JP2607648B2 - 電力変換装置 - Google Patents

電力変換装置

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JP2607648B2
JP2607648B2 JP63294572A JP29457288A JP2607648B2 JP 2607648 B2 JP2607648 B2 JP 2607648B2 JP 63294572 A JP63294572 A JP 63294572A JP 29457288 A JP29457288 A JP 29457288A JP 2607648 B2 JP2607648 B2 JP 2607648B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、変圧器を介して交流を直流に変換する電力
変換装置に係り、特に変圧器の偏磁による2次電流の増
加を抑制するのに好適なパルス幅変調形の電力変換装置
に関する。
〔従来の技術〕
パルス幅変調形(以下、PWMと略す)コンバータを用
いた交直電力変換システムは高効率化、低高調波化が図
れる上、電力回生も可能なことから、様々な用途への適
用が期待されている。
ところで、このようなシステムでは電源との絶縁や変
圧等のために、電源とPWMコンバータとの間に変圧器を
設ける場合が多い。
このようなPWMコンバータにおいて、変圧器の巻線に
直流電圧が印加され、鉄心内の磁束が一方の極性に偏
る、いわゆる偏磁現象が多々発生する。その偏磁現象が
発生する主な原因は、線路に抵抗分があるための電圧降
下によるもの、電源等をいれたときなどのように負荷急
変時に見られる過渡的なもの、また、この変圧器を電気
車に用いた場合、パンタの離線によるものなどがある。
このような変圧器の偏磁現象が発生すると、変圧器の鉄
心が飽和して、2次電圧やリアクタンスが著しく減少
し、交流電流に大きな低次高調波成分が発生したり、変
圧器から発生する騒音が著しく増大するなどの問題が生
じる。
特に、PWMコンバータのような自励式の電力変換器で
は、電源電圧や交流リアクタンスの変化に対して入力電
流の変化が著しいため、変圧器の偏磁によって2次電圧
やリアクタンスが減少すると、コンバータ入力電流が過
電流となつて、運転が継続できない。
このような問題点を解決するための従来技術として、
特開昭53−20525号公報、特開昭62−123963号公報、特
開昭59−13313号公報がある。
特開昭53−20525号公報に示された装置は、変圧器の
1次電流と2次電流の差から偏磁を検出し、その偏磁量
に応じて変圧器の3次巻線に流れる電流を調整するもの
である。
この装置では、装置自体の大型化という根本的問題を
解決できない。
特開昭62−123963号公報に示された装置は、電源電圧
や制御量の急変等により生じる交流側電流の直流成分を
短時間で除去することにより直流電圧変動の増大や変圧
器の偏磁の発生を抑制し、力率向上、高調波低減を図る
と共に、装置の高機能か、高精度化を実現することを目
的として考案されたものである。この装置では、交流リ
アクトルを流れる電流が電源電圧と所定の位相となるよ
うにコンバータ入力電圧の振幅・位相信号を出力するベ
クトル演算回路、交流リアクトルを流れる直流電流を検
出する直流分検出回路、及び直流分検出回路の出力に基
づいて、交流リアクトルに流れる直流電流がゼロとなる
ようにベクトル演算回路から出力される振幅・位相信号
を操作する直流分補償回路を備えている。これにより、
コンバータ入力電圧の振幅・位相指令をベクトル演算に
より出力し、交流リアクトルを流れる直流電流に応じ
て、交流リアクトルを流れる直流電流がゼロとなるよう
に前記振幅・位相指令の少なくとも一方を操作するもの
である。
また、特開昭59−13313号公報に示された装置は、イ
ンバータで励磁される変圧器やコンバータを負荷とする
変圧器において、スイッチング素子の転流タイミングや
順方向電圧降下の不揃い等によって生じる直流偏磁によ
る鉄損や励磁電流の増加を防止するため、変圧器の1次
巻線に流れる電流の第2高調波成分をとりだしこの信号
に応じた直流出力を変圧器の付加巻線に流すものであ
る。
しかし、この方法でも装置自体の大型化という根本的
問題を解決できない。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記、特開昭62−123963号公報の従来技術は、変換器
