JP2606693B2 - ポリフエニレンスルフイドフイルムの縦延伸方法および装置 - Google Patents

ポリフエニレンスルフイドフイルムの縦延伸方法および装置

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JP2606693B2
JP2606693B2 JP61281198A JP28119886A JP2606693B2 JP 2606693 B2 JP2606693 B2 JP 2606693B2 JP 61281198 A JP61281198 A JP 61281198A JP 28119886 A JP28119886 A JP 28119886A JP 2606693 B2 JP2606693 B2 JP 2606693B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、磁気ディスクや磁気テープなどのメディヤ
ソース、コンデンサなどの電子部品材料などの分野で使
用されるポリフェニレンスルフィド(以下PPSと呼ぶ)
フィルムの縦延伸手段に係り、特に厚さが均一でしかも
表面に傷が転写されないようにしたポリフェニレンスル
フィドフィルムの縦延伸方法および装置に関する。
〔発明の背景〕
PPS樹脂は、ベンゼン環とイオウが交互結合されたも
のであり、例えばパラフェニレンスルフィドポリマーと
メタフェニレンスルフィドポリマーとのブロックコーポ
リマー、あるいはパラフェニレンスルフィドのホモポリ
マーの状態で加工される。PPS樹脂は添加剤などが加え
られない状態で使用される場合もあり、またはその用途
に応じて無機あるいは有機添加剤や安定剤が添加されて
加工される場合もある。
最近では、このPPS樹脂を二軸延伸したフィルムの用
途が着目されている。PPSフィルムの用途は、例えば磁
気ディスクや磁気テープなどのメディヤソースの素材あ
るいはコンデンサなどの電子部品材料などが予想されて
いる。その理由は、PPSフィルムが耐熱性に優れた素材
であるため、垂直磁化方式の磁気ディスクとして使用さ
れた場合の熱による影響が少なく、また電子部品材料と
して使用される場合の電極の蒸着または半田付けなどの
工程に耐えることができるからである。また低吸水性
で、さらに難燃性や耐薬品性についても強い特性を有し
ているため、保管に適する材料だからである。さらに誘
電率や誘電損失などの電気的特性も良好であり、伸びが
少ないなどの機械的特性においても優れているからであ
る。従来の磁気ディスクやコンデンサ材料となるフィル
ムはポリエステルが一般的であったが、PPSフィルムは
上記の優れた特性から、ポリエステルフィルムに代わる
素材としてその利用価値が認められつつある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
PPSの二軸延伸フィルムの厚さのばらつきや表面の傷
などの品質は、他の素材によるフィルムの場合と同様
に、縦延伸のときの延伸の良否に影響される。
第4図はフィルムを縦延伸するための一般的な方法を
示している。この方法では、フィルムFを加熱ロール1
によってガラス転移点以上の温度に加熱し、そして加熱
ロール1と後段の冷却ロール2との巻に周速差を設け
て、両ロール1と2の間にて所定の倍率にてフィルムを
縦方向へ延伸する。従来のポリエステルフィルムなどの
縦延伸においては、加熱ロール1として、金属ロールの
表面にクロームメッキが施されたものが使用されてい
る。
しかしながら、PPSを第4図に示す装置によってポリ
エステルなどと同じ条件にて縦延伸すると、延伸後のフ
ィルムの表面に、スティック状の肉厚の大きい部分が短
いピッチにて連続的に形成される現象(以下、この現象
をスティックスリップと呼ぶ)が生じてしまう問題点が
ある。すなわちフィルムの縦延伸では、樹脂をガラス転
移点以上の温度に加熱して延伸を行なうことになるが、
PPSの場合にはガラス転移点からわずかに高い温度に加
熱されるとロール1の表面に粘着する特性を有してい
る。そのため第4図の装置によってPPSを縦延伸する場
合、前記粘着性によりPPSがロール1の表面から直ちに
剥離せず、ロール1の回転によってAの部分までまつわ
り付いてしまう。PPSがA部にまつわり付いている瞬間
では、ロール2によって引かれるフィルムの肉厚が薄く
なり、PPSがA部から離れた瞬間ではA部に付着してい
た部分の肉厚が大きくなる。この肉厚の差が細かいピッ
チにて繰返され、前記スティックスリップが生じること
になる。このように、PPSではガラス転移点からわずか
に高い温度にて粘着性を有してしまうため、従来のクロ
ームメッキのロールでは、縦延伸する場合にスティック
スリップ現象が生じるのを避けることができず、すなわ
