JP2599350B2 - 膜結合性タンパク質を含有するワクチン類 - Google Patents

膜結合性タンパク質を含有するワクチン類

Info

Publication number
JP2599350B2
JP2599350B2 JP59183623A JP18362384A JP2599350B2 JP 2599350 B2 JP2599350 B2 JP 2599350B2 JP 59183623 A JP59183623 A JP 59183623A JP 18362384 A JP18362384 A JP 18362384A JP 2599350 B2 JP2599350 B2 JP 2599350B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hsv
membrane
polypeptide
region
cells
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP59183623A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS60155128A (ja
Inventor
フイリツプ・ウエイン・バーマン
ローレンス・アラン・ラスキー
Original Assignee
ジェネンテク,インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=27414978&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2599350(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by ジェネンテク,インコーポレイテッド filed Critical ジェネンテク,インコーポレイテッド
Publication of JPS60155128A publication Critical patent/JPS60155128A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2599350B2 publication Critical patent/JP2599350B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/005Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/20Antivirals for DNA viruses
    • A61P31/22Antivirals for DNA viruses for herpes viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2710/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA dsDNA viruses
    • C12N2710/00011Details
    • C12N2710/16011Herpesviridae
    • C12N2710/16611Simplexvirus, e.g. human herpesvirus 1, 2
    • C12N2710/16622New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は膜結合型タンパク質とその誘導体、およびそ
れらから得られるワクチン類に関する。
発明の背景 種々の感染源に対する免疫応答の解析は、重要な細胞
表面抗原を分離できるに足る充分量の病原体を培養する
ことがしばしば困難である事実から限度があつた。分子
クローニング法の出現によつて、病原体からの遺伝子生
成物を非病原型で事実上量的に無限に発現できる手段が
提供され、これらの限界が克服されるようになつた。現
在ではインフルエンザ(1)、口蹄病(2)、肝炎
(3)、小水疱性口内炎ウイルス(4)、狂犬病
(5)、および単純ヘルペスウイルス(6)のようなウ
イルスからの表面抗原がE.coliおよびS.cerevisiaeにお
いて発現され、将来、改良されたサブユニツトワクチン
の提供を約束している。然し、下等微生物における表面
抗原の発現は、不完全なプロセシングのために(例え
ば、タンパク質分解、糖付加)、またはクローンした遺
伝子産物を精製する間の変性により、恐らく重要な意味
のある抗原決定基を失うかも知れないという理由で満足
すべきものであるとは言い難いことは明らかである。
このことは、膜タンパク質の場合は、E.coli中で発現
された時に、それが疎水性の膜透過領域のために、凝集
し、不溶性となり勝ちであるので特にそうである。膜タ
ンパク質を暗号化したクローン遺伝子は、哺乳動物細胞
中で発現させることができ、この場合、この宿主細胞が
適宜プロセスし、ポリペプチドを組み合わせ、細胞膜内
に取り込むのに必要な因子を提供する(7、8)。これ
らの研究により、膜タンパク質を組み換え宿主細胞表面
で発現できることがわかつたし、また例えば先端を切り
取られたカルボキシル末端領域を欠く膜タンパク質は宿
主細胞と結合するより、むしろ徐々にそこから分泌され
ることが報告されているが(8)、このように発現され
る膜結合タンパク質や、このように分泌される先端を切
り取られたタンパク質が、該タンパク質のソースとなつ
た病原体に対して有効な抗体を実際に生成せしめる働き
があるのかは明らかにされていない。
単純ヘルペスウイルス(HSV)は、関連性はあるが区
別できる二つの型でヒト感染症に見出される巨大DNAウ
イルスである。ウイルスが暗号化している多数のタンパ
ク質のうちの少なくとも4個が、グリコシル化した形で
発見され、それらがウイルス粒子(ビリオン)および感
染細胞の両表面に存在していることが明らかにされた
(9)。gA/B、gC、gD、およびgEと呼ばれるこれらの糖
タンパク質はHSV1型(HSV−1)およびHSV2型(HSV−
2)の双方に見出されるが、HSV−2の場合は、更にも
う1個の糖タンパク質(gF)が発見されたと報告されて
いる(10)。それらの機能についてはなお幾つか不明の
点が残されているが、それらの糖タンパク質が、ウイル
スの細胞への付着、細胞融合、およびウイルス感染に対
する宿主の免疫学的応答に関与していることは間違いな
い(11)。HSV−1とHSV−2は50%までのDNA配列相同
性しか示さないが(12)、それらの糖タンパク質の大部
分は両型に共通しているようである。このように、gA/
B、gD、およびgEは型に共通した多くの抗原決定基を示
すが(13〜16)、以前には完全に型特異性があると思わ
れていたgC(17、18)も幾つかの型共通性の決定基を有
することが明らかになつてきた。然しながら、幾つかの
糖タンパク質に対する単クローン性抗体を使用して、型
特異性のある抗原決定基を証明でき(10、19)、HSV−
1とHSV−2に分れて以来、ある種のアミノ酸変化が起
こつたことを物語つている。
ウイルス中和に関して最も重要な糖タンパク質の一つ
はgDである(11)。HSV−1とHSV−2のそれぞれのgDタ
ンパク質が近縁であることを強く示唆する注目すべき証
據が提示されている。例えば、遺伝子組み換え地図を作
ると、対応する遺伝子が二つのウイルスのゲノムの供直
線領域につきとめられる。アミノ酸分析の結果は二つの
タンパク質間に総体的な相同性が有ることを示した。gD
タンパク質は1型および2型の両ウイルスに対し型共通
性の型式で中和抗体を誘導する(19−21)。更に、これ
らの糖タンパク質に対して生じるモノクローナル抗体の
大部分は型共通性であり、同様に二つの糖タンパク質の
型の間の高度な構造的相関性を示している(20)。然
し、幾つかの単クローン性(モノクローナル)抗体は型
特異的に反応することが知られており、両タンパク質の
間に有意の差のあることを示した(19)。同様に、タン
パク質のペプチド地図も不明瞭ではあるがそのような違
いを示した(22a)。これらの結果は、これらのポリペ
プチドが相関していることを示唆しているが、その関係
がどの程度近縁であるかを正確に示すには不充分であ
る。
HSV−1とHSV−2のgDタンパク質の型共通性の特徴を
検討するため、HSV−1とHSV−2のgD遺伝子のDNA配列
を決定した。誘導されたアミノ酸配列は近似性を示し
た。また、その結果生じたタンパク質配列についても、
タンパク質の疎水性領域と親水性領域を測定すべく設計
されたプログラムを使用することにより、構造的な相違
を解析した。この解析の結果から、総体的構造水準は高
度に維持されていることが明らかにされた。二つの糖タ
ンパク質の間に数ケ所のアミノ置換が見られたが、これ
らの置換のほとんど大部分はコンサーバテイブであり、
この糖タンパク質がウイルスの構造上重要な必要条件で
あることを示していた。
HSV−1と対照的に、HSV−2はgFと呼ばれるもう1個
の糖タンパク質を暗号化しているようである(22b、1
0、22c、22d)、HSV−2gFは電気泳動によつてHSV−1gC
よりはるかに速く移動するが、組み換え体ウイルスのマ
ツピング研究により、このタンパク質はHSV−2ゲノム
のHSV−1 gCのための遺伝子とほぼ共直線的な領域で暗
号化されていることが明らかになつた(22c、22d)。更
に最近、HSV−2gFの単クローン性抗体が弱いながらもHS
V−1 gCと交叉反応するらしいということ(22f)、およ
びHSV−1ウイルス粒子のエンベロープタンパク質に対
して作られた多クローン性抗血清がgFを沈降させること
(22d)が証明され、二つの糖タンパク質の間に構造上
の相同性の可能性があることが示唆された。このよう
に、HSV−1 gCとの相同性はHSV−2タンパク質である可
能性がある。この関係は本発明において検討された。
HSV−1とHSV−2の間の相関性を検討するため、HSV
−2ゲノムの2.29kb(キロベース)領域のDNA配列がHSV
−1 gC遺伝子と共直線的であることを測定した。この領
域の大−オープンリーデイングフレーム(open reading
frame)の翻訳により、HSV−1 gCと有意な相同性を有
するタンパク質がこの領域に暗号化されていることがわ
かる。この領域がHSV−2gF遺伝子を暗号化しているこ
と、およびgFタンパク質はHSV−1糖タンパク質CのHSV
−2相同体であることが示唆される。
発明の要旨 本発明は、gDタンパク質に基づくワクチンに関する。
本明細書において更に詳細に記載するように、gDタンパ
ク質の構造に関するこの知見に照らして、gDタンパク質
DNAを哺乳動物細胞に発現させることが可能であるかど
うか、またもし可能とすれば発現されたタンパク質が宿
主の細胞膜に結合するのかどうか、また先端を切り取ら
れ膜結合領域を欠いた形のタンパク質が宿主細胞から分
泌されるのかどうか、まかその場合、発現した生成体タ
ンパク質がHSV−1および/またはHSV−2に対する抗体
を生成するかどうかを調べることにした。本発明で検討
の結果、これらの目標は達成された。特に、本発明は組
み換えDNA操作によつて得られたこれらのタンパク質
を、HSV−1およびHSV−2ウイルスに有効なワクチンの
構成成分として使用する方法を提供するものである。こ
のようにして製造されたワクチンはヘルペス(疱疹)感
染の発生を予防し、また既に感染した患者のヘルペス感
染の再発の頻度と重篤度を低下させる防御ワクチンであ
る。
もう一つの本発明の目的は、HSV−1および/またはH
SV−2ウイルスに対するワクチンの構成成分として有用
な、組み換えDNA操作によつて得られる他の一組の糖タ
ンパク質を提供することにある。具体的には、そのよう
な糖タンパク質は、HSV−1 gC(HSV−1に有効)、HSV
−2に有効なHSV−2 gF(HSV−2gCと表現する方がより
適切)、または両ウイルに有効なこの二つのタンパク質
の組み合わせ物である。またそのような糖タンパク質と
して、そのほかgA、gBおよびgEが含まれる。gCおよびgD
糖タンパク質の組み合わせに基づくワクチンは、個々の
糖タンパク質単独よりもワクチンとして著しく有効であ
ろうと考えられる。
更に要約すると、本発明はHSV−1およびHSV−2ウイ
ルスに対する相補的抗体を特異的に生成せしめ得る抗原
決定基を有するポリペプチドを含有するワクチンに関す
る。その一つの態様として、そのポリペプチドは、それ
を産生し得る組み換え体宿主細胞の表面膜と機能的に連
合している。典型的な例では、そのような機能的連合性
は、ポリペプチドが膜を通じて突出するように、表面膜
とポリペプチドが結合することである。組み換え体細胞
系(セルライン)は、安定で、連続した系から誘導され
る。
他の一実施態様としてのワクチンは、同じ抗原決定基
を持つているが、膜表面と機能的に連合しない抗原決定
基を有するポリペプチドを含んでいる。詳細については
後述するが、そのようなポリペプチドは、膜結合ポリペ
プチドの、先端を切り取られた膜不含誘導体である。該
誘導体はポリペプチドから膜結合領域が脱落することに
よつて形成され、それを産生した組換え体宿主細胞系か
ら分泌され得る。
他の一実施態様では、ポリペプチドは最初膜表面と機
能的に連合して形成され、その後、望ましくは非イオン
界面活剤に溶解して、膜を含まないポリペプチドとす
る。
本明細書で使用する“組み換え体”なる用語は、組み
換えDNA技術を用いて組み立てられたベクターでトラン
スフエクトされ、ポリペプチドを生産する能力を形質導
入された細胞を意味する。“機能的連合”とは、膜に結
合することであり、典型的には、天然の病原体によつて
誘発された抗体によつて認識され得る天然の立体配座に
含まれている抗原決定基を露出する様に、膜の両側へ突
出して膜と結合することを意味する。“膜結合”ポリペ
プチドとは、通常真核細胞で生産され、それが種々の細
胞膜を通つて分泌されるのを助けると考えられているシ
グナル配列、および細胞膜からの完全な分泌を妨げると
考えられる膜結合領域(通常、疎水性であり、C−末端
に存在する)を有していることにより特徴づけられるポ
リペプチドの一群を言う。従つて、それは機能的に膜に
連合または結合した状態のままでいる。本発明では、特
に病原微生物、例えばヘルペスウイルスに関する膜結合
ポリペプチドを開発しようとするものである。
本明細書で使用している“HSV−2 gF"、“HSV−2 gC"
および“gC−2"なる用語は、HSV−1 gCと高度の相同性
を有し、ワクチンとして有用な充分な量の抗体を生成せ
しめることができるHSV−2の糖タンパク質部分を指す
用語として、交換可能に使用される。
表面膜と機能的に連合した形で本発明のポリペプチド
の抗原決定基が得られれば、この膜は、ポリペプチドか
ら、抗原性を破壊することなく除去することができる。
例えば、この膜結合ポリペプチドを好適な溶液、望まし
くは非イオン界面活性剤を含有する溶液に溶解すること
により、ポリペプチドを膜から除去することができる。
これを行なうことの利点は、無関係な細胞性物質からポ
リペプチドを分離し、ワクチンに使用する際の、その潜
在的活性を充分に高めることである。ポリペプチドから
膜を除去する技術は後述する。
もう一つの実施態様としては、分泌系を創製すること
によつて、膜を含有しない標品を得ることである。後段
で更に詳細に記述するように、そのように分泌されたポ
リペプチドは少なくとも抗体産生を刺激するのに必要な
幾つかの抗原部位を持つている。
以下、図面について説明する。
第1図は、HSV−1およびHSV−2 gD遺伝子およびその
周囲の非翻訳領域のDNA配列と、推定されたアミノ酸配
列を示す。
第2図はHSV−1とHSV−2タンパク質からのgDタンパ
ク質のヒドロパシー(hydropathy)解析を示す。
第3図は、膜結合型のHSV−1糖タンパク質Dの発現
のために組み立てられた、pgD−dhfrプラスミドの模式
図である。
第4図はヒトHSV抗体でgD12細胞を標識した結果を示
し、(A)は位相差顕微鏡像、(B)は同じ細胞の螢光
顕微鏡像である。
第5図は、gD12細胞系からクローンしたgDおよびヒト
の細胞に感染させたHSV−1から得られた天然のgDの放
射免疫沈降を示すグラフである。
第6図は、gD12細胞および親のCHO細胞系に対するヒ
ト抗HSV抗体の結合度を示す。横軸に血清希釈度の逆
数、縦軸に492nmにおける吸光度を示す。
第7図はHSV−1 gDタンパク質を模式的に表わしたも
ので、シグナル配列および膜結合領域の位置を示す。
第8図は分泌型のHSV−1 gDタンパク質のための発現
プラスミドpgD trunc−dhfrの組立て模式図である。
第9図はgD10.2細胞系からの放射免疫沈降線を示す。
第10図は増幅前および増幅を行なつたgD10.2細胞系か
らの放射免疫沈降線を示す。
第11図はMtxで増幅したgD10.2細胞系で達成された増
幅度を示す。
第12図はDNA配列解析を行なつたpgC2Sa12.9の断片を
示す。
第13図はpgC2Sal2.9から誘導されたDNA配列とHSV−1
gC領域のDNA配列の比較を示す。
第14図はHSV−2ゲノムDNAとpgC2Sa12.9DNAのサザー
ンブロツテイング解析を示す。
第15図はHSV−2のラージオープンリーデイングフレ
ームの翻訳とHSV−1 gCのアミノ酸配列の比較を示す。
第16図はHSV−1 gCタンパク質とHSV−2のメジヤーオ
ープンリーデイングフレームタンパク質のヒドロパシー
解析結果を示す。
詳細な記述(実施例) 実施例 1 実施例1はgDタンパク質に関する。
ウイルスの増殖とウイルス性DNAの分離 Hep2細胞でHSV−1(Hzt株)およびHSV−2(G株)
をそれぞれ37℃および33℃で増殖させた。ウイルス性DN
Aを、感染細胞培養からタンパク分解酵素Kによる消化
とCSCl勾配により分離した(23)。
HSV−1およびHSV−2のgD遺伝子のクローニング 先のマツピングおよびクローニング研究でHSV−1 gD
遺伝子は〜6.6kbのBamHI断片につきとめられた(6、2
4)。HSV−1をBamHIで切断し、アガロースゲル電気泳
動により6〜7kb領域を分離した。この断片をBamHIで消
化したpBR322に連結(リゲーシヨン)し、得られた混合
物をE.coli294株(ATCCNo.31446)に導入した。制限酵
素消化により、好適なHSV−1断片を求めてアンピシリ
ン耐性、テトラサイクリン感受性のプラスミドをスクリ
ーニングした。正確なgDを含有するSst 1断片を、Sst−
1で消化したプラスミドpFM3にサブクローンした(ヨー
ロツパ特許公報、第0068693号;1983年1月5日)。
HSV−2のgD遺伝子は先にHSV−1による組み換えによ
りマツピングが行なわれているが、この遺伝子の正確な
位置はまだ判つていない。そこでHSV−2ゲノムの短か
い単一領域(4)からの〜10kb Hind III断片と、バク
テリオフアージλクローニングベクター590(25)のHin
d III部位へ連結した。インビトロ(試験管内)でパツ
ケージングしたフアージを低密度でプレートに撤き、HS
V−1から得たgD遺伝子の32P−標識サブクローンとBent
on−Davis法によりスクリーニングした(26)。陽性の
ハイブリダイゼーシヨンを示したプラークを発育させ、
DNAを分離し、サザーン・ブロツテイグおよび32P−標識
HSV−1 gD遺伝子とのハイブリダイゼーシヨン法によりg
D遺伝子の位置をつきとめた(27)。ハイブリダイゼシ
ヨン陽性のHSV−2 gD含有断片をプラスミドpUC9へサブ
クローンした(28)。
DNA配列決定とコンピューター解析 HSV−1およびHSV−2 gD遺伝子から得た種々の断片を
m13フアージベクターmp9へサブクローンし(29)、Sang
erのジデオキシヌクレオチド法により配列決定した(3
0)。
ヌクレチオド配列はHOMプログラムを使用して解析し
た(31)。推定したタンパク質配列のヒドロパシーは12
幅(width)および1ジヤンプ(jump)を使用して解析
した(31a)。
HSV−1およびHSV−2から得たgD領域のクローニング 他の研究でHSV−1 gD遺伝子はRoizmanの命名法に従
い、6.6kb BamHI J断片につきとめられた(6、12、2
4)。この断片部分を分離して配列決定を行ない、この
断片がHSV−1 gD遺伝子を含有することがわかつた。HSV
