JP2612570B2 - 低硬度ポリアミドエラストマーの製造方法 - Google Patents

低硬度ポリアミドエラストマーの製造方法

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JP2612570B2
JP2612570B2 JP62060138A JP6013887A JP2612570B2 JP 2612570 B2 JP2612570 B2 JP 2612570B2 JP 62060138 A JP62060138 A JP 62060138A JP 6013887 A JP6013887 A JP 6013887A JP 2612570 B2 JP2612570 B2 JP 2612570B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は透明で加硫ゴム領域の低硬度を有するポリア
ミドエラストマーの製法に関するものである。さらに詳
しくいえば、本発明は特に柔軟性と透明性が要求される
分野、例えばホース、チューブ、フイルム、シートなど
の分野において好適に使用される、ポリカプラミドをハ
ードセグメントとし、ポリオキシテトラメチレングリコ
ール、変性ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリ
オキシプロピレングリコール及びα,ω−ジヒドロキシ
炭化水素の中から選ばれた同種あるいは異種の2つをジ
イソシアネートでつないだものを主なソフトセグメント
とする、柔軟な硬度を有し、かつ透明なポリアミドエラ
ストマーの製造方法に関するものである。
従来の技術 ポリアミドをハードセグメント、ポリエーテルをソフ
トセグメントとし、両者をエステル結合で連結したポリ
エーテルエステルアミド型のポリアミドエラストマー
は、工業用素材として広く利用されている。
このようなポリアミドエラストマーの製造方法として
は、例えば(1)両末端にカルボキシル基を有するポリ
アミドとポリオキシテトラメチレングリコールとを、チ
タン系触媒やジルコニウム系触媒を用いて迅速に脱水縮
合させる方法(特公昭56−45419号公報、特公昭58−114
59号公報)、(2)炭素数10以上のアミノカルボン酸又
はラクタムとポリオキシテトラメチレングリコールとジ
カルボン酸との混合物にさらに水を添加して重合させる
方法(特公昭57−24808号公報)、(3)ε−アミノカ
プロン酸、ポリオキシテトラメチレングリコール及びジ
カルボン酸を反応させる方法(特開昭58−21095号公
報)、(4)ポリオキシテトラメチレングリコールの代
りに、両末端に水酸基を有する炭化水素を用いる方法
(特開昭60−158217号公報)などが知られている。
ところで、ポリアミド成分として安価なカプロラクタ
ムを用いたポリアミドエラストマーは経済的に有利であ
るが、該ポリアミドエラストマーを前記の方法によつて
製造する場合、透明で機械的物性に優れたものが得られ
ないという欠点がある。これはポリカプラミドとポリオ
キシテトラメチレングリコールや両末端に水酸基を有す
る炭化水素との相容性が低く、しかもこれらのグリコー
ルの分子量が大きくなるほど、ポリカプラミドとの相容
性が低下することに起因する。
例えば、前記(1)の方法において、カルボキシル基
末端ポリアミドとしてナイロン−11やナイロン−12など
を用いる場合には、これらはポリオキシテトラメチレン
グリコールとの相容性が比較的に良く、かつポリオキシ
テトラメチレングリコールとの脱水縮合を迅速に行うた
めに特殊な触媒を用いているので、均質な重合が可能で
あるが、ポリカプラミドを用いる場合には、粗大相分離
を生じて均質な重合が困難であり、透明で機械的特性に
優れたものが得られない。
また、前記(2)の方法は、炭素数10以上のアミノカ
ルボン酸又はラクタムとポリオキシテトラメチレングリ
コールとジカルボン酸との混合物に、水2〜30重量%を
添加して重合を行う方法であつて、このような重合系に
おいては、「デイ・アンゲバンテ・マクロモレキユラー
レ・ヘキー(Die Angewandte Makromolekulare Chemi
e)」第74巻、第49ページ(1978年)に示されているよ
うに、まずアミノカルボン酸又はラクタムの重合が優先
して起こり、エステル化はほとんど起こらないので、重
合系はカルボキシル基末端ポリアミドとポリオキシテト
ラメチレングリコールとの混合物となり、次いで両者が
脱水縮合してポリエーテルエステルアミドが生成する。
したがつて、この(2)の方法において、ラクタムと
してカプロラクタムを用いる場合も、前記と同様に、ま
ずカルボキシル基末端のポリカプラミドが優先的に生成
し、このものはポリオキシテトラメチレングリコールと
の相容性が低いので、重合系中で粗大相分離を起こし、
重合が進行してもこの相分離は解消されず、乳白色の機
械的物性の劣るポリアミドエラストマーしか得られな
い。
さらに、前記(3)の方法はε−アミノカプロン酸、
ポリオキシテトラメチレングリコール及びジカルボン酸
の混合物を加熱溶融したのち、重合させる方法である
が、該ε−アミノカプロン酸は重合が速く、しかも重合
時に多量の水を発生するので、この方法においても加熱
溶融する均質化工程や重合初期にはエステル化はほとん
ど起こらず、優先的にポリアミドが生成し、このものは
ポリオキシテトラメチレングリコールとの相容性を欠く
ため、粗大相分離が起こり、透明なポリアミドエラスト
マーは得られない。また、前記(4)の方法は、ポリオ
キシテトラメチレングリコールの代りに両末端に水酸基
を有する炭化水素を用いる方法であるが、この方法をカ
プロラクタムを原料とするポリアミドエラストマーの製
造に適用しても、該炭化水素はポリオキシテトラメチレ
ングリコールと同様にポリカプラミドとの相容性を欠く
ので、重合中に粗大相分離を生じて、不透明のもろいポ
リマーしか得られない。
これら従来のポリアミドエラストマーの製造方法は、
それぞれ条件が異なつていても、反応の本質はあらかじ
め、あるいは反応の場で優先的に、重合されたカルボキ
シル基末端ポリアミドとポリオキシテトラメチレングリ
