JPH0920118A - 車両懸架装置 - Google Patents

車両懸架装置

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JPH0920118A
JPH0920118A JP16891895A JP16891895A JPH0920118A JP H0920118 A JPH0920118 A JP H0920118A JP 16891895 A JP16891895 A JP 16891895A JP 16891895 A JP16891895 A JP 16891895A JP H0920118 A JPH0920118 A JP H0920118A
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JP
Japan
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damping force
loading state
sprung
force characteristic
sprung vertical
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JP16891895A
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Mitsuo Sasaki
光雄 佐々木
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
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Unisia Jecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両における積載状態の変動に対しても車両
の乗り心地および操縦安定性の悪化を防止することがで
きる車両懸架装置の提供。 【構成】 前輪側および後輪側における左右各車輪位置
のばね上上下加速度を検出するばね上上下加速度検出手
段c1 ,c2 と、ばね上上下加速度検出手段c1,c2
で検出されたばね上上下加速度信号から必要周波数成分
のばね上上下速度信号を得るための信号処理用フィルタ
回路dと、信号処理用フィルタ回路dで得られた必要周
波数成分のばね上上下速度信号と所定の制御ゲインに基
づいて求められた制御信号により各ショックアブソーバ
1 ,b2 の減衰力特性制御を行なう減衰力特性制御手
段eと、車両の積載状態を検出する積載状態検出手段f
と、積載状態検出手段fで検出された積載状態変化に応
じて所定の制御ゲインおよびフィルタ回路dのカットオ
フ周波数を可変制御する積載量補正手段とg、を備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ショックアブソー
バの減衰力特性を最適制御する車両の懸架装置に関し、
特に、積載状態変化による制御性の悪化防止技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ショックアブソーバの減衰力特性
制御を行う車両懸架装置としては、例えば、特開昭61
−163011号公報に記載されたものが知られてい
る。
【0003】この従来の車両懸架装置は、ばね上上下速
度と、ばね上−ばね下間相対速度の両方向判別符号が一
致する制振域の時は、ショックアブソーバの減衰力特性
をハードに制御することにより、制振力を高めて車体の
振動を抑制し、両方向判別符号が不一致となる加振域の
時には、ショックアブソーバの減衰力特性をソフトに制
御することにより、加振力を弱めてばね下入力のばね上
への伝達を抑制するという、スカイフック制御理論に基
づいた減衰力特性制御を行なうようにしたものであっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来装
置にあっては、上述のように構成されていることから、
以下に述べるような問題点があった。
【0005】即ち、車両における乗員数および/または
荷物積載量等の積載状態変化に基づくばね上マスの変動
によりばね上の慣性力が変化した場合に、ばね上上下速
度に対して制御ゲインが決定されるスカイフック理論に
基づく制御にあっては、同一速度の路面入力条件におい
て、制振性の過不足が生じることになる。また、積載条
件によって、ばね上マスとサスペンションスプリングの
ばね定数の比率も変化するために、ばね上共振点の周波
数が変化してしまい、これにより、制御効果が十分に得
られなくなる。
【0006】つまり、車両の制御チューニングが、ある
乗員数で行なわれた場合、該乗員数よりも多い乗員で走
行した場合、ばね上の慣性力が増加することから、制御
力が不足してフワフワ感が増大し、逆に、前記乗員数よ
りも少ない乗員で走行した場合、ばね上の慣性力が小さ
くなることから制御力が過剰となり、急なばね上の抑え
が発生し、これが違和感となって乗り心地を悪化させ
る。
【0007】また、一般に、ばね上上下速度の検出方法
としては、ばね上上下加速度センサで検出されたばね上
上下加速度信号を積分することによってばね上上下速度
信号を作成する方法が多く用いられている。そして、こ
のばね上上下速度信号に、ノイズ成分除去や、必要周波
数成分の抽出等を目的としたフィルタ処理を施し、制御
信号を作成する方法も一般に行なわれている。この場
合、位相特性が傾きを持つことになり、厳密に言うと実
際のばね上上下速度の位相と一致する周波数は、一点の
みとなる。このため、積載状態の変化により、ばね上共
振点の周波数が変動した場合、チューニング基準の積載
状態に対して軽積載時は、ばね上共振点の周波数が高く
なる方向に変化し、重積載時はばね上共振点の周波数が
低くなる方向に変化する。
【0008】チューニング基準の周波数に対して低周波
側は、実際のばね上上下速度の位相に対して進み位相と
なることから、制御力の発生が早くかつ小さくなり、こ
のため、フワフワ感が大きくなり、また、チューニング
基準の周波数に対して高周波側は、実際のばね上上下速
度の位相に対して遅れ位相となることから、制御力を小
さくするタイミングが遅れ、このため、加振力が大きく
なってゴツゴツ感やヒョコヒョコ感が大きくなる。
【0009】以上のことから、ばね上マス重量の変化に
よって、チューニング基準重量より重くなった時は、ば
ね上慣性力の増大およびばね上共振点周波数の低下によ
る制御信号の進みによって、フワフワ感が増大し、軽く
