JP2613096B2 - 耐薬品性ゴムロール - Google Patents

耐薬品性ゴムロール

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JP2613096B2 JP23885088A JP23885088A JP2613096B2 JP 2613096 B2 JP2613096 B2 JP 2613096B2 JP 23885088 A JP23885088 A JP 23885088A JP 23885088 A JP23885088 A JP 23885088A JP 2613096 B2 JP2613096 B2 JP 2613096B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、硝酸、硝弗酸を代表とする強酸に対し十分
に耐え得る耐薬品性ゴムロールに関する。
〔従来の技術〕
従来、エチレン・プロピレン三元共重合体ゴム(EP
T)は、耐薬品性に優れるポリマーとして知られてい
る。このEPTは、通常、補強剤、充填剤、老化防止剤、
加硫助剤、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤等の配合剤と混
合されて、ゴム組成物として用いられる。しかしなが
ら、EPTを用いた従来のゴム組成物は、上記のような強
酸に対しては、硫黄加硫では侵され、また配合剤、例え
ば、老化防止剤、金属酸化物、加工助剤等が侵されるた
め、耐薬品性が十分でないという問題がある。
また、クロルスルホン化ポリエチレンや塩素化ポリエ
チレンなども耐薬品性に優れるポリマーとして用いられ
ている。しかし、これらのポリマーは、配合剤との配合
に際し加硫助剤としてMgOのような金属酸化物を用いな
ければならないため、得られるゴム組成物中に金属酸化
物が存在し、この金属酸化物が硝酸や硝弗酸にやられる
という欠点がある。
したがって、これらのゴム組成物で鉄心を被覆してゴ
ムロールを作製したとしても、そのゴムロールが耐薬品
性に劣ってしまう。なお、ゴムロールは、製鉄工業、非
鉄金属工業等において連続酸洗ラインなどて使用される
鉄心ゴム被覆ロールである。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、硝酸、硝弗酸を代表とする強酸に長期間浸
漬しても硬さや重量の変化が殆どなく、外観も元の状態
を保持できる耐薬品性ゴム組成物を用いた耐薬品性ゴム
ロールを提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、ムーニー粘度ML1+4′100℃が80以下のEP
T、ヨウ素吸着量50mg/g以下のカーボンブラック、およ
びパーオキサイドからなっていて亜鉛華を配合しない耐
薬品性ゴム組成物、又はこのゴム組成物に、さらに、加
工伸展油、および/又は架橋助剤を配合してなる耐薬品
性ゴム組成物で鉄心を被覆してなる耐薬品性ゴムロール
を要旨とする。
以下、この手段につき詳しく説明する。
本発明で用いるEPTは、ムーニー粘度ML1+4′100℃が8
0以下、好ましくは65〜20のものである。80超の場合に
は、未加硫ゴムの圧延作業において未加硫ゴムシート生
地の外観が悪く、ゴムロール成型に適さなくなってしま
う。
カーボンブラックは、ヨウ素吸着量50mg/g以下、好ま
しくは45〜20mg/gのものである。50mg/g超では、未加硫
ゴムの混合、圧延作業時の発熱が大きく、この熱履歴に
よりスコーチを起こし、所望の未加硫シートが得られな
い。このカーボンブラックとしては、例えば、FEF、SR
F、GPF、FT、MTなどが挙げられる。
パーオキサイドは、純度90%以上であることが好まし
い。純度90%未満では、その不純分もしくはパーオキサ
イドのバインダー成分である炭酸カルシウムが強酸に侵
され、耐薬品性が不十分となる場合があるからである。
本発明で用いるゴム組成物(A)は、上記EPTと上記
カーボンブラックと上記パーオキサイドからなってい
て、亜鉛華(ZnO)は配合しない。亜鉛華を配合する
と、ゴム組成物(A)の加硫後の耐硝酸性が悪化するか
らである。この場合の配合割合は、EPT100重量部に対
し、カーボンブラック50〜250重量部、パーオキサイド
0.005〜0.020モルであればよい。カーボンブラックが50
重量部未満では得られるゴム組成物が軟らかくなりすぎ
て不便であり、一方、250重量部を超えると硬くなりす
ぎてしまう。パーオキサイドが0.0050モル未満では架橋
が不十分となり、0.020モルを超えるとスコーチが発生
して加工性がわるくなる。
また、本発明で用いるゴム組成物(B)は、上記のゴ
ム組成物(A)に対し、さらに、加工伸展油、および/
又は架橋助剤(co−agent)のみを配合したものであ
る。加工伸展油は、例えば、パラフィン系油、ナフテン
系油等の一般のものである。この加工伸展油は加工性を
よくするために配合されるもので、その配合割合はEPT1
00重量部に対し100重量部以下であればよい。100重量部
を超えると得られるゴム組成物の耐薬品性および硬度が
低下するからである。また、架橋助剤は、通常用いられ
るものでよく、例えば、トリメチロールプロパンメタア
クリレート(TMPMA)、トリアリルイソシアヌレート(T
AIC)、ジアリルフタレート(DAP)などである。架橋助
剤は架橋剤の働きを補助するためのものであって、その
配合割合はEPT100重量部に対し5重量部以下であればよ
い。5重量部を超えるとスコーチが発生して加工性がわ
るくなるからである。
本発明では、上記のゴム組成物(A)又はゴム組成物
(B)をゴムロールに使用する。この場合、第1図に示
すように常法によりゴム組成物で鉄心を被覆すればよ
い。第1図は、ゴムロールの一例を示す部分断面説明図
