JPH08253428A - 膜結合性タンパク質を含有するワクチン類 - Google Patents

膜結合性タンパク質を含有するワクチン類

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JPH08253428A
JPH08253428A JP7222311A JP22231195A JPH08253428A JP H08253428 A JPH08253428 A JP H08253428A JP 7222311 A JP7222311 A JP 7222311A JP 22231195 A JP22231195 A JP 22231195A JP H08253428 A JPH08253428 A JP H08253428A
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hsv
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cells
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フィリップ・ウェイン・バーマン
Laurence Allan Lasky
ローレンス・アラン・ラスキー
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 病原菌に対して有効なワクチンを提供する。 【解決手段】 病原菌に対する中和抗体を産生し得る露
出した抗原決定基を持った膜結合性ポリペプチドであっ
て、それを生産し得る安定な連続した組み換え体細胞系
の膜と機能的に連合しているポリペプチドを含有してい
るワクチン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は膜結合型タンパク質とその誘導
体、およびそれらから得られるワクチン類に関する。発明の背景 種々の感染源に対する免疫応答の解析は、重要な細胞表
面抗原を分離できるに足る充分量の病原体を培養するこ
とがしばしば困難である事実から限度があった。分子ク
ローニング法の出現によって、病原体からの遺伝子生成
物を非病原型で事実上量的に無限に発現できる手段が提
供され、これらの限界が克服されるようになった。現在
ではインフルエンザ(1)、口蹄病(2)、肝炎(3)、小水
疱性口内炎ウイルス(4)、狂犬病(5)、および単純ヘル
ペスウイルス(6)のようなウイルスからの表面抗原が
E.coliおよびS.cerevisiaeにおいて発現され、将
来、改良されたサブユニットワクチンの提供を約束して
いる。然し、下等微生物における表面抗原の発現は、不
完全なプロセシングのために(例えば、タンパク質分
解、糖付加)、またはクローンした遺伝子産物を精製す
る間の変性により、恐らく重要な意味のある抗原決定基
を失うかも知れないという理由で満足すべきものである
とは言い難いことは明らかである。
【0002】このことは、膜タンパク質の場合は、E.
coli中で発現された時に、それが疎水性の膜透過領域の
ために、凝集し、不溶性となり勝ちであるので特にそう
である。膜タンパク質を暗号化したクローン遺伝子は、
哺乳動物細胞中で発現させることができ、この場合、こ
の宿主細胞が適宜プロセスし、ポリペプチドを組み合わ
せ、細胞膜内に取り込むのに必要な因子を提供する
(7、8)。これらの研究により、膜タンパク質を組み換
え宿主細胞表面で発現できることがわかったし、また例
えば先端を切り取られたカルボキシル末端領域を欠く膜
タンパク質は宿主細胞と結合するより、むしろ徐々にそ
こから分泌されることが報告されているが(8)、このよ
うに発現される膜結合タンパク質や、このように分泌さ
れる先端を切り取られたタンパク質が、該タンパク質の
ソースとなった病原体に対して有効な抗体を実際に生成
せしめる働きがあるのかは明らかにされていない。
【0003】単純ヘルペスウイルス(HSV)は、関連性
はあるが区別できる二つの型でヒト感染症に見出される
巨大DNAウイルスである。ウイルスが暗号化している
多数のタンパク質のうちの少なくとも4個が、グリコシ
ル化した形で発見され、それらがウイルス粒子(ビリオ
ン)および感染細胞の両表面に存在していることが明ら
かにされた(9)。gA/B、gC、gD、およびgEと呼ば
れるこれらの糖タンパク質はHSV1型(HSV−1)お
よびHSV2型(HSV−2)の双方に見出されるが、H
SV−2の場合は、更にもう1個の糖タンパク質(gF)
が発見されたと報告されている(10)。それらの機能に
ついてはなお幾つか不明の点が残されているが、それら
の糖タンパク質が、ウイルスの細胞への付着、細胞融
合、およびウイルス感染に対する宿主の免疫学的応答に
関与していることは間違いない(11)。HSV−1とH
SV−2は50%までのDNA配列相同性しか示さない
が(12)、それらの糖タンパク質の大部分は両型に共通
しているようである。このように、gA/B、gD、およ
びgEは型に共通した多くの抗原決定基を示すが(13〜
16)、以前には完全に型特異性があると思われていたg
C(17、18)も幾つかの型共通性の決定基を有するこ
とが明らかになって来た。然しながら、幾つかの糖タン
パク質に対する単クローン性抗体を使用して、型特異性
のある抗原決定基を証明でき(10、19)、HSV−1
とHSV−2に分れて以来、ある種のアミノ酸変化が起
こったことを物語っている。
【0004】ウイルス中和に関して最も重要な糖タンパ
ク質の一つはgDである(11)。HSV−1とHSV−
2のそれぞれのgDタンパク質が近縁であることを強く
示唆する注目すべき証據が提示されている。例えば、遺
伝子組み換え地図を作ると、対応する遺伝子が二つのウ
イルスのゲノムの共直線領域につきとめられる。アミノ
酸分析の結果は二つのタンパク質間に総体的な相同性が
有ることを示した。gDタンパク質は1型および2型の
両ウイルスに対し型共通性の型式で中和抗体を誘導する
(19−21)。更に、これらの糖タンパク質に対して生
じるモノクローナル抗体の大部分は型共通性であり、同
様に二つの糖タンパク質の型の間の高度な構造的相関性
を示している(20)。然し、幾つかの単クローン性(モ
ノクローナル)抗体は型特異的に反応することが知られ
ており、両タンパク質の間に有意の差のあることを示し
た(19)。同様に、タンパク質のペプチド地図も不明瞭
ではあるがそのような違いを示した(22a)。これらの
結果は、これらのポリペプチドが相関していることを示
唆しているが、その関係がどの程度近縁であるかを正確
に示すには不充分である。
【0005】HSV−1とHSV−2のgDタンパク質
の型共通性の特徴を検討するため、HSV−1とHSV
−2のgD遺伝子のDNA配列を決定した。誘導された
アミノ酸配列は近似性を示した。また、その結果生じた
タンパク質配列についても、タンパク質の疎水性領域と
親水性領域を測定すべく設計されたプログラムを使用す
ることにより、構造的な相違を解析した。この解析の結
果から、総体的構造水準は高度に維持されていることが
明らかにされた。二つの糖タンパク質の間に数ケ所のア
ミノ置換が見られたが、これらの置換のほとんど大部分
はコンサーバティブである。この糖タンパク質がウイル
スの構造上重要な必要条件であることを示していた。
【0006】HSV−1と対照的に、HSV−2はgF
と呼ばれるもう1個の糖タンパク質を暗号化しているよ
うである(22b、10、22c、22d)、HSV−2 g
Fは電気泳動によってHSV−1 gCよりはるかに速く
移動するが、組み換え体ウイルスのマッピング研究によ
り、このタンパク質はHSV−2ゲノムのHSV−1g
Cのための遺伝子とほぼ共直線的な領域で暗号化されて
いることが明らかになった(22c、22d)。更に最近、
HSV−2gFの単クローン性抗体が弱いながらもHS
V−1 gCと交叉反応するらしいということ(22f)、
およびHSV−1ウイルス粒子のエンベロープタンパク
質に対して作られた多クローン性抗血清がgFを沈降さ
せること(22d)が証明され、二つの糖タンパク質の間
に構造上の相同性の可能性があることが示唆された。こ
のように、HSV−1 gCとの相同性はHSV−2タン
パク質である可能性がある。この関係は本発明において
検討された。
【0007】HSV−1とHSV−2の間の相関性を検
討するため、HSV−2ゲノムの2.29kb(キロベー
ス)領域のDNA配列がHSV−1 gC遺伝子と共直線
的であることを測定した。この領域の大−オープンリー
ディングフレーム(open reading frame)の翻訳によ
り、HSV−1 gCと有意な相同性を有するタンパク質
がこの領域に暗号化されていることがわかる。この領域
がHSV−2 gF遺伝子を暗号化していること、および
gFタンパク質はHSV−1糖タンパク質CのHSV−
2相同体であることが示唆される。
【0008】発明の要旨 本発明は、gDタンパク質に基づくワクチンに関する。
本明細書において更に詳細に記載するように、gDタン
パク質の構造に関するこの知見に照らして、gDタンパ
ク質DNAを哺乳動物細胞に発現させることが可能であ
るかどうか、またもし可能とすれば発現されたタンパク
質が宿主の細胞膜に結合するのかどうか、また先端の切
り取られ膜結合領域を欠いた形のタンパク質が宿主細胞
から分泌されるのかどうか、またその場合、発現した生
成体タンパク質がHSV−1および/またはHSV−2
に対する抗体を生成するかどうかを調べることにした。
本発明で検討の結果、これらの目標は達成された。特
に、本発明は組み換えDNA操作によって得られたこれ
らのタンパク質を、HSV−1およびHSV−2ウイル
スに有効なワクチンの構成成分として使用する方法を提
供するものである。このようにして製造されたワクチン
はヘルペス(疱疹)感染の発生を予防し、また既に感染し
た患者のヘルペス感染の再発の頻度と重篤度を低下させ
る防御ワクチンである。
【0009】もう一つの本発明の目的は、HSV−1お
よび/またはHSV−2ウイルスに対するワクチンの構
成成分として有用な、組み換えDNA操作によって得ら
れる他の一組の糖タンパク質を提供することにある。具
体的には、そのような糖タンパク質は、HSV−1 gC
(HSV−1に有効)、HSV−2に有効なHSV−2g
F(HSV−2 gCと表現する方がより適切)、または両
ウイルスに有効なこの二つのタンパク質の組み合わせ物
である。またそのような糖タンパク質として、そのほか
gA、gBおよびgEが含まれる。gCおよびgD糖タンパ
ク質の組み合わせに基づくワクチンは、個々の糖タンパ
ク質単独よりもワクチンとして著しく有効であろうと考
えられる。
【0010】更に要約すると、本発明はHSV−1およ
びHSV−2ウイルスに対する相補的抗体を特異的に生
成せしめ得る抗原決定基を有するポリペプチドを含有す
るワクチンに関する。その一つの態様として、そのポリ
ペプチドは、それを産生し得る組み換え体宿主細胞の表
面膜と機能的に連合している。典型的な例では、そのよ
うな機能的連合性は、ポリペプチドが膜を通じて突出す
るように、表面膜とポリペプチドが結合することであ
る。組み換え体細胞系(セルライン)は、安定で、連続し
た系から誘導される。
【0011】他の一実施態様としてのワクチンは、同じ
抗原決定基を持っているが、膜表面と機能的に連合しな
い抗原決定基を有するポリペプチドを含んでいる。詳細
については後述するが、そのようなポリペプチドは、膜
結合ポリペプチドの、先端を切り取られた膜不含誘導体
である。該誘導体はポリペプチドから膜結合領域が脱落
することによって形成され、それを産生した組換え体宿
主細胞系から分泌され得る。
【0012】他の一実施態様では、ポリペプチドは最初
膜表面と機能的に連合して形成され、その後、望ましく
は非イオン界面活性剤に溶解して、膜を含まないポリペ
プチドとする。
【0013】本明細書で使用する“組み換え体"なる用
語は、組み換えDNA技術を用いて組み立てられたベク
ターでトランスフェクトされ、ポリペプチドを生産する
能力を形質導入された細胞を意味する。“機能的連合"
とは、膜に結合することであり、典型的には、天然の病
原体によって誘発された抗体によって認識され得る天然
の立体配座に含まれている抗原決定基を露出する様に、
膜の両側へ突出して膜と結合することを意味する。“膜
結合"ポリペプチドとは、通常真核細胞で生産され、そ
れが種々の細胞膜を通って分泌されるのを助けると考え
られているシグナル配列、および細胞膜からの完全な分
泌を妨げると考えられる膜結合領域(通常、疎水性であ
り、C−末端に存在する)を有していることにより特徴
づけられるポリペプチドの一群を言う。従って、それは
機能的に膜に連合または結合した状態のままでいる。本
発明では、特に病原微生物、例えばヘルペスウイルスに
関する膜結合ポリペプチドを開発しようとするものであ
る。
【0014】本明細書で使用している“HSV−2 g
F"、“HSV−2 gC"および“gC−2"なる用語は、
HSV−1 gCと高度の相同性を有し、ワクチンとして
有用な充分な量の抗体を生成せしめることができるHS
V−2の糖タンパク質部分を指す用語として、交換可能
に使用される。
【0015】表面膜と機能的に連合した形で本発明のポ
リペプチドの抗原決定基が得られれば、この膜は、ポリ
ペプチドから、抗原性を破壊することなく除去すること
ができる。例えば、この膜結合ポリペプチドを好適な溶
液、望ましくは非イオン界面活性剤を含有する溶液に溶
解することにより、ポリペプチドを膜から除去すること
ができる。これを行なうことの利点は、無関係な細胞性
物質からポリペプチドを分離し、ワクチンに使用する際
の、その潜在的活性を充分に高めることである。ポリペ
プチドから膜を除去する技術は後述する。
【0016】もう一つの実施態様としては、分泌系を創
製することによって、膜を含有しない標品を得ることで
ある。後段で更に詳細に記述するように、そのように分
泌されたポリペプチドは少なくとも抗体産生を刺激する
のに必要な幾つかの抗原部位を持っている。
【0017】以下、図面について説明する。図1、図
2、図3、図4および図5は、HSV−1およびHSV
−2 gD遺伝子およびその周囲の非翻訳領域のDNA配
列と、推定されたアミノ酸配列を示す。図6は、HSV
−1とHSV−2タンパク質からのgDタンパク質のヒ
ドロパシー(hydropathy)解析を示す。図7および図8
は、膜結合型のHSV−1糖タンパク質Dの発現のため
に組み立てられた、pgD−dhfrプラスミドの模式図であ
る。図9は、ヒトHSV抗体でgD12細胞を標識した
結果を示し、(A)は位相差顕微鏡像、(B)は同じ細胞の
蛍光顕微鏡像である。図10は、gD12細胞系からク
ローンしたgDおよびヒトの細胞に感染させたHSV−
1から得られた天然のgDの放射免疫沈降を示すグラフ
である。図11は、gD12細胞および親のCHO細胞
系に対するヒト抗HSV抗体の結合度を示す。横軸に血
