JP2609671B2 - 塩素化エチレン系共重合体混合物 - Google Patents

塩素化エチレン系共重合体混合物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は加硫性がすぐれた塩素化エチレン系共重合体
混合物に関する。さらにくわしくは、耐油性、耐酸性お
よび耐アルカリ性が良好であり、さらに加硫性がすぐれ
ているばかりでなく、柔軟性および圧縮永久歪性も良好
であり、かつ金属や合成繊維の基材との接着性もすぐれ
ており、しかも耐熱性も良好である塩素化エチレン系共
重合体混合物に関する。
〔従来の技術〕
塩素化ポリエチレン、とりわけ非晶性塩素化ポリエチ
レンゴム状物は化学的に飽和構造であり、かつ塩素含有
分子物質であることに基いて、その架橋物(加硫物)
は、耐候性、難燃性、耐薬品性、電気的特性および耐熱
性のごとき物性が良好であるため、電線被覆、電気部
品、ホース、建材、自動車部品、パッキン、シートなど
に成形されて広範囲の産業分野において利用されいる。
しかし、この塩素化ポリエチレンは汎用ゴム(たとえ
ば、ブタジエンを主成分とするゴム)と異なり、前記し
たごとく化学的に飽和構造であるために硫黄または硫黄
供与体を加硫剤として加硫させることが困難である。そ
のため、架橋剤として一般には、有機過酸化物を使って
架橋させる方法が行なわれている。しかし、ホース、シ
ート、チューブなどを押出成形後、一般にゴム業界で使
われている加硫かんを用いて架橋した場合、得られる架
橋物を適正に架橋させることは難しい。そのために得ら
れる架橋物の引張強度、耐熱性などが劣る。さらに、金
属や合成繊維(たとえば、ナイロン、ポリエステルなど
の繊維)の基材との接着性もよくない。
そのため、硫黄または硫黄供与体を使用して加硫させ
ることが提案されている(たとえば、特開昭55−71742
号公報明細素)。また、本発明者の一部らは、硫黄およ
び/または硫黄供与体にさらにチオウレア系化合物、ジ
チオカーバメートの金属塩ならびに受酸剤として酸化マ
グネシウムおよび/または酸化鉛を配合させることによ
り、加硫が可能であり、さらに種々の機械的特性(たと
えば、引張強度)もすぐれている加硫性塩素化ポリエチ
レン系組成物を提案した(特開昭61−209244号)。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、この組成物は、第1図を比較することによっ
て明らかなごとく、加硫性はかならずしも満足すべきも
のではなく、したがって柔軟性および圧縮永久歪が充分
でなく、しかも耐熱性についても劣るという欠点があ
る。
以上のことから、本発明はこれらの欠点(問題点)が
なく、すなわち塩素化ポリエチレンの分野において要望
されている加硫性が極めて良好であるばかりでなく、耐
引張性および圧縮永久歪性のごとき機械的特性もすぐれ
ており、かつ金属や合成繊維の基材との接着性も良好で
あり、さらに耐熱性、耐油性、耐酸性および耐アルカリ
性についてもすぐれている塩素化されたエチレン系重合
体の混合物を得ることである。
〔課題を解決するための手段および作用〕
本発明にしたがえば、これらの課題は、 (A)メルトフローインデックス(JIS K7210にしたが
い、条件が4で測定、以下「MFR」と云う)が0.1〜100g
/10分であり、かつα、β−不飽和ジカルボン酸および
その無水物の共重合割合が合計量として0.5〜25モル%
である少なくともエチレンとα、β−不飽和ジカルボン
酸および/またはその無水物とのエチレン系共重合体の
塩素化物であり、該塩素化物の塩素含有率は5〜40重量
%であり、かつムーニー粘度(ML1+4、100℃)が5以上
である塩素化エチレン系共重合体 100重量部、 (B)一般式が(I)式で示されるチオウレア系化合物
1.0〜10.0重量部、 ただし、RおよびR′は同一でも異種でもよく、炭素数
が多くとも18個の炭化水素基である (C)ジチオカルバミン酸塩 0.05〜5.0重量部 (D)硫黄および/または硫黄供与体 0.1〜10.0重量
部 ならびに (E)受酸剤となる金属化合物 1.0〜15.0重量部 からなる塩素化エチレン系共重合体混合物、 によって解決することができる。以下、本発明を具体的
に説明する。
(A)塩素化エチレン系共重合体 本発明において使われる塩素化エチレン系共重合体を
製造するにあたり、原料であるエチレン系共重合体は少
なくともエチレンと「α、β−不飽和ジカルボン酸およ
び/またはその無水物」〔以下「コモノマー(1)」と