自身の発生する直流電圧成分あるいは直流電流成分によ
って発生する偏磁や、電流の投入・瞬断等により、変圧
器の1次巻線に一時的に直流電圧が印加されて発生する
偏磁にたいしては、有効である。
しかし、同一電源(変圧器1次側)に直流電流を発生
する負荷装置が存在し、変圧器の1次巻線に連続的に直
流電圧が印加されるような場合においては、上記従来技
術では、偏磁を解消することができない。即ち、この装
置では、電源Sが変圧器の場合には、1次側に直流電流
が流入して偏磁が発生しても2次側には直流電流は流れ
ず、低次高調波が発生するだけである。2次電流(リア
クトル電流)に検出すべき直流成分がないため、直流分
検知回路は動作せず、偏磁は解消できない。また、仮に
直流分検出器を1次側に設置して1次側の直流電流を検
出しても、2次側の直流電流を調節することで1次側の
直流電流を打ち消すことはできず、1次電流がゼロとな
るように制御すると、2次側の直流電流が過大となり、
かえって偏磁が拡大する可能性がある。
また、他の従来技術では、変圧器の1次、2次側の直
流成分は検出するが、変圧器の第3の巻線に補償電流を
流すため装置の大型化は避けられない。また、個別に見
ると特開昭53−20525号公報では、偏磁の極性判別が不
十分であるために、偏磁の極性によっては、かえって偏
磁を増大させる可能性がある。また、特開昭59−13313
号公報に示された装置では、偏磁量及び極性をどのよう
に判別するかまた補償回路の操作量も不明である。
本発明は以上のような問題点を解決するためになされ
たものであり、交流電源に変圧器を介して接続されたPW
Mコンバータによって交直変換を行う電力変換器におい
て、変圧器へ電源側または変換器側のいずれから直流電
圧が印加されて偏磁現象が発生しても、この偏磁現象を
抑制可能な電力変換装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、交流電圧を所定の交流電圧
に変換する変圧器と、その二次側に接続され交流を直流
に変換するパルス幅変調(PWM)コンバータと、このコ
ンバータの直流側に接続された負荷装置とを備えた電力
変換装置において、前記変圧器の全ての巻線に流れる電
流の直流成分を検出する手段と、これら検出された直流
成分を入力し前記変圧器のアンペアターンの総和が零に
近づくように前記コンバータを構成するスイッチング素
子をオン・オフ制御する手段とを備えるものである。
また、変圧器の1次電流または2次電流に含まれる偶
数次調波成分を検出する手段と、この検出値に応じて前
記パルス幅変調コンバータを構成する前記スイッチング
素子をオン・オフ制御する手段とを備えるものである。
〔作用〕
変圧器の偏磁現象は、変圧器に直流電圧成分が印加さ
れることによって、鉄心内の磁束が一方の極性に偏るも
のであり、これを解消するには、偏磁状態を確実に検出
する必要がある。偏磁状態の検出には、変圧器の鉄心内
の磁束を直接観測する方法が最も確実であるが、実際に
はその実現が極めて困難である。また同様に電圧時間積
を検出する方法もあるが、困難である。
これにたいし、変圧器の直流アンペアターンの総和を
検出することにより、偏磁量を容易に検出することがで
きる。
変圧器の極性及び電流の正極性を第2図(イ)のよう
にとるものとすれば、変圧器の1次側に直流電流(偏磁
電流と呼ぶ)I1dcを流した際に、偏磁を解消するのに必
要な2次電流の直流成分(補償電流と呼ぶ)I2dcは第2
図のようになる。同図から明らかなように、偏磁を解消
するには、補償電流I2dcが、 となるように設定すれば良い。これは変圧器の直流アン
ペアターンの総和がゼロとなるとき、偏磁が解消される
ことを示している。また(1)式の関係は負荷状態に関
わらず成立する。
従って、変圧器の巻線数がnの場合、直流成分に対す
るアンペアターンの総和ATが、 ここに、Nk:k番目の巻線の巻数 Ikdc:k番目の巻線電流の直流成分 となるように補償電流を設定すれば良く、j番目の巻線
から補償する場合、補償電流Ijdcは、 で与えられる。
この方法によれば、どの巻線から偏磁電流が流入して
も偏磁状態を確実に検出し、偏磁の解消が可能である。
一方、1次電流あるいは2次電流に含まれる偶数次長
波成分を検出することによっても、偏磁状態を検出でき
る。
第4図は、偏磁電流に対して1次電流に含まれる各電
