JP2598932Y2 - 減衰力可変型ショックアブソーバ付き車高調整装置 - Google Patents

減衰力可変型ショックアブソーバ付き車高調整装置

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JP2598932Y2
JP2598932Y2 JP1993058418U JP5841893U JP2598932Y2 JP 2598932 Y2 JP2598932 Y2 JP 2598932Y2 JP 1993058418 U JP1993058418 U JP 1993058418U JP 5841893 U JP5841893 U JP 5841893U JP 2598932 Y2 JP2598932 Y2 JP 2598932Y2
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哲也 岡村
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、ショックアブソーバの
減衰力特性を最適制御する減衰力可変型ショックアブソ
ーバ付き車高調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、減衰力可変型ショックアブソーバ
付き車高調整装置としては、例えば、特開昭63−49
512号公報に記載されたものが知られている。
【0003】この従来の減衰力可変型ショックアブソー
バ付き車高調整装置は、車高センサで検出される車高が
所定の幅の標準車高の範囲内にある時は、減衰力特性を
低めに制御するが、車高が所定の幅の標準車高の範囲を
越えている時は、減衰力特性を高めに制御する制御手段
を備えることにより、ショックアブソーバの伸び切りや
底付きを防止できるようにしたものであった。
【0004】また、車高センサと、任意の車高に調整可
能な車高調整手段と、目標車高の切り換え設定を行なう
車高セレクトスイッチと、車高センサから得られる車高
信号に基づき車高セレクトスイッチの設定目標車高とな
るように車高調整手段を駆動制御する車高制御手段とを
備えた車高調整装置も知られている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来装置にあっては、上述のように、低車高制御時また
は高車高制御時に減衰力特性を高めると、伸・圧両行程
側の減衰力が同時に高くなる構造であったため、必要以
上の減衰力が発生し、車両の乗り心地を悪化させてしま
うという問題点があった。
【0006】本考案は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、車両の乗り心地悪化を抑制しつつ、車
両の車高調整に基づくショックアブソーバの底付きや伸
び切りを防止することができる減衰力可変型ショックア
ブソーバ付き車高調整装置を提供することを目的とする
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本考案請求項1記載の減衰力可変型ショックアブ
ソーバ付き車高調整装置は、図1のクレーム概念図に示
すように、車体側と各車輪側の間に介在されていて、伸
側・圧側の一方の行程側の減衰力特性を高減衰力特性に
可変制御する時はその逆行程側が低減衰力特性に固定さ
れる構造の減衰力特性変更手段aを有したショックアブ
ソーバbと、前記減衰力特性変更手段aの減衰力特性を
可変制御する基本制御部dを有する減衰力特性制御手段
eと、車体側と各車輪側の間に介在されていて、車高調
整が可能な車高調整手段fと、設定目標車高を複数段階
に切り換え可能な車高セレクトスイッチgと、車高を検
出する車高センサhと、該車高センサhから得られる車
高信号に基づき前記車高セレクトスイッチgの設定目標
車高となるように前記車高調整手段fを制御する車高制
御手段jと、減衰力特性制御手段eに設けられ、車高セ
レクトスイッチgの設定目標車高を低車高側に切り換え
た時には圧行程側の減衰力特性を高めに補正制御し、高
車高側に切り換えた時には伸行程側の減衰力特性を高め
に補正制御する補正制御部kと、を備えている手段とし
た。
【0008】また、請求項2記載の減衰力可変型ショッ
クアブソーバ付き車高調整装置では、補正制御部kの補
正制御を、車高制御手段jによる車高調整が終了する時
点から開始するようにした。
【0009】
【作用】本考案請求項1記載の減衰力可変型ショックア
