JP2597898B2 - コンクリート表面のライニング工法 - Google Patents

コンクリート表面のライニング工法

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JP2597898B2 JP63276998A JP27699888A JP2597898B2 JP 2597898 B2 JP2597898 B2 JP 2597898B2 JP 63276998 A JP63276998 A JP 63276998A JP 27699888 A JP27699888 A JP 27699888A JP 2597898 B2 JP2597898 B2 JP 2597898B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、水路トンネル、水槽、プール、および擁
壁などのコンクリート構造物を新設または改修する際に
行なわれるコンクリート表面のライニング工法に関する
ものである。
「従来の技術」 一般に、既設トンネルには、地山の圧力などによって
覆工コンクリートに亀裂が生じていることが多いが、特
に水路トンネルに亀裂が生じた場合、その亀裂から漏水
した水によって覆工コンクリートの外側の土砂が流出し
てトンネルの強度を著しく低下させてしまう恐れがある
ため、必要に応じて改修することが必要になる。
一方、上記のようなトンネル以外のコンクリート構造
物においても、例えば水槽、プールなどの表面に亀裂が
発生した場合には、漏水する恐れがあり、また、擁壁な
どの表面に亀裂が生じた場合には、その亀裂に水が侵入
し、その水が凍結により膨張して擁壁の崩壊(凍害)を
もたらす恐れもある。このため、これら各種のコンクリ
ート構造物においても、必要に応じて、上記改修方法に
よりコンクリート表面を改修する必要がある。
従来、例えば既設トンネルの覆工コンクリート内面を
改修する場合には、既設覆工コンクリート内面に生じた
亀裂に樹脂を注入する樹脂注入工法などが行なわれてい
るが、このようなコンクリート構造物が改修方法の一例
として、例えば特願昭61−79267号(特開昭62−236884
号公報)の明細書中に記載された「コンクリート構造物
の止水方法」がある。
このコンクリート構造物の止水方法は、コンクリート
表面に生じた亀裂発生箇所の中心部を削孔し、その周辺
を急結剤で定着して亀裂発生箇所に密閉室を形成し、こ
の密閉室内に親水性一液型ポリウレタンプレポリマーを
主成分とする止水用注入剤を注入することによって、該
親水性一液型ポリウレタンプレポリマーを漏水と反応さ
せて発泡硬化させ、この時の発泡圧および体積膨張によ
り上記止水用注入剤を上記亀裂発生箇所の全ての亀裂の
狭間中に侵入させて上記コンクリート表面の亀裂を密
封、接着させるものである。
そして、このようにしてコンクリート表面の全ての亀
裂を密封、接着させた後、そのコンクリート表面にスチ
ールファイバーコンクリートまたはレジンモルタルを吹
き付けるか、あるいは該コンクリート表面に、高強度コ
ンクリート、スチールファイバコンクリート、ポリマー
セメントコンクリート、ポリマーセメントモルタル、ポ
リマー含浸コンクリート、ポリマー含浸モルタルを打設
することによって、該コンクリート表面にライニングを
施すようにしている。
「発明が解決しようとする課題」 ところが、上記のような従来の改修方法では、ライニ
ング材料として用いている各種コンクリート(またはモ
ルタル)中の骨材がライニング面に浮き出てしまうた
め、例えば型枠面を鏡面仕上げとし、その型枠面と接触
させた状態で上記コンクリートを硬化させたとしても、
そのコンクリートの表面を鏡面仕上げにすることはでき
ないという問題がある。したがって、上記のような各種
コンクリートをライニング材料として用いた場合には、
コンクリート表面における微細なパターン形成が骨材に
よって阻害されてしまい、例えば型枠面に微小な凹凸パ
ターンを形成したとしても、その凹凸パターンをコンク
リート表面に忠実に表すことができないという問題があ
る。
また、上記改修方法を既設の水路トンネルの改修工事
に適用した場合には、トンネル内面をライニングするこ
とによってトンネル内の有効断面が減少するため、改修
前よりも流量が減少して水路としての能力が低下しまう