なった場合はその逆の現象でゴツゴツ感やヒョコヒョコ
感が増大し、これにより、車両の乗り心地や操縦安定性
を悪化させることになるという問題点があった。
【0010】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、車両における積載状態の変動に対して
も車両の乗り心地および操縦安定性の悪化を防止するこ
とができる車両懸架装置を提供することを目的とするも
のである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明請求項1記載の車両懸架装置は、図1のク
レーム対応図に示すように、車体側と各車輪側の間に介
在されていて減衰力特性変更手段a1 ,a2 により減衰
力特性を変更可能なショックアブソーバb1 ,b2 と、
前輪側および後輪側における左右各車輪位置のばね上上
下加速度を検出するばね上上下加速度検出手段c1 ,c
2 と、該ばね上上下加速度検出手段c1,c2 で検出さ
れたばね上上下加速度信号から必要周波数成分のばね上
上下速度信号を得るための信号処理用フィルタ回路d
と、該信号処理用フィルタ回路dで得られた必要周波数
成分のばね上上下速度信号と所定の制御ゲインに基づい
て求められた制御信号により各ショックアブソーバb
1 ,b2 の減衰力特性制御を行なう減衰力特性制御手段
eと、車両の積載状態を検出する積載状態検出手段f
と、該積載状態検出手段fで検出された積載状態変化に
応じて前記所定の制御ゲインおよび前記フィルタ回路d
のカットオフ周波数を可変制御する積載量補正手段と
g、を備えた手段とした。
【0012】また、請求項2記載の車両懸架装置では、
前記積載状態検出手段が、車両の停止状態を検出する車
両停止状態検出手段と、車両停止状態における前記ショ
ックアブソーバのストローク状態を検出するストローク
センサとで構成されている手段とした。
【0013】また、請求項3記載の車両懸架装置では、
前記積載状態検出手段が、車両の停止状態を検出する車
両停止状態検出手段と、車両停止状態における前記ショ
ックアブソーバの軸方向入力荷重を検出する荷重センサ
とで構成されている手段とした。
【0014】また、請求項4記載の車両懸架装置では、
前記積載量補正手段は、積載状態に対する制御ゲインお
よびフィルタ回路のカットオフ周波数の値が予めテーブ
ルデータ化されていて、積載状態検出手段で検出された
積載状態変化に応じて前記所定の制御ゲインおよび前記
フィルタ回路のカットオフ周波数を複数段階に切り換え
制御するように構成されている手段とした。
【0015】また、請求項5記載の車両懸架装置では、
前記後輪側における左右各車輪位置のばね上上下加速度
を検出する後輪側左右ばね上上下加速度検出手段が、前
輪側における左右各車輪位置のばね上上下加速度を検出
する前輪側左右ばね上上下加速度検出手段と、該前輪側
左右ばね上上下加速度検出手段で得られた前輪側のばね
上上下加速度信号から所定の伝達関数式に基づいて推定
する推定手段とで構成されていて、前記伝達関数式に
は、前記積載状態変化による可変項目が含まれている手
段とした。
【0016】また、請求項6記載の車両懸架装置では、
前記ショックアブソーバの減衰力特性変更手段が、伸行
程側および圧行程側のうちの一方の行程側の減衰力特性
をハード特性側に可変制御する時には、もう一方の行程
側の減衰力特性がソフト特性に固定される構造に形成さ
れ、前記減衰力特性制御手段が、前記ばね上上下速度検
出手段で検出されたばね上上下速度の方向判別符号が上
向きの正である時はショックアブソーバの伸行程側の減
衰力特性を、下向きの負である時は圧行程側の減衰力特
性をばね上上下速度信号に応じて可変制御するように構
成されている手段とした。
【0017】
【作用】本発明請求項1記載の車両懸架装置では、上述
のように、積載状態検出手段fで検出された車両の積載
状態変化に応じ、積載量補正手段gにおいて制御ゲイン
および信号処理用フィルタ回路dのカットオフ周波数が
可変制御される。即ち、カットオフ周波数を可変制御す
ることでばね上共振点周波数の変動による位相のずれを
修正することができ、また、制御ゲインを可変制御する
ことで制御力のずれを修正することができる。
【0018】従って、積載状態変化に応じた制御チュー
ニングの補正が行なわれた状態となるもので、これによ
り、車両における積載状態の変動に対しても車両の乗り
心地および操縦安定性の悪化が防止される。
【0019】また、本発明請求項2記載の車両懸架装置
では、車両の停止状態において、ストロークセンサで検
出されたショックアブソーバのストローク状態から、車
両の積載状態を検出することができる。即ち、ショック
アブソーバが伸び方向にストロークしている時は、積載
状態が少なく、逆にショックアブソーバが縮み方向にス
トロークしている時は、積載状態が多いことになる。
【0020】また、本発明請求項3記載の車両懸架装置
では、車両の停止状態において、荷重センサで検出され
たショックアブソーバの軸方向入力荷重から、車両の積
載状態を検出することができる。即ち、ショックアブソ
ーバの軸方向入力荷重が小さい時は、積載状態が少な
く、逆にショックアブソーバの軸方向入力荷重が大きい
時は、積載状態が多いことになる。
【0021】また、請求項6記載の車両懸架装置では、
減衰力特性制御手段eでは、ばね上上下速度検出手段c
1 ,c2 で検出されたばね上上下速度の方向判別符号が
上向きの正である時はショックアブソーバb1 ,b2
伸行程側の減衰力特性が、下向きの負である時は圧行程
側の減衰力特性が、ばね上上下速度信号に応じて可変制
御される一方で、その逆行程側の減衰力特性はそれぞれ
ソフトに固定制御された状態となるものであり、このた
め、ばね上上下速度とばね上−ばね下間相対速度の方向
判別符号が一致する制振域においては、その時のショッ
クアブソーバb1 ,b2 の行程側の減衰力特性をハード
特性側で可変制御することで車両の制振力を高めると共
に、両者の方向判別符号が不一致となる加振域において
は、その時のショックアブソーバb1 ,b2 の行程側の
減衰力特性をソフト特性にすることで車両の加振力を弱
める、といったスカイフック制御理論に基づいた基本的
な減衰力特性の切り換え制御が行なわれることになる。
【0022】
【実施例】本発明実施例を図面に基づいて説明する。図
2は、本発明実施例の車両懸架装置を示す構成説明図で
あり、車体と4つの車輪との間に介在されて、4つのシ
