JPH08142626A - 車両懸架装置 - Google Patents

車両懸架装置

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JPH08142626A
JPH08142626A JP6291622A JP29162294A JPH08142626A JP H08142626 A JPH08142626 A JP H08142626A JP 6291622 A JP6291622 A JP 6291622A JP 29162294 A JP29162294 A JP 29162294A JP H08142626 A JPH08142626 A JP H08142626A
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JP
Japan
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damping force
sprung
force characteristic
characteristic
wheel side
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JP6291622A
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English (en)
Inventor
Katsuya Iwasaki
克也 岩崎
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
Original Assignee
Unisia Jecs Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 通常路面の走行時においてはスカイフック制
御理論に基づいた最適な減衰力特性制御が得られると共
に、路面突起乗り越し直後におけるばね下のバタツキを
防止することができる車両懸架装置の提供。 【構成】 スカイフック制御理論に基づいた減衰力特性
制御を行なう基本制御部eと、前輪側相対速度検出手段
1 で検出された前輪側における伸側のばね上−ばね下
間相対速度が所定の制御しきい値を越えた時は、その後
所定の制御時間内は後輪側ショックアブソーバb2 にお
ける伸側の減衰力特性を所定のハード特性に固定して制
御する補正制御部gと、を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ショックアブソーバの
減衰力特性を最適制御する車両の懸架装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ショックアブソーバの減衰力特性
制御を行う車両懸架装置としては、例えば、特表平4−
502439号公報に記載されたものが知られている。
【0003】この従来の車両懸架装置は、絶対的な車体
速度(ばね上上下速度)と、相対的なピストン移動量か
ら求められた相対的なピストン速度(ばね上−ばね下間
相対速度)の両方向判別符号が一致する制振域の時は、
ショックアブソーバの減衰力特性をハードに制御するこ
とにより、制振力を高めて車体の振動を抑制し、両方向
判別符号が不一致となる加振域の時には、ショックアブ
ソーバの減衰力特性をソフトに制御することにより、加
振力を弱めてばね下入力のばね上への伝達を抑制すると
いう、カルノップ制御理論(スカイフック制御理論)に
基づいた減衰力特性制御を行なうようにしたものであっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来装
置にあっては、上述のように構成されていることから、
以下に述べるような問題点があった。
【0005】即ち、この従来装置では、車輪が路面の突
起を乗り越した直後等のように、ばね上の車体側が下降
に転じるがばね下の車輪側も伸行程になるような場合に
おいても、ばね上上下速度の方向判別符号(下向きの
正)とばね上−ばね下間相対速度の方向判別符号(伸行
程側の負)とが不一致の状態となることから、減衰力特
性制御手段では、ばね上の挙動を押えるべくショックア
ブソーバの減衰力特性をソフトに切り換え制御すること
になるため、車輪が路面の突起を完全に乗り越した時
に、ばね下側の挙動を抑えられず、これがばね下のバタ
ツキ感として乗員に感じられ、車両の乗り心地を悪化さ
せる結果となる。そして、車輪と乗員の位置関係から、
特に後輪側のバタツキは、乗員にとっての乗り心地の善
し悪しに大きく影響するものである。
【0006】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、通常路面の走行時においてはスカイフ
ック制御理論に基づいた最適な減衰力特性制御が得られ
ると共に、路面突起乗り越し直後におけるばね下のバタ
ツキを防止することができる車両懸架装置を提供するこ
とを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明請求項1記載の車両懸架装置は、図1のク
レーム対応図に示すように、車体側と各車輪側の間に介
在されていて減衰力特性変更手段a1 により減衰力特性
を変更可能なショックアブソーバb1 ,b2 と、前輪側
および後輪側における左右各車輪位置のばね上上下速度
を検出するばね上上下速度検出手段cと、前輪側および
後輪側における左右各車輪位置のばね上−ばね下間相対
速度を検出する相対速度検出手段d1 ,d2 と、ばね上
上下速度検出手段cで検出されたばね上上下速度の方向
判別符号(上向きで正,下向きで負)と相対速度検出手
段d1 ,d2 で検出されたばね上−ばね下間相対速度の
方向判別符号(伸行程側で正,圧行程側で負)とが一致
する時にはショックアブソーバb1 ,b2 の減衰力特性
をハード特性に制御し、不一致の時にはショックアブソ
ーバb1 ,b2 の減衰力特性をソフト特性に制御する基
本制御部eを有する減衰力特性制御手段fと、減衰力特
性制御手段fに設けられていて前輪側相対速度検出手段
1 で検出された前輪側における伸側のばね上−ばね下
間相対速度が所定の制御しきい値を越えた時は、その後
所定の制御時間内は後輪側ショックアブソーバb2 にお
ける伸側の減衰力特性を所定のハード特性に固定して制
御する補正制御部gと、を備えた手段とした。
【0008】また、請求項2記載の車両懸架装置では、
車体側と各車輪側の間に介在されていて伸行程側および
圧行程側のうちの一方の行程側の減衰力特性をハード特
性側に可変制御する時には、もう一方の行程側の減衰力
特性がソフト特性になる構造の減衰力特性変更手段a2
を有するショックアブソーバb1 ,b2 と、前輪側およ
び後輪側における各車輪位置のばね上上下速度を検出す
るばね上上下速度検出手段cと、前輪側左右車輪位置に
おけるばね上−ばね下間相対速度を検出する前輪側相対
速度検出手段d1 と、ばね上上下速度検出手段cで検出
されたばね上上下速度の方向判別符号が上向きの正であ
る時はショックアブソーバb1 ,b2 の伸行程側の減衰
力特性を、下向きの負である時は圧行程側の減衰力特性
をばね上上下速度に応じて可変制御する基本制御部eを
有する減衰力特性制御手段fと、減衰力特性制御手段f
に設けられていて前輪側相対速度検出手段d1 で検出さ
れた前輪側における伸側のばね上−ばね下間相対速度が
所定の制御しきい値を越えた時は、その後所定の制御時
間内は後輪側ショックアブソーバb2 における伸側の減
衰力特性を所定のハード特性に固定して制御する補正制
御部gと、を備えている手段とした。
【0009】また、請求項3記載の車両懸架装置では、
前記補正制御部gにおいて、前輪側相対速度検出手段d
1 で検出された前輪側における伸側のばね上−ばね下間
相対速度が所定の制御しきい値を越えた時は、その後所
定の制御時間内は後輪側ショックアブソーバb2 におけ
る伸側の減衰力特性を所定のハード特性に固定して制御
する一方で、所定の制御時間内において基本制御部eに
よる基本制御時の減衰力特性位置が前記所定のハード特
性位置を越えている間は基本制御部eによる基本制御を
行なうようにした。
【0010】また、請求項4記載の車両懸架装置では、
車両の車速を検出する車速センサhを備え、前記所定の
制御時間を車速センサhで検出された車速に応じて変化
させるようにした。
【0011】
【作用】本発明請求項1および請求項2記載の車両懸架
装置では、上述のように構成されるため、車両が急激な
凹凸のない比較的良路を走行している時は、前輪側のば
ね上−ばね下間相対速度が所定の制御しきい値を越える
ことはないため、この時は、基本制御部eにおいて、ス
カイフック制御理論に基づいた最適の減衰力特性制御が
行なわれることになる。
【0012】また、車輪が路面の突起を乗り越した直後
においては、ばね上の車体側は緩やかに下降に転じる
が、ばね下の車輪側は急激に下降に転じることから、前
輪側のばね上−ばね下間相対速度が所定の制御しきい値
を越えるため、この時は、補正制御部gにおいて、その
後所定の制御時間内は、後輪側左右ショックアブソーバ
2 における伸側の減衰力特性をハード特性に固定して
制御する補正制御が開始されるもので、その後所定時間
遅れて後輪側が路面の突起に差し掛かる時点において
は、すでに補正制御への切り換えを完了しもしくは完了
に近い状態となっている。従って、突起を乗り越した直
後のばね下の急激な下降による伸行程に対しては後輪側
左右ショックアブソーバにおける伸側ハード特性によ
り、突起を乗り越した時点から時間遅れなくばね下の急
激な落ち込みが抑制されるもので、これにより、後輪側
突起通過によるばね下のバタツキが防止される。
【0013】また、前輪側のばね上−ばね下間相対速度
により、後輪側を制御することによって、乗員に特に感
じられるばね下のバタツキ感を応答遅れを生じることな
く防止できる。
【0014】また、請求項2記載の車両懸架装置では、
減衰力特性制御手段fの基本制御部では、ばね上上下速
度検出手段で検出されたばね上上下速度の方向判別符号
が上向きの正である時はショックアブソーバb1 ,b2
の伸行程側の減衰力特性が、下向きの負である時は圧行
程側の減衰力特性が、ばね上上下速度に基づいて可変制
御される一方で、その逆行程側の減衰力特性はそれぞれ
ソフトに固定制御された状態となるものであり、このた
め、ばね上上下速度とばね上−ばね下間相対速度の方向
判別符号が一致する制振域においては、その時のショッ
クアブソーバb1 ,b2 の行程側の減衰力特性をハード
特性側で可変制御することで車両の制振力を高めると共
に、両者の方向判別符号が不一致となる加振域において
は、その時のショックアブソーバb1 ,b2 の行程側の
減衰力特性をソフト特性にすることで車両の加振力を弱
める、といったスカイフック制御理論に基づいた基本的
な減衰力特性の切り換え制御が行なわれることになる。
【0015】即ち、この請求項2記載の車両懸架装置で
は、伸行程側および圧行程側のうちの一方の行程側の減
衰力特性をハード特性側に可変制御する時には、もう一
方の行程側の減衰力特性がソフト特性になる構造の減衰
力特性変更手段a2 を有するショックアブソーバb1
2 を用いることで、ばね上上下速度のみで上述のよう
なスカイフック制御理論に基づいた制御を行なうことが
できる。
【0016】さらに、後輪側が路面の突起に乗り上げる
時のばね下の急激な突き上げに対しては、後輪側左右シ
ョックアブソーバb2 における圧側のソフト特性によ
り、突起乗り上げ初期の時点から時間遅れなく路面入力
の車体への伝達が抑制される。また、請求項3記載の車
両懸架装置では、補正制御部gによる補正制御を行なう
所定の制御時間内であっても、基本制御部eによる基本
制御時の減衰力特性位置が前記所定のハード特性位置を
越えている間は基本制御部eによる基本制御が行なわれ
る。
【0017】
【実施例】本発明実施例を図面に基づいて説明する。図
2は、本発明実施例の車両懸架装置を示す構成説明図で
あり、車体と4つの車輪との間に介在されて、4つのシ
ョックアブソーバSAFL,SAFR,SARL,SARR(な
お、ショックアブソーバを説明するにあたり、これら4
つをまとめて指す場合、およびこれらの共通の構成を説
明する時にはただ単にSAと表示する。また、右下の符
号は車輪位置を示すもので、FLは前輪左,FRは前輪右,
RLは後輪左,RRは後輪右をそれぞれ示している。)が設
けられている。そして、前輪左右の各ショックアブソー
バSAFL,SAFRの近傍位置(タワー位置)の車体に
は、上下方向の加速度Gを検出する上下加速度センサ
(以後、上下Gセンサという)1FL,1FRが設けられ、
また、図示を省略したが車両の車速を検出する車速セン
サ2が設けられ、さらに、運転席の近傍位置には、各上
下Gセンサ1(1FL,1FR,)からの信号を入力して、
各ショックアブソーバSAのパルスモータ3に駆動制御
信号を出力するコントロールユニット4が設けられてい
る。
【0018】以上の構成を示すのが図3のシステムブロ
ック図であって、コントロールユニット4は、インタフ
ェース回路4a,CPU4b,駆動回路4cを備え、前
記インタフェース回路4aに、前記左右両上下Gセンサ
FL,1FRからのばね上上下加速度GFL,GFR信号と、
車速センサ2からの車速信号が入力される。そして、前
記インタフェース回路4aには、図14に示すように、
ばね上上下加速度GFL,GFR信号から所定の伝達関数に
基づいて前輪側左右タワー位置のばね上上下速度Δ
FL,ΔxFRおよびばね上−ばね下間相対速度(Δx−
Δx0FL,(Δx−Δx0FRと、後輪側左右タワー
位置のばね上上下速度ΔxRL,ΔxRRおよびばね上−ば
ね下間相対速度(Δx−Δx0RL,(Δx−Δx0
RRとを求めるための信号処理回路が設けられている。な
お、この信号処理回路の詳細については後述する。
【0019】次に、図4は、ショックアブソーバSAの
構成を示す断面図であって、このショックアブソーバS
Aは、シリンダ30と、シリンダ30を上部室Aと下部
室Bとに画成したピストン31と、シリンダ30の外周
にリザーバ室32を形成した外筒33と、下部室Bとリ
ザーバ室32とを画成したベース34と、ピストン31
に連結されたピストンロッド7の摺動をガイドするガイ
ド部材35と、外筒33と車体との間に介在されたサス
ペンションスプリング36と、バンパラバー37とを備
えている。
【0020】次に、図5は前記ピストン31の部分を示
す拡大断面図であって、この図に示すように、ピストン
31には、貫通孔31a,31bが形成されていると共
に、各貫通孔31a,31bをそれぞれ開閉する圧側減
衰バルブ20および伸側減衰バルブ12が設けられてい
る。また、ピストンロッド7の先端に螺合されたバウン
ドストッパ41には、ピストン31を貫通したスタッド
38が螺合して固定されていて、このスタッド38に
は、貫通孔31a,31bをバイパスして上部室Aと下
部室Bとを連通する流路(後述の伸側第2流路E,伸側
第3流路F,バイパス流路G,圧側第2流路J)を形成
するための連通孔39が形成されていて、この連通孔3
9内には前記流路の流路断面積を変更するための調整子
40が回動自在に設けられている。また、スタッド38
の外周部には、流体の流通の方向に応じて前記連通孔3
9で形成される流路側の流通を許容・遮断する伸側チェ
ックバルブ17と圧側チェックバルブ22とが設けられ
ている。なお、この調整子40は、前記パルスモータ3
によりコントロールロッド70を介して回転されるよう
になっている(図4参照)。また、スタッド38には、
上から順に第1ポート21,第2ポート13,第3ポー
ト18,第4ポート14,第5ポート16が形成されて
いる。
【0021】一方、調整子40は、中空部19が形成さ
れると共に、内外を連通する第1横孔24および第2横
孔25が形成され、さらに、外周部に縦溝23が形成さ
れている。
【0022】従って、前記上部室Aと下部室Bとの間に
は、伸行程で流体が流通可能な流路として、貫通孔31
bを通り伸側減衰バルブ12の内側を開弁して下部室B
に至る伸側第1流路Dと、第2ポート13,縦溝23,
第4ポート14を経由して伸側減衰バルブ12の外周側
を開弁して下部室Bに至る伸側第2流路Eと、第2ポー
ト13,縦溝23,第5ポート16を経由して伸側チェ
ックバルブ17を開弁して下部室Bに至る伸側第3流路
Fと、第3ポート18,第2横孔25,中空部19を経
由して下部室Bに至るバイパス流路Gの4つの流路があ
る。また、圧行程で流体が流通可能な流路として、貫通
孔31aを通り圧側減衰バルブ20を開弁する圧側第1
流路Hと、中空部19,第1横孔24,第1ポート21
を経由し圧側チェックバルブ22を開弁して上部室Aに
至る圧側第2流路Jと、中空部19,第2横孔25,第
3ポート18を経由して上部室Aに至るバイパス流路G
との3つの流路がある。
【0023】即ち、ショックアブソーバSAは、調整子
40を回動させることにより、伸側・圧側のいずれとも
図6に示すような特性で減衰力特性を多段階に変更可能
に構成されている。つまり、図7に示すように、伸側・
圧側いずれもソフトとした状態(以後、ソフト領域SS
という)から調整子40を反時計方向に回動させると、
伸側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で圧側が低減衰
力特性に固定の領域(以後、伸側ハード領域HSとい
う)となり、逆に、調整子40を時計方向に回動させる
と、圧側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で伸側が低
減衰力特性に固定の領域(以後、圧側ハード領域SHと
いう)となる構造となっている。
【0024】ちなみに、図7において、調整子40を
,,のポジションに配置した時の、図5における
K−K断面,L−L断面およびM−M断面,N−N断面
を、それぞれ、図8,図9,図10に示し、また、各ポ
ジションの減衰力特性を図11,12,13に示してい
る。
【0025】次に、コントロールユニット4の制御作動
のうち、ばね上上下速度Δxおよびばね上−ばね下間相
対速度(Δx−Δx0 )を求めるための信号処理回路の
構成を、図14のブロック図に基づいて説明する。
【0026】まず、B1では、速度変換用フィルタLP
Fを用い、各上下Gセンサ1FL,1FRで検出された前輪
側左右各タワー位置のばね上上下加速度GFL,GFRを、
前輪側左右各タワー位置のばね上上下速度信号に変換す
る。
【0027】続くB2では、制御を行なう目標周波数帯
以外の成分を遮断するためのバンドパスフィルタ処理を
行なう。即ち、このバンドパスフィルタBPFでは、車
両のばね上共振周波数帯を目標とした(前輪側左右各タ
ワー位置の)ばね上上下速度Δx(ΔxFL,ΔxFR)信
号を求める。
【0028】一方、B3では、次式(1) に示すように、
前輪側におけるばね上上下加速度からばね上−ばね下間
相対速度までの伝達関数Gaf(S) を用い、各上下Gセン
サ1FL,1FRで検出された前輪側左右各タワー位置の上
下方向加速度GFL,GFR信号から、前輪側左右各タワー
位置のばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0
[(Δx−Δx0FL,(Δx−Δx0FR]信号を求
める。 Gaf(S) =−m1 s/(c1 s+k1 )・・・・・・・・(1) そして、図15は伝達関数算出モデルを示す説明図であ
り、この図にも示すように、x1 は前輪側ばね上マス入
力、x2 は前輪側ばね下マス入力、x3 は前輪側路面入
力、x4 は後輪側ばね上マス入力、m1 は前輪側ばね上
マス、m2 は前輪側ばね下マス、c1 は前輪側サスペン
ションの減衰係数、c2 は前輪側タイヤの減衰係数、k
1 は前輪側サスペンションのばね定数、k2 は前輪側タ
イヤのばね定数、x4 は後輪側ばね上マス入力、x5
後輪側ばね下マス入力、x3'は後輪側路面入力、m3
後輪側ばね上マス、m4 は後輪側ばね下マス、c3 は後
輪側サスペンションの減衰係数、c4 は後輪側タイヤの
減衰係数、k3 は後輪側サスペンションのばね定数、k
4 は後輪側タイヤのばね定数である。
【0029】また、B4では、前輪側左右各タワー位置
のばね上上下加速度GFL,GFR信号から、次式(2) に示
す路面入力を伝達経路とする上下方向の伝達関数G
gr(S) に基づいて後輪側左右タワー位置のばね上上下加
速度GRL,GRR信号を求める。なお、前記路面入力を伝
達経路とする上下方向の伝達関数Ggr(S) には、車両の
ホイールベースWB と車速SV から求められる前輪側路
面入力から後輪側路面入力までの時間遅れ分のディレイ
伝達関数からシステム応答遅れ時間φを差し引いたディ
レイタイムR(=WB /SV −φ)を設定したディレイ
伝達関数(GD(S)=e-SR )が含まれている。
【0030】 Ggr(S) =x4r(S) /x1(S) =x3(S)/x1(S)・x3'(S) /x3(S)・x4r(S) /x3'(S) =Ggr1(S)・GD(S)・Ggr2(S) ・・・・・・・・(2) なお、Ggr1(S)は、前輪側ばね上上下加速度から、前輪
側路面入力までの伝達関数、Ggr2(S)は、後輪側路面入
力から、後輪側ばね上上下加速度までの伝達関数、x4r
は、後輪側路面入力から伝わる後輪側上下方向の状態量
である。続くB5では、前記B1と同様に、速度変換フ
ィルタLPFを用い、後輪側左右各タワー位置のばね上
上下加速度GRL,GRR信号を、後輪側左右各タワー位置
のばね上上下速度信号に変換し、続くB6では、前記B
2と同様に、バンドパスフィルタ処理により、車両のば
ね上共振周波数帯を目標とした後輪側左右各タワー位置
のばね上上下速度ΔxRL,ΔxRR信号を求める。
【0031】一方、B7では、後輪側左右各タワー位置
のばね上上下加速度から後輪側左右各タワー位置のばね
上ばね下間相対速度までの伝達関数Gar(S) を用い、前
記B4で算出された後輪側左右各タワー位置のばね上上
下加速度GRL,GRR信号から、後輪側左右各タワー位置
のばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0RL,(Δ
x−Δx0RR信号を求める。
【0032】即ち、この実施例では、上下Gセンサ1と
信号処理回路とで、請求の範囲の各車輪位置のばね上上
下速度検出手段、および、前輪側相対速度検出手段を構
成させている。
【0033】次に、前記コントロールユニット4におけ
るショックアブソーバSAの減衰力特性制御作動のう
ち、基本制御部による基本制御の内容を図16のフロー
チャートに基づいて説明する。なお、この基本制御は各
ショックアブソーバSAFL,SAFR,SARL,SARR
とに行なわれる。
【0034】ステップ101では、ばね上上下速度Δx
が正の値であるか否かを判定し、YESであればステッ
プ102に進んで各ショックアブソーバSAを伸側ハー
ド領域HSに制御し、NOであればステップ103に進
む。
【0035】ステップ103では、ばね上上下速度Δx
が負の値であるか否かを判定し、YESであればステッ
プ104に進んで各ショックアブソーバSAを圧側ハー
ド領域SHに制御し、NOであればステップ105に進
む。
【0036】ステップ105は、ステップ101および
ステップ103でNOと判断された時、即ち、ばね上上
下速度Δxの値が、0である時の処理ステップであり、
この時は、各ショックアブソーバSAをソフト領域SS
に制御する。
【0037】次に、減衰力特性制御の作動を図16のタ
イムチャートにより説明する。ばね上上下速度Δxおよ
びばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0 )に基づく
ばね上上下速度Δxが、この図に示すように変化した場
合、図に示すように、ばね上上下速度Δxの値が0であ
る時には、ショックアブソーバSAをソフト領域SSに
制御する。
【0038】また、ばね上上下速度Δxの値が正の値に
なると、伸側ハード領域HSに制御して、圧側の減衰力
特性をソフト特性に固定する一方、伸側の減衰力特性
(目標減衰力特性ポジションPT )を、次式(3) に基づ
き、ばね上上下速度Δxに比例させて変更する。 PT =α・Δx・K・・・・・・・・・・・・・・・・(3) なお、αは、伸側の定数、Kは、ばね上−ばね下間相対
速度(Δx−Δx0 )に応じて可変設定されるゲインで
ある。
【0039】また、ばね上上下速度Δxの値が負の値に
なると、圧側ハード領域SHに制御して、伸側減衰力特
性をソフト特性に固定する一方、圧側の減衰力特性(目
標減衰力特性ポジションPC )を、次式(4) に基づき、
ばね上上下速度Δxに比例させて変更する。 PC =β・Δx・K・・・・・・・・・・・・・・・・(4) なお、βは、圧側の定数である。
【0040】次に、コントロールユニット4の減衰力特
性制御作動のうち、主にショックアブソーバSAの制御
領域の切り換え作動状態を図17のタイムチャートに基
づいて説明する。
【0041】図17のタイムチャートにおいて、領域a
は、ばね上上下速度Δxおよびばね上−ばね下間相対速
度(Δx−Δx0 )に基づくばね上上下速度Δxが負の
値(下向き)から正の値(上向き)に逆転した状態であ
る、この時はまだ相対速度(Δx−Δx0 )は負の値
(ショックアブソーバSAの行程は圧行程側)となって
いる領域であるため、この時は、ばね上上下速度Δxの
方向に基づいてショックアブソーバSAは伸側ハード領
域HSに制御されており、従って、この領域ではその時
のショックアブソーバSAの行程である圧行程側がソフ
ト特性となる。
【0042】また、領域bは、ばね上上下速度Δxが正
の値(上向き)のままで、ばね上−ばね下間相対速度
(Δx−Δx0 )は負の値から正の値(ショックアブソ
ーバSAの行程は伸行程側)に切り換わった領域である
ため、この時は、ばね上上下速度Δxの方向に基づいて
ショックアブソーバSAは伸側ハード領域HSに制御さ
れており、かつ、ショックアブソーバの行程も伸行程で
あり、従って、この領域ではその時のショックアブソー
バSAの行程である伸行程側が、ばね上上下速度Δxの
値に比例したハード特性となる。
【0043】また、領域cは、ばね上上下速度Δxが正
の値(上向き)から負の値(下向き)に逆転した状態で
あるが、この時はまだばね上−ばね下間相対速度(Δx
−Δx0 )は正の値(ショックアブソーバSAの行程は
伸行程側)となっている領域であるため、この時は、ば
ね上上下速度Δxの方向に基づいてショックアブソーバ
SAは圧側ハード領域SHに制御されており、従って、
この領域ではその時のショックアブソーバSAの行程で
ある伸行程側がソフト特性となる。
【0044】また、領域dは、ばね上上下速度Δxが負
の値(下向き)のままで、ばね上−ばね下間相対速度
(Δx−Δx0 )は正の値から負の値(ショックアブソ
ーバSAの行程は伸行程側)になる領域であるため、こ
の時は、ばね上上下速度Δxの方向に基づいてショック
アブソーバSAは圧側ハード領域SHに制御されてお
り、かつ、ショックアブソーバの行程も圧行程であり、
従って、この領域ではその時のショックアブソーバSA
の行程である圧行程側が、ばね上上下速度Δxの値に比
例したハード特性となる。
【0045】以上のように、この実施例では、ばね上上
下速度Δxとばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx
0 )とが同符号の時(領域b,領域d)は、その時のシ
ョックアブソーバSAの行程側をハード特性に制御し、
異符号の時(領域a,領域c)は、その時のショックア
ブソーバSAの行程側をソフト特性に制御するという、
スカイフック制御理論に基づいた減衰力特性制御と同一
の制御が、ばね上上下速度Δx信号のみに基づいて行な
われることになる。そして、さらに、この実施例では、
ショックアブソーバSAの行程が切り換わった時点、即
ち、領域aから領域b,および領域cから領域d(ソフ
ト特性からハード特性)へ移行する時には、切り換わる
行程側の減衰力特性ポジションは前の領域a,cで既に
ハード特性側への切り換えが行なわれているため、ソフ
ト特性からハード特性への切り換えが時間遅れなく行な
われるもので、これにより、高い制御応答性が得られる
と共に、ハード特性からソフト特性への切り換えはパル
スモータ3を駆動させることなしに行なわれるもので、
これにより、パルスモータ3の耐久性向上と、消費電力
の節約が成されることになる。
【0046】次に、コントロールユニット4の制御作動
のうち、後輪側左右ショックアブソーバSARL,SARR
における減衰力特性の基本制御と補正制御の切り換え制
御作動の内容について、図18のフローチャート、およ
び、図19のタイムチャートに基づいて説明する。
【0047】まず、図18のフローチャートにおいて、
ステップ201では、基本制御時における伸側の減衰力
特性ポジションPT を次式(5) に基づいて求める。 PT =α・Δx・Kr ・・・・・・・・・・・・・・・・(5) なお、Kr は後輪側のばね上−ばね下間相対速度(Δx
−Δx0RL,(Δx−Δx0RRにより決定されるゲ
インである。
【0048】続くステップ202では、前輪側のばね上
−ばね下間相対速度VRf[(Δx−Δx0FL,(Δx
−Δx0FR]が所定のしきい値VRDを越えているか否
かを判定する。そして、YESであればステップ203
に進んで補正制御フラグ(Flag)を1にセットし、
続くステップ204でタイマのタイム(Time)を0
にリセットし、続くステップ205でタイマをONにセ
ットした後、ステップ206に進む。また、NOであれ
ば、そのままステップ206に進む。
【0049】前記ステップ206では、補正制御フラグ
(Flag)が1にセットされているか否かを判定し、
YESであればステップ207に進む。また、NOであ
れば、ステップ211に進んで後輪側ショックアブソー
バSARL,SARRの伸側の目標減衰力特性ポジションP
を、前記基本制御時における伸側の減衰力特性ポジショ
ンPT に設定してステッピングモータを通常に制御し、
これで一回のフローを終了する。
【0050】前記ステップ207では、タイマのタイム
(Time)が予め設定された補正制御ON時間TH
満であるか否かを判定し、YESであればステップ20
8に進む。また、NOであれば、ステップ209に進ん
で補正制御フラグ(Flag)を0にリセットした後、
ステップ211に進んで、通常制御に戻す(図19のT
H4)。
【0051】前記ステップ208では、前記基本制御時
における伸側の減衰力特性ポジションPT が所定のハー
ド特性側に設定された伸側リミットポジションPD 未満
であるか否かを判定し、YESであればステップ210
に進んで後輪側ショックアブソーバSARL,SARRの伸
側の目標減衰力特性ポジションPを、前記伸側リミット
ポジションPD に設定して、ステッピングモータをより
速やかに駆動して該ポジションPD に保持する(図19
のTH1,TH3)。これで一回のフローを終了する。ま
た、NOであれば、ステップ211に進んで、前記ポジ
ションPD に保持されていた目標をPT に切り換えて、
ステッピングモータを該目標PT に沿って駆動制御する
(図19のTH2)。
【0052】以上で一回の制御フローを終了し、以後は
以上の制御フローを繰り返すものである。
【0053】次に、図19のタイムチャートに基づい
て、基本制御と補正制御の切り換え制御作動の内容につ
いて説明する。
【0054】(イ)通常路面走行時 車両が急激な凹凸のない比較的良路を走行している時
は、前輪側のばね上−ばね下間相対速度VRf[(Δx−
Δx0FL,(Δx−Δx0FR]が所定のしきい値V
RDを越えることはないため、この時は、後輪側左右ショ
ックアブソーバSARL,SARRにおける伸側の減衰力特
性ポジションPは、圧側と同様に各ばね上上下速度Δx
FL,ΔxFRに比例した基本制御時における目標減衰力特
性ポジションPT に設定される基本制御(ステップ21
1)が行なわれ、これにより、前述のように、スカイフ
ック制御理論に基づいた最適の減衰力特性制御が行なわ
れることになる。
【0055】(ロ)突起通過時 車両が走行中において、まず、前輪側が路面の突起を乗
り越した直後においては、ばね上の車体側は緩やかに下
降に転じるが、ばね下の車輪側は急激に下降に転じるこ
とから、前輪側のばね上−ばね下間相対速度VRf[(Δ
x−Δx0FL,(Δx−Δx0FR]が所定のしきい
値VRDを越えるため、この時は、その後補正制御ON時
間TH を経過するまでの間は、後輪側左右ショックアブ
ソーバSARL,SARRにおける伸側の目標減衰力特性ポ
ジションPを、所定のハード特性である伸側リミットポ
ジションPD に設定する補正制御が行なわれ、即ち、伸
側ハード領域HS側への切り換え制御が開始されるもの
で、その後所定時間遅れて後輪側が路面の突起に差し掛
かる時点においては、すでに切り換えを完了しもしくは
完了に近い状態となっている。これに対し、基本制御に
おいて、前輪側のばね上上下速度から所定時間位相を遅
らせて制御したとしても、後輪が路面の突起を乗り越え
る時点においては、ばね上上下速度に比例して減衰力を
制御しているため、まだ伸側の減衰力特性はソフト特性
にある。
【0056】しかし、補正制御では、後輪側が路面の突
起に乗り上げる時のばね下の急激な突き上げによる圧行
程に対しては、後輪側左右ショックアブソーバSARL
SARRにおける圧側のソフト特性により、突起乗り上げ
初期の時点から時間遅れなく路面入力の車体への伝達が
抑制されると共に、突起を乗り越した直後のばね下の急
激な下降による伸行程に対しては後輪側左右ショックア
ブソーバSARL,SARRにおける伸側ハード特性によ
り、突起を乗り越した時点から時間遅れなくばね下の急
激な落ち込みが抑制されるもので、これにより、後輪側
突起通過によるばね下のバタツキが防止される。なお、
後輪側で検出されたばね上−ばね下間相対速度信号に基
づいた制御では、突起通過時におけるような急激な車両
挙動に対しては制御応答性の遅れから初期の制御効果を
得ることができない。
【0057】また、伸側の減衰力特性がハード特性にな
るにつれて大きくなるように減衰力特性ポジションを数
値にたとえると、基本制御時における目標減衰力特性ポ
ジションPT が伸側リミットポジションPD 未満である
時は、上述のように伸側のハード特性を伸側リミットポ
ジションPD に設定する補正制御(ステップ210)が
行なわれるが、伸側リミットポジションPD 以上である
時は目標減衰力特性ポジションPT に設定する基本制御
(ステップ211)が行なわれる。
【0058】そして、前記補正制御ON時間TH は、次
式(6) に基づいて可変設定されるようになっている。 TH =WB /(Sv /3.6)+Δt・・・・・・・・・・・・・・・(6) なお、WB は、ホイールベース(m)、Sv は、車速
(km/h)、Δt(sec )は、前輪側のばね上−ばね下間
相対速度VRfが所定のしきい値VRDを越えた時の入力が
後輪位置に入力されてから後輪のばね下のバタツキが落
ち着くまでの一定時間(Δt>0)を示している。
【0059】以上説明してきたように、この実施例の車
両懸架装置では、以下に列挙する効果が得られる。 通常路面の走行時においては基本制御部によるスカ
イフック制御理論に基づいた最適な減衰力特性制御が得
られると共に、補正制御部による補正制御により、後輪
側の路面突起乗り上げ時におけるばね下入力のばね上へ
の伝達を圧側ソフト特性により時間遅れなく抑制するこ
とができ、かつ、路面突起乗り越し直後においては、伸
側ハード特性によりばね下のバタツキを時間遅れなく防
止することができるようになる。
【0060】また、前輪側のばね上−ばね下間相対速度
により、後輪側を制御することによって、乗員に特に感
じられるばね下のバタツキ感を応答遅れを生じることな
く防止することができる。
【0061】 前輪側上下Gセンサ1で検出されたば
ね上上下加速度GFL,GFRから所定の伝達関数に基づい
て前輪側タワー位置におけるばね上−ばね下間相対速度
(Δx−Δx0FL,(Δx−Δx0FRと、後輪側タ
ワー位置におけるばね上上下速度ΔxRL,ΔxRRおよび
ばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0RL,(Δx
−Δx0RRを求めるようにしたことで、その分センサ
の設置を省略することができ、これにより、システム構
成の簡略化による車載性の向上とシステムコストの低減
化とを図ることができるようになる。 また、伝達関数
によると、後輪側タワー位置における車両挙動を正確に
推定することができることから、後輪側においては最適