−1 gD遺伝子のDNA配列はHSV−2 gD遺伝子と比較的相同
的であると予想されるので、この断片をHSV−2ゲノム
からのgD遺伝子の分離のためのプローブとして使用し
た。
HSV−1およびHSV−2ゲノムからの遺伝子の大部分は
共直線的に配列していると思われるので(35)、HSV−1
gD領域に対応するHSV−2のゲノムの短かい単一の領域
からの領域(Hind III L断片(12))をλフアージベク
ターへクローンした。得られたプラークを32P−標識HSV
−1 gD遺伝子サブクローンでスクリーニングすると陽性
のハイブリダイゼーシヨンを示したプラークの存在する
ことがわかつた。このことは、二つのウイルスゲノムの
この領域に、事実上核酸配列の相同性が存在することを
示唆している。フアージDNAを分離し、次いでサザーン
ブロツテイング解析を行なうことにより、gD遺伝子に対
応するこの断片の領域が明らかにされた。この領域をDN
A配列解析のためサブクローンした。
暗号化領域 第1図は二つのgD DNA配列をHOMプログラム(31)と
比較したものを示している。ヌクレオチド番号の1番
は、イニシエーターメチオニンのATGのAから始めた。
ギヤツプは、配列相同性を最大にするためにHOMコンピ
ュータープログラムにより導入した(31)。ヌクレオチ
ドの相違は*印で示し、アミノ酸の相違は枠で囲んで示
してある。ここに報告するHSV−1のHzt株で測定したHS
V−1 gD配列と、Watsonら(6)によりPatton株につい
て報告された配列との間のアミノ酸の相違は+印で示し
た。矢印で示したHSV−1 gD遺伝子の転写開始はWatson
らによる(32)。N−結合糖付加(グリコシル化)部位
は陰影をつけて示してある。二つの可能性のある“TAT
A"配列はgD転写開始への5´で示されるが、第3の“TA
TA"配列はHSV−2配列の3´終末における2番目のオー
プンリーデイングフレームへの5´で示される。非暗号
化配列の2つの相同領域はgD遺伝子への5´−位と、HS
V−2配列からの2番目のオープンリーデイングフレー
ムへの5´−位に記録されるべきである。
gDタンパク質のヒドロパシー 各糖タンパク質のヒドロパシーをHoppら(31a)によ
つて開発されたプログラムを使用して解析した。第2図
に示したように、疎水性の膜透過性領域は遺伝子の3´
−末端に存在する。12個の長さのアミノ酸鎖を解析し、
平均ヒドロパシーを計算した。二つの糖タンパク質間の
残基の相違のうち、コンサーバテイブな変化を*印、ノ
ンコンーサーバテイブな変化を+印で示す。A)はHSV
−1 gDタンパク質のヒドロパシーを、B)はHSV−2 gD
タンパク質のヒドロパシーを示す。
DNA配列分析の結果、HSV−1およびHSV−2のgDタン
パク質は80%の相同性があることが明らかにされた。こ
れらの2個のタンパク質間で見出された相違点の大部分
はアミノ末端およびカルボキシル末端領域にあつた。こ
れらのタンパク質のアミノ末端領域は、アミノ末端メチ
オニンの近くにアルギニン残基を含有する高度に疎水性
の領域を含んでいる。この疎水性領域は、分泌され、そ
して、膜と結合する蛋白質に特徴的なシグナル配列であ
り、また多分、少なくとも一部のタンパク質を小胞体の
内腔へ誘導すべく機能するシグナル配列である(33)。
最初の20個のアミノ末端アミノ酸の比較から、1型と2
型との遺伝子間には、総計で12ケ所の差違があることが
示された。然し実質的には、すべての差異は、それらが
他の疎水性アミノ酸を暗号化しているので、コンサーバ
テイブである。例外は、3番目の残基のgly−arg置換
と、7番目の残基のarg−gly置換である。これらの置換
はコンサーバテイブではないが、これらはシグナル領域
の本質的な構造を変化させるものではない。両遺伝子と
も最初の10個のアミノ酸の中にプラスの電荷を有する残
基を保有している。
ヒドロパシーの結果を図示した第2図では、疎水性の
領域に引き続いて親水性のカルボキシル末端領域が見ら
れる。この構造は膜結合型糖タンパク質の特徴であつ
て、以前にも他のウイル表面抗原で発見された(5、3
4)。その働きは細胞膜およびウイルス膜にタンパク質
を固定することにあり、そのことからウイルス感染に重
要な役割りを果たす。gDタンパク質のこの領域における
12ケ所のアミノ酸変化は333番目〜362番目の残基に見ら
れ、それらの大部分はコンサーバテイブである。このこ
とは、この領域のアミノ酸としての唯一条件が、脂質二
重層に架橋するために著しく無極性であるということで
あることを示唆している。更に、恐らくタンパク質を膜
に固定させる働きをしていると考えられる膜領域に続く
領域(363〜375残基)(33)は、最初の13個の残基に5
ケ所の変化を示し、その後に長い相同鎖を有する。この
結果から、カルボキシル末端親水性領域の最初の10〜15
残基は固定機能を果すだけであつて、従つて荷電される
ことだけが必要であるが、一方、それに続く23残基はgD
タンパク質に特異的に重要な何か他の機能を果している
のかも知れないことが示唆される。
この二つのタンパク質の全体にわたり、他の多くのア
ミノ酸変化が見られるが、その変化の大部分はコンサー
バテイブである。この事実は、第2図に示したヒドロパ
シープログラムによつて現わされた構造によつて強調さ
れる。この比較で見られるように、二つの糖タンパク質
は非常に近似した図形を示す。コンサーバテイブでない
アミノ酸変化はタンパク質のヒドロパシーを変化させな
いようである。
HSV−1 gDの発現 恒久的に膜結合したgDを生産する細胞系を確立するた
めに、選択マーカー、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhf
r)、を含有しているヒト発現ベクター(36)へgDを含
有する断片を連結した(第3図)。第3図は、HSV−1
糖タンパク質Dの発現のために組み立てられたプラスミ
ドpgD−dhfrの図式を示す。この発現プラスミドは、E.c
oliプラスミドpBR322から誘導された複製起原とβ−ラ
クタマーゼ遺伝子(ampr)(37)、SV−40の初期(第
一)プロモーターのコントロール下にマウスのdhfrを暗
号化したcDNA挿入体(36、38)、および同じくSV−40初
期プロモーターのコントロール下にgD遺伝子を含有して
いるHind III−BamHIの4.6kb断片から成つていた。この
断片のHind III終末は、イニシエーターメチオニンのコ
ドンの5´−側へ74bpで位置しており、mRNAのキヤツプ
部位を含有している。Hind III部位は、SV−40プロモー
ターのGoldberg−Hognessボツクスの3´−側へ250bpで
位置している。gDを含有する断片の暗号化領域は1179bp
の長さを有し、少なくとも翻訳停止コドン、ポリアデニ
ル化部位および糖タンパク質E遺伝子(24、32)の一部
を含んでいる巨大(1.9kb)な3´−領域に隣接してい
る。
プラスミドpgD.dhfrは次のように組み立てられた:HSV
−1ゲノムからクローンしたBamHI断片から、全gD暗号
配列を含有する4.6kbのHind III−Bam HI断片を分離し
た(上記参照)。SV40に由来する初期プロモータおよび
pBR322アンピシリン耐性遺伝子から成る2.8kbのHind II
I−Sa1断片およびDNA複製起原をプラスミドpEHBa1
4から分離した。第2のSV40由来の初期プロモーターの
コントロール下にあるマウスのジヒドロ葉酸レダクター
ゼcDNAクローンを含有している2.1kbのSa1−BamHI断
片をプラスミドpE348HBV E400D22(36)から分離した。
これら3個の断片はT4 DNAリガーゼを使用する三重連結
法(トリプルリゲーシヨン)によつて互いに連結し、得
られた混合物をE.coli294菌株への導入に使用した。生
成したコロニーを増殖させ、プラスミドDNAをSac2で消
化することによりスクリーニングした。正しいDNAコン
ストラクシヨンpgD−dhfr(第3図)を次のトランスフ
エクシヨン研究に使用した。
リン酸カルシウム沈殿法(40)を使用して、このプラ
スミドをdhfr生産欠乏のチヤイニーズハムスター卵巣細
胞(CHO)(39)へ導入した。ヒポキサンチン、グリシ
ン、およびチミジンを含まない培地で発育し得るコロニ
ーを採り、9個のdhfr+クローンを分析した。これらの
うち、5個のコロニーに、抗HSV−1抗体を使用する放
射免疫沈降法および免疫螢光検定で、gDが検出できた。
この5個の系列のうちの1個(gD12)を更に次の研究用
にあてた。クローンしたgD遺伝子生産物を特徴づけるた
めに、gD12細胞を35S-メチオニンまたは3H-グルコサミ
ンで代謝的に標識し、放射免疫沈殿法により分析した。
使用した方法は次の通りである: 市販の7%のウシ胎児透析血清(Gibco)、ペニシリン
(100u/ml)、およびストレプトマイシン(100u/ml)を
添加したHamのF12培地で細胞を発育させた。培養が約80
%まで密集した状態(confluent)になつたら、培地を
除き、細胞をリン酸緩衝食塩液(PBS)で2回洗滌した
後、標識培地(1/10規定濃度のメチオニンまたはグルコ
ースを含有するDulbeccoの改良Eagleの培地)を最終濃
度0.064ml/cm2となるまで添加した。35S-メチオニン(S
J.204、Amersham Int.)(50〜75μCi/ml)または3H-グ
ルコサミン(100μCi/ml)を加え、更に細胞を18〜20時
間発育させた。標識終了後、培地を回収し、細胞をPBS
で2回洗滌し、0.02%のEDTAを含有するPBSで処理する
ことによつて培養皿から除いた。次いで細胞を、PBS、
3%NP−40、0.1%ウシ血清アルブミン、5×10-5Mフ
エニルメチルスルホニルフルオリド、0.017TIU/mlのア
ポプロチニンから成る溶菌緩衝液に溶解し、得られた溶
解物を12,000×gで遠心分離により透明にした。免疫沈
降反応のために、細胞溶解液をPBSで3倍に希釈し、検
液(典型的には180μl)を2〜5μlの抗血清と混合
し、4℃で30分間インキユベートした。免疫複合体をKe
ssler法(40a)により、固定したS.aureus細胞に吸着さ
せ、12,000×gで30分間遠心分離して沈澱させた。次
に、S.aureus細胞を洗滌緩衝液(PBS、1%NP−40、0.3
%ドデシル硫酸ナトリウム)で3回洗滌後、免疫複合体
を20μlのポリアクリルアミドゲル検体緩衝液(10%グ
リセロール、5%2−メルカプトエタノール、0.01%ブ
ロモフエノールブルーを含有する62.5mMトリス−HClバ
ツフアー、pH6.8)で90℃で3分間溶出した。30秒間遠
心分離後、上清をLaemmliの方法(45)に従い10%ポリ
アクリルアミドスラブゲルにかけた。
第5A図はgD12細胞系とHSV−1感染細胞で得られたオ
ートラジオグラフを比較したものである:gD12細胞溶菌
液と正常家免血清から得た対照免疫沈降(1列目);HEL
細胞で発育させた野性(天然)のgDと単クローン性(モ
ノクローナル)抗gD抗体、55−S(41)との免疫沈降
(2列目)、およびA549細胞と55−Sの免疫沈降(3列
目);gD12細胞の溶解液からのクローンしたgDと、多ク
ローン性HSV−1家兎抗体(Dako Corp.)の免疫沈降
(4列目)、および単クローン性抗体55−Sとの免疫沈
降(5列目);3H-グルコサミンで代謝的に標識したgD1
2細胞からのクローンしたgDと多クローン性家兎抗HSV−
1抗体の免疫沈降(6列目)。
gD12細胞系から、HSV−1タンパクに特異的な(4
1)、単クローン性抗−gD抗体、55−Sまたは家兎抗HSV
−1抗体を使用して、59〜60kdの拡散バンドが特異的に
沈澱したことが見られる(4および5列目)。この分子
量は、HSV−1に感染させたKB細胞(42)から分離され
たgDに関して報告された値とよく一致する。同じ単クロ
ーン性抗体が、HSV−1に感染させたヒト細胞系からの
類似の、しかし分子量の異なるタンパク質を沈降させる
のが見られる。A549ヒト肺癌細胞系から沈降させた主生
成物は53kdであり(2列目)、ヒト胎児肺細胞系(HE
L)から沈降させた生成物は56kdであつた(3列目)。
以前の研究(43)で、HSV糖タンパク質の分子量は宿主
によつて変化し、この相違は糖付加反応の相違に起因す
ることが示されている。CHO細胞で生産されたgDタンパ
ク質が実際に糖付加されているかどうかを調べるため
に、細胞を3H−グルコサミンで代謝的に標識した。35S
−メチオニンまたは3H−グルコサミンで代謝的に標識し
た後に、同一分子量のバンドが沈降したことから(5お
よび6列目)、CHO細胞で生産されたgDタンパク質は糖
付加されていると結論した。
ヒト細胞系A549(ATCC CCL 185)およびHEL299(ATCC
CCL 137)を、3.5cmの組織培養皿で密に発育させ、HSV
−1を細胞当たり10pfuの多重度で感染させた。ウイル
ス感染細胞はCohenら(44)の記載した方法と同様の方
法で標識した。感染させてから4時間後に、培地を除去
し、細胞を新しい培養液(Dulbeccoの改良Eagle培地)
で1回、更にリン酸緩衝食塩液(PBS)で1回洗滌し
た。1/10規定濃度のメチオニンを含有する新しい培地
を、35S−メチオニン(Amersham.International)と共
に、最終放射活性が培地mlE当たり75μCiとなるまで細
胞に加えた。細胞を更に20時間発育させ、次にEDTAを含
有する(0.02%)PBSで洗滌処理した細胞を回収した。
ウイルス性タンパク質を、PBS、3%NP−40、1%ウシ
血清アルブミン、5×10-5Mフエニルメチルスルホニル
フルオリド、および0.017TIU/mlのアポプロチニンから
成る溶菌緩衝液に溶解した。得られた細胞溶解物を小型
遠心機で12,000×gの回転数で遠沈することにより透明
にした。免疫沈降反応を行なうため、細胞またはウイル
スの溶解液をリン酸緩衝液で3倍に希釈し、2〜5μl
の好適な抗血清と混合し、4℃で30分間インキユベート
した。抗原−抗体複合物を、固定した10%S.aureus溶液
(Kessler(40a))の25mlを加えることによつて反応培
地から除き、12,000×gで30秒間遠心分離して沈殿させ
た。次に、S.aureus細胞を洗滌用緩衝液(PBS、1%NP
−40、30%ドデシル硫酸ナトリウム)で3回洗滌し、細
胞を20μlのポリアクリルアミドゲルサンプル緩衝液
(10%グリセロール、5%2−メルカプトエタノール、
0.0625Mトリスバツフアー(pH6.8)、0.01%プロモフエ
ノールブルー)に懸濁させ、90℃で3分間インキユベー
トした。30秒間遠心分離(12,000×g)した後、上清を
10%ポリアクリルアミドスラブゲル(45)にかけた。
クローンしたgDの翻訳後修飾(プロセシング)を更に
調べるために、パルスチエイス実験を行なつた。第5B図
35S−メチオニンでパルス標識した種々の時間後の、g
D−12細胞からのクローン化したgDと家兎抗HSV−1抗体
(Dako Corp.)との免疫沈降線を示している。第5B図は
gD12細胞のパルス標識を示す。これらの研究では、細胞
は10cmの組織培養皿で密集して発育させ、前記と同様に
して35S−メチオニンで標識されるが、標識化反応は氷
上で15分間行ない、細胞は新しい培養液で3回洗滌した
後、恒温器に戻し、37℃で種々の時間インキユベートし
た。冷リン酸緩衝食塩液中で細胞を洗滌することによつ
て反応を停止させ、前記と同様にして細胞を溶解した。
タンパク質はパルス標識後、次の時間で免疫沈降させ
た:1列目、5分後;2列目、15分後;3列目、30分後;4列
目、60分後;5列目、120分後。51kdの分子量を有するgD
の前駆体型は、gD12細胞系から、35S−メチオニンでパ
ルス標識後、5分後から特異的に沈降し、この前駆体は
約60分後により高い分子量型(59kd)の所に追跡され
た。これらの検討から、本発明者らは、この翻訳後エベ
ントのハーフタイムは約45分と推定した。51kdバンドと
59kdバンドとの間の前駆体−生成物の関係は、ウイルス
が生産したgDに関する報告(14、42、46、47)と非常に
よく似ており、またこのプロセスの反応速度はCohenら
の記載(42)とよく類似している。ウイルス感染細胞に
おける前駆体と生成物の分子量の相違は、N−結合およ
びO−結合オリゴサツカライドの双方に起因している
(48)。
gDが細胞表面へ輸送されるかどうか調べるために、間
接免疫螢光実験を行なつた。これらの検討では、細胞膜
を透過せしめないような条件下(49)で、固定していな
い細胞を、家兎、マウスおよびヒト抗HSV−1抗体と反
応させた。gD細胞と成体(親)CHO細胞(1:1の比)をカ
バーグラス(2.2×2.2cm)に載せ、細胞が約60%密集
(confluent)するまで発育させた。HSV−1の抗体を含
有することが判つているヒト血清(50)をリン酸緩衝食
塩液(PBS)で40倍に希釈して、洗滌した細胞にその100
μlをピペツトで滴下し、増湿箱の中で室温で30分間イ
ンキユベートした。細胞をPBSに3回浸漬して、結合し
ていない抗体を洗い去り、次に20倍希釈のテトラメチル
ロダミンイソチオシアネート−標識ヤギ抗ヒトIgG抗体
(Cappel Laboratories)100μlと更に30分間インキユ
ベートした。結合しなかつた標識抗体をPBSで洗い去
り、細胞を氷冷した、50%エタノールおよび100%エタ
ノール中で脱水し、顕微鏡のスライドグラス上でグリセ
ロールで再水和した(49)。次に細胞を螢光顕微鏡(Ze
iss)で位相差および螢光光学下に検鏡した。第4図の
Aは、gD12およびCHO細胞の位相差光学的顕微鏡像であ
り、Bは、Aと同じ細胞を螢光像で把えたものである。
位相差顕微鏡像と螢光顕微鏡像を比較すると(第4
図)、gD12細胞は強く標識されているのに対し、成体
(親)CHO細胞は標識抗体とほとんどまたは全く結合し
なかつたことがわかる。HSV抗体に対してネガテイブで
あることが知られている正常マウス血清、正常家兎血
清、またはヒト血清で行なつた対照実験では、何ら特異
的な細胞の標識は検出できなかつた。これらの検討から
gDは細胞表面へ輸送されることが示唆された。細胞膜を
透過させ得ることが知られている薬剤(メタノールまた
はアセトン)で標識する前に固定したCHOおよびgD細胞
での実験では、異なつた標識パターンが得られた。これ
らの検討で、抗HSV−1抗体によるgD12細胞の強い核周
囲標識が観察されたが、CHO細胞では何ら特異的な標識
化が見られなかつた。
gD12細胞がヒトのHSV−1およびHSV−2感染に対し適
切な抗原決定基を発現するかどうか決定するために、抗
HSV−1抗体または抗HSV−2抗体を有することが判つて
いる固体(50)から得た抗体の結合性を検討した。代謝
的に標識したgD12細胞から得られた細胞溶解物の放射免
疫沈降反応では、げつ歯類の抗HSV血清で得られた結果
に匹敵し得る結果を得た(第5図)。同様に、ヒト抗HS
V−1血清は、間接的免疫螢光測定法により、特異的なg
D12細胞の標識化を示す(第4図)が、成体CHO細胞系を
標識化しなかつた。これらから、種々のけつ歯類の抗HS
V−1および抗HSV−2抗血清、単クローン性抗gD抗体お
よびヒト抗HSV抗血清によつて得られた結果は、gD12細
胞表面に発現されたgDは、野性の該ウイルスと共通した
多くの抗原決定基を有しており、しかもこれらの決定基
の構造は他のHSV−1タンパク質との相互反応に依存し
ていないという証據を提供している。試験した単クロー
ン性抗体の一つ(1−S)がインビトロ(41)およびイ
ンビボ(51)でHSV−1を中和することが知られている
事実は、CHO細胞で生産されるgDが野性のウイルスと共
通した中和抗原決定基を少なくとも1個は有しているこ
とを示している。
gD12細胞に対する抗HSV抗体の結合を定量的に測定す
るために酵素標識イムノソープシヨンアツセイ(enzyme
−linked immunosorbtion assay)(ELISA)が開発され
た(52)。今回の研究では、96穴のマイクロタイター組
織培養平板を使用し、gD12細胞とCHO細胞を交互の穴に
加え、化学的に固定した。次にHSVに対する抗体を有す
ることが判つている種々の抗血清を連続的に逐次希釈し
て加え、固定した細胞と反応させた。測定の終末点で、
