JP2612126B2 - パウダースラッシュ成形方法 - Google Patents

パウダースラッシュ成形方法

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JP2612126B2
JP2612126B2 JP3788092A JP3788092A JP2612126B2 JP 2612126 B2 JP2612126 B2 JP 2612126B2 JP 3788092 A JP3788092 A JP 3788092A JP 3788092 A JP3788092 A JP 3788092A JP 2612126 B2 JP2612126 B2 JP 2612126B2
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慎悟 新見
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西川化成株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パウダースラッシュ成
形方法の改良に関し、特に成形された多層シート状物の
脱型対策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば自動車用内装品として
のドアトリム等は、見栄えを良くする観点等から表面に
シート状の表皮材が設けられている。この表皮材を成形
するやり方は、一般には、加熱軟化したシート状物を成
形型に真空引きにより密着させて冷却固化することによ
って所定形状に成形する真空成形方法と、シェル状に形
成された成形型に粉体樹脂原料を付着溶融させることに
よって所定形状に成形されたシート状物を得るパウダー
スラッシュ成形方法とに大別することができる。
【0003】ところで、後者のパウダースラッシュ成形
方法として、例えば特開昭61―100422号公報に
開示されているように、第1粉体樹脂原料をスラッシュ
成形型の成形面に供給して付着溶融させて第1層を成形
した後、第2粉体樹脂原料を上記第1層上に供給して付
着溶融させて第2層を成形することにより多層シート状
物を得る成形方法が知られている。
【0004】そして、このような多層シート状物の成形
方法では、一般には、第1層を成形する第1粉体樹脂原
料として内部離型剤を含有するものを用いている。この
ように内部離型剤を含有する第1粉体樹脂原料を用いる
のは、スラッシュ成形型の成形面に外部離型剤を塗布す
ると、第1層が絞模様を有する場合にスラッシュ成形型
の成形面の絞成形用凹部に外部離型剤が入り、成形を重
ねることによって外部離型剤の層ができて該凹部が埋ま
り、絞模様が出来難くなるためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の如く
内部離型剤を含有する第1粉体樹脂原料で第1層を成形
すると、その後に成形された第2層の付着性が低下する
ことから、この第2層を成形する第2粉体樹脂原料とし
ては比較的接着強度の大きいものが用いられ、このた
め、図7に示すように、スラッシュ成形型aの成形面b
に成形された多層シート状物cの第2層dが第1層eか
らはみ出して上記成形面bに付着すると、第2層dが成
形面bから剥れ難く、無理に引張ると多層シート状物c
が必要以上に伸びたり破れたりするという問題がある。
【0006】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、第2層を成形する第2
粉体樹脂原料を第1層から外部(成形面)にはみ出さな
いように供給することにより、スラッシュ成形型の成形
面に上記第2層が付着するのを防止して多層シート状物
の脱型をし易くし、該多層シート状物の必要以上の伸び
や破れをなくさんとすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の解決手段は、まず、内部離型剤を含有する
第1粉体樹脂原料が収容された第1原料供給ボックスの
開口端をスラッシュ成形型の成形面外周に当接させ、こ
の状態で上記第1原料供給ボックスを反転させて上記第
1粉体樹脂原料をスラッシュ成形型の成形面に供給して
付着溶融させて第1層を成形する。次いで、内部離型剤
を含有しない第2粉体樹脂原料が収容された第2原料供
給ボックスの開口端を上記スラッシュ成形型の成形面に
付着している第1層の端末部分に当接させ、この状態で
上記第2原料供給ボックスを反転させて上記第2粉体樹
脂原料を第1層上に供給して付着溶融させて第2層を成
形することにより多層シート状物を得るようにしたこと
である。
【0008】