云う〕との共重合体である。該共重合体はエチレンとコ
モノマー(1)との共重合体でもよく、エチレンおよび
コモノマー(1)のほかに、第三共重合成分として「不
飽和カルボン酸エステル、アルコキシアルキルアクリレ
ートおよびビニルエステルからなる群からえらばれた少
なくとも一種の二重結合を有するモノマー」〔以下「コ
モノマー(2)」と云う〕とからなる多元共重合体でも
よい。
コモノマー(1)のうち、α、β−不飽和ジカルボン
酸の炭素数は通常多くとも20個であり、とりわけ4〜16
個のものが好適である。該ジカルボン酸の代表例として
は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ−シ
ス−フタル酸(ナディック酸 )があげられる。
本願のα、β−不飽和ジカルボン酸成分のうち、前記
α、β−不飽和ジカルボン酸の無水物が望ましく、なか
でも無水マレイン酸が好適である。
コモノマー(2)のうち、不飽和カルボン酸エステル
の炭素数は通常4〜40個であり、特に4〜20個のものが
好ましい。代表例としては、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレートなどの熱安定性のよい
ものが好ましく、t−ブチル(メタ)アクリレートのよ
うに熱安定性の悪いものは発泡などの原因となり好まし
くない。
さらに、アルコキシアルキルアクリレートの炭素数は
通常多くとも20個である。また、アルキル基の炭素数が
1〜8個(好適には、1〜4個)のものが好ましく、さ
らにアルコキシ基の炭素数が1〜8個(好適には、1〜
4個)のものが望ましい。好ましいアルコキシアルキル
アクリレートの代表例としては、メトキシエチルアクリ
レート、エトキシエチルアクリレートおよびブトキシエ
チルアクリレートがあげられる。
また、ビニルエステルの炭素数は、一般には多くとも
20個(好適には、4〜16個)である。好適なビニルエス
テルの代表例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、ビニルブチレート、ビニルピパレートなどがあげら
れる。
本発明のエチレン系共重合体において、コモノマー
(1)の共重合割合は0.5〜25モル%であり、1.0〜25モ
ル%が好ましく、特に1.0〜20モル%が好適である。コ
モノマー(1)の共重合体割合が0.1モル%未満のエチ
レン系重合体を用いると、得られる塩素化物の効果を発
揮しない。一方、25モル%を超えたエチレン系共重合体
は工業的に製造するさいにコストおよび製造上問題があ
る。
本発明において、エチレン、コモノマー(1)および
コモノマー(2)からなる三元共重合体は塩素化させる
さいにブロッキングがなく、反応を容易に実施すること
ができる。さらに、得られる塩素化エチレン系共重合体
はゴム弾性および耐熱性がすぐれているために好まし
い。
また、コモノマー(2)の共重合割合は製造的にも、
コスト的にも一般には多くとも25モル%であり、0.5〜2
5モル%のものが望ましく、とりわけ1.0〜25モル%のも
のが好適である。
該エチレン系重合体のMFRは0.1〜100g/10分であり、
0.5〜100g/10分のものが好ましく、特に1.0〜100g/10分
のものが好適である。MFRが0.1g/10分未満のエチレン系
共重合体を使うならば、得られる塩素化エチレン系共重
合体の成形性や混練性がよくない。一方、100g/10分を
超えたエチレン系共重合体を使用するならば、得られる
塩素化エチレン系共重合体の機械的特性がよくない。
本発明の塩素化エチレン系共重合体を製造するには、
該エチレン系共重合体を水性媒体中に懸濁させる。この
水性懸濁状態を保持するために、少量の乳化剤、懸濁剤
を加えることが好ましい。このさい、必要に応じて、ベ
ンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル
および過酸化水素のごときラジカル発生剤、ライトシリ
コン油などの消泡剤ならびにその他の添加剤を加えても
さしつかえない。
本発明の塩素化エチレン系共重合体を製造するにあた
り、前記の水性懸濁下で下記のごとき三つの方法で塩素
化させることが望ましい。
第一の方法は第一段階において用いられるエチレン系
共重合体の融点よりも少なくとも25℃低い温度である
が、50℃より高い温度において全塩素化量の20〜60%を
塩素化し、第二段階において前記第一段階における塩素
化温度よりも10℃以上高い温度であるが、該エチレン系
共重合体の融点よりも5〜15℃低い温度において残りの
塩素化を行なう方法である。