各穴の吸光度を測定し、正常な結合曲線を作成した。gD
12細胞に対する抗体の特異的な結合は、gD12細胞で得ら
れた値から成体CHO細胞で得られた値を減じることによ
つて決定した。高い力価の血清による特異な結合は1:1
0,000に希釈して検出することができた。
gD12細胞ELISA測定法を使用して測定した血清力価
を、通常の方法により決定した抗HSV−1と抗HSV−2力
価と比較した。予じめ通常の方法、即ち、血液凝集阻止
反応(IHF)または補体結合反応(CF)でHSVに対する力
価測定を行なつたヒト血清(50)を逐次希釈し、gD12細
胞系または成体CHO細胞系を含有するマイクロタイター
板の孔に加え、抗gD抗体の結合をELISA測定法で調べ
た。gD12細胞とCHO細胞は96穴のマイクロタイター組織
培養平板(Falcon Labware)の穴に交互に植え、10%ウ
シ胎児血清を加えたF12倍地(GIBCO)中で、密集して発
育させた。細胞をリン酸緩衝食塩液(PBS)で3回洗滌
し、次に0.0625%グルタールアルデヒドを加えたPBSで
化学的に固定した。細胞は再度PBSで3回洗滌し、所望
の時期まで、1%ウシ血清アルブミン、100mMグリシ
ン、1mM NaN3を含有するPBS中で4℃で貯蔵した。抗gD
抗体力価を測定するには、細胞をPBSで洗滌し、逐次希
釈した抗血清を固定した細胞と室温で1時間反応させた
(最終容量50μl)。結合しない抗体を洗い去り、細胞
を西洋ワサビペルオキシダーゼ(Tago Inc.)とカツプ
リングさせたヤギの抗ヒトIgG(1:2000希釈)50μlと
インキユベートした。酵素を結合した抗体を室温で1時
間反応させ、次に細胞をPBSで3回洗滌した。インキユ
ベーシヨンの後、ペルオキシダーゼの基質、o−フエニ
レンジアミンを加え(200μl)、更に10分間反応を進
行させた。2.5M H2SO4(50μL)を加えて反応を停止
し、各穴の反応液の吸光度を自動プレートリーデイング
スペクトロフオトメーター(Titertek)で測定した。第
6図において、白丸および黒丸で表わした血清は、128
のHSV−1 CF力価、および4096のHSV−1およびHSV−2
のIHF力価を示している。白の四角および黒の四角で表
わした血清は、8以下のHSV−1CF力価、8以下のHSV−
1およびHSV−2 IHF力価を示している。A図の黒丸およ
び黒の四角はgD12細胞との結合を示し、白丸および白の
四角はCHO細胞との結合を示す。B図の黒丸および黒の
四角は、Aにおける値を差引いて算出したgD12細胞への
特異的な結合を示す。第6図から、通常の方法による測
定で高い抗HSV力価を示した血清は、ELISA法でも高い力
価が得られるが、一方、低い抗HSV力価の別の血清ではg
D12ELISAで検出し得る結合が得られないことが判る。
記載した検討から、安定した細胞系列は、ヘルペスウ
イルス感染によつて生じる抗体と結合するトランスフエ
クト遺伝子産物を、細胞表面に構成的に発現することが
証明された。
gD12細胞によるマウスの免疫感作 雌性BALB/c系マウス(5週令)20匹をSi−monsen Lab
oratories(Gilroy、California)から入手した。マウ
スを各10匹づつの“実験”群と“対照”群の2群に分け
た。実験群の各マウスには、細胞表面にHSV−1糖タン
パク質Dを発現することが知られているgD12細胞を注射
した。対照群の各マウスには、gD12細胞が誘導された成
体(親)チヤイニーズハムスターの卵巣細胞系(CHO細
胞)を注射した。マウスを免疫感作するために、この2
つのタイプの細胞を15cmの組織培養皿に密集して増殖さ
せた。CHO細胞は、市販の透析した7%ウシ胎児血清(G
IBCO)、ペニシリン(100u/ml)、およびストレプトマ
イシン(100u/ml)を添加したHams F12培地(GIBCO)で
発育させた。gD12細胞はグリシン、ヒポキサンチンおよ
びチミジンを欠いた同じ培地に発育させた。細胞を回収
するため、各皿を15mlのリン酸緩衝食塩液(PBS)で2
回洗滌し、次に0.02%EDTAを加えた15mlのPBSで処理し
た。15〜20分後に細胞を皿から除き、臨床検査用遠心機
(IECモデルCL臨床用遠心機、ローターモデル221)を用
い、全速回転で5分間遠心分離することによりペレツト
化した。上清を廃棄し、各15cmの皿上の細胞当たりPBS
の最終濃度が1mlとなるよう、細胞をPBSに再懸濁させ
た。各マウス1匹当たり0.5mlの細胞浮遊液(〜5×106
細胞)を、その0.25mlを腹腔内に、0.25mlを頸背部のた
るんだ皮膚に皮下注射するやり方で注入した。次いでマ
ウスに、一次免疫感作後38日目および55日目の2回、新
しい細胞(前記と同様にして調製する)で追加免役し
た。68日目に、マウスの尾静脈から採血し、インビトロ
の中和試験用の血清を得た。70日目にマウスにHSV−1
(Mac Intyre株)をチヤレンジ(抗原刺激)した。ウイ
ルスのチヤレンジは、各マウス当たり2×107pfuのウイ
ルスの腹腔内注射によつて行なつた。マウスの死亡率、
1日おきの体重変化および麻痺の出現を毎日記録した。
対照群のマウスは、ウイルスチヤレンジ後7日以内に全
例死亡したのに対し、実験群マウスは全例防御され、何
ら感染の徴候を示さなかつた。この研究によつて、gD12
細胞による免疫感作は致死量のHSV−1ウイルスのチヤ
レンジを防御することが結論された。
種々の選択マーカーを使用して、種々のトランスフエ
クシヨン計画が可能である。例えば、マウスL細胞は変
異体dhfr遺伝子を選択マーカーとして使用して、有効に
トランスフエクシヨンされる。gD遺伝子を、そのような
マーカーを包含するベクターを介してそのような細胞に
トランスフエクトした。原則として、本発明者らが記載
した方法は、膜タンパク質の発現が所望される如何なる
状況においても適用が可能である。
先端切断型gD遺伝子の発現 これまでの記述は膜結合型gDタンパク質の生産に関す
る。然しながら、第2図に関連して先に論じたように、
HSV−1とHSV−2のgDタンパク質のアミノ酸配列の解析
から、いずれの場合も疎水性/親水性カルボキシル末端
の膜結合領域の存在することが確かめられた(第7
図)。
HSV−1糖タンパク質(gD)の模式図 遺伝子配列から導かれたgD遺伝子配列のヒドロパシー
解析(31a)から、タンパク質の疎水性領域(陰影部
分)および親水性領域(+印)が決定された。膜に局在
し、結合するのに重要であると思われる領域だけを示し
た。機能的領域は、a)シグナル配列(33)、b)疎水
性の膜透過領域、c)荷電している膜固定領域である。
推定される3ケ所のN−連結糖付加部位はGの文字で示
す。発現プラスミドは、pBR322の細菌性複製起源とアン
ピシリン耐性遺伝子、SV40初期(第一)プロモーターの
転写コントロール下にあるマウスジヒドロ葉酸レダクタ
ーゼ遺伝子を暗号化しているcDNA挿入体(53)、および
第2のSV40初期プロモーターの転写コントロール下にあ
るgDの最初の300アミノ酸を暗号化しているHind III−H
inf1断片から成る。この断片のHindIII部位は、gD遺伝
子のイニシエーターメチオニンの5´−位側へ74bpに位
置している。SV−40の初期領域ベクターのHind III部位
(36)はSV40プロモーターのGoldberg−Hognessボツク
スの3´−位側へ250bpに位置している。Hinf 1部位(K
lenow DNAポリメラーゼと4デオキシヌクレオチド−3
リン酸で平滑化した)を、B型肝炎ウイルスの表面抗原
遺伝子の3´非翻訳領域のHpa 1部位(36)へ連結(リ
ゲーシヨン)する。この方法は先端切断HSV−2遺伝子
を生産するのにも有用である。得られた配列は、gD遺伝
子のアミノ酸300のすぐ後に停止コドン(TAA)を作り出
す。先端切断gD遺伝子転写のための転写停止およびポリ
アデニル化部位は、B型肝炎表面抗原遺伝子の3´非翻
訳領域(36)により暗号化されている。
プラスミドpgD trunc.dhfrは次のようにして組み立て
られた。gDを含有している2.9キロベースのSac1断片
を、Sac1で切断したプラスミドpFM3(前述)中でHSV−
1ゲノム(前述)からクローンしたBamH1断片から分離
した。完全なgD遺伝子を含有する1.6kb Hind III−BstN
1断片を、Hind III−BstN1で消化したpFM42(EPO特許出
願第68693号)へサブクローンした。次に、このプラス
ミドをHinf1で切断し、Klenow DNAポリメラーゼと4個
のデオキシヌクレオチド−3リン酸で平滑化し、次いで
Hind IIIで切断した。先端を切断したgD遺伝子を含有す
る960塩基対(bp)のHind III−ブラント(平滑化)Hin
f 1断片を分離し、Hind III−Hpa 1で消化したpEHBal14
へ連結した。得られた組み立て体(pgDCos−trunc)
は、その3プライム末端にB型肝炎ウイルスの表面抗原
遺伝子を持つた先端切断gD遺伝子を含有していた。先端
を切断されたgD遺伝子を含有する2.3kb Hind III−BamH
1断片をpgDCos−truncから分離した。SV−40由来の初期
プロモーターおよびpBR322アンピシリン耐性遺伝子およ
び細菌性複製起源を含有する2.8kb断片をプラスミドpEH
Bal14から分離した。第2のSV−40初期プロモーターの
転写コントロール下にあるマウスジヒドロ葉酸レダクタ
ーゼcDNAクローンを含有する2.1kb断片をプラスミドpE3
48HBVE400D22(36)から分離した。これら3個の断片を
T4DNAリガーゼで連結し、得られた混合物をE.coli細菌
株294への導入に使用した。得られたコロニーから得た
プラスミドDNAをSac2でスクリーニングし、正確に組み
立てられたpgDtrunc.dhfr(第8図)を更にトランスフ
エクシヨン研究に使用した。
プラスミドpEHBal14は、SV−40−肝炎ウイルスのキメ
ラ遺伝子であるpE342△R1(後述)をXbaIで開裂するこ
とにより、一度HBV表面抗原の暗号化領域において開裂
し、引続きこのXbaI部位の周囲の配列をヌクレアーゼBa
l 31を使用して除去することにより組み立てた。このプ
ラスミドを合成オリゴヌクレオチド5´−AGCTGAATTCの
存在下でライゲートした。これにより、HBV、DNAにHind
III制限部位が加わる。
得られたプラスミドを、〜150bpのEcoRl−Hind III断
片についてスクリーニングした。pEHBal 14の配列決定
をし、Hind III部位はHBsAg開始コドンが標準的に見出
される場所のすぐ上流の位置に存在することが確かめら
れた。このように、この組み立てにより、クローンする
のに好適な独特のHind III部位が、高度に発現されるタ
ンパク質(HBsAg)の翻訳開始位置に置かれる。タンパ
ク質を高度に発現するのに必要ななんらかの推定される
シグナルが、この5´−リーダー配列上に存在するはず
である。
HBV表面抗原を発現するプラスミドpE342(pHBs348−
Eとも呼ばれる)は、EPO公報第0073656号(1983年3月
9日)にLevinsonらにより記載されている(簡単に説明
すると、SimianウイルスSV40の起源は、SV40DNAをHind
IIIで消化し、コンバーター(AGCTGAATTC)を加えるこ
とによりHind III末端をEcoRI末端へ変換することによ
つて分離した。)。このDNAをPvu IIで切断し、RIリン
カーを加えた。次いでEcoRIで消化した後、起原にまで
及び348塩基対(bp)の断片をポリアクリルアミドゲル
電気泳動法および電気溶出法により分離し、pBR322にク
ローンした。HBVをEcoRIおよびBg IIIで消化して得られ
た1986bp断片(Animal Virus Genetics,(Ch.5)Acad.P
ress,N.Y.(1980))(これはHBsAgを暗号化している遺
伝子にまで及ぶ)をプラスミドpML(Luskyら,Nature,29
3:79(1981))のEcoRIとBamHI部位にクローンすること
によつて、発現プラスミドpHBS342−Eを組み立てた。
(pMLは、サル細胞におけるプラスミド複製を抑制する
配列を欠失したpBR322の誘導体である)。次に、得られ
たプラスミド(pRI−Bgl)をEcoRIとつなぎ、SV40の起
原領域を表わす348bpの断片をpRI−BglのEcoRI部位へ導
入した。起源断片はどちらの方向からでも挿入できる。
この断片は複製起源だけではなく、初期および後期SV40
プロモータの両方を暗号化しているので、HBV遺伝子は
この方向によつてどちらかのプロモーターのコントロー
ル下に発現されることができる(HBsを表わすpHBS−348
−Eは初期プロモーターのコントロール下に発現され
る)。pE342は、EcoRIで部分消化し、Klenow DNAポリメ
ラーゼIを使用して切断部位を充填し、プラスミドの背
後同志を連結(リゲーシヨン)し、pE342のSV40起源に
先行するEcoRI部位を除くことにより修飾された。得ら
れたプラスミドはpE342△Rlと命名した。
得られた配列はgD遺伝子のアミノ酸300のすぐ後に停
止コドン(TAA)を作り出す。先端を切り取つたgD遺伝
子転写の転写停止部位とポリアデニル化部位は、B型肝
炎ウイルス表面抗原の非翻訳3´領域(36)によつて暗
号化されている。
生成したベクターをdhfr−-CHO細胞系(39)へトラン
スフエクシヨン(DNA感染)させ、先端を切り取つたgD
タンパク質を生産し、それを周囲の媒質へ分泌する好適
なクローンgG10.2を選択した。タンパク質を媒質から抽
出し、細胞の免疫原性活性を試験した。第9図に、細胞
内および細胞外の35S−メチオニン標識抽出物の免疫沈
降試験の成績を示す。
細胞連合型および分泌型gDの放射免疫沈降試験 市販の透析した7%のウシ胎児血清(Gibco)、ペニ
シリン(100u/ml)、およびストレプトマイシン(100u/
ml)を添加したHamのF12培地(Gibco)に細胞を発育さ
せた。培養が約80%に密集した時に、培地を除去し、細
胞をリン酸緩衝食塩液(PBS)で2回洗滌し、標識培地
(1/10規定濃度のメチオニンを含有するDulbeccoにより
改良されたEagle培地)を最終濃度0.05ml/cm2となるま
で加えた。35S−メチオニン(SJ.204、Amersham Int.)
を最終濃度50〜75uCi/mlとなるまで加え、細胞を18〜20
時間発育させた。標識後、培地を回収し、細胞をPBSで
2回洗滌し、0.02%EDTAを加えたPBSで処理することに
より培養皿から除いた。次に細胞を、PBS、3%NP−4
0、01%ウシ血清アルブミン、5×10-5Mフエニルメチ
ルスルホニルフルオリド、および0.017TIU/mlのアポプ
ロチニンから成る細胞溶解緩衝液に溶解し、得られた溶
解液を12,000×gで遠心分離することにより透明にし
た。免疫沈降反応に使用するため、細胞溶解液をPBSで
3倍に希釈し、検液(標準的には180μl)を2〜5μ
lの抗血清と混合し、4℃で30分間インキユベートし
た。分泌型のgDを免疫沈降するため、500μlの条件培
地を2μlの抗血清と30分間、4℃でインキユベートし
た。免疫複合体はKesslerの方法(40a)により固定した
S.aureus細胞に吸着させ、12,000×gで30分間遠心分離
して沈降させた。次に、S.aureus細胞を洗滌緩衝液(PB
S、1%NP−40、0.30%ドデシル硫酸ナトリウム)で3
回洗滌し、免疫複合体を20μlのポリアクリルアミドゲ
ルサンプル緩衝液(10%グリセロール、5%2−メルカ
プトエタノール、0.01%ブロモフエノールブルーを含有
する62.5mMトリス−HCl緩衝液(pH6.8))で、90℃で3
分間溶出した。30秒間遠心後、Laemmiliの方法(45)に
従い、上清を10%ポリアクリルアミド平板(スラブ)ゲ
ルに掛けた。A:gD12細胞系から得た全膜結合型gDの免疫
沈降線。B:2個の別個に誘導した細胞系(1および2)
の溶解液から得た先端切断gDの細胞連合型の免疫沈降
線。C:Bに示した2個の細胞系の培養上清から得られた
先端切断gDの免疫沈降線。(−)は、対照家兎血清を示
し、(+)は、家兎抗HSV−1抗血清を示す(Dako Cor
p.)。
図に見られるように、35,000ダルトンの細胞内型、お
よび分泌され、明らかに糖付加されている細胞外gDタン
パク質が明瞭である。
免疫感作に使用する先端切断gD製剤 gD10.2細胞を、ポリスチレン製回転組織培養瓶(Corn
ing 25140)で、市販の透析した7%ウシ胎児血清、50
μg/mlのストレプトマイシン、および0.3μgのグルタ
ミンを添加したF12培地中で密に発育させた。密生後、
培地を除き、ウシ胎児血清を含まない同じ培養液で3回
洗滌し、2mg/mlのHepes緩衝液(血清を含まぬ培地)を
添加した。細胞を血清を含まぬ培地中で3〜4日発育さ
せ、次に条件付き培地を回収して、−20℃で貯蔵した。
培地を37℃で融解し、SorvallGS−3ローターで20分間5
00rpmで遠心した。遠心後、ペレツトは破棄し、上清はY
M−5限外過膜を備えた限外過装置(Amicon)で濃
縮した。得られた標品を出発物質と比較して約150倍に
濃縮したところ、1あたり約8mgのタンパク質を含有
していた。次にこの標品をリン酸緩衝食塩液(PBS)で
よく透析し、それ以上精製することなく免疫感作に使用
した。
マウスの免疫感作 各8週令のBALB/C系マウスを、50%の水性抗原と50%
完全フロイントアジユバントからなる200μlの乳液に
含有される36μgのタンパク質で免疫感作した。それぞ
れのマウスは次のような皮内および皮下部位の各所に免
疫した:各後脚部に25μlずつ、尾に50μl、および背
中に沿つて3〜5ケ所の皮内部位に100μlを分布させ
た。最初の免疫感作から4週間後に、上記と同様の36μ
gのタンパク質を、今度は不完全フロイントアジユバン
トを使用して調製した乳液で追加免疫した。追加免疫で
は、各マウスは200μlの抗原乳液を次のように分布し
て投与された:尾に50μl、背中に沿つて5ケ所の皮内
部位に150μlを分布させた。追加免疫から19日後に、
各マウス毎に尾部採血により約500μlの血液を採取し
た。この血液から得られた血清は、インビトロの中和実
験に使用した(下記参照)。追加免疫から37日後に、マ
ウスをウイルスチヤレンジ試験に使用した。実験マウス
群と年令、性および系統を一致させた対照マウス群は、
実験群と同一のプロトコールでヒト血清アルブミン(1
匹当たり15μg)を用いて免疫した。
インビトロの中和試験 gD10.2培養上清濃縮物で免疫した11匹のマウスから得
られた血清を用い、インビトロにおけるHSV−1の中和
能について試験した。逐次希釈したマウス血清(倍数希
釈法:1:8〜1:16384)を約40pfuのHSVとDulbecoが改良し
たEagle培地(DMEM)中で1時間、37℃でインキユベー
トした。血清インキユベーシヨンの後、96穴の組織培養
板の各穴に含有される約40,000vero細胞に各希釈液を適
用した。3〜4日後、各穴を0.5%クリスタルバイオレ
ツトで染色して、ウイルスの増殖を測定した。ウイルス
の増殖が起こつた穴は染色を示さなかつた。ウイルスに
よる細胞死を防御した最高血清希釈度を測定し、中和力
価を算出した。gD10.2の上清物質で免疫したマウスから
得られた試験血清(n=10)は、すべてHSV−1中和活
性(1:16〜1:512)およびHSV−2中性活性(1:8〜1:1
6)を示した。対照マウス血清(n=8)からは何ら中
和反応を提供できなかつた。HSV−1で免疫したマウス
から得られた血清では1:32の中和力価が得られた。
ウイルスチヤレンジ gD10.2上清濃縮物で免疫した11匹のマウスとヒト血清
アルブミンで免疫した13匹の対照マウスに、10,000,000
pfuのHSV−1(Mac Intyre株)を腹腔内注射することに
よりチヤレンジした。gD12で免疫したマウスでは、ウイ
ルス注射から14日間、何らウイルス感染の徴候を示さな
かつた。対照群では、13匹のマウス中の7匹が14日まで
に死亡し、3匹は重篤な衰弱と麻痺を示し、3匹は健康
に見えた。統計的解析(Fisherの直接検定法、両側検
