起が形成されなくなっ
たり、冷却ロール上でフイルムが滑り好ましくない。
【0025】本発明においては、冷却固化した未延伸フ
イルムを熱処理する場合、その少なくとも片面の表面
(または表層)温度が、ポリエステルAの冷結晶化温度
Tccより20℃低い温度(Tcc−20℃)以上、か
つ降温結晶化温度Tmcより40℃高い温度(Tmc+
40℃)以下で、0.5〜100秒保たれるように熱処
理し、その後にTg以上、かつTccより20℃高い温
度(Tcc+20℃)以下で二軸延伸することによっ
て、所望の表面突起が形成されるので好ましい。より好
ましくは、Tcc以上、かつTmc以下で0.5〜50
秒、さらに好ましくは、Tcc以上、かつTmc以下で
0.5〜20秒保たれるような熱処理である。
【0026】本発明においては、未延伸フイルムを一軸
方向に微延伸し、複屈折0.5×10-3〜50×10-3
とし、次に該微延伸フイルムの少なくとも片面の表面
(または表層)温度が、ポリエステルAの冷結晶化温度
Tccより20℃低い温度(Tcc−20℃)以上、か
つ降温結晶化温度Tmcより40℃高い温度(Tmc+
40℃)以下で0.3〜50秒保たれるように熱処理
し、その後にTg以上、かつTccより20℃高い温度
(Tcc+20℃)以下で二軸延伸することによって、
所望の表面突起が形成されるので好ましい。より好まし
くは、Tcc以上、かつTmc以下で、0.5〜20
秒、さらに好ましくは、Tccより10℃高い温度(T
cc+10℃)以上、かつTmcより20℃低い温度
(Tmc−20℃)以下で、0.5〜15秒保たれるよ
うな熱処理である。
【0027】熱処理方法については、加熱ロールに巻き
付けて熱処理する方法、ロールに巻き付けた状態でロー
ルと接触する反対の面から熱風処理する方法、あるいは
ロールに巻き付けた状態でロールと接触する反対の面か
ら赤外線ヒータで熱処理する方法、ロール/ロール間で
赤外線ヒータで熱処理する方法、ステンタを用いて加熱
する方法等があるが、特にこれらの方法に限定されるも
のではない。
【0028】本発明においては、ポリエステルを主成分
とする溶融押出フイルムの少なくとも片面の表面(また
は表層)温度を、ポリエステルAの降温結晶化温度Tm
cより70℃低い温度(Tmc−70℃)以上、かつポ
リエステルAの降温結晶化温度Tmc以下で、0.5〜
20秒保ち、次いで、ガラス転移温度Tg以下に冷却
し、その後に該未延伸フイルムを二軸延伸することによ
って、所望の表面突起が形成されるので好ましい。
【0029】処理方法は、前記したように、押出し直後
の温度の高いフイルムを徐冷することにより結晶化させ
る方法、又、一旦冷却、固化したフイルムを再加熱して
結晶化させる方法、又、一軸方向に微延伸させた状態で
加熱処理する方法などあるが、これらの方法の一つをフ
イルムの製膜プロセスのなかで実施し、目標とする表面
形態を得ることができるが、これらの方法を二つ以上併
用して、フイルムの製膜プロセスのなかで実施してもよ
い。
【0030】本発明フィルムの用途は特に限定されない
が、粉発生が製品性能に大きな影響を及ぼす用途、例え
ば、磁気材料用、インクリボンなどの感熱転写用、OH
Pなどのグラフィック用、包装用などに最適である。
【0031】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】本発明の特
性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りであ
る。
【0032】(1)平均粒子径 フィルム断面を透過型電子顕微鏡を用い、3000〜1
00000倍で観察する。切片の厚さは約100nmと
し、場所を変えて測定し、粒子数5000個で、粒径と
その体積分率から、次式で体積平均径dを得た。ここ
で、di は粒径、NViはその対積分率である。
【0033】d=Σdi ・NVi なお、有機粒子のように透過型電子顕微鏡で像が観察し
にくい場合は、適宜染色を行なってもよいし、透過型電
子顕微鏡の代わりに電界放射型走査電子顕微鏡を用いる
方法もある。さらに、断面観察ではなく、表面からポリ
エステルをプラズマエッチングで除去し、粒子を露出さ
せたものを観察して求めるの方法でも良い。
【0034】(2)分散粒子の長径/短径比 上記方法で、個々の粒子の長径dlとdsを次式で求
め、その比、dl/dsを長径/短径比とした。
【0035】dl=Σdli ・NVi ds=Σdsi ・NVi (3)粒径分布の相対標準偏差 上記方法で求めた個々の粒子径の標準偏差を求め、それ
を平均値で割った値を粒径分布の相対標準偏差とした。
【0036】(4)積層部の厚さt 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層か
ら深さ3000nmの範囲のフイルム中の粒子の内もっ
