JP2611277B2 - スクータのヘルメット収納装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） この発明は、開閉自在なシートを蓋にしたスクータの
ヘルメット収納装置に関する。

（従来の技術） スクータには、リヤボディ内にヘルメット収納ボック
スを設けて開閉自在なシートを蓋として覆設したものが
ある。その一例を第５図に示す。

スクータは、ハンドル３により操舵される前輪１とエ
ンジン４によって駆動される後輪２とが前後に配され、
後上部のシート５と上記ハンドル３との間が低く湾入さ
れてステップボード６が敷かれ、シート５下方は比較的
大きなボリュームのリヤボディ７が形成される。

フレームはパイプなどによって所要の強度、形状に構
築され、この場合はヘッドパイプ８を支持する前フレー
ム９が上記湾入部に沿って中央部まで延び、その後端部
から一対の後フレーム10が後上方に延びて構築される。
11はフロントフォーク、12はフロントクッションユニッ
トを示す。

前記エンジン４は、ユニットスイング型が一般的で、
クランクケースの一側から後方に延びるスイングケース
13の後部に後輪２を軸支して一体化され、前部を前フレ
ーム９後端に枢軸14で上下揺動可能に枢支され、後部と
後フレーム10との間に介装されたリヤクッションユニッ
ト15によって緩衝懸架される。16はキャブレタ、17はエ
アクリーナを示す。

リヤフェンダ18は後フレーム10に固定され、その上面
のリヤボディ後部7a内に、燃料タンク19や図示ししない
オイルタンクが載置され、注入口19aはリヤボディ後部7
aから露出し、前記シート５の後部が被覆される。シー
ト５はリヤボディ７上面前端にシート支軸20で枢支され
て開閉自在になり、図示しないシートロック装置によっ
てリヤボディ７上面の開口21の蓋をする。

リヤボディ７内前半部には、ヘルメット収納ボックス
22が備えられる。

こうしてヘルメット収納ボックス22内にヘルメット23
を収納し、シート５で蓋をするのであるが、ヘルメット
23が丸型で滑りにくいので、手が充分に挿入できるよう
に収納ボックスを大きくしない限りヘルメットの出し入
れがむつかしく、リヤボディを大型化することになり、
一方において要求されるリヤボディ小型化と相反するも
のとなる問題があった。

（発明が解決しようとする問題点） このように従来のスクータのヘルメット収納装置は、
ヘルメット収納ボックスが充分な広さを持たないと、ヘ
ルメットを出し入れしにくく、一方にはリヤボディ小型
化の要求があるという問題に鑑み、この発明は、ヘルメ
ット収納ボックスに手を入れなくてもヘルメットを出し
入れしやすくし、ヘルメット収納ボックスおよびリヤボ
ディを最小限に小型化できるようにしたスクータのヘル
メット収納装置を提供することを目的とする。

〔発明の構成〕

（問題点を解決するための手段） この発明に係るスクータのヘルメット収納装置は、上
述した目的を達成するために、ハンドルにより操舵され
る前輪とユニットスイング型エンジンにより駆動される
後輪とを前後に配置し、上記ハンドルとリヤボディとの
間を低く湾入させてステップボードを敷設する一方、上
記リヤボディ内にヘルメット収納ボックスを設けて、そ
の収納ボックス開放上面に、前端を枢支した開閉自在な
シートを覆設したスクータのヘルメット収納装置におい
て、前記シート前端付近の支軸にヘルメット受座の支持
アームを枢支させてヘルメット受座を、ヘルメット収納
ボックス内外に出没可能に設けるとともに、前記シート
とヘルメット受座との間にスプリングを弾装して両者が
相対的に近付く方向にばね付勢した構成としたものであ
る。

（作用） このように構成されているので、このヘルメット収納
装置では、シートを大きく開くと、スプリングの力によ
ってヘルメット受座が引き上げられて、ヘルメットがヘ
ルメット収納ボックスの上方に浮上がる。そこでライダ
は両手でヘルメットを挟んで簡単に取り上げることがで
きる。ヘルメットを取ると、その重さが消えるのでヘル
メット受座はスプリングの力でさらに揺回してシート底
板に接する。

ヘルメットを収めるときはシートを開き、ヘルメット
受座を少し下げてヘルメットを載せ、そのままシートを
閉じることによって難なく収納することができる。

ヘルメット受座とヘルメット収納ボックスとの間に係
脱自在な係止装置を設ければ、シートを開く度にヘルメ
ットが浮上がることなく、給油時やヘルメット以外の収
納物の出し入れを便にする。この場合係止装置を外すこ
とによってヘルメットが浮上がって取り出しやすくする
ことは変らない。

こうして、ヘルメットが入ると指の入る隙間のないほ
どぎりぎりの大きさにヘルメット収納ボックスを設定で
き、リヤボディを小型化、スリム化できる。

（実施例） 以下この発明の実施例を示す図に就いて説明する。

モノコックタイプのリヤボディ７内前部にヘルメット
収納ボックス22が設置され、前端部をシート支軸20で開
閉自在にしたシート５が開口21に蓋をした構成は従来の
ものと変らない。