定)で、免疫群と対照群の間の差はP=0.002の水準で
有意であつた(第1表)。
1.分泌型gDの追加免疫を接種してから19日後に、マウス
血清のHSV−1およびHSV−2ウイルス中和活性を試験し
た。マウス血清を倍数希釈(1:8〜1:16384)し、これを
HSV−1またはHSV−2の40プラーク形成単位(pfu)と3
7℃で1時間インキユベートした。各希釈液を、96穴の
マイクロタイターの各穴に含まれている40,000vero細胞
に適用した。4日後、0.5%クリスタルバイオレツトで
細胞を染色した。中和力価は、ウイルスの増殖を防御す
る最高血清希釈度を測定することにより算出した。
2.マウスはHSV−1(MacIntyre株)の1×107プラーク
形成単位(pfu)を腹腔内注射することによりチヤレン
ジした。チヤレンジしたマウスは、HSV−1感染につい
て3週間観察した。
3.各マウスは、それぞれ約3μgの分泌型gDの50%と50
%フロイントアジユバント溶液で免疫した。マウスは皮
内および皮下部位の各所に免疫した。最初の免疫から4
週間後に、マウスは追加免疫した。追加免疫して19日後
にマウスはチヤレンジを受けた。対照マウスは等量のヒ
ト血清アルブミン(HSA)で免疫された。
4.P=0.002水準で有意。
gD12細胞から培地中へ遊離された、先端を切断したタ
ンパク質は、マウスのHSV−1の致死量感染を防御する
ことが明らかになつた。
HSV−2ウイルスチヤレンジのための抗原製剤 250nMメソトレキセートの存在で発育させ、増幅させ
たgD10、2.2細胞を回転培養瓶(850cm2)に植え、7%
のウシ胎児血清を添加したHam′s F12培地(GIBCO)で
培養した。細胞が密に繁殖した後(約3日後)、培地を
除去し、細胞をリン酸緩衝食塩液(PBS)で3回洗滌し
て血清タンパク質を除去し、新たに“血清を含まない”
培養液を加えた。血清を含まない培地は、25mMのHepes
緩衝液を含有するHam′s F12培地から成つていた。細胞
を3日間培養し、生成した条件付き培地(調整培地)を
回収し、抗原調製に使用した。次に、血清を含まない培
地を細胞に加え、3日毎に条件付き培地を回収する繰り
返しを、細胞が死ぬか、または培養表面にもはや付着し
なくなるまで、更に1〜2回行なつた。次に血清を含ま
ないgD10.2.2の条件付き培地(調整培地)を、過し、
低速度で遠心して細胞残渣を除き、得られた材料を限外
過装置(YM−10メンブラン、Amicon)を用いて10〜20
倍に濃縮した。次いで濃縮した培地をPBSに対して一夜
透析した(PBSを3回交換、交換当たり1リツトル)。
次に、得られた材料を測定してタンパク質濃度を決定
し、タンパク質組成を決定し標品の純度を調べるため、
ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分析した。こ
の方法により調製した材料は、下記のように動物のHSV
−2感染に対して免疫するのに使用した。
HSV−2感染に対するマウスの免疫感作 40匹の雌性BALB/c系マウスをCharles River Laborato
ries(Boston,MA)から入手し、12週令時に、分泌型gD
タンパク質(gD trunc)またはヒト血清アルブミン(HS
A)で免疫した。分泌型gDタンパク質に対する初回免疫
では、抗原をリン酸緩衝食塩液で約70μg/mlの濃度とな
るように調節し、等量の完全フロイントアジユバントを
加えて乳化した。各マウスはそれぞれこの懸濁液の200
μlで、次のような分布で免疫した:尾の付け根から約
1cmの部位に50μlを皮下注、後方の各脚部にそれぞれ2
5μlを皮下注、背中に沿つて100μlを3〜5ケ所に分
けて、皮内注射。次にマウスは初回免疫から1ケ月後に
同じ抗原で追加免疫した。追加免疫の場合は、抗原は初
回免疫の場合と同じ方法で調製するが、但し、完全フロ
イントアジユバントの代わりに、不完全フロイントアジ
ユバントを使用した。追加免疫では、各マウスにそれぞ
れ200μlの抗原乳液を次のような分布で注射した:尾
部に50μl、各大腿上のたるんだ皮膚にそれぞれ25μl
ずつ皮下注、背中に沿つて100μlを3〜5ケ所に分け
て皮内注射。対照マウス群は、実験マウス群と同じプロ
トコールに従い、免疫原として分泌gDタンパク質の代わ
りにヒト血清アルブミンで免疫した。インビトロの中和
試験に使用するため、追加免疫から24日後にマウスから
血清を採取した。
HSV−2ウイルスチヤレンジ 実験群(分泌型gD注射群)および対照群(HSA注射
群)のマウスを、いずれも追加免疫をしてから30日後に
HSV−2(MS株)を腹腔内注射してチヤレンジした。各
マウスは、10%のウシ胎児血清を含有するDulbeccoの改
良したEagle培地(DMEM)100μl中の2×105pfuのウイ
ルスを投与した。LD50実験の結果、この量は正常(注射
していない)BALB/cマウス母集団の50%致死に要するウ
イルス量の100〜500倍に相当することが明らかになつ
た。ウイルスを注射したマウスは3週間観察した。対照
マウス(HSAを注射)はウイルスチヤレンジ後9日以内
に全例死亡した。分泌型gDタンパク質のワクチン投与を
受けたマウスは、全例とも3週間完全に生存し、正常に
見えた(即ち、衰弱または麻痺を示さなかつた)。
1.マウス血清は、分泌型gD追加免疫を行なつてから19日
後に、HSV−1およびHSV−2中和活性について試験し
た。倍数希釈したマウス血清(1:8−1:16384)を40プラ
ーク形成単位のHSV−1またはHSV−2と37℃で1時間イ
ンキユベートした。各希釈液は96穴のマイクロタイター
の各穴に含有する40,000vero細胞に適用した。4日後細
胞は0.5%クリスタルバイオレツトで染色した。中和力
価はウイルス増殖を防御する最高血清希釈度を測定する
ことにより算出した。示した値は中和力価の平均値で表
わしてある。
2.HSV−2チヤレンジの詳細については本文参照。
先端を切断した糖タンパク質Dは、先述したようにgD
10.2細胞系の発育により条件付けられた培養基から精製
した。培養液は限外過によつて濃縮し、先端切断gDは
セフアロース4Bにカツプリングさせた抗gD−1単クロー
ン性抗体を使用する免疫アフイニテイークロマトグラフ
イーによつて精製した。先端を切断したHSV−1糖タン
パク質D(gD−1)は、先述のように、gD10.2細胞の発
育によつて条件付けられた血清を含まない培地から分離
した。細胞培養液は、市販のメンブラン(Amico Cor
p.)を使用する限外過と硫酸アンモニウム沈殿法によ
り濃縮した。次いで免疫アフイニテイークロマトグラフ
イーによりgD−1を精製し、均質に近づけた。免疫アフ
イニテイー用カラムは、HSV−1に対して産生せしめた
単クローン性抗体と交差結合したセフアロース(Pharma
cia Fine Chemicals)をカツプリングすることにより調
製し、Axenら(Nature 214:1302〜1304(1967))が記
載しているのと同様の方法により溶出した。gD10.2細胞
系によつて条件付けられた未分画の培養液の主な生成物
は、成熟した先端切断型のgD−1(〜43−46kd)とgDの
前駆型(〜38−40kd)である。gDタンパク質は、増殖調
整培地に存在するタンパク質の、平均20〜25%を占めて
いる。この物質の免疫アフイニテイークロマトグラフイ
ーで分画することによりgDはかなり豊富化された。溶出
した物質は銀染色により検出し得る汚染したタンパク質
を全く含んでいないことが判つた。このプロトコールに
基づくタンパク質の精製によつてタンパク質の変性や、
分子の抗原性構造の破壊が起こるかどうか調べるため
に、種々の単クローン性抗体による抗原性の試験を行な
つた。この試験において、カルボキシル末端基と反応す
るもの以外のすべての抗体が、精製した製剤と反応する
ことが判つた。未分画の培養上清に存在する物質と比較
して、精製した製剤の抗体結合の挙動には何らの差違も
検出できなかつた。
精製したgDタンパク質が、HSV−2による外陰部感染
を防御するサブユニツトワクチンの主成分として効果的
に使用できるかどうかを調べるために、種々のアジユバ
ントで調製したgDをモルモツトに接種した。第一の試験
では、精製gDを完全にフロイントアジユバントに混合
し、雌性Hartleyモルモツトの筋肉内および皮下部位に
注射した。2月令で体重約250gの雌性Hartleyモルモツ
トをCharles River Lavoratories (Portgan,MI)から
購入した。フロイントアジユバントを使用した試験で
は、50%の完全フロイントアジユバントに乳化した30μ
gのgD−1を注射した。この初回免疫感作は次のような
分布で行なつた:0.5mlを頸背部の軟かい皮膚へ皮下注
射、0.5mlを大腿筋肉内に注射した。31日後、動物は不
完全フロイントアジユバントに混合した同量の抗原で追
加免疫した。対照動物は実験群と同じプロトコールに従
い、アジユバントだけを注射した。実験動物と対照動物
は、追加免疫を行なつてから19日後にHSV−2を膣内に
感染させてチヤレンジした。gD−1のアルム−アジユバ
ントを使用する試験では、30μgのgD−1をリン酸アル
ミニウムまたは水酸化アルミニウムのいずれか(0.15m
l)のゲルに混合し、初回および追加免疫の両方に使用
した。アルム−アジユバントは後肢へ筋肉内注射した。
動物は初回免疫から51日後に追加免疫し、更に27日後に
生菌ウイルスでチヤレンジした。各動物は、完全フロイ
ントアジユバントに混合した30μgの精製したタンパク
質による1回の初回免疫と、不完全フロイントアジユバ
ントに混合した同量の抗原による1回の追加免疫(31日
後)を受けた。すべての動物は、追加免疫から19日後に
HSV−2の膣内接種によりチヤレンジされた。第3表に
これらの試験から得られた成績を示した。gDの接種を受
けた動物は、インビトロのウイルス中和測定でHSV−1
およびHSV−2の双方の感染を防御し得る高濃度の抗体
を生産することが判る。これらの動物から得られた血清
は、HSV−2よりもHSV−1の方を僅かにより効果的に中
和することが判つた。この結果は、免疫原がHSV−1か
ら誘導されたものであり、gD−1の抗原決定基には型特
異性のある事実から考えて当然のことである(Eisenber
g,R.J.ら、J.Virol.35:428(1980);Pereira,L.ら、Inf
ect and Immun.29:724(1980);Showalter,J.D.ら、Inf
ect.and Immun.34:684(1981))。一層印象的なこと
は、gD−1の接種を受けたすべての動物がウイルス感染
による臨床的徴候から完全に防御された事実であつた
(即ち、発赤、腫脹、小水疱形成、潰瘍形成、尿貯留の
減少、および致死的な脳炎)。アジユバント単独を注射
した14匹の動物のうちの13匹は、重篤な原発性の感染を
起こした。典型的な癒着を起こして急性の潰瘍を形成す
る多数の小水胞が見られた。これに反して、gD−1を接
種した動物ではウイルス感染の前兆が何ら表れなかつ
た。これらの結果は明らかに、完全フロイントアジユバ
ントに混合したgD−1が、HSV−2の外陰部感染に対し
効果的な防御作用を有することを示している。
完全フロイントアジユバントはヒトの使用に適さない
ので、次にヒトの使用に好適なアジユバントで処方した
時、gD−1がHSV−2感染に対して防御効果を示すかど
うか決定することが望まれた。この目的のために、みよ
うばん沈澱タンパク質複合体(J.S.Garveyら、Methods
in Immunology(1977)185頁(17))の研究が開始され
た。第3表には、gD−1を水酸化アルミニウムおよびリ
ン酸アルミニウムゲルに混合して使用して得られた成績
を比較している。対照試験では、動物はアジユバント単
独を接種された。アルミニウムによる両製剤ともHSV−
1に対する高濃度の中和抗体を誘発し、またHSV−1に
対する中和力価は、完全フロイントアジユバントに混合
したgD−1に対し誘発される力価に匹敵し得るものであ
ることが認められた。然しながら、HSV−2を中和し得
る抗体の力価は、完全フロイントアジユバントに混合し
たgD1に比べて、アルミニウム製剤のいずれかに混合し
たgD−1の場合の方が有意に低かつた。この結果、アル
ミニウムに混合したgD−1は、HSV−1とHSV−2に共通
した1個またはそれ以上の抗原決定基の消失を生じる
か、またはタンパク質をフロイントアジユバントに混合
した場合の方が、交差反応性抗原の認識がより一層効果
的であることを示唆している。この成績はまた、HSV−
1とHSV−2に対する中和力価が水酸化アルミニウムの
場合の方が、リン酸アルミニウムの場合よりも有意に高
いことから、前者の方が後者より効果的なアジユバント
であることを示唆している。
アルミニウムアジユバント製剤によつて得られた防御
効果は、フロイントアジユバント製剤で得られたものよ
り低いが、それでもなお有意である。多くの動物がウイ
ルス感染の徴候を示すが、感染の重篤度はアジユバント
単独を注射した対照動物の場合に比較してかなり軽い。
即ち、障害度の平均点数は、アジユバントを注射した対
照動物の障害度の平均点数が3.2であるのに比較して、
リン酸アルミニウムワクチン製剤を接種した動物では0.
9、水酸化アルミニウムに基づく製剤の場合では0.7であ
つた。障害の重篤度の採点に使用した4+評価法に従え
ば、平均障害点数3.2から0.7へ低下することは、臨床症
状において、数個の大水疱(3点)から軽度の発赤およ
び腫脹(0.5点)へ低下するのに対応する。興味深いこ
とは、これらの試験を通じて、インビトロでのHSV−2
に対する平均中和力価が臨床疾患の重篤度と良く相関し
ていた。
上記の結果は、HSV−2による外陰部の原発性感染の
臨床的発現が、組み換え体gD−1のワクチン接種によつ
て低下することを証明している。得られた結果は、HSV
−1から誘導された単一の糖タンパク質が強力なアジユ
バントと組み合わせて投与すると、外陰部のHSV−2感
染を完全に防御できることを示している。
先端切断タンパク質を診断およびワクチン適用に使用
することの進歩性は、それが細胞外媒質へ分泌されるの
で、全細胞製剤で見られるより、汚染タンパク質の夾雑
がはるかに少ないということである。
本発明においては、タンパク質の生産に永久細胞系を
使用していることがわかるであろう。トラスフエクシヨ
ンによつて、ベクターは細胞系のゲノムに取り込まれ、
細胞溶解を起こすことなくタンパク質を生産できる。従
つて細胞系は、タンパク質の連続的生産に使用でき、特
に先端を切り取られた形で細胞から分泌して来る。例え
ば、先端を切り取つたタンパク質を発現する細胞は、抗
原に富んだ培地を細胞から絶えず除去し、新鮮な培地と
置き換えることにより、灌流系の中で連続的に使用でき
る。
ここに使用した特殊な細胞系はdhfr生産を欠くCHO系
に、dhfrマーカーを含有するベクターを導入したもので
あつた。該細胞系を好適な条件下にメソトレキセート
(MTS)と接触させることにより(54)、dhfr生産と、
従つて連結したgDタンパク質の生産が増幅される。先端
を切断したgD遺伝子をdhfr-CHO細胞にトランスフエクト
させることにより誘導された3種の細胞系を並列してプ
レートに並べ、35S−メチオニンで標識し、先に第2図
で記載したように免疫沈降させた。1列目および2列目
は、メソトレキセートで選択する前に独立して分離され
た2個の細胞系によつて条件付けられた培養液500μl
から免疫沈降させた分泌型gDの量を示す。3列目は250n
Mのメソトレキセート中における発育で選択された細胞
系(gD10.2.2)から同量の培養基へ免疫沈降された先端
切断gDの量を示す。1〜3列目に示した免疫沈降には家
兎の抗HSV−1抗体(Dako Corp.)を使用した。4列目
は、gD10.2.2細胞系により条件づけた500μl培地と正
常家兎血清の対照免疫沈降を表わす。
メソトレキセートにおける選択前と選択後の細胞系に
よつて培地中に分泌される先端切断gDの相対量を定量す
るため、コンペテイテイブELISAアツセイを実施した。
膜結合型gDを発現するgD12細胞を平板から採り、先に記
載した96穴のマイクロタイター平板の表面にグルタール
アルデヒドで固定した。先端を切断されたgDを生産する
ことが知られている種々の細胞系からの調整培地を、マ
イクロタイター平板上に連続的に逐次希釈し、一定量
(2μl)の家兎抗HSV−1抗体(Dako Corp)と1時間
20℃でインキユベートした。各穴をPBSで3回洗滌する
ことにより、未結合の抗体と易溶性の先端を切断したgD
−抗体複合体を除去した。次にヤギ抗家兎IgGとカツプ
リングさせた西洋ワサビのペルオキシダーゼを固定した
細胞と1時間20℃で反応させ、未結合の抗体をPBSで3
回洗滌することにより除去した。次に比色用基質、OPD
(o−フエニレンジアミン)を各穴に加え、結合してい
る西洋ワサビのペルオキシダーゼ−抗体複合体と15分間
反応させた。次いで、硫酸を最終濃度0.25Nとなるまで
加えて反応を停止した。各穴のOPDの吸光度を自動マイ
クロタイタースキヤナー(Titertekmultiskan)を使用
して測定し、希釈曲線を作成した。成体(親)CHO細胞
系と抗HSV−1抗体の結合は、各希釈度における非特異
的結合の程度を測定するのに使用した。各培養の上清に
含有される先端切断gDの量は各穴に吸光度量と逆比例し
た。白丸は、メソトレキセートで増幅する前の、先端切
断gDを分泌する細胞によつて条件付けされた培地の存在
下における、抗HSV−1抗体のgD12細胞への結合を表わ
す。黒丸は、250nMメソトレキセート中の発育で選択さ
れたgD10.2.2細胞から得た培地の存在下における抗HSV
−1抗体のgD12細胞への結合を表わす。白の四角は、先
端切断したgDを分泌する増幅していない細胞から得た10
0倍濃度の培地の存在下に、抗HSV−1抗体とgD12細胞の
結合を表わす。この方法はgD10.2細胞系において、250n
M Mtxで発育でき、もとのgD10.2細胞系より約20倍多量
の先端切断gDを培養液中に分泌する増幅細胞系gD10.2.2
を生産するために行なわれる(第10および11図参照)。
dhfrマーカー/増幅系は、外来性DNAを獲得し、それ
を安定に組み込むことができる他の細胞とも使用でき
る。
本発明において、膜に結合させる働きを有する疎水性
−親水性カルボキシル末端領域を欠いている膜結合性タ
ンパク質の先端切断体がなお免疫原となり得ることを証
明し得たことは、他の膜結合型免疫原タンパク質でも同
様の結果を期待し得ることを示しており、ウイルス、寄
生虫または他の病原微生物に対する改良されたワクチン
源が提供されることが期待できる。
これまでの実施例では、gDタンパク質のDNAは、そこ
に都合の良い制限部位があるので残基300の位置で切断
された。このことから、第2図のヒドロパシー図に見ら
れるように、カルボキシル末端疎水性/親水性領域を完
全に除く結果となつた。実際、それより先の領域の残基
301〜332の範囲を越えて除去されると、タンパク質の免
疫原性は明らかに破壊された。従つて、このタンパク質
の場合、および恐らく他の免疫原性の膜結合型タンパク
質の場合も、先端切断の程度は、膜に結合するという性
質が除かれ、タンパク質が周囲の媒質に分泌される効果
が得られる限り、かなり少なくし得るということが、そ
こから結論される。
実施例2 実施例2はHSV−2gCタンパク質(以前はgFタンパク質
と命名されていた)に関する。
細胞、ウイルス、およびDNA分離 HSV−2(G株)を0.1のインプツト多重度HEp2細胞に
感染させた後この細胞培養を、10%のウシ胎児血清およ
び抗生物質を含有するDulbeccoの改良Eagle培地で3日
間、33℃で増殖させた。HSV−2 DNAは、前述のようにプ
ロテイナーゼKで消化し、CSCl超遠心により分離した
(23)。
DNA操作 制限酵素、DNAポリメラーゼKlenow断片、T4DNAリガー
ゼ、およびT4ポリヌクレオチドキナーゼはBethesda Res
earch Labsから購入し、提供者の指示に従つて使用し
た。
HSV−2DNA制限断片の分子クローニング EcoR1で消化したHSV−2DNAを5%ポリアクリルアミド
ゲルで処理することにより、HSV−2ゲノムの地図でほ
ぼ0.650の位置に相当するEcoR1“P"断片を分離した。分