とも高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素
元素の濃度比(M+ /C+ )を粒子濃度とし、表面から
深さ3000nmまで厚さ方向の分析を行なう。表層で
は表面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざ
かるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明フイルムの場
合はいったん極大値となった粒子濃度がまた減少し始め
る。この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度がの極大値
の1/2となる深さ(この深さは極大値となる深さより
も深い)を求め、これを積層厚さとした。条件は次の通
り。
【0037】(1) 測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 西独、ATOMIKA 社製 A-DIDA3000 (2) 測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流:200nA ラスター領域:400μm□ 分析領域:ゲ−ト30% 測定真空度:5.0×10-9Torr E−GUN:0.5KV−3.0A なお、架橋高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難し
いので、表面からエッチングしながらXPS(X線光電
子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデプ
スプロファイルを測定し積層厚さを求めても良い。
【0038】また、この積層厚さを求めるもっとも一般
的な方法は、透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡観察で、
フィルムの(透過)による断面観察で粒子濃度の変化状
態やコントラストの差から界面を認識し積層厚さを求め
る方法である。あるいは表面からエッチングしながらの
XPS(X線光電子分光法)、赤外分光法などで界面を
認識し積層厚さを求めても良いし、積層部分を剥離後、
薄膜段差測定機を用いて積層厚さを求めることもでき
る。
【0039】(5)表面突起の高さ 2検出器方式の走査型電子顕微鏡[ESM−3200、
エリオニクス(株)製]と断面測定装置[PMS−1、
エリオニクス(株)製]においてフィルム表面の平坦面
の高さを0として走査した時の突起の高さ測定値を画像
処理装置[IBAS2000、カ―ルツァイス(株)
製]に送り、画像処理装置上にフイルム表面突起画像を
再構築する。次に、この表面突起画像で突起部分を2値
化して得られた個々の突起の面積から円相当径を求めこ
れをその突起の平均径とする。また、この2値化された
個々の突起部分の中で最も高い値をその突起の高さと
し、これを個々の突起について求める。この測定を場所
をかえて500回繰返し、突起個数を求め、測定された
全突起についてその高さの平均値を平均高さとした。ま
た個々の突起の高さデータをもとに、高さ分布の標準偏
差を求めた。また走査型電子顕微鏡の倍率は、1000
〜8000倍の間の値を選択する。なお、場合によって
は、高精度光干渉式3次元表面解析装置(WYKO社製
TOPO−3D、対物レンズ:40〜200倍、高解像
度カメラ使用が有効)を用いて得られる高さ情報を上記
SEMの値に読み替えて用いてもよい。
【0040】(6)突起間隔P 小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用い
て測定した。条件は下記のとおりであり、20回の測定
の平均値をもって値とした。
【0041】・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重 :5mg ・測定長 :1mm ・カットオフ値:0.08mm なお、突起間隔の定義は、たとえば、奈良治郎著「表面
粗さの測定・評価法」(総合技術センター、1983)
に示されているものである。
【0042】(7)粒子数指数Φ ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択
し、粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子の重量百
分率A(%)を求め、粒子の比重B、粒子の平均粒径C
(μm)から下式で定義した。
【0043】Φ=(A/B)×(1/0.5C)3 積層部の重量百分率は積層厚さが薄い時など難しい場合
があるが、直接測定が難しい場合には、全体の粒子含有
量、表層を削り除去したあとの基層部粒子含有量などか
ら逆算してもよいし、また、透過電子顕微鏡の観察から