ブソーバ付き車高調整装置では、上述のように構成され
るので、減衰力特性制御手段の基本制御部では、一方の
行程側の減衰力特性を可変制御する時はその逆行程側は
低減衰力特性に固定する。
【0010】また、車高セレクトスイッチの設定目標車
高を低車高側に切り換えた時には、減衰力特性制御手段
の補正制御部では、ショックアブソーバにおける圧行程
側の減衰力特性を高めに補正する制御が行なわれるもの
で、これにより、高めに制御された圧行程側の減衰力で
ショックアブソーバの底付きを防止する一方で、伸行程
側は低減衰力特性とすることで、乗り心地の悪化を抑制
することができる。
【0011】また、車高セレクトスイッチの設定目標車
高を低車高側に切り換えた時には、減衰力特性制御手段
の補正制御部では、ショックアブソーバにおける伸行程
側の減衰力特性を高めに補正する制御が行なわれるもの
で、これにより、高めに制御された伸行程側の減衰力で
ショックアブソーバの伸び切りを防止する一方で、圧行
程側は低減衰力特性とすることで、乗り心地の悪化を抑
制することができる。また、請求項2記載の減衰力可変
型ショックアブソーバ付き車高調整装置では、車高制御
手段による車高調整が終了する時点から補正制御を開始
させるもので、これにより、車高調整速度への影響(減
速)を防止することができる。
【0012】
【実施例】本考案実施例を図面に基づいて説明する。ま
ず、構成について説明する。
【0013】図2は、本考案実施例の減衰力可変型ショ
ックアブソーバ付き車高調整装置を示す構成説明図であ
り、図において、1,1はフロント側の車輪と車体との
間に介在されたエアサスペンション、2,2はリア側の
車輪と車体との間に介在されたリア側の車高調整手段と
してのエアスプリング、5,5はリア側の車輪と車体と
の間に介在された減衰力可変型ショックアブソーバであ
る。
【0014】前記各エアサスペンション1はフロント側
の車高調整手段としてのエアスプリング1aと、減衰力
可変型ショックアブソーバ1bとで構成されている。
【0015】また、6はコンプレッサで、このコンプレ
ッサ6はドライヤDr を経由して各エアスプリング1
a,2に圧縮空気を供給するもので、各エアスプリング
1a,2への空気供給回路6a,6bの途中には、それ
ぞれの空気回路6a,6bの開閉を行なう給気用ソレノ
イドバルブ9a,9bがそれぞれ介装されている。ま
た、前記コンプレッサ6は、電動モータMにより駆動さ
れるようになっている。そして、コンプレッサ6の吸入
側にはエアフィルタFi を介してエアが供給されると共
に、該吸入側と吐出側とを連通する排気回路6cの途中
には同回路を開閉する排気用ソレノイドバルブ9cが介
装されている。
【0016】また、8は車両の車高を検出する車高セン
サであり、この車高センサ8は、フロント側の左右両車
輪位置近傍にそれぞれ設けられると共に、リア側には左
右両車輪の中間位置に1個だけ設けられている。
【0017】また、11は車両のばね上上下加速度を検
出する加速度センサであり、フロント側の左右両車輪位
置の車体側にそれぞれ設けられている。
【0018】前記エアサスペンション1の減衰力可変型
ショックアブソーバ1bは、図4にその詳細を示すよう
に、シリンダ30と、シリンダ30を上部室Aと下部室
Bとに画成したピストン31と、シリンダ30の外周に
リザーバ室32を形成したストラットチューブ33と、
下部室Bとリザーバ室32とを画成したベース34と、
ピストン31に連結されたピストンロッド7の摺動をガ
イドするガイド部材35とを備えている。
【0019】また、前記エアサスペンション1のエアス
プリング1aは、ピストンロッド7側に取り付けられた
アッパシェル10aと、ストラットチューブ33側に取
り付けられたローリングガイド10bと、アッパシェル
10aとローリングガイド10bとの間を密封状態で伸
縮自在に連結するローリングダイヤフラム10cとで構
成されていて、内部には圧縮空気を導入する空気室10
dが形成されている。尚、リア側のエアスプリング2
は、リア側の減衰力可変型ショックアブソーバ5とは独
立して設けられるタイプのもので、その基本構造はフロ
ント側のエアスプリング1aと同じであるため、その説
明を省略する。
【0020】次に、図5は前記減衰力可変型ショックア
ブソーバ1bにおけるピストン31の部分を示す拡大断
面図であって、この図に示すように、ピストン31に
は、貫通孔31a,31bが形成されていると共に、各
貫通孔31a,31bをそれぞれ開閉する圧側減衰バル