流成分の関係を実験的に求めたものである。同図におい
て、偏磁電流が増加するに伴い、第2調波成分をはじめ
とする偶数次調波成分が偏磁電流にほぼ比例して増加す
ることが分かる(図には第2調波成分のみ示してあ
る)。このような偶数次調波成分が発生するのは、変圧
器の鉄心の磁化特性の影響で電流波形が正負非対象とな
るためである。また、偶数次調波成分の極性は偏磁の方
向によって異なることから、これを検出することにより
偏磁の極性を検出できる。このようにして、1次電流の
偶数次調波成分から直流アンペアターンに相当する偏磁
の状態量を検出できる。尚、2次電流についても、偏磁
によって偶数次調波成分が発生するため、これを検出す
ることで、1次電流の場合と同様に偏磁の状態量を検出
できる。
また、以上のように検出された偏磁の状態量をそのま
ま変圧器の出力巻線に注入しても偏磁を未然に防ぐこと
は困難で、そのためにはなんらかの補償をかけてやらな
ければならない。その手段は、前記の方法で検出した偏
磁の状態量がゼロになっても直流補償電流を流しつづけ
る手段でなければならない。もし、このような補償手段
でないと補償の結果偏磁の状態量がゼロになった場合補
償量がゼロになってしまい再び偏磁状態に戻ってしま
う。
以上のような検出信号による補償信号に基づいて、第
2図に示すように変圧器の出力巻線に直流電流を注入す
る手段を設けることにより、偏磁は解消される。例え
ば、同図(a)に示すように、変圧器1次巻線に正の直
流電圧Edcを含む正弦波状の電圧が印加されると、鉄心
は正極性に偏磁され、同図に示すような励磁電流が流れ
てバランスする。この場合、コンバータ入力電圧eCに同
図に示す極性で直流電圧Ecoを発生させ、直流アンペア
ターンが等しくなるように2次巻線に負の極性の直流電
流を注入することで、偏磁は抑制される。同図(b)に
示すような極性で変圧器1次巻線に直流電圧Edcが印加
された場合にも、同様にして、コンバータ入力電圧ec
同図(a)とは逆極性の直流電圧Ecoを発生させ、直流
アンペアターンが等しくなるように2次巻線に直流電流
を注入することで、偏磁は抑制される。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を第1図により説明する。
同図は単相交流を電源とする電力変換システムへの本
発明の適用例を示すものであり、ACSは単相交流電源、Z
LINは架線のインピーダンス要素、TRは変圧器、ACLは交
流リアクトル、CONは交流を直流に変換するPWMコンバー
タ、FCは直流平滑用フィルタコンデンサ、LOADは負荷装
置である。
一方、AVRは直流電圧指令Edと直流電圧edとの差か
らコンバータ入力電流i2(変圧器TRの2次電流)の有効
電流指令Irを作成する電圧調整回路、ACR1は前記有効
電流指令Irと電流検出回路CDTにより検出されたコン
バータ入力電流i2の有効成分Irとの差からコンバータ入
力電圧ecの電源直交成分指令Eciを作成する有効電流
調節回路であり、ACR2はコンバータ入力電流i2の無効成
分指令Ii前記電流検出回路CDTにより検出されたコン
バータ入力電流i2の無効成分Iiとの差からコンバータ入
力電圧ecの電源同相成分指令Ecrを作成する無効電流
調節回路である。また、MWGはコンバータ入力電圧ec
電源同相成分指令Ecr、電源直交成分指令Eciおよび
後述の直流成分指令Ecoからパルス幅変調のための変
調波信号ymを作成する変調波発生回路、PWMは前記変調
波信号ymとキャリア信号ycとを比較して、PWMコンバー
タを構成するスイッチング素子をオン・オフ制御するた
めのゲート信号を出力するパルス幅変調回路である。
また、破線で囲んだDTは、変圧器TRの偏磁状態を検出
する偏磁量検出回路であり、変圧器1次電流の直流成分
I1dcを検出する直流成分検出回路DCD1,1次電流の直流成
分I1dcを2次電流に換算するためのゲイン調節回路GAIN
1及び2次電流の直流成分I2dcを検出する直流成分検出
回路DCD2から構成され、直流アンペアターンの総和に相
当するΔIdc(I1dcとI2dcの差)を出力する。DCCはΔId
cからコンバータ入力電圧ecの直流成分指令Ecoを作成
する補償回路である。
以下、第1図及び第5図を用いて本実施例の動作を説
明する。
第1図において、変圧器TRの1次巻線には、電源ACS
から線路のインピーダンス、ZLIN(Lf:線路のインダク