コール又は両末端に水酸基を有する炭化水素とを縮合す
るものであつて、ポリアミド化とエステル化とを別々に
進行させる重合方法である。
ところで、ポリアミドエストマーの硬度はハードセグ
メントであるポリアミドの含量に依存し、硬度の低いエ
ラストマーを製造するためには、ポリアミド含量を低く
する必要があるし、また、エラストマーの強度や耐熱性
を維持するには、ポリアミドセグメントの分子量を大き
くする必要がある。
他方、ポリアミドエラストマーの機械的強度や耐水性
などを向上する目的で、ソフトセグメントとして、ポリ
オキシテトラメチレングリコールが用いられているが、
市販されているポリオキシテトラメチレングリコール
は、主として数平均分子量約600〜2000のものであり、
これよりも数平均分子量の大きなものは工業的に入手し
にくい上に、ポリオキシテトラメチレングリコールは、
分子量が大きくなると、ブロツクポリマー中に組み込ま
れていても、低温で凍結しやすくなり、該エラストマー
の低温における弾性がそこなわれるため、低硬度のエラ
ストマーの製造にはおのずから限界がある。
また、ポリオキシプロピレングリコールもソフトセグ
メントとしては好ましいものであるが、一級と二級の水
酸基を有するために、エステル化の難易度が異なり、重
合時に高分子量になりにくくて、物性の良好なエラスト
マーが得られないという欠点を有している。
ポリエーテルエステルアミド以外にもいくつかのポリ
アミドエラストマーが知られており、ポリアミドオリゴ
マーをジイソシアネート化合物などで連結する方法とし
て、これまでトリブロツク型のポリアミド−ポリオキシ
アルキレングリコール−ポリアミド(末端はカルボキシ
ル基)をジイソシアネート化合物で連結する方法(特公
昭47−24675号公報)や、アミノ基末端がポリアミドあ
るいはカルボキシル基末端ポリアミドと両末端にイソシ
アネート基を有するポリエーテルを反応させる方法(特
公昭50−33119号公報)などが提案されているが、カル
ボキシル基とイソシアネート基の反応は炭酸ガスによる
発泡を伴い、高粘度領域での重合に難点がある上に、ア
ミノ基とイソシアネート基との反応はきわめて速く、バ
ルクで重合する場合には局部的に反応が進行し、均一に
重合できないなどの欠点を有している。
このように工業的に入手が容易で、かつ安価なカプロ
ラクタムをポリアミド成分とする低硬度かつ透明で機械
的特性が優れている上に、低温特性も良好なポリアミド
エラストマーは、これまで見出されていないのが実情で
あり、その開発が強く望まれていた。
発明が解決しようとする問題点 本発明は、このような要望にこたえ、安価なカプロラ
クタムをポリアミド成分とし、低硬度で透明性及び機械
的特性が優れている上に、低温特性も良好なポイアミド
エラストマーを提供することを目的としてなされたもの
である。
問題点を解決するための手段 本発明者らは、カプロラクタムをポリアミド成分とし
た、低硬度で透明なエラストマーを得るために、ソフト
セグメントの高分子量化と重合中のポリアミド成分とソ
フトセグメントの相容性について種々検討を重ねたとこ
ろ、カプロラクタムと、ジカルボン酸とポリオキシテト
ラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコー
ル及びα,ω−ジヒドロキシ炭化水素の中から選ばれた
少なくとも1種のグリコールとをジカルボン酸:グリコ
ールのモル比が実質的に1:2となるようにし、リン酸系
化合物触媒の存在下、ラクタムの重合促進剤である水を
加えずに、かつ反応系中の水の量が特定の範囲になるよ
うにエステル化で生成した水を系外に除去しながら反応
させると、エステル化の起こる条件下でカプロラクタム
の重合が著しく促進され、エステル化とカプロラクタム
の開環重合が平行して進行し、その結果反応系は粗大相
分離を起こさず、均一透明な溶融状態を保ち、両末端に
前記グリコール成分をエステル結合で連結したポリアミ
ド(以後、該ポリアミドをトリブロツク体という)が主
として得られ、次いでこれにジイソシアネート化合物を
反応させると均一透明溶融状態を保ちながら、すみやか
に高分子量化して透明かつ低硬度で機械的物性の良いエ
ラストマーが得られること及び異種のソフトセグメント
を併用した場合には低温特性も良好なエラストマーが得
られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成
するに至つた。
すなわち、本発明は、(A)カプロラクタムと、
(B)炭素数4〜40の脂肪族ジカルボン酸、炭素数8〜
20の脂環式ジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカ
ルボン酸の中から選ばれた少なくとも1種のジカルボン
酸と、(C)数平均分子量500〜4000をもつ、ポリオキ
シテトラメチレングリコール、変性ポリオキシテトラメ
チレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール及
びα,ω−ジヒドロキシ炭化水素の中から選ばれた少な
くとも1種のグリコールとを、(B)成分と(C)成分
とのモル比が実質上1:2になるような割合で、リン酸系
化合物触媒の存在下反応系の水分含有量を0.1〜1重量
%に保持しながら150〜300℃の温度において反応させた
のち、未反応カプロラクタムを除去して、両末端に
(C)成分をエステル結合で連結したポリアミドを形成
させ、次いでこのポリアミドに、(D)ジイソシアネー
ト化合物又はマスクされたジイソシアネート化合物を、
(C)成分に対するモル比が0.3〜0.6になるような割合
で加え、150〜250℃の温度において反応させることを特
徴とする低硬度ポリアミドエラストマーの製造方法を提
供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明方法において、原料の(A)成分として用いら
れるカプロラクタムの使用量については、特に制限はな
いが、透明で低硬度でかつ強靭なエラストマーを得るた
めには、該エラストマー中のポリアミドの含有量を10〜
60重量%、特にシヨアA硬度50ないしシヨアD硬度40の
