JP2613261B2 - トリクロロシランの製造方法 - Google Patents

トリクロロシランの製造方法

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JP2613261B2 JP63140488A JP14048888A JP2613261B2 JP 2613261 B2 JP2613261 B2 JP 2613261B2 JP 63140488 A JP63140488 A JP 63140488A JP 14048888 A JP14048888 A JP 14048888A JP 2613261 B2 JP2613261 B2 JP 2613261B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は四塩化ケイ素と水素からトリクロロシランを
製造する方法に関する。
従来の技術 近年のエレクトロニクス産業の発展に伴い、多結晶シ
リコン、モノシランガス等の需要は急激に増大してお
り、今後益々その需要は増加の一途を辿ることが見込ま
れている。ここに於てトリクロロシランは、上記シリコ
ン物質の原料として、最も大量に利用されているもので
ある。例えば高純度多結晶シリコンはトリクロロシラン
の熱分解によって製造されており、現在全世界での高純
度多結晶シリコンの殆どがこの方法で製造されている。
又最近トリクロロシランの不均化反応によってモノシラ
ンが製造される方法が実用化されつつあり、トリクロロ
シラン需要は今後その重要性が極めて増大する。然し乍
ら、これらの方法においては、トリクロロシランが消費
されると共に大量の四塩化ケイ素が副生する。例えばト
リクロロシランの熱分解による高純度多結晶シリコンの
製造に於ては、トリクロロシランの約60%が四塩化ケイ
素として副生し、又トリクロロシランの不均化によるモ
ノシランの製造においては実質的にモノシランの3倍モ
ルの四塩化ケイ素が副生する事になる。従ってこの副生
した四塩化ケイ素を例えばアエロジル等の原料として利
用する事でトリクロロシランの生産価格を低減する方法
等が知られているが、実質上最も優れた四塩化ケイ素の
利用方法はこれを再びトリクロロシランに変換し、上記
方法の原料として再利用する事である。例えば四塩化ケ
イ素をトリクロロシランに変換する事によって、トリク
ロロシランの不均化によるモノシランの製造は、実質的
に金属ケイ素と水素によってモノシランを製造するプロ
セスに帰着し、このプロセスは最近実用化されつつあ
る。
従って四塩化ケイ素をトリクロロシランに変換する技
術は極めて有用であり、特にこれを安価、簡便かつ効率
よく行う事はプロセスの経済上極めて重要である。
従来、四塩化ケイ素をトリクロロシランに変換する方
法としては次の方法が知られている。
(1)四塩化ケイ素と水素を1000℃又はそれ以上で反応
させトリクロロシランを製造する方法。
(2)四塩化ケイ素、水素及び金属ケイ素を500℃付近
で反応させトリクロロシランを製造する方法。
(3)四塩化ケイ素、水素、金属ケイ素及び塩化水素を
500℃付近で反応させトリクロロシランを製造する方
法。
(1)の方法に関しては、例えば特開昭57−3711号に
於ては、1100〜1600℃で水素及び四塩化ケイ素を上記温
度の発熱体に吹き付ける方法でトリクロロシランが約60
%の収率で得られている。又特開昭57−156318号では、
第一段目で900℃の温度において水素と四塩化ケイ素を
モル比H2/SiCl4=2で反応させ、25%の収率でトリクロ
ロシランを得ている。特開昭59−45920号に於ては、プ
ラズマ中で四塩化ケイ素と水素を反応させてトリクロロ
シランを得ている。特開昭60−81010号に於ては、1200
〜1400℃の温度範囲で四塩化ケイ素と水素を反応させ
て、約30%の収率でトリクロロシランを得ている。
(2)の方法は、(1)の方法に比較して、比較的低
温で反応が進行し熱的に有利な方法であるといえる。又
(2)の方法で更に有効に反応を進行させる為に塩化水
素ガスを使用する(3)の方法も当然の事乍ら同様な特
徴を有している。(2)及び(3)の方法に関しては触
媒を用いる事が有効であり、銅化合物又は金属銅を触媒
としている。例えば特開昭56−73617号に於ては、銅粉