清希釈度の逆数、縦軸に492nmにおける吸光度を示
す。図12は、HSV−1 gDタンパク質を模式的に表
わしたもので、シグナル配列および膜結合領域の位置を
示す。図13は、分泌型のHSV−1 gDタンパク質の
ための発現プラスミドpgDtrunc−dhfrの組立て模式図
である。図14は、gD10.2細胞系からの放射免疫沈
降線を示す。図15は、増幅前および増幅を行なったg
D10.2細胞系からの放射免疫沈降線を示す。図16
は、Mtxで増幅したgD10.2細胞系で達成された増幅
度を示す。図17は、DNA配列解析を行なったpgC2
Sal2.9の断片を示す。図18、図19、図20、図
21、図22および図23は、pgC2Sal 2.9から誘
導されたDNA配列とHSV−1 gC領域のDNA配列
の比較を示す。図24は、HSV−2ゲノムDNAとpg
2Sal2.9DNAのサザーンプロッティング解析を示
す。図25、図26および図27は、HSV−2のラー
ジオープンリーディングフレームの翻訳とHSV−1 g
Cのアミノ酸配列の比較を示す。図28および図29
は、HSV−1 gCタンパク質とHSV−2のメジャー
オープンリーディングフレームタンパク質のヒドロパシ
ー解析結果を示す。
【0018】
【実施例】実施例 1 実施例1はgDタンパク質に関する。ウイルスの増殖とウイルス性DNAの分離 Hep2細胞でHSV−1(Hzt株)およびHSV−2(G
株)をそれぞれ37℃および33℃で増殖させた。ウイ
ルス性DNAを、感染細胞培養からタンパク分解酵素K
による消化とCSCl勾配により分離した(23)。
【0019】HSV−1およびHSV−2のgD遺伝子
のクローニング 先のマッピングおよびクローニング研究でHSV−1 g
D遺伝子は〜6.6kbのBamHI断片につきとめられた
(6、24)。HSV−1をBamHIで切断し、アガロー
スゲル電気泳動により6〜7kb領域を分離した。この断
片をBamHIで消化したpBR322に連結(リゲーショ
ン)し、得られた混合物をE.coli294株(ATCC
No.31446)に導入した。制限酵素消化により、好
適なHSV−1断片を求めてアンピシリン耐性、テトラ
サイクリン感受性のプラスミドをスクリーニングした。
正確なgDを含有するSst1断片を、Sst−1で消化し
たプラスミドpFM3にサブクローンした(ヨーロッパ特
許公報、第0068693号;1983年1月5日)。
【0020】HSV−2のgD遺伝子は先にHSV−1
による組み換えによりマッピングが行なわれているが、
この遺伝子の正確な位置はまだ判っていない。そこでH
SV−2ゲノムの短かい単一領域(4)からの〜10kb
HindIII断片を、バクテリオファージλクローニン
グベクター590(25)のHindIII部位へ連結し
た。インビトロ(試験管内)でパッケージングしたファー
ジを低密度でプレートに撒き、HSV−1から得たgD
遺伝子の32P−標識サブクローンとBenton−Davis法
によりスクリーニングした(26)。陽性のハイブリダイ
ゼーションを示したプラークを発育させ、DNAを分離
し、サザーン・プロッティグおよび32P−標識HSV−
1gD遺伝子とのハイブリダイゼーション法によりgD遺
伝子の位置をつきとめた(27)。ハイブリダイゼーショ
ン陽性のHSV−2 gD含有断片をプラスミドpUC9
へサブクローンした(28)。
【0021】DNA配列決定とコンピューター解析 HSV−1およびHSV−2 gD遺伝子から得た種々の
断片をm13ファージベクターmp9へサブクローンし(2
9)、Sangerのジデオキシヌクレオチド法により配列決
定した(30)。ヌクレオチド配列はHOMプログラムを
使用して解析した(31)。推定したタンパク質配列のヒ
ドロパシーは12幅(width)および1ジャンプ(jump)を
使用して解析した(31a)。
【0022】HSV−1およびHSV−2から得たgD
領域のクローニング 他の研究でHSV−1 gD遺伝子はRoizmanの命名法に
従い、6.6kb BamHI J断片につきとめられた
(6、12、24)。この断片部分を分離した配列決定を
行ない、この断片がHSV−1 gD遺伝子を含有するこ
とがわかった。HSV−1 gD遺伝子のDNA配列はH
SV−2 gD遺伝子と比較的相同的であると予想される
ので、この断片をHSV−2ゲノムからのgD遺伝子の
分離のためのプローブとして使用した。
【0023】HSV−1およびHSV−2ゲノムからの
遺伝子の大部分は共直線的に配列していると思われるの
で(35)、HSV−1 gD領域に対応するHSV−2の
ゲノムの短かい単一の領域からの領域(HindIII L
断片(12))をλファージベクターへクローンした。得
られたプラークを32P−標識HSV−1 gD遺伝子サブ
クローンでスクリーニングすると陽性のハイブリダイゼ
ーションを示したプラークの存在することがわかった。
このことは、二つのウイルスゲノムのこの領域に、事実
上核酸配列の相同性が存在することを示唆している。フ
ァージDNAを分離し、次いでサザーンブロッティング
解析を行なうことにより、gD遺伝子に対応するこの断
片の領域が明らかにされた。この領域をDNA配列解析
のためサブクローンした。
【0024】暗号化領域 図1、図2、図3、図4および図5は二つのgD DN
A配列をHOMプログラム(31)と比較したものを示し
ている。ヌクレオチド番号の1番は、イニシエーターメ
チオニンのATGのAから始めた。ギャップは、配列相
同性を最大にするためにHOMコンピュータープログラ
ムにより導入した(31)。ヌクレオチドの相違は★印で
示し、アミノ酸の相違は枠で囲んで示してある。ここに
報告するHSV−1のHzt株で測定したHSV−1 gD
配列と、Watsonら(6)によりPatton株について報告さ
れた配列との間のアミノ酸の相違は+印で示した。矢印
で示したHSV−1 gD遺伝子の転写開始はWatsonら
による(32)。N−結合糖付加(グリコシル化)部位は陰
影をつけて示してある。二つの可能性のある“TAT
A"の配列はgD転写開始への5'で示されるが、第3の
“TATA"配列はHSV−2配列の3'終末における2
番目のオープンリーディングフレームへの5'で示され
る。非暗号化配列の2つの相同領域はgD遺伝子への5'
−位と、HSV−2配列からの2番目のオープンリーデ
ィングフレームへの5'−位に記録されるべきである。
【0025】gDタンパク質のヒドロパシー 各糖タンパク質のヒドロパシーをHoppら(31a)によっ
て開発されたプログラムを使用して解析した。図6に示
したように、疎水性の膜透過性領域は遺伝子の3'−末
端に存在する、12個の長さのアミノ酸鎖を解析し、平
均ヒドロパシーを計算した。二つの糖タンパク質間の残
基の相違のうち、コンサーバティブな変化を★印、ノン
コンサーバティブの変化を+印で示す。A)はHSV−
1 gDタンパク質のヒドロパシーを、B)はHSV−2
gDタンパク質のヒドロパシーを示す。
【0026】DNA配列分析の結果、HSV−1および
HSV−2のgDタンパク質は80%の相同性があるこ
とが明らかにされた。これらの2個のタンパク質間で見
出された相違点の大部分はアミノ末端およびカルボキシ
ル末端領域にあった。これらのタンパク質のアミノ末端
領域は、アミノ末端メチオニンの近くにアルギニン残基
を含有する高度に疎水性の領域を含んでいる。この疎水
性領域は、分泌され、そして、膜と結合する蛋白質に特
徴的なシグナル配列であり、また多分、少なくとも一部
のタンパク質を小胞体の内腔へ誘導すべく機能するシグ
ナル配列である(33)。最初の20個のアミノ末端アミ
ノ酸の比較から、1型と2型との遺伝子間には、総計で
12ケ所の差違があることが示された。然し実質的に
は、すべての差異は、それらが他の疎水性アミノ酸を暗
号化しているので、コンサーバティブである。例外は、
3番目の残基のgly−arg置換と、7番目の残基のarg−g
ly置換である。これらの置換はコンサーバティブではな
いが、これらはシグナル領域の本質的な構造を変化させ
るものではない。両遺伝子とも最初の10個のアミノ酸
の中にプラスの電荷を有する残基を保有している。
【0027】ヒドロパシーの結果を図示した図6では、
疎水性の領域に引き続いて親水性のカルボキシル末端領
域が見られる。この構造は膜結合型糖タンパク質の特徴
であって、以前にも他のウイル表面抗原で発見された
(5、34)。その働きは細胞膜およびウイルス膜にタン
パク質を固定することにあり、そのことからウイルス感
染に重要な役割りを果たす。gDタンパク質のこの領域
における12ケ所のアミノ酸変化は333番目〜362
番目の残基に見られ、それらの大部分はコンサーバティ
ブである。このことは、この領域のアミノ酸としての唯
一条件が、脂質二重層に架橋するために著しく無極性で
あるということであることを示唆している。更に、恐ら
くタンパク質を膜に固定させる働きをしてると考えられ
る膜領域に続く領域(363〜375残基)(33)は、最
初の13個の残基に5ケ所の変化を示し、その後に長い
相同鎖を有する。この結果から、カルボキシル末端親水
性領域の最初の10〜15残基は固定機能を果すだけで
あって、従って荷電されることだけが必要であるが、一
方、それに続く23残基はgDタンパク質に特異的に重
要な何か他の機能を果しているのかも知れないことが示
唆される。
【0028】この二つのタンパク質の全体にわたり、他
の多くのアミノ酸変化が見られるが、その変化の大部分
はコンサーバティブである。この事実は、図6に示した
ヒドロパシープログラムによって現わされた構造によっ
て強調される。この比較で見られるように、二つの糖タ
ンパク質は非常に近似した図形を示す。コンサーバティ
ブでないアミノ酸変化はタンパク質のヒドロパシーを変
化させないようである。
【0029】HSV−1 gDの発現 恒久的に膜結合したgDを生産する細胞系を確立するた
めに、選択マーカー、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhf
r)、を含有しているヒト発現ベクター(36)へgDを含
有する断片を連結した(図7および図8)。図7および図
8は、HSV−1糖タンパク質Dの発現のために組み立
てられたプラスミドpgD−dhfrの図式を示す。この発現
プラスミドは、E.coliプラスミドpBR322から誘
導された複製起原とβ−ラクタマーゼ遺伝子(ampr)(3
7)、SV−40の初期(第一)プロモーターのコントロ
ール下にマウスのdhfrを暗号化したcDNA挿入体(3
6、38)および同じくSV−40初期プロモーターの
コントロール下にgD遺伝子を含有しているHindIII
−BamHIの4.6kb断片から成っていた。この断片の
HindIII終末は、イニシエーターメチオニンのコド
ンの5'−側へ74bpで位置しており、mRNAのキャッ
プ部位を含有している。HindIII部位は、SV−4
0プロモーターのGoldberg−Hognessボックスの3'−
側へ250bpで位置している。gDを含有する断片の暗
号化領域は1179bpの長さを有し、少なくとも翻訳停
止コドン、ポリアデニル化部位および糖タンパク質E遺
伝子(24,32)の一部を含んでいる巨大(1.9kb)な
3'−領域に隣接している。
【0030】プラスミドpgD.dhfrは次のように組み立
てられた:HSV−1ゲノムからクローンしたBamHI
断片から、全gD暗号配列を含有する4.6kbのHindI
II−BamHI断片を分離した(上記参照)。SV40に
由来する初期プロモーターおよびpBR322アンピシ
リン耐性遺伝子から成る2.8kbのHindIII−Sal1
断片およびDNA複製起原をプラスミドpEHBal14
から分離した。第2のSV40由来の初期プロモーター
のコントロール下にあるマウスのジヒドロ葉酸レダクタ
ーゼcDNAクローンを含有している2.1kbのSal1−
BamHI断片をプラスミドpE348HBVE400D
22(36)から分離した。これら3個の断片はT4DN
Aリガーゼを使用する三重連結法(トリプルリゲーショ
ン)によって互いに連結し、得られた混合物をE.coli
294菌株への導入に使用した。生成したコロニーを増
殖させ、プラスミドDNAをSac2で消化することによ
りスクリーニングした。正しいDNAコンストラクショ
ンpgD−dhfr(図7および図8)を次のトランスフェクシ
ョン研究に使用した。
【0031】リン酸カルシウム沈澱法(40)を使用し
て、このプラスミドをdhfr生産欠乏のチャイニーズハム
スター卵巣細胞(CHO)(39)へ導入した。ヒポキサン
チン、グリシン、およびチミジンを含まない培地で発育
し得るコロニーを採り、9個のdhfr+クローンを分析し
た。これらのうち、5個のコロニーに、抗HSV−1抗
体を使用する放射免疫沈降法および免疫蛍光検定で、g
Dが検出できた。この5個の系列のうちの1個(gD1
2)を更に次の研究用にあてた。クローンしたgD遺伝子
生産物を特徴づけるために、gD12細胞を35S−メチ
オニンまたは3H−グルコサミンで代謝的に標識し、放
射免疫沈澱法により分析した。使用した方法は次の通り
である:市販の7%のウシ胎児透析血清(Gibco)、ペニ
シリン(100u/ml)、およびストレプトマイシン(10
0u/ml)を添加したHamのF12培地で細胞を発育させ
た。培養が約80%まで密集した状態(confluent)にな
ったら、培地を除き、細胞をリン酸緩衝食塩液(PBS)
で2回洗滌した後、標識培地(1/10規定濃度)のメチ
オニンまたはグルコースを含有するDulbeccoの改良Ea
gleの培地)を最終濃度0.064ml/cm2となるまで添加
した。35S−メチオニン(SJ.204、Amersham I
nt.)(50〜75μCi/ml)または3H−グルコサミン
(100μCi/ml)を加え、更に細胞を18〜20時間
発育させた。標識終了後、培地を回収し、細胞をPBS
で2回洗滌し、0.02%のEDTAを含有するPBS
で処理することによって培養皿から除いた。次いで細胞
を、PBS、3%NP−40、0.1%ウシ血清アルブ
ミン、5×10-5Mフェニルメチルスルホニルフルオリ
ド、0.017TIU/mlのアポプロチニンから成る溶
菌緩衝液に溶解し、得られた溶解物を12,000×gで
遠心分離により透明にした。免疫沈降反応のために、細
胞溶解液をPBSで3倍に希釈し、検液(典型的には1
80μl)を2〜5μlの抗血清と混合し、4℃で30分
間インキュベートした。免疫複合体をKessler法(40
a)により、固定したS.aureus細胞に吸着させ、12,
000×gで30分間遠心分離して沈澱させた。次に、
S.aureus細胞を洗滌緩衝液(PBS、1%NP−4
0、0.3%ドデシル硫酸ナトリウム)で3回洗滌後、免
疫複合体を20μlのポリアクリルアミドゲル検体緩衝
液(10%グリセロール、5%2−メルカプトエタノー
ル、0.01%ブロモフェノールブルーを含有する62.
