JP2608688B2 - 高強度高延性Ti合金 - Google Patents
高強度高延性Ti合金Info
- Publication number
- JP2608688B2 JP2608688B2 JP29512794A JP29512794A JP2608688B2 JP 2608688 B2 JP2608688 B2 JP 2608688B2 JP 29512794 A JP29512794 A JP 29512794A JP 29512794 A JP29512794 A JP 29512794A JP 2608688 B2 JP2608688 B2 JP 2608688B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alloy
- ductility
- strength
- present
- content
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Forging (AREA)
Description
学機械や深海調査船等、様々な用途で適用されているT
i合金に関するものであり、特に窒素または炭素を添加
することによってTi−6Al−4V合金を改良し、高
強度と高延性を達成したTi合金に関するものである。
ており、それに伴って、高強度で高延性のα+β型Ti
合金、特にTi−6Al−4V合金への要求が高まって
いる。しかしながら、Ti−6Al−4V合金では、焼
鈍処理で得られる引張強さはせいぜい1.1GPaが限
度である。一方、Ti合金の高強度化を達成するには、
α+β2相高温域の溶体化を含む溶体化時効処理または
溶体化過時効処理が行われるのが一般的であるが、同処
理を行なうと、処理後のTi合金に反り等が発生し、矯
正加工が必要になるという欠点がある。
観点から、例えば特開平5−59510号の様な技術も
提案されている。この技術は、所定の化学成分を有する
α+β型Ti合金素材を、(β変態点−150℃)〜β
変態点未満の範囲内の温度に加熱し、次いで、0.5〜
10℃/secの範囲の冷却速度で冷却して、素材に溶
体化処理を施し、このように溶体化処理を施した前記素
材に、400〜600℃の範囲の温度で時効処理を施す
ものである。しかしながらこの技術では、反り等の発生
が低減されるとは言うものの、溶体化処理および時効処
理の2段階のステップを必要とし、工程が複雑になると
いう問題がある。
i合金としては、nearβ系のα+β型Ti合金やβ
型Ti合金等が考えられるが、本発明者らが調査したと
ころ、従来のnearβ系α+β型Ti合金やβ型Ti
合金では、高速変形下での延性に劣ることがわかった。
尚高速変形下での延性に関し、本発明者らが検討したと
ころによると、Ti合金のMo当量(Mo当量=Mo+
0.67V+2.9Fe+1.6Cr+0.28Nb+
0.22Ta)が4.0以下で高速変形下での延性に優
れることがわかった。
強度で高延性のTi合金を開発するという観点から、比
較的多めのN(0.06〜0.20%)を含有すると共
に、1%以上のMoを必須成分として含有する「窒素添
加高強度Ti合金」について開示されている。しかしな
がらこの合金には、Moを添加することによって、Mo
当量が4.0以上を有し、高速変形下での延性に劣ると
いう欠点がある。
的背景の下になされたものであって、その目的は、溶体
化処理を施さずとも焼鈍処理だけで高強度が得られ、し
かも高延性を達成することのできるTi合金を提供する
ことにある。
のできた本発明のTi合金は、Al:5.5〜6.75
%,V:3.5〜4.5%,Fe:0.25〜0.35
%,O:0.15〜0.25%,C:0.10%以下,
N:0.05超〜0.15%を夫々含有し、残部がTi
および不可避不純物からなる点に要旨を有するものであ
る。
5〜4.5%,Fe:0.25〜0.35%,O:0.
15〜0.25%,C:0.10超〜0.30%,N:
0.05%以下を夫々含有し、残部がTiおよび不可避
不純物からなるTi合金によっても、本発明の目的が達
成できる。更に、上記各合金において、Alの好ましい
含有量は6.0〜6.75%であり、この範囲ではAl
による高強度化効果が最大限に発揮される。
Fe等の元素については、米国において不純物としてそ
の上限が規格化されており(AMS 4928L)、夫
々O:0.20%以下,C:0.10%以下,N:0.