という問題がある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ライ
ニング施工時における型枠面の再現性に優れ、しかもラ
イニング面を鏡面とすることも可能なコンクリート表面
のライニング工法を提供することを目的としている。
「課題を解決するための手段」 この発明のコンクリート表面のライニング工法は、コ
ンクリート表面に所定間隔を隔てて型枠を配置し、次い
でその型枠と上記コンクリート表面との間に、SiO2(α
石英)およびCaAl2O4を主成分とするセラミック系代替
セメントと水および骨材とを混練してなる硬化体を打設
注入し、この硬化体を硬化させる際に上記型枠を振動さ
せるものである。
また、この発明の他のコンクリート表面のライニング
工法は、上記コンクリート表面のライニング工法におい
て、コンクリート表面に型枠を配置する前に、該コンク
リート表面の亀裂発生箇所の中心部を削孔し、その周辺
を急結剤で定着して亀裂発生箇所に密閉室を形成し、こ
の密閉室内に親水性一液型ポリウレタンプレポリマーを
主成分とする止水用注入剤を注入することによって、該
親水性一液型ポリウレタンプレポリマーを漏水と反応さ
せて発泡硬化させ、この時の発泡圧および体積膨張によ
り上記止水用注入剤を上記亀裂発生箇所の全ての亀裂の
狭間中に侵入させて上記コンクリート表面の亀裂を密
封、接着させるものである。
「作用」 この発明のトンネル内面のライニング工法において
は、コンクリート表面に所定間隔を隔てて型枠を配置
し、次いでその型枠と上記コンクリート表面との間に、
SiO2(α石英)及びCaAl2O4を主成分とするセラミック
系代替セメントと水および骨材とを混練してなる硬化体
を打設注入し、この硬化体を硬化させる際に上記型枠を
振動させることによって、上記硬化体が振動により締固
められると共に、その硬化体中のCaAl2O4の溶解により
生成したアルミナゲルが骨材の表面および型枠面に凝集
して骨材の表面がアルミナゲルで覆われることとなる。
このため、その骨材が硬化体の内部に集まってコアが形
成されると共に、上記アルミナゲルが型枠面と隙間なく
接触し、しかもその型枠面との接触面において上記硬化
体中の過剰な水が型枠の振動により除去されるため、そ
の接触面にアルミナゲルが膜状に集合してスキンが形成
され、これにより型枠面を忠実に再現したライニング面
が形成されることとなる。
また、この発明の他のトンネル内面のライニング工法
においては、上記トンネル内面のライニング工法におい
て、セラミック系代替セメントを水および骨材と混練し
てなる硬化体を打設する前に、覆工コンクリートの亀裂
発生箇所の中心部を削孔し、その周辺を急結剤で定着し
て亀裂発生箇所に密閉室を形成し、この密閉室内に親水
性一液型ポリウレタンプレポリマーを主成分とする止水
用注入剤を注入することによって、該親水性一液型ポリ
ウレタンプレポリマーが漏水と反応して発泡硬化し、こ
の時の発泡圧及び体積膨張によって上記止水用注入剤が
亀裂発生箇所の全ての亀裂の狭間中に侵入するため、コ
ンクリート表面に生じた全ての亀裂が止水用注入剤によ
って密封、接着され、これによりコンクリート自体の物
理的強度および水密性が回復することとなる。
「実施例」 以下、この発明をトンネル内面のライニング工法に適
用した一実施例を第1図、第2図を参照して説明する。
この実施例のトンネル内面のライニング工法は、第1
図、第2図に示すような馬蹄形の既設水路トンネルを改
修する際に行なわれるものであって、予め、既設の覆工
コンクリート1をピングラウトによって補修しておき、
次いでその表面にポリマーセメントペースト等を塗布ま
たは吹き付けて下地処理を施した後、その下地表面にセ
ラミックスキンライニングを施するものである。
ここで、上記ピングラウトについて詳細に説明する。
ピングラウトとは、特願昭61−79267号の明細書中に
「コンクリート構造物の止水方法」として記載されてい
るものであるが、ここでは、既設の覆工コンクリート1
の補修工事に適用している。
すなわち、このピングラウトによって上記覆工コンク
リート1を補修する場合には、最初に、覆工コンクリー
ト1の表面に生じている漏水箇所の調査を行ない、次い
でその調査によって発見された全ての漏水箇所の中心部
を削孔する。このようにした後、その削孔部に注入管を
取り付け、次いでその周辺を急結剤で定着して漏水箇所