を触媒として350〜600℃で流動床反応を行い、トリクロ
ロシランを得ている。又特開昭58−11042号に於ては、
銅担持又は銅及びニッケルを担持した触媒を用いて反応
を行いトリクロロシランを得ている。
これらの方法に於て、例えば(1)の方法ではかなり
高い四塩化ケイ素の転化率でトリクロロシランが得られ
るが、とりわけ30%以上の収率でトリクロロシランを得
る為には、1000℃以上の高温で反応を行う為これに費や
す熱量は莫大なものである。加えて高温反応である為、
塩化ケイ素による反応器等の腐食が激しく、更に望まし
くない高分子量の塩化ケイ素類が不可避的に副生する等
の欠点を有しており、未だ実用化には程遠い。
これに対し、(2)及び(3)の方法は熱力学的見地
からもトリクロロシランの製造に有用な方法であり、前
記した様にトリクロロシランの不均化によるモノシラン
を製造する方法で副生する四塩化ケイ素からトリクロロ
シランを製造する事は、特に(2)の方法では実質的に
は金属ケイ素と水素からモノシランを製造する事となる
為、非常に有用な方法であるといえる。尚、(3)の方
法に於てはトリクロロシランの収量は多いが、塩化水素
は四塩化ケイ素のトリクロロシランへの変換には関与せ
ず、実質的には金属ケイ素からトリクロロシランを合成
する事となる。従って四塩化ケイ素の再利用という観点
からすれば、(2)の方法よりは幾分有用性は劣るが、
一方トリクロロシランの収量が多いという利点も有して
おり、塩化水素を少量使用する事によりその特徴を発揮
させる事が望ましい。
更に、これら(2)及び(3)の方法を組合せたプロ
セスも知られている(特開昭60−36318号)。以上の方
法に於て四塩化ケイ素の有効再利用という観点からすれ
ば(2)の方法が最も優れており、又トリクロロシラン
の生成という観点からすれば(3)の方法も優れた方法
であり捨て難い。即ち(2)又は(3)の方法は経済性
も高く、特に(2)の方法は現在本命の方法として実用
化されつつある。
然し乍ら、(2)の方法に於ては、反応温度は通常50
0〜600℃で行われており、300℃程度の低温では反応は
殆ど進行せず、実質的にトリクロロシランが生成した例
はない。又この(2)の方法に於ては、従来大量かつ連
続的にトリクロロシランを製造する場合には、気体−固
体相流動床装置が用いられている。然し乍ら、500〜600
℃と高い温度で行う為、原料塩化シランは高温領域では
腐食性が大きく、工業的にトリクロロシランを製造する
には装置の腐食が大きな問題となり、更には、高温であ
る為高分子量のクロロシラン類の生成によるトリクロロ
シランの選択率の低下、熱量の大量使用といった、工業
化の為には更に解決されるべき多くの欠点を有してい
る。
発明が解決しようとする課題 本発明の課題は、四塩化ケイ素と金属ケイ素及び水素
との反応でトリクロロシランを製造するに際し、従来の
触媒に比べて極めて反応活性の高い触媒を見出し、300
℃以下の反応温度領域に於ても極めて有効にトリクロロ
シランを製造し且つ気相反応に於ても触媒成分の揮発の
ない極めて経済的利点のある方法を提供することにあ
る。
課題を解決するための手段 本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討し
た結果、特定の触媒の存在下に、トリクロロシランの熱
分解による多結晶シリコンの製造又はトリクロロシラン
の不均化反応によるモノシランの製造に於て副生する四
塩化ケイ素をトリクロロシランに変換し四塩化ケイ素を
有効に利用する極めて経済性の高い方法を見出し、本発
明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、 四塩化ケイ素と金属ケイ素を、水素又は水素及び塩化
水素と反応せしめてトリクロロシランを製造する方法に
おいて、該四塩化ケイ素を液体又は気体状態として、該
反応系を気体−液体−固体又は気体−固体の不均一相反
応とすると共に、該不均一反応を、金属銅及び/又は銅
化合物、ハロゲン化アルミニウムの溶融塩及び酸化タン
グステン及び/又はモリブデンの存在下に行う事を特徴
とするトリクロロシランの製造方法である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明で行う四塩化ケイ素のトリクロロシランへの変