ブ20及び伸側減衰バルブ12が設けられている。ま
た、ピストンロッド7の先端に螺合されたバウンドスト
ッパ41には、ピストン31を貫通したスタッド38が
螺合して固定されていて、このスタッド38には、貫通
孔31a,31bをバイパスして上部室Aと下部室Bと
を連通する流路(後述の伸側第2流路E,伸側第3流路
F,バイパス流路G,圧側第2流路J)を形成するため
の連通孔39が形成されていて、この連通孔39内には
前記流路の流路断面積を変更するための調整子40が回
動自在に設けられている。また、スタッド38の外周部
には、流体の流通の方向に応じて前記連通孔39で形成
される流路側の流通を許容・遮断する伸側チェックバル
ブ17と圧側チェックバルブ22とが設けられている。
尚、この調整子40は、前記パルスモータ3によりコン
トロールロッド70を介して回転されるようになってい
る(図4参照)。また、スタッド38には、上から順に
第1ポート21,第2ポート13,第3ポート18,第
4ポート14,第5ポート16が形成されている。
【0021】一方、調整子40は、中空部19が形成さ
れると共に、内外を連通する第1横孔24及び第2横孔
25が形成され、さらに、外周部に縦溝23が形成され
ている。
【0022】従って、前記上部室Aと下部室Bとの間に
は、伸行程で流体が流通可能な流路として、貫通孔31
bを通り伸側減衰バルブ12の内側を開弁して下部室B
に至る伸側第1流路Dと、第2ポート13,縦溝23,
第4ポート14を経由して伸側減衰バルブ12の外周側
を開弁して下部室Bに至る伸側第2流路Eと、第2ポー
ト13,縦溝23,第5ポート16を経由して伸側チェ
ックバルブ17を開弁して下部室Bに至る伸側第3流路
Fと、第3ポート18,第2横孔25,中空部19を経
由して下部室Bに至るバイパス流路Gの4つの流路があ
る。また、圧行程で流体が流通可能な流路として、貫通
孔31aを通り圧側減衰バルブ20を開弁する圧側第1
流路Hと、中空部19,第1横孔24,第1ポート21
を経由し圧側チェックバルブ22を開弁して上部室Aに
至る圧側第2流路Jと、中空部19,第2横孔25,第
3ポート18を経由して上部室Aに至るバイパス流路G
との3つの流路がある。
【0023】即ち、ショックアブソーバ1bは、調整子
40を回動させることにより、伸側・圧側のいずれとも
図6に示すような特性で減衰力特性を多段階に変更可能
に構成されている。つまり、図7に示すように、伸側・
圧側いずれもソフトとした領域(以後、ソフト領域SS
という)から調整子40を反時計方向に回動させると、
伸側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で圧側が低減衰
力特性に固定の領域(以後、伸側ハード領域HSとい
う)となり、逆に、調整子40を時計方向に回動させる
と、圧側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で伸側が低
減衰力特性に固定の領域(以後、圧側ハード領域SHと
いう)となる構造となっている。
【0024】ちなみに、図7において、調整子40を
,,の変位ポジションに配置した時の、図5にお
けるK−K断面,L−L断面及びM−M断面,N−N断
面を、それぞれ、図8,図9,図10に示し、また、各
変位ポジションにおける減衰力特性を図11,12,1
3に示している。
【0025】尚、リア側の減衰力可変型ショックアブソ
ーバ5の減衰力特性可変構造は、前記フロント側の減衰
力可変型ショックアブソーバ1bと同様であるので、そ
の説明を省略する。
【0026】図3は、実施例の構成を示すシステムブロ
ック図であって、コントロールユニット4は、インタフ
ェース回路4a,CPU4b,駆動回路4cを備え、前
記インタフェース回路4aには、上述の各加速度センサ
11,各車高センサ8からの信号が入力される。また、
インタフェース回路4a内には、加速度センサ11から
のばね上上下加速度信号をばね上上下速度信号に変換す
るための信号処理回路が設けられている。そして、駆動
回路4cからは、各パルスモータ3に制御信号が出力さ
れることにより、各ショックアブソーバ1b,5の減衰
力特性制御が行なわれると共に、各ソレノイドバルブ9
a,9b,9cに対し制御信号が出力されることによ
り、車高調整が行なわれるようになっている。
【0027】即ち、積載荷重の増加により車両の車高が
目標車高より低くなると、各車高センサ8からの信号に
