JPH1120444A - 車両懸架装置 - Google Patents

車両懸架装置

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JPH1120444A
JPH1120444A JP17937897A JP17937897A JPH1120444A JP H1120444 A JPH1120444 A JP H1120444A JP 17937897 A JP17937897 A JP 17937897A JP 17937897 A JP17937897 A JP 17937897A JP H1120444 A JPH1120444 A JP H1120444A
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JP
Japan
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operation state
control
damping force
braking
vehicle
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JP17937897A
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English (en)
Inventor
Katsuya Iwasaki
克也 岩崎
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
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Unisia Jecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】緩制動時における車両の乗り心地の悪化を防止
しつつ、急制動時における車両姿勢変化に対する減衰力
特性制御の応答性を高め、車両姿勢の安定性、操縦安定
性、制動性能を向上させることができる車両懸架装置の
提供。 【解決手段】非制動時には車両上下挙動検出手段cで検
出された車両の上下方向挙動に基づいて各ショックアブ
ソーバbの減衰力特性制御を行う非制動時基本制御部f
を有する減衰力特性制御手段gと、ブレーキ操作状態検
出手段dでブレーキ操作状態が検出された時は、非制動
時基本制御部fによる減衰力特性制御に比べて減衰力特
性を高める方向に補正制御する緩制動時補正制御部h
と、アンチスキッド制御作動状態検出手段eでアンチス
キッド制御装置の制御作動状態が検出された時は、緩制
動時補正制御部hによる減衰力特性に比べてさらに減衰
力特性を高める方向に補正制御する急制動時補正制御部
iと、を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ショックアブソー
バの減衰力特性を最適制御する車両の懸架装置に関し、
特に、車両の制動時における車両の乗り心地と車両姿勢
の安定性を向上させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両の制動時にショックアブソー
バの減衰力特性制御を行う車両懸架装置としては、例え
ば、実開昭60−49005号公報に記載された車両用
サスペンション装置が知られている。この従来の車両用
サスペンション装置は、コンピュータとブレーキ油回路
に介装され上記コンピュータからの出力信号に応じて制
御油圧を調節し、アンチスキッド制動を掛ける制御弁手
段と、該制御弁手段がアンチスキッド制動を掛ける際に
上記コンピュータからの信号によってばね定数および減
衰力が大きくなるサスペンションを具備することを特徴
とするものである。
【0003】即ち、アンチスキッド制御装置が作動する
程度に急制動状態にある時は、ばね定数および減衰力を
大きくすることにより、急制動時における車両姿勢変化
(ダイブ、スカット)を抑制できるようにしたのもであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
車両用サスペンション装置では、上述のように構成され
るため、急制動を開始してからアンチスキッド制御装置
が作動するまでには時間がかかるため、急制動時の車両
姿勢変化に対してサスペンション制御に遅れが生じ、こ
れにより、十分な車両姿勢変化抑制効果が得られないと
いう問題点があった。
【0005】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、緩制動時における車両の乗り心地の悪