低硬度とするためには、ポリアミド含有量を10〜45重量
%とするのが望ましい。さらには、このカプロラクタム
の使用量は、目的とするエラストマーの硬度やその他の
物性、あるいは使用するソフトセグメントの組成や分子
量によつて適宜選ばれる。
本発明方法においては、原料の(B)成分として、炭
素数4〜40の脂肪族ジカルボン酸、炭素数8〜20の脂環
式ジカルボン酸、及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン
酸の中から選ばれた少なくとも1種のジカルボン酸が用
いられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えばアジピ
ン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、不飽
和脂肪酸の二量化で得られるダイマー酸などが、脂環式
ジカルボン酸としては、例えばシクロヘキサンジカルボ
ン酸、デカリンジカルボン酸などが、芳香族ジカルボン
酸としては、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、ナフ
タリンジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカル
ボン酸はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み
合わせて用いてもよい。
本発明方法においては、原料の(C)成分として、ポ
リオキシテトラメチレングリコール、変性ポリオキシテ
トラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコ
ール及びα,ω−ジヒドロキシ炭化水素の中から選ばれ
たグリコールの1種あるいは2種以上の混合物が用いら
れる。
α,ω−ジヒドロキシ炭化水素としては、例えばオレ
フインやブタジエンを重合して末端を水酸基化し、かつ
その二重結合を水添して得られるポリオレフイングリコ
ールや水添ポリブタジエングリコールなどを用いること
ができるが、これらの炭化水素は数平均分子量が500〜4
000の範囲にあるものがよい。この数平均分子量が500よ
り小さいと、得られるエラストマーの融点が低くなつた
り、優れた物性のものにならないなどの問題を生じ、一
方、4000を超えると反応点が少なくなつて、エステル化
とカプロラクタムの開環重合とのバランスがとりにくく
なり、反応系をコントロールしにくくなる。
また、前記グリコール成分として、ポリオキシテトラ
メチレングリコールを用いる場合、その数平均分子量が
4000を超えると低温特性が劣つたものとなる傾向があ
る。
特にポリオキシテトラメチレングリコールのみをソフ
トセグメントとする場合には低温特性の観点から数平均
分子量が500〜2500のものを用いるのが好ましい。さら
に、低温特性の観点からみるとポリオキシテトラメチレ
ングリコールの分子量分布▲▼/▲▼(▲
▼は末端水酸基価より求めた数平均分子量、▲
▼は式 ▲▼=anti log(0.493logη+3.0646) で規定される粘度平均分子量であり、ηは40℃の温度に
おける溶融粘度をポアズ示したものである)が1.6以下
とシヤープなものを用いる方が好ましい。
本発明方法においては、前記のポリオキシテトラメチ
レングリコールの代りに、変性ポリオキシテトラメチレ
ングリコールも用いることができる。この変性ポリオキ
シテトラメチレングリコールとしては、通常のポリオキ
シテトラメチレングリコールの−(CH2−O−の一
部を−R−O−でおきかえたものが挙げられる。ここで
Rは炭素数2〜10のアルキレン基であり、具体的にはエ
チレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、2
−メチル−1,3−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−
プロピレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基な
どが好ましく挙げられる。変性量については特に制限は
ないが、通常3〜50重量%の範囲で選ばれる。またこの
変性量や前記アルキレン基の種類は、エラストマーの要
求特性、例えば低温特性、耐熱性、耐候性などによつて
適宜選ばれる。
この変性ポリオキシテトラメチレングリコールは、例
えばヘテロポリ酸を触媒とするテトラヒドロフランとジ
オールとの共重合や、ジオール又はジオールの縮合物で
ある環状エーテルとブタンジオールとの共重合などによ
つて製造することができる。
また、グリコール成分として、ポリオキシプロピレン
グリコールを用いる場合には、その数平均分子量が4000
を超えると反応しにくくなり、物性バランスのとれたエ
ラストマーが得られにくくなる。特に好ましいポリオキ
シプロピレングリコールは数平均分子量が500〜3000の
範囲のものである。
本発明で用いる(C)成分のグリコールは単独でもよ
いし、2種以上を混合して用いてもよい。用いるグリコ
ールの種類や分子量及び比率はエラストマーの低温特
性、耐候性、耐油性などの諸物性を考慮して適宜選択さ
れる。
本発明方法におる前記(B)成分のジカルボン酸と
(C)成分のグリコールとは、カルボキシル基/水酸基
モル比が、実質上0.5になるような割合で反応させるこ
とにより、トリブロツク体を主として得ることができ
る。グリコール成分を過剰に用いると、後続工程でジイ
ソシアネート化合物と反応させる際に、過剰のグリコー
ルとジイソシアネート化合物によるポリウレタンが生成
するため、物性のコントロールがしにくくなるし、ま
た、ジカルボン酸を多くするとトリブロツク体の他に、
ペンタブロツク体以上のマルチブロツク体が生成し、同
じように物性のコントロールが困難になる。
あらかじめジカルボン酸とカプロラクタムとを反応さ
せて調製したポリアミドジカルボン酸とグリコールとを
反応させてトリブロツク体を製造する方法では、両者の
相容性が悪く相分離した状態で反応するため、均一なト
リブロツク体が得られ、これを用いてジイソシアネート
化合物と反応しても、透明で強度のあるエラストマーと