05%以下,Fe:0.30%以下とされている。しか
しながら、本発明者らが検討したところ、上記規格通り
に含有させても必ずしも希望する特性が得られるとは限
らないことがわかった。そこで本発明者らは、前記Ti
−6Al−4V系合金の特性を改善して高強度且つ高延
性を達成するという観点から、O,C,N,Fe等の元
素の最適な含有量について更に検討を重ねた。
がるが延性が著しく劣化すると言われてきた。例えば、
特公平5−72452号には、純TiにNを添加するこ
とによって、強度は上昇するが延性が劣化することが報
告されている。しかしながら、本発明者らが詳細に検討
したところ、O,CおよびFeをバランス良く添加すれ
ば、図1に示す様にNを0.05超〜0.15%添加す
ることによって、高強度且つ高延性が達成されることを
見いだし、本発明を完成した。またCに関しても、O,
NおよびFeをバランス良く添加すれば、図2に示す様
にCを0.10超〜0.30%添加することによって、
高強度且つ高延性が達成されることを見いだした。まず
本発明のTi合金における化学成分限定理由は、下記の
通りである。
すると、β変態点は上がり、6%の添加によって約10
0℃上昇する。このようにAlはTi合金の低温相であ
るα相を安定化し、主としてα相中に固溶してα相を強
化し、Ti合金の強度を上げるのに有効な合金元素であ
る。こうした効果を発揮させるためには、Alの含有量
は5.5%以上とする必要があり、5.5%未満では、
強度向上に寄与する他の元素を最大限に添加しても目的
強度を得ることはできない。しかしながら、Alの含有
量が6.75%を超えると、その効果が飽和するばかり
か、熱処理の際にα2 相(Ti3 Al相)という規則相
を生じ、脆化の原因になる。尚Al含有量の好ましい範
囲は、6.0〜6.75%であり、この範囲ではAlに
よる強度向上効果が最大限に達成される。
ってβ変態点が下がり、ほぼ4%の添加によって、室温
でβ相が安定なα+β型合金となる。このようにVは、
高温相のβ相を安定化し、塑性加工容易なβ相を存在さ
せて、熱間加工性を良くする効果を有する。この様な効
果は、その含有量が3.5%から発揮されるが、4.5
%を超えると、却って延性を劣化させる。
変態点を低下させてβ相領域を広げる効果を有する。ま
た微量の添加によって、強度を向上させることができ
る。このような効果を発揮させるためには、0.25%
以上添加する必要があるが、0.35%を超えると、延
性が著しく劣化する。
レベルを得ることができる。Oは侵入型のα安定化元素
で、β変態点を上げるが、微量の添加によって強度向上
に寄与する効果を発揮する。このような効果を発揮させ
るためには、0.15%以上添加する必要があるが、
0.25%を超えると、延性が劣化する。
0.30% Cは、侵入固溶型の元素であり、微量の添加によって強
度向上に寄与することができる。しかしながら、Nの添
加量が0.05超〜0.15%のときは、Cの過剰添加
は延性を著しく劣化させるので、0.10%以下とすべ
きである。尚Nの添加量を0.05%以下に制限したと
きには、Cの添加量を0.10超〜0.30%とするこ
とによって、却って高強度且つ高延性を得ることがで
き、このときはCの添加量が0.30%を越えると延性
が劣化することになる。
5%以下 Nは侵入固溶型のα安定化元素であり、微量の添加によ
ってβ変態点が上がり、また強度向上に寄与することが
できる。このような効果を発揮させるためには、Cの添
加量が0.10%以下のときは、0.05%よりも多く
添加する必要があるが、0.15%を超えると、延性が
低下する。尚Cの添加量を0.10超〜0.30%とし
たときには、上記の如くNの添加量を0.05%以下に
制限する必要があり、これによって高強度且つ高延性を
得ることができる。
よりも多めのNまたはCを含有させるものであり、これ
によってFeやO等との最適なバランスが図られ、希望
する様な高強度且つ高延性が達成されたのである。
比較して、同程度かそれ以上に強度を向上させる作用が
あることが報告されているが(例えば、「W.L.Finday an
d J.A.Snyder:Trans.AIME.188 Feb(1950),p277」 や「R.
I.Jaffee, H.R.Ogden and D.J.Maykuth: Trans. AIME.