タンス、Rf:線路の抵抗)を介して、電源(変圧器1次
電圧e1)が供給される。変圧器TRは、これを変圧してコ
ンバータに適した2次電圧e2を出力し、交流リアクトル
ACLを介してPWMコンバータCONに供給する。PWMコンバー
タCONは交流側入力電圧(コンバータ入力電圧)ecの振
幅及び位相を調節することにより力率1で、所定の電力
を供給する運転を行う。このecの振幅及び位相の調節は
次のようにして行われる。
即ち、電圧調節回路AVRは直流電圧指令Edと直流電
圧edとの偏差がゼロとなるように、コンバータ入力電流
i2の有効成分指令Irを調節する。これにより、所定の
電力を供給するのに必要な有効成分指令Irが設定され
る。この有効成分指令Irと電流検出回路CDTにより検
出されたコンバータ入力電流i2の有効成分Irとの偏差が
ゼロとなるように有効電流調節回路ACR1により、コンバ
ータ入力電圧ecの電流直交成分指令Eciを調節する。
また、無効電流指令Iiは力率指令に相当するもの
で、通常は力率が1となるように、Ii=0(無効電流
がゼロ)に設定される。従って、無効電流調節回路ACR2
はコンバータ入力電圧ecの電源同相成分指令Ecrを調
節する。
これらの指令値EciおよびEcrより、変調波発生回
路MWGは、第5図(a)に示すような変圧器2次電圧e2
に対して所ていの振幅と位相をもった正弦波状の変調波
信号ymを出力する。パルス幅変調回路PWMは、変調波信
号ymと三角波状のキャリア信号ycと比較して、その大小
関係より、各アームのスイッチング素子の導通状態を ym>ycのとき、上アーム:オン 下アーム:オフ ym<ycのとき、上アーム:オフ 下アーム:オン のように決定し、これに応じたゲート信号を出力する。
このようにして、PWMコンバータは直流電圧及び力率1
を維持しながら所定の電力で運転される。
いま、変圧器TRの1次側に直流電流をとるような負荷
装置が存在する例を考えると、線路の抵抗分Rfの電圧降
下によって、変圧器の1次巻線に直流電圧が印加され
る。このようにして偏磁が発生すると、偏磁量検出回路
DTは、直流成分検出回路DCD1により変圧器1次電流の直
流成分I1dcを検出して、ゲイン調節回路GAIN1で直流成
分I1dcによるアンペアターンを2次電流に換算し、この
出力I2dcと直流成分検出回路DCD2から出力される2次電
流の直流成分I2dcとの差ΔIdc(補償電流の偏差)を出
力する。補償回路DDCは積分要素を含んでいるので、偏
磁量検出回路の出力ΔIdcがゼロとなるように、またゼ
ロとなった後は、ΔIdcがゼロを保持するように、コン
バータ入力電圧のecの直流成分指令Ecoを調節し、変
調波発生回路MWGに出力する。変調波発生回路MWGは、第
5図(b)に示すように、直流成分指令Ecoに応じて
変調波信号ymをYmoだけシフトして、パルス幅変調回路P
WMに出力するパルス幅変調回路PWMは、変調波信号ym
ャリア信号ycを比較してゲート信号を出力する。その結
果、PWMコンバータは同図(b)のような直流電圧を含
むコンバータ入力端子電圧を発生し、偏磁を打ち消すよ
うに変圧器に注入する直流電流を制御する。このような
コンバータ入力電圧の直流成分の調整は、交流成分の調
整とは独立に行われるから、力率1での運転に対しての
影響は殆どない。
以上のようにして、変圧器の偏磁補償制御が行われ、
偏磁が解消されて、コンバータ入力電流の増加や励磁電
流の増加が抑えられる。また、PWMコンバータで直接偏
磁補償を行うため、変圧器に新たな補償用巻線及び補償
用変換器を設ける必要もなく、コンパクトな装置が実現
できるなどの効果がある。
ところでコンバータ入力電圧のecの直流成分Ecoに対
する2次電流直流成分I2dc(補償電流)の関係が明らか
な場合は、第1図における直流成分検出回路DCD2が省略
でき、第6図に示すように1次電流の直流成分のみ検出
することで、偏磁を解消することができる。同図におい
て、偏磁量検出回路DTは、1次電流の直流成分を検出す
る直流成分検出回路DCD1と、その出力のゲインを調節す
るゲイン調節回路GAIN1から構成され、DCD2は偏磁量検
出回路DTの出力から、これに応じた補償電流I2dcを流す
のに必要なコンバータ入力電圧ecの直流成分指令Eco
を作成するものである。その他の構成及び動作は、第1
図と同様である。
本実施例によれば、極めて簡単な検出回路及び補償回