換は、基本的に次式 3SiCl4+2H2+Si→4HSiCl3 (I) で表わされる。この反応は、平衡反応であり、温度が高
い程、H2/SiCl4モル比が高い程、反応圧力が高い程右方
向に進行する。又温度に関しては300℃程度より高い際
には、温度を高くした割には平衡組成は顕著にトリクロ
ロシランに有利とはならず、寧ろ熱量が過大となる事の
方が経済的に大きく影響する。従って出来るならば400
℃以下の低温領域で行う事が経済的となる。ここに於て
今迄に300℃前後の低温でトリクロロシランを製造した
例は知られていなかったが、本発明に於ては、上記反応
を金属銅及び/又は銅化合物、モリブデン及び/又はタ
ングステンの酸化物及びハロゲン化アルミニウムとアル
カリ金属のハロゲン化物からなる溶融塩の存在下に行う
事で、300℃程度の低温でさえもトリクロロシランを収
率よく製造する事を可能ならしめたものである。又当然
の事であるが、塩化水素ガスを本発明反応系内に加える
事によってトリクロロシランの収量を増大させる手段を
採用してもよい。
ここに於て本発明で使用するハロゲン化アルミニウム
の溶融塩の有効性について述べる。
本発明に於てハロゲン化アルミニウムが反応に有効に
関与している事が当然推定される。然し乍ら、これらハ
ロゲン化アルミニウムの多くは、通常の反応温度更には
それ以下の温度に於てさえも頗る揮発性が高い為に、反
応系に添加してもその系内から揮発して有効に反応に作
用しない事が反応形態によっては生じる欠点を有してい
る。例えば塩化アルミニウム及び臭化アルミニウムで
は、200℃以下で容易に揮発し、固体−気体の流通反応
ではこれらのハロゲン化アルミニウムは反応を例え200
℃以下で行ったとしても有効に利用され難い。これらの
欠点は、本発明の如くハロゲン化アルミニウムをアルカ
リ金属との溶融塩とする事で解消され、その結果上記反
応に関してそのハロゲン化アルミニウムの効果を阻害す
る事無く且つハロゲン化アルミニウムの揮発が完全に抑
制され、前記反応は極めて効率的に可能になった。
本発明に使用する金属ケイ素の純度は、特に限定する
ものではなく、治金ケイ素の98%程度の低純度品でも高
純度ケイ素であっても構わない。経済的な観点からすれ
ば、前者でも充分好結果が得られる為これを使用する事
が好ましい。又金属ケイ素の形態は問わないが、反応速
度の観点から表面積の大きい粉末状で使用する事が推奨
される。勿論、粒状等他の形態で使用することも可能で
ある。
本発明で使用する金属銅は、特に限定するものではな
く、通常市販の電解銅が用いられるが、その他還元銅も
使用可能である。純度に関しては其程問題にする必要は
ない。又その形態は問わないが、反応速度の観点から表
面積の大きい粉末状で使用することが好ましい。勿論、
粒状等他の形態で使用する事も可能である。又銅化合物
としては銅の塩化物、硫酸塩及び硝酸塩等が挙げられ、
純度等に関してはそれほど問題とする必要はなく、一般
工業品を用いて差し支えない。好ましくはその反応形態
から塩化物を用いる。
又本発明で使用する溶融塩は、ハロゲン化アルミニウ
ムとアルカリ金属のハロゲン化物を規定量の割合に混合
し加熱溶融させたものである。この時ハロゲン化アルミ
ニウムとアルカリ金属のハロゲン化物との割合は、任意
に決定する事が可能であるが、好ましくはハロゲン化ア
ルミニウムとアルカリ金属ハロゲン化物とのモル比で5:
1〜1:5の範囲で行うことが推奨される。余りにも一方の
化合物が多い場合には好ましい溶融状態を得る事は難し
い。然し乍ら本発明に於てはこれらの組成を無論限定す
るものではない。
次に本発明で使用するハロゲン化アルミニウムは、ア
ルミニウムの弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物であ
り、好ましくは塩化アルミニウムを用いることが経済性
及び設備の耐腐食性の観点から推奨される。又本発明に
おいてはこれらハロゲン化アルミニウムの一種又は複数
種から形成される溶融塩を用いて行う事もできる。
更に本発明においてハロゲン化アルミニウムとの溶融
塩に使用するアルカリ金属のハロゲン化物は、元素記号
でLi、Na、K、Rb、Cs、Frで表わされる金属の弗化物、
塩化物、臭化物及び沃化物である。更に好ましくは経済