5mMトリス−HClバッファー、pH6.8)で90℃で
3分間溶出した。30秒間遠心分離後、上清をLaemmli
の方法(45)に従い10%ポリアクリルアミドスラブゲ
ルにかけた。
【0032】図10AはgD12細胞系とHSV−1感
染細胞で得られたオートラジオグラフを比較したもので
ある:gD12細胞溶菌液と正常家兎血清から得た対照免
疫沈降(1列目);HEL細胞で発育させた野性(天然)のg
Dと単クローン性(モノクローナル)抗gD抗体、55−
S(41)との免疫沈降(2列目)、およびA549細胞と
55−Sの免疫沈降(3列目);gD12細胞の溶解液から
のクローンしたgDと、多クローン性HSV−1家兎抗
体(Dako Corp.)の免疫沈降(4列目)、および単クロ
ーン性抗体55−Sとの免疫沈降(5列目);3H−グルコ
サミンで代謝的に標識したgD12細胞からのクローン
したgDと多クローン性家兎抗HSV−1抗体の免疫沈
降(6列目)。
【0033】gD12細胞系から、HSV−1タンパク
に特異的な(41)、単クローン性抗−gD抗体、55−
Sまたは家兎抗HSV−1抗体を使用して、59〜60
kdの拡散バンドが特異的に沈澱したことが見られる(4
および5列目)。この分子量は、HSV−1に感染させ
たKB細胞(42)から分離されたgDに関して報告され
た値とよく一致する。同じ単クローン性抗体が、HSV
−1に感染させたヒト細胞系からの類似の、しかし分子
量の異なるタンパク質を沈降させるのが見られる。A5
49ヒト肺癌細胞系から沈降させた主生成物は53kdで
あり(2列目)、ヒト胎児肺細胞系(HEL)から沈降させ
た生成物は56kdであった(3列目)。以前の研究(43)
で、HSV糖タンパク質の分子量は宿主によって変化
し、この相違は糖付加反応の相違に起因することが示さ
れている。CHO細胞で生産されたgDタンパク質が実
際に糖付加されているかどうかを調べるために、細胞を
3H−グルコサミンで代謝的に標識した。35S−メチオ
ニンまたは3H−グルコサミンで代謝的に標識した後
に、同一分子量のバンドが沈降したことから(5および
6列目)、CHO細胞で生産されたgDタンパク質は糖付
加されていると結論した。
【0034】ヒト細胞系A549(ATCC CCL
185)およびHEL299(ATCC CCL 13
7)を、3.5cmの組織培養皿で密に発育させ、HSV−
1を細胞当たり10pfuの多重度で感染させた。ウイル
ス感染細胞はCohenら(44)の記載した方法と同様の方
法で標識した。感染させてから4時間後に、培地を除去
し、細胞を新しい培養液(Dulbeccoの改良Eagle培地)
で1回、更にリン酸緩衝食塩液(PBS)で1回洗滌し
た。1/10規定濃度のメチオニンを含有する新しい培
地を、35S−メチオニン(Amersham.International)
と共に、最終放射活性が培地ml当たり75μCiとなる
まで細胞に加えた。細胞を更に20時間発育させ、次に
EDTAを含有する(0.02%)PBSで洗滌処理した
細胞を回収した。ウイルス性タンパク質を、PBS、3
%NP−40、1%ウシ血清アルブミン、5×10-5
フェニルメチルスルホニルフルオリド、および0.01
7TIU/mlのアポプロチニンから成る溶菌緩衝液に溶
解した。得られた細胞溶解物を小型遠心機で12,00
0×gの回転数で遠沈することにより透明にした。免疫
沈降反応を行なうため、細胞またはウイルスの溶解液を
リン酸緩衝液で3倍に希釈し、2〜5μlの好適な抗血
清と混合し、4℃で30分間インキュベートした。抗原
−抗体複合物を、固定した10%S.aureus溶液(Kess
ler(40a))の25mlを加えることによって反応培地か
ら除き、12,000×gで30秒間遠心分離して沈澱さ
せた。次に、S.aureus細胞を洗滌用緩衝液(PBS、
1%NP−40、0.3%ドデシル硫酸ナトリウム)で3
回洗滌し、細胞を20μlのポリアクリルアミドゲルサ
ンプル緩衝液(10%グリセロール、5%2−メルカプ
トエタノール、0.0625Mトリスバッファー(pH6.
8)、0.01%ブロモフェノールブルー)に懸濁させ、
90℃で3分間インキュベートした。30秒間遠心分離
(12,000×g)した後、上清を10%ポリアクリルア
ミドゲルスラブゲル(45)にかけた。
【0035】クローンしたgDの翻訳後修飾(プロセシン
グ)を更に調べるために、パルスチエイス実験を行なっ
た。図10Bは35S−メチオニンでパルス標識した種々
の時間後の、gD−12細胞からのクローン化したgDと
家兎抗HSV−1抗体(DakoCorp.)との免疫沈降線を
示している。図10BはgD12細胞のパルス標識を示
す。これらの研究では、細胞は10cmの組織培養皿で密
集して発育させ、前記と同様にして35S−メチオニンで
標識されるが、標識化反応は氷上で15分間行ない、細
胞は新しい培養液で3回洗滌した後、恒温器に戻し、3
7℃で種々の時間インキュベートした。冷リン酸緩衝食
塩液中で細胞を洗滌することによって反応を停止させ、
前記と同様にして細胞を溶解した。タンパク質はパルス
標識後、次の時間で免疫沈降させた:1列目、5分後;2
列目、15分後;3列目、30分後;4列目、60分後;
5列目、120分後。51kdの分子量を有するgDの前
駆体型は、gD12細胞系から、35S−メチオニンでパ
ルス標識後、5分後から特異的に沈降し、この前駆体は
約60分後により高い分子量型(59kd)の所に追跡され
た。これらの検討から、本発明者らは、この翻訳後エベ
ントのハーフタイムは約45分と推定した。51kdバン
ドと59kdバンドとの間の前駆体−生成物の関係は、ウ
イルスが生産したgDに関する報告(14、42、46、
47)と非常によく似ており、またこのプロセスの反応
速度はCohenらの記載(42)とよく類似している。ウイ
ルス感染細胞における前駆体と生成物の分子量の相違
は、N−結合およびO−結合オリゴサッカライドの双方
に起因している(48)。
【0036】gDが細胞表面へ輸送されるかどうか調べ
るために、間接免疫蛍光実験を行なった。これらの検討
では、細胞膜を透過せしめないような条件下(49)で、
固定していない細胞を、家兎、マウスおよびヒト抗HS
V−1抗体と反応させた。gD細胞と成体(親)CHO細
胞(1:1の比)をカバーグラス(2.2×2.2cm)に載
せ、細胞が約60%密集(confluent)するまで発育させ
た。HSV−1の抗体を含有することが判っているヒト
血清(50)をリン酸緩衝食塩液(PBS)で40倍に希釈
して、洗滌した細胞にその100μlをピペットで滴下
し、増湿箱の中で室温で30分間インキュベートした。
細胞をPBSに3回浸漬して、結合していない抗体を洗
い去り、次に20倍希釈のテトラメチルロダミンイソチ
オシアネート−標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(Cappel La
boratories)100μlと更に30分間インキュベートし
た。結合しなかった標識抗体をPBSで洗い去り、細胞
を氷冷した、50%エタノールおよび100%エタノー
ル中で脱水し、顕微鏡のスライドグラス上でグリセロー
ルで再水和した(49)。次に細胞を蛍光顕微鏡(Zeiss)
で位相差および蛍光光学下に検鏡した。図9のAは、g
D12およびCHO細胞の位相差光学的顕微鏡像であ
り、Bは、Aと同じ細胞を蛍光像で把えたものである。
位相差顕微鏡像と蛍光顕微鏡像を比較すると(図9)、g
D12細胞は強く標識されているのに対し、成体(親)C
HO細胞は標識抗体とほとんどまたは全く結合しなかっ
たことがわかる。HSV抗体に対してネガティブである
ことが知られている正常マウス血清、正常家兎血清、ま
たはヒト血清で行なった対照実験では、何ら特異的な細
胞の標識は検出できなかった。これらの検討からgDは
細胞表面へ輸送されることが示唆された。細胞膜を透過
させ得ることが知られている薬剤(メタノールまたはア
セトン)で標識する前に固定したCHOおよびgD細胞で
の実験では、異なった標識パターンが得られた。これら
の検討で、抗HSV−1抗体によるgD12細胞の強い
核周囲標識が観察されたが、CHO細胞では何ら特異的
な標識化が見られなかった。
【0037】gD12細胞がヒトのHSV−1およびH
SV−2感染に対し適切な抗原決定基を発現するかどう
か決定するために、抗HSV−1抗体または抗HSV−
2抗体を有することが判っている個体(50)から得た抗
体の結合性を検討した。代謝的に標識したgD12細胞
から得られた細胞溶解物の放射免疫沈降反応では、げっ
歯類の抗HSV血清で得られた結果に匹敵し得る結果を
得た(図10)。同様に、ヒト抗HSV−1血清は、間接
的免疫蛍光測定法により、特異的なgD12細胞の標識
化を示す(図9)が、成体CHO細胞系を標識化しなかっ
た。これらから、種々のげっ歯類の抗HSV−1および
抗HSV−2抗血清、単クローン性抗gD抗体およびヒ
ト抗HSV抗血清によって得られた結果は、gD12細
胞表面に発現されたgDは、野性の該ウイルスと共通し
た多くの抗原決定基を有しており、しかもこれらの決定
基の構造は他のHSV−1タンパク質との相互反応に依
存していないという証據を提供している。試験した単ク
ローン性抗体の一つ(1−S)がインビトロ(41)および
インビボ(51)でHSV−1を中和することが知られて
いる事実は、CHO細胞で生産されるgDが野性のウイ
ルスと共通した中和抗原決定基を少なくとも1個は有し
ていることを示している。
【0038】gD12細胞に対する抗HSV抗体の結合
を定量的に測定するために酵素標識イムノソープション
アッセイ(enzyme−linked immunosorbtionassay)(EL
ISA)が開発された(52)。今回の研究では、96穴
のマイクロタイター組織培養平板を使用し、gD12細
胞とCHO細胞を交互に穴に加え、化学的に固定した。
次にHSVに対する抗体を有することが判っている種々
の抗血清を連続的に逐次希釈して加え、固定した細胞と
反応させた。測定の終末点で、各穴の吸光度を測定し、
正常な結合曲線を作成した。gD12細胞に対する抗体
の特異的な結合は、gD12細胞で得られた値から成体
CHO細胞で得られた値を減じることによって決定し
た。高い力価の血清による特異な結合は1:10,000
に希釈して検出することができた。
【0039】gD12細胞ELISA測定法を使用して
測定した血清力価を、通常の方法により決定した抗HS
V−1と抗HSV−2力価と比較した。予じめ通常の方
法、即ち、血液凝集阻止反応(IHF)または補体結合反
応(CF)でHSVに対する力価測定を行なったヒト血清
(50)を逐次希釈し、gD12細胞系または成体CHO
細胞系を含有するマイクロタイター板の孔に加え、抗g
D抗体の結合をELISA測定法で調べた。gD12細
胞とCHO細胞は96穴のマイクロタイター組織培養平
板(Falcon Labware)の穴に交互に植え、10%ウシ
胎児血清を加えたF12培地(GIBCO)中で、密集し
て発育させた。細胞をリン酸緩衝食塩液(PBS)で3回
洗滌し、次に0.0625%グルタールアルデヒドを加
えたPBSで化学的に固定した。細胞は再度PBSで3
回洗滌し、所望の時期まで、1%ウシ血清アルブミン、
100mMグリシン、1mM NaN3を含有するPBS中
で4℃で貯蔵した。抗gD抗体力価を測定するには、細
胞をPBSで洗滌し、逐次希釈した抗血清を固定した細
胞と室温で1時間反応させた(最終容量50μl)。結合
しない抗体を洗い去り、細胞を西洋ワサビペルオキシダ
ーゼ(Tago Inc.)とカップリングさせたヤギの抗ヒ
トIgG(1:2000希釈)50μlとインキュベートし
た。酵素を結合した抗体を室温で1時間反応させ、次に
細胞をPBSで3回洗滌した。インキュベーションの
後、ペルオシキダーゼの基質、o−フェニレンジアミン
を加え(200μl)、更に10分間反応を進行させた。
2.5M H2SO4(50μl)を加えて反応を停止し、各
穴の反応液の吸光度を自動ブレートリーディングスペク
トロフォトメーター(Titertek)で測定した。図11に
おいて、白丸および黒丸で表わした血清は、128のH
SV−1 CF力価、および4096のHSV−1およ
びHSV−2のIHF力価を示している。白の四角およ
び黒の四角で表わした血清は、8以下のHSV−1CF
力価、8以下のHSV−1およびHSV−2 IHF力
価を示している。A図の黒丸および黒の四角はgD12
細胞との結合を示し、白丸および白の四角はCHO細胞
との結合を示す。B図の黒丸および黒の四角は、Aにお
ける値を差引いて算出したgD12細胞への特異的な結
合を示す。図11から、通常の方法による測定で高い抗
HSV力価を示した血清は、ELISA法でも高い力価
が得られるが、一方、低い抗HSV力価の別の血清では
gD12ELISAで検出し得る結合が得られないこと
が判る。
【0040】記載した検討から、安定した細胞系列は、
ヘルペスウイルス感染によって生じる抗体と結合するト
ランスフェクト遺伝子産物を、細胞表面に構成的に発現
することが証明された。
【0041】gD12細胞によるマウスの免疫感作 雌性BALB/c系マウス(5週令)20匹をSi−monsen
Laboratories(Gilroy、California)から入手し
た。マウスを各10匹づつの“実験"群と“対照"群の2
群に分けた。実験群の各マウスには、細胞表面にHSV
−1糖タンパク質Dを発現することが知られているgD
12細胞を注射した。対照群の各マウスには、gD12
細胞が誘導された成体(親)チャイニーズハムスターの卵
巣細胞系(CHO細胞)を注射した。マウスを免疫感作す
るために、この2つのタイプの細胞を15cmの組織培養
皿に密集して増殖させた。CHO細胞は、市販の透析し
た7%ウシ胎児血清(GIBCO)、ペニシリン(100u
/ml)、およびストレプトマイシン(100u/ml)を添加
したHams F12培地(GIBCO)で発育させた。gD
12細胞はグリシン、ヒポキサンチンおよびチミジンを
欠いた同じ培地に発育させた。細胞を回収するため、各
皿を15mlのリン酸緩衝食塩液(PBS)で2回洗滌し、
次に0.02%EDTAを加えた15mlのPBSで処理
した。15〜20分後に細胞を皿から除き、臨床検査用