はならない。
したがつて、本発明においては、透明で強度のあるエ
ラストマーを得るために、エステル化反応とカプロラク
タムとの重合を同時に進行させて、均質なトリブロツク
体を調製することが必要である。カプロラムタムが優先
的に重合したり、エステル化が優先して起こると、重合
中に粗大相分離が生じて透明性の低い不均質なトリブロ
ツク体しか得られない。
本発明方法においてトリブロツク体を調製するには、
前記の(A)カプロラクタム、(B)ジカルボン酸及び
(C)グリコールを、リン酸系化合物触媒の存在下、15
0〜300℃、好ましくは180〜280℃の範囲の温度において
溶融重縮合させるが、この際反応温度を段階的に昇温さ
せることもできる。リン酸系化合物触媒としては、例え
ばリン酸、ポリリン酸、メタリン酸などが挙げられる。
反応温度が150℃未満では重合速度が著しく遅くて実用
的でなく、また300℃を超えると熱劣化が起こるように
なるので好ましくない。
エステル化反応とカプロラクタムの重合を同時に起こ
させ、しかもそれぞれの反応速度をコントロールして、
透明性を有し、かつ均質なトリブロツク体を得るために
は、生成する水を系外に除去して、反応系の水分含量を
0.1〜1重量%の範囲に保持して重合することが必要で
ある。この水分含量が1重量%を超えるとカプロラクタ
ムの重合が優先して粗大相分離を生じ、一方0.1重量%
未満ではエステル化が優先してカプロラクタムが反応せ
ず、所望の組成のトリブロツク体が得られない。また、
該水分含量はトリブロツク体に望まれる物性に応じて前
記範囲内で適宜選ばれる。
本発明方法においては、所望に応じ、反応の進行に伴
い、反応系中の水分含量を減少させていく方法もとりう
る。この水分含量のコントロールは、例えば反応温度、
不活性ガスの導入流量、減圧度、あるいは反応器構造な
どの反応条件によつて行うことができる。
本発明方法においては、このようにして重縮合反応を
行つたのち、未反応カプロラクタムを除去するが、この
除去は、減圧下に加熱して留去させることによつて行う
のが有利である。また、所望に応じ、カプロラムタム留
去後、減圧下において200〜300℃、好ましくは230〜280
℃の範囲の温度に加熱し、わずかに残存するカルボキシ
ル基をさらにエステル化し、より均質なトリブロツク体
とすることもできるカルボキシル基の残存量が多いとこ
れがイソシアネート基と反応し、イソシアネート比が変
化するので、エラストマーの諸物性の設計が困難にな
る。したがつて、トリブロツク体中のカルボキシル基残
存量は、仕込みカルボキシル基に対して10当量%以下、
より好ましくは5当量%以下とすることが望ましい。
本発明方法においては、このようにして得られたトリ
ブロツク体に、(D)成分としてジイソシアネート化合
物又はマスクされたジイソシアネート化合物を、(C)
成分のグリコールに対するモル比(以下、イソシアネー
ト比と称する)が0.3〜0.6になるような割合、すなわ
ち、実質上該トリブロツク体の末端水酸基1モルに対し
イソシアネート基が0.6〜1.2モルになるような割合で加
え、反応させることが必要である。この反応により、低
粘度のトリブロツク体は急速に高分子量化し、透明で強
度が大きく、かつ低硬度のエラストマーが得られる。該
イソシアネート比が0.3未満では高重合体とならず、良
好なエラストマーは得られず、一方0.6を超えるとアミ
ド部にジイソシアネートの架橋が起こり、成形時の流動
性が悪くなる。好ましいイソシアネート比は、機械的特
性や成形時の流動性の点から0.35〜0.55の範囲で選ばれ
る。本発明方法で得られるポリアミドエラストマーは熱
可塑性であるが、一部架橋しているため、引張永久歪が
大幅に改良されたものとなる。また、該イソシアネート
比を選定することにより、ポリアミドエラストマーの溶
融粘度も変えることができ、ブロー成形に適したエラス
トマーを製造することができる。
この反応は、150〜250℃の範囲の温度で行われ、150
℃未満の温度では、トリブロツク体が溶融しにくく、ま
た、溶融しても十分に高分子量体となる前に、溶融粘度
が高くなつてかきまぜが困難となり、一方、250℃を超
えると、ウレタン結合の分解が起こりやすく、またアミ
ド結合との反応も加速されて、重合のコントロールが困
難になる上、熱劣化の原因にもなる。さらに、この反応
を円滑に進行させるには、ジイソシアネート化合物との
反応の前に、トリブロツク体中の水分を除去しておくの
が好ましい。
本発明方法で用いられるジイソシアネート化合物とし
ては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリレ
ンジイソシアネート、ジフエニルメタンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシ
アネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
水添キシリレンジイソシアネートなどの各種のジイソシ
アネートが挙げられる。耐候性が要求される用途にはヘ
キサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水
添キシリレンジイソシアネートなどを用いるのが好まし
い。また、マスクされたジイソシアネート化合物として
は、例えばラクタム、フエノール、低級アルコールなど
でマスクされたジイソシアネート化合物が挙げられ、特
にカプロラクタムでマスクされたジイソシアネート化合
物を用いるのが好ましい。カプロラクタムでマスクされ
たジイソシアネート化合物を用いる代りにカプロラクタ
ムとジイソシアネート化合物を用いてもよいし、トリブ
ロツク体を調製する際、一部のカプロラクタムを残して
おき、これにジイソシアネート化合物を添加してもよ
い。
また、ジイソシアネート化合物を反応させる際には、
必要に応じ、ウレタン化を促進する触媒、例えばトリブ
チルアミン、トリオクチルアミン、ジアザビシクロオク
タン、ジブチルスズジラウレート、ジラウレート亜鉛、
ジラウレート鉛などを用いることができる。
本発明方法においては、得られるポリアミドエラスト