188 Oct (1950), p1261」 等)、本発明はこの様なNの
作用をTi合金に応用したものである。また前記特開平
6−108187号に開示されたTi合金も、AMS規
格値よりも多めのNを含有させる趣旨の下でなされたと
いえるが、前述の如くこの合金はMoを必須成分として
含むものであり、しかもMo当量が4.0以上であり、
高速変形下での延性に劣るという欠点を有するものであ
る。尚Cの添加量が0.10%以下のときの、N含有量
の好ましい範囲は、0.06〜0.15%程度である。
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
ットをβ領域で鍛造し、鋳造組織を完全に破壊した後、
900℃以上のα+β領域の温度で十分な加工を施し
た。加工後は、705℃で焼鈍した後、室温にて引張試
験を行ない、各機械的性質(引張強さ、0.2%耐力、
伸び、絞り)を測定した。このとき、引張試験片の作成
および引張試験の実施は、ASTM E8に準処して行
なった。引張試験結果を、下記表2に示す。
まず合金No.1は、AMS規格で作製したTi−6A
l−4V合金であるが、焼鈍処理だけでは引張強さは
1.1GPaを超えなかった。また合金No.2も、A
MS規格で作製したTi−6Al−4V合金であり、こ
の合金は合金No.1に比べ、Al,Fe,Oを規格限
界値に近い量まで添加したものであるが、引張強さで
1.1GPaを超えることはなかった。
りもN含有量を多くして作製したTi合金(比較例)で
あるが、引張強さは大きくなったものの、延性(伸びお
よび絞り)が著しく劣化していた。合金No.9は、本
発明で規定する範囲よりもO含有量を多くして作製した
Ti合金(比較例)であるが、この合金は合金No.8
の合金と同様に、引張強さは大きくなったものの、延性
(伸びおよび絞り)が著しく劣化していた。
よりもFe含有量を少なくして作製したTi合金(比較
例)であるが、この合金では引張強さはおよび延性のい
ずれも著しく劣化していた。合金No.11は、本発明
で規定する範囲よりもO含有量を少なくして作製したT
i合金(比較例)であるが、この合金では延性はそれほ
ど低下してないが、引張強さが1.1GPaを下回って
いた。合金No.12は、本発明で規定する範囲よりも
Al含有量を少なくして作製したTi合金(比較例)で
あるが、この合金では延性はそれほど低下してないが、
引張強さおよび0.2%耐力が著しく劣化していた。合
金No.13は、本発明で規定する範囲よりもFe含有
量を多くして作製したTi合金(比較例)であるが、こ
の合金では延性が著しく劣化している。
は、本発明で規定する要件を満足する実施例であり、い
ずれも引張強さは1.1GPaを超え、且つ伸びもTi
−6Al−4Vの規格値である10%を大きく上回って
いることがわかる。また合金No.14〜16のもの
は、合金No.3〜7の実施例に比べてN含有量を減ら
し且つC含有量を増やした実施例であるが、強度、伸び
とも期待値を大きく上回っていた。尚合金No.17の
ものは、C含有量を本発明で規定する範囲(0.30
%)よりも多くして作成した比較例であるが、強度は期
待値を大きく上回ったものの、延性が著しく低下してい
た。
体化処理を施さずとも高強度が得られ、しかも高延性が
達成できるTi合金が実現できた。またこのTi合金
は、焼入れ等による材料の反りに対する矯正加工の必要
がなくなるので、加工しろを多くとる必要がなく、歩留
りが良いという効果も得られる。そしてこの様なTi合
金の適用範囲を更に拡大するものと期待される。
グラフである。
グラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 Al:5.5〜6.75%(重量%の意
味、以下同じ),V:3.5〜4.5%,Fe:0.2
5〜0.35%,O:0.15〜0.25%,C:0.