に密閉室を形成した後、上記注入管から上記密閉室内に
親水性一液型ポリウレタンプレポリマーを主成分とする
止水用注入剤を注入し、さらに、注入した止水用注入剤
が外部へ流出しないように注入管をシールする。このよ
うにすると、上記親水性一液型ポリウレタンプレポリマ
ーが漏水と反応して発泡硬化し、この時の発泡圧及び体
積膨張によって上記止水用注入剤が漏水箇所の全ての亀
裂の狭間中に侵入することにより亀裂を密封、接着す
る。
次に、このようにして覆工コンクリート1の亀裂を補
修した後、第2図に示すように、必要に応じて、その覆
工コンクリート1の下部両側の所定範囲(図中の破線部
分)に対してウォータージェット等により目荒し、斫り
を行なうと共にその範囲に鋼繊維補強コンクリート2を
充填してトンネル断面を円形に成形し、次いでそのトン
ネルの内面全周に亙ってポリマーセメントペースト3を
塗布または吹き付けて下地処理を施す。
このようにして覆工コンクリート1に下地処理を施し
た後、その覆工コンクリート1に対してセラミックスキ
ンライニングを施すことになるが、まず、そのセラミッ
クスキンライニング工法の概略について説明する。
セラミックスキンライニング工法とは、例えば、下地
処理を施した覆工コンクリートの内側に内型枠を配置
し、この内型枠とトンネル内面との間に、セラミック系
代替セメントと水および骨材とを混練してなる硬化体を
打設し、次いで上記内型枠に振動を加えながら上記硬化
体を硬化させることによって、トンネル内面に鏡面仕上
げされた極めて円滑な面を形成するようにしたライニン
グ工法である。
上記のセラミック系代替セメントとは、SiO2(α石
英)とCaAl2O4とを主成分とした粉末状のもので、Ca3Al
2O6およびCa2Al2SiO7が含まれ、かつ微量のFeおよびCu
が含まれているものである。
そして、このようなセラミック系代替セメントに水お
よび骨材を加えて混練し、さらに型枠に充填して振動を
加えた場合には、セラミック系代替セメント中のCaAl2O
4が全溶解してアルミナゲルとなり、そのアルミナゲル
により骨材の表面が覆われると共にそのアルミナゲルが
型枠面と隙間なく接触することとなるため、その接触面
にアルミナゲルが膜状に集合してスキンが形成され、上
記型枠面が鏡面であれば、その表面に鏡面仕上げされた
極めて円滑な面が形成されることとなる。しかし、その
場合、上記セラミック系代替セメントに過剰の水を加え
る必要があるため、例えばバイブレータ等により型枠を
振動させることによって、型枠面近くのコンクリートか
ら過剰水を除去する必要がある。
ここで、上記セラミック系代替セメントに含まれてい
るCaAl2O4とは、アルミナセメントの主成分であるた
め、上記セラミック系代替セメントの代わりにアルミナ
セメントを用いて鏡面を形成することも考えられるが、
アルミナセメントの場合、一般に硬化発熱が大きく(80
〜100℃)、例えば型枠が金属製の場合、型枠は膨張
し、アルミナゲルが硬化収縮するため、型枠面との接触
により成型されるコンクリート表面が破壊され易いとい
う欠点がある。しかし、上記セラミック系代替セメント
を用いた場合には、硬化発熱が小さいため、金属製の型
枠が膨張せず、型枠面との接触により成型される該代替
セメントコンクリート表面が破壊されることはない。
なお、このセラミック系代替セメントを用いた硬化体
に少量の弱アルカリを添加した場合には、アルカリの硬
化反応促進効果によって効果時間を短縮することができ
るが、大量のアルカリあるいは強アルカリを混入した場
合には急結を起こして強度発現を阻害する。また、上記
硬化体は、例えば混練中のように空気と接触を保った状
態においては、空気による硬化抑制効果によって効果反
応が大幅に遅れるという特徴がある。この性質を利用す
ると、例えばコンクリートミキサー等で混練を続けてい
る間は硬化反応がほとんど進行しないから、可使時間を
大幅に延長することができる。しかし、上記硬化体が型
枠内に打設された場合には、空気と接触している表面部
分のごく表層部分が硬化不良のような状態になることが
あるので、成型硬化時には表面部分にプラスチック製の
シートを被せるなどの手段を取り、空気を遮断した方が
良い。
このセラミック系代替セメントを用いて上記硬化体を
調製する際には、セラミック系代替セメントと骨材との
合計重量に対して5〜20重量%のセラミック系代替セメ
ントを配合し、かつセラミック系代替セメントと骨材と
の合計重量に対して20重量%前後(± 3重量%以内)の
混練水を添加する。また、配合する骨材は、アルカリ性
またはアルカリを遊離するものでなければ広く選択する
ことができるが、主として川砂が用いられる。そして、
所定の配合割合を設定した後、それらを混練する場合に
は、まず、骨材の所定量を計量してミキサーに投入し、
次いでそのミキサーに上記セラミック系代替セメントを
投入して充分に攪拌混合する。このようにしてこれらを
充分に混合すると、骨材の表面をセラミック系代替セメ
ントが被覆したような状態となるが、この場合、骨材の
水分があまり多いとセラミック系代替セメントが部分的
に付着して混合が不良となり、強度発現に悪影響が出る
危険がある。このようにしてドライ混合を行なった後、
上記ミキサーに混練水の約2/3量を添加して良く攪拌
し、混潤せしめ、次いで残量を添加して均一になったと
ころで攪拌を止める。
なお、この場合、混練水量は、最も重要な因子であ
り、混練水量が不足した場合には、硬化体中のアルミナ
ゲルが型枠面上に隙間なく配置されるための流動性が不
足して良好な結果が得られず、また、混練水量が過剰の
場合には、微細粒子が過剰な水によって上部に持ち上げ
られるために良好な結果が得られない。そして、適当な
混練水量の目安は、上記セラミック系代替セメントに対
して75〜100%程度であるが、骨材の材質、形状、配合
量、粒度、含水量等によって異なるので、事前に規定範
囲内で最適のワーカビリティの混練水量を実験的に確認
しておくことが望ましい。また、後に行なう振動締固め
時に相当に流動性が増加するので、その意味でも混練水
の過添加には留意する必要がある。
このようにしてセラミック系代替セメントを用いた硬
化体を調製した後、例えばポリマーセメントペースト2
により下地処理を施したトンネルの側壁部に上記硬化体
を打設する場合には、第1図に示すように、上記硬化体
によって既にセラミックスキンライニング4が施されて
いるトンネル底部に架台5を設置し、この架台5上にバ
イブレータ6を取り付けると共にこのバイブレータ6の
側部および上部を油圧ジャッキ7によってトンネルの上
部および側壁部に支持する。このバイブレータ6は、圧
縮空気、電気、ガソリンなどを動力とする振動機であっ
て、軸方向に振動するシャフト8が側方へ向けて装着さ
れ、このシャフト8の先端に鏝型の振動板9が取り付け
られているものである。このバイブレータ6の振動板9
には、円弧板状の内型枠10の内面が固定されている。こ
の内型枠10は、吸水性のない材料であればどのような材
料から構成しても良いが、バイブレータの振動が加わる
ため、鋼製のものが好ましく、また、その鋼製の内型枠
10の硬化体12と接触する面に、硬質塩化ビニル、ポリオ
レフィン等の合成樹脂シートを貼り付けたものを用いて
も差し支えない。
このような内型枠10によってセラミックスキンライニ
ングを行なう場合には、上記内型枠10をトンネルの側壁
部に沿って配置すると共に、その内型枠10の下端部に、
上端に摺動面を有する妻板装置11をトンネル底部のセラ
ミックスキンライニング4表面に密着させた状態で設置
する。このようにした後、上記内型枠10とトンネル内面
との間に上述の混練した硬化体12を打設注入する。その
際、注入断面、すなわちセラミックスキンライニング層
の厚さが5cm程度内外であれば、硬化体12を内型枠10の
上部から流し込んでも良いが、1cm程度内外の薄い注入
断面の場合には、硬化体12を内型枠10の上部から流し込
むと空気溜まりができやすいので、硬化体12を内型枠10
の下部から圧入することによって、トンネル内面と内型
枠10との間に、空気を追い出しつつ満偏無く打設注入す
ることが望ましい。
このようにした後、上記バイブレータ6を作動させる
ことによって、上記内型枠10に所定期間振動を与える
と、この硬化体12が振動により締固められると共に脱気
されて極めて短時間で硬化することとなる。この場合、
振動締固めは、上記硬化体12中のアルミナゲルを上記内
型枠10の型枠面上に隙間なく接触させるために行なうた
め、例えば振幅数mm、振動数2000〜3000サイクル程度の
振動を与えることが望ましく、このような小振幅・高振
動数の振動を与えることによって、振動を成型体の内部
まで大きな減衰無しに到達させることが必要である。