性、耐腐食性等の観点から塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム等塩化物が推奨される。又これらの一種若しくは二種
以上を用いて本発明に提供することも可能である。
又本発明に於て使用するモリブデン及び/又はタング
ステンの酸化物は、一般式で(Mo)(O)x(X)yの
酸化物を主体としたものであり、一般式 (W)(O)x(X)yで表わされるものである。ここ
においてXは通常ハロゲン元素を表わし、x及びyは2x
+y=6、5及び4を満たす0又は正の実数もしくは整
数である。但しxは0とはならない。具体的にはy=0
で表わされる三酸化モリブデン(無水モリブデン酸)Mo
O3、三酸化タングステン(無水タングステン酸)WO3
更には部分的に塩素化された化合物、MoO2Cl2、MoOC
l3、MoOCl4及びWO2Cl2等が挙げられ、これらの1種又は
2種以上のを用いる。本発明に於いてはこれらの形態及
び純度等に関しては特に限定するものではなく、一般工
業製品を用いても構わなく、更には形態に関しても粉末
上でも粒状でも使用する事ができるが、反応速度的な観
点からすれば粉末状で用いることが好ましい。また経済
性及び取扱いの容易さ等の観点からすれば、三酸化モリ
ブデン若しくは三酸化タングステンを用いる事が好まし
い。
次に本発明に於ける四塩化ケイ素のトリクロロシラン
への変換方法について述べる。
変換方法は基本的には上記(I)式に従って行われる
が、本発明に於ては、反応は気体相−固体相の所謂気−
固相の不均一反応系で行う。又四塩化ケイ素の臨界温度
以下で、四塩化ケイ素が液体状態として、気体−液体−
固体の不均一反応を行う事も可能である。又反応に使用
する水素は予め反応に不活性な媒体(気体)、例えばア
ルゴン、ヘリウム及び/又は窒素等で稀釈して用いれも
構わないが、反応平衡、反応速度及び経済的な観点から
水素単独で使用することが好ましい。又通常水素中に予
期される不純物を含んでいても差し支えなく、更には加
圧反応を行う際には水素を同時に加圧媒体とする事が好
ましい。又反応条件に於いて原料、生成物、金属銅及び
/又は銅化合物、ハロゲン化アルミニウム、アルカリ金
属のハロゲン化物等に対して不活性(反応を起こさな
い)な溶媒、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタンに代表
される脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロオクタ
ンに代表される脂環式炭化水素及びベンゼン、トルエン
に代表される芳香族炭化水素等を使用する事も可能であ
る。
又反応温度については敢えて規定はしないが、実質的
に反応を進行させる為には150℃以上、好ましくは200〜
650℃で行う事が反応平衡の観点から更には反応速度上
の観点からも好ましい。尚本反応を行うに際して原料と
して仕込む四塩化ケイ素中に反応平衡量以下のトリクロ
ロシランが混在していても構わなく、この事は反応によ
って生成したトリクロロシランを蒸留等により分離した
際に四塩化ケイ素中にトリクロロシランが残存していて
も使用可能である事を意味するが、好ましくは反応平衡
上トリクロロシラン含有量ができるだけ少ない四塩化ケ
イ素を使用する事が実質的にトリクロロシランの生成量
が多くなり望ましい。
次に本発明における原料、金属銅及び/又は銅化合
物、ハロゲン化アルミニウム、アルカリ金属のハロゲン
化物及びモリブデン及び/又はタングステンの酸化物等
の添加物の使用量について述べる。本発明に於ける金属
ケイ素の使用量は特に限定はしないが、バッチ式で行う
場合は四塩化ケイ素に対して1重量%以上で行う事が好
ましく、この値未満であると反応と共に金属ケイ素が消
費され、有効に反応が行えなくなる恐れがある。又金属
銅及び/又は銅化合物に関してはその量は特に限定はし
ないが、仕込金属ケイ素に対する金属原子比(g−atms
/g−atms)を0.5%以上として反応を行う事が、又仕込
金属ケイ素に対するハロゲン化アルミニウムの原子比を
0.1%以上として反応を行う事が好ましい。更には使用
溶融塩を反応溶媒的、つまりは金属ケイ素に対して重量
比で数倍又はそれ以上使用する事も可能である。
又モリブデン及び/又はタングステンの酸化物の使用
量に関しても特に限定はしないが、金属ケイ素に対して