基づき、コンプレッサ6の電動モータMに対し駆動信号
が出力されると共に、給気用ソレノイドバルブ9a,9
bに通電して空気供給回路6a,6bを開くことによ
り、各エアスプリング1a,2における空気室10d内
に圧縮空気が供給されて内圧が高められ、これにより、
エアスプリング1a,2が伸長して車高を高くし、ま
た、以上とは逆に、積載荷重の減少により車両の車高が
設定車高より高くなると、各車高センサ8からの信号に
基づき、コンプレッサ6の電動モータMに対し駆動停止
信号が出力されると共に、排気用ソレノイドバルブ9c
に通電して排気回路6cを開くことにより、各エアスプ
リング1a,2における空気室10d内の圧縮空気が空
気供給回路6a,6b及び排気回路6cを経由して外部
に排出されて空気室10dの内圧が低められ、これによ
り、エアスプリング1a,2が収縮して車高を低くする
ことができる。そして、車両の車高が目標車高になる
と、給気用ソレノイドバルブ9a,9b及び排気用ソレ
ノイドバルブ9cへの通電を解除して、空気供給回路6
a,6b及び排気回路6cを閉じることにより、車両を
目標車高に維持させるものである。尚、各目標車高には
所定の不感帯が設けられている。
【0028】そして、前記車両の目標車高は、車高セレ
クトスイッチSs により、標準車高Ms を中心として、
低車高Ls と、高車高Hs との3段階に切り換え設定で
きるようになっている。
【0029】次に、コントロールユニット4における減
衰力特性制御作動の内容を、図14のフローチャートに
基づいて説明する。尚、この制御は各ショックアブソー
バ1b,5ごとに行なう。
【0030】ステップ101では、各加速度センサ11
で得られるばね上上下加速度信号を各信号処理回路で処
理して、各車輪位置近傍のばね上上下速度信号Vn を求
める。尚、ばね上上下速度信号Vn はその方向判別符号
として、上向きの時は正の値で、また、下向きの時は負
の値でそれぞれ得られる。
【0031】ステップ102では、ばね上上下速度信号
Vn が正の値であるか否かを判定し、YESであればス
テップ103に進み、NOであればステップ107に進
む。ステップ103では、車高セレクトスイッチSs が
高車高Hs にセレクトされているか否かを判定し、YE
Sであればステップ104に進み、NOであればステッ
プ106に進む。
【0032】ステップ104では、車高センサ8からの
車高信号に基づき、高車高Hs への車高調整が終了して
いるか否かを判定し、YESであればステップ105に
進み、NOであればステップ106に進む。
【0033】ステップ105では、制御信号Vを次式
(1) により求めると共に、ショックアブソーバ1b,5
を伸側ハード領域HS側に制御すべく、伸側の目標減衰
力ポジションPt を次式(2) により求めた後、ステップ
113に進む。 V=αt ×β1 ×Vn ・・・・・・・(1) Pt =α1 ×V・・・・・・・・・・・・・(2) 尚、αt は伸側の基本ゲイン、β1 は伸側の追加ゲイ
ン、α1 は伸側の制御ゲインである。
【0034】ステップ106では、制御信号Vを次式
(3) により求めると共に、ショックアブソーバ1b,5
を伸側ハード領域HS側に制御すべく、伸側の目標減衰
力ポジションPt を次式(4) により求めた後、ステップ
113に進む。
【0035】 V=αt ×Vn ・・・・・・・・・・・・・(3) Pt =α1 ×V・・・・・・・・・・・・・(4) ステップ107では、ばね上上下速度信号Vn が負の値
であるか否かを判定し、YESであればステップ108
に進み、NOであればステップ112に進む。ステップ
108では、車高セレクトスイッチSs が低車高Ls に
セレクトされているか否かを判定し、YESであればス
テップ109に進み、NOであればステップ111に進
む。
【0036】ステップ109では、車高センサ8からの
車高信号に基づき、低車高Ls への車高調整が終了して
いるか否かを判定し、YESであればステップ110に
進み、NOであればステップ111に進む。
【0037】ステップ110では、制御信号Vを次式
(5) により求めると共に、ショックアブソーバ1b,5
を圧側ハード領域SH側に制御すべく、圧側の目標減衰
力ポジションPc を次式(6) により求めた後、ステップ
113に進む。 V=αc ×β2 ×Vn ・・・・・・・(5) Pc =α2 ×V・・・・・・・・・・・・・(6) 尚、αc は圧側の基本ゲイン、β2 は圧側の追加ゲイ