求めた粒子の個数と直径から計算することも可能であ
る。
【0044】(8)ヤング率 JIS−Z−1702に規定された方法にしたがって、
インストロンタイプの引っ張り試験機を用いて、25
℃、65%RHにて測定した。
【0045】(9)結晶化温度、融解温度、降温結晶化
温度、結晶化指数、 パ−キンエルマ−社製のDSC(示差走査熱量計)II型
を用いて測定した。DSCの測定条件は次の通りであ
る。すなわち、試料10mgをDSC装置にセットし、3
00℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中に急冷す
る。この急冷試料を10℃/分で昇温し、ガラス転移点
Tgを検知する。さらに昇温を続け、ガラス状態からの
結晶化発熱ピ−ク温度をもって結晶化温度Tcc、結晶
融解に基づく吸熱ピーク温度を融解温度Tm、同じよう
に降温時の結晶化発熱ピーク温度を降温結晶化温度Tm
cとした。TccとTgの差(Tcc−Tg)を結晶化
指数と定義する。
【0046】(10)粉発生 フィルムを10mmにスリットし、金属製のガイドポス
ト(SUS304、表面仕上げ2S、直径6mm)上
を、巻き付け角180度、速度1000m/分で、延べ
長さ10000m接触走行させた後、ガイドポスト上に
付着した粉を観察する。なお、ガイドポストへ入る走行
張力を90グラム、雰囲気は25℃、60%RHとし
た。付着した粉の状態を下記のように5段階にランクづ
けし、4〜5点を良好、3点を不満足、1〜2点を不良
とした。これは、実際のフィルム加工工程での粉発生状
況の良否と対応するものである。
【0047】5:粉が全く付着していない 4:粉がわずかに付着(テープ接触部の面積の1/10
未満) 3:粉が付着(同1/4〜1/10) 2:粉がかなり付着(同1/2〜1/4) 1:粉が大量に付着(同1/2以上) (11)傷 上記の評価を行なったあとのフィルム表面に、厚さ約3
00オングストロームでアルミを蒸着し肉眼で見える傷
を観察し、下記のように4段階にランクづけし、3〜4
点を良好、2点を不満足、1点を不良と判定した。
【0048】4:10mm幅あたり傷が0〜1本 3:同2〜4本 2:同5〜10本 1:同11本以上 (12)高速走行時の摩擦係数 上記(10)の評価で走行時のガイドポスト出の張力を
測定し摩擦係数をオイラーの式によって求めた。
【0049】(13)複屈折 アッベ屈折計を用いて、一軸配向フイルムの長手方向屈
折率nMD、幅方向屈折率nTDを測定し、この両方の値の
差、つまり|nMD−nTD|で定義した。なお、光源はナ
トリウムD線(波長589nm)で、マウント液は、ヨ
ウ化メチレンを用い、25℃65%RHにて測定した。
【0050】(14)フイルム温度 放射温度計、接触式表面温度計、またはサーモラベルを
フイルムに貼付けて測定した。なお溶融状態のフイルム
温度は、放射温度計、または溶融状態のフイルムに熱電
対を差し込んで測定した。
【0051】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明する。
【0052】実施例1〜5、比較例1〜4 二軸スクリューを有するベント式混練機を用いて、粒径
の異なるいつかの種類の粒子をポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、ポリエチレンー2,6ーナフタレート
(PEN)に所定量添加したポリマを製造した。また、
エステル交換触媒を酢酸マグネシウム0.1重量%、ジ
メチルフェニルホスホネート0.35重量%、重合触媒
を三酸化アンチモン0.03重量%として実質的に粒子
を含有しないPET、PENを製造した。これらのチッ
プを適宜混合し、粒子量、結晶化速度を調整し、基層部
(ポリエステルB)と積層部用のポリマ(ポリエステル
A)を準備した。これらのポリマをそれぞれ180℃で
3時間減圧乾燥(3Torr)し、それぞれを2台の押出機
に供給し290℃で溶融し、これらのポリマを、2また
は3層用の矩形の合流ブロック(フィードブロック)で
合流積層し、静電印加キャスト法を用いて表面温度30
℃のキャスティング・ドラムに巻きつけて冷却固化し、
2〜3層構造の未延伸フィルムを作った。この時、それ
ぞれの押出機の吐出量を調節し総厚さ、ポリエステルA
層の厚さを調節した。この未延伸フイルムを、100〜
180℃の温度で2秒間熱処理した。このフィルムを、
温度80℃にて長手方向に3.5〜4.5倍延伸した。
この延伸は2組のロ−ルの周速差で行なった。この一軸
延伸フイルムをステンタを用いて延伸速度5000%/
分で100℃で幅方向に4.0〜5.0倍延伸し、定長
下で、200℃にて5秒間熱処理し、ポリエステルフィ
ルムを得た。
【0053】これらのフィルムの本発明のパラメ−タ、
性能は表1〜表2に示したとおりであり、本発明のパラ