0.5重量%以上で使用する事が好ましい。
次に本発明に実施するための具体的な態様について述
べる。前記した様に本発明における反応は150℃以上で
行うことが好ましく、さらに加圧(水素加圧が好まし
い)状態で行われることが好ましく、また流通反応法若
しくはバッチ式反応の何れかの方法で行うことも可能で
ある。
本発明における実施方法に関しては特に限定はしない
が、実施し易い方法として以下の方法が挙げられる。勿
論これらの方法に本発明は限定されるものではない。
(1)オートクレーブ中の所定量の四塩化ケイ素、金属
ケイ素、金属銅及び/又は銅化合物、モリブデン及び/
又はタングステンの酸化物及びハロゲン化アルミニウム
とアルカリ金属ハロゲン化物からなる溶融塩を入れた
後、所定の圧力に水素で加圧し、その後加熱撹拌反応を
行う方法。
(2)予め所定温度、及び水素で所定圧に保たれた加圧
反応器中に所定量の四塩化ケイ素、銅及び/又は銅化合
物、モリブデン及び/又はタングステンの酸化物及びハ
ロゲン化アルミニウムとアルカリ金属ハロゲン化物との
溶融塩を連続的に導入し反応を行う方法。
(3)予め金属ケイ素、銅及び/又は銅化合物、モリブ
デン及び/又はタングステンの酸化物及びハロゲン化ア
ルミニウムとアルカリ金属のハロゲン化物からなる溶融
塩を反応器中に入れ、所定温度に保ち乍ら、水素加圧で
四塩化ケイ素及び水素を連続的に導入し且つ生成ガスを
連続的に抜出し乍ら反応を行い、必要に応じて金属ケイ
素、金属銅及び/又は銅化合物、モリブデン及び/又は
タングステンの酸化物及び溶融塩を間歇的もしくは連続
的に導入する方法。
実施例 以下本発明を実施例によって具体的に説明する。
実施例1 下部にガラスフィルターを取りつけ固体を保持できる
ようにした内径11mmのパイレックス製反応管に、ケイ素
(純度98%約200メッシュ)、銅粉末(化学用、約200メ
ッシュ)、塩化ナトリウムと塩化アルミニウムの溶融塩
(AlCl3/NaCl=1mol比、溶融温度200℃)及び三酸化モ
リブデンからなる混合物(組成Cu/Si=10wt%、AlCl3/C
u=50mol%、MoO3/Cu=125wt%)を2.1ml充填し、この
混合物をシリカウールで押さえ固定した。反応管内をヘ
リウムでよく置換した後、四塩化ケイ素を0℃に保ち、
所定流量の水素によってバブリングさせ、水素とともに
混合ガスとして反応管に導入させた(この時の四塩化ケ
イ素の蒸気圧から計算したH2/SiCl4mol比は9.3であっ
た。)。反応管を所定温度に保持してトリクロロシラン
の生成反応を行った。反応接触時間、反応温度による結
果は、反応管排出ガスのガスクロマトグラフ分析により
求めた。
第1表に示したように低温反応に於ても非常に優れた
反応成績が得られた。尚、反応生成ガス組成は反応が定
常になった後の値を掲げている。又原料混合ガスを理想
気体とし、昇温による体積膨張を計算し、混合ガスの所
定温度に於ける流量計算を行い、この流量で固体体積を
割った値を便宣上接触時間とした。
実施例2 金属酸化物を三酸化タングステンとした以外は実施例
1と同一の固体添加物とした固体混合物(組成はCu/Si
=10wt%、AlCu3/Cu=50mol%、Wo3/Cu=125wt%、ケイ
素、金属銅粉末及び溶融塩は実施例1と同一と%)と
し、実施例1と同一の反応装置、同一の反応方法によっ
てトリクロロシランの生成反応を行った。
第2表に示すように三酸化タングステンを用いてもよ
い反応活性が認められた。
比較例1 各添加物のケイ素に対する組成は実施例1と同一とし、
実施例1から銅粉末を除いた固体混合物、溶融塩を除い
た固体混合物、三酸化モリブデンを除いた固体混合物及
び三酸化モリブデンと溶融塩を除いた固体混合物を実施
例1と同一の反応管に同一容量充填し、実施例1と同一
の反応方法によってトリクロロシランの生成反応を行っ
た。
第3表に掲げたように反応温度を500℃と高くして行
ったが、どの場合にも実施例1及び2の結果に比較して
極めて低い活性を示し、本発明の添加物系がこの反応に
有効である事がわかる。
但し、溶融塩と三酸化モリブデンを除いた固体混合物
では、400℃反応も併せて行い、その結果、接触時間2
秒に於ける生成ガス中のトリクロロシランの組成は12.0
mol%であった。この事からも本発明の触媒系が公知の