化を防止しつつ、急制動時における車両姿勢変化に対す
る減衰力特性制御の応答性を高め、車両姿勢の安定性、
操縦安定性、制動性能を向上させることができる車両懸
架装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明請求項1記載の車両懸架装置は、図1のク
レーム対応図に示すように、車体側と車輪側との間に介
在されていて減衰力特性を変更可能な減衰力特性変更手
段aを有するショックアブソーバbと、車両の上下方向
挙動を検出する車両上下挙動検出手段cと、ブレーキ操
作状態を検出するブレーキ操作状態検出手段dと、アン
チスキッド制御装置の制御作動状態を検出するアンチス
キッド制御作動状態検出手段eと、前記ブレーキ操作状
態検出手段dでブレーキ操作状態が検出されない時は、
前記車両上下挙動検出手段cで検出された車両の上下方
向挙動に基づいて前記各ショックアブソーバbの減衰力
特性制御を行う非制動時基本制御部fを有する減衰力特
性制御手段gと、該減衰力特性制御手段gに含まれてい
て前記ブレーキ操作状態検出手段dでブレーキ操作状態
が検出された時は、前記非制動時基本制御部fによる減
衰力特性制御に比べて減衰力特性を高める方向に補正制
御する緩制動時補正制御部hと、前記アンチスキッド制
御作動状態検出手段eでアンチスキッド制御装置の制御
作動状態が検出された時は、前記緩制動時補正制御部h
による減衰力特性に比べてさらに減衰力特性を高める方
向に補正制御する急制動時補正制御部iと、を備えてい
る手段とした。
【0007】請求項2記載の車両懸架装置では、請求項
1において、前記ブレーキ操作状態検出手段が、ブレー
キペダルの操作状態を検出するブレーキランプスイッチ
で構成されている手段とした。請求項3記載の車両懸架
装置では、請求項1または2において、前記アンチスキ
ッド制御作動状態検出手段が、アンチスキッド制御装置
の出力信号からアンチスキッド制御作動状態を検出する
ように構成されている手段とした。請求項4記載の車両
懸架装置では、請求項1または2において、車輪速度を
検出する車輪速度センサを備え、前記アンチスキッド制
御作動状態検出手段が、前記車輪速度センサで検出され
た車輪速度検出値から演算した信号によりアンチスキッ
ド制御作動状態を検出するように構成されている手段と
した。
【0008】
【作用】本発明請求項1記載の車両懸架装置では、上述
のように構成されるので、ブレーキ操作状態検出手段d
でブレーキ操作状態が検出されない時は、非制動時基本
制御部fにおいて、車両上下挙動検出手段cで検出され
た車両の上下方向挙動に基づいて各ショックアブソーバ
bの減衰力特性制御が行われるもので、これにより、車
両の乗り心地を重視した減衰力特性制御が行われる。ま
た、ブレーキ操作状態検出手段dでブレーキ操作状態が
検出された時は、緩制動時補正制御部hにおいて、前記
非制動時基本制御部fによる減衰力特性制御に比べて減
衰力特性を高める方向に補正制御するもので、これによ
り、緩制動時においては、車両の乗り心地を必要以上に
悪化させることなしに、ダイブ、スカット等の発生を抑
制して車両姿勢を安定させることができる。
【0009】また、アンチスキッド制御作動状態検出手
段eでアンチスキッド制御装置の制御作動状態が検出さ
れた時は、前記緩制動制動時補正制御部hによる補正制
御に続き、急制動時補正制御部iにおいて、前記緩制動
時補正制御部hによる減衰力特性に比べてさらに減衰力
特性を高める方向に補正制御するもので、これにより、
制御遅れを生じさせることなしに車両姿勢重視の減衰力
特性制御が行われる。従って、急制動時における車両姿
勢の安定性、操縦安定性、および制動性能の向上を図る
ことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。図2は、本発明の実施の形態の車両懸架
装置を示す構成説明図であり、車体と4つの車輪との間
に介在されて、4つのショックアブソーバSAFL,SA
FR,SARL,SARR(なお、ショックアブソーバを説明
するにあたり、これら4つをまとめて指す場合、および
これらの共通の構成を説明する時にはただ単にSAと表
示する。また、右下の符号は車輪位置を示すもので、FL
は前輪左,FRは前輪右,RLは後輪左,RRは後輪右をそれ
ぞれ示している。)が設けられている。そして、各車輪
位置には、上下方向の加速度G(GFL,GFR,GRL,G
