JP2601999Y2 - 磁気ヘッドのノイズ低減装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は磁気ヘッドのノイズ低
減装置に関するものであり、特に、外部ノイズをキャン
セルする磁気ヘッドのノイズ低減装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のノイズ低減装置を図７及び図８に
従って説明する。同図に於て符号１は磁気ヘッドであ
る。図７は磁気ヘッド１の上下左右の側面を磁性材のシ
ールドカバー２で覆うことによりノイズの低減を実現し
ている。また、図８は磁気ヘッド１の側面にノイズの逆
位相信号電圧を発生させるノイズキャンセルコイル３を
接着することにより電気的にノイズをキャンセルしてい
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記従来の磁気ヘッド
のノイズ低減装置に於て、磁気ヘッドをシールドカバー
で覆う装置は、電子機器内部の電源トランス等より発生
するノイズに対する対策である。従って、シールドカバ
ーにて被覆されていない前面のギャップからのノイズの
侵入を防止できず、より一層のＳ／Ｎ比の向上が要望さ
れている。

【０００４】又、ノイズキャンセルコイルを接着したも
のは、該コイルを磁気ヘッドのシールドケースの表面に
接着するため、電子機器内の他のパーツ等との接触によ
りノイズキャンセルコイルが脱落しやすいという欠陥が
あり、取扱性が良好ではない。そこで、磁気ヘッドのコ
ア先端のギャップ部側から侵入するノイズを含む外部ノ
イズを低減し、且つ、取扱性及び信頼性が良好なノイズ
低減装置を提供して高音質、高精度の信号再生を実現す
るために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、
本考案は該課題を解決することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この考案は、上記目的を
達成するために提案するものであり、強磁性体の線材を
磁気ヘッドのコイルに鎖交させ、前記線材を前記コイル
の両端部で折曲して反転し、前記線材の両端部を夫々磁
気ヘッドのシールドケースと導通させた磁気ヘッドのノ
イズ低減装置を提供するものである。

【０００６】

【作用】磁気ヘッドへ伝搬される外部ノイズは、コアを
伝導しコイル内を通過される。又、コイルに鎖交し、且
つ、コイルに巻回された強磁性体線材へ伝搬されたノイ
ズは強磁性体線材を伝導し、コイル端にて反転しコイル
内を逆方向へ通過する。従って、コイル内においてコア
に流れるノイズと強磁性体線材を流れるノイズとは逆位
相となって打消し合い、コイルに電流は誘起されずノイ
ズ信号は出力されない。

【０００７】

【実施例】以下、この考案の一実施例を図１乃至図６に
従って詳述する。図１はシングルチャンネル用磁気ヘッ
ドの背面を示している。同図に於て磁気ヘッド１１はシ
ールドケース１２で覆われ、前面中央部に記録媒体から
信号を読み取るギャップ部（図示せず）が存在する。

【０００８】又、リード線端子１３，１３及び本考案の
ノイズ低減装置であるパーマロイ等の強磁性体製キャン
セリングコアの端子１４ａ，１４ｂが後方に突出し、シ
ールドケース１２の内部にはエポキシ系樹脂１５が充填
されている。そして、キャンセリングコアの端子１４
ａ，１４ｂは折曲げられてシールドケース１２に接触し
ている。

【０００９】図２乃至図５は前記磁気ヘッド１１の製造
工程を示す。まず、図２に示すようにコイルのボビン１
６の中心孔１６ａと平行に孔１６ｂを設ける。そして、
該孔１６ｂに強磁性体の線材で形成されたキャンセリン
グコア１４を遊挿し、該キャンセリングコア１４の両端
部を両側へ突出させる。次に、図３に示すようにボビン
１６にコイル１７を巻回し、リード線端子１３，１３へ
接続する端子部を引出す。

【００１０】その後、図４に示すようにキャンセリング
コア１４の左端をボビン１６の左端を支点として初期状
態と反対方向へ折曲げる。更に、キャンセリングコア１
４の右端をボビン１６の右端を支点として初期状態と反
対方向へ折曲げる。斯くして、コイル１７を１回巻回し
たキャンセリングコア１４が形成される。そして、図５
に示すように二分割して形成されたコア１８，１８を上
記ボビン１６の中心孔１６ａに遊挿して、中央部にて接
合し、ギャップ部１９，１９に非磁性体の箔を挟装す
る。上記工程により作成されたヘッドコアをシールドケ
ース１２に挿入し、エポキシ系樹脂を充填する。そし
て、後方へ突出したキャンセリングコア１４の両端１４
ａ，１４ｂを側面に折曲し、シールドケース１２に接触
させ図１に示した磁気ヘッド１１が形成される。

【００１１】次に、図６により本考案のノイズ低減装置
の動作を説明する。磁気ヘッド１１の動作中例えば同図
の左側よりノイズが発生し、コア１８に侵入するものと
する。この場合にギャップ部付近より侵入するノイズＡ
及び側面から侵入したノイズＢはコア１８内を伝導さ
れ、コイル１７と鎖交して矢印Ｄ，Ｅの方向に通過す
る。

【００１２】一方、キャンセリングコア１４の端子部１
４ａより侵入したノイズＣは、キャンセリングコア中を
矢印Ｆの方向に伝導し、コイル１７の右端部で反転し、
コイル１７中を矢印Ｇの方向に通過し、再度コイルの左
端部で反転して他方の端子部１４ｂへ通過する。このた
め、ノイズＡ及びノイズＢに対してノイズＣはコイル１
７内で逆方向となり打ち消し合う。而して、磁気ヘッド
のリード線端子１３，１３から出力される信号中のノイ
ズが低減される。

【００１３】尚、本考案は上記一実施例に限定されるべ
きものではなく、マルチチャンネル用磁気ヘッドに適用
することができることは当然であり、この考案がそれら
の改変されたものに及ぶことは当然である。

【００１４】

【考案の効果】この考案は、上記一実施例において詳述
したように、磁気ヘッドに侵入するノイズをコイルに巻
回した強磁性材料の線材に誘起されるノイズにより打ち
消し低減せしめるものである。よって、従来のノイズ低
減装置よりも全帯域に亘るノイズ低減効果を有し、且
つ、磁気ヘッドの前面から侵入するノイズをも低減する
ことによってＳ／Ｎ比が向上し、高音質、高精度の信号
再生を実現できる。また、磁気ヘッドのコイルに鎖交し
て巻回された線材は、コア並びにコイルとともにシール
ドケース内に封入されるので断線や脱落等の虞れがな
く、磁気ヘッドの取扱性を低下させることもなく、性能
並びに信頼性を向上できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の磁気ヘッドの背面を示す斜視図。

【図２】キャンセリングコアを遊挿したボビンの斜視
図。

【図３】コイルを巻回したボビンの斜視図。

【図４】キャンセリングコアを巻回したボビンの斜視
図。

【図５】コアを遊挿前のボビンの斜視図。

【図６】ノイズ低減装置の動作説明図。

【図７】従来例を示し、シールドケースで覆われた磁気
ヘッドの正面を示す斜視図。

【図８】従来例を示し、ノイズキャンセリングコイルを
接着した磁気ヘッドの正面を示す斜視図。

【符号の説明】 １１ 磁気ヘッド １２ シールドケース １４ 強磁性体の線材 １４ａ，１４ｂ 強磁性体の線材の端部 １７ コイル

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 強磁性体の線材を磁気ヘッドのコイルに
   鎖交させ、前記線材を前記コイルの両端部で折曲して反
   転し、前記線材の両端部を夫々磁気ヘッドのシールドケ
   ースと導通させた磁気ヘッドのノイズ低減装置。