である。第1図において、Aはゴムロールであって、鉄
心1の表面がゴム組成物2で被覆されている。このゴム
ロールAを作製するには、まず鉄心1の表面を未加硫の
ゴム組成物で覆い、ついでそのゴム組成物を加硫すれば
よい。このようにして、耐薬品性のゴムロールを得るこ
とができる。
以下に実施例および比較例を示す。
〔実施例、比較例〕
下記の本発明ゴム組成物および比較ゴム組成物でそれ
ぞれ加硫ゴムシートを作製し、これらの加硫ゴムシート
を5%HNO3溶液に70℃で28日間浸漬した場合(5%HNO3
×70℃×28日)について、浸漬前後の重量変化(%)、
硬度変化(JIS Hs)、および外観変化(表面の凹凸の発
生の有無)を評価した。この結果を表1に示す。なお、
外観変化は目視により浸漬前の外観を100として指数表
示することによった。また、本発明ゴム組成物および比
較ゴム組成物のそれぞれの未加硫ゴム加工性を、ミルロ
ール加工時の未加硫ゴムシート肌で評価した。この結果
も表1に示す。未加硫ゴムシート肌評価は、目視により
判定した。
(1) 本発明ゴム組成物1。
ムーニー粘度ML1+4′100℃が80のEPT100重量部、ヨウ
素吸着量43mg/gのカーボンブラックFEF70重量部、およ
び純度92.6%のパーオキサイド0.008モルからなる。
(2) 本発明ゴム組成物2。
ムーニー粘度ML1+4′100℃が62のEPT100重量部、ヨウ
素吸着量43mg/gのカーボンブラックFEF70重量部、およ
び純度99.5%のパーオキサイド0.008モルからなる。
(3) 本発明ゴム組成物3。
ムーニー粘度ML1+4′100℃が62のEPT100重量部、ヨウ
素吸着量43mg/gのカーボンブラックFEF70重量部、純度9
9.5%のパーオキサイド0.008モル、およびパラフィン油
13重量部からなる。
(4) 本発明ゴム組成物4。
ムーニー粘度ML1+4′100℃が62のEPT100重量部、ヨウ
素吸着量43mg/gのカーボンブラックFEF70重量部、純度9
9.5%のパーオキサイド0.008モル、パラフィン油13重量
部、およびTMPMA5重量部からなる。
(5) 比較ゴム組成物1。
ムーニー粘度ML1+4′100℃が83のEPT100重量部、ヨウ
素吸着量82mg/gのカーボンブラックHAF70重量部、およ
び純度99.5%のパーオキサイド0.008モルからなる。
(6) 比較ゴム組成物2。
ムーニー粘度ML1+4′100℃が83のEPT100重量部、ヨウ
素吸着量90mg/gのカーボンブラックHAF70重量部、純度9
9.5%のパーオキサイド0.008モル、パラフィン油13重量
部、およびTMPMA5重量部からなる。
(7) 比較ゴム組成物3。
ムーニー粘度ML1+4′100℃が62のEPT100重量部、ヨウ
素吸着量43mg/gのカーボンブラックFEF70重量部、純度9
9.5%のパーオキサイド0.008モル、パラフィン油13重量
部、TMPMA5重量部、およびZnO5重量部からなる。
(8) 比較ゴム組成物4。
ムーニー粘度ML1+4′100℃が62のEPT100重量部、ヨウ
素吸着量43mg/gのカーボンブラックFEF70重量部、ZnO5
重量部、パラフィン油13重量部、硫黄1.2重量部、促進
剤DM2重量部、および促進剤TT0.5重量部からなる。
表1から明らかなように、本発明ゴム組成物1〜4
は、加硫ゴム耐硝酸性において重量変化、硬度変化、お
よび外観変化が殆どなく、かつ未加硫ゴムシート肌も良
好である。これに対し、比較ゴム組成物1〜2は、加硫
ゴム耐硝酸性は良好であるが、未加硫ゴムシート肌につ
いては混合、圧延時の発熱による熱履歴のため所望のシ
ート外観が得られない。また、比較ゴム組成物3は、本
発明ゴム組成物4に金属酸化物ZnOを配合したものであ
るが、加硫ゴム耐硝酸性がZnO添加によって著しく悪く
なっている。さらに、比較例4は、通常のEPT硫黄加硫
ゴムであるが、加硫ゴム耐硝酸性が甚だしく悪くなって
いる。したがって、本発明ゴム組成物は、安全な未加硫
ゴム加工性を備えた耐薬品性に優れたゴム組成物である
ことが判る。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明にれば、硝酸、硝弗酸を代
表とする強酸に長期間浸漬しても硬さや重量の変化が殆
どなく、外観も元の状態を保持できる耐薬品性ゴムロー
ルを得ることができる。したがって、このゴムロール
は、フィルム酸洗ラインロール等の硬さ変化、外観変
化、粘着性などが全く許されない耐薬品性ロール等とし
て、また、鉄鋼酸洗ラインロール、ステンレス酸洗ライ
ンロールなどとして好適である。
【図面の簡単な説明】
第1図はゴムロールの一例を示す部分断面説明図であ
る。 1……鉄心、2……ゴム組成物。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 3:04 5:14)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ムーニー粘度ML1+4′100℃が80以下のエチ
    レン・プロピレン三元共重合体ゴム、ヨウ素吸着量50mg
    /g以下のカーボンブラック、およびパーオキサイドから
    なっていて亜鉛華を配合しない耐薬品性ゴム組成物で鉄
    心を被覆したことを特徴とする耐薬品性ゴムロール。
  2. 【請求項2】ムーニー粘度ML1+4′100℃が80以下のエチ
    レン・プロピレン三元共重合体ゴム、ヨウ素吸着量50mg
    /g以下のカーボンブラック、パーオキサイド、加工伸展
    油、および/又は架橋助剤からなっていて亜鉛華を配合
    しない耐薬品性ゴム組成物で鉄心を被覆したことを特徴
    とする耐薬品性ゴムロール。
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