銅触媒に比較して極めて活性が高い事分かる。
比較例2 実施例1と比較して、塩化アルミニウムを溶融塩の形
で加えず塩化アルミニウムとして加え、その他固体添加
物、混合組成(Cu/Si、AlCl3/Cu、MoO3/Cu)、充填容
量、反応方法及び分析方法等すべて実施例1と同一とし
て、トリクロロシランの生成反応を行った。
反応温度500℃、接触時間2secで定常状態における反
応生成ガス中のトリクロロシランの濃度(TCS/(TCS+S
TC)mol%)は18.1mol%であり、実施例1の結果に比較
して極端に反応活性の低下が認められ、更に比較例1に
おける溶融塩を除いた条件とほぼ同等の結果であった。
尚、この反応を行った際には、反応系内を500℃に昇
温する途中で、反応管上部非加熱部分に白色固体の析出
付着が認められた。従って塩化アルミニウムが反応系内
から揮発除去されたものと思われる。
実施例3 溶融塩をKCl−AlCl3(1:1mol比)に代えた以外は全く
実施例1と同一の添加物及び組成(CU/Si=10wt%、AlC
l3/Cu=50mol%、MoO3/Cu=125wt%)として、実施例1
と全く同一の反応方法によって、トリクロロシランの生
成反応を行った。
アルカリ金属を代えた溶融塩を用いても反応の成績に
は殆ど影響していない事が判明した。
実施例4 溶融塩組成(KCl/AlCl3=33/67mol比)に代えた以外
は固体添加物組成(Cu/Si、AlCl3/Cu、MoO3/Si)、反応
装置、反応方法及び反応ガス分析方法等を総て実施例3
と同一として、溶融塩組成を変化させてトリクロロシラ
ンの生成反応を行った。
第5表に示すように溶融塩の組成を変化させても反応
成績は殆ど変わらず、余り溶融塩組成が反応成績に影響
しないことがわかる。
実施例5 固体添加物及びその組成は実施例3と同一とし、これ
らの添加物のケイ素に対する割合を実施例3の(1/2)
及び(1/5)と減少させ、その他は全く実施例2と同一
の方法でトリクロロシランの生成反応を行った。
第6表に示したように触媒成分を(1/2)にしても反
応成績には全く影響しない、又(1/5)にしても余り大
きく影響しないで本発明が実施される事が判明した。
尚、比較の為実施例3の結果も掲げた。
実施例6 金属銅を塩化銅に代えてCu/Si=2wt%となるように
し、その他の添加物は総て実施例3と同一とし、更にケ
イ素に対する添加量を実施例3の1/5として、実施例3
と同様にトリクロロシランの生成反応を行った。従って
触媒の添加条件は、実施例5の触媒量1/5に於て、金属
銅を塩化銅に変換したことに他ならない。
第7表に示したように塩化銅に変換しても充分触媒活
性は認められた。
実施例7 固体添加物及びケイ素に対する添加物組成を実施例1
と同一とし、内径14mmの下部にSUS孔板を取りつけ固体
を保持出来るようにしたSUS製反応管に、上記固体混合
物を15ml充填し、反応系内を水素で35気圧に加圧し、所
定温度に保持した後、四塩化ケイ素と水素をモル比で1
とし、反応管に導入する前に混合及び予備加熱して、加
圧状態でこの混合ガスを反応管に導入して、トリクロロ
シランの生成反応を行った。反応管より排出された生成
ガスは、加圧下でドライアイス−冷媒によって−70℃に
冷却し、クロロシラン類を凝縮し、水素と分離した後、
凝縮液を採取してガスクロマトガラフィーによって分析
した。尚、反応凝縮後は一定時間間隔で採取し、更にガ
スクロマトガラフィーによる分析値(トリクロロシラン
の生成量)から一定時間に反応によって消費されたケイ
素の消費量を求め、次にケイ素の消費量から消費率、体
積減少、反応管内の体積、この一定時間間隔における平
均体積を求め、この平均体積を加圧及び加熱状態での水
素と四塩化ケイ素の混合ガスを理想気体として計算した
流量で割った値を便宣上接触時間と定義した。
第8表に示したように加圧状態において低温領域でも
極めて効率よくトリクロロシランが生成する事が判明し
た。
比較例3 固体充填物としてケイ素と金属銅粉末のみ又はケイ素
と塩化第一銅のみとし、その組成はそれぞれケイに対し
て10wt%となるように混合して、実施例7と同一の充填
容量、同一の反応装置及び同一の反応方法でトリクロロ
シラン生成反応を行った。
第9表に示したように本発明における触媒成分(金属