メータが範囲内の場合は、粉発生に優れたフイルムであ
るが、そうでない場合は目的を達し得ないことがわか
る。
【0054】
【表1】
【表2】
【0055】
【発明の効果】本発明は、ポリエステル組成物の少なく
とも片面に、粒子を含有するポリエステル組成物を該積
層部の厚さと粒子の平均粒径の関係が特定範囲となるよ
うに積層し、かつ、特殊な製膜条件で、表面突起間隔P
と積層部に含有する粒子の粒子数の関係を特定範囲とで
きたので、粉発生がきわめて良好なポリエステルフィル
ムが完成したものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 9:00 B29L 9:00 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルからなる基層部の少なくと
    も片面に、粒子を含有するポリエステル組成物を積層し
    てなるフイルムであって、該積層部の厚さtと粒子の平
    均粒径dの比、t/dが0.1〜10、該表面の表面突
    起間隔Pが0.1〜50μm、かつ、積層部の表面突起
    間隔P(μm)と積層部に含有する粒子の粒子数指数の
    平方根Φ1/2 の積、P・Φ1/2 が0〜50の範囲である
    ことを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 積層部の表面突起間隔P(μm)と積層
    部に含有する粒子の粒子数指数の平方根Φ1/2 の積、P
    ・Φ1/2 が1〜25の範囲であることを特徴とする請求
    項1記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 積層部分のポリエステル組成物が結晶化
    指数10〜60℃のポリエステル組成物であることを特
    徴とする請求項1〜2記載の二軸配向ポリエステルフィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 粒子で形成された表面突起の平均高さが
    それ以外の突起の平均高さより高いことを特徴とする請
    求項1〜3記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 粒子で形成された表面突起の平均高さが
    それ以外の突起の平均高さより10〜1000nm高い
    ことを特徴とする請求項1〜4記載の二軸配向ポリエス
    テルフィルム。
  6. 【請求項6】 粒子の平均粒径が0.2〜2μmの範囲
    である請求項1〜5記載の二軸配向ポリエステルフィル
    ム。
  7. 【請求項7】 粒子の粒径分布の相対標準偏差が0.3
    以下である請求項1〜6記載の二軸配向ポリエステルフ
    ィルム。
  8. 【請求項8】 粒子の粒径比が1.5以下である請求項
    1〜7記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  9. 【請求項9】 粒子が無機粒子である請求項1〜8記載
    の二軸配向ポリエステルフィルム。
  10. 【請求項10】 粒子が有機粒子である請求項1〜9記
    載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  11. 【請求項11】 粒子として有機粒子、無機粒子を併用
    をしたことを特徴とする請求項1〜10記載の二軸配向
    ポリエステルフィルム。
  12. 【請求項12】 積層部のポリエステルが、エチレンテ
    レフタレートを繰り返し単位に85モル%以上含有する
    請求項1〜11記載の二軸配向ポリエステルフイルム。
  13. 【請求項13】 積層部のポリエステルの結晶化温度T
    ccが90〜150℃である請求項1〜12記載の二軸
    配向ポリエステルフイルム。
  14. 【請求項14】 積層部のポリエステル中に微細な凝集
    核が存在し、該部分から、マグネシウム、リンが検出さ
    れることを特徴とする請求項1〜13記載の二軸配向ポ
    リエステルフイルム。
  15. 【請求項15】 積層部のポリエステルが、エチレンテ
    レフタレートを繰り返し単位に85モル%以上含有し、
    かつ、0.001〜15モル%未満のポリアルキレング
    リコール成分を含有する請求項1〜14記載の二軸配向
    ポリエステルフイルム。
  16. 【請求項16】 フィルム横方向のヤング率が、縦方向
    ヤング率より50〜1000kg/mm2 大きいことを
    特徴とする請求項1〜15記載の二軸配向ポリエステル
    フイルム。
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