JP2602455Y2 - 高光沢化粧金属板 - Google Patents

高光沢化粧金属板

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JP2602455Y2
JP2602455Y2 JP1993022977U JP2297793U JP2602455Y2 JP 2602455 Y2 JP2602455 Y2 JP 2602455Y2 JP 1993022977 U JP1993022977 U JP 1993022977U JP 2297793 U JP2297793 U JP 2297793U JP 2602455 Y2 JP2602455 Y2 JP 2602455Y2
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Inventor
謙司 岡本
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株式会社淀川製鋼所
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、高光沢化粧金属板、特
に金属板の表面側に高光沢の化粧樹脂層が形成されてい
る高光沢化粧金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の高光沢化粧金属板は、図3に説
明的に示したように、金属板20の表面側に高光沢の化
粧樹脂層1を形成し、裏面側に着色樹脂層6を形成した
ものであり、化粧樹脂層1は金属板20の表面に接着剤
5を用いて貼着されている。
【0003】このような高光沢化粧金属板Aにおいて、
着色樹脂層6は、その光沢度が化粧樹脂層1の光沢度に
比べると低くなっている。また、上記の高光沢化粧金属
板Aは、コイル状に巻き取った状態で保管されたり、そ
のコイルを定尺に切断した切り板状にして積み重ねて保
管されたりする。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な高光沢化粧金属板Aをコイル状に巻き取った状態で保
管したり、定尺に切断した切り板状にして積み重ねて保
管したりしておくと、互いに重なり合った高光沢化粧金
属板Aにおける裏面側の着色樹脂層6の粗い表面状態が
化粧樹脂層1の外表面に転写されて化粧樹脂層1の光沢
度が変わってしまうことがあるという問題があった。
【0005】本考案は以上の問題に鑑みてなされたもの
であり、高光沢化粧金属板同士が重ねられても、化粧樹
脂層の表面の光沢度が損なわれることのない高光沢化粧
金属板を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本考案による高光沢化粧
金属板は、金属板の表面側に光沢度80%以上の高光沢
の化粧樹脂層が形成され、上記金属板の裏面側に、プラ
イマーとしての着色樹脂層と、上記化粧樹脂層の光沢度
に対して±10%以内の光沢度を有する上塗りとしての
クリヤー樹脂層とが形成されているものである。この考
案でいう光沢度はJIS Z8741の方法2における
「60度鏡面反射法」で測定したものである。
【0007】
【作用】上塗りとしてのクリヤー樹脂層は、それ自体の
光沢度が化粧樹脂層の光沢度と同等または略同等である
ので、クリヤー樹脂層と化粧樹脂層とが重なり合って
も、クリヤー樹脂層の表面状態によって化粧樹脂層の表
面の平滑度が損なわれてその光沢度が低下するという事
態が生じない。プライマーとしての着色樹脂層には金属
面に上記クリヤー樹脂層を接合するための中間物質とし
ての働きや、金属板の耐蝕性を高める働きがある。
【0008】
【実施例】図1は本考案の実施例による高光沢化粧金属
板Aを説明的に示した断面図である。この高光沢化粧金
属板Aにおいて、化粧樹脂層1は、表面に印刷の施され
た塩ビ樹脂層11とその塩ビ樹脂層11の表面に熱融着
により積層一体化された軟質のクリヤー塩ビ樹脂層12
とでなる。したがって、化粧樹脂層1は塩ビ樹脂だけの
層によって形成されている。13は印刷層である。
【0009】上記化粧樹脂層1は接着剤15を介して亜
鉛めっき鋼板でなる金属板20の表面側にラミネートさ
れている。また、金属板20の裏面側には、着色樹脂層