離した断片を、EcoR1で消化したpUC9(28)へクローン
した。このプラスミドはpUG−R1Pと呼ばれた。
次に、pUC−R1Pサブクローンを、EcoR1“P"断片を含
有するHSV−2ゲノムのSac1断片の位置を突き止めるの
に使用した。サザーンブロツテイング実験(27)によつ
て、HSV−2の4.9kb Sac1フラグメントがEcoR1 “P"断
片を含有していることがわかつた。この断片を0.7%ア
ガロースゲルで分離し、独特のSac1部位(55)を含有し
ているpBR322誘導プラスミドへクローンした。このプラ
スミドは“pBRSac1−E"と呼ばれた。更に、pBRSac1−
“E"の制限酵素分析によりEcoR1“P"断片と配列相同性
を有する2.9kbのSal1断片が証明され、前述と同様にし
てSal1で消化されたpUC9へサブクローンした。このプラ
スミドはpgC2Sal 2.9と呼ばれた。
クローンしたHSV−2DNAのDNA配列解析 DNA配列の大部分はジデオキシヌクレオチドチエーン
ターミネーシヨン法を使用して決定した。種々の断片を
複製型のm13フアージベクター、mp7、mp8、およびmp9に
サブクローンし、前述したようにDNA配列を決定した(2
9)。幾つかの場合には、断片を、r−32P−ATPとT4ポ
リヌクレアーゼを用いてその5´−位を32Pで標識し、
断片のDNA配列を化学的分解法を使用して決定した(5
6)。DNAおよびタンパク質配列のコンピユーターを使用
する解析はHOMプログラムを用いて実施した(57)。推
定したアミノ酸配列のヒドロパシーは12アミノ酸幅、1
ジヤンプ法を使用して解析した(31a)。
HSV−2DNAのサザーンブロツテイング解析 制限エンドヌクレアーゼでHSV−2DNAを消化し、プラ
スミドDNAを1.5%アガロースゲル上で分画し、標準的な
方法でニトロセルロース上にブロツト(移し換え)し
た。第12図で星印を付したSac2断片の一本鎖は、DNAポ
リメラーゼ1のKlenow断片で充填し、得られた平滑末端
断片を、T4DNAリガーゼを使用して、Sma1で消化されたm
13m7複製型(29)に連結(ライゲーシヨン)した。この
ライゲーシヨンおよびトランスフエクシヨンにより調製
された一本鎖DNAを、DNAポリメラーゼIのKlenow断片を
使用し、高い特異的活性(1×109CPm/μg)を有する
32P−標識一本鎖プローブDNAの合成の鋳型として使用し
た。ハイブリダイゼーシヨンは標準的な方法を使用して
実施した(27,58)。
結果 HSV−2ゲノムのgF暗号化領域の分子クローニング HSV−2のgF遺伝子を分離するのに採られた方針は、
この遺伝子がHSV−1 gC遺伝子と共直線的(コリニア
ー)であるという仮定に基づいていた。この仮定は、HS
V−1の糖タンパク質Cと抗原的に相関性のある75,000
ダルトンの糖タンパク質gFがHSV−2中に発見されたこ
と、およびこのタンパク質のための遺伝子がHSV−1 gC
遺伝子とほぼ共直線的であると言う最近の知見によつて
支持されていた(22d、59)。また、HSV−1 gCおよびHS
V−2gFの双方に結合する単クローン性抗体が分離された
ことは、この二つのタンパク質が相互に相同的であるか
も知れないことを更に示唆している(22f)。従つて、H
SV−gC遺伝子と共直線的であるHSV−2ゲノム領域のDNA
配列を解析すれば、HSV−2gF遺伝子の配置を突き止める
タンパク質配列情報の手懸りが得られるであろうと考え
られた。
HSV−2ゲノムの600塩基対のEcoR1“P"断片は〜0.650
の位置に存在することがわかつた(12)。この領域は、
HSV−1ゲノムの約0.630〜0.640に位置するHSV−1gC遺
伝子の既知の暗号化領域(59)とほぼ共直線的である。
この断片はHSV−2DNAのEcoR1消化物から分離され、プラ
スミドpUC9(28)にクローンされ、そのDNA配列が決定
された(29,56)。得られた配列をHSV−1gC配列と比較
すると(59)、EcoR1“P"断片とHSV−1gC暗号化領域の
3´−末端の間に高度の配列相同性が見られた。それ
故、HSV−1gC遺伝子と相同性であるHSV−2遺伝子の残
りの部分も十分に含んでいるEcoR1“P"断片と重複して
いるHSV−2ゲノムDNAから、Sac1制限エンドヌクレアー
ゼ断片を分離するプローブとして、このEcoR1“P"を使
用した。第12図には、EcoR1“P"断片を含んでおり、DNA
配列解析に使用した2.9kbのSal1断片をHSV−2ゲノムか
ら分離するのに要した手順を図示した。
HSV−2ゲノムのEcoR1“P"領域のDNA配列解析 EcoR1“P"断片との配列相同性に基づき、HSV−2ゲノ
ムから分離した4.3kbのSac1“E"断片を更に消化して、
2.9kbのSal1断片を得て、これをpgC2Sal 2.9と命名し
た。第12図は、ジデオキシヌクレオチド配列決定法(2
9)または化学的分解法(56)のいずれかによりDNA配列
解析が行なわれたpgC2Sal 2.9からの断片を示してい
る。更にこの図は、pgC2Sal 2.9の中のEcoR1“P"断片の
位置と同時に、HSV−2ゲノムの〜0.628の位置のBglII
“N"断片の右側末端に相当するBglII部位の位置を示し
ている(12)。
更に詳細に述べると、第12図は、HSV−1gCと共直線的
に配置しているHVS−2領域、pgC2Sal 2.9のクローニン
グを示している。〜0.61〜0.66に配置しているHSV−ゲ
ノムの領域は、600塩基対のEcoR1“P"断片をプローブと
して使用し、Sac1断片(pBRSac“E")としてクローンし
た。pBRSac“E"のサブクローン、pgC2Sal 2.9はDNA配列
解析に使用した。矢印は配列化された領域を表わし、そ
の配列から誘導された主な479アミノ酸のオープンリー
デイングフレームの位置が図示されている。EcoR1“P"
断片を略示するEcoR1部位、およびBgl2“N"断片の右端
にあるBgl2部位(地図の〜0.628の位置)(26)を含む
種々の制限部位が示されている。星(★)印で示してあ
るSac2断片は、この領域に出現する欠失を調べるために
行なつたサザーンブロツテイン実験に使用した(結果参
照)。Sm;Smal,Sa;Sac2,Rs:Rsal,Bg;Bgl2,Pv;Pvu2,R1;E
coR1などの他の部位はDNA配列決定実験に使用した。
第13図はpgC2Sal 2.9から得られたDNA配列をHSV−1 g
C領域のDNA配列(59)と比較して示している。HSV−1 g
C領域(HSV−1)とpgC2Sal 2.9から得た配列(HSV−
2)はHOMプログラム(57)を用いて比較した。種々の
欠失は配列の重複を最大化するのに使用されたから、わ
かり易くするためにスペースを含むすべての位置に番号
を付けた。星印は一致しないヌクレオチドの上に付け
た。HSV−1配列の43位にある下線を引いた“A"残基
は、gCmRNAのほぼ転写開始部位である(59)。“TATA"
1、および“TATA"2は、それぞれHSV−1gCmRNAと730塩基
mRNAの転写コントロール領域と推定される(59,60)。H
SV−1配列の1728の位置に挿入されたT残基はこの領域
の配列再決定により発見され(M.Jackson未発表)、そ
れはHSV−2の主オープンリーデイングフレームの停止
コドンと相同である1735〜1737の位置にインフエース停
止コドンを導入するものであることが明らかにされた。
第2HSV−2開始コドンの位置が1975〜1977であるよう
に、HSV−1の730塩基mRNA開始コドンの位置は2032〜20
34に示されている。
再び第13図において、HSV−2の図示された誘導配列
をHSV−1のgC遺伝子領域のDNA配列(59)と比較する
と、これら二つの断片間の全体的な配列相同性は約68%
であつた。然しながら配列のある一定の領域を見ると、
配列相同性の程度は他に比較してはるかに高いか、また
は低かつた。例えば、HSV−1とHSV−2の0〜570位の
配列は僅かに51%の相同性しか示さないが、570〜1740
位の領域は、遥かに高い配列相同性を示した(80%)。
もう一つの相同性の高い領域(70%)は二つの配列の終
りの1975位〜2419位に見出された。ヌクレオチド配列の
変化に加えて、二つのゲノムを相互に比較すると、種々
の欠失または挿入が見られた。最も顕著なのはHSV−1 g
C配列の346〜426の位置に見られる81塩基対の領域が、H
SV−2ゲノムでは失われていることであつた。この全体
的な配列比較から、ここに配列決定を行なつたHSV−1gC
領域とHSV−2領域との間には高度の配列相同性がある
ことが示された。
Frinkら(59)は、HSV−1 gCを暗号化している2,520
塩基mRNAの5´−末端が、第13図の43位の下線を引いた
A残基にマツプ(配置)することを発見した。更に、彼
らは、この残基の約22塩基対(5´)にATに富んだ“TA
TA"ボツクス(60)を指摘している。第13図に示した二
つの配列を比較すると、HSV−1とHSV−2の配列は共に
この領域に同一の配列、CGGGTATAAAを含んでいることを
示している。この配列は、これまで決定された多くのHS
V−1およびHSV−2配列中の“TATA"ボツクス領域に存
在することが見い出されている先のWhittonらの報告(6
1)の配列と一致する。この保存配列に続いて、両ウイ
ルスゲノムともGに富んだ領域がある。この推定上の転
写コントロール領域のほかに、第2の“TATA"ボツクス
が第13図の二つの配列の1845〜1849の位置に見出され
た。この第2の“TATA"ボツクスはHSV−1ゲノムにおい
て730塩基mRNAの転写をコントロールするものと推定さ
れている(59)。HSV−1とHSV−2は共にこの配列を含
んでおり、それは第一の“TATA"ボツクスの前にあるCGG
G配列と類似したCGGGCG配列を含むGCに富んだフランキ
ング配列に囲まれている。更に両ゲノムとも、この第2
の“TATA"ボツクスの3´にオープンリーデイングフレ
ームを暗号化しており、これについては後に論じる。
前述した81塩基対の欠失がHSV−2ゲノムに実際に見
出されるのか、或いはクローニングまたは配列決定の実
験中に起こる人為的なものなのかどうかを決定するため
に、HSV−2ゲノムDNAおよびクローンしたHSV−2DNAの
サザーンブロツテイング解析を実施した。失われた81塩
基対の領域にまたがるSac2断片(第12図の断片参照)か
32P−標識プローブを調製した。もしHSV−2ゲノムDN
Aが81塩基対の領域を欠失しているならば、この領域に
またがるSma1−BgIII断片は576塩基対となり、Sma1断片
は662塩基となり、Sac2断片は195塩基対となるであろ
う。
第14図は、HSV−2ゲノムDNAとpgC2Sal 2.9DNAのサザ
ーンブロツテイング解析を示す。第13図に示したHSV−
2配列中、脱落している81塩基対領域にまたがる領域
(HSV−2の346〜426の位置)を、欠失領域に重なり合
う第12図の星印で示したSac2断片を使用して解析した。
1〜3列はHSV−2ゲノムDNAの制限消化物であり、4〜
6列はpgC2Sal 2.9の制限酵素消化物である。消化され
たDNAは1.5%アガロースゲルで電気泳動し、変性し、ニ
トロセルロースにブロツトし、32P−標識Sac2断片でプ
ローブした。(矢印は、フアージλDNAの564塩基対のHi
ndIII断片の位置を示す)。1列および6列目;Sma1+Bg
l2:2列および5列目;Sma1:3列および4列目;Sac2。
第14図に示された結果から、予測した制限部位がHSV
−2ゲノムDNAおよびクローンしたHSV−2DNAの双方にお
いて、81塩基対を欠失している領域を囲んでいることが
明らかになつた。更に、HSV−2ゲノム断片およびクロ
ーンした断片は正確に伴移動(コマイグレート)してお
り、欠失がクローニングまたは配列決定における手技に
よつて人為的に起こつたものでないことがわかつた。
HSV−2の2.9kbSal1断片に含まれる主要なオープンリー
デイングフレームの解析 HSV−2の2.9kbSal1断片に含まれている潜在的暗号化
配列を解析し、第13図に示したHSV−2配列の199〜201
の位置に暗号化されているメチオニンから始まり、この
図のHSV−2配列の1735〜1737の位置のTAA停止コドンに
終る479個のアミノ酸から成るオープンリーデイングフ
レームを明らかにした。第13図から判るように、HSV−1
gCタンパク質とHSV−2オープンリーデイングフレーム
は、共に二つの配列の、“TATA"ボツクス相同に対して
ほぼ同じ位置から開始する。更に、最初この領域に存在
するHSV−2オープンリーデイングフレームはHSV−1gC
遺伝子の前の12コドンで終ると考えられていたが、HSV
−1F株のgC遺伝子配列のカルボキシル末端領域の配列を
再決定することにより(M.Jackson、未発表)、Frinkら
(59)によつて報告された配列は1727の位置の後のチミ
ジンヌクレオチドを見落としていたこと、およびこの残
基を挿入すると、翻訳したHSV−1gCタンパク質はHSV−
2オープンリーデイングフレームと同じ場所(第13図の
1735〜1737)で終了する翻訳されたHSV−1gC蛋白質とな
ることが明らかになつた。このようにして、種々の欠失
および挿入を考慮すると、第13図に示したように、HSV
−1 gC遺伝子とHSV−2のオープンリーデイングフレー
ムは非常に高度の重なりを示す。
第15図は、HSV−2の大−オープンリーデイングフレ
ームの翻訳と、HSV−1 gCアミノ酸配列との比較を示
す。アミノ酸は1文字略号法を使用して表わした。HSV
−1 gCはHSV−1 gC配列を意味し、HSV−2 gFはHSV−2
オープンリーデイングフレーム配列を意味する。タンパ
ク質はHOMプログラムを使用して比較し、間隙の場所
は、所望により相同体を最大化して挿入した。相同でな
いアミノ酸の上に星印を付した。N−結合糖タンパク質
と推定される部位(NXSまたはNXT)(62)には陰影を付
け、システイン残基(C)は枠で囲んだ。空間部分(ス
ペース)を除き、アミノ酸だけに番号を付けた。図15B
は、2番目のHSV−2オープンリーデイングフレームの
翻訳およびHSV−1730塩基mRNAタンパク質との比較を示
す。730 ORF HSV−2は、第13図に示したHSV−2配列の
1975〜2406の位置から誘導された第2のHSV−2オープ
ンリーデイングフレームの不完全アミノ酸配列である。
730 ORF HSV−1は、HSV−1の730塩基mRNA(59)によ
つて暗号化されたタンパク質へ誘導するアミノ酸配列で
ある。第4A図および第4B図のいずれにおいても、電荷に
関して保守(コンサーブ)されているアミノ酸変化には
(C)印を、電荷に関して保守(コンサーブ)されてい
ない変化には(N)印を付けた。
第15図には、HSV−1 gC遺伝子と479アミノ酸HSV−2
オープンリーデイングフレーム間の高度の配列相同性を
図示している。最初の19個のアミノ酸は、電荷に関して
すべて保守的コンサーバテイブ)である最初の25個のア
ミノ酸の変化を伴ない、約80%の配列相同性を含んでい
る。HSV−1 gCの124番目の残基(HSV−2配列の90番目
の残基)から両タンパク質の末端までは、電荷に関して
保守的(コンサーバテイブ)である75%のアミノ酸変化
を伴なう約74%の配列相同性がある。N−連結糖付加が
推定される5ケ所の部位(NXSまたはNXT(62))は、両
タンパク質間で保守(コンサーブ)され、7個のシステ
イン残基はすべてC末端に対し相同的な位置に局在して
いる。タンパク質のカルボキシル末端基の3/4における
全般的な配列の保守性(コンサーベーシヨン)に加え
て、20残基の長さにわたる大きい領域のアミノ酸配列の
偶発的な相同性もある(即ち、HSV−1の385〜405の位
置の配列とHSV−2の352〜372の位置の配列)。この配
列の比較から、HSV−2ゲノムのこの領域のオープンリ
ーデイングフレームは、HSV−1gCと相同なタンパク質を
暗号化されていると結論して良い。
この領域に暗号化されているHSV−2タンパク質はHSV
−1 gC配列と著しい配列相同性を示しているが、一方、
二つの配列間には数ケ所の注目すべき差異がある。最も
際立つた差異は、HSV−1gC配列における50〜76残基から
見出される27個のアミノ酸がHSV−2配列に欠失してい
る(第15図)ことであり、これは先に記述した81塩基対
の欠失に対応する。この大きい欠失のほかに、両配列に
は1個または2個のアミノ酸から成る短かい欠失が見ら
れる。これらの欠失のすべてはタンパク質のアミノ末端
領域に見出される。これらの欠失のほかに、HSV−1 gC
配列の29〜123残基の間(HSV−2配列の31〜90残基)に
頻発するタンパク質のアミノ末端領域には多くのアミノ
酸の変異がある。この領域ではアミノ酸の30%だけが相
同性であり、この相同の多くは保守(コンサーブ)され
たプロリン残基に起因している。この領域に見出される
アミノ酸置換の43%は電荷に関して非保守的(ノンコン
サーバテイブ)である。そのような多数の変異を示す唯
一の他の領域はカルボキシル末端疎水性領域(HSV−1
配列の476〜496残基およびHSV−2配列の443〜463残
基)であり、そこではタンパク質の55%が相同性である
が、すべての変化が保守(コンサーブ)され、荷電され
ず、疎水性のアミノ酸であり、また該タンパク質のカル
ボキシル末端では配列の僅か25%だけが相同であるが、
全般的なアミノ酸の構成は相似している(HSV−1の500
〜512残基およびHSV−2の467〜479残基)。二つのタン
パク質間には5ケ所のN−結合糖付加推定部位が保守
(コンサーブ)されているが、一方HSV−gC配列はHSV−
2配列より2ケ所含んでいる部位が多い(総計9:7)。H
SV−1 gC配列には、HSV−2部位からは欠失している27
個のアミノ酸中に2ケ所のN−結合糖付加部位と、第15
図の109〜112残基間に1対の重複している部位が含まれ
ている。HSV−2配列はHSV−1配列には見られない2ケ
所のN−結合糖付加部位を含んでおり、その1個はアミ
ノ末端領域の近くにある。
HSV−1配列とHSV−2配列間に起こり得る構造上の相
同性を一層充分に吟味するために、ヒドロパシー解析を
実施した(31a)。第6図に、HSV−1 gCタンパク質とHS
V−2主−オープンリーデイングタンパク質のヒドロパ
シー解析を図示する。各タンパク質のヒドロパシーはHo
ppおよびWoods(31a)のプログラムを使用して測定し
た。中央線より上方は疎水性領域、中央線より下方は親
水性領域である。12個ずつのアミノ酸を解析し、その平
均ヒドロパシー値を計算した。アスパラギン−連結糖付
加推定部位(62)を(O)印で示した。gC−1:HSV−1 g
Cタンパク質ヒドロパシー。gC−2(gF):HSV−2主−
オープンリーデイングフレームヒドロパシー。
両タンパク質が、アミノ酸配列の親水性と疎水性の性
質に基づいた極度の構造上の相同性を示すことを第16図
に示す。各図において、N−末端疎水性領域の後には親
水性のアミノ酸鎖が続いており、それぞれ総計9個のう
ち6個(HSV−1)または総計7個のうち3個(HSV−
2)のN−連結糖付加推定部位を含んでいることを示し
ている。この親水性領域に続くピークと谷は、最後のN
−結合糖付加部位を含む親水性領域を含めて両タンパク
質とも非常に相似している。両タンパク質のカルボキシ
ル末端領域は非常に疎水性の20残基領域を示し、その後
にカルボキシル末端領域が続いている。HSV−1 gCにだ
け見出される27個の近接するアミノ酸は50〜76残基間に
比較的親水性の領域を暗号化されているようである(第
16図)。以上結論すると、この解析によつてHSV−1 gC
とHSV−2タンパク質の両者のヒドロパシー像は非常に
相似しており、これらタンパク質の最低に保守(コンサ
ーブ)されたアミノ末端両域は高度に糖付加を受ける電
位を有する親水性領域に見出されることが明らかにされ
た。
第2HSV−2オープンリーデイングフレームの解析 第2図に示したHSV−2配列の最終431塩基対(1975〜
2406残基)の翻訳によつて105アミノ酸から成る第2オ
ープンリーデイングフレームが明らかに成つた。ここに