RR)を検出するばね上上下加速度センサ(以後、上下G
センサという)1(1FL,1FR,1RL,1RR)が設けら
れ、また、この図では図示を省略したがブレーキ操作状
態を検出するブレーキランプスイッチ2、および、アン
チスキッド制御装置5が設けられ、さらに、運転席の近
傍位置には、各上下Gセンサ1(1FL,1FR,1RL,1
RR)、および、ブレーキランプスイッチ2からの信号を
入力し、各ショックアブソーバSAFL,SAFR,S
RL,SARRのパルスモータ3に駆動制御信号を出力す
るコントロールユニット4が設けられている。
【0011】以上の構成を示すのが図3のシステムブロ
ック図であって、コントロールユニット4は、インタフ
ェース回路4a,CPU4b,駆動回路4cを備え、前
記インタフェース回路4aに、前記上下Gセンサ1(1
FL,1FR,1RL,1RR)からのばね上上下加速度G(G
FL,GFR,GRL,GRR)信号、ブレーキランプスイッチ
2からのスイッチ信号(ON、OFF)、および、アン
チスキッド制御装置5からのアンチスキッド制御作動信
号が入力され、コントロールユニット4では、これらの
入力信号に基づいて各ショックアブソーバSA(S
FL,SAFR,SARL,SARR)の減衰力特性制御が行
なわれる。
【0012】また、前記コントロールユニット4には、
前記各上下Gセンサ1(1FL,1FR,1RL,1RR)から
のばね上上下加速度G(GFL,GFR,GRL,GRR)信号
に基づいて、各車輪位置におけるばね上上下速度信号お
よびばね上ばね下間相対速度信号を求める信号処理回路
(図14)が設けられている。なお、この信号処理回路
の詳細については後述する。
【0013】次に、図4は、ショックアブソーバSAの
構成を示す断面図であって、このショックアブソーバS
Aは、シリンダ30と、シリンダ30を上部室Aと下部
室Bとに画成したピストン31と、シリンダ30の外周
にリザーバ室32を形成した外筒33と、下部室Bとリ
ザーバ室32とを画成したベース34と、ピストン31
に連結されたピストンロッド7の摺動をガイドするガイ
ド部材35と、外筒33と車体との間に介在されたサス
ペンションスプリング36と、バンパラバー37とを備
えている。
【0014】次に、図5は前記ピストン31の部分を示
す拡大断面図であって、この図に示すように、ピストン
31には、貫通孔31a,31bが形成されていると共
に、各貫通孔31a,31bをそれぞれ開閉する圧側減
衰バルブ20および伸側減衰バルブ12が設けられてい
る。また、ピストンロッド7の先端に螺合されたバウン
ドストッパ41には、ピストン31を貫通したスタッド
38が螺合して固定されていて、このスタッド38に
は、貫通孔31a,31bをバイパスして上部室Aと下
部室Bとを連通する流路(後述の伸側第2流路E,伸側
第3流路F,バイパス流路G,圧側第2流路J)を形成
するための連通孔39が形成されていて、この連通孔3
9内には前記流路の流路断面積を変更するための調整子
40が回動自在に設けられている。また、スタッド38
の外周部には、流体の流通の方向に応じて前記連通孔3
9で形成される流路側の流通を許容・遮断する伸側チェ
ックバルブ17と圧側チェックバルブ22とが設けられ
ている。なお、この調整子40は、前記パルスモータ3
によりコントロールロッド70を介して回転されるよう
になっている(図4参照)。また、スタッド38には、
上から順に第1ポート21,第2ポート13,第3ポー
ト18,第4ポート14,第5ポート16が形成されて
いる。
【0015】一方、調整子40は、中空部19が形成さ
れると共に、内外を連通する第1横孔24および第2横
孔25が形成され、さらに、外周部に縦溝23が形成さ
れている。
【0016】従って、前記上部室Aと下部室Bとの間に
は、伸行程で流体が流通可能な流路として、貫通孔31
bを通り伸側減衰バルブ12の内側を開弁して下部室B
に至る伸側第1流路Dと、第2ポート13,縦溝23,
第4ポート14を経由して伸側減衰バルブ12の外周側
を開弁して下部室Bに至る伸側第2流路Eと、第2ポー
ト13,縦溝23,第5ポート16を経由して伸側チェ
ックバルブ17を開弁して下部室Bに至る伸側第3流路
Fと、第3ポート18,第2横孔25,中空部19を経
由して下部室Bに至るバイパス流路Gの4つの流路があ
る。また、圧行程で流体が流通可能な流路として、貫通
孔31aを通り圧側減衰バルブ20を開弁する圧側第1
流路Hと、中空部19,第1横孔24,第1ポート21
を経由し圧側チェックバルブ22を開弁して上部室Aに
至る圧側第2流路Jと、中空部19,第2横孔25,第
3ポート18を経由して上部室Aに至るバイパス流路G
との3つの流路がある。
【0017】即ち、ショックアブソーバSAは、調整子
40を回動させることにより、伸側・圧側のいずれとも
図6に示すような特性で減衰力特性を多段階に変更可能
に構成されている。つまり、図7に示すように、伸側・
圧側いずれもソフトとした状態(以後、ソフト領域SS
という)から調整子40を反時計方向に回動させると、
伸側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で圧側が低減衰
力特性に固定の領域(以後、伸側ハード領域HSとい
う)となり、逆に、調整子40を時計方向に回動させる
と、圧側のみ減衰力特性を多段階に変更可能で伸側が低
減衰力特性に固定の領域(以後、圧側ハード領域SHと
いう)となる構造となっている。
【0018】ちなみに、図7において、調整子40を
,,のポジションに配置した時の、図5における
K−K断面,L−L断面およびM−M断面,N−N断面
を、それぞれ、図8,図9,図10に示し、また、各ポ
ジションの減衰力特性を図11,12,13に示してい
る。
【0019】次に、コントロールユニット4の制御作動
のうち、ばね上上下速度Δxおよびばね上−ばね下間相
対速度(Δx−Δx0 )を求めるための信号処理回路の
構成を、図14のブロック図に基づいて説明する。
【0020】まず、B1では、位相遅れ補償式を用い、
各上下Gセンサ1(1FL,1FR,1RL,1RR)で検出さ
れた各ばね上上下加速度G(GFL,GFR,GRL,GRR
を、各タワー位置のばね上上下速度信号に変換する。
【0021】なお、位相遅れ補償の一般式は、次の伝達
関数式(1) で表わすことができる。 G(S) =(AS+1)/(BS+1)・・・・・・・・(1) (A<B) そして、減衰力特性制御に必要な周波数帯(0.5 Hz〜 3
Hz )において積分(1/S)する場合と同等の位相お
よびゲイン特性を有し、低周波(〜0.05 Hz )側でのゲ
インを下げるための位相遅れ補償式として、次の伝達関
数式(2) が用いられる。 G(S) =(0.001 S+1)/(10S+1)×γ・・・・・・・・(2) なお、γは、積分(1/S)により速度変換する場合の
信号とゲイン特性を合わせるためのゲインであり、この
発明の実施の形態ではγ=10に設定されている。その
結果、図15の(イ) における実線のゲイン特性、およ
び、図15の(ロ) における実線の位相特性に示すよう
に、減衰力特性制御に必要な周波数帯(0.5 Hz〜 3 Hz
)における位相特性を悪化させることなく、低周波側
のゲインだけが低下した状態となる。なお、図15の
(イ),(ロ) の点線は、積分(1/S)により速度変換され
たばね上上下速度信号のゲイン特性および位相特性を示
している。
【0022】続くB2では、制御を行なう目標周波数帯
以外の成分を遮断するためのバンドパスフィルタ処理を
行なう。即ち、このバンドパスフィルタBPFは、2次
のハイパスフィルタHPF(0.3 Hz)と2次のローパス
フィルタLPF(4 Hz)とで構成され、車両のばね上共
振周波数帯を目標としたばね上上下速度Δx(ΔxFL
ΔxFR,ΔxRL,ΔxRR)信号を求める。
【0023】一方、B3では、次式(3) に示すように、
各ばね上上下加速度からばね上−ばね下間相対速度まで
の伝達関数Gu(S) を用い、各上下Gセンサ1で検出さ
れた上下方向加速度G(GFL,GFR,GRL,GRR)信号
から、各タワー位置のばね上−ばね下間相対速度(Δx
−Δx0 )[(Δx−Δx0FL,(Δx−Δx
0FR,(Δx−Δx0RL,(Δx−Δx0RR]信
号を求める。 Gu(S) =−ms/(cs+k)・・・・・・・・(3) なお、mはばね上マス、cはサスペンションの減衰係
数、kはサスペンションのばね定数である。
【0024】次に、前記コントロールユニット4におけ
るショックアブソーバSAの減衰力特性制御作動のう
ち、基本制御部による通常時制御の内容を図16のフロ
ーチャートに基づいて説明する。なお、この通常時制御
は各ショックアブソーバSAFL,SAFR,SARL,SA
RRごとに行なわれる。
【0025】ステップ101では、ばね上上下速度Δx
が正の値であるか否かを判定し、YESであればステッ
プ102に進んで各ショックアブソーバSAを伸側ハー
ド領域HSに制御し、NOであればステップ103に進
む。