ョックアブソーバSAFL,SAFR,SARL,SARR(な
お、ショックアブソーバを説明するにあたり、これら4
つをまとめて指す場合、およびこれらの共通の構成を説
明する時にはただ単にSAと表示する。また、右下の符
号は車輪位置を示すもので、FLは前輪左,FRは前輪右,
RLは後輪左,RRは後輪右をそれぞれ示している。)が設
けられている。そして、前輪左右の各ショックアブソー
バSAFL,SAFRの近傍位置(タワー位置)の車体に
は、上下方向の加速度Gを検出する上下加速度センサ
(以後、上下Gセンサという)1FL,1FRが設けられ、
また、車体と車輪との間には、車体と車輪との間のスト
ローク位置(車高変化)を検出するストロークセンサ5
(5FL,5FR,5RL,5RR)が設けられ、また、図2で
は図示を省略したが図3に示すように車両の車速を検出
する車速センサ2が設けられ、さらに、運転席の近傍位
置には、各上下Gセンサ1(1FL,1FR,)からの信号
を入力して、各ショックアブソーバSAのパルスモータ
3に駆動制御信号を出力するコントロールユニット4が
設けられている。
【0023】以上の構成を示すのが図3のシステムブロ
ック図であって、コントロールユニット4は、インタフ
ェース回路4a,CPU4b,駆動回路4cを備え、前
記インタフェース回路4aに、前記左右両上下Gセンサ
FL,1FRからのばね上上下加速度GFL,GFR信号と、
各ストロークセンサ5FL,5FR,5RL,5RRからの車高
信号(出力電圧Vs )と、車速センサ2からの車速信号
がそれぞれ入力される。そして、前記インタフェース回
路4aには、図14に示すように、ばね上上下加速度G
FL,GFR信号から所定の伝達関数に基づいて前輪側左右
タワー位置のばね上上下速度ΔxFL,ΔxFRおよびばね
上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0FL,(Δx−Δ
0FRと、後輪側左右タワー位置のばね上上下速度Δ
RL,ΔxRRおよびばね上−ばね下間相対速度(Δx−
Δx0RL,(Δx−Δx0RRとを求めるための信号
処理回路が設けられている。なお、この信号処理回路の
詳細については後述する。
【0024】次に、図4は、ショックアブソーバSAの
構成を示す断面図であって、このショックアブソーバS
Aは、シリンダ30と、シリンダ30を上部室Aと下部
室Bとに画成したピストン31と、シリンダ30の外周
にリザーバ室32を形成した外筒33と、下部室Bとリ
ザーバ室32とを画成したベース34と、ピストン31
に連結されたピストンロッド7の摺動をガイドするガイ
ド部材35と、外筒33と車体との間に介在されたサス
ペンションスプリング36と、バンパラバー37とを備
えている。
【0025】次に、図5は前記ピストン31の部分を示
す拡大断面図であって、この図に示すように、ピストン
31には、貫通孔31a,31bが形成されていると共
に、各貫通孔31a,31bをそれぞれ開閉する圧側減
衰バルブ20および伸側減衰バルブ12が設けられてい
る。また、ピストンロッド7の先端に螺合されたバウン
ドストッパ41には、ピストン31を貫通したスタッド
38が螺合して固定されていて、このスタッド38に
は、貫通孔31a,31bをバイパスして上部室Aと下
部室Bとを連通する流路(後述の伸側第2流路E,伸側
第3流路F,バイパス流路G,圧側第2流路J)を形成
するための連通孔39が形成されていて、この連通孔3
9内には前記流路の流路断面積を変更するための調整子
40が回動自在に設けられている。また、スタッド38
の外周部には、流体の流通の方向に応じて前記連通孔3
9で形成される流路側の流通を許容・遮断する伸側チェ
ックバルブ17と圧側チェックバルブ22とが設けられ
ている。なお、この調整子40は、前記パルスモータ3
によりコントロールロッド70を介して回転されるよう
になっている(図4参照)。また、スタッド38には、
上から順に第1ポート21,第2ポート13,第3ポー
ト18,第4ポート14,第5ポート16が形成されて
いる。
【0026】一方、調整子40は、中空部19が形成さ
れると共に、内外を連通する第1横孔24および第2横
孔25が形成され、さらに、外周部に縦溝23が形成さ
れている。
【0027】従って、前記上部室Aと下部室Bとの間に
は、伸行程で流体が流通可能な流路として、貫通孔31
bを通り伸側減衰バルブ12の内側を開弁して下部室B
に至る伸側第1流路Dと、第2ポート13,縦溝23,
第4ポート14を経由して伸側減衰バルブ12の外周側
を開弁して下部室Bに至る伸側第2流路Eと、第2ポー
ト13,縦溝23,第5ポート16を経由して伸側チェ
ックバルブ17を開弁して下部室Bに至る伸側第3流路
Fと、第3ポート18,第2横孔25,中空部19を経
由して下部室Bに至るバイパス流路Gの4つの流路があ
る。また、圧行程で流体が流通可能な流路として、貫通
孔31aを通り圧側減衰バルブ20を開弁する圧側第1
流路Hと、中空部19,第1横孔24,第1ポート21
を経由し圧側チェックバルブ22を開弁して上部室Aに
至る圧側第2流路Jと、中空部19,第2横孔25,第
3ポート18を経由して上部室Aに至るバイパス流路G
との3つの流路がある。
【0028】即ち、ショックアブソーバSAは、調整子
40を回動させることにより、伸側・圧側のいずれとも
図6に示すような特性で減衰力特性を多段階に変更可能
に構成されている。つまり、図7に示すように、伸側・
圧側いずれもソフトとした状態(以後、ソフト領域SS
という)から調整子40を反時計方向に回動させると、
伸側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で圧側が低減衰
力特性に固定の領域(以後、伸側ハード領域HSとい
う)となり、逆に、調整子40を時計方向に回動させる
と、圧側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で伸側が低
減衰力特性に固定の領域(以後、圧側ハード領域SHと
いう)となる構造となっている。
【0029】ちなみに、図7において、調整子40を
,,のポジションに配置した時の、図5における
K−K断面,L−L断面およびM−M断面,N−N断面
を、それぞれ、図8,図9,図10に示し、また、各ポ
ジションの減衰力特性を図11,12,13に示してい
る。
【0030】次に、コントロールユニット4の制御作動
のうち、ばね上上下速度Δxおよびばね上−ばね下間相