報告する配列情報は、HSV−2第2オープンリーデイン
グフレームの全部を十分に把握しているわけではない
が、この配列をFrinkら(10)が報告したHSV−1の730
塩基mRNAにより暗号化されたオープンリーデイングフレ
ームと比較すると、この場合もまた高度の相同性を示し
ている。第4B図で明らかなように、二つの配列は重なり
合う領域では75%の配列相同性を示し、またそのアミノ
酸変異の約90%は電荷に関して保守的(コンサーバテイ
ブ)である。二つの配列の主な差異は、HSV−2に見ら
れる19アミノ酸N−末端領域がHSV−1配列には見出さ
れない点である。従つてこの領域に暗号化されている機
能は不明であるが、HSV−1とHSV−1から得られるタン
パク質はかなりの配列相同性を示している。
考察 上記の結果は、HSV−2ゲノムが共直線的に配置して
いるHSV−1糖タンパク質Cの同族体を暗号化されてい
ることを証明している。ここに見出された配列の共直線
性は、HSV−1の730塩基対mRNAの同族体(10)を明らか
に暗号化されているHSV−2の主−オープンリーデイン
グフレームの3´配列の発見によつて強化される。HSV
−2 gF遺伝子の以前の地図作成(33)は、ここに記載し
た数ケ所の潜在性のN−結合糖付加部位と、明らかなア
ミノ末端シグナル配列(5)、および推定カルボキシル
末端膜透過領域(28)を包含するHSV−2ゲノムの主−
オープンリーデイングフレームの性質の双方によつて、
ここに記載したHSV−2タンパク質は糖タンパク質gFで
あると結論される。更に、翻訳されたHSV−2タンパク
質の大きさ(〜52,000ダルトン)は、エンドグリコシダ
ーゼHで処理したHSV−2 gFの天然の大きさとして報告
されている値(54,000ダルトン)と近似している。最後
に、広範囲にわたるアミノ酸配列の相同性と、数ケ所の
潜在性N−結合糖付加部位および7個のシステイン残基
すべてのコンサーベーシヨン(保存性)はHSV−1 gCとH
SV−2 gF間の構造的相動性を示している。
これらの結果は、HSV−2 gFとHSV−1 gCは主として型
特異性であるが、それらは型共通性の決定基を有してい
ることを証明した以前の成績(17、22d、22f、43)を説
明することを助ける。2,3の以前の研究(17、18、43)
で、これらのタンパク質が型特異性抗体を優勢に誘導す
ることを証明しているので、大部分のタンパク質抗原領
域が推定疎水性シグナル配列に続く、より分岐したN−
末端配列の中に見出されるのは理屈にあつている。分岐
領域の潜在性のN−結合糖負荷部位の高い含量と共に、
その親水性の性質(62)から、これらの領域がタンパク
質表面に位置することが示唆される。これらの分岐配列
がタンパク質の外側へ暴露していることは、これらの分
岐抗原決定基(エピトープ)に対する型特異性抗体の生
成に対する役割りを果しているのかも知れない。然し、
gCとgFの間で保守(コンサーブ)されている親水性領域
がタンパク質の外側へ暴露することができ、1例におい
て糖付加されている(HSV−1 gCの363〜366残基およびH
SV−2 gFの330〜332残基)ことがあり得るので、型共通
性抗体もタンパク質の3/4のより高度に保守(コンサー
ブ)されているカルボキシル末端によつて生成される可
能性がある。このように、HSV−1 gCとHSV−2 gFは型特
異性および型共通性決定基の双方を共有しているが、型
特異性決定基の方がより抗原性であるようである。
gCとgFの型特異性および型共通決定基の説明は知られ
ていないが、タンパク質には少なくとも二つの機能、即
ち、その一つは両ウイルスの生存率に重要である型共通
性領域、またその一つは各ウイルスの型に特異的である
型特異性領域である。gCおよびgFの機能は現在のところ
不明であり、生存し得るgCマイナスのHSV−1突然変異
株がインビトロで分離されているが(65)、ヒト宿主の
インビボ感染期間および潜伏確立期間において、gCまた
はgFのいずれが必要不可欠であるのかは明らかでない。
HSV−1およびHSV−2の間で、感染部位の偏好性と毒性
の強さを含む生物学的な差異の少なくとも幾つかはgCと
gFのアミノ末端領域間の著しい構造的差異に由来するで
あろうことは考えられる。例えこれらタンパク質の機能
的な知識が全くなくても、異なつた選択圧がgCおよびgF
の分岐領域と保守(コンサーブ)領域に作用するに違い
ないと結論しても良かろう。
HSV−1およびHSV−2のgD遺伝子の配列に関する以前
の比較(58)で、アミノ末端シグナル配列(63)とカル
ボキシル末端膜透過領域(64)は、置換アミノ酸が疎水
性である限り多数の突然変異に耐容し得ることを証明し
た。gCおよびgFの配列比較により、gCの479〜496残基と
gFの443〜463残基からカルボキシル末端、推定膜透過領
域(64)で同様の知見が示された。この領域における多
くの非対応性疎水性置換体は、gDの場合のように、脂溶
性であるアミノ酸ならばこの領域に耐容できることが示
唆される。然しながら、gDとは対照的にgCとgFのアミノ
末端シグナル配列は最初の19残基で高度に相同である。
このようにこの領域は、糖タンパク質を粗面小胞体へ指
向させる以外に重要な保守(コンサーブ)された機能を
持つか(5)、或いは保守されねばならないゲノムのこ
の領域に、重複する遺伝子または他の機能的な配列があ
る(66)かである。
完全な比較をするにはHSV−2配列が不充分である
が、HSV−1 gC mRNA転写開始への5´領域は、HSV−1
およびHSV−2ゲノムの双方とも同じCGGGTATAA配列を示
す。更に、両配列とも、それに続いて転写開始の直前の
Gに富んだ領域がある。このように、HSV−1およびHSV
−2のgD遺伝子で以前に発見されたように、二つのウイ
ルス型間の上流配列に相同性が存在しており、このこと
はこれらの領域がこれら遺伝子の転写調節に関与してい
る可能性を示唆している。両ウイルスゲノムに見出さ
れ、多分730塩基mRNAの転写をコントロールしていると
思われる(59,60)“TATA"ボツクス相同性も、HSV−1
とHSV−2における比較的高度な配列相同性を示してい
るのは興味深い。第13図に示したように、この“TATA"
ボツクスの前にあるCGに富んだ配列が来るが、これは第
一の“TATA"領域の前にある配列と相似しているが、全
く同一ではなく、それらの後にいずれも〜80%の配列相
同性を示す14塩基対の領域が続く。全般的な配列相同性
は〜75%であるのに対し、この領域を囲む全領域の相同
性は僅かに33塩基対である。もしこの領域が730塩基mRN
Aの転写調節に関与するならば、転写調節因子による認
識には比較的短かい配列で充分であるようである。
結果からHSV−1 gCとHSV−2 gF糖タンパク質は高度に
相同的であり、それらが型共通性および型特異性領域を
暗号化されていることを証明した。二つのタンパク質が
有意な配列相同性を示し、また明らかに共直線的に配置
されているので、本発明人らはHSV−2 gFをHSV−2 gCま
たはgC−2と命名し直すというZeznlakおよびSpear(22
d)の提案を支持する。また、ここに報告した配列決定
データは、インビトロでgC−1とgC−2タンパク質間の
種々の型特異性領域を交換することによる二つのタンパ
ク質の機能的解析と、キメラ様配列をヒト細胞に発現す
ること(67)またはこれらの領域をウイルスへ再編入す
る(68)道を開いた。
クローンしたgC−2糖タンパク質は実施例1に開示し
たのと同様の方法で発現し、ワクチンに形成されると確
信する。
更に、そのような組み換えgCおよびgD糖タンパク質の
混合物から成るワクチンは、いずれの糖タンパク質単独
から成るワクチンより、HSV−1およびHSV−2に対して
有意に一層効果的であることを確信する。
以下に参考図書、および本明細書中に、その都度文字
および数字でそれぞれ付加的に引用した参考文献を挙げ
る。
1.Emtage,et al.,Nature 283,171(1980);Davis,et a
l.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)78,5376(1981);Weila
nd,et al.,Nature 292,851(1981). 2.Kupper,et al.,Nature 289,555(1981);Kleid,et a
l.,Science 214,1125(1981). 3.Charnay,et al.,Nucleic Acids Research 7,335(197
9);Valenzuela,et al.,Nature 298,347(1982). 4.Rose,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)78,6670(1
981). 5.Yelverton,et al.,Science 219,614(1983). 6.Watson,et al.,Science 218,381(1982). 7.Gething,et al.,Nature 293,620(1981);Liu,et a
l.,DNA 1,213(1982);Goodenow,et al.,Science 215,6
77(1982);Goodenow,et al.,Nature 300,231(1982);
Crowley,et al.,Molec.and Cell.Biol.3,44(1983). 8.Rose,et al.,Cell 30,753(1982). 9.Spear,P.G.,(1980),Herpesviruses,p709−750,in
H.A.Blough and J.M.Tiffaney(ed).,Cell Membranes
and Viral Envelopes,Vol.2.,Academic Press,Inc.,New
York. 10.Balachandran,et al.,J.Virol.44,344(1982). 11.Norrild,Curr.Top.Microbiol Immunol.90,67(198
0). 12.Roizman,Cell 16,481(1979). 13.Baucke,et al.,J.Virol.32,779(1979). 14.Cohen,et al.,J.Virol.27,172. 15.Eberle,et al.,J.Virol.36,665(1980). 16.Norrild,et al.,J.Virol.26,712(1978). 17.Powell,et al.,Nature 249,360(1974). 18.Eberle,et al.,Infect.Immun.31,1062(1981). 19.Pereira,et al.,Infect.Immun.29,724. 20.Sim,C.,et al.,J.Gen.Virol.19,217(1973). 21.Showalter,et al.,Infect.Immun.34,684(1981). 22a.Eisenberg,et al.,J.Virol.41,1099. 22b.Balachandran,et al.,J.Virol.39,438(1981). 22c.Para,et al.,J.Virol.41,137(1982). 22d.Zezulak,et al.,J.Virol.47,553(1983). 22f.Zweig,et al.,J.Virol.47,185(1983). 23.Anderson,et al.,J.Virol.30,805(1979). 24.Lee,et al.,J.Virol.43,41(1982).25.Murray,et a
l.,Mol.Genet.150,53(1977). 26.Benton,et al.,Science 196,180(1977). 27.Southern,J.Mol.Biol.98,503(1975). 28.Vieira,et al.,Gene 19,259(1982). 29.Messing,et al.,Nuc.Acid.Res.9,309(1981). 30.Sanger,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)74,5436
(1977). 31.Atlas of Protein Sequence and Structure V.5,Sup
plement 2,1976,M.O.Dayhoff,ed.,The Biochemical Res
earch Foundation,Spring,Maryland,p.311. 31a.Hopp,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)78,3824
(1981). 32.Watson,et al.,Nucl.Acid.Res.11,1507(1983). 33.Blobel,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)77,1746(198
0). 34.Rose,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)77,3884
(1980). 35.Ruyechan,et al.,J.Virol.29,677(1979);Roizman,
Cell 26,481(1979). 36.Simonsen,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)80,24
95(1983). 37.Lusky,et al.,Nature 293,79(1981). 38.Nunberg,et al.,Cell 19,355(1980). 39.Urlaub,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)77,4216
(1980). 40.Graham,et al.,Virol.52,456(1973). 40a.Kessler,J.Immuno.115,1617(1975). 41.Showalter,et al.,Infect.and Immun.34,684(198
1);モノクローナル抗−gD抗体、1−Sおよび55−S
は、Dr.Martin Zweig(Laboratory of Molecular Oncol
ogy,National Cancer Institute,Frederick,Maryland 2
1701)により提供された。
42.Cohen,et al.,J.Virol.36,429(1980). 43.Pereira,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)78,520
2(1981). 44.Cohen,et al.,J.Virol.27,172(1978). 45.Laemmli,Nature 227,680(1970). 46.Honess,et al.,J.Virol.161308(1975). 47.Spear,J.Virol.17,991(1976). 48.Campadelli−Fiume,et al.,J.Virol.43,1061(198
2);Johnson,et al.,Cell 32,987(1983);Cohen,et a
l.,J.Virol.46,679(1983). 49.Bloch,J.Cell.Biol.82,629(1979). 50.血球凝集反応阻止および補体結合反応により、HSV−
1およびHSV−2に対して力価測定を行なつたヒトヘル
ペス血清は、Dr.John A.Stewart of the Centers for D
isease Control,Atlanta,Georgiaから提供された。
51.Rector,et al.,Infect.and Immun.38,168(1982). 52.Kennett,in Monoclonal Antibodies,K.Kerrett,T.Mc
kearn,and B.Bechtel,eds.(Plenum Press,N.Y.,198
0),pp.376−377. 53.Fiers,et al.,Nature 273,113(1978);Gluzman,Cel
l 23,275(1981). 54.Lee,et al.,Nature 294,228(1981);Kaufman,et a
l.,Mol.and Cell.Biol.2,1304(1983);Kaufman,et a
l.,J.Mol.Biol.159,601(1982). 55.Kleid,et al.,Science 214,1125(1981). 56.Maxam,et al.,Methods Enzymol.65,499(1980). 57.Dayhoff,M.,Ed.Atlas of Protein Sequence and Str
ucture,Vol.5,Supplement 2,National Biochemical Res
earch Foundation,Silver Spring,Maryland,p.311(197
6). 58.Lasky,et al.,DNA,印刷中(1984). 59.Frink,et al.,J.Virol.45,634(1983). 60.Mcknight,et al.,Science 217,316(1982). 61.Whitton,et al.,Nucl.Acids Res.18,6271(1983). 62.Hubbard,et al.,Ann.Rev.Biochem.50,555(1981). 63.Blobel,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77,1491(1980). 64.Sabatini,et al.,J.Cell.Biol.92,1(1982). 65.Cassai,et al.,Intervirology 6,212(1975). 66.Hall,et al.,J.Virol.43,594(1982).
【図面の簡単な説明】
第1図はHSV−1およびHSV−2 gD遺伝子およびその周囲
の非翻訳領域のDNA配列とその推定されるアミノ酸配列
を示す模式図、第2図はHSV−1およびHSV−2タンパク
質からのgDタンパク質のヒドロパシー解析を示すグラ
フ、第3図は膜結合型のHSV−1糖タンパク質Dの発現
のために組立てられたpgD−dhfrプラスミドの模式図、
第4図はHSVに対するヒト抗体でgD12細胞を標識した結
果を示す位相差顕微鏡写真の模写図(A)および螢光顕
微鏡写真の模写図(B)第5図はgD12細胞系からのクロ
ーンされたgDおよびHSV−1に感染させたヒトの細胞か
ら得られた天然のgDの放射免疫沈降を撮影した写真の模
写図、第6図はgD12細胞および親のCHO細胞系に対する
ヒト抗HSV抗体の結合度を示すグラフ、第7図はHSV−1g
Dタンパク質の模式図、第8図は分泌型のHSV−1 gDタン
パク質のための発現プラスミドpgDtruncdhfrの組立てを
示す模式図、第9図はgD10.2細胞系からの放射免疫沈降
を撮影した写真の模写図、第10図は増幅前後のgD10.2細
胞系からの放射免疫沈降を撮影した写真の模写図、第11
図はMtxで増幅したgD10.2細胞系で達成された増幅度を
示すグラフ、第12図はDNA配列解析を行なつたpgC2Sal
2.9の断片を示す模式図、第13図はpgC2Sal 2.9から誘導
されたDNA配列とHSV−1 gC領域のDNA配列の比較を示す
模式図、第14図はHSV−2ゲノムDNAとpgC2Sal 2.9DNAの
サザーンブロツテイング解析の結果を撮影した写真の模
写図、第15図はHSV−2のラージオープンリーデイング
フレームの翻訳とHSV−1 gCのアミノ酸配列の比較を示
す模式図、第16図はHSV−1 gCタンパク質とHSV−2のメ
ジヤー・オープンリーデイングフレームタンパク質のヒ
ドロパシー解析結果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ローレンス・アラン・ラスキー アメリカ合衆国カリフオルニア州94116、 サン・フランシスコ、パチエコ・ストリ ート 795番 (56)参考文献 特開 昭57−39784(JP,A) Science,218(1982)P.381 −384 Nature,302(1983)P.72− 74