銅及び/又は銅化合物、塩化アルミニウムの溶融塩及び
ヘテロポリ酸の陽イオン交換物から構成される)に比較
して、どちらも極端に低い活性であり、この事から本発
明の触媒成分が加圧状態での反応に於ても極めて有効で
ある事がわかる。
実施例8 200mlのオートクレーブに98%ケイ素を30.0g、三酸化
モリブデンを10.3g、Cu粉末を8.19g、NaCl−AlCu3溶融
塩(1:1mol比、溶融温度200℃)を10.8g及び四塩化ケイ
素を90g入れ、水素60kg/cm2でオートクレーブを加圧し
た後、500rpmの撹拌速度で撹拌し乍ら220℃に昇温し、
四塩化ケイ素を液体状態のままとして、220℃で2時間
のトリクロロシランの生成反応を行った。反応終了後オ
ートクレーブを5℃に冷却しながら反応液を取り出し分
析した。
TCS/(TCS+STC)=8.7mol%でトリクロロシランの生
成が認められた。
実施例9 NaCl−AlCl3溶融塩(1:2mol比)を9.2g加えた以外は
総て実施例8と同一の反応条件でトリクロロシランの生
成反応を行った。
反応液中にトリクロロシランが8.4molとなり、溶融塩
組成に殆ど影響されずにトリクロロシランが生成した。
発明の効果 本発明は、四塩化ケイ素をトリクロロシランへ経済的
に変換する極めて有効な方法であり、且つ該変換反応を
有効に遂行させ得る触媒を提供するものである。
従来四塩化ケイ素のトリクロロシランへの変換反応
は、500〜600℃の高温で行うことを余儀なくされていた
が、本発明を遂行することにより、その高い反応活性を
有する触媒を使用するため、かってない300℃程度の低
温領域においても円滑に且つ有効に該変換反応を遂行す
ることが可能となった。加えて本発明においては、その
触媒成分の揮発を防止することに成功したため、該反応
を高い効率で且つ定常的に遂行することが可能となっ
た。更に驚くべきことには、本発明においては、四塩化
ケイ素をその臨界温度以下の液体状態として反応を行う
こともできる。
又当然のことながら、低温で該反応を可能とした結
果、反応装置等の腐食も大幅に抑制することが可能とな
った。
以上のように本発明を実施することにより、その高い
反応活性の観点から反応設備の縮小、小型化、その低温
高活性の観点から従来法に比較して大幅なエネルギーの
低減、低温反応遂行による装置等の腐食の抑制の観点か
ら材料費の低減化且つ耐用年数の長期化、加えて触媒成
分等の揮発の抑制の観点から原料費等の低減且つプロセ
ス上のトラブルの抑制等、経済的にも更には工業的にも
極めて有益に該反応を遂行することが可能となる。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】四塩化ケイ素と金属ケイ素を、水素又は水
    素及び塩化水素と反応せしめてトリクロロシランを製造
    する方法において、該四塩化ケイ素を液体又は気体状態
    として、該反応系を気体−液体−固体又は気体−固体の
    不均一相反応とすると共に、該不均一反応を、金属銅及
    び/又は銅化合物、ハロゲン化アルミニウムの溶融塩及
    び酸化タングステン及び/又は酸化モリブデンの存在下
    に行う事を特徴とするトリクロロシランの製造方法。
  2. 【請求項2】ハロゲン化アルミニウムの溶融塩がハロゲ
    ン化アルミニウムとアルカリ金属のハロゲン化物から構
    成される請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】ハロゲン化アルミニウムが塩化アルミニウ
    ムである請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】アルカリ金属のハロゲン化物がナトリウム
    又はカリウムの塩化物である請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】酸化タングステンが三酸化タングステン又
    は無水タングステン酸、酸化モリブデンが三酸化モリブ
    デン又は無水モリブデン酸である請求項1に記載の方
    法。
  6. 【請求項6】銅化合物が塩素化銅である請求項1に記載
    の方法。
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