【作用】上記の構成により、本発明方法では、内部離型
剤を含有する第1粉体樹脂原料によってスラッシュ成形
型の成形面に第1層が成形された後、該スラッシュ成形
型の成形面に付着している第1層上に内部離型剤を含有
しない第2粉体樹脂原料によって第2層が成形され、多
層シート状物が得られる。この第2層成形の際、第2原
料供給ボックスの開口端が上記第1層の端末部分に当接
され、この状態で上記第2原料供給ボックスが反転され
てその内部に収容されている第2粉体樹脂原料が上記第
1層上に供給される。
【0009】このことから、第1層上に供給された第2
粉体樹脂原料は、第2原料供給ボックスの開口端によっ
て遮られて第1層から成形面にはみ出すことがなくな
り、よって成形された第2層が成形面に付着せず多層シ
ート状物の脱型が容易になり、該多層シート状物の必要
以上の伸びや破れがなくなる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例に係るパウダースラッ
シュ成形方法を図1ないし図6に基づいて説明する。
【0011】本実施例に係る成形方法により得られる多
層シート状物Aは、第1層a1 と第2層a2 とからなる
2層構造のものであり(図5および図6参照)、自動車
用内装品としてのドアトリムの表皮材に適用した場合で
ある。図1にドアトリムの表皮材を成形するスラッシュ
成形型1を示し、該スラッシュ成形型1はシェル状に形
成された横長矩形の型本体3を備えてなり、該型本体3
には表皮材の形状を呈する成形面5が形成されている。
【0012】上記表皮材(多層シート状物A)の成形要
領を説明するに、まず、図2に示すように、スラッシュ
成形型1を成形面5を下に向けた姿勢でフック7で保持
し、下方に配置した加熱ヒータ9によって成形面5を所
定温度に加熱する。
【0013】次いで、図3に示すように、上記加熱した
スラッシュ成形型1を成形面5を下に向けた姿勢で、内
部離型剤を含有する第1粉体樹脂原料11が収容された
第1原料供給ボックス13の開口端13aをスラッシュ
成形型1の成形面5外周に当接させて上記第1原料供給
ボックス13の開口を覆うようにセットし、複数(図3
には2つのみ表われる)のクランプ治具15,15,…
で上記スラッシュ成形型1の外周を挟持する。
【0014】その後、上記原料供給ボックス13をその
一対(図3には1つのみ表われる)の回転軸17,17
を図示しない回転装置によって回転させることにより上
下方向に180°反転させ、第1原料供給ボックス13
内に収容された第1粉体樹脂原料11を上記スラッシュ
成形型1の成形面5に供給して付着させる。これによ
り、成形面5に付着した第1粉体樹脂原料11が型温に
より加熱溶融して多層シート状物Aの第1層a1 (図4
に表われる)が成形される。
【0015】しかる後、第1原料供給ボックス13を上
下方向に180°反転させ、余剰の第1粉体樹脂原料1
1を第1原料供給ボックス13内に落下させた後、図4
に示すように、第1層a1 が付着したスラッシュ成形型
1を成形面3を上に向けた姿勢で、内部離型剤を含有し
ない第2粉体樹脂原料19が収容された第2原料供給ボ
ックス21の開口端21aを上記スラッシュ成形型1の
成形面5に付着している第1層a1 の端末部分に当接さ
せて上記第2原料供給ボックス21の開口を覆うように
セットし、複数(図4には2つのみ表われる)のクラン
プ治具23,23,…で上記スラッシュ成形型1の外周
を挟持する。つまり、第2原料供給ボックス21の開口
寸法L2 は第1原料供給ボックス13の開口寸法L1 よ
りも短く設定されており、第2原料供給ボックス21の
開口をスラッシュ成形型1で覆った際に、第2原料供給
ボックス21の開口端21aが第1層a1 から外部には
み出さずに第1層a1 の外端部に当接するのである(図
4および図6参照)。
【0016】次いで、上記第2原料供給ボックス21を
その一対(図4には1つのみ表われる)の回転軸25,
25を図示しない回転装置によって回転させることによ
り上下方向に180°反転させ、第2原料供給ボックス
21内に収容された第2粉体樹脂原料19を上記第1層
a1 上に供給して付着させる。これにより、第1層a1
に付着した第2粉体樹脂原料19が型温により加熱溶融
して多層シート状物Aの第2層a2 (図5に表われる)
が成形され、2層構造の多層シート状物Aが得られる。
この得られた多層シート状物Aの第2層a2 の端末は、
図6に示すように、スラッシュ成形型1の成形面5には
付着しておらず、第1層a1 の端末部分上に位置してい
る。
【0017】その後、第2原料供給ボックス21を上下
方向に180°反転させ、余剰の第2粉体樹脂原料19