ン、α2 は圧側の制御ゲイン、である。
【0038】ステップ111では、制御信号Vを次式
(7) により求めると共に、ショックアブソーバ1b,5
を圧側ハード領域SH側に制御すべく、圧側の目標減衰
力ポジションPc を次式(8) により求めた後、ステップ
113に進む。 V=αc ×Vn ・・・・・・・・・・・・・(7) Pc =α2 ×V・・・・・・・・・・・・・(8) ステップ112は、前記ステップ102,107でNO
と判定された場合で、即ち、ばね上上下速度信号Vn が
0であるため、ショックアブソーバ1b,5をソフト領
域SS(目標減衰力ポジションP=0)に制御した後、
ステップ113に進む。
【0039】ステップ113では、各目標減衰力ポジシ
ョンPt ,Pc ,Pに向けてパルスモータ3を駆動制御
する。以上で一回の制御フローを終了し、以後は以上の
制御フローを繰り返すものである。
【0040】次に、コントロールユニット4における減
衰力特性制御作動の内容を、図15のタイムチャートに
基づいて説明する。
【0041】(イ)標準車高Ms セレクト時 車高セレクトスイッチSs が標準車高Ms にセレクトさ
れている時は、ショックアブソーバ1b,5の伸び切り
や底付きを起こす恐れがないため、この時は、図15の
実線で示すように、乗り心地を重視した低めの基本ゲイ
ンαt ,αc に基づいて伸・圧両工程の制御信号Vが求
められるもので、これにより、各ショックアブソーバ1
b,5が乗り心地を重視した低めの減衰力特性に設定さ
れる。従って、標準車高Ms セレクト時には、車両の乗
り心地を確保することができる。
【0042】(ロ)高車高Hs セレクト時 車高セレクトスイッチSs が高車高Hs にセレクトされ
ている時は、ショックアブソーバ1b,5の伸び切りを
起こす恐れがあるため、この時は、圧行程側の制御信号
Vは、図15の実線で示すように、乗り心地を重視した
低めの基本ゲインαc に基づいて設定されるが、伸行程
側の制御信号Vは、図15の点線で示すように、基本ゲ
インαt に対しさらに伸側追加ゲインβ1 を乗じた高め
のゲインに基づいて設定されるもので、これにより、各
ショックアブソーバ1b,5の減衰力特性が伸行程側で
は操縦安定性を重視した高めに設定される一方で、圧行
程側では乗り心地を重視した低めに設定される。
【0043】従って、高車高Hs セレクト時におけるシ
ョックアブソーバ1b,5の伸び切りを防止しつつ、車
両の乗り心地の悪化を抑制することができる。
【0044】また、以上のような減衰力特性を高める補
正制御は、高車高Hs 状態への車高調整が終了した時点
から開始されるもので、これにより、車高調整速度への
影響(減速)を防止することができる。
【0045】(ハ)低車高Ls セレクト時 車高セレクトスイッチSs が低車高Ls にセレクトされ
ている時は、ショックアブソーバ1b,5の底付きを起
こす恐れがあるため、この時は、伸行程側の制御信号V
は、図15の実線で示すように、乗り心地を重視した低
めの基本ゲインαt に基づいて設定されるが、圧行程側
の制御信号Vは、図15の鎖線で示すように、基本ゲイ
ンαc に対しさらに圧側追加ゲインβ2 を乗じた高めの
ゲインに基づいて設定されるもので、これにより、各シ
ョックアブソーバ1b,5の減衰力特性が圧行程側では
操縦安定性を重視した高めに設定される一方で、伸行程
側では乗り心地を重視した低めに設定される。
【0046】従って、低車高Ls セレクト時におけるシ
ョックアブソーバ1b,5の底付きを防止しつつ、車両
の乗り心地の悪化を抑制することができる。
【0047】また、以上のような減衰力特性を低める補
正制御は、低車高Ls 状態への車高調整が終了した時点
から開始されるもので、これにより、車高調整速度への
影響(減速)を防止することができる。
【0048】次に、減衰力特性制御作動のうち、コント
ロールユニット4における減衰力特性領域の切り換え制
御内容を、図16のタイムチャートに基づいて説明す
る。尚この図では、車高セレクトスイッチSs が標準車
高Ms にセレクトされている場合について説明する。
【0049】図16のタイムチャートにおいて、領域a
は、制御信号Vが負の値(下向き)から正の値(上向
き)に逆転した状態であるが、この時はまだ相対速度S
v は負の値(ショックアブソーバ1b,5の行程は圧行
程側)となっている領域であるため、この時は、制御信
号Vの方向に基づいてショックアブソーバ1b,5は伸