遠心機(IECモデルCL臨床用遠心機、ローターモデ
ル221)を用い、全速回転で5分間遠心分離すること
によりペレット化した。上清を廃棄し、各15cmの皿上
の細胞当たりPBSの最終濃度が1mlとなるよう、細胞
をPBSに再懸濁させた。各マウス1匹当たり0.5ml
の細胞浮遊液(〜5×106細胞)を、その0.25mlを腹
腔内に、0.25mlを頸背部のたるんだ皮膚に皮下注射
するやり方で注入した。次いでマウスに、一次免疫感作
後38日目および55日目の2回、新しい細胞(前記と
同様にして調製する)で追加免疫した。68日目に、マ
ウスの尾静脈から採血し、インビトロの中和試験用の血
清を得た。70日目にマウスにHSV−1(Mac Inty
re株)をチャレンジ(抗原刺激)した。ウイルスのチャレ
ンジは、各マウス当たり2×107pfuのウイルスの腹腔
内注射によって行なった。マウスの死亡率、1日おきの
体重変化および麻痺の出現を毎日記録した。対照群のマ
ウスは、ウイルスチャレンジ後7日以内に全例死亡した
のに対し、実験群マウスは全例防御され、何ら感染の徴
候を示さなかった。この研究によって、gD12細胞に
よる免疫感作は致死量のHSV−1ウイルスのチャレン
ジを防御することが結論された。
【0042】種々の選択マーカーを使用して、種々のト
ランスフェクション計画が可能である。例えば、マウス
L細胞は変異体dhfr遺伝子を選択マーカーとして使用し
て、有効にトランスフェクションされる。gD遺伝子
を、そのようなマーカーを包含するベクターを介してそ
のような細胞にトランスフェクトした。原則として、本
発明者らが記載した方法は、膜タンパク質の発現が所望
される如何なる状況においても適用が可能である。
【0043】先端切断型gD遺伝子の発現 これまでの記述は膜結合型gDタンパク質の生産に関す
る。然しながら、図6に関連して先に論じたように、H
SV−1とHSV−2のgDタンパク質のアミノ酸配列
の解析から、いずれの場合も疎水性/親水性カルボキシ
ル末端の膜結合領域の存在することが確かめられた(図
12)。
【0044】HSV−1糖タンパク質(gD)の模式図 遺伝子配列から導かれたgD遺伝子配列のヒドロパシー
解析(31a)から、タンパク質の疎水性領域(陰影部分)
および親水性領域(+印)が決定された。膜に局在し、結
合するのに重要であると思われる領域だけを示した。機
能的領域は、a)シグナル配列(33)、b)疎水性の膜透過
領域、c)荷電している膜固定領域である。推定される3
ケ所のN−連結糖付加部位はGの文字で示す。発現プラ
スミドは、pBR322の細菌性複製起源とアンピシリ
ン耐性遺伝子、SV40初期(第一)プロモーターの転写
コントロール下にあるマウスジヒドロ葉酸レダクターゼ
遺伝子を暗号化しているcDNA挿入体(53)、および
第2のSV40初期プロモーターの転写コントロール下
にあるgDの最初の300アミノ酸を暗号化しているHi
nd III−Hinf1断片から成る。この断片のHindI
II部位はgD遺伝子のイニシエーターメチオニンの5'
−位側へ74bpに位置している。SV−40の初期領域
ベクターのHindIII部位(36)はSV40プロモー
ターのGoldberg−Hognessボックスの3'−位側へ25
0bpに位置している。Hinf1部位(KlenowDNAポリ
メラーゼと4デオキシヌクレオチド−3リン酸で平滑化
した)を、B型肝炎ウイルスの表面抗原遺伝子の3'非翻
訳領域のHpa 1部位(36)へ連結(リゲーション)す
る。この方法は先端切断HSV−2遺伝子を生産するの
にも有用である。得られた配列は、gD遺伝子のアミノ
酸300のすぐ後に停止コドン(TAA)を作り出す。先
端切断gD遺伝子転写のための転写停止およびポリアデ
ニル化部位は、B型肝炎表面抗原遺伝子の3'非翻訳領
域(36)により暗号化されている。
【0045】プラスミドpgDtrunc.dhfrは次のように
して組み立てられた。gDを含有している2.9キロベー
スのSac1断片を、Sac1で切断したプラスミドpFM
3(前述)中でHSV−1ゲノム(前述)からクローンした
BamHI断片から分離した。完全なgD遺伝子を含有す
る1.6kb HindIII−BstN1断片を、HindII
I−BstN1で消化したpFM42(EPO特許出願第6
8693号)へサブクローンした。次に、このプラスミ
ドをHinf1で切断し、Klenow DNAポリメラーゼと
4個のデオキシヌクレオチド−3リン酸で平滑化し、次
いでHindIIIで切断した。先端を切断したgD遺伝子
を含有する960塩基対(bp)のHindIII−プラント
(平滑化)Hinf1断片を分離し、HindIII−Hpa1で
消化したpEHBal14へ連結した。得られた組み立て
体(pgDCos−trunc)は、その3プライム末端にB型肝
炎ウイルスの表面抗原遺伝子を持った先端切断gD遺伝
子を含有していた。先端を切断されたgD遺伝子を含有
する2.3kb HindIII−BamH1断片をpgDCos
−truncから分離した。SV−40由来の初期プロモー
ターおよびpBR322アンピシリン耐性遺伝子および
細菌性複製起源を含有する2.8kb断片をプラスミドp
EHBal14から分離した。第2のSV−40初期プロ
モーターの転写コントロール下にあるマウスジヒドロ葉
酸レダクターゼcDNAクローンを含有する2.1kb断
片をプラスミドpE348HBVE400D22(36)
から分離した。これら3個の断片をT4DNAリガーゼ
で連結し、得られた混合物をE.coli細菌株294への
導入に使用した。得られたコロニーから得たプラスミド
DNAをSac2でスクリーニングし、正確に組み立てら
れたpgDtrunc.dhfr(図13)を更にトランスフェクシ
ョン研究に使用した。
【0046】プラスミドpEHBal14は、SV−40
−肝炎ウイルスのキメラ遺伝子であるpE342ΔR
1(後述)をXbaIで開裂することにより、一度HBV表
面抗原の暗号化領域において開裂し、引続きこのXbaI
部位の周囲の配列をヌクレアーゼBal31を使用して除
去することにより組み立てた。このプラスミドを合成オ
リゴヌクレオチド5'−AGCTGAATTCの存在下
でライゲートした。これにより、HBV、DNAにHin
dIII制限部位が加わる。
【0047】得られたプラスミドを、〜150bpのEco
RI−HindIII断片についてスクリーニングした。p
EHBal14の配列決定をし、HindIII部位はHBs
Ag開始コドンが標準的に見出される場所のすぐ上流の
位置に存在することが確かめられた。このように、この
組み立てにより、クローンするのに好適な独特のHind
III部位が、高度に発現されるタンパク質(HBsAg)
の翻訳開始位置に置かれる。タンパク質を高度に発現す
るのに必要ななんらかの推定されるシグナルが、この
5'−リーダー配列上に存在するはずである。
【0048】HBV表面抗原を発現するプラスミドpE
342(pHBs348−Eとも呼ばれる)は、EPO公報
第0073656号(1983年3月9日)にLevinson
らにより記載されている(簡単に説明すると、Simianウ
イルスSV40の起源は、SV40DNAをHindII
Iで消化し、コンバーター(AGCTGAATTC)を加
えることによりHindIII末端をEcoRI末端へ変換
することによって分離した。)。このDNAをPvuII
で切断し、RIリンカーを加えた。次いでEcoRIで消
化した後、起源にまで及ぶ348塩基対(bp)の断片をポ
リアクリルアミドゲル電気泳動法および電気溶出法によ
り分離し、pBR322にクローンした。HBVをEco
RIおよびBgIIIで消化して得られた1986bp断
片(AnimalVirus Genetics,(Ch.5)Acad.Pres
s,N.Y.(1980))(これはHBsAgを暗号化してい
る遺伝子にまで及ぶ)をプラスミドpML(Luskyら,Nat
ure,293:79(1981))のEcoRIとBamHI部位
にクローンすることによって、発現プラスミドpHBS
342−Eを組み立てた。(pMLは、サル細胞における
プラスミド複製を抑制する配列を欠失したpBR322
の誘導体である)。次に、得られたプラスミド(pRI−
Bgl)をEcoRIとつなぎ、SV40の起源領域を表わ
す348bpの断片をpRI−BglのEcoRI部位へ導入
した。起源断片はどちらの方向からでも挿入できる。こ
の断片は複製起源だけではなく、初期および後期SV4
0プロモーターの両方を暗号化しているので、HBV遺
伝子はこの方向によってどちらかのプロモーターのコン
トロール下に発現されることができる(HBsを表わすp
HBS−348−Eは初期プロモーターのコントロール
下に発現される)。pE342は、EcoRIで部分消化
し、KlenowDNAポリメラーゼIを使用して切断部位
を充填し、プラスミドの背後同志を連結(リゲーション)
し、pE342のSV40起源に先行するEcoRI部位
を除くことにより修飾された。得られたプラスミドはp
E342ΔRIと命名した。
【0049】得られた配列はgD遺伝子のアミノ酸30
0のすぐ後に停止コドン(TAA)を作り出す。先端を切
り取ったgD遺伝子転写の転写停止部位とポリアデニル
化部位は、B型肝炎ウイルス表面抗原の非翻訳3'領域
(36)によって暗号化されている。
【0050】生成したベクターをdhfr-CHO細胞系(3
9)へトランスフェクション(DNA感染)させ、先端を
切り取ったgDタンパク質を生産し、それを周囲の媒質
へ分泌する好適なクローンgD10.2を選択した。タン
パク質を媒質から抽出し、細胞の免疫原性活性を試験し
た。図14に、細胞内および細胞外の35S−メチオニン
標識抽出物の免疫沈降試験の成績を示す。
【0051】細胞連合型および分泌型gDの放射免疫沈
降試験 市販の透析した7%のウシ胎児血清(Gibco)、ペニシリ
ン(100u/ml)、およびストレプトマイシン(100u
/ml)を添加したHamのF12培地(Gibco)に細胞を発
育させた。培養が約80%に密集した時に、培地を除去
し、細胞をリン酸緩衝食塩液(PBS)で2回洗滌し、標
識培地(1/10規定濃度のメチオニンを含有するDulb
eccoにより改良されたEagle培地)を最終濃度0.05ml
/cm2となるまで加えた。35S−メチオニン(SJ.20
4、Amersham Int.)を最終濃度50〜75uCi/ml
となるまで加え、細胞を18〜20時間発育させた。標
識後、培地を回収し、細胞をPBSで2回洗滌し、0.
02%EDTAを加えたPBSで処理することにより培
養皿から除いた。次に細胞を、PBS、3%NP−4
0、0.1%ウシ血清アルブミン、5×10-5Mフェニ
ルメチルスルホニルフルオリド、および0.017TI
U/mlのアポプロチニンから成る細胞溶解緩衝液に溶解
し、得られた溶解液を12,000×gで遠心分離するこ
とにより透明にした。免疫沈降反応に使用するため、細
胞溶解液をPBSで3倍に希釈し、検液(標準的には1
80μl)を2〜5μlの抗血清と混合し、4℃で30分
間インキュベートした。分泌型のgDを免疫沈降するた
め、500μlの条件培地を2μlの抗血清と30分間、
4℃でインキュベートした。免疫複合体はKesslerの方
法(40a)により固定したS.aureus細胞に吸着させ、
12,000×gで30分間遠心分離して沈降させた。次
に、S.aureus細胞を洗滌緩衝液(PBS、1%NP−
40、0.30%ドデシル硫酸ナトリウム)で3回洗滌
し、免疫複合体を20μlのポリアクリルアミドゲルサ
ンプル緩衝液(10%グリセロール、5%2−メルカプ
トエタノール、0.01%ブロモフェノールブルーを含
有する62.5mMトリス−HCl緩衝液(pH6.8))で、
90℃で3分間溶出した。30秒間遠心後、Laemmliの
方法(45)に従い、上清を10%ポリアクリルアミド平
板(スラブ)ゲルに掛けた。A:gD12細胞系から得た全
膜結合型gDの免疫沈降線。B:2個の別個に誘導した細
胞系(1および2)の溶解液から得た先端切断gDの細胞
連合型の免疫沈降線。C:Bに示した2個の細胞系の培
養上清から得られた先端切断gDの免疫沈降線。(−)
は、対照家兎抗血清を示し、(+)は、家兎抗HSV−1
抗血清を示す(Dako Corp.)。
【0052】図に見られるように、35,000ダルト
ンの細胞内型、および分泌され、明らかに糖付加されて
いる細胞外gDタンパク質が明瞭である。
【0053】免疫感作に使用する先端切断gD製剤 gD10.2細胞を、ポリスチレン製回転組織培養瓶(Co
rning 25140)で、市販の透析した7%ウシ胎児血
清、50μg/mlのストレプトマイシン、および0.3μ
gのグルタミンを添加したF12培地中で密に発育させ
た。密生後、培地を除き、ウシ胎児血清を含まない同じ
培養液で3回洗滌し、2mg/mlのHepes緩衝液(血清を
含まぬ培地)を添加した。細胞を血清を含まぬ培地中で
3〜4日発育させ。次に条件付き培地を回収して、−2
0℃で貯蔵した。培地を37℃で融解し、SorvallGS
−3ローターで20分間500rpmで遠心した。遠心
後、ペレットは破棄し、上清はYM−5限外濾過膜を備
えた限外濾過装置(Amicon)で濃縮した。得られた標品
を出発物質と比較して約150倍に濃縮したところ、1
l当たり約8mgのタンパク質を含有していた。次にこの
標品をリン酸緩衝食塩液(PBS)でよく透析し、それ以
上精製することなく免疫感作に使用した。
【0054】マウスの免疫感作 各8週令のBALB/C系マウスを、50%の水性抗原
と50%完全フロイントアジュバントからなる200μ
lの乳液に含有される36μgのタンパク質で免疫感作し
た。それぞれのマウスは次のような皮内および皮下部位
の各所に免疫した:各後脚部に25μlずつ、尾に50μ
l、および背中に沿って3〜5ケ所の皮内部位に100
μlを分布させた。最初の免疫感作から4週間後に、上
記と同様の36μgのタンパク質を、今度は不完全フロ
イントアジュバントを使用して調製した乳液で追加免疫
した。追加免疫では、各マウスは200μlの抗原乳液
を次のように分布して投与された:尾に50μl、背中に
沿って5ケ所の皮内部位に150μlを分布させた。追
加免疫から19日後に、各マウス毎に尾部採血により約