このヘルメット収納ボックス22内にその前面から底面
22aにかけて接したヘルメット受座24がシート支軸20と
同軸に揺回自在に枢支される。すなわち、ヘルメット受
座24は、第１図および第３図に示すように、その支持ア
ーム25がシート５前端下部附近に設けられた支軸に揺回
自在に枢支される。ヘルメット受座24は、第２図に示す
ように、ほぼ水平にヘルメット23を載置できるようにＵ
字形をなし、支持アーム25が上方に延びて上端にシート
支軸20に対する軸孔26が形成される。27はヘルメット23
を傷付けないようにヘルメット受座24に貼設したクッシ
ョンである。

ヘルメット受座24と前記シート５との間には、トーシ
ョンスプリング28が弾装され、シート５とヘルメット受
座24が互いに近付くように付勢されている。支持アーム
25には上方へ突出するストッパ片29が設けられてシート
底板5a下面に接する。ストッパ片29は支持アーム25に並
設した複数個の止孔30に着脱自在で、シート５とヘルメ
ット受座24との間の隙間を調整できる。

ヘルメット受座４底面にはフック31が下方へ突設さ
れ、ヘルメット収納ボックス22底面22aのスリット孔を
抜けてボックス下方に設置したフックレバー33と係合す
るようになっている。フックレバー33は第４図に示すよ
うに、リヤボディ７の一部に配設した解除ボタン34によ
りリモートコントロールワイヤ35を介してフック31との
係合を解く。

以上のように構成され、シート５を大きく開き、解除
ボタン34によってフック31を解放すると、第３図に示す
通り、トーションスプリング28の力によりヘルメット受
座24が上方で揺回し、ヘルメット23を加えた重量とのバ
ランスによって、ヘルメット収納ボックス22の開口21の
上方へヘルメット23を持ち上げる（第３図）。これでラ
イダはヘルメット23の両側を両手で挟んで容易に持ち出
すことができる。ヘルメット23を外せばヘルメット受座
24がさらに揺回してストッパ片29がシート底板5aに接す
る（２点鎖線図示）。

ヘルメット23を収納するときは、シート５を開け、フ
ックレバー33を外し、シート底板5aに接したヘルメット
受座24を少し下げてヘルメット23を載置し、そのままシ
ート５を閉じることによって、難なく納められる。フッ
ク31は自動的にフックレバー33に係止される。

ヘルメットの出し入れをしやすくした上で、ヘルメッ
ト収納ボックスを最小限にすることができ、リヤボディ
を小型化、スリム化できる。

〔発明の効果〕

以上に述べたように、この発明に係るスクータのヘル
メット収納装置は、シート前端付近の支軸にヘルメット
受座の支持アームを枢支させてヘルメット受座を、ヘル
メット収納ボックス内外に出没可能に設けるとともに、
前記シートとヘルメット受座との間にスプリングを弾装
して両者が相対的に近付く方向にばね付勢させたから、
シートの開閉動作に連動してヘルメット受座をヘルメッ
ト収納ボックス内外に出没させることができる。シート
を開くとヘルメット受座がスプリングのばね力で連動し
てヘルメット収納ボックスの上方に浮上するので、ヘル
メットを簡単に取り出すことができる。ヘルメットを収
納させるときは、シートを開き、ヘルメット受座をスプ
リングのばね力に抗して少し下げてヘルメットを載せ、
そのままシートを閉じることにより円滑かつスムーズに
収納させることができ、ヘルメット収納ボックスを最小
限のボックス容量にしても、ヘルメットの出し入れを円
滑かつ容易に行なうことができる。

また、ヘルメット収納ボックスを最小限のボックス容
量に設定できるので、リヤボディの小型化、スリム化を
図ることができる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例を示すスクータのヘルメット
収納ボックス周りの縦断側面図、第２図は上記ヘルメッ
ト収納ボックスのヘルメット受座の斜視図、第３図はス
クータのシートを開いたときのヘルメット収納ボックス
周りの側面図、第４図はヘルメット受座係脱装置の構成
図、第５図は従来のヘルメット収納装置を示すスクータ
の側面図である。 ５……シート、７……リヤボディ、20……シート支軸、
22……ヘルメット収納ボックス、23……ヘルメット、24
……ヘルメット受座、28……トーションスプリング、29
……ストッパ片、31……フック、33……フックレバー。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ハンドルにより操舵される前輪とユニット
   スイング型エンジンにより駆動される後輪とを前後に配
   置し、上記ハンドルとリヤボディとの間を低く湾入させ
   てステップボードを敷設する一方、上記リヤボディ内に
   ヘルメット収納ボックスを設けて、その収納ボックス開
   放上面に、前端を枢支した開閉自在なシートを覆設した
   スクータのヘルメット収納装置において、前記シート前
   端付近の支軸にヘルメット受座の支持アームを枢支させ
   てヘルメット受座を、ヘルメット収納ボックス内外に出
   没可能に設けるとともに、前記シートとヘルメット受座
   との間にスプリングを弾装して両者が相対的に近付く方
   向にばね付勢したことを特徴とするスクータのヘルメッ
   ト収納装置。