そして、このようにして上記硬化体12をある程度硬化
させた後、必要に応じて、別の(バイブレータを備えて
いない)内型枠に交換するなどの作業を行なうが、その
場合、型枠面に接触したアルミナゲルにより形成される
膜状のスキンが十分に硬化しないうちに脱型すると、そ
の時点における成型体の内部凝集力より型枠面との親和
力の方が大きくて、脱型時に一部のアルミナゲルが型枠
面に取られて面の状態が悪化する。また、混練水量が不
足した場合にも現象的には同じ結果を与える。そして、
このようにした後、通常は、冬期においては20〜24時間
(標準脱型時間)、夏期においては8〜10時間(標準脱
型時間)程度養生する。この場合、必要とする面の平滑
性によっては6〜8時間程度で脱型しても良いが、特に
円滑な鏡面が要求される場合には、標準脱型時間の1.5
〜2倍程度養生を延長することが望ましい。
そして、このようにしてトンネル内の一方の側壁部に
セラミックスキンライニングを施した後、その側壁部と
反対側の側壁部およびトンネル上部にセラミックスキン
ライニングを施することによって、トンネルの内面全体
に鏡面仕上げされた極めて円滑な面を形成する。
なお、トンネル上部にセラミックスキンライニングを
施す場合には、硬化体12の打設注入時に注入断面の空気
を抜く空気抜きを設ける必要があるため、第3図に示す
ように、塩化ビニールなどからなるパイプ13を内型枠10
の下方から上方へ貫通させ、そのパイプ13の上端開口部
をトンネル内面と1cm程度の間隔を開けた状態でトンネ
ルの最上部付近に位置させておく。そして、このように
してパイプ13により空気抜きを構成した状態で、内型枠
10両側の下部から硬化体12を打設注入することによっ
て、上記内型枠10上の注入断面内に硬化体12を満たしな
がら該注入断面内の空気を上記パイプ13を通して抜いて
いく。このようにした該注入断面内の最上部付近まで硬
化体12を満たしていくと、上記パイプ13から硬化体12が
流出してくるが、最初のうちは、流出してくる硬化体12
に空気の泡が含まれるているため、該注入断面全体に硬
化体12を満たした後もさらに硬化体12を打設注入し続
け、パイプ13から流出する硬化体12中に空気の泡がなく
なった時、パイプ13からの流出を止め、打設注入を停止
する。
そして、このようにした後、上述のように内型枠10を
振動させながら注入断面内の硬化体12を硬化させてい
き、この硬化体12が硬化した後、内型枠10を脱型して、
第4図に示すようにパイプ13の下部を切断し、その後、
防水性の無収縮モルタル等によりパイプ13内にコーキン
グを施してライニング面を整える。
このトンネル内面のライニング工法により既設水路ト
ンネルの改修を行なった場合には、トンネル内面の摩擦
による流体抵抗が減少するので、改修工事によりトンネ
ルの有効断面が減少しても必要な流量を確保することが
できる。その上、覆工コンクリートに生じた全ての亀裂
を止水用注入剤によって密封、接着し、これにより覆工
コンクリート自体の物理的強度および水密性を回復させ
るので、単に覆工コンクリートの表面が補修されるだけ
でなく、トンネル全体としての強度および水密性を新設
時の状態まで回復させることができ、かつ新設時とほぼ
同様な流量を確保することができる。
なお、このトンネル内面のライニング工法において
は、セラミックスキンライニングを、トンネルの底部、
側壁部、上部を別々に対して別々に行っているが、全巻
き式の型枠によってトンネル内面の全周を一度にライニ
ングしても良く、その場合にも、上述のようなパイプ13
による空気抜きを設け、パイプ13から空気を抜きながら
硬化体12の打設注入を行なう。
また、この実施例においてセラミックスキンライニン
グが行なわれるトンネルの断面形状は円形であるため、
そのトンネル内の上面中央部にパイプ13の上端開口部を
位置させることによって該上端開口部をトンネル内の最
上部に位置させることができ、硬化体打設注入時の空気
抜きを比較的簡単に行なうことができるが、例えば断面
四角形状のトンネルなどにおける水平な上面に対してセ
ラミックスキンライニングが施す場合には、空気抜きを
設ける位置の設定が難しい。このため、水平な上面に対
してセラミックスキンライニングを施す場合には、上記
パイプ13を注入断面内に複数配置することにより複数の
空気抜きを設けても良いが、そのようにするとライニン
グ面にパイプ13切断部が多数残って美観が損なわれる
上、水路トンネルの場合にはトンネル内面の摩擦による
流体抵抗が増加する恐れもあるため、好ましくは、上面
の僅かな傾斜により生じる最上部にパイプ13を配置し、
注入断面内に配置するパイプ13の数をできる限り少なく
することが望ましく、その場合、型枠両側の各打設注入
部からの硬化体注入速度を調節することによって、型枠
両側からそれぞれ注入される硬化体12がパイプ13の上端
開口部に同時に達するようにすることが望ましい。
さらに、この実施例では、既設トンネルを改修する際
に行なうトンネル内面のライニング工法について説明し
たが、この発明のトンネル内面のライニング工法は、覆
工後の新設トンネルに適用しても良い。そして、その場
合には、ピングラウト工法、およびPCPなどによる下地
処理は省略しても良いが、覆工直後のコンクリートでも
亀裂が生じていることが多いので、少なくともピングラ
ウト工法を併用した方が望ましい。
ここで、上述のピングラウト工法で使用する止水用注
入剤について詳細に説明しておく。
この止水用注入剤は、親水性−液型ポリウレタンプレポ
リマーを主成分とするものであるが、この親水性−液型
ポリウレタンプレポリマーは水と反応して発泡固化する
性状を有しており、例えば、ポリアルキレングリコー
ル、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル、ポリ
アルキルレングリコールアリールエーテル、ポリアルキ
レングリコールアルキルアリールエーテル、あるいはポ
リアルキレングリコールとポリアルキレングリコールの
有機酸エステルとの混合物と、イソシアネート基を有す
る有機化合物とを反応させた反応生成物である。上記の
ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール
アルキルエーテル、ポリアルキレングリコールアリール
エーテル、ポリアルキレングリコールアルキルアリール
エーテルは、エチレンオキシド、もしくはプロピレンオ
キシド、の重合体あるいはこれらの共重合体で、分子量
は100〜10000である。またポリアルキレングリコールの
有機酸エステルとは、前記ポリアルキレングリコールの
多価カルボン酸エステルであって、多価カルボン酸の具
体例としては、マレイン酸、アジピン酸、フタール酸等
が挙げられる。上記ポリアルキレングリコール、ポリア
ルキレングリコールアルキルエーテル、ポリアルキレン
グリコールアリールエーテル、ボリアルキレングリコー
ルアルキルアリールエーテル、あるいはこれとポリアル
キルレングリコールの有機酸エステルとの混合物と反応
する前記イソイアネート基を少なくとも二つ以上有する
化合物であって、具体的には、トリレンジイソシアネー
ト、メチレンジフェニルジイソシアネート(ポリメチレ
ンポリフェニレンイソシアネート)、キシリレンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げ
られる。なかでも、トリレンジイソシアネート、メチレ
ンジフェニルジイソシアネートは、固化速度を制御する
のに好ましい。ポリアルキレングリコール、ポリアルキ
レングリコールアルキルエーテル、ポリアルキレングリ
コールアリールエーテル、ボリアルキレングリコールア
ルキルアリールエーテル、あるいはポリアルキレングリ
コールとポリアルキレングリコールの有機酸エステルと
の混合物と、イソシアネート基を有する混合物との割合
は、前者の水酸基を1個当たりイソシアネート基1〜10
個となる範囲で反応させるのが好ましい。前者の水酸基
を1個当たりイソシアネート基を1個未満の割合で反応
させると、重合度が低下し固化性能が劣るので好ましく
なく、また10個以上では、重合速度が速くなり、固化速
度のコントロールが難しい等の理由により好ましくな
い。反応方法としては公知の方法で反応させるのが一般
的てある。
なお、この発明のコンクリート表面のライニング工法
では、水路トンネルに限らず、それ以外の水路、水槽、
プール、および擁壁などの表面のライニングを行なうこ
ともできる。そして、例えばこのコンクリート表面のラ
イニング工法を擁壁を改修する際に適用する場合には、
擁壁の表面に平板状の型枠を上記擁壁と所定間隔隔てた
位置に固定し、次いでこの型枠の下部からセラミック系