マーの熱安定性を高めるために、各種の耐熱老化防止
剤、酸化防止剤などの安定剤を用いることができ、これ
らはトリブロツク体調製時、ジイソシアネート添加時、
あるいは重合後成形前のどの段階で添加することができ
る。耐熱安定剤としては、例えばN,N′−ヘキサメチレ
ン−ビス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシケイヒ
酸アミド)、4,4′−ビス(2,6−ジ第3ブチルフエノー
ル)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−第3ブ
チルフエノール)などの各種ヒンダードフエノール類、
N,N′−ビス(β−ナフチル)−p−フエニレンジアミ
ン、N,N′−ジフエニル−p−フエニレンジアミン、ポ
リ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)など
の芳香族アミン類、塩化銅、ヨウ化銅などの銅塩、ジラ
ウリルチオジプロピオネートなどのイオウ化合物やリン
化合物などが用いられる。さらに、本発明で得られるポ
リアミドエラストマーには紫外線吸収剤、帯電防止剤、
着色剤、充填剤、耐加水分解改良剤などを任意に含有さ
せることができる。
発明の効果 本発明方法によつて得られるポリアミドエラストマー
は、従来技術によつて得られるものとは異なり、低硬度
で透明性や機械的特性が良好な上に、低温特性や引張永
久歪にも優れたものであつて、透明性を要求される分
野、例えばホース、チューブ、シートなどに特に好適に
用いられる。したがつて、本発明方法は極めて工業的価
値の高い方法といえる。
実施例 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明はこれらの例によつてなんら限定されるものでは
ない。
なお、エラストマーの各物性は次のようにして求め
た。
(1) シヨア硬度 デユロメーターを用い、ASTM D−2240に準拠して測定
した。
(2) 引張破断強度 エラストマーを熱プレスで肉厚1mmのシートに成形
し、JIS K 6301に準拠してダンベル型試験片を打ち抜
き、引張強度試験機(インストロン社)で強度を測定し
た。
(3) 引張永久歪(100%伸長時) 1mm厚のプレスシートから試験部の長さ48mm、幅3mmの
ダンベル型試験片を打ち抜き、これに距離48mmの標線を
つけ、23℃で100%伸ばして所定の温度に15分間保持し
たのち、応力を除いて同温度で10分間保持後、標線間距
離aを測定し、式 より引張永久歪を求めた。
(4) 相対粘度 メタクレゾール中30℃、0.5重量/容量%の条件で測
定した。
(5) 酸価 ポリマー約1gを50mlのベンジルアルコールに溶解し、
フエノールフタレインを指示薬として、1/10N水酸化ナ
トリウム−メタノール溶液で滴定して求めた。
(6) ヘイズ値 肉厚1mmシートを用い、ASTM D1103−61に準拠してヘ
イズメーターを用いて測定した。
実施例1 かきまぜ機、窒素導入口及び留去管を取り付けた500m
lセパラブルフラスコに、カプロラクタム51.5g、ポリオ
キシテトラメチレングリコール(数平均分子量1980、Mv
is/Mn=1.45)180g、アジピン酸6.7g、N,N′−ヘキサメ
チレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ケイ皮酸アミド)(商品名、“イルガノツクス1098"、
酸化防止剤)0.24g、リン酸0.24gを仕込み、窒素を30ml
/minで流し、260℃で4時間反応を行つた。引き続き、
テトライソプロピルオルトチタネート0.48gを添加した
のち、1トール、15分間で未反応のカプロラクタムを留
去し、さらに、同温度で1時間反応を行つた。このプレ
ポリマーのポリオキシテトラメチレングリコールの含有
量は、84重量%で、酸価測定によるカルボキシル基残存
量は、3.4当量%であり、反応している間反応系中の含
水量は、0.4〜0.7重量%であつた。
また、実施例1の装置にカプロラクタム42.9g、数平
均分子量2200の飽和であるポリオレフイングリコール
〔三菱化成工業(株)製、ポリテールHA)150g及びアジ
ピン酸5gを、N,N′−ビス(β−ナフチル)−p−フエ
ニレンジアミン(商品名“ノクラツクホワイト”、耐熱
老化防止剤)0.2g及びリン酸0.2gと共に仕込み、これ以
降は前記と同様の操作によりプレポリマーを調製した。
このプレポリマーのポリオレフイングリコール含有量は
83重量%で、酸価測定によるカルボキシル基残存量は、
3.1当量%であり、反応系中の含水量は、0.5〜0.7重量
%であつた。
このようにして得られたポリオキシテトラメチレング
リコール系プレポリマー20g、ポリオレフイングリコー
ル系プレポリマー20gにヘキサメチレンジイソシアネー
ト1.4g(イソシアネート比0.5)を加えて、窒素ガス気
流中で220℃、20分間反応を行つたところ、透明で柔軟
なエラストマーが得られ、ヘイズ値は45%であつた。こ
のエラストマーは、引張強度及び伸度がそれぞれ234kg/
cm2、860%で、−20℃、−10℃、0℃、23℃での引張永
久歪は、それぞれ71%、42%、18%、4%であり、シヨ
アA硬度及びシヨアD硬度は、それぞれ64、15であつ
た。
実施例2 実施例1で合成したポリオレフイングリコール系プレ
ポリマー40gを、実施例1と同様の装置に仕込み、さら
に、ヘキサメチレンジイソシアネート1.3g(イソシアネ
ート比0.55)を加えて窒素ガス気流中で、180℃、30分
間反応を行つたところ、ヘイズ値が30%の透明で柔軟な
エラストマーが得られた。このエラストマーは、引張強
度及び伸度が130Kg/cm2、630%で、−20℃、−10℃、0
℃、23℃での引張永久歪は、それぞれ25%、12%、5
%、2%であり、硬度シヨアA及びシヨアDは、それぞ
れ50、10であつた。
実施例3 実施例1で合成したポリオキシテトラメチレングリコ
ール系プレポリマー及びポリオレフイングリコール系プ
レポリマーを、それぞれ36g、4g実施例1と同様の装置
に仕込み、さらに、ヘキサメチレンジイシシアネート1.