500μlの血液を採取した。この血液から得られた血
清は、インビトロの中和実験に使用した(下記参照)。追
加免疫から37日後に、マウスをウイルスチャレンジ試
験に使用した。実験マウス群と年令、性および系統を一
致させた対照マウス群は、実験群と同一のプロトコール
でヒト血清アルブミン(1匹当たり15μg)を用いて免
疫した。
【0055】インビトロの中和試験 gD10.2培養上清濃縮物で免疫した11匹のマウスか
ら得られた血清を用い、インビトロにおけるHSV−1
の中和能について試験した。逐次希釈したマウス血清
(倍数希釈法: 1:8〜1:16384)を約40pfuのH
SVとDulbecoが改良したEagle培地(DMEM)中で1
時間、37℃でインキュベートした。血清インキュベー
ションの後、96穴の組織培養板の各穴に含有される約
40,000vero細胞に各希釈液を適用した。3〜4日
後、各穴を0.5%クリスタルバイオレットで染色し
て、ウイルスの増殖を測定した。ウイルスの増殖が起こ
った穴は染色を示さなかった。ウイルスによる細胞死を
防御した最高血清希釈度を測定し、中和力価を算出し
た。gD10.2の上清物質で免疫したマウスから得られ
た試験血清(n=10)は、すべてHSV−1中和活性
(1:16〜1:512)およびHSV−2中和活性(1:8
〜1:16)を示した。対照マウス血清(n=8)からは何
ら中和反応を提供できなかった。HSV−1で免疫した
マウスから得られた血清では1:32の中和力価が得ら
れた。
【0056】ウイルスチャレンジ gD10.2上清濃縮物で免疫した11匹のマウスとヒト
血清アルブミンで免疫した13匹の対照マウスに、1
0,000,000pfuのHSV−1(Mac Intyre株)を
腹腔内注射することによりチャレンジした。gD12で
免疫したマウスでは、ウイルス注射から14日間、何ら
ウイルス感染の徴候を示さなかった。対照群では、13
匹のマウス中の7匹が14日までに死亡し、3匹は重篤
な衰弱と麻痺を示し、3匹は健康に見えた。統計的解析
(Fisherの直接検定法、両側検定)で、免疫群と対照群
の間の差はP=0.002の水準で有意であった(表
1)。
【0057】
【表1】 表1 実験 マウス HSV-1 HSV-2 HSV-12)4) チャレンジ番号 数 抗原 中和活性1) 中和活性1) 麻痺 死亡 生存 509C 11 gDtrunc3) 1:16-1:512 1:8-1:16 0 0 11 509D 13 HSA 0 0 3 7 3 1.分泌型gDの追加免疫を接種してから19日後に、
マウス血清のHSV−1およびHSV−2ウイルス中和
活性を試験した。マウス血清を倍数希釈(1:8〜1:1
6384)し、これをHSV−1またはHSV−2の4
0プラーク形成単位(pfu)と37℃で1時間インキュベ
ートした。各希釈液を、96穴のマイクロタイターの各
穴に含まれている40,000vero細胞に適用した。4
日後、0.5%クリスタルバイオレットで細胞を染色し
た。中和力価は、ウイルスの増殖を防御する最高血清希
釈度を測定することにより算出した。 2.マウスはHSV−1(MacIntyre株)の1×107
ラーク形成単位(pfu)を腹腔内注射することによりチャ
レンジした。チャレンジしたマウスは、HSV−1感染
について3週間観察した。 3.各マウスは、それぞれ約3μgの分泌型gDの50%
水と50%フロイントアジュバント溶液で免疫した。マ
ウスは皮内および皮下部位の各所に免疫した。最初の免
疫から4週間後に、マウスは追加免疫をした。追加免疫
して19日後にマウスはチャレンジを受けた。対照マウ
スは等量のヒト血清アルブミン(HSA)で免疫された。 4.P=0.002水準で有意。gD12細胞から培地中
へ遊離された。先端を切断したタンパク質は、マウスの
HSV−1の致死量感染を防御することが明らかになっ
た。
【0058】HSV−2ウイルスチャレンジのための抗
原製剤 250nMメソトレキセートの存在で発育させ、増殖さ
せたgD10、2.2細胞を回転培養瓶(850cm2)に植
え、7%のウシ胎児血清を添加したHam'sF12培地
(GIBCO)で培養した。細胞が密に繁殖した後(約3
日後)、培地を除去し、細胞をリン酸緩衝食塩液(PB
S)で3回洗滌して血清タンパク質を除去し、新たに
“血清を含まない"培養液を加えた。血清を含まない培
地は、25mMのHepes緩衝液を含有するHam'sF12
培地から成っていた。細胞を3日間培養し、生成した条
件付き培地(調整培地)を回収し、抗原調製に使用した。
次に、血清を含まない培地を細胞に加え、3日毎に条件
付き培地を回収する繰り返しを、細胞が死ぬか、または
培養表面にもはや付着しなくなるまで、更に1〜2回行
なった。次に血清を含まないgD10.2.2の条件付
き培地(調整培地)を、濾過し、低速度で遠心して細胞残
渣を除き、得られた材料を限外濾過装置(YM−10メ
ンブラン、Amicon)を用いて10〜20倍に濃縮した。
次いで濃縮した培地をPBSに対して一夜透析した(P
BSを3回交換、交換当たり1リットル)。次に、得ら
れた材料を測定してタンパク質濃度を決定し、タンパク
質組成を決定し標品の純度を調べるため、ポリアクリル
アミドゲル電気泳動法により分析した。この方法により
調製した材料は、下記のように動物のHSV−2感染に
対して免疫するのに使用した。
【0059】HSV−2感染に対するマウスの免疫感作 40匹の雌性BALB/c系マウスをCharles River
Laboratories(Boston,MA)から入手し、12週令
時に、分泌型gDタンパク質(gDtrunc)またはヒト血清
アルブミン(HSA)で免疫した。分泌型gDタンパク質
に対する初回免疫では、抗原をリン酸緩衝食塩液で約7
0μg/mlの濃度となるように調節し、等量の完全フロ
イントアジュバントを加えて乳化した。各マウスはそれ
ぞれこの懸濁液の200μlで、次のような分布で免疫
した:尾の付け根から約1cmの部位に50μlを皮下注、
後方の各脚部にそれぞれ25μlを皮下注、背中に沿っ
て100μlを3〜5ケ所に分けて、皮内注射。次にマ
ウスは初回免疫から1ケ月後に同じ抗原で追加免疫し
た。追加免疫の場合は、抗原は初回免疫の場合と同じ方
法で調製するが、但し、完全フロイントアジュバントの
代わりに、不完全フロイントアジュバントを使用した。
追加免疫では、各マウスにそれぞれ200μlの抗原乳
液を次のような分布で注射した;尾部に50μl、各大腿
上のたるんだ皮膚にそれぞれ25μlずつ皮下注、背中
に沿って100μlを3〜5ケ所に分けて皮内注射。対
照マウス群は、実験マウス群と同じプロトコールに従
い、免疫原として分泌gDタンパク質の代わりにヒト血
清アルブミンで免疫した。インビトロの中和試験に使用
するため、追加免疫から24日後にマウスから血清を採
取した。
【0060】HSV−2ウイルスチャレンジ 実験群(分泌型gD注射群)および対照群(HSV注射群)
のマウスを、いずれも追加免疫をしてから30日後にH
SV−2(MS株)を腹腔内注射してチャレンジした。各
マウスは、10%のウシ胎児血清を含有するDulbecco
の改良したEagle培地(DMEM)100μl中の2×1
5pfuのウイルスを投与した。LD50実験の結果、この
量は正常(注射していない)BALB/cマウス母集団の
50%致死に要するウイルス量の100〜500倍に相
当することが明らかになった。ウイルスを注射したマウ
スは3週間観察した。対照マウス(HSAを注射)はウイ
ルスチャレンジ後9日以内に全例死亡した。分泌型gD
タンパク質のワクチン投与を受けたマウスは、全例との
3週間完全に生存し、正常に見えた(即ち、衰弱または
麻痺を示さなかった)。
【0061】
【表2】 表2 実験 マウス 抗原 HSV-1中和1) HSV-2中和1) HSV-12) チャレンジ番号 数 麻 痺 死亡 生存 579C 15 gDtrunc 1:1024- 1:512- 0 0 15 1:2048 1:1024 579D 25 HSA 0 0 0 25 0 1.マウス血清は、分泌型gD追加免疫を行なってから
19日後に、HSV−1およびHSV−2中和活性につ
いて試験した。倍数希釈したマウス血清(1:8−1:1
6384)を40プラーク形成単位のHSV−1または
HSV−2と37℃で1時間インキュベートした。各希
釈液は96穴のマイクロタイターの各穴に含有する4
0,000vero細胞に適用した。4日後細胞は0.5%ク
リスタルバイオレットで染色した。中和力価はウイルス
増殖を防御する最高血清希釈度を測定することにより算
出した。示した値は中和力価の平均値で表わしてある。 2.HSV−2チャレンジの詳細については本文参照。
先端を切断した糖タンパク質Dは、先述したようにgD
10.2細胞系の発育により条件付けられた培養基から
精製した。培養液は限外濾過によって濃縮し、先端切断
gDはセファロース4Bにカップリングさせた抗gD−1
単クローン性抗体を使用する免疫アフイニティークロマ
トグラフィーによって精製した。先端を切断したHSV
−1糖タンパク質D(gD−1)は、先述のように、gD1
0.2細胞の発育によって条件付けられた血清を含まな
い培地から分離した。細胞培養液は、市販のメンブラン
(Amico Corp.)を使用する限外濾過と硫酸アンモニ
ウム沈澱法により濃縮した。次いで免疫アフィニティー
クロマトグラフィーによりgD−1を精製し、均質に近
づけた。免疫アフィニティー用カラムは、HSV−1に
対して産生せしめた単クローン性抗体と交差結合したセ
ファロース(Pharmacia Fine Chemicals)をカップ
リングすることにより調製し、Axenら(Nature214:
1302〜1304(1967))が記載しているのと同
様の方法により溶出した。gD10.2細胞系によって条
件付けられた未分画の培養液の主な生成物は、成熟した
先端切断型のgD−1(〜43−46kb)とgDの前駆型
(〜38−40kb)である。gDタンパク質は、増殖調整
培地に存在するタンパク質の、平均20〜25%を占め
ている。この物質を免疫アフィニティークロマトグラフ
ィーで分画することによりgDはかなり豊富化された。
溶出した物質は銀染色により検出し得る汚染したタンパ
ク質を全く含んでいないことが判った。このプロトコー
ルに基づくタンパク質の精製によってタンパク質の変性
や、分子の抗原性構造の破壊が起こるかどうか調べるた
めに、種々の単クローン性抗体による抗原性の試験を行
なった。この試験において、カルボキシル末端基と反応
するもの以外のすべての抗体が、精製した製剤と反応す
ることが判った。未分画の培養上清に存在する物質と比
較して、精製した製剤の抗体結合の挙動には何らの差違
も検出できなかった。
【0062】精製したgDタンパク質が、HSV−2に
よる外陰部感染を防御するサブユニットワクチンの主成
分として効果的に使用できるかどうかを調べるために、
種々のアジュバントで調製したgDをモルモットに接種
した。第一の試験では、精製gDを完全フロイントアジ
ュバントに混合し、雌性Hartleyモルモットの筋肉内お
よび皮下部位に注射した。2月令で体重約250gの雌
性HartleyモルモットをCharles River Lavorator
ies(Portgan,MI)から購入した。フロイントアジュバ
ントを使用した試験では、50%の完全フロイントアジ
ュバントに乳化した30μgのgD−1を注射した。この
初回免疫感作は次のような分布で行なった:0.5mlを頸
背部の軟かい皮膚へ皮下注射、0.5mlを大腿筋肉内に
注射した。31日後、動物は不完全フロイントアジュバ
ントに混合した同量の抗原で追加免疫した。対照動物は
実験群と同じプロトコールに従い、アジュバントだけを
注射した。実験動物と対照動物は、追加免疫を行なって
から19日後にHSV−2を膣内に感染させてチャレン
ジした。gD−1のアルム−アジュバントを使用する試
験では、30μgのgD−1をリン酸アルミニウムまたは
水酸化アルミニウムのいずれか(0.15ml)のゲルに混
合し、初回および追加免疫の両方に使用した。アルム−
アジュバントは後肢へ筋肉内注射した。動物は初回免疫
から51日後に追加免疫し、更に27日後に生菌ウイル
スでチャレンジした。各動物は、完全フロイントアジュ
バントに混合した30μgの精製したタンパク質による
1回の初回免疫と、不完全フロイントアジュバントに混
合した同量の抗原による1回の追加免疫(31日後)を受
けた。すべての動物は、追加免疫から19日後にHSV
−2の膣内接種によりチャレンジされた。表3にこれら
の試験から得られた成績を示した。gDの接種を受けた
動物は、インビトロのウイルス中和測定でHSV−1お
よびHSV−2の双方の感染を防御し得る高濃度の抗体
を生産することが判る。これらの動物から得られた血清
は、HSV−2よりもHSV−1の方を僅かにより効果
的に中和することが判った。この結果は、免疫原がHS
V−1から誘導されたものであり、gD−1の抗原決定
基には型特異性のある事実から考えて当然のことである
(Eisenberg,R.J.ら、J.Virol.35:428(1
980);Pereira,L.ら、Infect and Immun.
:724(1980);Showalter,J.D.ら、Infec
t.and Immun.34:684(1981))。一層印象的
なことは、gD−1の接種を受けたすべての動物がウイ
ルス感染による臨床的徴候から完全に防御された事実で
あった(即ち、発赤、腫脹、小水疱形成、潰瘍形成、尿
貯留の減少、および致死的な脳炎)。アジュバント単独
を注射した14匹の動物のうちの13匹は、重篤な原発
性の感染を起こした。典型的な癒着を起こして急性の潰
瘍を形成する多数の小水胞が見られた。これに反して、
gD−1を接種した動物ではウイルス感染の前兆が何ら
表れなかった。これらの結果は明らかに、完全フロイン
トアジュバントに混合したgD−1が、HSV−2の外
陰部感染に対し効果的な防御作用を有することを示して
いる。
【0063】完全フロイントアジュバントはヒトの使用
に適さないので、次にヒトの使用に好適なアジュバント
で処方した時、gD−1がHSV−2感染に対して防御
効果を示すかどうか決定することが望まれた。この目的
のために、みょうばん沈澱タンパク質複合体(J.S.