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単純ヘルペスウイルス1型又は2型病原体
    に対して有効なワクチンであって、該ワクチンは、該病
    原体によるインビボ系における攻撃に対抗して中和抗体
    を産生し得る露出した抗原決定基を持った膜結合性ポリ
    ペプチドを含有するものであり、該ポリペプチドはそれ
    を産生し得る安定な哺乳動物の連続した組換え体細胞系
    の膜と機能的に結合しており、該ポリペプチドはヘルペ
    ス単純ウイルス1型又は2型のgD糖タンパク質を含有す
    るものであるワクチン。
  2. 【請求項2】該ポリペプチドが、ヘルペス単純ウイルス
    1型又は2型のgD糖タンパク質のみからなることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項に記載のワクチン。
  3. 【請求項3】単純ヘルペスウイルス1型又は2型病原体
    に対して有効なワクチンであって、該ワクチンは、該病
    原体によるインビボ系における攻撃に対抗して中和抗体
    を産生し得る露出した抗原決定基を持った膜不含ポリペ
    プチドを含有し、該ポリペプチドは、安定な哺乳動物の
    連続した組換え体細胞系において産生され、該ポリペプ
    チドは、全長の、又はC−末端側の先端を切断されて膜
    結合領域を欠くヘルペス単純ウイルス1型又は2型のgD
    糖タンパク質を含有するワクチン。
  4. 【請求項4】C−末端側の先端を切断されて膜結合領域
    を欠く膜不含ポリペプチドを含有する特許請求の範囲第
    3項に記載のワクチン。
  5. 【請求項5】該ポリペプチドが、ヘルペス単純ウイルス
    1型又は2型のgD糖タンパク質のみから成ることを特徴
    とする特許請求の範囲第3項に記載のワクチン。
  6. 【請求項6】C−末端側の先端を切断されて膜結合領域
    を欠く膜不含ポリペプチドが、アミノ酸残基約300まで
    のgDポリペプチドのN−末端領域を含有する特許請求の
    範囲第4項に記載のワクチン。
  7. 【請求項7】単純ヘルペスウイルス1型又は2型病原体
    によるインビボ系における攻撃に対抗して中和抗体を産
    生し得る露出した抗原決定基を持った膜不含ポリペプチ
    ドを含有し、かつ全長の又はC−末端側の先端を切断さ
    れて膜結合領域を欠くヘルペス単純ウイルス1型又は2
    型のgD糖タンパク質を含有する、単純ヘルペスウイルス
    1型又は2型病原体に対して有効なワクチンの製造方法
    であって、該全長の又はC−末端側の先端を切断された
    ポリペプチドをコードしているDNAを調製し、該調製さ
    れたDNAを、機能的発現ベクターに挿入し、該ベクター
    を用いて哺乳動物の連続した宿主細胞系を安定にトラン
    スフェクトし、分泌生産物として該ポリペプチドを採取
    し、該ポリペプチドをワクチンの形態にすることを特徴
    とするワクチンを製造する方法。
  8. 【請求項8】該DNAが、C−末端側の先端を切断されて
    膜結合領域を欠く膜不含ポリペプチドをコードしている
    特許請求の範囲第7項に記載の方法。
  9. 【請求項9】該DNAが、膜結合領域をコードしている配
    列を欠いて調製される該ポリペプチドをコードしている
    特許請求の範囲第7項又は第8項に記載の方法。
  10. 【請求項10】該細胞系が、dhfr生産性を欠失したCHO
    細胞系であり、該ベクターがdhfr選択マーカーを含んで
    いる特許請求の範囲第7項〜第9項のいずれかに記載の
    方法。
JP59183623A 1983-08-30 1984-08-30 膜結合性タンパク質を含有するワクチン類 Expired - Lifetime JP2599350B2 (ja)