路の構成で偏磁の解消が可能となる。
一方、第1図における偏磁量検出回路DTは、第7図に
示すように1次電流または2次電流に含まれる偶数調波
成分(第7図は第2調波成分による例)を検出すること
によっても実現できる。
同図において、BPFは、第2調波成分を検出するフィ
ルタ回路、MUL1,MUL2は乗算器、DCD3は直流成分検出回
路、GAIN2はゲイン調節回路である。同図は、第1図の
破線部で囲んだ偏磁量検出回路DTのみを示したものであ
り、その他の回路構成及び回路動作は第1図と同様であ
る。以下、本実施例による偏磁量検出回路の動作につい
て、第9図を用いて説明する。第9図は、偏磁電流が正
及び負の場合(無負荷)における動作波形の一例を示し
たものである。第7図のフィルタ回路BPFは第9図
(ロ)に示すような2次電流i2に含まれる第2調波成分
i22を検出する。この第2調波成分i12と、第9図(イ)
に示す変圧器2次電圧e2(1次電圧でも良い)を乗算器
MUL1で自乗して得られた第9図(ハ)に示す信号とを乗
算器MUL2で掛けあわせ、第9図(ニ)に示す信号を作成
し、直流成分検出回路DCD3でその直流成分(平均値)を
検出する。更に、ゲイン調整回路GAIN2で符号を反転し
てゲインを調節し、補償電流の偏差ΔIdcを作成するも
のである。このΔIdcが、第1図の偏磁量検出回路DTの
出力に相当する信号である。
本実施例では、直流成分よりもレベルの大きな第2調
波成分で変圧器の偏磁状態を検出しているため応答が早
く、精度良く偏磁を検出でき、特に鉄心の磁束密度を高
く設定した変圧器を用いた場合に有効である。また、定
数の設定誤差による影響がなく、1次電流の代わりに2
次電流を検出することにより実現しているため、一般的
に高電圧となる1次側に電流検出器を設ける必要がない
などの効果がある。
第8図は、他の偏磁検出手段による実施例であり、偏
磁量検出回路のみ示してある。その他の回路構成及び動
作は、第1図と同様である。
本実施例では、2次電流に含まれる第2調波成分をフ
ィルタ回路BPFで検出し、絶対値回路ABSで絶対値を取っ
た後に直流成分検出検出回路DCD4で平均することで偏磁
量を検出する。一方、2次電流に含まれる直流成分を直
流成分検出回路DCD5で検出し、極性判別回路PLCで偏磁
の極性を検出する。これらの出力を乗算器MUL3で掛けあ
わせ、ゲイン調節回路GAIN3によりゲインを調節するこ
とで、補償電流の偏差ΔIdcを作成するものである。
本実施例によれば、第2調波成分によって偏磁量を検
出するため高応答で精度良く偏磁量を検出でき、また、
偏磁の極性は直流成分の極性によって検出するためフィ
ルタ回路BPFの位相特性の影響を考慮する必要がなくな
り、極性判別の基準となる電圧信号を省略でき、乗算器
の数を低減できるなどの効果がある。
第10図には1個の変圧器TRに複数個のコンバータが並
列運転をしている多重化された場合を示している。ここ
では、負荷が1個の場合を例に取って説明するが、夫々
のコンバータが夫々負荷を取っても差し支えない。ま
た、本図では紙面の関係上第1図と同様のものは簡略化
している。同図において、変圧器TRはn台のPWMコンバ
ータCON1〜CONnを接続するためのn個の2次巻線を備え
ている。また、CTR1〜CTRnは上記コンバータを有効電流
指令回路IRAの出力に応じてコンバータ入力電流を制御
する電流制御回路であり、第1図のものと同一構成であ
る。DTは変圧器の各巻線電流を検出して、直流アンペア
ターンの総和を算出する偏磁量検出回路であり、その他
の構成は第1図と同様である。
偏磁量検出回路DTは、変圧器TRの各巻線電流から直流
成分を検出し、直流アンペアターンの総和ΔIdcがを演
算、出力する。この出力に応じて、補償回路DCC1はΔId
cがゼロとなるように積分補償を行い、コンバータ入力
電圧の直流成分指令Ecoを作成し、電流制御回路CTR1
〜CTRnに入力する。その結果、各コンバータCON1〜CONn
に直流の補償電流が1/nに分配してながれ偏磁が解消さ
れる。
本実施例では、偏磁を補償する為の直流電流を各PWM
コンバータに分担させるため、コンバータ入力電流の補
償電流によるその増加が少なく、主回路素子の電流容量
の低減が図れる。また、コンバータ入力電流の直流成分
によって発生する直流電圧脈動も抑制されるなどの効果
がある。
〔発明の効果〕