対速度(Δx−Δx0 )を求めるための信号処理回路の
構成を、図14のブロック図に基づいて説明する。
【0031】まず、B1では、速度変換用フィルタLP
Fを用い、各上下Gセンサ1FL,1FRで検出された前輪
側左右各タワー位置のばね上上下加速度GFL,GFRを、
前輪側左右各タワー位置のばね上上下速度信号に変換す
る。
【0032】続くB2では、制御を行なう目標周波数帯
以外の成分を遮断するためのバンドパスフィルタ処理を
行なう。即ち、このバンドパスフィルタBPFでは、車
両のばね上共振周波数帯を目標とした(前輪側左右各タ
ワー位置の)ばね上上下速度Δx(ΔxFL,ΔxFR)信
号を求める。
【0033】一方、B3では、次式(1) に示すように、
前輪側におけるばね上上下加速度からばね上−ばね下間
相対速度までの伝達関数Gaf(S) を用い、各上下Gセン
サ1FL,1FRで検出された前輪側左右各タワー位置の上
下方向加速度GFL,GFR信号から、前輪側左右各タワー
位置のばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0
[(Δx−Δx0FL,(Δx−Δx0FR]信号を求
める。
【0034】 Gaf(S) =−m1 s/(c1 s+k1 )・・・・・・・・(1) そして、図15は伝達関数算出モデルを示す説明図であ
り、この図にも示すように、x1 は前輪側ばね上マス入
力、x2 は前輪側ばね下マス入力、x3 は前輪側路面入
力、x4 は後輪側ばね上マス入力、m1 は前輪側ばね上
マス、m2 は前輪側ばね下マス、c1 は前輪側サスペン
ションの減衰係数、c2 は前輪側タイヤの減衰係数、k
1 は前輪側サスペンションのばね定数、k2 は前輪側タ
イヤのばね定数、x4 は後輪側ばね上マス入力、x5
後輪側ばね下マス入力、x3'は後輪側路面入力、m3
後輪側ばね上マス、m4 は後輪側ばね下マス、c3 は後
輪側サスペンションの減衰係数、c4 は後輪側タイヤの
減衰係数、k3 は後輪側サスペンションのばね定数、k
4 は後輪側タイヤのばね定数である。
【0035】また、B4では、前輪側左右各タワー位置
のばね上上下加速度GFL,GFR信号から、次式(2) に示
す路面入力を伝達経路とする上下方向の伝達関数G
gr(S) に基づいて後輪側左右タワー位置のばね上上下加
速度GRL,GRR信号を求める。なお、前記路面入力を伝
達経路とする上下方向の伝達関数Ggr(S) には、車両の
ホイールベースWB と車速SV から求められる前輪側路
面入力から後輪側路面入力までの時間遅れ分のディレイ
伝達関数からシステム応答遅れ時間φを差し引いたディ
レイタイムR(=WB /SV −φ)を設定したディレイ
伝達関数(GD(S)=e-SR )が含まれている。
【0036】 Ggr(S) =x4r(S) /x1(S) =x3(S)/x1(S)・x3'(S) /x3(S)・x4r(S) /x3'(S) =Ggr1(S)・GD(S)・Ggr2(S) ・・・・・・・・(2) なお、Ggr1(S)は、前輪側ばね上上下加速度から、前輪
側路面入力までの伝達関数、Ggr2(S)は、後輪側路面入
力から、後輪側ばね上上下加速度までの伝達関数、x4r
は、後輪側路面入力から伝わる後輪側上下方向の状態量
である。続くB5では、前記B1と同様に、速度変換フ
ィルタLPFを用い、後輪側左右各タワー位置のばね上
上下加速度GRL,GRR信号を、後輪側左右各タワー位置
のばね上上下速度信号に変換し、続くB6では、前記B
2と同様に、バンドパスフィルタ処理により、車両のば
ね上共振周波数帯を目標とした後輪側左右各タワー位置
のばね上上下速度ΔxRL,ΔxRR信号を求める。
【0037】一方、B7では、次式(3) に示すように、
後輪側左右各タワー位置のばね上上下加速度から後輪側
左右各タワー位置のばね上ばね下間相対速度までの伝達
関数Gar(S) を用い、前記B4で算出された後輪側左右
各タワー位置のばね上上下加速度GRL,GRR信号から、
後輪側左右各タワー位置のばね上−ばね下間相対速度
(Δx−Δx0RL,(Δx−Δx0RR信号を求め
る。
【0038】 Gar(S) =−m3 s/(c3 s+k3 )・・・・・・・・(3) 即ち、この実施例では、上下Gセンサ1と信号処理回路
とで、請求の範囲の各車輪位置のばね上上下速度検出手
段を構成させ、また、速度変換フィルタLPFとバンド
パスフィルタBPFとで、請求の範囲の信号処理用フィ
ルタ回路を構成させている。
【0039】次に、前記コントロールユニット4におけ
るショックアブソーバSAの減衰力特性制御作動のう
ち、基本制御の内容を図16のフローチャートに基づい
て説明する。なお、この基本制御は各ショックアブソー
バSAFL,SAFR,SARL,SARRごとに行なわれる。
【0040】ステップ101では、ばね上上下速度Δx
が正の値であるか否かを判定し、YESであればステッ
プ102に進んで各ショックアブソーバSAを伸側ハー
ド領域HSに制御し、NOであればステップ103に進
む。
【0041】ステップ103では、ばね上上下速度Δx
が負の値であるか否かを判定し、YESであればステッ
プ104に進んで各ショックアブソーバSAを圧側ハー
ド領域SHに制御し、NOであればステップ105に進
む。
【0042】ステップ105は、ステップ101および
ステップ103でNOと判断された時、即ち、ばね上上
下速度Δxの値が、0である時の処理ステップであり、
この時は、各ショックアブソーバSAをソフト領域SS
に制御する。
【0043】次に、減衰力特性制御の作動を図17のタ
イムチャートにより説明する。ばね上上下速度Δxおよ
びばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0 )に基づく
ばね上上下速度Δxが、この図に示すように変化した場
合、図に示すように、ばね上上下速度Δxの値が0であ
る時には、ショックアブソーバSAをソフト領域SSに
制御する。
【0044】また、ばね上上下速度Δxの値が正の値に
なると、伸側ハード領域HSに制御して、圧側の減衰力
特性をソフト特性に固定する一方、伸側の減衰力特性
(目標減衰力特性ポジションPT )を、次式(4) に基づ
き、ばね上上下速度Δxに比例させて変更する。 PT =δT ・Δx・K・・・・・・・・・・・・・・・・(4) なお、δT は、車両の積載状態に応じて可変設定される
伸側の制御ゲイン、Kは、ばね上−ばね下間相対速度
(Δx−Δx0 )に応じて可変設定されるゲインであ