10%以下,N:0.05超〜0.15%を夫々含有
し、残部がTiおよび不可避不純物からなることを特徴
とする高強度高延性Ti合金。 - 【請求項2】 Al:5.5〜6.75%,V:3.5
〜4.5%,Fe:0.25〜0.35%,O:0.1
5〜0.25%,C:0.10超〜0.30%,N:
0.05%以下を夫々含有し、残部がTiおよび不可避
不純物からなることを特徴とする高強度高延性Ti合
金。 - 【請求項3】 Alの含有量が6.0〜6.75%であ
る請求項1または2に記載の高強度高延性Ti合金。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29512794A JP2608688B2 (ja) | 1994-11-29 | 1994-11-29 | 高強度高延性Ti合金 |
US08/564,622 US5759484A (en) | 1994-11-29 | 1995-11-29 | High strength and high ductility titanium alloy |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29512794A JP2608688B2 (ja) | 1994-11-29 | 1994-11-29 | 高強度高延性Ti合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08157986A JPH08157986A (ja) | 1996-06-18 |
JP2608688B2 true JP2608688B2 (ja) | 1997-05-07 |
Family
ID=17816642
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29512794A Expired - Lifetime JP2608688B2 (ja) | 1994-11-29 | 1994-11-29 | 高強度高延性Ti合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2608688B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20060045789A1 (en) * | 2004-09-02 | 2006-03-02 | Coastcast Corporation | High strength low cost titanium and method for making same |
JP5758204B2 (ja) * | 2011-06-07 | 2015-08-05 | 日本発條株式会社 | チタン合金部材およびその製造方法 |
US9956629B2 (en) * | 2014-07-10 | 2018-05-01 | The Boeing Company | Titanium alloy for fastener applications |
US10851437B2 (en) * | 2016-05-18 | 2020-12-01 | Carpenter Technology Corporation | Custom titanium alloy for 3-D printing and method of making same |
CN110551956A (zh) * | 2019-07-03 | 2019-12-10 | 西北工业大学 | 一种tc4钛合金的加工方法 |
-
1994
- 1994-11-29 JP JP29512794A patent/JP2608688B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08157986A (ja) | 1996-06-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3959766B2 (ja) | 耐熱性にすぐれたTi合金の処理方法 | |
JP3319195B2 (ja) | α+β型チタン合金の高靱化方法 | |
JP3395443B2 (ja) | 高クリープ強度チタン合金とその製造方法 | |
US5759484A (en) | High strength and high ductility titanium alloy | |
JP2988246B2 (ja) | (α+β)型チタン合金超塑性成形部材の製造方法 | |
JP2606023B2 (ja) | 高強度高靭性α+β型チタン合金の製造方法 | |
US4229216A (en) | Titanium base alloy | |
JPH0138868B2 (ja) | ||
JPH0754114A (ja) | 改良された低コストTi−6Al−4Vバリスティック合金 | |
JP3873313B2 (ja) | 高強度チタン合金の製造方法 | |
JPH02118043A (ja) | マンガンとニオブで改良されたチタン‐アルミニウム合金 | |
JP3076696B2 (ja) | α+β型チタン合金 | |
JP5491882B2 (ja) | 冷間圧延性に優れた高強度チタン板 | |
JP3303641B2 (ja) | 耐熱チタン合金 | |
JPS63171862A (ja) | TiA1基耐熱合金の製造方法 | |
JP2022502568A (ja) | 中強度と高延性を備えたチタン合金 | |
JP2608688B2 (ja) | 高強度高延性Ti合金 | |
JP2608689B2 (ja) | 高強度高延性Ti合金 | |
KR102318721B1 (ko) | 고강도 고성형성 베타 타이타늄 합금 | |
JPH05255780A (ja) | 均一微細組織をなす高強度チタン合金 | |
JP2541042B2 (ja) | (α+β)型チタン合金の熱処理方法 | |
JP2001152268A (ja) | 高強度チタン合金 | |
JPH05163542A (ja) | 耐熱チタン合金 | |
JPH0827533A (ja) | 高温クリープ強度に優れたMg合金 | |
JP3036384B2 (ja) | チタン合金の強靱化方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19961217 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090213 Year of fee payment: 12 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100213 Year of fee payment: 13 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100213 Year of fee payment: 13 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110213 Year of fee payment: 14 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120213 Year of fee payment: 15 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130213 Year of fee payment: 16 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140213 Year of fee payment: 17 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |