JPH0920117A - 車両懸架装置 - Google Patents

車両懸架装置

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JPH0920117A
JPH0920117A JP17078495A JP17078495A JPH0920117A JP H0920117 A JPH0920117 A JP H0920117A JP 17078495 A JP17078495 A JP 17078495A JP 17078495 A JP17078495 A JP 17078495A JP H0920117 A JPH0920117 A JP H0920117A
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JP
Japan
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sprung
damping force
unsprung
control
relative speed
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JP17078495A
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English (en)
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Katsuya Iwasaki
克也 岩崎
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
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Unisia Jecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ばね上の挙動を抑制しつつ、ばね下のバタツ
キによる車両の乗り心地悪化を防止することができる車
両懸架装置の提供。 【構成】 ばね上上下速度検出手段cで検出されたばね
上上下速度信号と所定の制御ゲインから得られる制御信
号に基づいてショックアブソーバbの減衰力特性制御を
行なう減衰力特性制御手段eと、所定の制御ゲインの少
なくとも1つを、相対速度検出手段dで検出されたばね
上−ばね下間相対速度に応じ、所定の関数もしくはマッ
プに基づいて可変制御するゲイン可変制御手段fと、ば
ね上−ばね下間相対速度からばね下共振周波数成分信号
を抽出するばね下共振周波数成分検出手段gと、ばね下
共振周波数成分信号が所定のしきい値を越えている時は
ゲイン可変制御手段fにおける所定の関数もしくはマッ
プをばね下制振モードに切り換えるばね下制振制御手段
hと、を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ショックアブソー
バの減衰力特性を最適制御する車両の懸架装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ショックアブソーバの減衰力特性
制御を行う車両懸架装置としては、例えば、特表平4−
502439号公報に記載されたものが知られている。
【0003】この従来の車両懸架装置は、ばね上上下速
度と、相対的なピストン移動量から求められたばね上−
ばね下間相対速度の両方向判別符号が一致する制振域の
時は、ショックアブソーバの減衰力特性をその時のばね
上上下速度およびばね上−ばね下間相対速度に応じたハ
ード特性に制御することにより、制振力を高めて車体の
振動を抑制し、両方向判別符号が不一致となる加振域の
時には、ショックアブソーバの減衰力特性をソフト特性
に制御することにより、加振力を弱めてばね下入力のば
ね上への伝達を抑制するという、カルノップ制御理論
(スカイフック制御理論)に基づいた減衰力特性制御を
行なうようにしたものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
車両懸架装置では、ばね上の挙動を抑制することを目的
とするもので、ばね下の挙動については考慮されたもの
ではないことから、ばね下のバタツキによる車両の乗り
心地悪化を防止することができないという問題点があっ
た。
【0005】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、ばね上の挙動を抑制しつつ、ばね下の
バタツキによる車両の乗り心地悪化を防止することがで
きる車両懸架装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明請求項1記載の車両懸架装置は、図1のク
レーム対応図に示すように、車体側と各車輪側の間に介
在されていて減衰力特性変更手段aにより減衰力特性を
変更可能なショックアブソーバbと、ばね上上下速度を
検出するばね上上下速度検出手段cと、ばね上−ばね下
間相対速度を検出する相対速度検出手段dと、前記ばね
上上下速度検出手段cで検出されたばね上上下速度信号
と所定の制御ゲインから得られる制御信号に基づいて前
記ショックアブソーバbの減衰力特性制御を行なう減衰
力特性制御手段eと、前記所定の制御ゲインの少なくと
も1つを、前記相対速度検出手段dで検出されたばね上
−ばね下間相対速度に応じ、所定の関数もしくはマップ
に基づいて可変制御するゲイン可変制御手段fと、前記
相対速度検出手段dで検出されたばね上−ばね下間相対
速度からばね下共振周波数成分信号を抽出するばね下共
振周波数成分検出手段gと、該ばね下共振周波数成分検
出手段gで検出されたばね下共振周波数成分信号が所定
のしきい値を越えている時は前記ゲイン可変制御手段f
における所定の関数もしくはマップをばね下制振モード
に切り換えるばね下制振制御手段hと、を備えている手
段とした。
【0007】また、請求項2に記載の車両懸架装置は、
前記ゲイン可変制御手段fにおいて用いられるばね上−
ばね下間相対速度として、前記相対速度検出手段dで検
出されたばね上−ばね下間相対速度のピーク値の絶対値
を検出し該ピーク値の絶対値を次のピーク値の絶対値が
検出されるまでの間は保持させた処理信号を用いるよう
にした。
【0008】また、請求項3に記載の車両懸架装置は、
前記ゲイン可変制御手段fにおいて用いられるばね上−
ばね下間相対速度として、前記相対速度検出手段dで検
出された相対速度信号の方向判別符号により相対速度信
号の伸側のピーク値と圧側のピーク値をそれぞれ検出し
伸側のピーク値と圧側のピーク値をそれぞれ次のピーク
値が検出されるまでの間は保持させた伸側処理信号と圧
側処理信号とをそれぞれ作成すると共に、前記ばね上上
下速度検出手段cで検出されたその時のばね上上下速度
の方向判別符号が上向きの時は伸側処理信号を、また、
下向きの時は圧側処理信号をそれぞれ用いるようにし
た。
【0009】また、請求項4記載の車両懸架装置は、前
記ショックアブソーバbの減衰力特性変更手段aが、伸
行程側および圧行程側の減衰力特性が共にソフト特性と
なるソフト領域(SS)を中心とし、圧行程側はソフト
特性に保持されたままで伸行程側の減衰力特性だけをハ
ード特性側に可変制御可能な伸側ハード領域(HS)
と、伸行程側はソフト特性に保持されたままで圧行程側
の減衰力特性だけをハード特性側に可変制御可能な圧側
ハード領域(SH)とを備え、前記減衰力特性制御手段
eが、前記ばね上上下速度検出手段cで検出されたばね
上上下速度信号の方向判別符号が0付近である時はショ
ックアブソーバbをソフト領域(SS)に制御し、上向
きの正である時は伸側ハード領域(HS)側において伸
行程側の減衰力特性を、また下向きの負である時は圧側
ハード領域(SH)側において圧行程側の減衰力特性を
それぞれその時のばね上上下速度と所定の制御ゲインと
から得られる制御信号に応じたハード特性に可変制御す
るように構成されている手段とした。
【0010】
【作用】本発明請求項1記載の車両懸架装置では、上述
のように、構成されるため、ばね下のバタツキが発生し
ていない時は、ばね下共振周波数成分検出手段gで検出
されたばね下共振周波数成分信号が所定のしきい値以下
となるため、この時は、ゲイン可変制御手段fでは、相
対速度検出手段dで検出されたばね上−ばね下間相対速
度に応じ、所定の関数もしくはマップに基づいて制御ゲ
インの可変制御が行なわれ、これにより、ばね上の挙動
を抑制することできる。
【0011】また、ばね下のバタツキが発生すると、ば
ね下共振周波数成分信号が所定のしきい値を越えるた
め、この時は、ゲイン可変制御手段fにおける所定の関
数もしくはマップをばね下制振モードに切り換える制御
が行なわれ、これにより、ばね下のバタツキを抑制する
ことができる。
【0012】また、請求項2記載の車両懸架装置では、
相対速度検出手段dで検出されたばね上−ばね下間相対
速度のピーク値の絶対値を検出し該ピーク値の絶対値を
次のピーク値の絶対値が検出されるまでの間は保持させ
る信号処理を行なうことにより、高周波の相対速度信号
を低周波の処理信号に変形するもので、これにより、制
御ゲインの変動も低周波状態となることから、アクチュ
エータの応答性がそれほど高くなくても、減衰力特性の
切り換えを制御信号の変化に追従させることができる。
【0013】また、請求項3記載の車両懸架装置では、
伸側処理信号と圧側処理信号とをそれぞれ別々に作成す
ると共に、その時のばね上上下速度の方向判別符号が上
向きの時は伸側処理信号を、また、下向きの時は圧側処
理信号をそれぞれ用いるようにしたもので、これによ
り、前記請求項2と同様の作用が得られると共に、伸側
と圧側とで独立した制御ゲインが設定されることで、制
御性が向上する。
【0014】また、請求項4記載の車両懸架装置では、
減衰力特性制御手段eにおいて、ばね上上下速度検出手
段cで検出されたばね上上下速度信号の方向判別符号
が、0付近である時はショックアブソーバbがソフト領
域(SS)に制御され、上向きの正である時は伸行程側
の減衰力特性が、また下向きの負である時は圧行程側の
減衰力特性が、ばね上上下速度と所定の制御ゲインとか
ら得られる制御信号に応じたハード特性に可変制御され
る一方で、その逆行程側の減衰力特性はそれぞれソフト
特性に固定制御された状態となるものであり、このた
め、ばね上上下速度とばね上−ばね下間相対速度の方向
判別符号が一致する制振域においては、その時のショッ
クアブソーバbの行程側の減衰力特性をハード特性側で
可変制御することで車両の制振力を高めると共に、両者
の方向判別符号が不一致となる加振域においては、その
時のショックアブソーバbの行程側の減衰力特性をソフ
ト特性にすることで車両の加振力を弱める、といったス
カイフック制御理論に基づいた基本的な減衰力特性の切
り換え制御が行なわれることになる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明実施例を図面に基づいて説
明する。図2は、本発明実施例の車両懸架装置を示す構
成説明図であり、車体と4つの車輪との間に介在され
て、4つのショックアブソーバSAFL,SAFR,S
RL,SARR(なお、ショックアブソーバを説明するに
あたり、これら4つをまとめて指す場合、およびこれら
の共通の構成を説明する時にはただ単にSAと表示す
る。また、右下の符号は車輪位置を示すもので、FLは前
輪左,FRは前輪右,RLは後輪左,RRは後輪右をそれぞれ
示している。)が設けられている。そして、前輪左右の
各ショックアブソーバSAFL,SAFRおよび後輪左右各
ショックアブソーバSARL,SARRの近傍位置(タワー
位置)の車体には、上下方向の加速度Gを検出する上下
加速度センサ(以後、上下Gセンサという)1FL
FR,1RL,1RRが設けられ、また、運転席の近傍位置
には、各上下Gセンサ1(1FL,1FR,1RL,1RR)か
らの信号を入力して、各ショックアブソーバSAのパル
スモータ3に駆動制御信号を出力するコントロールユニ
ット4が設けられている。
【0016】以上の構成を示すのが図3のシステムブロ
ック図であって、コントロールユニット4は、インタフ
ェース回路4a,CPU4b,駆動回路4cを備え、前
記インタフェース回路4aに、前記各上下Gセンサ
FL,1FR,1RL,1RRからのばね上上下加速度GFL
FR,GRL,GRR信号が入力される。そして、前記イン
タフェース回路4aには、図14に示すように、ばね上
上下加速度GFL,GFR,GRL,GRR信号から各タワー位
置のばね上上下速度ΔxFL,ΔxFR,ΔxRL,Δx
RRと、ばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0FL
(Δx−Δx0FR,(Δx−Δx0RL,(Δx−Δ
0RRと、該ばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx
0 )の低周波処理信号VpT,C、および、ばね上−ばね下
間相対速度のばね下共振周波数成分Vujを求めるための
信号処理回路が設けられている。なお、この信号処理回
路の詳細については後述する。
【0017】次に、図4は、ショックアブソーバSAの
構成を示す断面図であって、このショックアブソーバS
Aは、シリンダ30と、シリンダ30を上部室Aと下部
室Bとに画成したピストン31と、シリンダ30の外周
にリザーバ室32を形成した外筒33と、下部室Bとリ
ザーバ室32とを画成したベース34と、ピストン31
に連結されたピストンロッド7の摺動をガイドするガイ
ド部材35と、外筒33と車体との間に介在されたサス
ペンションスプリング36と、バンパラバー37とを備
えている。
【0018】次に、図5は前記ピストン31の部分を示
す拡大断面図であって、この図に示すように、ピストン
31には、貫通孔31a,31bが形成されていると共
に、各貫通孔31a,31bをそれぞれ開閉する圧側減
衰バルブ20および伸側減衰バルブ12が設けられてい
る。また、ピストンロッド7の先端に螺合されたバウン
ドストッパ41には、ピストン31を貫通したスタッド
38が螺合して固定されていて、このスタッド38に
は、貫通孔31a,31bをバイパスして上部室Aと下
部室Bとを連通する流路(後述の伸側第2流路E,伸側
第3流路F,バイパス流路G,圧側第2流路J)を形成
するための連通孔39が形成されていて、この連通孔3
9内には前記流路の流路断面積を変更するための調整子
40が回動自在に設けられている。また、スタッド38
の外周部には、流体の流通の方向に応じて前記連通孔3
9で形成される流路側の流通を許容・遮断する伸側チェ
ックバルブ17と圧側チェックバルブ22とが設けられ
ている。なお、この調整子40は、前記パルスモータ3
によりコントロールロッド70を介して回転されるよう
になっている(図4参照)。また、スタッド38には、
上から順に第1ポート21,第2ポート13,第3ポー
ト18,第4ポート14,第5ポート16が形成されて
いる。
【0019】一方、調整子40は、中空部19が形成さ
れると共に、内外を連通する第1横孔24および第2横
孔25が形成され、さらに、外周部に縦溝23が形成さ
れている。
【0020】従って、前記上部室Aと下部室Bとの間に
は、伸行程で流体が流通可能な流路として、貫通孔31
bを通り伸側減衰バルブ12の内側を開弁して下部室B
に至る伸側第1流路Dと、第2ポート13,縦溝23,
第4ポート14を経由して伸側減衰バルブ12の外周側
を開弁して下部室Bに至る伸側第2流路Eと、第2ポー
ト13,縦溝23,第5ポート16を経由して伸側チェ
ックバルブ17を開弁して下部室Bに至る伸側第3流路
Fと、第3ポート18,第2横孔25,中空部19を経
由して下部室Bに至るバイパス流路Gの4つの流路があ
る。また、圧行程で流体が流通可能な流路として、貫通
孔31aを通り圧側減衰バルブ20を開弁する圧側第1
流路Hと、中空部19,第1横孔24,第1ポート21
を経由し圧側チェックバルブ22を開弁して上部室Aに
至る圧側第2流路Jと、中空部19,第2横孔25,第
3ポート18を経由して上部室Aに至るバイパス流路G
との3つの流路がある。
【0021】即ち、ショックアブソーバSAは、調整子
40を回動させることにより、伸側・圧側のいずれとも
図6に示すような特性で減衰力特性を多段階に変更可能
に構成されている。つまり、図7に示すように、伸側・
圧側いずれもソフトとした状態(以後、ソフト領域SS
という)から調整子40を反時計方向に回動させると、
伸側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で圧側が低減衰
力特性に固定の領域(以後、伸側ハード領域HSとい
う)となり、逆に、調整子40を時計方向に回動させる
と、圧側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で伸側が低
減衰力特性に固定の領域(以後、圧側ハード領域SHと
いう)となる構造となっている。
【0022】ちなみに、図7において、調整子40を
,,のポジションに配置した時の、図5における
K−K断面,L−L断面およびM−M断面,N−N断面
を、それぞれ、図8,図9,図10に示し、また、各ポ
ジションの減衰力特性を図11,12,13に示してい
る。
【0023】次に、コントロールユニット4の制御作動
のうち、ばね上上下速度Δxおよびばね上−ばね下間相
対速度(Δx−Δx0 )、さらには、ばね上−ばね下間
相対速度(Δx−Δx0 )の低周波処理信号VpT,C、お
よび、ばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0 )のば
ね下共振周波数成分Vujを求めるための信号処理回路の
構成を、図14のブロック図に基づいて説明する。
【0024】まず、B1では、位相遅れ補償式を用い、
各上下Gセンサ1(1FL,1FR,1RL,1RR)で検出さ
れた各ばね上上下加速度G(GFL,GFR,GRL,GRR
を、各タワー位置のばね上上下速度信号に変換する。
【0025】なお、位相遅れ補償の一般式は、次の伝達
関数式(1) で表わすことができる。 G(S) =(AS+1)/(BS+1)・・・・・・・・(1) (A<B) そして、減衰力特性制御に必要な周波数帯(0.5 Hz〜 3
Hz )において積分(1/S)する場合と同等の位相お
よびゲイン特性を有し、低周波(〜0.05 Hz )側でのゲ
インを下げるための位相遅れ補償式として、次の伝達関
数式(2) が用いられる。 G(S) =(0.001 S+1)/(10S+1)×γ・・・・・・・・(2) なお、γは、積分(1/S)により速度変換する場合の
信号とゲイン特性を合わせるためのゲインであり、この
実施例ではγ=10に設定されている。その結果、図1
5の(イ) における実線のゲイン特性、および、図15の
(ロ) における実線の位相特性に示すように、減衰力特性
制御に必要な周波数帯(0.5 Hz〜 3 Hz )における位相
特性を悪化させることなく、低周波側のゲインだけが低
下した状態となる。なお、図15の(イ),(ロ) の点線は、
積分(1/S)により速度変換されたばね上上下速度信
号のゲイン特性および位相特性を示している。
【0026】続くB2では、制御を行なう目標周波数帯
以外の成分を遮断するためのバンドパスフィルタ処理を
行なう。即ち、このバンドパスフィルタBPFは、2次
のハイパスフィルタHPF(0.2 Hz)と2次のローパス
フィルタLPF(4 Hz)とで構成され、車両のばね上共
振周波数帯を目標としたばね上上下速度Δx(ΔxFL
ΔxFR,ΔxRL,ΔxRR)信号を求める。
【0027】一方、B3では、次式(3) に示すように、
各ばね上上下加速度からばね上−ばね下間相対速度まで
の伝達関数Gu(S) を用い、各上下Gセンサ1で検出さ
れた上下方向加速度G(GFL,GFR,GRL,GRR)信号
から、各タワー位置のばね上−ばね下間相対速度(Δx
−Δx0 )[(Δx−Δx0FL,(Δx−Δx
0FR,(Δx−Δx0RL,(Δx−Δx0RR]信
号を求める。 Gu(S) =−ms/(cs+k)・・・・・・・・(3) なお、mはばね上マス、cはサスペンションの減衰係
数、kはサスペンションのばね定数である。続くB4で
は、図16の点線で示すように、高周波であるばね上−
ばね下間相対速度(Δx−Δx0 )のピーク値の絶対値
を検出すると共に、図16の実線で示すように、ピーク
値の絶対値を次のピーク値の絶対値が検出されるまでの
間は保持させた低周波の処理信号VpT,Cを作成する。
【0028】一方、前記B3に続くB5では、ばね上−
ばね下間相対速度(Δx−Δx0 )から、ばね下のバタ
ツキ発生状態判断信号であるばね下共振周波数成分Vuj
を抽出するためのバンドパスフィルタ処理を行なう。即
ち、このバンドパスフィルタBPFは、2次のローパス
フィルタLPF(13 Hz )と2次のハイパスフィルタH
PF(6 Hz)とで構成されている。
【0029】即ち、この実施例では、上下Gセンサ1と
信号処理回路のB1〜B4で、請求の範囲のばね上上下
速度検出手段および相対速度検出手段を構成させ、ま
た、信号処理回路のB5で請求の範囲のばね下共振周波
数成分検出手段を構成させている。
【0030】次に、前記コントロールユニット4におけ
るショックアブソーバSAの減衰力特性制御作動の内容
を図17のフローチャートに基づいて説明する。なお、
この基本制御は各ショックアブソーバSAFL,SAFR
SARL,SARRごとに行なわれる。
【0031】ステップ101では、ばね上上下速度Δx
が正の値であるか否かを判定し、YESであればステッ
プ102に進んで各ショックアブソーバSAを伸側ハー
ド領域HSに制御し、NOであればステップ103に進
む。
【0032】ステップ103では、ばね上上下速度Δx
が負の値であるか否かを判定し、YESであればステッ
プ104に進んで各ショックアブソーバSAを圧側ハー
ド領域SHに制御し、NOであればステップ105に進
む。
【0033】ステップ105は、ステップ101および
ステップ103でNOと判断された時、即ち、ばね上上
下速度Δxの値が、0である時の処理ステップであり、
この時は、各ショックアブソーバSAをソフト領域SS
に制御する。
【0034】次に、減衰力特性制御の作動を図18のタ
イムチャートにより説明する。ばね上上下速度Δxおよ
びばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0 )に基づく
ばね上上下速度Δxが、この図に示すように変化した場
合、図に示すように、ばね上上下速度Δxの値が0であ
る時には、ショックアブソーバSAをソフト領域SSに
制御する。
【0035】また、ばね上上下速度Δxの値が正の値に
なると、伸側ハード領域HSに制御して、圧側の減衰力
特性をソフト特性に固定する一方、制御信号を構成する
伸側の減衰力特性(目標減衰力特性ポジションPT
を、次式(4) に基づき、ばね上上下速度Δxに比例させ
て変更する。
【0036】 PT =α・Δx・Ku-s・・・・・・・・・・・・・・・・(4) なお、αは、伸側の定数、Ku-s は、ばね上−ばね下間
相対速度(Δx−Δx0)の処理信号VpT,Cに応じて可
変設定されるゲインKu の移動平均値である。
【0037】そして、図19は、処理信号VpT,Cに対す
るゲインKu の可変特性を示すマップであり、実線で示
すのがばね上の制振を目的とした通常のばね上制振モー
ドにおける理想の反比例曲線であるのに対し、点線で示
すのがばね下のバタツキを抑制するためのばね下制振モ
ードにおける可変特性曲線である。なお、通常のばね上
制振モードとばね下制振モードとの切り換え制御の内容
については後述する。
【0038】また、ばね上上下速度Δxの値が負の値に
なると、圧側ハード領域SHに制御して、伸側減衰力特
性をソフト特性に固定する一方、制御信号を構成する圧
側の減衰力特性(目標減衰力特性ポジションPC )を、
次式(5) に基づき、ばね上上下速度Δxに比例させて変
更する。 PC =β・Δx・Ku-s ・・・・・・・・・・・・・・・・(5) なお、βは、圧側の定数である。
【0039】次に、コントロールユニット4の減衰力特
性制御作動のうち、主にショックアブソーバSAの制御
領域の切り換え作動状態を図18のタイムチャートに基
づいて説明する。
【0040】図18のタイムチャートにおいて、領域a
は、ばね上上下速度Δxが負の値(下向き)から正の値
(上向き)に逆転した状態である、この時はまだ相対速
度(Δx−Δx0 )は負の値(ショックアブソーバSA
の行程は圧行程側)となっている領域であるため、この
時は、ばね上上下速度Δxの方向に基づいてショックア
ブソーバSAは伸側ハード領域HSに制御されており、
従って、この領域ではその時のショックアブソーバSA
の行程である圧行程側がソフト特性となる。
【0041】また、領域bは、ばね上上下速度Δxが正
の値(上向き)のままで、ばね上−ばね下間相対速度
(Δx−Δx0 )は負の値から正の値(ショックアブソ
ーバSAの行程は伸行程側)に切り換わった領域である
ため、この時は、ばね上上下速度Δxの方向に基づいて
ショックアブソーバSAは伸側ハード領域HSに制御さ
れており、かつ、ショックアブソーバの行程も伸行程で
あり、従って、この領域ではその時のショックアブソー
バSAの行程である伸行程側が、ばね上上下速度Δxの
値に比例したハード特性となる。
【0042】また、領域cは、ばね上上下速度Δxが正
の値(上向き)から負の値(下向き)に逆転した状態で
あるが、この時はまだばね上−ばね下間相対速度(Δx
−Δx0 )は正の値(ショックアブソーバSAの行程は
伸行程側)となっている領域であるため、この時は、ば
ね上上下速度Δxの方向に基づいてショックアブソーバ
SAは圧側ハード領域SHに制御されており、従って、
この領域ではその時のショックアブソーバSAの行程で
ある伸行程側がソフト特性となる。
【0043】また、領域dは、ばね上上下速度Δxが負
の値(下向き)のままで、ばね上−ばね下間相対速度
(Δx−Δx0 )は正の値から負の値(ショックアブソ
ーバSAの行程は伸行程側)になる領域であるため、こ
の時は、ばね上上下速度Δxの方向に基づいてショック
アブソーバSAは圧側ハード領域SHに制御されてお
り、かつ、ショックアブソーバの行程も圧行程であり、
従って、この領域ではその時のショックアブソーバSA
の行程である圧行程側が、ばね上上下速度Δxの値に比
例したハード特性となる。
【0044】以上のように、この実施例では、ばね上上
下速度Δxとばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx
0 )とが同符号の時(領域b,領域d)は、その時のシ
ョックアブソーバSAの行程側をハード特性に制御し、
異符号の時(領域a,領域c)は、その時のショックア
ブソーバSAの行程側をソフト特性に制御するという、
スカイフック制御理論に基づいた減衰力特性制御と同一
の制御が、ばね上上下速度Δx信号のみに基づいて行な
われることになる。そして、さらに、この実施例では、
ショックアブソーバSAの行程が切り換わった時点、即
ち、領域aから領域b,および領域cから領域d(ソフ
ト特性からハード特性)へ移行する時には、切り換わる
行程側の減衰力特性ポジションは前の領域a,cで既に
ハード特性側への切り換えが行なわれているため、ソフ
ト特性からハード特性への切り換えが時間遅れなく行な
われるもので、これにより、高い制御応答性が得られる
と共に、ハード特性からソフト特性への切り換えはパル
スモータ3を駆動させることなしに行なわれるもので、
これにより、パルスモータ3の耐久性向上と、消費電力
の節約が成されることになる。
【0045】次に、コントロールユニット4における減
衰力特性制御作動のうち、請求の範囲のゲイン可変制御
手段およびばね下制振制御手段構成部分の制御に相当す
る通常のばね上制振制御とばね下制振制御との切り換え
制御の内容を図20のフローチャートおよび図21のタ
イムチャートに基づいて説明する。
【0046】まず、図20のフローチャートにおいて、
ステップ201は、前記ばね下のバタツキ判断信号とし
てのばね上共振周波数成分Vujの絶対値 |Vuj| が所定
のしきい値Vv 以下であるか否かを判定し、YES( |
Vuj| ≦Vv )であればステップ202に進み、図19
の実線で示す通常のばね上制振モードの可変特性(もし
くは関数式 Ku =fa・VpT,C)に基づきゲインKu
の可変設定が行なわれ、また、NO( |Vuj| >Vv )
であればステップ203に進み、図19の点線で示すば
ね下制振モードの可変特性(もしくは関数式 Ku =f
b・VpT,C)に基づきゲインKu の可変設定が行なわれ
た後、ステップ204に進む。
【0047】前記ステップ204では、次式(6) に示す
ように、ゲインKu の移動平均値Ku-s が求められる。 Ku-s =1/4(Ku n +Ku n-1 +Ku n-2 +Ku n-3 )・・・・・・(6) 続くステップ205では、前記式(4),(5) に基づいて、
目標減衰力特性ポジションPT ,PC を求めるもので、
これにより一回の制御フローを終了し、以後は以上の制
御フローを繰り返すものである。
【0048】次に、コントロールユニット4における減
衰力特性制御作動のうち、通常のばね上制振制御とばね
下制振制御との切り換え制御の内容を図21のタイムチ
ャートに基づいて説明する。
【0049】(イ)ばね上制振制御時 車両の乗り心地に影響する程度のばね下のバタツキが生
じていない時は、ばね下共振周波数成分Vujの絶対値 |
Vuj| は所定のしきい値Vv 以下であるため、この時
は、図19の実線で示す通常のばね上制振モードの可変
特性に基づいたゲインKu の可変設定が行なわれる。即
ち、このばね上制振モードの可変特性は、ばね上−ばね
下間相対速度(Δx−Δx0 )の処理信号VpT,Cの増加
に反比例してゲインKu の値を減少させる理想の反比例
曲線となっている。
【0050】従って、ばね上上下速度Δxとばね上−ば
ね下間相対速度(Δx−Δx0 )に基づいた最適の制御
力の発生により、ばね上の挙動を抑制し、これにより、
車両の乗り心地を確保することができる。
【0051】(ロ)ばね下制振制御時 車両の乗り心地に影響する程度のばね下のバタツキが生
じている時は、ばね下共振周波数成分Vujの絶対値 |V
uj| が所定のしきい値Vv を越えるため、この時は、図
19の点線で示すばね下制振モードの可変特性に基づい
たゲインKu の可変設定が行なわれる。即ち、このばね
下制振モードの可変特性は、図19の点線で示すよう
に、所定の値までは理想の反比例曲線であるが、所定の
値を越えると、ばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx
0 )の処理信号VpT,Cの増加に比例してゲインKu を増
加させる比例曲線となっている。
【0052】従って、ばね下の挙動に対してもショック
アブソーバSAの減衰力特性制御が行なわれ、これによ
り、ばね下のバタツキを抑制することができる。
【0053】次に、車両が長い上り坂で加速走行する時
等のように、上下Gセンサ1の信号に余分な低周波成分
が加算されるような状況における減衰力特性制御作動の
内容について説明する。
【0054】車両が長い上り坂で加速走行する時には、
路面の傾斜により、車体が加速度をもって上昇する状態
となるため、上下Gセンサ1の信号には、制御に必要な
水平な走行路面を基準とするばね上上下加速度成分に、
車体の上昇によって継続的に入力される上向きの低周波
加速度成分が加算された状態となり、この加算された低
周波加速度成分だけばね上上下速度信号がドリフトした
状態となるもので、このドリフトした信号によって制御
するために、車両の乗り心地を悪化させることになる。
【0055】なお、車両の制動時や加速時、または、長
い下り坂で加速走行する時には、上向きのばね上上下加
速度成分を検出し、さらには、上下Gセンサ1の信号に
低周波のDC成分が入力されることによっても生じる。
【0056】ところが、この実施例では、各上下Gセン
サ1で検出された各ばね上上下加速度Gを、各タワー位
置のばね上上下速度信号に変換する速度変換手段とし
て、位相遅れ補償式を用いることにより、減衰力特性制
御に必要な周波数帯(0.5 Hz〜3 Hz )における位相特
性を悪化させることなしに、低周波側のゲインだけを低
下させたばね上上下速度信号が得られる。
【0057】従って、制動時等のように、上下Gセンサ
1の信号に余分な低周波成分が加算されるような状況に
おいても、低周波側ゲインの低下により、減衰力特性制
御への影響をなくすことができる。
【0058】以上説明してきたように、この実施例の車
両懸架装置では、以下に列挙する効果が得られる。 ばね上の挙動を抑制しつつ、ばね下のバタツキによ
る車両の乗り心地悪化を防止することができるようにな
る。
【0059】 高周波で得られるばね上−ばね下間相
対速度信号を低周波状態に変形した処理信号VpT,Cによ
ってゲインKu を可変制御するようにしたことで、ゲイ
ンKuの変動を低周波状態とし、これにより、パルスモ
ータ3の応答性がそれほど高くなくても、減衰力特性の
切り換えを制御信号の変化に追従させることができるた
め、コストを高めることなしに制御性を高めることがで
きるようになる。
【0060】 ばね上上下加速度からばね上上下速度
に変換するための手段として、位相遅れ補償式を用いた
ことで、余分な低周波信号入力に基づく信号ドリフトを
防止し、これにより、ショックアブソーバSAにおける
減衰力特性の制御性の悪化を防止して車両の乗り心地を
確保することができるようになる。
【0061】 ソフト特性からハード特性への切り換
えが時間遅れなく行なわれるもので、これにより、高い
制御応答性が得られると共に、ハード特性からソフト特
性への切り換えはアクチュエータを駆動させることなし
に行なわれるもので、これにより、アクチュエータの耐
久性向上と、消費電力の節約が可能になる。
【0062】(第2実施例)次に、本発明の第2実施例
について説明する。なお、この実施例の説明にあたって
は、前記第1実施例と同様の構成部分には同一の符号を
付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明す
る。
【0063】即ち、この第2実施例においては、前記第
1実施例における図14のB4において、図22に示す
ように、ばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0 )の
方向判別符号(伸行程側がプラス、圧行程側がマイナ
ス)によりばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0
の伸側のピーク値と圧側のピーク値とをそれぞれ検出す
ると共に、伸側のピーク値と圧側のピーク値をそれぞれ
次のピーク値が検出されるまでの間は保持させた伸側処
理信号VpTと圧側処理信号VpCとをそれぞれ別々に作成
するようにしたものである。
【0064】そして、目標減衰力特性ポジションPT
C を求める前記式(4),(5) において、その時のばね上
上下速度Δxの方向判別符号が上向きの正である時は伸
側処理信号VpTによるゲインKu を、また、下向きの負
である時は圧側処理信号VpCによるゲインKu をそれぞ
れ用いるようにしたものである。
【0065】従って、この実施例においては、前記第1
実施例と同様の作用・効果が得られると共に、伸側と圧
側とで独立したゲインKu が設定されることで、制御性
を高めることができるようになるという効果が得られ
る。
【0066】以上、実施例について説明してきたが具体
的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明
に含まれる。
【0067】例えば、実施例では、ばね上−ばね下間相
対速度を、上下Gセンサで検出されたばね上上下加速度
信号から所定の伝達関数に基づいて推定するようにした
が、ストロークセンサ等により直接検出するようにして
もよい。
【0068】また、上下Gセンサを各車輪位置にそれぞ
れ設ける場合を示したが、その設置個数は任意であり、
前輪側に設けた上下Gセンサの信号から所定の伝達関数
に基づいて後輪側車輪位置のばね上上下速度およびばね
上−ばね下間相対速度を推定するようにしてもよい。
【0069】また、実施例では、ばね上上下速度信号が
0の時のみソフト領域SSに制御するようにしたが、0
を中心とする所定の不感帯を設けこの不感帯の範囲内で
ばね上上下速度が推移している間は減衰力特性をソフト
領域SSに維持させることにより、制御ハンチングを防
止することができる。
【0070】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明請求項1
記載の車両懸架装置では、上述のように、ばね上上下速
度検出手段で検出されたばね上上下速度信号と所定の制
御ゲインから得られる制御信号に基づいてショックアブ
ソーバの減衰力特性制御を行なう減衰力特性制御手段
と、所定の制御ゲインの少なくとも1つを、相対速度検
出手段で検出されたばね上−ばね下間相対速度に応じ、
所定の関数もしくはマップに基づいて可変制御するゲイ
ン可変制御手段と、相対速度検出手段で検出されたばね
上−ばね下間相対速度からばね下共振周波数成分信号を
抽出するばね下共振周波数成分検出手段と、該ばね下共
振周波数成分検出手段で検出されたばね下共振周波数成
分信号が所定のしきい値を越えている時は前記ゲイン可
変制御手段における所定の関数もしくはマップをばね下
制振モードに切り換えるばね下制振制御手段と、を備え
ている構成としたことで、ばね上の挙動を抑制しつつ、
ばね下のバタツキによる車両の乗り心地悪化を防止する
ことができるようになるという効果が得られる。
【0071】また、請求項2記載の車両懸架装置では、
前記ゲイン可変制御手段において用いられるばね上−ば
ね下間相対速度として、相対速度検出手段で検出された
ばね上−ばね下間相対速度のピーク値の絶対値を検出し
該ピーク値の絶対値を次のピーク値の絶対値が検出され
るまでの間は保持させた処理信号を用いるようにしたこ
とで、制御ゲインの変動も低周波状態となることから、
アクチュエータの応答性がそれほど高くなくても、減衰
力特性の切り換えを制御信号の変化に追従させることが
でき、これにより、コストを高めることなしに制御性を
高めることができるようになる。
【0072】また、請求項3記載の車両懸架装置では、
前記ゲイン可変制御手段において用いられるばね上−ば
ね下間相対速度として、相対速度検出手段で検出された
相対速度信号の方向判別符号により相対速度信号の伸側
のピーク値と圧側のピーク値をそれぞれ検出し伸側のピ
ーク値と圧側のピーク値をそれぞれ次のピーク値が検出
されるまでの間は保持させた伸側処理信号と圧側処理信
号とをそれぞれ作成すると共に、その時のばね上上下速
度の方向判別符号が上向きの時は伸側処理信号を、ま
た、下向きの時は圧側処理信号をそれぞれ用いるように
したことで、前記請求項2と同様の作用・効果が得られ
る他に、伸側と圧側とで独立した制御ゲインが設定され
ることで、制御性をさらに高めることができるようにな
る。
【0073】また、請求項4記載の車両懸架装置では、
前記減衰力特性変更手段が、伸行程側および圧行程側の
減衰力特性が共にソフト特性となるソフト領域(SS)
を中心とし、圧行程側はソフト特性に保持されたままで
伸行程側の減衰力特性だけをハード特性側に可変制御可
能な伸側ハード領域(HS)と、伸行程側はソフト特性
に保持されたままで圧行程側の減衰力特性だけをハード
特性側に可変制御可能な圧側ハード領域(SH)とを備
え、前記減衰力特性制御手段が、ばね上上下速度検出手
段で検出されたばね上上下速度信号の方向判別符号が0
付近である時はショックアブソーバをソフト領域(S
S)に制御し、上向きの正である時は伸側ハード領域
(HS)側において伸行程側の減衰力特性を、また下向
きの負である時は圧側ハード領域(SH)側において圧
行程側の減衰力特性をそれぞれその時のばね上上下速度
と所定の制御ゲインとから得られる制御信号に応じたハ
ード特性に可変制御するように構成されていることで、
スカイフック理論に基づいた減衰力特性制御を行なうこ
とができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両懸架装置を示すクレーム対応図で
ある。
【図2】本発明第1実施例の車両懸架装置を示す構成説
明図である。
【図3】第1実施例の車両懸架装置を示すシステムブロ
ック図である。
【図4】第1実施例装置に適用したショックアブソーバ
を示す断面図である。
【図5】前記ショックアブソーバの要部を示す拡大断面
図である。
【図6】前記ショックアブソーバのピストン速度に対応
した減衰力特性図である。
【図7】前記ショックアブソーバのパルスモータのステ
ップ位置に対応した減衰力特性図である。
【図8】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のK
−K断面図である。
【図9】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のL
−L断面およびM−M断面図である。
【図10】前記ショックアブソーバの要部を示す図5の
N−N断面図である。
【図11】前記ショックアブソーバの伸側ハード時の減
衰力特性図である。
【図12】前記ショックアブソーバの伸側・圧側ソフト
状態の減衰力特性図である。
【図13】前記ショックアブソーバの圧側ハード状態の
減衰力特性図である。
【図14】第1実施例装置における信号処理回路を示す
ブロック図である。
【図15】第1実施例装置における信号処理回路で得ら
れたばね上上下速度信号のゲイン特性(イ) および位相特
性(ロ) を示す図である。
【図16】第1実施例装置における処理信号の作成状態
を示すタイムチャートである。
【図17】第1実施例装置におけるコントロールユニッ
トの減衰力特性制御作動の内容を示すフローチャートで
ある。
【図18】第1実施例装置におけるコントロールユニッ
トの減衰力特性制御作動の内容を示すタイムチャートで
ある。
【図19】第1実施例装置における処理信号に対するゲ
インの可変特性を示すマップである。
【図20】第1実施例装置における通常のばね上制振制
御とばね下制振制御との切り換え制御の内容を示すフロ
ーチャートである。
【図21】第1実施例装置における通常のばね上制振制
御とばね下制振制御との切り換え制御の内容を示すタイ
ムチャートである。
【図22】第2実施例装置における処理信号の作成状態
を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
a 減衰力特性変更手段 b 前輪側ショックアブソーバ c ばね上上下速度検出手段 d 相対速度検出手段 e 減衰力特性制御手段 f ゲイン可変制御手段 g ばね下共振周波数成分検出手段 h ばね下制振制御手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体側と各車輪側の間に介在されていて
    減衰力特性変更手段により減衰力特性を変更可能なショ
    ックアブソーバと、 ばね上上下速度を検出するばね上上下速度検出手段と、 ばね上−ばね下間相対速度を検出する相対速度検出手段
    と、 前記ばね上上下速度検出手段で検出されたばね上上下速
    度信号と所定の制御ゲインから得られる制御信号に基づ
    いて前記ショックアブソーバの減衰力特性制御を行なう
    減衰力特性制御手段と、 前記所定の制御ゲインの少なくとも1つを、前記相対速
    度検出手段で検出されたばね上−ばね下間相対速度に応
    じ、所定の関数もしくはマップに基づいて可変制御する
    ゲイン可変制御手段と、 前記相対速度検出手段で検出されたばね上−ばね下間相
    対速度からばね下共振周波数成分信号を抽出するばね下
    共振周波数成分検出手段と、 該ばね下共振周波数成分検出手段で検出されたばね下共
    振周波数成分信号が所定のしきい値を越えている時は前
    記ゲイン可変制御手段における所定の関数もしくはマッ
    プをばね下制振モードに切り換えるばね下制振制御手段
    と、を備えていることを特徴とする車両懸架装置。
  2. 【請求項2】 前記ゲイン可変制御手段において用いら
    れるばね上−ばね下間相対速度として、前記相対速度検
    出手段で検出されたばね上−ばね下間相対速度のピーク
    値の絶対値を検出し該ピーク値の絶対値を次のピーク値
    の絶対値が検出されるまでの間は保持させた処理信号を
    用いることを特徴とする請求項1記載の車両懸架装置。
  3. 【請求項3】 前記ゲイン可変制御手段において用いら
    れるばね上−ばね下間相対速度として、前記相対速度検
    出手段で検出された相対速度信号の方向判別符号により
    相対速度信号の伸側のピーク値と圧側のピーク値をそれ
    ぞれ検出し伸側のピーク値と圧側のピーク値をそれぞれ
    次のピーク値が検出されるまでの間は保持させた伸側処
    理信号と圧側処理信号とをそれぞれ作成すると共に、前
    記ばね上上下速度検出手段で検出されたその時のばね上
    上下速度の方向判別符号が上向きの時は伸側処理信号
    を、また、下向きの時は圧側処理信号をそれぞれ用いる
    ようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両懸架装
    置。
  4. 【請求項4】 前記ショックアブソーバの減衰力特性変
    更手段が、伸行程側および圧行程側の減衰力特性が共に
    ソフト特性となるソフト領域(SS)を中心とし、圧行
    程側はソフト特性に保持されたままで伸行程側の減衰力
    特性だけをハード特性側に可変制御可能な伸側ハード領
    域(HS)と、伸行程側はソフト特性に保持されたまま
    で圧行程側の減衰力特性だけをハード特性側に可変制御
    可能な圧側ハード領域(SH)とを備え、 前記減衰力特性制御手段が、前記ばね上上下速度検出手
    段で検出されたばね上上下速度信号の方向判別符号が0
    付近である時はショックアブソーバをソフト領域(S
    S)に制御し、上向きの正である時は伸側ハード領域
    (HS)側において伸行程側の減衰力特性を、また下向
    きの負である時は圧側ハード領域(SH)側において圧
    行程側の減衰力特性をそれぞれその時のばね上上下速度
    と所定の制御ゲインから得られる制御信号に応じたハー
    ド特性に可変制御するように構成されていることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両懸架装置。
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