41とクリヤー樹脂層42とが2層重ねで形成されてい
る。
【0010】化粧樹脂層1の内層である塩ビ樹脂層11
は厚さが30〜200μの着色塩ビフィルムにより形成
されている。化粧樹脂層1の表層である軟質のクリヤー
塩ビ樹脂層12は厚さが50〜200μのクリヤー塩ビ
フィルムにより形成されている。クリヤー塩ビ樹脂層1
2は、印刷層13を被覆して保護するためと、化粧樹脂
層1の外表面の高光沢を実現するためと、印刷模様を見
たときの十分な深み感を実現して高級感や重厚感を発揮
させるためと、手で触ったときのソフトな触感を実現さ
せるために役立つ。化粧樹脂層1を手で触ったときのソ
フトな触感を実現させるためには、クリヤー塩ビ樹脂層
12の鉛筆硬度をB〜6Bに定めておくことが有効であ
り、そのような硬度は塩ビ樹脂に対して可塑剤を多い目
に配合することによって達成される。熱融着によって積
層一体化された両方の塩ビ樹脂層11,12の合計厚さ
すなわち化粧樹脂層1の厚さは20μ〜300μである
ことが望ましい。
【0011】化粧樹脂層1の外表面すなわちクリヤー塩
ビ樹脂層12の表面の光沢度は80%以上を実現してお
くことが要求され、そのような高光沢度を持つ化粧樹脂
層1を持つ高光沢化粧金属板Aを用いて製作した家具な
どの製品は、その高光沢や上述した印刷模様の深み感や
ソフトな触感などによって高級で重厚な印象を与える。
光沢度は、JIS Z8741の方法2における「60
度鏡面反射法」で測定したものである。
【0012】次に、金属板20の裏面側に2層重ねに形
成された着色樹脂層41とクリヤー樹脂層42とについ
て説明する。
【0013】プライマーとしての着色樹脂層41には金
属面と上記クリヤー樹脂層42との両方に対する密着性
に優れたポリエステル系またはウレタン系の合成樹脂が
用いられていて、クリヤー樹脂層42を形成すること、
金属板20の裏面の耐蝕性を高めることなどに役立って
いる。
【0014】ところで、金属板20の裏面側に光沢度が
表面側の化粧樹脂層の光沢度の±10%以内の光沢度を
持つ上塗りとしてのクリヤー樹脂層42を形成している
理由は、図1の高光沢化粧金属板Aを積み重ねたりコイ
ルに巻いたりしたときに、裏面側の着色樹脂層41によ
って金属板Aの化粧樹脂層1の光沢度が変えられないよ
うにするためである。
【0015】クリヤー塩ビ樹脂層12の表面の光沢度は
化粧樹脂層1のクリヤー塩ビ樹脂層12に含まれる可塑
剤がクリヤー樹脂層42に移行することによって損なわ
れる。また、クリヤー樹脂層42の光沢度はクリヤー樹
脂層42に含まれる艶消し剤の量によって変化したりす
る。
【0016】これらの点を勘案すると、クリヤー樹脂層
42には、塩ビに含まれている可塑剤が移行しないとい
う性質を備えるポリエステル系またはウレタン系の合成
樹脂を用いることが望ましく、上記性質を備えていない
アクリル系合成樹脂を用いることは適切でない。他方、
クリヤー樹脂層42にシリカ等の艶消し剤が全く含まれ
ていないとクリヤー樹脂層42の光沢度にばらつきが生
じる。一般的に艶消し剤を配合しておくことにより光沢
度の調整がなされるのであるけれども、この艶消し剤の
配合量をできるだけ少なくし、少なくとも1%以下、好
ましくは0.01〜0.05%で調整しておけば高光沢
が出やすくなる。クリヤー樹脂層42の光沢度を高く維
持するためには、シリカなどの艶消し剤をできるだけ少
量にすることのほか、表面を荒らすおそれのある着色顔
料を含ませないことが望ましい。着色顔料が含まれてい
ると表面が荒れて光沢度が低下するおそれがある。その
他、ポリエステル系またはウレタン系などのレベリング
のよい塗料を用いたり、ロールコート法のうちリバース
ロール方で塗膜を形成したりすることがクリヤー樹脂層
42の表面平滑性を高めて優れた光沢度を持たせる上で
有効である。
【0017】次に、本考案の高光沢化粧金属板Aを重ね
た場合などに、化粧樹脂層1の光沢度が損なわれない範
囲を調査した。
【0018】この調査は、図2のように複数枚の切り板
状の加工品A’を面板50の上に表裏合わせて積み重ね
て置き、プレス機の直径100φのシリンダーSで矢印
のように加圧することによって行い、加圧前と加圧後に
おける化粧樹脂層の光沢度の差を目視で全く認めること