を第2原料供給ボックス21内に落下させた後、図5に
示すように、多層シート状物Aが付着したスラッシュ成
形型1を成形面5を上に向けた姿勢で冷却ボックス27
にその開口を覆うようにセットし、複数(図5には2つ
のみ表われる)のクランプ治具29,29,…でスラッ
シュ成形型1の外周を挟持する。
【0018】しかる後、冷却ボックス27内に配置され
た複数(図5には2つのみ表われる)のノズル31,3
1,…から冷却水Wをスラッシュ成形型1の成形面5の
裏面に吹き付けて上記多層シート状物Aを冷却する。な
お、図5中、33は冷却ボックス27内に溜まった冷却
水Wを外部に排出する排水パイプである。
【0019】その後、図5仮想線にて示すように、多層
シート状物Aをスラッシュ成形型1の成形面5から脱型
した後、各クランプ治具29の挟持力を解除し、スラッ
シュ成形型1を冷却ボックス27から取り外して次の成
形に備える。
【0020】このように、本実施例では、第2層a2 を
成形する際、第2原料供給ボックス21の開口端21a
を第1層a1 の端末部分に当接させていることから、第
2粉体樹脂原料19の第1層a1 外へのはみ出しを防止
することができ、よって成形された第2層a2 がスラッ
シュ成形型1の成形面5に付着せず、成形面5に付着し
ているのは内部離型剤の入った第1層a1 だけであるの
で多層シート状物Aの脱型を容易に行うことができ、該
多層シート状物Aの必要以上の伸びや破れをなくすこと
ができる。
【0021】なお、上記実施例では、多層シート状物A
が自動車用ドアトリムの表皮材である場合を示したが、
他の自動車用内装品の表皮材であってもよく、さらに
は、自動車以外の多層シート状物にも適用できるもので
ある。
【0022】また、上記実施例では、多層シート状物A
が2層構造のものである場合を示したが、3層以上の構
造のものであってもよい。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明方法によれ
ば、内部離型剤を含有する第1粉体樹脂原料が収容され
た第1原料供給ボックスの開口端をスラッシュ成形型の
成形面外周に当接させた状態で、上記第1粉体樹脂原料
をスラッシュ成形型の成形面に供給して付着溶融させて
第1層を成形した後、内部離型剤を含有しない第2粉体
樹脂原料が収容された第2原料供給ボックスの開口端を
上記第1層の端末部分に当接させた状態で、上記第2粉
体樹脂原料を第1層上に供給して付着溶融させて第2層
を成形する。したがって、第2粉体樹脂原料の第1層か
らのはみ出しを第2原料供給ボックスの開口端による遮
断によって防止でき、多層シート状物の脱型を容易に行
い得て該多層シート状物の必要以上の伸びや破れをなく
すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スラッシュ成形型の正面図である。
【図2】スラッシュ成形型の加熱工程図である。
【図3】スラッシュ成形型を第1原料供給ボックスにセ
ットした状態を示す工程図である。
【図4】スラッシュ成形型を第2原料供給ボックスにセ
ットした状態を示す工程図である。
【図5】多層シート状物の冷却工程図である。
【図6】スラッシュ成形型の成形面に対する多層シート
状物の第1層と第2層との位置関係を示す説明図であ
る。
【図7】従来例の図6相当図である。
【符号の説明】
1 スラッシュ成形型 5 成形面 11 第1粉体樹脂原料 13 第1原料供給ボックス 13a 開口端 19 第2粉体樹脂原料 21 第2原料供給ボックス 21a 開口端 A 多層シート状物 a1 第1層 a2 第2層

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部離型剤を含有する第1粉体樹脂原料
    が収容された第1原料供給ボックスの開口端をスラッシ
    ュ成形型の成形面外周に当接させ、この状態で上記第1
    原料供給ボックスを反転させて上記第1粉体樹脂原料を
    スラッシュ成形型の成形面に供給して付着溶融させて第
    1層を成形し、次いで、内部離型剤を含有しない第2粉
    体樹脂原料が収容された第2原料供給ボックスの開口端
    を上記スラッシュ成形型の成形面に付着している第1層
    の端末部分に当接させ、この状態で上記第2原料供給ボ
    ックスを反転させて上記第2粉体樹脂原料を第1層上に
    供給して付着溶融させて第2層を成形することにより多
    層シート状物を得ることを特徴とするパウダースラッシ
    ュ成形方法。
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