【0026】ステップ103では、ばね上上下速度Δx
が負の値であるか否かを判定し、YESであればステッ
プ104に進んで各ショックアブソーバSAを圧側ハー
ド領域SHに制御し、NOであればステップ105に進
む。
【0027】ステップ105は、ステップ101および
ステップ103でNOと判断された時、即ち、ばね上上
下速度Δxの値が、0である時の処理ステップであり、
この時は、各ショックアブソーバSAをソフト領域SS
に制御する。
【0028】次に、減衰力特性制御の作動を図17のタ
イムチャートにより説明する。ばね上上下速度Δxが、
この図に示すように変化した場合、図に示すように、ば
ね上上下速度Δxの値が0である時には、ショックアブ
ソーバSAをソフト領域SSに制御する。
【0029】また、ばね上上下速度Δxの値が正の値に
なると、伸側ハード領域HSに制御して、圧側の減衰力
特性をソフト特性に固定する一方、伸側の減衰力特性
(目標減衰力特性ポジションPT )を、次式(4) に基づ
き、ばね上上下速度Δxに比例させて変更する。 PT =α・Δx・Ku・Kb・・・・・・・・・・・・・・・・(4) なお、αは、伸側の定数、Kuは、図18に示すばね上
−ばね下間相対速度に対する制御ゲイン可変特性マップ
に基づき、ばね上−ばね下間相対速度(Δx−Δx0
に反比例した値に可変設定される制御ゲイン、Kbは、
制動時ゲインである。である。
【0030】また、ばね上上下速度Δxの値が負の値に
なると、圧側ハード領域SHに制御して、伸側減衰力特
性をソフト特性に固定する一方、圧側の減衰力特性(目
標減衰力特性ポジションPC )を、次式(5) に基づき、
ばね上上下速度Δxに比例させて変更する。 PC =β・Δx・Ku・Kb・・・・・・・・・・・・・・・・(5) なお、βは、圧側の定数である。
【0031】次に、コントロールユニット4の減衰力特
性制御作動のうち、主にショックアブソーバSAの制御
領域の切り換え作動状態を図17のタイムチャートに基
づいて説明する。
【0032】図17のタイムチャートにおいて、領域a
は、ばね上上下速度Δxが負の値(下向き)から正の値
(上向き)に逆転した状態である、この時はまだ相対速
度(Δx−Δx0 )は負の値(ショックアブソーバSA
の行程は圧行程側)となっている領域であるため、この
時は、ばね上上下速度Δxの方向に基づいてショックア
ブソーバSAは伸側ハード領域HSに制御されており、
従って、この領域ではその時のショックアブソーバSA
の行程である圧行程側がソフト特性となる。
【0033】また、領域bは、ばね上上下速度Δxが正
の値(上向き)のままで、相対速度(Δx−Δx0 )は
負の値から正の値(ショックアブソーバSAの行程は伸
行程側)に切り換わった領域であるため、この時は、ば
ね上上下速度Δxの方向に基づいてショックアブソーバ
SAは伸側ハード領域HSに制御されており、かつ、シ
ョックアブソーバの行程も伸行程であり、従って、この
領域ではその時のショックアブソーバSAの行程である
伸行程側が、ばね上上下速度Δxの値に比例したハード
特性となる。
【0034】また、領域cは、ばね上上下速度Δxが正
の値(上向き)から負の値(下向き)に逆転した状態で
あるが、この時はまだ相対速度(Δx−Δx0 )は正の
値(ショックアブソーバSAの行程は伸行程側)となっ
ている領域であるため、この時は、ばね上上下速度Δx
の方向に基づいてショックアブソーバSAは圧側ハード
領域SHに制御されており、従って、この領域ではその
時のショックアブソーバSAの行程である伸行程側がソ
フト特性となる。
【0035】また、領域dは、ばね上上下速度Δxが負
の値(下向き)のままで、相対速度(Δx−Δx0 )は
正の値から負の値(ショックアブソーバSAの行程は伸
行程側)になる領域であるため、この時は、ばね上上下
速度Δxの方向に基づいてショックアブソーバSAは圧
側ハード領域SHに制御されており、かつ、ショックア
ブソーバの行程も圧行程であり、従って、この領域では
その時のショックアブソーバSAの行程である圧行程側
が、ばね上上下速度Δxの値に比例したハード特性とな
る。
【0036】以上のように、この発明の実施の形態で
は、ばね上上下速度Δxと相対速度(Δx−Δx0 )と
が同符号の時(領域b,領域d)は、その時のショック
アブソーバSAの行程側をハード特性に制御し、異符号
の時(領域a,領域c)は、その時のショックアブソー
バSAの行程側をソフト特性に制御するという、スカイ
フック理論に基づいた減衰力特性制御と同一の制御が行