3g(イソシアネート比0.48)を加えて、窒素ガス気流中
で210℃、15分間反応を行つたところ、透明で柔軟なエ
ラストマーが得られた。また、ヘイズ値は、30%であつ
た。このエラストマーは、引張強度及び伸度が、それぞ
れ421Kg/cm2、1000%で、0℃及び23℃の引張永久歪
は、それぞれ32%、2%であり、シヨアA硬度及びシヨ
アD硬度は、それぞれ68、18であつた。
実施例4 実施例1と同様の装置に、実施例1で合成したポリオ
キシテトラメチレングリコール系プレポリマー及びポリ
オレフイングリコール系プレポリマーを、それぞれ12
g、28gとトリレンジイソシアネート1.3g(イソシアネー
ト比0.5)を仕込んで、窒素ガス気流中で200℃、10分間
反応を行つたところ、透明で柔軟なエラストマーが得ら
れた。このエラストマーは、引張強度及び伸度が、それ
ぞれ200Kg/cm2、900%で、−10℃、0℃、23℃での引張
永久歪はそれぞれ29%、10%、2%であり、シヨアA硬
度及びシヨアD硬度は、それぞれ65、16であつた。ま
た、ヘイズ値は40%であつた。
実施例5 実施例1と同様の装置に、実施例1で合成したポリオ
キシテトラメチレングリコール系プレポリマー及びポリ
オレフイン系プレポリマーを、それぞれ35g、15gとヘキ
サメチレンジイソシアネート1.2g(イソシアネート比0.
5)を仕込んで、窒素ガス気流中で210℃、10分間反応を
行つたところ、透明で柔軟なエラストマーが得られた。
このエラストマーは、引張強度及び伸度がそれぞれ454K
g/cm2、1000%で、23℃での引張永久歪は2%であり、
シヨアA硬度及びシヨアD硬度は、それぞれ69、19であ
つた。また、ヘイズ値は39%であつた。
実施例6 実施例1と同様の装置にカプロラクタム42.9g、ポリ
オキシテトラメチレングリコール(数平均分子量1980、
Mvis/Mn=1.45)150g、テレフタル酸12.6g「ノクラツク
ホワイト」0.2g、ポリリン酸0.4gを仕込み、窒素を50ml
/minで流し、260℃で4時間反応を行つた。引き続き、
1トール、15分間で未反応のカプロラクタムを留去し、
さらに、同温度で2時間反応を行つた。このプレポリマ
ーのポリオキシテトラメチレングリコールの含有量は、
84重量%で、酸価測定による残存カルボキシル基残存量
は、2.3当量%であり、反応している間反応系中の含水
量は、0.3〜0.5重量%であつた。
また、実施例1の装置にカプロラクタム38.4g、両末
端に水酸基を有する数平均分子量1970のポリブタジエン
水添物(日本曹達(株)製、商品名;NISSO−PB GI 200
0)150g、アジピン酸5.0g、「イルガノツクス1098」0.2
4g及びリン酸0.24gを仕込み、窒素を40ml/minで流し、2
60℃4時間重合した。引き続き、1トール、10分で未反
応カプロラクタムを留去し、同温度で2時間重合を行つ
たところ、淡黄色透明のプレポリマーを得た。このプレ
ポリマーのポリブタジエン水添物含有量は、84重量%
で、酸価測定によるカルボキシル基残存量は、2.9当量
%であり、反応している間反応系中の含水量は、0.5〜
0.7重量%であつた。
実施例1の装置に、前記のポリオキシテトラエチレン
グリコール系プレポリマー及びポリブタジエン水添物系
プレポリマーを、それぞれ20g、20gとヘキサメチレンジ
イソシアネート2g(イソシアネート比0.5)を仕込ん
で、窒素ガス気流中で220℃、10分間反応を行つたとこ
ろ、透明で柔軟なエラストマーが得られた。このエラス
トマーは、引張強度及び伸度がそれぞれ252Kg/cm2、800
%で、23℃での引張永久歪は3%であり、シヨアA硬度
及びシヨアD硬度は、それぞれ62、15であつた。また、
ヘイズ値は43%であつた。
実施例7 実施例1と同様の装置にカプロラクタム33.9g、ポリ
オキシテトラメチレングリコール(数平均分子量990、M
vis/Mn=1.65)27.5g、シクロヘキサンジカルボン酸2.0
g、「イルガノツクス1098」0.06g、リン酸0.06gを仕込
み、窒素を50ml/minで流し、260℃で4時間重合した。
次いで、同温度で徐々に減圧とし、1トール、10分で未
反応カプロラクタムを系外に留去し、さらに、1時間反
応を続けた。このプレポリマーは、ポリオキシテトラメ
チレングリコールの含有量が、61重量%であり、反応開
始後2時間目、4時間目の系中の含水量は、それぞれ0.