ち縦延伸が可能となる温度範囲がなく、縦延伸が実質的
に不可能なものとなっている。
本発明は上記の問題点を解決するものであり、加熱ロ
ール表面の条件、フィルムのロールに対する巻き付け角
度、加熱温度などの各種条件を改善して肉厚の変化や傷
の発生を防止したPPSフィルムの縦延伸方法および装置
を提供するものである。
〔問題点を解決するための具体的な手段〕
本発明による方法は、金属の表面に酸化クロームなど
によるセラミック層が被覆され且つセラミック層の表面
あらさが例えば0.6S以下、層の厚さが50〜100μm、層
の硬さがピラミッド形状のダイヤモンドを使用し試験荷
重300gにて測定したビッカース硬さで750以上となるロ
ールに対してポリフェニレンスルフィドフィルムを120
度以上の巻付け角度にて巻きつけるとともに、ポリフェ
ニレンスルフィドフィルムをガラス転移点以上の温度に
て加熱し、このロールと後段のロールとの間に周速差を
もたせることによって、ポリフェニレンスルフィドフィ
ルムを縦延伸するものである。また、ロールの加熱温度
は、ポリフェニレンスルフィドフィルムのガラス転移点
の温度よりも3〜15℃高い温度が最適である。
以下、問題点を解決する具体的手段について、その根
拠とともに詳述する。
PPSフィルムを、スティックスリップによる肉厚の変
化がほとんどなく、また傷が付かず、さらには表面が平
滑となるように縦延伸するためには、ロール表面にセラ
ミック層を形成すること、このセラミック層の表面あら
さを小さくすること、フィルムの加熱温度を最適に設定
すること、そしてロールに対するフィルムの巻付け角度
を適正に設定すること、以上の条件が必要である。
まず、ロールの表面にセラミック層を形成すること、
セラミック層の表面あらさを小さくすること、およびフ
ィルムの加熱温度を適正に設定することによって、PPS
フィルムのスティックスリップを防止でき、良好な状態
に延伸できることが次の実験によって確かめられた。
第2図は実験装置を示すものであり、第6図はその実
験結果を示す線図である。第2図において、R1とR2は予
熱ロール、R3は延伸ロール、R4は冷却ロールである。第
6図に示す実験結果のうち(A)と(B)では、延伸ロ
ールR3として金属ロールの表面にクロームメッキが施さ
れたものを使用している。実験結果(C)では、延伸ロ
ールR3として、金属ロールの表面に酸化クロームをプラ
ズマ溶射してセラミック層を形成したものを使用してい
る。このセラミック層の厚さが50〜100μm程度であ
り、また層の硬さはピラミッド形状のダイヤモンドを使
用した試験荷重300gにて測定したビッカース硬さ(JIS
Z 2244:Diamond phyramid hardness)で750以上であ
る。またセラミック層の表面あらさは0.4S以下の鏡面に
近い状態とした。延伸ロールR3の加熱方法は、実験結果
の(A)と(C)では延伸ロールR3の内部に熱水を循環
させる方法によりロール表面の温度を表−1に示す値に
設定している。(B)ではロールR3の内部に熱水を循環
させる方法によりロール表面の温度を表−1に示す値に
設定しさらにIR−ヒータによってフィルム表面を表−1
の温度より高い温度に加熱している。また、使用された
PPS素材は、パラフェニレンスルフィドポリマーとメタ
フェニレンスルフィドポリマーのモル比が85:15のブロ
ックコーポリマーであり、例えば特開昭61−14228号公
報に開示されているものを使用した。実験に使用した素
材は、樹脂温度310℃/剪断速度200(秒)-1の条件で測
定した溶融粘度が4,000ポイズのものである。またガラ
ス転移点の温度は約73℃である。このガラス転移点の温
度は、特開昭61−14228号公報に開示されているのと同
じ測定方法によって測定された値、すなわちメトラー社
製の差動走査型熱量計(DSC)を用い、窒素下でサンプ
ル10mg、昇温速度10℃/minで測定した場合の吸熱開始を
示す温度で表される値である。
PPSはTダイによってフィルム状に押出されたものを
キャスティングし、第2図で示す装置によって縦延伸実
験した。
(上記表はロール表面の温度、(B)においてR3の温度
はロール表面の温度を示しており、さらにIRヒータによ
ってフィルム表面を約82℃程度に加熱している。) 第6図に示す線図から次のことが明らかになる。まず
実験結果(A)では、フィルムの肉厚の変化が短いピッ
チによって波状に繰返されている。これが前述のスティ
ックスリップである。すなわち、表面がクロームメッキ
の延伸ロールを使用した場合には、PPSのガラス転移点
の温度(実験に使用したブロックコーポリマーでは73
℃)よりもわずかに高い温度(実験では約7℃高い温
