JP2607889B2 - 減速電動機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業状の利用分野 この発明は、減速電動機、さらに詳しくは、遊星ロー
ラ減速機構を備えた電動機に関する。

従来の技術とその問題点 減速電動機として、ロータ軸の先端部外側に減速機構
が直列に取付けられたものが知られている。ところが、
このような従来の減速電動機には、減速機構の分だけ寸
法が長くなり、かつ重量が重くなるため、使用範囲が限
られるという問題がある。

この発明の目的は、上記の問題を解決し、小型化およ
び軽量化が可能な減速電動機を提供することにある。

問題点を解決するための手段 この発明による減速電動機は、ステータの内側に円筒
状のロータが配置され、このロータの内部に遊星ローラ
減速機構の少なくとも一部が収容されており、上記減速
機構が、上記ロータの内側に配置された固定輪、この固
定輪の内側に配置されて上記ロータに連結された太陽ロ
ーラ、この太陽ローラと上記固定輪との間を転動する複
数の遊星ローラ、およびこれらの遊星ローラを支持する
とともに出力軸に連結されたキャリヤ部を備えており、
上記太陽ローラが円筒状に形成され、上記出力軸が上記
太陽ローラの中空部に挿通されていることを特徴とする
ものである。

作用 太陽ローラが円筒状に形成され、出力軸が太陽ローラ
の中空部に挿通されているので、減速機構による長さ、
重量の増加が少なく、また、出力軸の比較的離れた２箇
所をフレームなどの固定部分に軸受で支持することがで
きるとともに、出力軸の回転を電動機の両端から取出す
ことができる。そして、減速機構が、遊星ローラが固定
輪と太陽ローラに圧接してこれらの間を転動する遊星ロ
ーラ式のものであるから、バックラッシがなくて、騒音
も小さく、しかも遊星ローラで太陽ローラを安定良く支
持することができ、したがって、太陽ローラを支持する
ための軸受を別に必要とせず、減速装置による部品点数
の増加も少ない。

実 施 例 以下、図面を参照して、この発明の実施例を説明す
る。なお、以下の説明において、第１図の左右を左右と
する。

図面に示す減速電動機は、左端が開口した偏平カップ
状のステータフレーム（10）とその開口端を塞ぐブラケ
ット（11）の内部にステータ（12）、ロータ（13）、減
速機構（14）および出力軸（15）が内蔵された偏平型の
ものである。

出力軸（15）は、フレーム（10）とブラケット（11）
の中心を左右に貫通し、軸受（16）（17）を介してこれ
らに回転自在に支持されている。図示は省略したが、出
力軸（15）の右端部には回転エンコーダなどの検出器が
接続され、左端部には被駆動軸が接続される。ステータ
（12）は、出力軸（15）と同心になるようにフレーム
（10）の内周に固定状に設けられている。