また、第二の方法は、第一段階において使われるエチ
レン系共重合体の融点よりも少なくとも25℃低い温度で
あるが、50℃より高い温度において全塩素化量の20〜60
%を塩素化し、第二段階において該エチレン系共重合体
の融点よりも1〜7℃高い温度まで昇温させ、この温度
において塩素を導入することなく10〜60分間アニールさ
せ、第三段階において該エチレン系共重合体の融点より
も2〜25℃低い温度において残りの塩素化を行なう方法
である。
さらに、第三の方法は第一段階において使用されるエ
チレン系共重合体の融点よりも少なくとも25℃低い温度
であるが、50℃より高い温度において全塩素化量の20〜
60%を塩素化し、第二段階において前記第一段階におけ
る塩素化温度よりも10℃以上高い温度であるが、該エチ
レン系共重合体の融点よりも5〜15℃低い温度で残りの
塩素化量の少なくとも30%であり、この段階までに全塩
素化量の60〜90%塩素化し、ついで第三段階において該
エチレン系共重合体の融点よりも低い温度であるが、融
点よりも2℃以下低い温度において塩素化を行なう方法
である。
このようにして得られる本発明において使用される塩
素化エチレン系共重合体の塩素含有率は5〜45重量%
(好ましくは、5〜40重量%、好適には、10〜35重量
%)である。この塩素化エチレン系共重合体の塩素含有
率が5重量%未満では、得られる塩素化エチレン系共重
合体を回収および精製するのに問題がある。その上、耐
焔性が乏しい。一方、45重量%を超えると生成される塩
素化エチレン系共重合体は、熱安定性および耐熱性にお
いて著しく低下するために好ましくない。
またムーニー粘度は100℃の温度においてラージ・ロ
ータで5ポイント以上であり、5〜150ポイントが望ま
しく、とりわけ10〜150ポイントが好適である。
さらに、メルトフローインデックス(JIS K−7210に
したがい、条件が8で測定、以下「FR」と云う)は、一
般には1〜100g/10分であり、3〜50g/10分が好まし
く、とりわけ5〜30g/10分が好適である。
(B)チオウレア系化合物 また、本発明において用いられるチオウレア系化合物
の一般式は下式〔(I)式〕で示されるものである。
ただし、RおよびR′は同一でも異種でもよく、炭素
数が多くとも18個の炭化水素基である。
この炭化水素基はアルキル基、シクロアルキル基、ア
リル(aryl)基およびアラルキル基からえらばれ、具体
例としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
シクロヘキシル基、ベンジル基があげられる。
このチオウレア系化合物としては、N,N′−ジフェニ
ルチオウレア、N,N′−ジエチルウレア、N,N′−ジエチ
レンチオウレア、N,N′−ジブチルチオウレア、N,N′−
ジラウリルチオウレアなどがあげられる。とりわけ、N,
N′−ジエチルチオウレアが好適である。
(C)ジチオカルバミン酸塩 さらに、本発明において使用されるジチオカルバミン
酸塩の一般式は下式〔(II)式〕で示されるものがあげ
られる。
(II)式において、R″およびRは同一でも異種で
もよく、あるいは互いに結合して環を形成してもよい。
R″およびRは炭素数が多くとも18個の炭化水素基で
ある。この炭化水素基としては、アルキル基、シクロア
ルキル基、アリル(aryl)基およびアラルキル基があげ
られる。また、Mは金属(たとえば、テルリウム、セレ
ニウム、ナトリウム、カリウム、鉛、銅、亜鉛、鉄、ビ
スマス、カドミウム、コバルト、マグネシウム、マンガ
ン)およびアミン類(たとえば、ジメチルアミン、ジエ
チルアミン、ジブチルアミン、N,N′−ジメチルシクロ
ヘキサミン、ピペリジン、ピペラジン、ピペコリン)で
あり、xは1〜4の整数である。
該ジチオカルバミン酸塩の代表例としては、ジメチル
ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバ
ミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸
ナトリウム、ペンタメチレンチオカルバミン酸ナトリウ
ム、ジメチルジチオカルバミン酸カリウム、ジ−n−ブ
チルジチオカルバミン酸カリウム、ジメチルジチオカル
バミン酸鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸鉛、エ
チルフェニルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカ
ルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ
−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチ
オカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバ
ミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、
ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカ
ルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テル
ル、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウム、ペンタメ
チレンジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチルジチオ
カルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジメ
チルジチオカルバミン酸ビスマス、ジメチルジチオカル
バミン酸ジメチルアンモニウム、ジブチルジチオカバミ
ン酸ジブチルアンモニウム、ジエチルジチオカルバミン
酸ジエチルアンモニウム、ジブチルジチオカルバミン酸
のN,N′−ジメチルシクロヘキサミン塩、ペンタメチレ
ンジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレ
ンジチオカルバミン酸ピペコリンなどがあげられる。
(D)硫黄および硫黄供与体 また、本発明において使われる硫黄および硫黄供与体
のうち、硫黄供与体は比較的高温(一般には50〜200
℃)において硫黄を放出させ得る化合物を指す。この硫
黄供与体の代表例は「便覧、ゴム・プラスチック配合薬
品」(ラバーダイジェスト社編、昭和49年発行)の第19
頁ないし第57頁に記載されているもののうち、ジスルフ
ィド以上のポリスルフィド結合を有するものである。
これらの硫黄供与体のうち、代表的なものとしては、
テトラメチルチウラム・ジスルフィド・ジペンタメチレ
ンチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム
・テトラスルフィドおよびジペンタメチレンチウラム・
ヘキサスルフィドがあげられる。これらの硫黄供与体の
うち、100〜200℃の温度範囲にて硫黄を放出するもの
(たとえば、ジペンタメチレンチウラム・テトラスルフ
ィド)が特に好適である。さらに、同刊行物、第3頁な
いし第5頁に記載された硫黄化合物も硫黄供与体として
好んで用いることもできる。該硫黄化合物の代表的なも
のとしては、一塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジ
スルフィドおよびアルキル・フェノール・ジスルフィド
があげられる。
また、本発明において使用される硫黄の代表例は同刊
行物、第1頁ないし第3頁に記載されている。その代表
例としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド・
硫黄および表面処理硫黄があげられる。
(E)金属化合物 さらに、本発明において用いられる受酸剤となる金属
化合物としては、周期律表第II属の金属の酸化物、水酸
化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩およ
び亜りん酸塩ならびに周期律表第IV a属の金属の酸化
物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜りん
酸塩、塩基性亜硫酸塩および三塩基性硫酸塩などがあげ
られる。
該金属化合物の代表例としては、酸化マグネシウム
(マグネシア)、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウ
ム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウ
ム、酸化カルシウム(生石灰)、水酸化カルシウム(消
石灰)、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリ
ン酸カルシウム、フタル酸カルシウム、亜りん酸マグネ
シウム、亜りん酸カルシウム、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸
化錫、リサージ、鉛丹、鉛白、二塩基性フタル酸塩、二
塩基性炭酸鉛、ステアリン酸鉛、塩基性亜りん酸鉛、塩
基性亜りん酸錫、塩基性亜流酸鉛、三塩基性硫酸鉛など
があげられる。
該金属化合物の平均粒径は通常0.1〜100μmであり、
0.2〜110μmが望ましく、とりわけ0.5〜50μmが好適
である。平均粒径が0.1μm未満の金属化合物を用いる
ならば、混練するさいに飛散などを生じ、取り扱いに問
題がる。一方、100μmを越えたものを使うと、二次凝
集が生じ易く均一に分散させることが難しい。
本発明の塩素化エチレン系共重合体混合物を製造する
にあたり、塩素化エチレン系共重合体に以上のチオウレ
ア系化合物、硫黄および/または硫黄供与体ならびに受
酸剤となる金属化合物を配合させることによって目的と
する混合物を得ることができるけれども、これらにさら
に他の加硫促進剤を配合させてもよい。
(F)他の加硫促進剤 本発明において使用される他の加硫促進剤は一般にゴ
ム業界において加硫促進剤として広く利用されているも
のである。おの代表例はチアゾール系、イミダゾリン
系、チウラム系、ウルフェンアミド系、ザンテート系、
グアニジン系およびアルデヒド・アミン系に分類あれ
る。また、前記刊行物第64頁ないし第67頁に記されてい
るアミン類ならびに該刊行物第64頁および第170頁ない
い第173頁に記載されているりん系化合物のごとき求核
試薬も加硫促進剤として使うことができる。これらの加
硫促進剤については特開昭59−1540号公開公報明細書に
代表例が記載されている。
(G)混合割合 100重量部の塩素化エチレン系共重合体に対する他の
混合成分の混合割合は下記の通りである。
チオウレア系化合物では、1.0〜10.0重量部であり、
2.0〜10.0重量部が好ましく、特に3.0〜10.0重量部が好
適である。チオウレア系化合物の混合割合が下限未満で
は、得られる混合物の加硫性が不充分である。一方、上
限を超えて配合したとしても、さらに加硫性を向上する
ことができない。さらに、硫黄および硫黄供与体の混合
割合はそれらの合計量として0.1〜10.0重量部であり、
0.1〜7.0重量部が好ましく、特に0.2〜7.0重量部が好適
である。硫黄および硫黄供与体の混合割合がそれらの合
計量として0.1重量部未満では、加硫性の良好な混合物
が得られない。一方、10.0重量部を越えて配合したとし
ても、さらに加硫性を向上することができないばかりで
なく、加硫物のゴム弾性が低下する。また、ジチオカル
バミン酸塩の混合割合は0.05〜5.0重量部であり、0.1〜
5.0重量部が望ましく、とりわけ0.1〜4.0重量部が好適
である。ジチオカルバミン酸塩の混合割合が0.05重量部
未満では、得られる混合物の加硫効果が乏しく、圧縮永
久歪性などの改良効果が乏しい。一方、5.0重量部を越
えて配合したとしても、得られる混合物の成形物にブリ
ードアウトするのみならず、混合性および成形性が低下
する。さらに、金属化合物の混合割合は、1.0〜15.0重
量部であり、2.0〜15.0重量部が望ましく、とりわけ3.0
〜12.0重量部が好適である。金属化合物の混合割合が1.
0重量部未満では、塩素化エチレン−プロピレン系共重
合体が脱塩化水素反応を生じる。一方、15.0重量部を越
えて配合したとしても、脱塩化水素反応をさらに防止す
ることができないのみならず、加工性が悪くなり、さら
に得られる加硫物のゴム強度が低下する。
その上、前記のその他の加硫促進剤を配合する場合で
は、一般には混合割合は多くとも10.0重量部である。
(H)混合方法、加硫方法、成形方法など 以上の物質を均一に配合させることによって本発明の
混合物を得ることができるけれども、さらにゴム業界に
おいて一般に使われている充填剤、可塑剤、酸素、オゾ
ン、熱および光(紫外線)に対する安定剤、滑剤ならび
に着色剤のごとき添加剤を混合物の使用目的に応じて添
加してもよい。
本発明の混合物を得るにはゴム業界において通常行な
われている混合方法を適用すればよい。この混合物を製
造するさい、本質的に塩素化エチレン系共重合体が加硫
しないことが重要である。このことから、混合は一般に
は室温ないし100℃において実施させる。
このようにして得られる混合物を使って一般のゴム業
界において一般に使用されている押出成形機、射出成形
機、圧縮成形機などを利用して所望の形状に形成され
る。
加硫は通常100〜200℃の温度範囲に成形中において、
あるいはスチーム缶、エアーバスなどによって加熱され
る。加硫時間は加硫温度によって異なるが、一般には0.