な制御力を発生させることができるようになる。
【0062】 ソフト特性からハード特性への切り換
えが時間遅れなく行なわれるもので、これにより、高い
制御応答性が得られると共に、ハード特性からソフト特
性への切り換えはアクチュエータを駆動させることなし
に行なわれるもので、これにより、アクチュエータの耐
久性向上と、消費電力の節約が可能ないなる。
【0063】 従来のスカイフック制御理論に基づい
たシステムに比べ、後輪側左右位置のばね上−ばね下間
相対速度を検出する後輪側相対速度検出手段を省略する
ことも可能であるため、コストを低減することができ
る。
【0064】以上、実施例について説明してきたが具体
的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明
に含まれる。例えば、実施例では、上下Gセンサを前輪
側左右2個所に設ける場合を示したがその設置個数は任
意であり、上下Gセンサが前輪側に1個だけのシステム
にも適用することができる。
【0065】また、実施例では、前輪側左右タワー位置
のばね上−ばね下間相対速度と、後輪側左右タワー位置
のばね上上下速度およびばね上−ばね下間相対速度と
を、上下Gセンサで検出された前輪左右タワー位置のば
ね上上下加速度から所定の伝達関数に基づいて演算で求
めるようにしたが、それぞれ独立に設けたセンサにより
検出するようにしてもよい。
【0066】また、実施例では、一方の行程側の減衰力
特性を可変制御する時はその逆行程側が低減衰力特性と
なる減衰力特性変更手段を有するショックアブソーバを
用い、ばね上上下速度だけで減衰力特性の基本制御を行
なうようにした場合を示したが、伸圧両行程が同時に可
変するショックアブソーバを用いると共に、ばね上上下
速度とばね上−ばね下間相対速度信号を用い、両信号の
方向判別によって減衰力特性の基本制御を行なう従来の
スカイフック制御理論に基づいた制御を行なう場合にも
本発明を適用することができる。
【0067】また、実施例では、ばね上上下速度信号が
0の時のみソフト領域SSに制御するようにしたが、0
を中心とする所定の不感帯を設けこの不感帯の範囲内で
ばね上上下速度が推移している間は減衰力特性ポジショ
ンをソフト領域SSに維持させることにより、制御ハン
チングを防止することができる。
【0068】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明請求項1
または請求項2記載の車両懸架装置では、上述のよう
に、スカイフック制御理論に基づいた減衰力特性制御を
行なう基本制御部を有する減衰力特性制御手段と、減衰
力特性制御手段に設けられていて前輪側相対速度検出手
段で検出された前輪側における伸側のばね上−ばね下間
相対速度が所定の制御しきい値を越えた時は、その後所
定の制御時間内は後輪側ショックアブソーバにおける伸
側の減衰力特性を所定のハード特性に固定して制御する
補正制御部と、を備えた構成としたことで、通常路面の
走行時においてはスカイフック制御理論に基づいた最適
な減衰力特性制御が得られると共に、特に後輪側の路面
突起乗り越し直後におけるばね下のバタツキを防止する
ことができるようになるという効果が得られる。
【0069】また、前輪側のばね上−ばね下間相対速度
により、後輪側を制御していることによって乗員に特に
感じられるばね下のバタツキ感を応答遅れを生じること
なく防止することができる。
【0070】さらに、請求項2記載の車両懸架装置で
は、伸行程側および圧行程側のうちの一方の行程側の減
衰力特性をハード特性側に可変制御する時には、もう一
方の行程側の減衰力特性がソフト特性になる構造の減衰
力特性変更手段を有するショックアブソーバを用いると
共に、基本制御部において、ばね上上下速度検出手段で
検出されたばね上上下速度の方向判別符号が上向きの正
である時はショックアブソーバの伸行程側の減衰力特性
を、下向きの負である時は圧行程側の減衰力特性をばね
上上下速度に比例して可変制御するようにしたことで、
ばね上上下速度とばね上ばね下間相対速度の方向判別符
号が一致する制振域においては、その時のショックアブ
ソーバの行程側を高減衰力特性側で可変制御することで
車両の制振力を高めると共に、両者の方向判別符号が不
一致となる加振域においては、その時のショックアブソ
ーバの行程側を低減衰力特性にすることで車両の加振力
を弱める、といったスカイフック理論に基づいた基本的
な減衰力特性の切り換え制御を行なうことができるよう
になる。
【0071】そして、ソフト特性からハード特性への切
り換えが時間遅れなく行なわれるもので、これにより、
高い制御応答性が得られると共に、ハード特性からソフ
ト特性への切り換えはアクチュエータを駆動させること
なしに行なわれるもので、これにより、アクチュエータ
の耐久性向上と、消費電力の節約が成されることにな
り、また、後輪側左右位置のばね上−ばね下間相対速度
を検出する相対速度検出手段を省略することができると
いう効果が得られる。
【0072】さらに、後輪側が路面の突起に乗り上げる
時のばね下の急激な突き上げに対しては、後輪側左右シ
ョックアブソーバにおける圧側のソフト特性により、突
起乗り上げ初期の時点から時間遅れなく路面入力の車体
への伝達を抑制することができるようになるという効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両懸架装置を示すクレーム概念図で
ある。
【図2】本発明実施例の車両懸架装置を示す構成説明図
である。
【図3】実施例の車両懸架装置を示すシステムブロック
図である。
【図4】実施例装置に適用したショックアブソーバを示
す断面図である。
【図5】前記ショックアブソーバの要部を示す拡大断面
図である。
【図6】前記ショックアブソーバのピストン速度に対応
した減衰力特性図である。
【図7】前記ショックアブソーバのパルスモータのステ
ップ位置に対応した減衰力特性図である。
【図8】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のK
−K断面図である。