なわれることになる。そして、さらに、この発明の実施
の形態では、ショックアブソーバSAの行程が切り換わ
った時点、即ち、領域aから領域b,および領域cから
領域d(ソフト特性からハード特性)へ移行する時に
は、切り換わる行程側の減衰力特性ポジションは前の領
域a,cで既にハード特性側への切り換えが行なわれて
いるため、ソフト特性からハード特性への切り換えが時
間遅れなく行なわれることになる。
【0037】次に、前記コントロールユニット4におけ
る減衰力特性制御作動のうち、通常時制御部による通常
時制御と制動時制御部による制動時制御との切り換え制
御の内容および制動時制御の内容を図19のフローチャ
ートおよび図20のタイムチャートに基づいて説明す
る。
【0038】まず、図19のフローチャートにおいて、
ステップ201では、ブレーキランプスイッチ2からの
スイッチ信号がON状態であるか否かを判定することに
より、車両が制動状態にあるか否かを判定し、NO(ス
イッチ信号OFF=非制動状態)である時は、ステップ
205に進んで前記通常時制御部による通常時制御(ス
カイフック制御)への切り換えを行なった後、これで一
回の制御フローを終了する。
【0039】一方、前記ステップ201の判定がYES
(スイッチ信号ON=制動状態)である時は、次に緩制
動状態か急制動状態かを判断するためにステップ202
に進む。そして、このステップ202では、アンチスキ
ッド制御装置のアンチスキッド制御作動状態にあるか否
かを判定し、NO(アンチスキッド制御−非作動状態)
である時は、ステップ204に進んで緩制動時制御への
切り換えを行なった後、これで一回の制御フローを終了
する。
【0040】一方、前記ステップ202の判定がYES
(アンチスキッド制御−作動状態)である時は、ステッ
プ203に進んで急制動時制御への切り換えを行なった
後、これで一回の制御フローを終了する。以後は、以上
の制御フローを繰り返すものである。
【0041】次に、前記コントロールユニット4におけ
る減衰力特性制御作動のうち、通常時制御部による通常
時制御と制動時制御部による制動時制御との切り換え制
御の内容および制動時制御の内容を図20のタイムチャ
ートに基づいて説明する。
【0042】(イ)非制動時 ブレーキ操作が行われていない時は、減衰力特性(目標
減衰力特性ポジションPT ,PC )を求める前記式(4),
(5) における制動時制御ゲインKbの値を小さな値(5
00)に設定することにより、乗り心地重視の減衰力特
性制御が行われる。
【0043】(ロ)緩制動時 ブレーキ操作が行われているが、アンチスキッド制御が
作動するほどではない緩やかな制動状態である時は、前
記制動時制御ゲインKbの値を前記非制動時よりは少し
大きな値(1000)に設定することにより、各ショッ
クアブソーバSAにおけるその時の行程側の減衰力特性
を高め、これにより、緩制動時においては車両の乗り心
地を必要以上に悪化させることなしに、ダイブ、スカッ
ト等の発生を抑制して車両姿勢を安定させることができ
る。
【0044】(ハ)急制動時 ブレーキ操作が行われ、かつ、アンチスキッド制御が作
動するほどの急制動状態にある時は、前記ブレーキ操作
状態検知に基づく緩制動時の制動時制御ゲインKb(1
000)への切り換え設定(第1段階)に続き、該緩制
動時よりはさらに大きな値(2000)への切り換え設
定(第2段階)を行うことにより、制御遅れを生じさせ
ることなしに車両姿勢重視の減衰力特性制御が行われ
る。
【0045】これにより、急制動時における車両姿勢の
安定性、操縦安定性、および制動性能の向上を図ること
ができる。
【0046】以上説明してきたように、この発明の実施
の形態の車両懸架装置によれば、車両の非制動時におい
てはスカイフック制御理論に基づいたショックアブソー
バSAの減衰力特性制御により車両の乗り心地と操縦安
定性を確保しつつ、車両の制動時においては緩制動時と
急制動時の2段階の制動時制御ゲインの切り換えによ
り、緩制動時における車両の乗り心地の悪化を防止しつ
つ、急制動時における車両姿勢変化に対する減衰力特性
制御の応答性を高め、車両姿勢の安定性、操縦安定性、
制動性能を向上させることができるようになるという効
果が得られる。
【0047】以上、発明の実施の形態について説明して
きたが具体的な構成はこれら発明の実施の形態に限られ
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計
変更等があっても本発明に含まれる。