側ハード領域HSに制御されており、従って、この領域
ではその時のショックアブソーバ1b,5の行程である
圧行程側がソフト特性となる。
【0050】また、領域bは、制御信号Vが正の値(上
向き)のままで、相対速度Sv は負の値から正の値(シ
ョックアブソーバ1b,5の行程は伸行程側)に切り換
わった領域であるため、この時は、制御信号Vの方向に
基づいてショックアブソーバ1b,5は伸側ハード領域
HSに制御されており、かつ、ショックアブソーバの行
程も伸行程であり、従って、この領域ではその時のショ
ックアブソーバ1b,5の行程である伸行程側が、制御
信号Vの値に比例したハード特性となる。
【0051】また、領域cは、制御信号Vが正の値(上
向き)から負の値(下向き)に逆転した状態であるが、
この時はまだ相対速度Sv は正の値(ショックアブソー
バ1b,5の行程は伸行程側)となっている領域である
ため、この時は、制御信号Vの方向に基づいてショック
アブソーバ1b,5は圧側ハード領域SHに制御されて
おり、従って、この領域ではその時のショックアブソー
バ1b,5の行程である伸行程側がソフト特性となる。
【0052】また、領域dは、制御信号Vが負の値(下
向き)のままで、相対速度Sv は正の値から負の値(シ
ョックアブソーバ1b,5の行程は伸行程側)になる領
域であるため、この時は、制御信号Vの方向に基づいて
ショックアブソーバ1b,5は圧側ハード領域SHに制
御されており、かつ、ショックアブソーバ1b,5の行
程も圧行程であり、従って、この領域ではその時のショ
ックアブソーバ1b,5の行程である圧行程側が、制御
信号Vの値に比例したハード特性となる。
【0053】以上のように、この実施例では、ばね上上
下速度Vn に基づく制御信号Vとばね上・ばね下間の相
対速度Sv とが同符号の時(領域b,領域d)は、その
時のショックアブソーバ1b,5の行程側をハード特性
に制御し、異符号の時(領域a,領域c)は、その時の
ショックアブソーバ1b,5の行程側をソフト特性に制
御するという、スカイフック理論に基づいた減衰力特性
制御と同一の制御が行なわれることになる。そして、さ
らに、この実施例では、領域aから領域b,及び領域c
から領域dへ移行する時には、パルスモータ3を駆動さ
せることなしに減衰力特性の切り換えが行なわれること
になる。
【0054】以上説明したように、この実施例では、以
下に列挙する効果が得られる。 車両の乗り心地悪化
を抑制しつつ、車両の車高調整に基づくショックアブソ
ーバの底付きや伸び切りを防止することができるように
なる。
【0055】 車高調整が終了する時点から補正制御
を開始させるようにしたことで、車高調整速度への影響
(減速)を防止することができる。
【0056】 従来のスカイフック理論に基づいた減
衰力特性制御に比べ、減衰力特性の切り換え頻度が少な
くなるため、制御応答性を高めることができると共に、
パルスモータ3の耐久性を向上させることができる。
【0057】以上、実施例について説明してきたが具体
的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本考案
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本考案
に含まれる。
【0058】例えば、実施例では、圧行程側の減衰力特
性を高めに補正制御する手段として、制御信号の演算に
用いるゲインを高めるようにしたが、目標減衰力ポジシ
ョンの演算に用いる制御ゲインを高めるようにしてもよ
い。
【0059】また、車高セレクトスイッチの切り換え段
数は任意であり、切り換え段数が多い場合には、補正減
衰力特性の値を車高に応じて段階的に変化させるように
することもできる。
【0060】また、実施例では、車高調整をエアスプリ
ングによって行なっていたが、油圧によって車高調整を
行なうものにも応用できる。
【0061】
【考案の効果】以上説明してきたように本考案請求項1
記載の減衰力可変型ショックアブソーバ付き車高調整装
置は、伸側・圧側の一方の行程側の減衰力特性を高減衰
力特性に可変制御する時はその逆行程側が低減衰力特性
に固定される構造の減衰力特性変更手段を有したショッ
クアブソーバと、前記減衰力特性変更手段の減衰力特性
を可変制御する基本制御部を有する減衰力特性制御手段
と、車高調整が可能な車高調整手段と、設定目標車高を
複数段階に切り換え可能な車高セレクトスイッチと、車