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US52791783A 1983-08-30 1983-08-30
US527917 1983-08-30
US54755183A 1983-10-31 1983-10-31
US547551 1983-10-31
US58817084A 1984-03-09 1984-03-09
US588170 1984-03-09

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7222311A Division JPH08253428A (ja) 1983-08-30 1995-08-30 膜結合性タンパク質を含有するワクチン類

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS60155128A JPS60155128A (ja) 1985-08-15
JP2599350B2 true JP2599350B2 (ja) 1997-04-09

Family

ID=27414978

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP59183623A Expired - Lifetime JP2599350B2 (ja) 1983-08-30 1984-08-30 膜結合性タンパク質を含有するワクチン類
JP7222311A Pending JPH08253428A (ja) 1983-08-30 1995-08-30 膜結合性タンパク質を含有するワクチン類

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7222311A Pending JPH08253428A (ja) 1983-08-30 1995-08-30 膜結合性タンパク質を含有するワクチン類

Country Status (13)

Country Link
US (1) US5851533A (ja)
EP (1) EP0139417B2 (ja)
JP (2) JP2599350B2 (ja)
AU (1) AU579323B2 (ja)
CA (1) CA1341181C (ja)
DE (1) DE3479085D1 (ja)
DK (2) DK172694B1 (ja)
ES (2) ES8605039A1 (ja)
GR (1) GR80220B (ja)
HK (1) HK98792A (ja)
IE (1) IE58030B1 (ja)
IL (1) IL72785A (ja)
NZ (1) NZ209308A (ja)

Families Citing this family (43)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3228501A1 (de) * 1982-07-30 1984-02-02 Behringwerke Ag, 3550 Marburg Verfahren zur herstellung eines herpes-antigens, dazu geeignetes mittel sowie verfahren zu seiner herstellung und die verwendung dieses antigens
NZ209307A (en) * 1983-08-30 1990-07-26 Genentech Inc Diagnostic product: antigenic peptide produced by recombinant dna techniques
NZ209308A (en) * 1983-08-30 1991-08-27 Genentech Inc Vaccine against hsv involving a truncated membrane-free derivative of a membrane-bound protein
US5612041A (en) * 1984-07-17 1997-03-18 Chiron Corporation Recombinant herpes simplex gD vaccine
US5853978A (en) * 1985-12-04 1998-12-29 Genentech, Inc. Molecularly cloned acquired immunodeficiency syndrome polypeptides and methods of use
US6534285B1 (en) 1984-12-24 2003-03-18 Genentech, Inc. Molecularly cloned acquired immunodeficiency syndrome polypeptides and their methods of use
CA1331355C (en) * 1986-04-21 1994-08-09 Bioenterprises Pty. Ltd Immunopotentation
GR862472B (en) * 1986-09-30 1986-10-09 Elliniko Institouto Paster Determination of antibodies specific of hsv-1 herpes or hsv-2 in human serum with the elisa technic using the specific antigen of hsv-1 or hsv-2 type in semi - clean form
IE81149B1 (en) 1987-02-12 2000-05-03 Genentech Inc Methods and deoxyribonucleic acid for the preparation of tissue factor protein
US5976839A (en) * 1987-03-13 1999-11-02 Bioenterprises Pty Limited Immunopotentiation through covalent linkage between immunogen and immunopotentiating molecules
EP0471778A1 (en) * 1989-05-12 1992-02-26 Ciba Corning Diagnostics Corp. Herpes simplex virus type 2-glycoprotein g proteins and polypeptides
EP0483281A4 (en) * 1989-07-31 1992-08-12 Basil Rapaport Recombinant human thyroid peroxidase
EP0541692B1 (en) * 1990-08-02 1999-05-06 Chiron Corporation Herpes simplex virus vp16 vaccines
GB9105992D0 (en) * 1991-03-21 1991-05-08 Smithkline Beecham Biolog Vaccine
AU2555792A (en) * 1991-08-28 1993-04-05 Nichols Institute Diagnostics Disease associated human autoantibodies specific for human thyroid peroxidase
ES2143716T3 (es) 1992-06-25 2000-05-16 Smithkline Beecham Biolog Composicion de vacuna que contiene adyuvantes.
US7098025B1 (en) 1997-07-25 2006-08-29 Ligand Pharmaceuticals Incorporated Human peroxisome proliferator activated receptor gamma (pparγ) gene regulatory sequences and uses therefor
US6692752B1 (en) 1999-09-08 2004-02-17 Smithkline Beecham Biologicals S.A. Methods of treating human females susceptible to HSV infection
AU2001286407A1 (en) * 2000-08-01 2002-03-04 University Of Pittsburgh Of The Commonwealth System Of Higher Education Antiviral compounds derived from the hsv gd protein and methods
MXPA04000653A (es) 2001-07-27 2004-11-22 Chiron Srl Adhesinas de meningococcus nada, app y orf 40.
JP2004099584A (ja) * 2002-05-02 2004-04-02 Keio Gijuku Hsvを用いた抗腫瘍剤
AU2004274430A1 (en) 2003-09-12 2005-03-31 Antigenics, Inc. Vaccine for treatment and prevention of herpes simplex virus infection
BRPI0518284A2 (pt) 2004-11-24 2008-11-11 Shell Int Research aparelhos para separar substancialmente um fluxo em duas fases em um componente gasoso e um componente lÍquido, para separar substancialmente um fluxo de mistura em um componente lÍquido e pelo menos outro componente lÍquido e um componente gasoso e para separar substancialmente um fluxo de mistura em partes componentes com base nas densidades das partes componentes, sistema para separar substancialmente um fluxo de mistura em partes componentes, e, mÉtodos para separar substancialmente um fluxo tampço e para projetar um separador para separar substancialmente um fluxo tampço
US8865185B2 (en) 2006-09-08 2014-10-21 The Trustees Of The University Of Pennsylvania Methods of use for HSV-1 and HSV-2 vaccines
CA2663109A1 (en) 2006-09-08 2008-03-13 The Trustees Of The University Of Pennsylvania Hsv-1 and hsv-2 vaccines and methods of use thereof
US10478490B2 (en) 2006-12-28 2019-11-19 The Trustees Of The University Of Pennsylvania Herpes simplex virus combined subunit vaccines and methods of use thereof
JP6144448B2 (ja) * 2006-12-28 2017-06-07 ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア 単純ヘルペスウイルス複合サブユニットワクチンおよびその使用方法
GB0700562D0 (en) 2007-01-11 2007-02-21 Novartis Vaccines & Diagnostic Modified Saccharides
MY159500A (en) * 2009-05-22 2017-01-13 Genocea Biosciences Inc Vaccines against herpes simplex virus type 2: compositions and methods for eliciting an immune response
KR101523215B1 (ko) 2009-12-03 2015-05-27 노파르티스 아게 에멀션 미세 액화 및/또는 균질화 동안 성분들의 순환
BR112012013426B8 (pt) 2009-12-03 2021-05-25 Novartis Ag métodos para a fabricação de uma emulsão de óleo-em-água, para preparar uma composição de vacina e para preparar um kit de vacina
DE102009056884B4 (de) 2009-12-03 2021-03-18 Novartis Ag Impfstoff-Adjuvantien und verbesserte Verfahren zur Herstellung derselben
DE102009056883B4 (de) 2009-12-03 2012-08-16 Novartis Ag Impfstoff-Adjuvantien und verbesserte Verfahren zur Herstellung derselben
DE102009056871A1 (de) 2009-12-03 2011-06-22 Novartis AG, 4056 Impfstoff-Adjuvantien und verbesserte Verfahren zur Herstellung derselben
CN104688687A (zh) 2009-12-03 2015-06-10 诺华股份有限公司 疫苗佐剂制备中的亲水过滤
EA027142B1 (ru) 2010-05-12 2017-06-30 Новартис Аг Улучшенные способы получения сквалена
WO2012074881A2 (en) 2010-11-24 2012-06-07 Genocea Biosciences, Inc. Vaccines against herpes simplex virus type 2: compositions and methods for eliciting an immune response
WO2013078299A1 (en) 2011-11-23 2013-05-30 Genocea Biosciences, Inc. Nucleic acid vaccines against herpes simplex virus type 2: compositions and methods for eliciting an immune response
RS57420B1 (sr) 2012-05-16 2018-09-28 Immune Design Corp Vakcine za hsv-2
CN110938604B (zh) 2014-03-03 2024-04-05 阿尔伯特爱因斯坦医学院 重组单纯疱疹病毒2(hsv-2)疫苗载体
ES2721306T3 (es) 2014-12-02 2019-07-30 Novartis Ag Fabricación de composiciones que contienen tensioactivo
JP2019537555A (ja) 2016-09-28 2019-12-26 ジェノセア バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド ヘルペスを処置するための方法および組成物
AU2021302954A1 (en) 2020-06-30 2023-02-16 Seqirus UK Limited Cold filtration of oil-in-water emulsion adjuvants

Family Cites Families (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FI66020C (fi) * 1977-09-19 1984-08-10 Merck & Co Inc Foerfarande foer framstaellning av antigeniska immunogeniska subunits av hsv-1 och hsv-2
US4374127A (en) * 1977-09-19 1983-02-15 Merck & Co., Inc. Herpes sub unit vaccine
DE2949031A1 (de) * 1978-12-15 1980-07-17 Sandoz Ag Vakzine
FR2480780B1 (fr) * 1980-04-22 1985-12-06 Pasteur Institut Procede de transformation de cellules, notamment eucaryotes, par un adn circulaire tel que celui du virus de l'hepatite b et preparations contenant les produits d'expression desdits adn
EP0038765B1 (fr) * 1980-04-22 1987-09-02 Institut Pasteur Vaccin contre l'hépatite virale B, procédé et cellules eucaryotes transformées pour la production de ce vaccin
US4317811A (en) * 1980-09-11 1982-03-02 Merck & Co., Inc. Herpes simplex type 1 subunit vaccine
WO1982003088A1 (en) * 1981-03-09 1982-09-16 Corp Cetus Vaccines
EP0068693A3 (en) 1981-06-16 1983-07-20 Genentech, Inc. Production of foot and mouth disease vaccine from microbially expressed antigens
ZW18282A1 (en) * 1981-08-31 1983-03-23 Genentech Inc Preparation of polypeptides in vertebrate cell culture
US4442205A (en) * 1981-09-22 1984-04-10 The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services Simian virus recombinant that directs the synthesis of hepatitis B surface antigen
US4593002A (en) * 1982-01-11 1986-06-03 Salk Institute Biotechnology/Industrial Associates, Inc. Viruses with recombinant surface proteins
US4762708A (en) * 1982-02-18 1988-08-09 University Patents, Inc. Materials and methods for herpes simplex virus vaccination
AU1678783A (en) * 1982-07-20 1984-01-26 Molecular Genetics, Inc. Production of herpes simplex viral proteins
US4891315A (en) * 1982-10-25 1990-01-02 American Cyanamid Company Production of herpes simplex viral porteins
PT77014B (en) * 1982-07-20 1986-01-24 Molecular Genetics Inc Production of herpes simplex viral proteins
US4818694A (en) * 1982-07-20 1989-04-04 American Cyanamid Company Production of herpes simplex viral protein
DE3228501A1 (de) * 1982-07-30 1984-02-02 Behringwerke Ag, 3550 Marburg Verfahren zur herstellung eines herpes-antigens, dazu geeignetes mittel sowie verfahren zu seiner herstellung und die verwendung dieses antigens
DE3461928D1 (en) * 1983-06-23 1987-02-12 Person Stanley Immunologically reactive non-glycosylated amino acid chains of glycoprotein b of herpes virus types 1 and 2
NZ209308A (en) * 1983-08-30 1991-08-27 Genentech Inc Vaccine against hsv involving a truncated membrane-free derivative of a membrane-bound protein
US4855224A (en) * 1984-03-09 1989-08-08 Genentech, Inc. Molecularly cloned diagnostic product and method of use
US4618578A (en) * 1984-07-17 1986-10-21 Chiron Corporation Expression of glycoprotein D of herpes simplex virus
ATE230798T1 (de) * 1984-04-06 2003-01-15 Chiron Corp Rekombinanter herpes simplex gb-gd-impfstoff
US4859587A (en) * 1984-06-04 1989-08-22 Institut Merieux Recombinant herpes simplex viruses, vaccines and methods
JPS615786A (ja) * 1984-06-19 1986-01-11 Chemo Sero Therapeut Res Inst 単純ヘルペスウイルス遺伝子を組込んだ組換えdna、形質転換動物細胞および単純ヘルペスウイルス蛋白質の製法
DE3582200D1 (de) * 1984-07-20 1991-04-25 Chemo Sero Therapeut Res Inst Rekombinante dns, enthaltend ein herpes-simplex-virus-gen oder ein fragment davon, hefe transformiert mit dieser rekombinanten dns und verfahren zur herstellung von herpes-simplex-virus-proteinen.

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Nature,302(1983)P.72−74
Science,218(1982)P.381−384

Also Published As

Publication number Publication date
DE3479085D1 (en) 1989-08-31
ES552539A0 (es) 1987-05-01
GR80220B (en) 1984-11-15
ES8705036A1 (es) 1987-05-01
IE58030B1 (en) 1993-06-16
EP0139417B2 (en) 1999-03-17
DK412284D0 (da) 1984-08-29
DK172694B1 (da) 1999-05-31
DK412284A (da) 1985-04-11
NZ209308A (en) 1991-08-27
AU3242384A (en) 1985-03-07
HK98792A (en) 1992-12-18
US5851533A (en) 1998-12-22
IE842210L (en) 1985-02-28
JPH08253428A (ja) 1996-10-01
CA1341181C (en) 2001-02-20
JPS60155128A (ja) 1985-08-15
IL72785A (en) 1990-07-26
DK9197A (da) 1997-01-24
ES535554A0 (es) 1986-03-16
ES8605039A1 (es) 1986-03-16
AU579323B2 (en) 1988-11-24
EP0139417A1 (en) 1985-05-02
EP0139417B1 (en) 1989-07-26
IL72785A0 (en) 1984-11-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2599350B2 (ja) 膜結合性タンパク質を含有するワクチン類
US5294548A (en) Recombianant Hepatitis a virus
KR100242671B1 (ko) 유전학적으로 처리한 백신 균주
EP0236145B1 (en) Processes for the production of hcmv glycoproteins, antibodies thereto and hcmv vaccines, and recombinant vectors therefor
US5679774A (en) DNA sequences of the EBV genome, recombinant DNA molecules, processes for preparing EBV-related antigens, diagnostic compositions and pharmaceutical compositions containing said antigens
JPH03502687A (ja) レスピラトリイ・シンシチアル・ウイルス:ワクチンおよび診断法
JPH03503478A (ja) 組換えcmv中和タンパク
JPH06502989A (ja) 単純ヘルペスウィルスのvp16のワクチン
US4855224A (en) Molecularly cloned diagnostic product and method of use
JP2005333990A (ja) gp350/220非スプライシング変異体
Ou et al. Analysis of T-and B-cell epitopes of capsid protein of rubella virus by using synthetic peptides
US7264817B1 (en) Immunogenic composition based on a truncated derivative of a membrane bound protein and process for making it
US6610295B1 (en) Processes for the production of HCMV glycoproteins, antibodies thereto and HCMV vaccines, and recombinant vectors therefor
EP0139416B2 (en) Molecularly cloned diagnostic product and method of use
US5807557A (en) Soluble herpesvirus glycoprotein complex
WO1990001546A1 (en) Equine herpesvirus-1 vaccine
CA2068654C (en) Varicella-zoster virus antigen
Morenkov et al. Immunological characterisation of glycoprotein E of Aujeszky's disease virus
US5824319A (en) Varicella-zoster virus antigen
CA1341291C (en) Vaccines based on membrane bound proteins and process for making them
US7238672B1 (en) Chimeric lyssavirus nucleic acids and polypeptides
BRPI0009746B1 (pt) molécula de veículo contendo plasmídeo pg-pviii compreendendo uma seqúência que codifica uma parte de uma glicoproteína de lissavírus contendo pelo menos o sítio iii da glicoproteína de lissavírus mas não contendo o sítio ii, e, composição imunogênica
DK173597B1 (da) Fremgangsmåde til fremstilling af et membranfrit trunkat af et membranbundet polypeptid
KR100263279B1 (ko) Trovac 계두 바이러스 재조합체 및 그것의 사용
MXPA00002577A (en) Hepatitis b virus polypeptides

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term