5重量%、0.3重量%であつた。
このプレポリマー30gにヘキサメチレンジイソシアネ
ート1.5g(イソシアネート比0.5)を加えて、窒素ガス
気流中、220℃で20分間反応を行つたところ、透明で柔
軟なエラストマーが得られた。このエラストマーは、引
張強度及び伸度が、それぞれ691Kg/cm2、700%で、23℃
での引張永久歪は12%であり、シヨアA硬度及びシヨア
D硬度は、それぞれ93、40であつた。また、ヘイズ値は
38%であつた。
実施例8 かきまぜ機、窒素導入口及び留去管を取り付けた500m
lセパラブルフラスコにカプロラクタム51.5g、ポリオキ
シテトラメチレングリコール180g(数平均分子量1980、
Mvis/Mn=1.45)及びアジピン酸6.7gを、「イルガノツ
クス1098」0.24g及びリン酸0.24gと共に仕込み、窒素を
30ml/minで流し、260℃で4時間重合した。次いで、同
温度で徐々に減圧とし、1トール、10分で未反応カプロ
ラクタムを系外に留去し、さらに、50分反応を続けた。
このプレポリマーは、ポリオキシテトラメチレングリコ
ールの含有量が、16重量%であり、重合系中の水量は重
合開始後1、2、4時間目でそれぞれ0.6、0.8、0.5重
量%であつた。また、酸価測定によるカルボキシル基残
存量は3.0当量%であつた。
このプレポリマー30gにヘキサメチレンジイソシアネ
ート1.4g(イソシアネート比1.0)を加えて、窒素ガス
気流中で220℃、20分間反応を行つたところ、透明で柔
軟なエラストマーが得られた。このエラストマーは、引
張強度及び伸度が、それぞれ586Kg/cm2、1400%で、23
℃での引張永久歪は2%であり、シヨアA硬度及びシヨ
アD硬度は、それぞれ73、20であつた。また、ヘイズ値
は24%であつた。
比較例1 実施例1の装置の留去管をコンデンサーに変え、カプ
ロラクタム93.5g、アジピン酸20g及び水4gを仕込み、26
0℃で6時間反応し、末端カルボキシル基のポリカプラ
ミドを製造した。このものは酸価測定から平均分子量81
0であつた。実施例1の装置に上記ポリアミド30g、数平
均分子量1980のポリオキシテトラメチレングリコール14
6.7g及びテトライソプロピルオルトチタネート0.17g仕
込み、260℃、1トールで4時間反応した。反応中反応
物は乳白色を呈し、乳白色不透明のプレポリマーが得ら
れた。
このプレポリマー30gにヘキサメチレンジイソシアネ
ート1.1gを加えて、窒素ガス気流中で2時間反応を行つ
たところ、乳白色不透明で、もろいポリマーしか得られ
なかつた。
比較例2 実施例1の装置の留去管をコンデンサーに変えて、ε
−カプロラクタム108g、アジピン酸20g、及び水3.8gを
仕込み、260℃で6時間反応し、末端カルボキシル基の
ポリカプラミドを合成した。このものは酸価測定から、
平均分子量が900であつた。次に、実施例1の装置に上
記ポリアミド20.7g、数平均分子量2150のポリオキシテ
トラメチレングリコール48.3g及びテトラブチルオルト
チタネート0.7gを仕込み、260℃、1トールで12時間重
合した。得られた重合物は、淡黄白色不透明で、引張強
度75Kg/cm2、伸度80%のもろいものであつた。なお、こ
のもののヘイズ値は92%であつた。
実施例9 実施例1の装置にカプロラクタム90.4g、ポリオキシ
テトラメチレングリコール(数平均分子量1980、Mvis/M
n=1.45)150g、ダイマー酸(ヘンケル白水(株)製バ
ーサダイム)21.3g、N,N′−ビス(β−ナフチル)−p
−フエニレンジアミン(ノクラツクホワイト)0.26g、
ピロリン酸0.26gを仕込み、窒素を30ml/minで流し、260
℃で4時間反応を行つた。引き続き1トール、15分間で
未反応のカプロラクタムを留去し、さらに、同温度で1
時間重合を行つた。このプレポリマーのポリオキシテト
ラメチレングリコールの含有量は66重量%で、酸価測定
によるカルボキシル基残存量は、2.9当量%であつた。
また、エステル化率及びカプロラクタムの転化率は、反
応開始後1時間目、2時間目、4時間目で、それぞれ、
60%、42%;75%、49%;84%、58%であり、反応系中の
含水量は0.5〜0.8重量%であつた。
このプレポリマー40gにヘキサメチレンジイソシアネ
ート1.1g(イソシアネート比0.5)を加えて、窒素ガス
気流中に210℃、20分間反応を行つたところ、透明で柔
軟なエラストマーが得られた。このエラストマーは、引
張強度及び伸度が、それぞれ573Kg/cm2、800%で、23℃
での引張永久歪は6%であり、シヨアA硬度及びシヨア
D硬度は、それぞれ85、31であつた。また、ヘイズ値は
38%であつた。
実施例10 かきまぜ装置と還流冷却器を付けた容器に、テトラヒ
ドロフラン(THF)600gとエチレングリコール25.5gを仕
込む。次いで、250℃で3時間加熱して無水の状態にし
たリンタングステン酸(H3PW12O40)300gを加える(エ
チレングリコールのモル数はリンタングステン酸のモル
数の約4倍である)。温度を60℃に設定して、4時間か
きまぜたのち、室温で静置して二相に分離する。上層か
ら未反応のTHFを蒸留で除き、透明で粘性のあるポリマ
ー126gを得た。得られたポリマーの1H−NMR(400MH
z)、13C−NMR(400MHz)測定の結果、ポリマーは、エ
チレングリコール/THF=1/9(mol比)共重合したポリエ
ーテルグリコールであり、エチレングリコールはブロツ
ク的でなく、ランダムに共重合したものであり、水酸基
価を測定した結果、数平均分子量は1500で融点は14℃で
あつた。
実施例1と同様の装置にε−カプロラクタム90.5g、
上記で得られたエチレングリコールを共重合したポリオ
キシテトラメチレングリコール120g、テレフタル酸13.3
g、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物
(商品名ノクラツク224、老化防止剤)0.12g及びリン酸
0.12gを仕込み、200〜250mmHgの減圧下、260℃で4時間
重合を行つた。その後、テトラブチルオルトチタネート
0.24g添加して、260℃で減圧とし、未反応カプロラクタ
ム留去し、さらに、1時間、1トールで重合して、無色
透明のプレポリマーを得た。この変性ポリオキシテトラ
メチレングリコール系プレポリマー20gと実施例1のポ
リオフイングリコール系プレポリマー20gにイソホロン
ジイソシアネート2.3g(イソシアネート比0.5)を加え
て、窒素ガス気流中で220℃、10分間反応を行つたとこ