本発明によれば、変換器側から引き起こされる変圧器
の偏磁のみならず電源側に起因する変圧器の偏磁をも解
消することができ、連続的な偏磁についても有効に動作
し、しかも未然に防止しうるので、偏磁に伴うリアクタ
ンス減少や変圧器2次電圧変動が抑制される。そのた
め、コンバータ入力電流(変圧器2次電流)の局部的な
増加が抑えられ、主回路スイッチング素子を荷電流から
保護できる。また、励磁電流の増加にともなって発生す
る低次高調波成分を除去できる。更に、偏磁により著し
く増大する変圧器の騒音を低減できる。そして、電力変
換器にある既存の部品を活用することができるので新た
に付加する部品点数が少なくすむなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の1実施例を示す構成図、第2図は偏磁
の抑制方法を説明するための図、第3図は偏磁電流と補
償電流との関係の1例を示す図、第4図は偏磁電流に対
する1次電流各成分の関係の1例を示す図、第5図は第
1図の回路動作を説明するための図、第6図〜第8図は
他の実施例を示す図、第9図は第7図に示す実施例の動
作を説明するための図、第10図は複数コンバータを備え
た偏磁補償の構成図である。 符号の説明 ACS……単相交流電源、ZLIN……架線インピーダンス、T
R……変圧器、ACL……交流リアクトル、CON……PWMコン
バータ、FC……直流コンデンサ、LOAD……負荷装置、AV
R……電圧調節回路、ACR1……有効電流検出回路、ACR2
……無効電流検出回路、MWG……変調波発生回路、PWM…
…パルス幅変調回路、DT……偏磁量検出回路、DCC……
補償回路、DCD1〜8……直流成分検出回路、CDT……電
流検出回路、BPF……バンドパスフィルタ、MUL1〜3…
…乗算器、GAIN1〜5……ゲイン調節回路、ABS……絶対
値回路、PLC……極性判別回路、CTR……制御回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 清 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 石田 俊彦 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社日立製作所日立工場内 (56)参考文献 特開 昭62−210866(JP,A) 特開 昭52−42215(JP,A) 特開 昭61−52159(JP,A) 特開 昭61−92173(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】交流電圧を所定の交流電圧に変換する変圧
    器と、その二次側に接続され交流を直流に変換するパル
    ス幅変調(PWM)コンバータと、このコンバータの直流
    側に接続された負荷装置とを備えた電力変換装置におい
    て、前記変圧器の全ての巻線に流れる電流の直流成分を
    検出する手段と、これら検出された直流成分を入力し前
    記変圧器のアンペアターンの総和が零に近づくように前
    記コンバータを構成するスイッチング素子をオン・オフ
    制御する手段とを備えた電力変換装置。
  2. 【請求項2】交流電圧を所定の交流電圧に変換する変圧
    器と、その二次側に接続され交流を直流に変換するパル
    ス幅変調(PWM)コンバータと、このコンバータの直流
    側に接続された負荷装置とを備えた電力変換装置におい
    て、前記変圧器の1次電流または2次電流に含まれる偶
    数次調波成分を検出する手段と、この検出値に応じて前
    記コンバータを構成するスイッチング素子をオン・オフ
    制御する手段とを備えた電力変換装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の電力変換装置において、前
    記偶数次調波成分を検出する手段は、前記変圧器の1次
    電流または2次電流に含まれる偶数次調波成分の振幅を
    検出するものである電力変換装置。
  4. 【請求項4】請求項2記載の電力変換装置において、前
    記偶数次調波成分を検出する手段は、偏磁の極性を1次
    電流または2次電流に含まれる直流成分で検出するもの
    である電力変換装置。
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