【0048】例えば、発明の実施の形態では、ブレーキ
操作状態検出手段として、ブレーキランプスイッチを用
いたが、ブレーキ液圧や前後加速度信号からブレーキ操
作状態を検出することもできる。
【0049】また、発明の実施の形態では、アンチスキ
ッド制御作動状態検出手段として、アンチスキッド制御
装置の出力信号らアンチスキッド制御作動状態を検出す
るようにしたが、車輪速度センサで検出された車輪速度
検出値から演算した信号によりアンチスキッド制御作動
状態を検出するようにしてもよい。
【0050】また、発明の実施の形態では、ばね上上下
速度信号が0の時のみソフト領域SSに制御するように
したが、0を中心とする所定の不感帯を設けこの不感帯
の範囲内でばね上上下速度が推移している間は減衰力特
性をソフト領域SSに維持させることにより、制御ハン
チングを防止することができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明請求項1
記載の車両懸架装置では、上述のように、前記ブレーキ
操作状態検出手段でブレーキ操作状態が検出されない時
は、前記車両上下挙動検出手段で検出された車両の上下
方向挙動に基づいて前記各ショックアブソーバの減衰力
特性制御を行う非制動時基本制御部を有する減衰力特性
制御手段と、該減衰力特性制御手段に含まれていて前記
ブレーキ操作状態検出手段でブレーキ操作状態が検出さ
れた時は、前記非制動時基本制御部による減衰力特性制
御に比べて減衰力特性を高める方向に補正制御する緩制
動時補正制御部と、前記アンチスキッド制御作動状態検
出手段でアンチスキッド制御装置の制御作動状態が検出
された時は、前記緩制動時補正制御部による減衰力特性
に比べてさらに減衰力特性を高める方向に補正制御する
急制動時補正制御部と、を備えた構成としたことで、緩
制動時における車両の乗り心地の悪化を防止しつつ、急
制動時における車両姿勢変化に対する減衰力特性制御の
応答性を高め、車両姿勢の安定性、操縦安定性、制動性
能を向上させることができるようになるという効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両懸架装置を示すクレーム対応図で
ある。
【図2】本発明の実施の形態の車両懸架装置を示す構成
説明図である。
【図3】本発明の実施の形態の車両懸架装置を示すシス
テムブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態の車両懸架装置に適用した
ショックアブソーバを示す断面図である。
【図5】前記ショックアブソーバの要部を示す拡大断面
図である。
【図6】前記ショックアブソーバのピストン速度に対応
した減衰力特性図である。
【図7】前記ショックアブソーバのパルスモータのステ
ップ位置に対応した減衰力特性図である。
【図8】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のK
−K断面図である。
【図9】前記ショックアブソーバの要部を示す図5のL
−L断面およびM−M断面図である。
【図10】前記ショックアブソーバの要部を示す図5の
N−N断面図である。
【図11】前記ショックアブソーバの伸側ハード時の減
衰力特性図である。
【図12】前記ショックアブソーバの伸側・圧側ソフト
状態の減衰力特性図である。
【図13】前記ショックアブソーバの圧側ハード状態の
減衰力特性図である。
【図14】本発明の実施の形態の車両懸架装置における
ばね上上下加速度からばね上上下速度およびばね上ばね
下間相対速度信号を求める信号処理回路を示すブロック
図である。
【図15】位相遅れ補償式を用いて変換されたばね上上
下速度信号のゲイン特性(イ) および位相特性(ロ) を示す
図である。
【図16】本発明の実施の形態の車両懸架装置における
コントロールユニットの減衰力特性通常時制御作動を示
すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態の車両懸架装置における
コントロールユニットの減衰力特性通常時制御作動を示
すタイムチャートである。
【図18】本発明の実施の形態の車両懸架装置における
ばね上−ばね下間相対速度に対する制御ゲイン可変特性
マップである。
【図19】本発明の実施の形態の車両懸架装置における
通常時制御部による通常時制御と制動時制御部による制
動時制御との切り換え制御の内容を示すフローチャート
である。
【図20】本発明の実施の形態の車両懸架装置における