度)に加熱しただけでスティックスリップを生じてしま
う。また、(A)におけるR3の温度を表−1に示す80℃
よりも低い値にしてしまうと、今度はPPSが十分に軟化
せず、縦延伸そのものが不十分になる。このようにPPS
では、クロームメッキのロールR3を使用して縦延伸でき
る温度範囲はほとんどないといえる。
また、実験(B)は実験結果(A)のようなスティッ
クスリップが生じないようにするために、延伸ロールR3
の温度そのものを下げ、延伸ロールR3から離れた直後に
IRヒータによりフィルムを直接加熱して、ガラス転移点
以上の温度となるようにして縦延伸を行なったものであ
る。第6図における実験結果(B)に示されるように、
この場合には延伸ロールR3の温度が低いためにスティッ
クスリップは生じなくなるが、その反面、縦延伸後のフ
ィルムの肉厚が一定せず、肉厚に偏りが生じるフィルム
となってしまう。この実験結果からIRヒータによってフ
ィルムを直接加熱する方法では、PPSの縦延伸が良好に
行なわれないことが分かる。
これに対して、実験結果(C)では、スティックスリ
ップが全く生じておりず、またフィルム厚さの変化がな
いように十分に延伸され、またフィルム表面には傷が生
じなかった。このように、表面にセラミック層を有する
延伸ロールR3を使用した場合には、84℃程度に加熱され
てPPSが粘着性を呈したとしてもセラミック層の表面と
の剥離性が良好であるがために、スティックスリップを
生じるには至らない。すなわち、セラミック層を有する
延伸ロールを使用した場合には、フィルムを延伸するの
に十分な程度まで軟化する温度に加熱でき、しかもステ
ィックスリップを防止できることになる。もちろんセラ
ミック層を有する延伸ロールを使用した場合でも、フィ
ルム加熱温度を無条件に上げていけば、PPSの粘着性が
顕著になって(A)と同様なスティックスリップが生じ
ることになる。セラミック層を有するロールを使用した
場合、PPSフィルムの加熱温度としては、ガラス転移点
の温度よりも3〜15℃程度高い範囲が最適である。また
セラミック層の表面はPPSとの剥離性が良好であるの
で、セラミック層の表面あらさを0.6S以下、好ましくは
0.4S以下の鏡面に近いものにしても粘着によるスティッ
クスリップは生じない。これは実験結果(C)によって
明らかである。このように、ロール表面を鏡面に近いも
のにできるので、延伸後のフィルムの表面に傷が生じに
くくなる。またロール表面を鏡面に近い表面あらさにで
きる点において酸化クロームは最適である。もちろんア
ルミナ,酸化チタンなどの他のセラミック材料であって
も使用可能である。またこの実験結果(C)では延伸ロ
ールR3の表面のセラミック層の厚さを50〜100μmにし
ているが、セラミック層の厚さをこの範囲に設定するこ
とによって、延伸ロールR3の熱膨張による表面積の変化
にセラミック層が追従できるようになり、ロール表面を
常にPPSの延伸に適する状態に維持できるようになる。
またセラミック層の厚さを上記の範囲に設定することに
よって延伸ロール本体からフィルムへの熱損失を最小に
抑えることができるようになり、PPSフィルムの加熱温
度を適正に設定できるようになる。さらにセラミック層
の硬さをビッカース硬さで750以上に設定しているが、
セラミック層の表面がこのように硬くされていることに
よって、延伸ロールR3の表面に傷が付きにくくなり、延
伸後のPPSフィルムにロール傷が転写されるおそれがな
くなる。
次に、延伸ロールに対するフィルムの巻付け角度が適
正でないとPPSフィルムの縦延伸が良好に行なえない
が、この点を第3図に示す実験に基づいて説明する。
第3図において、R5は予熱ロール、R6は一段延伸用の
延伸ロール、R7は二段延伸用の延伸ロール、R8は冷却ロ
ールである。各ロール表面の温度は、R5が約70℃、R6
R7が約84℃、R8が約50℃である。R6とR7は金属ロールの
表面に酸化クロームのセラミック層が形成されているも
のであり、第2図の実験結果の(C)において使用した
延伸ロールR3と同種のものである。R5とR8は金属ロール
の表面にクロームメッキが施されたものである。また、
R6とR7との回転周速差によって一段目の延伸を行ない、
同様にしてR7とR8との間で二段目の延伸を行なって、全
体として3.3〜3.5倍程度の伸び率を与えた。また、使用
されたPPS素材は、前記の第2図における実験と同じ、
パラフェニレンスルフィドポリマーとメタフェニレンス
ルフィドポリマーのモル比が約85:15のブロックコーポ
リマーである。
この実験では、PPSの十分な縦延伸ができなかった。
その理由は、第3図の装置では、各延伸ロールR6とR7
対するフィルムの巻付け角度が小さすぎるためである。
すなわち、PPSは延伸温度をガラス転移点からわずかに