代替セメントを用いた硬化体を擁壁との間に打設注入し
た後、上記型枠バイブレータ等で振動させながら該硬化
体を硬化させれば良い。なお、上記型枠の固定は、擁壁
にホールインアンカーを埋設し、このホールインアンカ
ーに型枠用セパレータの一端を固定した状態で、その型
枠用セパレータの他端に上記型枠を支持するようにすれ
ば良い。
「発明の効果」 この発明のコンクリート表面のライニング工法によれ
ば、コンクリート表面に所定間隔を隔てて型枠を配置
し、次いでその型枠と上記コンクリート表面との間にSi
O2(α石英)及びCaAl2O4を主成分とするセラミック系
代替セメントと水および骨材とを混練してなる硬化体を
打設注入し、この硬化体を硬化させる際に上記型枠を振
動させるので、上記硬化体を振動により締固めることが
できると共に、その硬化体中のCaAl2O4の溶解により生
成したアルミナゲルが骨材の表面が覆われ、かつそのア
ルミナゲルを型枠面と隙間なく接触させることができ
る。その上、上記型枠面との接触面において上記硬化体
中の過剰な水が型枠の振動により除去されるため、その
接触面に上記アルミナゲルが膜状に集合してスキンが形
成されることとなり、これにより型枠面を忠実に再現し
たライニング面を形成することができる。
この発明の他のコンクリート表面のライニング工法に
よれば、上記コンクリート表面のライニング工法におい
て、コンクリート表面に型枠を配置する前に、該コンク
リート表面の亀裂発生箇所の中心部を削孔し、その周辺
を急結剤で定着して亀裂発生箇所に密閉室を形成し、こ
の密閉室内に親水性一液型ポリウレタンプレポリマーを
主成分とする止水用注入剤を注入することによって、該
親水性一液型ポリウレタンプレポリマーを漏水と反応さ
せて発泡硬化させ、この時の発泡圧および体積膨張によ
り上記止水用注入剤を上記亀裂発生箇所の全ての亀裂の
狭間中に侵入させて上記コンクリート表面に亀裂を密
封、接着させるので、コンクリート表面に生じた全ての
亀裂を止水用注入剤によって密封、接着することがで
き、これによりコンクリート自体の物理的強度および水
密性を回復させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第4図は、この発明の一実施例を示す図で
あって、第1図はセラミックスキンライニング工法を説
明する説明図、第2図はセラミックスキンライニング施
工前のトンネル断面を示す断面図、第3図、第4図はト
ンネル上面に対するセラミックスキンライニングについ
て説明する説明図である。 1……覆工コンクリート、 2……鋼繊維補強コンクリート、 3……ポリマーセメントペースト、 4……セラミックスキンライニング、 5……架台、 6……バイブレータ、 7……油圧ジャッキ、 8……シャフト、 9……振動板、 10……内型枠、 11……妻板装置、 12……硬化体、 13……パイプ。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンクリート表面に所定間隔を隔てて型枠
    を配置し、次いでその型枠と上記コンクリート表面との
    間に、SiO2(α石英)およびCaAl2O4を主成分とするセ
    ラミック系代替セメントと水および骨材とを混練してな
    る硬化体を打設注入し、この硬化体を硬化させる際に上
    記型枠を振動させることを特徴とするコンクリート表面
    のライニング工法。
  2. 【請求項2】第1項記載のコンクリート表面のライニン
    グ工法において、コンクリート表面に型枠を配置する前
    に、該コンクリート表面の亀裂発生箇所の中心部を削孔
    し、その周辺を急結剤で定着して亀裂発生箇所に密閉室
    を形成し、この密閉室内に親水性一液型ポリウレタンプ
    レポリマーを主成分とする止水用注入剤を注入すること
    によって、該親水性一液型ポリウレタンプレポリマーを
    漏水と反応させて発泡硬化させ、この時の発泡圧および
    体積膨張により上記止水用注入剤を上記亀裂発生箇所の
    全ての亀裂の狭間中に侵入させて上記コンクリート表面
    の亀裂を密封、接着させることを特徴とするコンクリー
    ト表面のライニング工法。
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