ができないものと、光沢度の差が明確に認められたもの
と、光沢度の差が認めらるか否かの判定を明瞭に行い得
ないものとに分類した。荷重時間は48時間、温度は光
沢の損なわれやすい夏場を想定して40℃に設定した。
表1〜表3には、調査に用いた加工品における化粧樹脂
層の光沢度やクリヤー樹脂層の光沢度と共に、目視判定
結果として、化粧樹脂層についての光沢度の差を目視で
全く認めることができないものを○、光沢度の差が明確
に認められたものを×、光沢度の差が認めらるか否かの
判定を明瞭に行い得ないものを△で表してある。
【0019】
【表1】
【0020】表1より、切り板状の積重ね荷重を想定し
た荷重10kg/cm2 では、概ね、クリヤー樹脂層の
光沢度(%)が化粧樹脂層の光沢度の±10%以内であ
れば目視による化粧樹脂層の光沢度に差が出ないことが
判る。
【0021】
【表2】
【0022】表2より、高光沢化粧金属板のコイル巻き
の巻締まり荷重を想定した荷重20kg/cm2 では、
概ね、クリヤー樹脂層の光沢度(%)が化粧樹脂層の光
沢度の±7〜8%以内であれば化粧樹脂層の目視による
光沢度に差が出ないことが推察される。
【0023】
【表3】
【0024】表3より、コイル巻した高光沢化粧金属板
のコイル自重がかかったときを想定した荷重30kg/
cm2 では、概ね、クリヤー樹脂層の光沢度(%)が化
粧樹脂層の光沢度の±5%以内であれば化粧樹脂層の目
視による光沢度に差が出ないことが判る。
【0025】図1には、金属板20の表面側に塩ビ樹脂
層11とクリヤー塩ビ樹脂層12の2層重ねでなる化粧
樹脂層1をラミネートした化粧金属板を示してあり、こ
のように2層重ねの化粧樹脂層を形成した高光沢化粧金
属板においては、表層がクリヤー(光沢度80%以上)
である必要がある。化粧樹脂層は他の構成であってもよ
く、たとえばポリエステル系またはアクリル系の樹脂層
によって形成してもよく、その場合に、ラミネートによ
っても、塗装によってもよい。化粧樹脂層をポリエステ
ル系またはアクリル系の樹脂層によって形成する場合、
その厚さは20〜150μが適切である。
【0026】
【考案の効果】本考案の高光沢化粧金属板は、金属板の
裏面側の上塗りを、表面側の化粧樹脂層の光沢度と同等
または略同等(化粧樹脂層の光沢度に対して光沢度±1
0%以内)の光沢度を施したクリヤー樹脂層で形成して
いるので、積み重ねても裏面の樹脂層が表面の化粧樹脂
層の光沢を変えることがない。
【0027】また、金属板の裏面側にはプライマーとし
ての着色樹脂層を介してそれにクリヤー樹脂層が形成さ
れているので、裏面側の樹脂層の密着性や防食性が向上
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例による高光沢化粧金属板を説明
的に示した断面図である。
【図2】光沢度を調べる実験例の説明図である。
【図3】従来の高光沢化粧金属板を説明的に示した断面
図である。
【符号の説明】
A 高光沢化粧金属板 10 化粧樹脂層 20 金属板 41 着色樹脂層 42 クリヤー樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/08 B41M 7/02

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の表面側に光沢度80%以上の高
    光沢の化粧樹脂層が形成され、上記金属板の裏面側に、
    プライマーとしての着色樹脂層と、上記化粧樹脂層の光
    沢度に対して±10%以内の光沢度を有する上塗りとし
    てのクリヤー樹脂層とが形成されていることを特徴とす
    る高光沢化粧金属板。
JP1993022977U 1993-04-30 1993-04-30 高光沢化粧金属板 Expired - Lifetime JP2602455Y2 (ja)

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JPH0681755U JPH0681755U (ja) 1994-11-22
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