高い程度の値に設定し延伸ロール表面のセラミック層に
対する剥離性を良くして、前述のようにスティックスリ
ップが生じないようにする必要があるが、逆にこの温度
ではセラミック層に対するPPSフィルムの粘着性が不十
分となり、延伸ロールに対する巻き付け角度が小さすぎ
ると延伸ロールによってフィルムを十分に保持できなく
なるころである。そのため、後段のロールによって引か
れる際にフィルムに十分な引張力が作用せず、延伸ロー
ルとフィルムとのずれが生じるなどして、適正な縦延伸
が行なわれなくなる。第3図の装置において延伸ロール
によるフィルム保持力を高くするためにはロールの温度
を高くしてフィルムの粘着性を上げればよいことになる
が、ロールの温度を高くしてしまうと、前述のようにPP
Sフィルムの粘着性によってスティックスリップが生じ
る結果になる。
このようにPPSフィルムの縦延伸を、セラミック層を
有するロールによって行なうためには、ロールに対する
巻付け角度を適正にすることが必要である。セラミック
層を有する延伸ロールに対するフィルムの巻付け角度を
変えて実験を繰返したところ、PPSフィルムをガラス転
移点からわずかに高い温度によって縦延伸するために
は、巻付け角度が120度以上必要であることが分かっ
た。
第1図は以上の実験結果から得られた各条件を基にし
て構成したPPSフィルムの縦延伸装置を示しているもの
である。この縦延伸装置は、第5図に示すPPSフィルム
の二軸延伸装置の縦延伸工程に使用されるものである。
第1図において、Raは予熱ロール、Rbは一段延伸用の
延伸ロール、RcとRdは冷媒兼予熱ロール、Reは二段延伸
用の延伸ロール、Rfは冷却ロールである。RbとReは、金
属ロールの表面に酸化クロームを溶射してセラミック層
を形成したものである。このセラミック層の厚さは50〜
100μm、セラミック層の表面あらさは0.6S以下、好ま
しくは0.4S以下の鏡面に近いものである。またセラミッ
ク層の硬さはピラミッド形状のダイヤモンドを使用し試
験荷重300gにて測定したビッカース硬さ(JIS Z 2244:D
iamond phyramid hardness)で750以上である。Ra,Rc,R
d,およびRfは金属ロールの表面にクロームメッキが施さ
れたものである。また一段目の延伸ロールRbとその前段
の予熱ロールRaとの間では、フィルムが互いに逆側に向
く面に巻き掛けられている。また延伸ロールRbとその後
段の冷却兼予熱ロールRcとの間においてもフィルムは互
いに逆側に向く面に巻き掛けられている。この巻き掛け
機構により、延伸ロールRbに対するフィルムの巻付け角
度は120度以上の大きなものとなっている。同様に、二
段目の延伸ロールReと、その前段の冷却兼予熱ロールR
d、後段の冷却ロールRfとの間においても、フィルムは
互いに逆側を向く面に巻かれており、延伸ロールReに対
するフィルムの巻付け角度は120度以上の大きなものと
なっている。また延伸ロールRbと冷却兼予熱ロールRcと
の間の回転周速差によってフィルムの一段目の延伸が行
なわれ、延伸ロールReと冷却ロールRfとの間の回転周速
差によって二段目の延伸が行なわれる。
〔実 施 例〕
以下本発明の実施例を説明する。
実施例1 第1図に示す縦延伸装置を含む第5図による二軸延伸
装置によってPPSフィルムの二軸延伸を実施した。各ロ
ールの表面温度は、Ra,Rc,Rdが約76℃、RbとReが約85
℃、Rfは約50℃である。
素材は、パラフェニレンスルフィドポリマーとメタフ
ェニレンスルフィドポリマーのモル比が約85:15ほブロ
ックコーポリマーであり、例えば特開昭61−14228号公
報に開示されているものを使用した。また、樹脂温度31
0℃/剪断速度200(秒)-1の条件で測定した溶融粘度が
4,000ポイズで、ガラス転移点温度が約73℃のものを使
用した。ガラス転移点の温度は、特開昭61−14228号公
報に開示されているのと同じ測定方法によって測定され
た値、すなわちメトラー社製の差動走査型熱量計(DS
C)を用い、窒素下でサンプル10mg、昇温速度10℃/min
で測定した場合の吸熱開始を示す温度で表される値であ
る。押出し工程はTダイによって行ない、また横延伸工
程では、周知であるクリップ走行方式のテンタを使用し
た。一段延伸(RbとRc)による延伸倍率と、二段延伸
(ReとRf)による延伸倍率は以下の表−2に示す通りで
ある。
以上の三例では、いずれも縦延伸においてスティック
スリップや肉厚のばらつきや傷が生じなく、また横延伸
後のPPSフィルムは傷のない良好なものが得られた。
実施例2 素材はパラフェニレンスルフィドのポモポリマーを使
用した。この素材は、例えば特開昭61−7332号公報に開