【図9】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のL
−L断面およびM−M断面図である。
【図10】前記ショックアブソーバの要部を示す図5の
N−N断面図である。
【図11】前記ショックアブソーバの伸側ハード時の減
衰力特性図である。
【図12】前記ショックアブソーバの伸側・圧側ソフト
状態の減衰力特性図である。
【図13】前記ショックアブソーバの圧側ハード状態の
減衰力特性図である。
【図14】実施例装置における信号処理回路を示すブロ
ック図である。
【図15】実施例装置における伝達関数算出モデルを示
す説明図である。
【図16】実施例装置におけるコントロールユニットの
減衰力特性制御作動のうち、基本制御部による基本制御
作動の内容を示すフローチャートである。
【図17】実施例装置におけるコントロールユニットの
減衰力特性制御作動のうち、基本制御部による基本制御
作動の内容を示すタイムチャートである。
【図18】実施例装置におけるコントロールユニットの
減衰力特性制御作動のうち、基本制御部による基本制御
と補正制御部による補正制御の切り換え制御作動の内容
を示すフローチャートである。
【図19】実施例装置におけるコントロールユニットの
減衰力特性制御作動のうち、基本制御部による基本制御
と補正制御部による補正制御の切り換え制御作動の内容
を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 減衰力特性変更手段 a2 減衰力特性変更手段 b1 前輪側ショックアブソーバ b2 後輪側ショックアブソーバ c ばね上上下速度検出手段 d1 前輪側相対速度検出手段 d2 後輪側相対速度検出手段 e 基本制御部 f 減衰力特性制御手段 g 補正制御部 h 車速センサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体側と各車輪側の間に介在されていて
    減衰力特性変更手段により減衰力特性を変更可能なショ
    ックアブソーバと、 前輪側および後輪側における左右各車輪位置のばね上上
    下速度を検出するばね上上下速度検出手段と、 前輪側および後輪側における左右各車輪位置のばね上−
    ばね下間相対速度を検出する相対速度検出手段と、 ばね上上下速度検出手段で検出されたばね上上下速度の
    方向判別符号(上向きで正,下向きで負)と相対速度検
    出手段で検出されたばね上−ばね下間相対速度の方向判
    別符号(伸行程側で正,圧行程側で負)とが一致する時
    にはショックアブソーバの減衰力特性をハード特性に制
    御し、不一致の時にはショックアブソーバの減衰力特性
    をソフト特性に制御する基本制御部を有する減衰力特性
    制御手段と、 減衰力特性制御手段に設けられていて前輪側相対速度検
    出手段で検出された前輪側における伸側のばね上−ばね
    下間相対速度が所定の制御しきい値を越えた時は、その
    後所定の制御時間内は後輪側ショックアブソーバにおけ
    る伸側の減衰力特性を所定のハード特性位置に固定して
    制御する補正制御部と、を備えたことを特徴とする車両
    懸架装置。
  2. 【請求項2】 車体側と各車輪側の間に介在されていて
    伸行程側および圧行程側のうちの一方の行程側の減衰力
    特性をハード特性側に可変制御する時には、もう一方の
    行程側の減衰力特性がソフト特性になる構造の減衰力特
    性変更手段を有するショックアブソーバと、 前輪側および後輪側における左右各車輪位置のばね上上
    下速度を検出するばね上上下速度検出手段と、 前輪側左右車輪位置におけるばね上−ばね下間相対速度
    を検出する前輪側相対速度検出手段と、 ばね上上下速度検出手段で検出されたばね上上下速度の
    方向判別符号が上向きの正である時はショックアブソー
    バの伸行程側の減衰力特性を、下向きの負である時は圧
    行程側の減衰力特性をばね上上下速度に応じて可変制御
    する基本制御部を有する減衰力特性制御手段と、 減衰力特性制御手段に設けられていて前輪側相対速度検
    出手段で検出された前輪側における伸側のばね上−ばね
    下間相対速度が所定の制御しきい値を越えた時は、その
    後所定の制御時間内は後輪側ショックアブソーバにおけ
    る伸側の減衰力特性を所定のハード特性に固定して制御
    する補正制御部と、を備えたことを特徴とする車両懸架
    装置。
  3. 【請求項3】 前記補正制御部では、前輪側相対速度検
    出手段で検出された前輪側における伸側のばね上−ばね
    下間相対速度が所定の制御しきい値を越えた時は、その
    後所定の制御時間内は後輪側ショックアブソーバにおけ
    る伸側の減衰力特性を所定のハード特性に固定して制御
    する一方で、所定の制御時間内において基本制御部によ
    る基本制御時の減衰力特性位置が前記所定のハード特性
    位置を越えている間は基本制御部による基本制御を行な
    うようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載
    の車両懸架装置。
  4. 【請求項4】 車両の車速を検出する車速センサを備
    え、前記所定の制御時間を車速センサで検出された車速
    に応じて変化させるようにしたことを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の車両懸架装置。
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Cited By (2)

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JP2011068195A (ja) * 2009-09-24 2011-04-07 Hitachi Automotive Systems Ltd サスペンション制御装置
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