5〜120分である。
実施例および比較例 以下、実施例によって本発明をさらにくわしく説明す
る。
なお、実施例および比較例において、引張強度(以下
「TB」と云う)および伸び率(以下「EB」と云う)はシ
ョーパー試験機を用いて測定した。また、硬度試験はシ
ョアーAの硬度計を使用して測定した。さらに、圧縮永
久試験は25%圧縮に圧縮させ、一定荷重で圧縮を保持し
た後、100℃の熱老化試験機に22時間放置する。その
後、荷重を除去し、温度が23℃および温度が60%の恒温
室に30分間放置させ、その歪率を測定した。また、加硫
試験はディスクレオメーター(ODR−100型)試験機を使
って温度が150℃、振幅が3度、フルスケールが100Kg/c
m2で1時間測定し、その時の加硫曲線を測定した。
また、接着性試験は得られた各塩素化エチレン系共重
合体混合物の試片(厚さ 4mm)をアルミニウム板(厚
さ 約1mm)に接着し、JIS K6301に準じ、引張速度が50
mmの条件で90度の方向に剥離して評価した。
なお、実施例および比較例において使用した塩素化エ
チレン系共重合体、チオウレア系化合物、ジチオカルバ
ミン塩酸、硫黄および硫黄供与体、金属化合物およびそ
の他の加硫促進剤のそれぞれの種類および物性などを下
記に記す。
〔(A)塩素化エチレン系共重合体〕
塩素化エチレン系共重合体として、水性懸濁状でMFR
が100g/10分であり、かつ融点が108℃であるエチレン−
メチルメタクリレート−無水マレイン酸三元共重合体
(メチルメタクリレートの共重合割合18.5モル%、無水
マレイン酸の共重合割合1.5モル%、以下「EMMA」と云
う)10Kgを仕込み、攪拌しながら50〜85℃の温度範囲に
おいて該共重合体の塩素含有量が15.2重量%になるまで
塩素化した(第一段階塩素化)。ついで、反応系を109
〜118℃に昇温させ、この温度範囲において塩素の導入
を中止させて30分間アニール化を行なった(第二段階ア
ニール化)。ついで、反応系を冷却し、88〜106℃の温
度範囲において塩素含有量が35.1重量%になるまで塩素
化し(第三段階塩素化)、得られるムーニー粘度(ML
1+4、100℃)が32.5である塩素化エチレン系共重合体
〔FR 10.0g/10分、以下「CIEMMA(A)」と云う〕およ
び前記EMMA10Kgを上記と同様に仕込み、攪拌しながら50
〜80℃の温度範囲において該共重合体の塩素含有率が1
8.1重量%になるまで塩素化した(第一段階塩素化)。
ついで反応系を93〜103℃に昇温させ、この温度範囲に
おいて塩素含有量が30.0重量%になるまで塩素化した
(第二段階塩素化)。ついで118〜120℃の温度範囲で塩
素含有量が35.1重量%になるまで塩素化し(第三段階塩
素化)、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が、32.5である
塩素化エチレン系共重合体〔FR 11.0g/10分、以下「CI
EMMA(B)」と云う〕を使った。
〔(B)チオウレア系化合物〕
チオウレア系化合物として、ジエチルチオウレア(以
下「EUR」と云う)およびジエチレンチオウレア(以下
「2,2」と云う)を用いた。
〔(C)ジチオカルバミン酸塩〕
ジチオカルバミン酸塩として、ペンタメチレンチオカ
ルバミン酸ナトリウム(以下「PMTC」と云う)を使用し
た。
〔(D)硫黄および硫黄供与体〕
硫黄として、粉末状の硫黄(粒径200メッシュパス、
以下「S」と云う)を用い、また硫黄供与体として、ジ
ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(「TRA」と
云う)を使った。
〔(E)金属化合物〕
また、金属化合物として、平均粒径が1.0μmである
酸化マグネシウム(以下MgO」と云う)および平均粒径
が1.5μmである鉛丹(以下「Pb3O4」と云う)を用い
た。
〔(F)他の加硫促進剤〕
さらに、他の加硫促進剤として、テトラメチルチラウ
ム・ジスルフィド(以下「TT」と云う)を使用した。
実施例1〜7、比較例1〜8 第1表にそれぞれの配合量および種類が示される配合
物を室温(約20℃)においてオープンロールを使って20
分間混練してシート状内を成形した。得られた各シート
状物を圧縮成形機を用いて温度が160℃および圧力が200
Kg/cm2で30分間加硫しながら加硫物を製造した。得られ
た加硫物について引張強度、伸び、硬さおよび圧縮永久