る。
【0045】また、ばね上上下速度Δxの値が負の値に
なると、圧側ハード領域SHに制御して、伸側減衰力特
性をソフト特性に固定する一方、圧側の減衰力特性(目
標減衰力特性ポジションPC )を、次式(5) に基づき、
ばね上上下速度Δxに比例させて変更する。 PC =δC ・Δx・K・・・・・・・・・・・・・・・・(5) なお、δC は、車両の積載状態に応じて可変設定される
圧側の制御ゲインである。即ち、この実施例では、前記
目標減衰力特性ポジションPT ,PC が請求の範囲の制
御信号を構成している。
【0046】次に、コントロールユニット4の減衰力特
性制御作動のうち、主にショックアブソーバSAの制御
領域の切り換え作動状態を図17のタイムチャートに基
づいて説明する。
【0047】図17のタイムチャートにおいて、領域a
は、ばね上上下速度Δxが負の値(下向き)から正の値
(上向き)に逆転した状態である、この時はまだ相対速
度(Δx−Δx0 )は負の値(ショックアブソーバSA
の行程は圧行程側)となっている領域であるため、この
時は、ばね上上下速度Δxの方向に基づいてショックア
ブソーバSAは伸側ハード領域HSに制御されており、
従って、この領域ではその時のショックアブソーバSA
の行程である圧行程側がソフト特性となる。
【0048】また、領域bは、ばね上上下速度Δxが正
の値(上向き)のままで、ばね上−ばね下間相対速度
(Δx−Δx0 )は負の値から正の値(ショックアブソ
ーバSAの行程は伸行程側)に切り換わった領域である
ため、この時は、ばね上上下速度Δxの方向に基づいて
ショックアブソーバSAは伸側ハード領域HSに制御さ
れており、かつ、ショックアブソーバの行程も伸行程で
あり、従って、この領域ではその時のショックアブソー
バSAの行程である伸行程側が、ばね上上下速度Δxの
値に比例したハード特性となる。
【0049】また、領域cは、ばね上上下速度Δxが正
の値(上向き)から負の値(下向き)に逆転した状態で
あるが、この時はまだばね上−ばね下間相対速度(Δx
−Δx0 )は正の値(ショックアブソーバSAの行程は
伸行程側)となっている領域であるため、この時は、ば
ね上上下速度Δxの方向に基づいてショックアブソーバ
SAは圧側ハード領域SHに制御されており、従って、
この領域ではその時のショックアブソーバSAの行程で
ある伸行程側がソフト特性となる。
【0050】また、領域dは、ばね上上下速度Δxが負
の値(下向き)のままで、ばね上−ばね下間相対速度
(Δx−Δx0 )は正の値から負の値(ショックアブソ
ーバSAの行程は伸行程側)になる領域であるため、こ
の時は、ばね上上下速度Δxの方向に基づいてショック
アブソーバSAは圧側ハード領域SHに制御されてお
り、かつ、ショックアブソーバの行程も圧行程であり、
従って、この領域ではその時のショックアブソーバSA
の行程である圧行程側が、ばね上上下速度Δxの値に比
例したハード特性となる。
【0051】以上のように、この実施例では、ばね上上
下速度Δxとばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx
0 )とが同符号の時(領域b,領域d)は、その時のシ
ョックアブソーバSAの行程側をハード特性に制御し、
異符号の時(領域a,領域c)は、その時のショックア
ブソーバSAの行程側をソフト特性に制御するという、
スカイフック制御理論に基づいた減衰力特性制御と同一
の制御が、ばね上上下速度Δx信号のみに基づいて行な
われることになる。そして、さらに、この実施例では、
ショックアブソーバSAの行程が切り換わった時点、即
ち、領域aから領域b,および領域cから領域d(ソフ
ト特性からハード特性)へ移行する時には、切り換わる
行程側の減衰力特性ポジションは前の領域a,cで既に
ハード特性側への切り換えが行なわれているため、ソフ
ト特性からハード特性への切り換えが時間遅れなく行な
われるもので、これにより、高い制御応答性が得られる
と共に、ハード特性からソフト特性への切り換えはパル
スモータ3を駆動させることなしに行なわれるもので、
これにより、パルスモータ3の耐久性向上と、消費電力
の節約が成されることになる。
【0052】次に、コントロールユニット4の制御作動
のうち、請求の範囲の積載量補正手段を構成する部分に
おける車両の車載状態変化によるショックアブソーバS
Aの減衰力特性の補正制御作動の内容について、図18
のフローチャートに基づいて説明する。
【0053】まず、図18のフローチャートにおいて、
ステップ201では、車速センサ2で検出された車両の
車速が0km/hであるか否かを判定し、YES(車両の走
行が停止状態)であればステップ202に進み、また、
NO(車両が走行継続中)であればこれで一回の制御フ
ローを終了する。
【0054】前記ステップ202では、タイマがすでに
ONになっているか否かを判定し、YES(タイマO
N)であればステップ203に進み、また、NO(タイ
マOFF)であればステップ208に進んで、タイマを
ONにした後、これで一回の制御フローを終了する。
【0055】前記ステップ203では、タイマのON時
間を示すタイマカウントTが、所定の遅延タイムTs 以
上であるか否かを判定し、YESであればステップ20
4に進み、該ステップから始まる積載量変動に基づく制
御チューニングの補正制御が行なわれる。また、NOで
あればこれで一回の制御フローを終了する。
【0056】前記ステップ204では、各ストロークセ
ンサ5からの出力電圧Vs を読み込む。そして、続くス
テップ205では、次式(6) に基づき、前記バンドパス
フィルタBPFのカットオフ周波数fc が新たに求めら
れ、この新たに求められたカットオフ周波数fc への切
り換え設定が行なわれる。 fc =α・Vs ・・・・・・・・・・・・・・(6) なお、αは定数である。
【0057】また、続くステップ206では、次式(7),
(8) に基づき、前記目標減衰力特性ポジションPT ,P
C を求める前記式(4),(5) において用いられる制御ゲイ
ンδT ,δC が新たに求められ、この新たに求められた
制御ゲインδT ,δC への切り換え設定が行なわれる。 δT =βT /Vs ・・・・・・・・・・・・(7) δC =βC /Vs ・・・・・・・・・・・・(8) なお、βT は伸側の定数、βC は圧側の定数である。続
くステップ207では、タイマをOFFにした後、これ
で一回の制御フローを終了し、以後は以上の制御フロー