Garveyら、Methods in Immunology(1977)18
5頁(17))の研究が開始された。表3には、gD−1を
水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムゲルに混
合して使用して得られた成績を比較している。対照試験
では、動物はアジュバント単独を接種された。アルミニ
ウムによる両製剤ともHSV−1に対する高濃度の中和
抗体を誘発し、またHSV−1に対する中和力価は、完
全フロイントアジュバントに混合したgD−1に対し誘
発される力価に匹敵し得るものであることが認められ
た。然しながら、HSV−2を中和し得る抗体の力価
は、完全フロイントアジュバントに混合したgD1に比
べて、アルミニウム製剤のいずれかに混合したgD−1
の場合の方が有意に低かった。この結果は、アルミニウ
ムに混合したgD−1は、HSV−1とHSV−2に共
通した1個またはそれ以上の抗原決定基の消失を生じる
か、またはタンパク質をフロイントアジュバントに混合
した場合の方が、交差反応性抗原の認識がより一層効果
的であることを示唆している。この成績はまた、HSV
−1とHSV−2に対する中和力価が水酸化アルミニウ
ムの場合の方が、リン酸アルミニウムの場合よりも有意
に高いことから、前者の方が後者より効果的なアジュバ
ントであることを示唆している。
【0064】アルミニウムアジュバント製剤によって得
られた防御効果は、フロイントアジュバント製剤で得ら
れたものより低いが、それでもなお有意である。多くの
動物がウイルス感染の徴候を示すが、感染の重篤度はア
ジュバント単独を注射した対照動物の場合に比較してか
なり軽い。即ち、障害度の平均点数は、アジュバントを
注射した対照動物の障害度の平均点数が3.2であるの
に比較して、リン酸アルミニウムワクチン製剤を接種し
た動物では0.9、水酸化アルミニウムに基づく製剤の
場合は0.7であった。障害の重篤度の採点に使用した
4+評価法に従えば、平均障害点数3.2から0.7へ低
下することは、臨床症状において、数個の大水疱(3点)
から軽度の発赤および腫脹(0.5点)へ低下するのに対
応する。興味深いことは、これらの試験を通じて、イン
ビトロでのHSV−2に対する平均中和力価が臨床疾患
の重篤度と良く相関していた。
【0065】上記の結果は、HSV−2による外陰部の
原発性感染の臨床的発現が、組み換え体gD−1のワク
チン接種によって低下することを証明している。得られ
た結果は、HSV−1から誘導された単一の糖タンパク
質が強力なアジュバントと組み合わせて投与すると、外
陰部のHSV−2感染を完全に防御できることを示して
いる。
【0066】
【表3】 * インビトロの中和試験は先の記載と同様にして実
施した。 ** モルモットは、Stanberry,L.R.ら(J.Inf
et.Dis.146:397(1982))の記載に従い、+
4点評価法で、症状判定(ウイルス感染の特徴を表わす)
および無症状性判定(ウイルス感染の徴候なし)を行なっ
た。要約すれば 0,異常なし;1+、腫脹および発赤;2+、少数の小水
疱;3+、数ケ所の大水疱;4+、数ケ所の大潰瘍性の損
傷。 + 平均障害点数は症候性の動物群で観察される最大
算術平均をとることにより計算した。
【0067】先端切断タンパク質を診断およびワクチン
適用に使用することの進歩性は、それが細胞外媒質へ分
泌されるので、全細胞製剤で見られるより、汚染タンパ
ク質の夾雑がはるかに少ないということである。
【0068】本発明においては、タンパク質の生産に永
久細胞系を使用していることがわかるであろう。トラン
スフェクションによって、ベクターは細胞系のゲノムに
取り込まれ、細胞溶解を起こすことなくタンパク質を生
産できる。従って細胞系は、タンパク質の連続的生産に
使用でき、特に先端を切り取られた形で細胞から分泌し
て来る。例えば、先端を切り取ったタンパク質を発現す
る細胞は、抗原に富んだ培地を細胞から絶えず除去し、
新鮮な培地と置き換えることにより、灌流系の中で連続
的に使用できる。
【0069】ここに使用した特殊な細胞系はdhfr生産を
欠くCHO系に、dhfrマーカーを含有するベクターを導
入したものであった。該細胞系を好適な条件下にメソト
レキセート(MTS)と接触させることにより(54)、dh
fr生産と、従って連結したgDタンパク質の生産が増幅
される。先端を切断したgD遺伝子をdhfr-CHO細胞に
トランスフェクトさせることにより誘導された3種の細
胞系を並列してプレートに並べ、35S−メチオニンで標
識し、先に図6で記載したように免疫沈降させた。1列
目および2列目は、メソトレキセートで選択する前に独
立して分離された2個の細胞系によって条件付けられた
培養液500μlから免疫沈降させた分泌型gDの量を示
す。3列目は250nMのメソトレキセート中における
発育で選択された細胞系(gD10.2.2)から同量の
培養基へ免疫沈降された先端切断gDの量を示す。1〜
3列目に示した免疫沈降には家兎の抗HSV−1抗体
(DakoCorp.)を使用した。4列目は、gD10.2.
2細胞系により条件づけた500μl培地と正常家兎血
清の対照免疫沈降を表わす。
【0070】メソトレキセートにおける選択前と選択後
の細胞系によって培地中に分泌される先端切断gDの相
対量を定量するため、コンペティティブELISAアッ
セイを実施した。膜結合型gDを発現するgD12細胞を
平板から採り、先に記載した96穴のマイクロタイター
平板の表面にグルタールアルデヒドで固定した。先端を
切断されたgDを生産することが知られている種々の細
胞系からの調整培地を、マイクロタイター平板上に連続
的に逐次希釈し、一定量(2μl)の家兎抗HSV−1抗
体(Dako Corp)と1時間20℃でインキュベートし
た。各穴をPBSで3回洗滌することにより、未結合の
抗体と易溶性の先端を切断したgD−抗体複合体を除去
した。次にヤギ抗家兎IgGとカップリングさせた西洋
ワサビのペルオキシダーゼを固定した細胞と1時間20
℃で反応させ、未結合の抗体をPBSで3回洗滌するこ
とにより除去した。次に比色用基質、OPD(o−フェニ
レンジアミン)を各穴に加え、結合している西洋ワサビ
のペルオキシダーゼ抗体複合体と15分間反応させた。
次いで、硫酸を最終濃度0.25Nとなるまで加えて反
応を停止した。各穴のOPDの吸光度を自動マイクロタ
イタースキャナー(Titertekmultiskan)を使用して測定
し、希釈曲線を作成した。成体(親)CHO細胞系と抗H
SV−1抗体の結合は、各希釈度における非特異的結合
の程度を測定するのに使用した。各培養の上清に含有さ
れる先端切断gDの量は各穴の吸光度量と逆比例した。
白丸は、メソトレキセートで増幅する前の、先端切断g
Dを分泌する細胞によって条件付けされた培地の存在下
における、抗HSV−1抗体のgD12細胞への結合を
表わす。黒丸は、250nMメソトレキセート中の発育
で選択されたgD10.2.2細胞から得た培地の存在
下における抗HSV−1抗体のgD12細胞への結合を
表わす。白の四角は、先端切断したgDを分泌する増幅
していない細胞から得た100倍濃度の培地の存在下
に、抗HSV−1抗体とgD12細胞の結合を表わす。
この方法はgD10.2細胞系において、250nM M
txで発育でき、もとのgD10.2細胞系より約20倍
多量の先端切断gDを培養液中に分泌する増幅細胞系gD
10.2.2を生産するために行なわれる(図15およ
び図16参照)。
【0071】dhfrマーカー/増幅系は、外来性DNAを
獲得し、それを安定に組み込むことができる他の細胞と
も使用できる。
【0072】本発明において、膜に結合させる働きを有
する疎水性−親水性カルボキシル末端領域を欠いている
膜結合性タンパク質の先端切断体がなお免疫原となり得
ることを証明し得たことは、他の膜結合型免疫原タンパ
ク質でも同様の結果を期待し得ることを示しており、ウ
イルス、寄生虫または他の病原微生物に対する改良され
たワクチン源が提供されることが期待できる。
【0073】これまでの実施例では、gDタンパク質の
DNAは、そこに都合の良い制限部位があるので残基3
00の位置で切断された。このことから、図6のヒドロ
パシー図に見られるように、カルボキシル末端疎水性/
親水性領域を完全に除く結果となった。実際、それより
先の領域の残基301〜332の範囲を越えて除去され
ると、タンパク質の免疫原性は明らかに破壊された。従
って、このタンパク質の場合、および恐らく他の免疫原
性の膜結合型タンパク質の場合も、先端切断の程度は、
膜に結合するという性質が除かれ、タンパク質が周囲の
媒質に分泌される効果が得られる限り、かなり少なくし
得るということが、そこから結論される。
【0074】実施例 2 実施例2はHSV−2gCタンパク質(以前はgFタンパ
ク質と命名されていた)に関する。細胞、ウイルス、およびDNA分離 HSV−2(G株)を0.1のインプット多重度HEp2細
胞に感染させた後この細胞培養を、10%のウシ胎児血
清および抗生物質を含有するDulbeccoの改良Eagle培
地で3日間、33℃で増殖させた。HSV−2 DNA
は、前述のようにプロティナーゼKで消化し、CSCl
超遠心により分離した(23)。
【0075】DNA操作 制限酵素、DNAポリメラーゼKlenow 断片、T4D
NAリガーゼ、およびT4ポリヌクレオチドキナーゼは
Bethesda Research Labsから購入し、提供者の指
示に従って使用した。
【0076】HSV−2DNA制限断片の分子クローニ
ング EcoRIで消化したHSV−2DNAを5%ポリアクリ
ルアミドゲルで処理することにより、HSV−2ゲノム
の地図でほぼ0.650の位置に相当するEcoRI“P"
断片を分離した。分離した断片を、EcoRIで消化した
pUC9(28)へクローンした。このプラスミドはpUC
−RIPと呼ばれた。
【0077】次に、pUC−R1Pサブクローンを、Ec
oR1“P"断片を含有するHSV−2ゲノムのSac1断
片の位置を突き止めるのに使用した。サザーンブロッテ
ィング実験(27)によって、HSV−2の4.9Kb S
ac1フラグメントがEcoR1“P"断片を含有している
ことがわかった。この断片を0.7%アガロースゲルで
分離し、独特のSac1部位(55)を含有しているpBR
322誘導プラスミドへクローンした。このプラスミド
は“pBRSac1−E"と呼ばれた。更に、pBRSac1
−“E"の制限酵素分析によりEcoR1“P"断片と配列
相同性を有する2.9kbのSal1断片が証明され、前述
と同様にしてSal1で消化されたpUC9へサブクーロ
ンした。このプラスミドはpgC2Sal2.9と呼ばれた。
【0078】クローンしたHSV−2DNAのDNA配
列解析 DNA配列の大部分はジデオキシヌクレオチドチェーン
ターミネーション法を使用して決定した。種々の断片を
複製型のm13ファージベクター、mp7、mp8、およびm
p9にサブクローンし、前述したようにDNA配列を決
定した(29)。幾つかの場合には、断片を、r−32P−
ATPとT4ポリヌクレアーゼを用いてその5'−位を
32Pで標識し、断片のDNA配列を化学的分解法を使用
して決定した(56)。DNAおよびタンパク質配列のコ
ンピューターを使用する解析はHOMプログラムを用い
て実施した(57)。推定したアミノ酸配列のヒドロパシ
ーは12アミノ酸幅、1ジャンプ法を使用して解析した
(31a)。
【0079】HSV−2DNAのサザーンブロッティン
グ解析 制限エンドヌクレアーゼでHSV−2DNAを消化し、
プラスミドDNAを1.5%アガロースゲル上で分画
し、標準的な方法でニトロセルロース上にブロット(移
し換え)した。図17で星印を付したSac2断片の一本
鎖は、DNAポリメラーゼ1のKlenow断片で充填し、
得られた平滑末端断片を、T4DNAリガーゼを使用し
て、Sma1で消化されたm13m7複製型(29)に連結
(ライゲーション)した。このライゲーションおよびトラ
ンスフェクションにより調製された一本鎖DNAを、D
NAポリメラーゼIのKlenow断片を使用し、高い特異
的活性(1×109CPm/μg)を有する32P−標識一本
鎖プローブDNAの合成の鋳型として使用した。ハイブ
リダイゼーションは標準的な方法を使用して実施した
(27,58)。
【0080】結果 HSV−2ゲノムのgF暗号化領域の分子クローニング HSV−2のgF遺伝子を分離するのに採られた方針
は、この遺伝子がHSV−1 gC遺伝子と共直線的(コ
リニアー)であるという仮定に基づいていた。この仮定
は、HSV−1の糖タンパク質Cと抗原的に相関性のあ
る75,000ダルトンの糖タンパク質gFがHSV−2
中に発見されたこと、およびこのタンパク質のための遺
伝子がHSV−1 gC遺伝子とほぼ共直線的であると言
う最近の知見によって支持されていた(22d、59)。
また、HSV−1 gCおよびHSV−2 gFの双方に結
合する単クローン性抗体が分離されたことは、この二つ
のタンパク質が相互に相同的であるかも知れないことを
更に示唆している(22f)。従って、HSV−gC遺伝子
と共直線的であるHSV−2ゲノム領域のDNA配列を
解析すれば、HSV−2 gF遺伝子の配置を突き止める
タンパク質配列情報の手懸りが得られるであろうと考え
られた。
【0081】HSV−2ゲノムの600塩基対のEcoR
1“P"断片は〜0.650の位置に存在することがわか
った(12)。この領域は、HSV−1ゲノムの約0.6
30〜0.640に位置するHSV−1 gC遺伝子の既
知の暗号化領域(59)とほぼ共直線的である。この断片
はHSV−2DNAのEcoR1消化物から分離され、プ
ラスミドpUC9(28)にクローンされ、そのDNA配
列が決定された(29,56)。得られた配列をHSV−
1 gC配列と比較すると(59)、EcoR1“P"断片と
HSV−1 gC暗号化領域の3'−末端の間に高度の配
列相同性が見られた。それ故、HSV−1 gC遺伝子と
相同性であるHSV−2遺伝子の残りの部分も十分に含
んでいるEcoR1“P"断片と重複しているHSV−2
ゲノムDNAから、Sac1制限エンドヌクレアーゼ断片
を分離するプローブとして、このEcoR1“P"を使用
した。図17には、EcoR1“P"断片を含んでおり、
DNA配列解析に使用した2.9kbのSal1断片をHS
V−2ゲノムから分離するのに要した手順を図示した。
【0082】HSV−2ゲノムのEcoR1“P"領域の
DNA配列 EcoR1“P"断片との配列相同性に基づき、HSV−
2ゲノムから分離した4.3kbのSac1“E"断片を更に
消化して、2.9kbのSal1断片を得て、これをpgC2
al 2.9と命名した。図17は、ジデオキシヌクレオ
チド配列決定法(29)または化学的分解法(56)のいず
れかによりDNA配列解析が行なわれたpgC2Sal 2.
9からの断片を示している。更にこの図は、pgC2Sal
2.9の中のEcoR1“P"断片の位置と同時に、HS
V−2ゲノムの〜0.628の位置のBglII“N"断片
の右側末端に相当するBglII部位の位置を示している
(12)。
【0083】更に詳細に述べると、図17は、HSV−
1 gCと共直線的に配置しているHSV−2領域、pgC
2Sal 2.9のクローニングを示している。〜0.61
〜0.66に配置しているHSV−ゲノムの領域は、6
00塩基対のEcoR1“P"断片をプローブとして使用
し、Sac1断片(pBRSac“E")としてクローンした。
pBRSac“E"のサブクローン、pgC2Sal2.9はDN
A配列解析に使用した。矢印は配列化された領域を表わ
し、その配列から誘導された主な479アミノ酸のオー
プンリーディングフレームの位置が図示されている。E
coR1“P"断片を略示するEcoR1部位、およびBgl
2“N"断片の右端にあるBgl2部位(地図の〜0.62
8の位置)(26)を含む種々の制限部位が示されてい
る。星(★)印で示してあるSac2断片は、この領域に出
現する欠失を調べるために行なったサザーンブロッティ
ング実験に使用した(結果参照)。Sm;Sma1,Sa;Sac
2,Rs:Rsa1,Bg;Bgl2,Pv;Pvu2,R1;EcoR1
などの他の部位はDNA配列決定実験に使用した。
【0084】図19、図20、図21、図22および図
23はpgC2Sal 2.9から得られたDNA配列をHS
V−1 gC領域のDNA配列(59)と比較して示してい
る。HSV−1 gC領域(HSV−1)とpgC2Sal 2.