歪の試験を行なった。それらの結果を第2表にしめす。
さらに、加硫試験はオープンロールで得られたシート状
物を使用してテストを行なった。それらの結果を第1図
に示す。
比較例 9 実施例1において使ったCIEMMA(A)のかわりに、あ
らかじめ分子量が約20万であり、かつ密度が0.950g/cm3
である高密度ポリエチレンを水性懸濁法により塩素化さ
せることによって得られるムーニー粘度(MS1+4、100
℃)が70であり、塩素含有量が35.3重量%である塩素化
ポリエチレンを用いたほかは、実施例1と同様に混練さ
せてシートを成形した。得られたシートを実施例1と同
様に加硫させて加硫物を製造した。得られた加硫物につ
いて引張強度、伸び、硬さおよび圧縮永久歪の試験を行
なった。それらの結果を第2表に示す。さらに、加硫試
験は実施例1と同様に行なった。その結果を第1図に示
す。
なお、比較例4および6では、加硫時において脱塩酸
をおこし、加硫物のシート状を形成することができなか
った。
なお、全実施例によって得られた各塩素化エチレン系
共重合体混合物の接着性試験を行なった。いずれも塩素
化エチレン系共重合体混合物の試片が切断した。
さらに、実施例1および2ならびに比較例1および9
によって得られた混合物(混練物)の架橋曲線をそれぞ
れa,b,cおよびdとして第1図に示す。
以上の実施例および比較例の結果から、本発明によっ
て得られた加硫性塩素化エチレン系共重合体混合物は、
引張強度(TB)および圧縮永久歪についてすぐれている
ばかりでなく、レオメーター曲線からみてもすぐれた加
硫曲線を描いていることが明白である。
〔発明の効果〕
本発明によって得られる塩素化エチレン系共重合体混
合物は、第1図から明らかなごとく加硫性が通常の塩素
化ポリエチレンに比べてすぐれているばかりでなく、下
記のごとき効果を発揮する。
(1)耐オゾン性が良好でる。
(2)反撥性がすぐれている。
(3)難燃性についても良好である。
(4)耐候性および耐久性もすぐれている。
(5)引裂性およびその他の機械的強度についても良好
である。
(6)耐油性にすぐれている。
(7)さらに耐熱性および低温性についても良好であ
る。
(8)金属などとの接着性がすぐれている。
本発明の塩素化エチレン系共重合体混合物は上記のご
ときすぐれた特性を有しているために多方面にわたって
利用することができる。代表的な応用例を下記に示す。
(1)自動車用各種部品(たとえば、ホース、チューブ
材) (2)電線の被覆材 (3)接着剤 (4)電子機器、電気機器などの部品
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1および2ならびに比較例1および9に
よって得られた各混合物のディスクレオメーターを使っ
て測定した架橋曲線図である。この図において、縦軸は
トルク(Kg・cm)を示し、横軸は架橋時間(分)を示
す。なおa,b,c,dはそれぞれ実施例1、実施例2、比較
例1および比較例9によって得られた混合物の架橋曲線
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/28 KDZ C08L 23/28 KDZ KEA KEA KFF KFF

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)メルトフローインデックスが0.1〜1
    00g/10分であり、かつα、β−不飽和ジカルボン酸およ
    びその無水物の共重合割合が合計量として0.5ないし25
    モル%である少なくもおエチレンとα、β−不飽和ジカ
    ルボン酸および/またはその無水物とのエチレン系共重
    合体の塩素化物であり、該塩素化物の塩素含有率は5〜
    40重量%であり、かつムーニー粘度(ML1+4、100℃)が
    5以上である塩素化エチレン系共重合体 100重量部、 (B)一般式が(I)式で示されるチオウレア系化合物
    1.0〜10.0重量部、 ただし、RおよびR′は同一でも異種でもよく、炭素数
    が多くとも18個の炭化水素基である、 (C)ジチオカルバミン酸塩 0.05〜5.0重量部、 (D)硫黄および/または硫黄供与体 0.1〜10.0重量
    部 ならびに (E)受酸剤となる金属化合物 10〜15.0重量部 からなる塩素化エチレン系共重合体混合物。
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