を繰り返すものである。
【0058】以上のように、この実施例では、前記車速
センサ2とストロークセンサ5とで請求の範囲の積載状
態検出手段を構成させているもので、車両が停止するた
びに車両の積載状態の変動を判断すると共に、該積載状
態の変動に応じた減衰力特性の制御チューニングの補正
制御が行なわれる。
【0059】以下、積載量補正制御作動の内容を、積載
量の増加時と減少時に分けて説明する。 (イ)積載量増加時 車両の制御チューニングがある所定の基準乗員数で行な
われた場合に、該基準乗員数より多い乗員数が乗車する
と、前述のように、ばね上マスの増加によりばね上共振
点の周波数が低くなると共に、慣性力の増加によりショ
ックアブソーバSAによるばね上制振力が不足する方向
に変化することになる。
【0060】ところが、図19に示すように、積載状態
が増加すると、ばね上マスの増加により車高が低くなる
ことから、ストロークセンサ5の出力電圧Vs も低下す
る方向に変化し、これにより、前記式(6) に示すよう
に、出力電圧Vs と比例関係にある前記バンドパスフィ
ルタBPFのカットオフ周波数fc も低くなる方向に可
変設定されるため、前記ばね上共振点周波数の低下によ
る位相の進み分が修正された状態となる。
【0061】また、ストロークセンサ5の出力電圧Vs
が低下する方向に変化することから、前記式(7),(8) に
示すように、出力電圧Vs とは反比例関係にある制御ゲ
インδT ,δC が高くなる方向に可変設定され、これに
より、制振力の不足分が修正された状態となる。
【0062】(ロ)積載量減少時 上記とは逆に、基準乗員数より少ない乗員数が乗車する
と、前述のように、ばね上マスの減少によりばね上共振
点の周波数が高くなると共に、慣性力の低下によりショ
ックアブソーバSAによるばね上制振力が過剰になる方
向に変化することになる。
【0063】ところが、図19に示すように、積載状態
が減少すると、ばね上マスの減少により車高が高くなる
ことから、ストロークセンサ5の出力電圧Vs も高くな
る方向に変化し、これにより、前記式(6) に示すよう
に、出力電圧Vs と比例関係にある前記バンドパスフィ
ルタBPFのカットオフ周波数fc も高くなる方向に可
変設定されるため、前記ばね上共振点周波数の上昇によ
る位相の遅れ分が修正された状態となる。
【0064】また、ストロークセンサ5の出力電圧Vs
が高まる方向に変化することから、前記式(7),(8) に示
すように、出力電圧Vs とは反比例関係にある制御ゲイ
ンδT ,δC が低くなる方向に可変設定され、これによ
り、制振力の過剰分が修正された状態となる。
【0065】以上説明してきたように、この実施例の車
両懸架装置では、以下に列挙する効果が得られる。 車両における乗員数や荷物等の積載状態の変動に対
しても各車輪位置に設けられたストロークセンサ5の出
力電圧Vs に基づいて自動的にバンドパスフィルタBP
Fのカットオフ周波数fc および制御ゲインδT ,δC
を可変設定することにより、車両の乗り心地および操縦
安定性の悪化を防止することができるようになる。
【0066】 前輪側上下Gセンサ1で検出されたば
ね上上下加速度GFL,GFRから所定の伝達関数に基づい
て前輪側タワー位置におけるばね上−ばね下間相対速度
(Δx−Δx0FL,(Δx−Δx0FRと、後輪側タ
ワー位置におけるばね上上下速度ΔxRL,ΔxRRおよび
ばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0RL,(Δx
−Δx0RRを求めるようにしたことで、その分センサ
の設置を省略することができ、これにより、システム構
成の簡略化による車載性の向上とシステムコストの低減
化とを図ることができるようになる。
【0067】また、伝達関数によると、後輪側タワー位
置における車両挙動を正確に推定することができること
から、後輪側においては最適な制御力を発生させること
ができるようになる。
【0068】次に、本発明の他の実施例について説明す
る。なお、この他の実施例の説明にあたっては、前記実
施例と同様の構成部分には同一の符号を付けてその説明
を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0069】この他の実施例は、前記図18のフローチ
ャートのうち、ステップ204から始まる積載量変動に
基づく制御チューニングの補正制御内容を異にするもの
である。即ち、積載状態に対する制御ゲインδT ,δC
およびバンドパスフィルタBPFのカットオフ周波数f
c の値が予めテーブルデータ化されていて、ストローク
センサ5で検出された出力電圧Vs 変化に応じて前記所
定の制御ゲインδT ,δC および前記バンドパスフィル
タBPFのカットオフ周波数fc を3段階に切り換え制
御するようにしたものであり、以下、図20のフローチ
ャートに基づいて説明する。
【0070】ステップ204で各ストロークセンサ5か
らの出力電圧Vs を読み込んだ後、ステップ301に進
むもので、このステップ301では、出力電圧Vs が低
しきい値V1 以下であるか否かを判定し、YESであれ
ば積載状態が大であるとの判定に基づき、ステップ30
2に進んで、バンドパスフィルタBPFのカットオフ周
波数fc を低周波数fc1に可変設定すると共に、制御ゲ
インδT ,δC を高制御ゲインδTH,δCHに可変設定し
た後、ステップ207に進む。
【0071】また、前記ステップ301でNOと判定さ
れた場合は、ステップ303に進み、出力電圧Vs が低
しきい値V1 を越え高しきい値V2 以下の範囲内である
か否かを判定し、YES(V1 <Vs ≦V2 )であれば
積載状態が中であるとの判定に基づき、ステップ304
に進んで、バンドパスフィルタBPFのカットオフ周波
数fc を中間周波数fc0に可変設定すると共に、制御ゲ
インδT ,δC を中間制御ゲインδTM,δCMに可変設定
した後、ステップ207に進む。
【0072】また、前記ステップ303でNOと判定さ
れた場合は、出力電圧Vs が高しきい値V2 を越えてい
るため、この場合は積載状態が小であるとの判定に基づ
き、ステップ305に進み、バンドパスフィルタBPF
のカットオフ周波数fc を高周波数fc2に可変設定する
と共に、制御ゲインδT ,δC を低制御ゲインδTL,δ
CLに可変設定した後、ステップ207に進む。
【0073】前記ステップ207では、タイマをOFF
にした後、これで一回の制御フローを終了し、以後は以
上の制御フローを繰り返すものである。以上のように、
この他の実施例では、テーブルデータに基づいて3段階
に切り換え制御するようにすることで、プログラムを簡
略化できるようになる。
【0074】以上、実施例について説明してきたが具体
的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明
に含まれる。
【0075】例えば、実施例では、積載状態検出手段と
してストロークセンサを用いたが、ショックアブソーバ
の軸方向入力荷重を検出する荷重センサを用いることも
できる。また、実施例では、ストロークセンサを各車輪
位置にそれぞれ設けた例を示したが、リア側に1個だけ
設けるようにしてもよい。
【0076】また、実施例では、上下Gセンサを前輪側
左右2個所に設け、後輪側のばね上上下加速度は所定の
伝達関数式に基づいて推定するようにしたが、上下Gセ
ンサが前輪側に1個だけのシステムにも適用することが
でき、また、後輪側にも独立に上下Gセンサを設けたシ
ステムにも適用することができる。
【0077】また、実施例のように、後輪側のばね上上
下加速度を伝達関数式に基づいて推定する場合におい
て、前記伝達関数式(1),(3) におけるばね上マスm1
3 の項目を積載状態変化による可変項目とし、その値
をストロークセンサ5の出力電圧Vs に応じて可変設定
するようにしてもよい。
【0078】また、実施例では、前輪側左右タワー位置
のばね上−ばね下間相対速度と、後輪側左右タワー位置
のばね上上下速度およびばね上−ばね下間相対速度と
を、上下Gセンサで検出された前輪左右タワー位置のば
ね上上下加速度から所定の伝達関数に基づいて演算で求
めるようにしたが、それぞれ独立に設けたセンサにより
検出するようにしてもよい。
【0079】また、実施例では、一方の行程側の減衰力
特性を可変制御する時はその逆行程側が低減衰力特性と
なる減衰力特性変更手段を有するショックアブソーバを
用い、ばね上上下速度だけで減衰力特性の基本制御を行
なうようにした場合を示したが、伸圧両行程が同時に可
変するショックアブソーバを用いると共に、ばね上上下
速度とばね上−ばね下間相対速度信号を用い、両信号の
方向判別によって減衰力特性の基本制御を行なう従来の
スカイフック制御理論に基づいた制御を行なう場合や、
スカイフック制御理論以外の理論に基づいた制御を行な
う場合にも本発明を適用することができる。
【0080】また、実施例では、ばね上上下速度信号が
0の時のみソフト領域SSに制御するようにしたが、0
を中心とする所定の不感帯を設けこの不感帯の範囲内で
ばね上上下速度が推移している間は減衰力特性ポジショ
ンをソフト領域SSに維持させることにより、制御ハン
チングを防止することができる。
【0081】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明請求項1
記載の車両懸架装置では、上述のように、前輪側および
後輪側における左右各車輪位置のばね上上下加速度を検
出するばね上上下加速度検出手段と、該ばね上上下加速
度検出手段で検出されたばね上上下加速度信号から必要
周波数成分のばね上上下速度信号を得るための信号処理
用フィルタ回路と、該信号処理用フィルタ回路で得られ
た必要周波数成分のばね上上下速度信号と所定の制御ゲ
インに基づいて求められた制御信号により各ショックア
ブソーバの減衰力特性制御を行なう減衰力特性制御手段
と、車両の積載状態を検出する積載状態検出手段と、該
積載状態検出手段で検出された積載状態変化に応じて前
記所定の制御ゲインおよび前記フィルタ回路のカットオ
フ周波数を可変制御する積載量補正手段と、を備えた手
段としたことで、車両における積載状態の変動に対して
も車両の乗り心地および操縦安定性の悪化を防止するこ
とができるようになるという効果が得られる。
【0082】また、請求項4記載の車両懸架装置では、
前記積載量補正手段は、積載状態に対する制御ゲインお
よびフィルタ回路のカットオフ周波数の値が予めテーブ
ルデータ化されていて、積載状態検出手段で検出された
積載状態変化に応じて前記所定の制御ゲインおよび前記
フィルタ回路のカットオフ周波数を複数段階に切り換え
制御するように構成したことで、プログラムを簡略化す
ることができるようになる。
【0083】また、請求項5記載の車両懸架装置では、
前記後輪側における左右各車輪位置のばね上上下加速度
を検出する後輪側左右ばね上上下加速度検出手段が、前
輪側における左右各車輪位置のばね上上下加速度を検出
する前輪側左右ばね上上下加速度検出手段と、該前輪側
左右ばね上上下加速度検出手段で得られた前輪側のばね
上上下加速度信号から所定の伝達関数式に基づいて推定
する推定手段とで構成されていて、前記伝達関数式に
は、前記積載状態変化による可変項目が含まれている手
段としたことで、後輪側センサの省略によるコストの低
減と、プログラムの簡略化が可能となる。
【0084】また、請求項6記載の車両懸架装置では、
伸行程側および圧行程側のうちの一方の行程側の減衰力
特性をハード特性側に可変制御する時には、もう一方の
行程側の減衰力特性がソフト特性になる構造の減衰力特
性変更手段を有するショックアブソーバを用いると共
に、ばね上上下速度検出手段で検出されたばね上上下速
度の方向判別符号が上向きの正である時はショックアブ
ソーバの伸行程側の減衰力特性を、下向きの負である時
は圧行程側の減衰力特性をばね上上下速度信号に応じて
可変制御するようにしたことで、ばね上上下速度とばね
上ばね下間相対速度の方向判別符号が一致する制振域に
おいては、その時のショックアブソーバの行程側を高減
衰力特性側で可変制御することで車両の制振力を高める
と共に、両者の方向判別符号が不一致となる加振域にお
いては、その時のショックアブソーバの行程側を低減衰
力特性にすることで車両の加振力を弱める、といったス
カイフック理論に基づいた基本的な減衰力特性の切り換
え制御を行なうことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両懸架装置を示すクレーム対応図で
ある。
【図2】本発明実施例の車両懸架装置を示す構成説明図
である。
【図3】実施例の車両懸架装置を示すシステムブロック
図である。
【図4】実施例装置に適用したショックアブソーバを示
す断面図である。
【図5】前記ショックアブソーバの要部を示す拡大断面
図である。
【図6】前記ショックアブソーバのピストン速度に対応
した減衰力特性図である。
【図7】前記ショックアブソーバのパルスモータのステ
ップ位置に対応した減衰力特性図である。
【図8】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のK
−K断面図である。
【図9】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のL
−L断面およびM−M断面図である。
【図10】前記ショックアブソーバの要部を示す図5の
N−N断面図である。
【図11】前記ショックアブソーバの伸側ハード時の減
衰力特性図である。
【図12】前記ショックアブソーバの伸側・圧側ソフト
状態の減衰力特性図である。
【図13】前記ショックアブソーバの圧側ハード状態の
減衰力特性図である。
【図14】実施例装置における信号処理回路を示すブロ
ック図である。
【図15】実施例装置における伝達関数算出モデルを示
す説明図である。
【図16】実施例装置におけるコントロールユニットの
減衰力特性制御作動の内容を示すフローチャートであ
る。
【図17】実施例装置におけるコントロールユニットの
減衰力特性制御作動の内容を示すタイムチャートであ
る。
【図18】実施例装置におけるコントロールユニットの
減衰力特性制御作動のうち、積載量補正部による補正制
御作動の内容を示すフローチャートである。
【図19】実施例装置における車両積載状態に対するス
トロークセンサの出力電圧との関係を示す図である。
【図20】他の実施例装置におけるコントロールユニッ
トの減衰力特性制御作動のうち、積載量補正部による補
正制御作動の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 前輪側減衰力特性変更手段 a2 後輪側減衰力特性変更手段 b1 前輪側ショックアブソーバ b2 後輪側ショックアブソーバ c1 前輪側ばね上上下加速度検出手段 c2 後輪側ばね上上下加速度検出手段 d 信号処理用フィルタ回路 e 減衰力特性制御手段 f 積載状態検出手段 g 積載量補正手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体側と各車輪側の間に介在されていて
    減衰力特性変更手段により減衰力特性を変更可能なショ
    ックアブソーバと、 前輪側および後輪側における左右各車輪位置のばね上上
    下加速度を検出するばね上上下加速度検出手段と、 該ばね上上下加速度検出手段で検出されたばね上上下加
    速度信号から必要周波数成分のばね上上下速度信号を得
    るための信号処理用フィルタ回路と、 該信号処理用フィルタ回路で得られた必要周波数成分の
    ばね上上下速度信号と所定の制御ゲインに基づいて求め
    られた制御信号により各ショックアブソーバの減衰力特
    性制御を行なう減衰力特性制御手段と、 車両の積載状態を検出する積載状態検出手段と、 該積載状態検出手段で検出された積載状態変化に応じて
    前記所定の制御ゲインおよび前記フィルタ回路のカット
    オフ周波数を可変制御する積載量補正手段と、を備えた
    ことを特徴とする車両懸架装置。
  2. 【請求項2】 前記積載状態検出手段が、車両の停止状
    態を検出する車両停止状態検出手段と、車両停止状態に
    おける前記ショックアブソーバのストローク状態を検出
    するストロークセンサとで構成されていることを特徴と
    する請求項1記載の車両懸架装置。
  3. 【請求項3】 前記積載状態検出手段が、車両の停止状
    態を検出する車両停止状態検出手段と、車両停止状態に
    おける前記ショックアブソーバの軸方向入力荷重を検出
    する荷重センサとで構成されていることを特徴とする請
    求項1記載の車両懸架装置。
  4. 【請求項4】 前記積載量補正手段は、積載状態に対す
    る制御ゲインおよびフィルタ回路のカットオフ周波数の
    値が予めテーブルデータ化されていて、積載状態検出手
    段で検出された積載状態変化に応じて前記所定の制御ゲ
    インおよび前記フィルタ回路のカットオフ周波数を複数
    段階に切り換え制御するように構成されていることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両懸架装
    置。
  5. 【請求項5】 前記後輪側における左右各車輪位置のば
    ね上上下加速度を検出する後輪側左右ばね上上下加速度
    検出手段が、前輪側における左右各車輪位置のばね上上
    下加速度を検出する前輪側左右ばね上上下加速度検出手
    段と、該前輪側左右ばね上上下加速度検出手段で得られ
    た前輪側のばね上上下加速度信号から所定の伝達関数式
    に基づいて推定する推定手段とで構成されていて、前記
    伝達関数式には、前記積載状態変化による可変項目が含
    まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の車両懸架装置。
  6. 【請求項6】 前記ショックアブソーバの減衰力特性変
    更手段が、伸行程側および圧行程側のうちの一方の行程
    側の減衰力特性をハード特性側に可変制御する時には、
    もう一方の行程側の減衰力特性がソフト特性に固定され
    る構造に形成され、 前記減衰力特性制御手段が、前記ばね上上下速度検出手
    段で検出されたばね上上下速度の方向判別符号が上向き
    の正である時はショックアブソーバの伸行程側の減衰力
    特性を、下向きの負である時は圧行程側の減衰力特性を
    ばね上上下速度信号に応じて可変制御するように構成さ
    れていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
    載の車両懸架装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006283839A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Keio Gijuku 油圧緩衝器監視システム
JPWO2021044552A1 (ja) * 2019-09-04 2021-09-27 株式会社ショーワ 懸架装置の制御方法、車高調整装置

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