ロータ（13）は円筒状をなし、ステータ（12）の内側
に同心状に配置されている。そして、主としてこのステ
ータ（12）と出力軸（15）の間の空間に、次に説明する
ように、２段の遊星ローラ減速機構（14）が設けられて
いる。すなわち、４つのリング状仕切板（18）の間に右
から順に第１の固定輪（19）、スペーサ（20）、第２の
固定輪（21）がそれぞれ挾まれるとともに左端の仕切板
（18）の左側にさらにスペーサ（22）が重ねられて円筒
状をなすものが、ロータ（13）のすぐ内側に円心状に配
置され、これらとブラケット（11）を貫通するボルト
（23）およびナット（24）によりブラケット（11）に固
定されている。仕切板（18）は固定輪（19）（21）の内
径より小さい内径を有し、固定輪（19）（21）の両端か
ら内側に突出して固定輪（19）（21）の内周に環状みぞ
（25）（26）を形成している。フレーム（10）内の出力
軸（15）の右側外周に第１の太陽ローラを構成する中空
入力軸（27）が、左側外周に第２の太陽ローラを構成す
る中空中間軸（28）がそれぞれ回転自在にはめられてい
る。入力軸（27）の右端部に穴あき円板状の端板（29）
の内周部が固定され、この端板（29）の外周部にロータ
（13）の右端部が固定されている。入力軸（27）の左側
外周面に環状みぞ（30）が形成され、その底面が第１の
太陽ローラ部（31）となっている。中間軸（28）の右端
部に、外向きフランジ状の第１のキャリヤ部（32）が形
成されている。中間軸（28）の左側外周面に環状みぞ
（33）が形成され、その底面が第２の太陽ローラ部（3
4）となっている。また、フレーム（10）内の出力軸（1
5）の左端部に、外向きフランジ状の第２のキャリヤ部
（35）が形成されている。中間軸（28）の第１のキャリ
ヤ部（32）には、出力軸（15）と平行で右側の入力軸
（27）の周囲に突出した複数（たとえば５つ）のピン
（36）が出力軸（15）を中心とする同一円周上に等間隔
をおいて固定されており、各ピン（36）には第１の遊星
ローラ（37）が針状ころ軸受（38）を介して回転自在に
取付けられている。これらの遊星ローラ（37）は、入力
軸（27）のみぞ（30）と第１の固定輪（19）の部分のみ
ぞ（25）にはまり、第１の太陽ローラ部（31）と第１の
固定輪（19）に圧接してこれらの間を転動する。出力軸
（15）の第２のキャリヤ部（35）には、出力軸（15）と
平行で右側の中間軸（28）の周囲に突出した複数（たと
えば５つ）のピン（39）が出力軸（15）を中心とする同
一円周上に等間隔をおいて固定されており、各ピン（3
9）には第２の遊星ローラ（40）が針状ころ軸受（41）
を介して回転自在に取付けられている。これらの遊星ロ
ーラ（40）は、中間軸（28）のみぞ（33）と第２の固定
輪（21）の部分のみぞ（26）にはまり、第２の太陽ロー
ラ部（34）と第２の固定輪（21）に圧接してこれらの間
を転動する。

上記の減速電動機において、ロータ（13）の回転は、
端板（29）を介して入力軸（27）にそのまま伝えられ
る。そして、入力軸（27）の回転は第１の太陽ローラ部
（31）、第１の固定輪（19）および第１の遊星ローラ
（37）により減速されて中間軸（28）に伝えられ、さら
に中間軸（28）の回転は第２の太陽ローラ部（34）、第
２の固定輪（21）および第２の遊星ローラ（40）により
同じだけ減速されて出力軸（15）に伝えられる。

上記実施例の場合、ロータ（13）の回転が２段の遊星
ローラ減速機構（14）により減速されて出力軸（15）に
伝えられるので、全体として大きな減速比が得られる。
そして、遊星ローラ減速機構（14）はそれ自体小型化が
でき、しかもこれの大部分が筒状のロータ（13）の内部
に配置されているので、減速電動機全体の小型化が可能
であり、減速機構による長さの増加は非常に少ない。ま
た、出力軸（15）が従来の減速電動機のロータ軸も兼ね
ているので、その分だけ重量も低減する。

発明の効果 この発明の減速電動機によれば、減速機構による長
さ、重量、部品点数の増加が少なく、したがって、電動
機の小型化および軽量化が可能である。また、出力軸の
比較的離れた２箇所を支持することができるため、出力
軸の剛性を高めることができ、出力軸の回転を電動機の
両端から取出すことができる。さらに、減速機構のバッ
クラッシがなくて、騒音も小さい。

【図面の簡単な説明】 第１図はこの発明の１実施例を示す減速電動機の縦断面
図、第２図は第１図II−II線の断面図である。 （12）……ステータ、（13）……ロータ、（14）……遊
星ローラ減速機構、（15）……出力軸、（19）……固定
輪、（27）……中空入力軸（太陽ローラ）、（28）……
中空中間軸（太陽ローラ）、（32）（35）……キャリヤ
部、（37）（40）……遊星ローラ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ステータの内側に円筒状のロータが配置さ
   れ、このロータの内部に遊星ローラ減速機構の少なくと
   も一部が収容されており、上記減速機構が、上記ロータ
   の内側に配置された固定輪、この固定輪の内側に配置さ
   れて上記ロータに連結された太陽ローラ、この太陽ロー
   ラと上記固定輪との間を転動する複数の遊星ローラ、お
   よびこれらの遊星ローラを支持するとともに出力軸に連
   結されたキャリヤ部を備えており、上記太陽ローラが円
   筒状に形成され、上記出力軸が上記太陽ローラの中空部
   に挿通されていることを特徴とする減速電動機。