高制御手段と、減衰力特性制御手段に設けられ、車高セ
レクトスイッチの設定目標車高を低車高側に切り換えた
時には圧行程側の減衰力特性を高めに補正制御し、高車
高側に切り換えた時には伸行程側の減衰力特性を高めに
補正制御する補正制御部と、を備えている手段としたこ
とで、車両の乗り心地悪化を抑制しつつ、車両の車高調
整に基づくショックアブソーバの底付きや伸び切りを防
止することができるようになるという効果が得られる。
【0062】また、請求項2記載の減衰力可変型ショッ
クアブソーバ付き車高調整装置は、車高調整が終了する
時点から減衰力特性を高める補正制御を開始させるよう
にしたことで、車高調整速度への影響(減速)を防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の減衰力可変型ショックアブソーバ付き
車高調整装置を示すクレーム概念図である。
【図2】本考案実施例の減衰力可変型ショックアブソー
バ付き車高調整装置を示す構成説明図である。
【図3】実施例の減衰力可変型ショックアブソーバ付き
車高調整装置を示すシステムブロック図である。
【図4】実施例装置に適用したエアサスペンションを示
す断面図である。
【図5】前記エアサスペンションにおけるショックアブ
ソーバの要部を示す拡大断面図である。
【図6】前記ショックアブソーバのピストン速度に対応
した減衰力特性図である。
【図7】前記ショックアブソーバのパルスモータのステ
ップ位置に対応した減衰力特性図である。
【図8】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のK
−K断面図である。
【図9】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のL
−L断面及びM−M断面図である。
【図10】前記ショックアブソーバの要部を示す図5の
N−N断面図である。
【図11】前記ショックアブソーバの伸側ハード時の減
衰力特性図である。
【図12】前記ショックアブソーバの伸側・圧側ソフト
状態の減衰力特性図である。
【図13】前記ショックアブソーバの圧側ハード状態の
減衰力特性図である。
【図14】実施例装置におけるコントロールユニットに
おける減衰力特性制御作動を示すフローチャートであ
る。
【図15】実施例装置におけるコントロールユニットに
おける減衰力特性制御作動を示すタイムチャートであ
る。
【図16】実施例装置におけるコントロールユニットの
減衰力特性制御作動のうち標準車高セレクト時の制御作
動を示すフローチャートである。
【符号の説明】
a 減衰力特性変更手段 b ショックアブソーバ c ばね上挙動検出手段 d 基本制御部 e 減衰力特性制御手段 f エアスプリング g 車高セレクトスイッチ h 車高センサ j 車高制御手段 k 補正制御部

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体側と各車輪側の間に介在されてい
    て、伸側・圧側の一方の行程側の減衰力特性を高減衰力
    特性に可変制御する時はその逆行程側が低減衰力特性に
    固定される構造の減衰力特性変更手段を有したショック
    アブソーバと、 前記減衰力特性変更手段の減衰力特性を可変制御する基
    本制御部を有する減衰力特性制御手段と、 車体側と各車輪側の間に介在されていて、車高調整が可
    能な車高調整手段と、 設定目標車高を複数段階に切り換え可能な車高セレクト
    スイッチと、 車高を検出する車高センサと、 該車高センサから得られる車高信号に基づき前記車高セ
    レクトスイッチの設定目標車高となるように前記車高調
    整手段を制御する車高制御手段と、 減衰力特性制御手段に設けられ、車高セレクトスイッチ
    の設定目標車高を低車高側に切り換えた時には圧行程側
    の減衰力特性を高めに補正制御し、高車高側に切り換え
    た時には伸行程側の減衰力特性を高めに補正制御する補
    正制御部と、 を備えていることを特徴とする減衰力可変型ショックア
    ブソーバ付き車高調整装置。
  2. 【請求項2】 補正制御部の補正制御を、車高制御手段
    による車高調整が終了する時点から開始するようにした
    ことを特徴とする請求項1記載の減衰力可変型ショック
    アブソーバ付き車高調整装置。
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