示されているものである。また、樹脂温度310℃/剪断
速度200(秒)-1の条件で測定した溶融粘度が4,000ポイ
ズで、ガラス転移点の温度が約88℃のものを使用した。
ガラス転移点の温度は、特開昭61−14228号公報に開示
されているのと同じ測定方法によって測定された値、す
なわちメトラー社製の差動走査型熱量計(DSC)を用
い、窒素下でサンプル10mg、昇温速度10℃/minで測定し
た場合の吸熱開始を示す温度で表される値である。装置
構成は第1図に示すのと同種であるが、各ロール温度が
実施例1と異なる。各ロールの温度は、Ra,Rc,Rdが約83
℃、RbとReが約92℃(ガラス転移点よりも約4℃高い温
度)、Rfは約50℃である。延伸倍率は以下の表−3に示
す通りである。
以上の三例では、いずれも縦延伸においてスティック
スリップや肉厚のばらつきや傷が生じなく、また横延伸
後のPPSフィルムは傷のない良好なものが得られた。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明によれば、これまで困難とされ
ていたPPS樹脂の二軸延伸が確実に行なわれるようにな
り、また高品質のPPSの二軸延伸フィルムを量産できる
ようになる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるPPSフィルムの縦延伸装置を示す
ロール構成図、第2図、第3図、第4図はいずれも実験
装置のロール構成図、第5図は本発明によるPPSフィル
ムの縦延伸装置を使用した二軸延伸装置の機器構成図、
第6図は実験結果を示す線図である。 Rb,Re,R3,R6,R7……表面にセラミック層を有するロー
ル、Ra,R1,R2,R5……予熱ロール、Rc,Rd……冷却兼予熱
ロール、Rf,R4,R8……冷却ロール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−93975(JP,A) 特開 昭61−98526(JP,A) 特開 昭56−62128(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属の表面にセラミック層が被覆されたロ
    ールにポリフェニレンスルフィドフィルムを120度以上
    の巻付け角度にて巻きつけるとともに、ポリフェニレン
    スルフィドフィルムをガラス転移点よりも高い温度に加
    熱し、このロールと後段のロールとの間に周速差をもた
    せることによって、ポリフェニレンスルフィドフィルム
    を縦延伸する方法。
  2. 【請求項2】セラミック層は、酸化クロームによって形
    成されている特許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】セラミック層の表面あらさは0.6S以下であ
    る特許請求の範囲第1項または第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】セラミック層の厚さは50〜100μmである
    特許請求の範囲第1項または第2項記載の方法。
  5. 【請求項5】セラミック層は、ピラミッド形状のダイヤ
    モンドを使用し試験荷重300gに測定してビッカース硬さ
    が750以上である特許請求の範囲第1項または第2項記
    載の方法。
  6. 【請求項6】ポリフェニレンスルフィドフィルムの加熱
    温度は、ガラス転移点よりも3〜15℃高い温度である特
    許請求の範囲第1項記載の方法。
  7. 【請求項7】金属の表面にセラミック層が被覆されたロ
    ールと、このロールの前段および後段に設けられたロー
    ルとを有し、ポリフェニレンスルフィドフィルムが、前
    段のロールと前記セラミック層を有するロールとの間に
    おいて両ロールの互いに逆側に向く面に巻き付けられ、
    さらに前記セラミック層を有するロールと後段のロール
    との間において両ロールの互いに逆側に向く面に巻き付
    けられたときに、前記ポリフェニレンスルフィドフィル
    ムが前記セラミック層を有するロールに対して120度以
    上の巻き付け角度となるように前記各ロールが配置され
    ており、前記後段のロールは前記セラミック層を有する
    ロールよりも速い周速によっで回転駆動され且つ、前記
    セラミック層を有するロールをポリフェニレンスルフィ
    ドフィルムのガラス転移点以上の温度に加熱する加熱装
    置が設けられているポリフェニレンスルフィドフィルム
    の縦延伸装置。
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