制動時制御部による制動時制御の内容を示すタイムチャ
ートである。
【符号の説明】
a 減衰力特性変更手段 b ショックアブソーバ c 車両上下挙動検出手段 d ブレーキ操作状態検出手段 e アンチスキッド制御作動状態検出手段 f 非制動時基本制御部 g 減衰力特性制御手段 h 緩制動時補正制御部 i 急制動じ補正制御部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体側と車輪側との間に介在されていて減
    衰力特性を変更可能な減衰力特性変更手段を有するショ
    ックアブソーバと、 車両の上下方向挙動を検出する車両上下挙動検出手段
    と、 ブレーキ操作状態を検出するブレーキ操作状態検出手段
    と、 アンチスキッド制御装置の制御作動状態を検出するアン
    チスキッド制御作動状態検出手段と、 前記ブレーキ操作状態検出手段でブレーキ操作状態が検
    出されない時は、前記車両上下挙動検出手段で検出され
    た車両の上下方向挙動に基づいて前記各ショックアブソ
    ーバの減衰力特性制御を行う非制動時基本制御部を有す
    る減衰力特性制御手段と、 該減衰力特性制御手段に含まれていて前記ブレーキ操作
    状態検出手段でブレーキ操作状態が検出された時は、前
    記非制動時基本制御部による減衰力特性制御に比べて減
    衰力特性を高める方向に補正制御する緩制動時補正制御
    部と、前記アンチスキッド制御作動状態検出手段でアン
    チスキッド制御装置の制御作動状態が検出された時は、
    前記緩制動時補正制御部による減衰力特性に比べてさら
    に減衰力特性を高める方向に補正制御する急制動時補正
    制御部と、を備えていることを特徴とする車両懸架装
    置。
  2. 【請求項2】前記ブレーキ操作状態検出手段が、ブレー
    キペダルの操作状態を検出するブレーキランプスイッチ
    で構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両
    懸架装置。
  3. 【請求項3】前記アンチスキッド制御作動状態検出手段
    が、アンチスキッド制御装置の出力信号からアンチスキ
    ッド制御作動状態を検出するように構成されていること
    を特徴とする請求項1または2に記載の車両懸架装置。
  4. 【請求項4】車輪速度を検出する車輪速度センサを備
    え、前記アンチスキッド制御作動状態検出手段が、前記
    車輪速度センサで検出された車輪速度検出値から演算し
    た信号によりアンチスキッド制御作動状態を検出するよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項1または2
    に記載の車両懸架装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000059747A1 (en) * 1999-04-01 2000-10-12 Delphi Technologies, Inc. Vehicle suspension control with compensation for yaw correcting active brake control
US6219602B1 (en) 1999-04-01 2001-04-17 Delphi Technologies, Inc. Vehicle suspension control with stability in turn enhancement

Cited By (3)

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WO2000059747A1 (en) * 1999-04-01 2000-10-12 Delphi Technologies, Inc. Vehicle suspension control with compensation for yaw correcting active brake control
US6181997B1 (en) 1999-04-01 2001-01-30 Delphi Technologies, Inc. Vehicle suspension control with compensation for yaw correcting active brake control
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