ろ、透明で柔軟なエラストマーが得られた。このエラス
トマーは、引張強度及び伸度が、それぞれ300Kg/cm2、8
50%で、23℃での引張永久歪は5%であり、シヨアA硬
度及びシヨアD硬度は、それぞれ72、15であつた。ま
た、ヘイズ値は34%であつた。
実施例11 エチレングリコールの代わりにネオペンチルグリコー
ルを用い、実施例10と同様にしてネオペンチルグリコー
ルがTHF/ネオペンチルグリコール=5/1(モル比)で共
重合した数平均分子量1970のポリオキシテトラメチレン
グリコールを調製した。
実施例1と同様の装置にε−カプロラクタム95.0g、
上記で得られたネオペンチルグリコール変性ポリオキシ
テトラメチレングリコール120g、アジピン酸11.1g、
「イルガノツクス1098」0.2g及びポリリン酸エチルエス
テル0.2gを仕込み、窒素流量30ml/minで、240℃におい
て4時間重合を行つた。引き続き、260℃で減圧とし、
未反応カプロラクタムを留去し、さらに、1時間1トー
ルで重合して、無色透明のプレポリマーを得た。
このプレポリマー50gにジフエニルメタンジイソシア
ネート2.6g(イソシアネート比0.5)を加えて、窒素ガ
ス気流中で、200℃、15分間反応を行つたところ、透明
で柔軟なエラストマーが得られた。このエラストマー
は、引張強度及び伸度が、それぞれ285Kg/cm2、900%
で、0℃、23℃での引張永久歪は、それぞれ15%、8%
であり、シヨアA硬度及びシヨアD硬度は、それぞれ7
3、15であつた。また、ヘイズ値は25%であつた。
実施例12 実施例1と同様の装置にε−カプロラクタム90.4g、
ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量1073)
140g、アジピン酸10.2g、「ノクラツク224」0.24g及び
リン酸0.24gを仕込み、窒素流量50ml/minで、260℃にお
いて4時間重合を行つた。その後テトライソプロピルオ
ルトチタネート0.48gを添加し、260℃、減圧下で、未反
応カプロラクタムを留去し、さらに、2時間、1トール
で重合して、淡黄色透明のプレポリマーを得た。
このプレポリマー12.7gと実施例8と合成したポリオ
キシテトラメチレングリコール系プレポリマー20gにヘ
キサメチレンジイソシアネート3.9g(イソシアネート比
0.5)を加えて、窒素ガス気流中で210℃、20分間反応を
行つたところ、透明で柔軟なエラストマーが得られた。
このエラストマーは、引張強度及び伸度が、それぞれ27
3Kg/cm2、1200%で0℃、23℃での引張永久歪は、それ
ぞれ20%、5%であり、シヨアA硬度及びシヨアD硬度
は、それぞれ73、16であつた。また、ヘイズ値は50%で
あつた。
実施例13 実施例1と同様の装置にカプロラクタム110.5g、ポリ
オキシテトラメチレングリコール(保土ケ谷化学(株)
製、数平均分子量650、Mvis/Mn=2.65)30.5g、デカン
ジカルボン酸8.3g、「イルガノツクス1098」0.07g、ポ
リリン酸0.07gを仕込み、窒素を20ml/minで流し、260℃
で4時間重合した。次いで、同温度で徐々に減圧とし、
1トール、10分で未反応カプロラクタムを系外に留去
し、さらに1時間反応を続けた。このプレポリマーは、
ポリオキシテトラメチレングリコールの含有量が、50重
量%であり、反応中、反応系中の水分量は0.4〜0.7重量
%であつた。
このプレポリマー30gにトリレンジイソシアネート1.6
g(イソシアネート比0.43)を加えて、窒素ガス気流中
で240℃、15分間反応を行つたところ、透明で柔軟なエ
ラストマーが得られた。このエラストマーは、引張強度
及び伸度が、それぞれ650Kg/cm2、650%で、23%での引
張永久歪は18%であり、シヨアA硬度及びシヨアD硬度
は、それぞれ97、45であつた。
実施例14 実施例1と同様の装置にε−カプロラクタム71.3g、
ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)
120g、デカンジカルボン酸5.2g「イルガノツクス1098」
0.2g及び、ピロリン酸0.4gを仕込み、窒素流量30ml/min
で4時間重合を行つた。引き続いて、260℃、減圧下
で、未反応カプロラクタムを留去し、さらに、1時間、
1トールで重合し、淡黄色透明のプレポリマーを得た。
上記のプレポリマー24gに実施例8で合成したポリオ
キシテトラメチレングリコール系プレポリマー6g、トリ
レンジイソシアネート1.0g(イソシアネート比0.5)を
加えて、窒素ガス気流下、200℃、30分間反応を行つた
ところ、透明で柔軟なエラストマーが得られた。このエ
ラストマーは、引張強度及び伸度が、それぞれ229Kg/cm
2、1100%で23℃での引張永久歪は、8%でありシヨア
A硬度及びシヨアD硬度は、それぞれ75、18であつた。
また、ヘイズ値は38%であつた。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)カプロラクタムと、(B)炭素数4
    〜40の脂肪族ジカルボン酸、炭素数8〜20の脂環式ジカ
    ルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸の中か
    ら選ばれた少なくとも1種のジカルボン酸と、(C)数
    平均分子量500〜4000をもつ、ポリオキシテトラメチレ
    ングリコール、変性ポリオキシテトラメチレングリコー
    ル、ポリオキシプロピレングリコール及びα,ω−ジヒ
    ドロキシ炭化水素の中から選ばれた少なくとも1種のグ
    リコールとを、(B)成分と(C)成分とのモル比が実
    質上1:2になるような割合で、リン酸系化合物触媒の存
    在下、反応系の水分含有量を0.1〜1重量%に保持しな
    がら150〜300℃の温度において反応させたのち、未反応
    カプロラクタムを除去して、両末端に(C)成分をエス
    テル結合で連結したポリアミドを形成させ、次いでこの
    ポリアミドに、(D)ジイソシアネート化合物又はマス
    クされたジイソシアネート化合物を、(C)成分に対す
    るモル比が0.3〜0.6になるような割合で加え、150〜250
    ℃の温度において反応させることを特徴とする低硬度ポ
    リアミドエラストマーの製造方法。
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