9から得た配列(HSV−2)はHOMプログラム(57)
を用いて比較した。種々の欠失は配列の重複を最大化す
るのに使用されたから、わかり易くするためにスペース
を含むすべての位置に番号を付けた。星印は一致しない
ヌクレオチドの上に付けた。HSV−1配列の43位に
ある下線を引いた“A"残基は、gCmRNAのほぼ転写
開始部位である(59)。“TATA"1、および“TA
TA"2は、それぞれHSV−1 gCmRNAと730塩
基mRNAの転写コントロール領域と推定される(59,
60)。HSV−1配列の1728の位置に挿入された
T残基はこの領域の配列再決定により発見され(M.Ja
ckson未発表)、それはHSV−2の主オープンリーディ
ングフレームの停止コドンと相同である1735〜17
37の位置にインフェース停止コドンを導入するもので
あることが明らかにされた。第2HSV−2開始コドン
の位置が1975〜1977であるように、HSV−1
の730塩基mRNA開始コドンの位置は2032〜2
034に示されている。
【0085】再び図19、図20、図21、図22およ
び図23において、HSV−2の図示された誘導配列を
HSV−1のgC遺伝子領域のDNA配列(59)と比較
すると、これら二つの断片間の全体的な配列相同性は約
68%であった。然しながら配列のある一定の領域を見
ると、配列相同性の程度は他に比較してはるかに高い
か、または低かった。例えば、HSV−1とHSV−2
の0〜570位の配列は僅かに51%の相同性しか示さ
ないが、570〜1740位の領域は、遥かに高い配列
相同性を示した(80%)。もう一つの相同性の高い領域
(70%)は二つの配列の終りの1975位〜2419位
に見出された。ヌクレオチド配列の変化に加えて、二つ
のゲノムを相互に比較すると、種々の欠失または挿入が
見られた。最も顕著なのはHSV−1 gC配列の346
〜426の位置に見られる81塩基対の領域が、HSV
−2ゲノムでは失われていることであった。この全体的
な配列比較から、ここに配列決定を行なったHSV−1
gC領域とHSV−2領域との間には高度の配列相同性
があることが示された。
【0086】Frinkら(59)は、HSV−1 gCを暗号
化している2,520塩基mRNAの5'−末端が、図1
9、図20、図21、図22および図23の43位の下
線を引いたA残基にマップ(配置)することを発見した。
更に、彼らは、この残基の約22塩基対(5')にATに
富んだ“TATA"ボックス(60)を指摘している。図
19、図20、図21、図22、および図23に示した
二つの配列を比較すると、HSV−1とHSV−2の配
列は共にこの領域に同一の配列、CGGGTATAAA
を含んでいることを示している。この配列は、これまで
決定された多くのHSV−1およびHSV−2配列中の
“TATA"ボックス領域に存在することが見い出され
ている先のWhittonらの報告(61)の配列と一致する。
この保存配列に続いて、両ウイルスゲノムともGに富ん
だ領域がある。この推定上の転写コントロール領域のほ
かに、第2の“TATA"ボックスが図19、図20、
図21、図22および図23に二つの配列の1845〜
1849の位置に見出された。この第2の“TATA"
ボックスはHSV−1ゲノムにおいて730塩基mRN
Aの転写をコントロールするものと推定されている(5
9)。HSV−1とHSV−2は共にこの配列を含んで
おり、それは第一の“TATA"ボックスの前にあるC
GGG配列と類似したCGGGCG配列を含むGCに富
んだフランキング配列に囲まれている。更に両ゲノムと
も、この第2の“TATA"ボックスの3'にオープンリ
ーディングフレームを暗号化しており、これについては
後に論じる。
【0087】前述した81塩基対の欠失がHSV−2ゲ
ノムに実際に見出されるのか、或いはクローニングまた
は配列決定の実験中に起こる人為的なものなのかどうか
を決定するために、HSV−2ゲノムDNAおよびクロ
ーンしたHSV−2DNAのサザーンブロッティング解
析を実施した。失われた81塩基対の領域にまたがるS
ac2断片(図17の断片参照)から32P−標識プローブを
調製した。もしHSV−2ゲノムDNAが81塩基対の
領域を欠失しているならば、この領域にまたがるSma1
−BgIII断片は576塩基対となり、Sma1断片は
662塩基となり、Sac2断片は195塩基対となるで
あろう。
【0088】図24は、HSV−2ゲノムDNAとpgC
2Sal2.9DNAのサザーンブロッティング解析を示
す。図19、図20、図21、図22および図23に示
したHSV−2配列中、脱落している81塩基対領域に
またがる領域(HSV−2の346〜426の位置)を、
欠失領域に重なり合う図17の星印で示したSac2断片
を使用して解析した。1〜3列はHSV−2ゲノムDN
Aの制限消化物であり、4〜6列はpgC2Sal 2.9の
制限酵素消化物である。消化されたDNAは1.5%ア
ガロースゲルで電気泳動し、変性し、ニトロセルロース
にブロットし、32P−標識Sac2断片でプローブした。
(矢印は、ファージλDNAの564塩基対のHindII
I断片の位置を示す)。1列および6列目;Sma1+Bgl
2:2列目および5列目;Sma1:3列および4列目;S
ac2。
【0089】図24に示された結果から、予測した制限
部位がHSV−2ゲノムDNAおよびクローンしたHS
V−2DNAの双方において、81塩基対を欠失してい
る領域を囲んでいることが明らかになった。更に、HS
V−2ゲノム断片およびクローンした断片は正確に伴移
動(コマイグレート)しており、欠失がクローニングまた
は配列決定における手技によって人為的に起こったもの
でないことがわかった。
【0090】HSV−2の2.9kbSal1断片に含まれ
る主要なオープンリーディングフレームの解析 HSV−2の2.9kbSal1断片に含まれている潜在的
暗号化配列を解析し、図19、図20、図21、図22
および図23に示したHSV−2配列の199〜201
の位置に暗号化されているメチオニンから始まり、この
図のHSV−2配列の1735〜1737の位置のTA
A停止コドンに終る479個のアミノ酸から成るオープ
ンリーディングフレームを明らかにした。図19、図2
0、図21、図22および図23から判るように、HS
V−1 gCタンパク質とHSV−2オープンリーディン
グフレームは、共に二つの配列の、“TATA"ボック
ス相同に対してほぼ同じ位置から開始する。更に、最初
この領域に存在するHSV−2オープンリーディングフ
レームはHSV−1 gC遺伝子の前の12コドンで終る
と考えられていたが、HSV−1F株のgC遺伝子配列
のカルボキシル末端領域の配列を再決定することにより
(M.Jackson、未発表)、Frinkら(59)によって報告
された配列は1727の位置の後のチミジンヌクレオチ
ドを見落としていたこと、およびこの残基を挿入する
と、翻訳したHSV−1 gCタンパク質はHSV−2オ
ープンリーディングフレームと同じ場所(図19、図2
0、図21、図22および図23の1735〜173
7)で終了する翻訳されたHSV−1 gC蛋白質となる
ことが明らかになった。このようにして、種々の欠失お
よび挿入を考慮すると、図19、図20、図21、図2
2および図23に示したように、HSV−1 gC遺伝子
とHSV−2のオープンリーディングフレームは非常に
高度の重なりを示す。
【0091】図25、図26および図27は、HSV−
2の大−オープンリーディングフレームの翻訳と、HS
V−1 gCアミノ酸配列との比較を示す。アミノ酸は1
文字略号法を使用して表わした。HSV−1 gCはHS
V−1 gC配列を意味し、HSV−2 gFはHSV−2
オープンリーディングフレーム配列を意味する。タンパ
ク質はHOMプログラムを使用して比較し、間隙の場所
は、所望により相同体を最大化して挿入した。相同でな
いアミノ酸の上に星印を付した。N−結合糖タンパク質
と推定される部位(NXSまたはNXT)(62)には陰影
を付け、システイン残基(C)は枠で囲んだ。空間部分
(スペース)を除き、アミノ酸だけに番号を付した。図2
7は、2番目のHSV−2オープンリーディングフレー
ムの翻訳およびHSV−1730塩基mRNAタンパク
質との比較を示す。730 ORFHSV−2は、図1
9、図20、図21、図22および図23に示したHS
V−2配列の1975〜2406の位置から誘導された
第2のHSV−2オープンリーディングフレームの不完
全アミノ酸配列である。730 ORF HSV−1
は、HSV−1の730塩基mRNA(59)によって暗
号化されたタンパク質へ誘導するアミノ酸配列である。
図9Aおよび図9Bのいずれにおいても、電荷に関して
保守(コンサーブ)されているアミノ酸変化には(C)印
を、電荷に関して保守(コンサーブ)されていない変化に
は(N)印を付けた。
【0092】図25、図26および図27には、HSV
−1 gC遺伝子と479アミノ酸HSV−2オープンリ
ーディングフレーム間の高度の配列相同性を図示してい
る。最初の19個のアミノ酸は、電荷に関してすべて保
守的(コンサーバティブ)である最初の25個のアミノ酸
の変化を伴ない、約80%の配列相同性を含んでいる。
HSV−1 gCの124番目の残基(HSV−2配列の
90番目の残基)から両タンパク質の末端までは、電荷
に関して保守的(コンサーバティブ)である75%のアミ
ノ酸変化を伴なう約74%の配列相同性がある。N−連
結糖付加が推定される5ケ所の部位(NXSまたはNX
T(62))は、両タンパク質間で保守(コンサーブ)さ
れ、7個のシスティン残基はすべてC末端に対し相同的
に位置に局在している。タンパク質のカルボキシル末端
基の3/4における全般的な配列の保守性(コンサーベ
ーション)に加えて、20残基の長さにわたる大きい領
域のアミノ酸配列の偶発的な相同性もある(即ち、HS
V−1の385〜405の位置の配列とHSV−2の3
52〜372の位置の配列)。この配列の比較から、H
SV−2ゲノムのこの領域のオープンリーディングフレ
ームは、HSV−1 gCと相同なタンパク質を暗号化さ
れていると結論して良い。
【0093】この領域に暗号化されているHSV−2タ
ンパク質はHSV−1 gC配列と著しい配列相同性を示
しているが、一方、二つの配列間には数ケ所の注目すべ
き差異がある。最も際立った差異は、HSV−1 gC配
列における50〜76残基から見出される27個のアミ
ノ酸がHSV−2配列に欠失している(図25、図26
および図27)ことであり、これは先に記述した81塩
基対の欠失に対応する。この大きい欠失のほかに、両配
列には1個または2個のアミノ酸から成る短かい欠失が
見られる。これらの欠失のすべてはタンパク質のアミノ
末端領域に見出される。これらの欠失のほかに、HSV
−1 gC配列の29〜123残基の間(HSV−2配列
の31〜90残基)に頻発するタンパク質のアミノ末端
領域には多くのアミノ酸の変異がある。この領域ではア
ミノ酸の30%だけが相同性であり、この相同の多くは
保守(コンサーブ)されたプロリン残基に起因している。
この領域に見出されるアミノ酸置換の43%は電荷に関
して非保守的(ノンコンサーバティブ)である。そのよう
な多数の変異を示す唯一の他の領域はカルボキシル末端
疎水性領域(HSV−1配列の476〜496残基およ
びHSV−2配列の443〜463残基)であり、そこ
ではタンパク質の55%が相同性であるが、すべての変
化が保守(コンサーブ)され、荷電されず、疎水性のアミ
ノ酸であり、また該タンパク質のカルボキシル末端では
配列の僅か25%だけが相同であるが、全般的なアミノ
酸の構成は相似している(HSV−1の500〜512
残基およびHSV−2の467〜479残基)。二つの
タンパク質間には5ケ所のN−結合糖付加推定部位が保
守(コンサーブ)されているが、一方HSV−gC配列は
HSV−2配列より2ケ所含んでいる部位が多い(総計
9:7)。HSV−1 gC配列には、HSV−2部位から
欠失している27個のアミノ酸中に2ケ所のN−結合糖
付加部位と、図25、図26および図27の109〜1
12残基間に1対の重複している部位が含まれている。
HSV−2配列はHSV−1配列には見られない2ケ所
のN−結合糖付加部位を含んでおり、その1個はアミノ
末端領域の近くにある。
【0094】HSV−1配列とHSV−2配列間に起こ
り得る構造上の相同性を一層充分に吟味するために、ヒ
ドロパシー解析を実施した(31a)。図11に、HSV
−1gCタンパク質とHSV−2主−オープンリーディ
ングタンパク質のヒドロパシー解析を図示する。各タン
パク質のヒドロパシーはHoppおよびWoods(31a)のプ
ログラムを使用して測定した。中央線より上方は疎水性
領域、中央線より下方は親水性領域である。12個ずつ
のアミノ酸を解析し、その平均ヒドロパシー値を計算し
た。アスパラギン−連結糖付加推定部位(62)を(O)印
で示した。gC−1:HSV−1 gCタンパク質ヒドロパ
シー。gC−2(gF):HSV−2 主−オープンリーデ
ィングフレームヒドロパシー。
【0095】両タンパク質が、アミノ酸配列の親水性と
疎水性の性質に基づいた極度の構造上の相同性を示すこ
とを図28および図29に示す。各図において、N−末
端疎水性領域の後には親水性のアミノ酸鎖が続いてお
り、それぞれ総計9個のうち6個(HSV−1)または総
計7個のうち3個(HSV−2)のN−連結糖付加推定部
位を含んでいることを示している。この親水性領域に続
くピークと谷は、最後のN−結合糖付加部位を含む親水
性領域を含めて両タンパク質とも非常に相似している。
両タンパク質のカルボキシル末端領域は非常に疎水性の
20残基領域を示し、その後にカルボキシル末端領域が
続いている。HSV−1 gCにだけ見出される27個の
近接するアミノ酸は50〜76残基間に比較的親水性の
領域を暗号化されているようである(図28および図2
9)。以上結論すると、この解析によってHSV−1 g
CとHSV−2タンパク質の両者のヒドロパシー像は非
常に相似しており、これらタンパク質の最低に保守(コ
ンサーブ)されたアミノ末端両域は高度に糖付加を受け
る電位を有する親水性領域に見出されることが明らかに
された。
【0096】第2HSV−2オープンリーディングフレ
ームの解析 図6に示したHSV−2配列の最終431塩基対(19
75〜2406残基)の翻訳によって105アミノ酸か
ら成る第2オープンリーディングフレームが明らかに成
った。ここに報告する配列情報は、HSV−2第2オー
プンリーディングフレームの全部を十分に把握している
わけではないが、この配列をFrinkら(10)が報告した
HSV−1の730塩基mRNAにより暗号化されたオ
ープンリーディングフレームと比較すると、この場合も
また高度の相同性を示している。図9Bで明らかなよう
に、二つの配列は重なり合う領域では75%の配列相同
性を示し、またそのアミノ酸変異の約90%は電荷に関
して保守的(コンサーバティブ)である。二つの配列の主
な差異は、HSV−2に見られる19アミノ酸N−末端
領域がHSV−1配列には見出されない点である。従っ
てこの領域に暗号化されている機能は不明であるが、H
SV−1とHSV−1から得られるタンパク質はかなり
の配列相同性を示している。
【0097】考察 上記の結果は、HSV−2ゲノムが共直線的に配置して
いるHSV−1糖タンパク質Cの同族体を暗号化されて
いることを証明している。ここに見出された配列の共直
線性は、HSV−1の730塩基対mRNAの同族体(1
0)を明らかに暗号化されているHSV−2の主−オー
プンリーディングフレームの3'配列の発見によって強
化される。HSV−2 gF遺伝子の以前の地図作成(3
3)は、ここに記載した数ケ所の潜在性のN−結合糖付
加部位と、明らかなアミノ末端シグナル配列(5)、およ
び推定カルボキシル末端膜透過領域(28)を包含するH
SV−2ゲノムの主−オープンリーディングフレームの
性質の双方によって、ここに記載したHSV−2タンパ
ク質は糖タンパク質gFであると結論される。更に、翻
訳されたHSV−2タンパク質の大きさ(〜52,000
ダルトン)は、エンドグリコシダーゼHで処理したHS
V−2 gFの天然の大きさとして報告されている値(5
4,000ダルトン)と近似している。最後に、広範囲に
わたるアミノ酸配列の相同性と、数ケ所の潜在性N−結
合糖付加部位および7個のシステイン残基すべてのコン
サーベーション(保存性)はHSV−1 gCとHSV−2
gF間の構造的相動性を示している。
【0098】これらの結果は、HSV−2 gFとHSV
−1 gCは主として型特異性であるが、それらは型共通
性の決定基を有していることを証明した以前の成績(1
7、22d、22f、43)を説明することを助ける。2,
3の以前の研究(17、18、43)で、これらのタンパ
ク質が型特異性抗体を優勢に誘導することを証明してい
るので、大部分のタンパク質抗原領域が推定疎水性シグ
ナル配列に続く、より分岐したN−末端配列の中に見出
されるのは理屈にあっている。分岐領域の潜在性のN−
結合糖負荷部位の高い含量と共に、その親水性の性質
(62)から、これらの領域がタンパク質表面に位置する
ことが示唆される。これらの分岐配列がタンパク質の外
側へ暴露していることは、これらの分岐抗原決定基(エ
ピトープ)に対する型特異性抗体の生成に対する役割り
を果たしているのかも知れない。然し、gCとgFの間で
保守(コンサーブ)されている親水性領域がタンパク質の
外側へ暴露することができ、1例において糖付加されて
いる(HSV−1 gCの363〜366残基およびHS
V−2 gFの330〜332残基)ことがあり得るの
で、型共通性抗体もタンパク質の3/4のより高度に保
守(コンサーブ)されているカルボキシル末端によって生
成される可能性がある。このように、HSV−1gCと
HSV−2 gFは型特異性および型共通性決定基の双方
を共有しているが、型特異性決定基の方がより抗原性で
あるようである。
【0099】gCとgFの型特異性および型共通決定基の
説明は知られていないが、タンパク質には少なくとも二
つの機能、即ち、その一つは両ウイルスの生存率に重要
である型共通性領域、またその一つは各ウイルスの型に
特異的である型特異性領域である。gCおよびgFの機能
は現在のところ不明であり、生存し得るgCマイナスの
HSV−1突然変異株がインビトロで分離されているが
(65)、ヒト宿主のインビボ感染期間および潜伏確立期
間において、gCまたはgFのいずれが必要不可欠である
のかは明らかでない。HSV−1およびHSV−2の間
で、感染部位の偏好性と毒性の強さを含む生物学的な差
異の少なくとも幾つかはgCとgFのアミノ末端領域間の
著しい構造的差異に由来するであろうことは考えられ
る。例えこれらタンパク質の機能的な知識が全くなくて
も、異なった選択圧がgCおよびgFの分岐領域と保守
(コンサーブ)領域に作用するに違いないと結論しても良
かろう。
【0100】HSV−1およびHSV−2のgD遺伝子
の配列に関する以前の比較(58)で、アミノ末端シグナ
ル配列(63)とカルボキシル末端膜透過領域(64)は、
置換アミノ酸が疎水性である限り多数の突然変異に耐容
し得ることを証明した。gCおよびgFの配列比較によ
り、gCの479〜496残基とgFの443〜463残
基からカルボキシル末端、推定膜透過領域(64)で同様
の知見が示された。この領域における多くの非対応性疎
水性置換体は、gDの場合のように、脂溶性であるアミ
ノ酸ならばこの領域に耐容できることが示唆される。然
しながら、gDとは対照的にgCとgFのアミノ末端シグ
ナル配列は最初の19残基で高度に相同である。このよ
うにこの領域は、糖タンパク質を粗面小胞体へ指向させ
る以外に重要な保守(コンサーブ)された機能を持つか
(5)、或いは保守されねばならないゲノムのこの領域
に、重複する遺伝子または他の機能的な配列がある(6
6)かである。
【0101】完全な比較をするにはHSV−2配列が不
充分であるが、HSV−1 gCmRNA転写開始への5'
領域は、HSV−1およびHSV−2ゲノムの双方とも
同じCGGGTATAA配列を示す。更に、両配列と
も、それに続いて転写開始の直前のGに富んだ領域があ
る。このように、HSV−1およびHSV−2のgD遺
伝子で以前に発見されたように、二つのウイルス型間の
上流配列に相同性が存在しており、このことはこれらの
領域がこれら遺伝子の転写調節に関与している可能性を
示唆している。両ウイルスゲノムに見出され、多分73
0塩基mRNAの転写をコントロールしていると思われ
る(59,60)“TATA"ボックス相同性も、HSV−
1とHSV−2における比較的高度な配列相同性を示し
ているのは興味深い。図19、図20、図21、図22
および図23に示したように、この“TATA"ボック
スの前にあるCGに富んだ配列が来るが、これは第一の
“TATA"領域の前にある配列と相似しているが、全
く同一ではなく、それらの後にいずれも〜80%の配列
相同性を示す14塩基対の領域が続く。全般的な配列相
同性は〜75%であるのに対し、この領域を囲む全領域
の相同性は僅かに33塩基対である。もしこの領域が7
30塩基mRNAの転写調節に関与するならば、転写調
節因子による認識には比較的短かい配列で充分であるよ
うである。
【0102】結果からHSV−1 gCとHSV−2 gF
糖タンパク質は高度に相同的であり、それらが型共通性
および型特異性領域を暗号化されていることを証明し
た。二つのタンパク質が有意な配列相同性を示し、また
明らかに共直線的に配置されているので、本発明人らは
HSV−2 gFをHSV−2 gCまたgC−2と命名し
直すというZeznlakおよびSpear(22d)の提案を支持
する。また、ここに報告した配列決定データは、インビ
トロでgC−1とgC−2タンパク質間の種々の型特異性
領域を交換することによる二つのタンパク質の機能的解
析と、キメラ様配列をヒト細胞に発現すること(67)ま
たはこれらの領域をウイルスへ再編入する(68)道を開
いた。
【0103】クローンしたgC−2糖タンパク質は実施
例1に開示したのと同様の方法で発現し、ワクチンに形
成されると確信する。更に、そのような組み換えgCお
よびgD糖タンパク質の混合物から成るワクチンは、い
ずれの糖タンパク質単独から成るワクチンより、HSV
−1およびHSV−2に対して有意に一層効果的である
ことを確信する。
【0104】以下に参考図書、および本明細書中に、そ
の都度文字および数字でそれぞれ付加的に引用した参考
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2).
【図面の簡単な説明】
【図1】 HSV−1およびHSV−2 gD遺伝子およ
びその周囲の非翻訳領域のDNA配列とその推定される
アミノ酸配列を示す模式図である。
【図2】 HSV−1およびHSV−2 gD遺伝子およ
びその周囲の非翻訳領域のDNA配列とその推定される
アミノ酸配列を示す模式図である。
【図3】 HSV−1およびHSV−2 gD遺伝子およ
びその周囲の非翻訳領域のDNA配列とその推定される
アミノ酸配列を示す模式図である。
【図4】 HSV−1およびHSV−2 gD遺伝子およ
びその周囲の非翻訳領域のDNA配列とその推定される
アミノ酸配列を示す模式図である。
【図5】 HSV−1およびHSV−2 gD遺伝子およ
びその周囲の非翻訳領域のDNA配列とその推定される
アミノ酸配列を示す模式図である。
【図6】 HSV−1およびHSV−2タンパク質から
のgDタンパク質のヒドロパシー解析を示すグラフであ
る。
【図7】 膜結合型のHSV−1糖タンパク質Dの発現
のために組立てられたpgD−dhfrプラスミドの模式図で
ある。
【図8】 膜結合型のHSV−1糖タンパク質Dの発現
のために組立てられたpgD−dhfrプラスミドの模式図で
ある。
【図9】 HSVに対するヒト抗体でgD12細胞を標
識した結果を示す位相差顕微鏡写真の模写図(A)および
蛍光顕微鏡写真の模写図(B)である。
【図10】 gD12細胞系からのクローンされたgDお
よびHSV−1に感染させたヒトの細胞から得られた天
然のgDの放射免疫沈降を撮影した写真の模写図であ
る。
【図11】 gD12細胞および親のCHO細胞系に対
するヒト抗HSV抗体の結合度を示すグラフである。
【図12】 HSV−1 gDタンパク質の模式図であ
る。
【図13】 分泌型のHSV−1 gDタンパク質のため
の発現プラスミドpgDtruncdhfrの組立てを示す模式図
である。
【図14】 gD10.2細胞系からの放射免疫沈降を撮
影した写真の模写図。
【図15】 増幅前後のgD10.2細胞系からの放射免
疫沈降を撮影した写真の模写図である。
【図16】 Mtxで増幅したgD10.2細胞系で達成さ
れた増幅度を示すグラフである。
【図17】 DNA配列解析を行なったpgC2Sal 2.
9の断片を示す模式図である。
【図18】 pgC2Sal 2.9から誘導されたDNA配
列とHSV−1 gC領域のDNA配列の比較を示す模式
図である。
【図19】 pgC2Sal 2.9から誘導されたDNA配
列とHSV−1 gC領域のDNA配列の比較を示す模式
図である。
【図20】 pgC2Sal 2.9から誘導されたDNA配
列とHSV−1 gC領域のDNA配列の比較を示す模式
図である。
【図21】 pgC2Sal 2.9から誘導されたDNA配
列とHSV−1 gC領域のDNA配列の比較を示す模式
図である。
【図22】 pgC2Sal 2.9から誘導されたDNA配
列とHSV−1 gC領域のDNA配列の比較を示す模式
図である。
【図23】 pgC2Sal 2.9から誘導されたDNA配
列とHSV−1 gC領域のDNA配列の比較を示す模式
図である。
【図24】 HSV−2ゲノムDNAとpgC2Sal 2.
9DNAのサザーンブロッティング解析の結果を撮影し
た写真の模写図である。
【図25】 HSV−2のラージオープンリーディング
フレームの翻訳とHSV−1 gCのアミノ酸配列の比較
を示す模式図である。
【図26】 HSV−2のラージオープンリーディング
フレームの翻訳とHSV−1 gCのアミノ酸配列の比較
を示す模式図である。
【図27】 HSV−2のラージオープンリーディング
フレームの翻訳とHSV−1 gCのアミノ酸配列の比較
を示す模式図である。
【図28】 HSV−1 gCタンパク質とHSV−2の
メジャー・オープンリーディングフレームタンパク質の
ヒドロパシー解析結果を示すグラフである。
【図29】 HSV−1 gCタンパク質とHSV−2の
メジャー・オープンリーディングフレームタンパク質の
ヒドロパシー解析結果を示すグラフである。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 病原体に対する中和抗体を産生し得る露
    出した抗原決定基を持った膜結合性ポリペプチドであっ
    て、それを生産し得る安定な連続した組み換え体細胞系
    の膜と機能的に連合しているポリペプチドを含有してい
    るワクチン。
  2. 【請求項2】 病原体に対する中和抗体を産生し得る露
    出した抗原決定基を持った膜結合性ポリペプチドの膜不
    含誘導体であって、それを生産し得る安定な連続した組
    み換え体細胞系の膜と機能的に連合する形で形成され、
    次いで該膜から遊離することにより生成した該膜不含誘
    導体を含有するワクチン。
  3. 【請求項3】 組み換え体宿主細胞が安定な真核細胞系
    である請求項1または請求項2に記載のワクチン。
  4. 【請求項4】 宿主細胞が哺乳動物細胞系である請求項
    1または請求項2に記載のワクチン。
  5. 【請求項5】 細胞系がジヒドロ葉酸レダクターゼdhfr
    の生産性を欠失しており、dhfr選択マーカーおよび該ポ
    リペプチドを暗号化している遺伝子を含んでいる発現ベ
    クターを含有しているものである請求項3または請求項
    4に記載のワクチン。
  6. 【請求項6】 ポリペプチドが単純ヘルペスウイルス1
    型または2型の少なくとも1個の糖タンパク質を含んで
    おり、該病原体が単純ヘルペスウイルス1型および/ま
    たは2型である請求項1〜請求項5のいずれかに記載の
    ワクチン。
  7. 【請求項7】 該糖タンパク質がgDから成る請求項6
    に記載のワクチン。
  8. 【請求項8】 該糖タンパク質がgCから成る請求項6
    に記載のワクチン。
  9. 【請求項9】 該ポリペプチドが糖タンパク質Cおよび
    糖タンパク質Dの混合物から成る請求項6に記載のワク
    チン。
  10. 【請求項10】 膜結合ポリペプチドの先端を切断され
    た膜不含誘導体を含有するワクチンであって、該誘導体
    ポリペプチドが膜結合領域を含まず、膜を含まず、かつ
    病原体に対する中和抗体を産生し得る露出した抗原決定
    基を持っていることを特徴とするワクチン。
  11. 【請求項11】 先端を切断されたポリペプチドが単純
    ヘルペスウイルス1型または2型の糖タンパク質Dの誘
    導体であり、病原体が単純ヘルペスウイルス1型および
    /または2型である請求項10に記載のワクチン。
  12. 【請求項12】 先端を切断されたポリペプチドが単純
    ヘルペスウイルス1型または2型の糖タンパク質Cの誘
    導体であり、病原体が単純ヘルペスウイルス1型および
    /または2型である請求項10に記載のワクチン。
  13. 【請求項13】 先端を切断された誘導体が、アミノ酸
    残基約300までのgDポリペプチドのN−末端領域か
    ら成る請求項11に記載のワクチン。
  14. 【請求項14】 膜結合ポリペプチドを暗号化している
    DNAを製造し、膜結合領域を暗号化している部分を欠
    失させ、そのDNAを発現ベクターに挿入し、宿主細胞
    を該ベクターでトランスフェクトし、分泌生成物として
    先端切断ポリペプチドを採取することを特徴とする膜結
    合ポリペプチドの先端を切断された膜不含誘導体を含有
    するワクチンであって、該誘導体ポリペプチドが膜結合
    領域を含まず、膜を含まず、かつ病原体に対する中和抗
    体を産生し得る露出した抗原決定基を持っていることを
    特徴とするワクチンを製造する方法。
  15. 【請求項15】 トランスフェクトされる宿主細胞が安
    定した真核細胞系である請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 トランスフェクトされる宿主細胞が哺
    乳動物細胞系である請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 細胞系がdhfr生産性を欠失し、ベクタ
    ーがdhfr選択マーカーを含んでいる請求項15または請
    求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 先端切断ポリペプチドが単純ヘルペス
    ウイルス1型または2型の糖タンパク質である請求項1
    4〜請求項16のいずれかに記載の方法。
  19. 【請求項19】 先端切断ポリペプチドが糖タンパク質
    Dの最初の300アミノ酸残基に制限されている請求項
    18に記載の方法。
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