JP2593890B2 - 抗菌性成形物及びその製造法 - Google Patents

抗菌性成形物及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は抗菌性の成形物に関し、特に洗濯耐久性に優
れた抗菌力を有する抗菌性の合成成形物に関する。
(従来技術) ポリエステル及び/又はポリアミド繊維は、ユニフオ
ーム、和装品、スポーツ衣料等の各種衣料、寝装製品、
インテリア製品など広く使用されている。
一方、我々の生活環境中には、さまざまな細菌、かび
が存在しており、媒分物を経て人体や繊維に付着して繁
殖し、皮膚障害を与えたり、繊維の変質、劣化現象を起
こしたり、悪臭を放つて不快感を与えたりする。特に合
成繊維は汗を吸収することが少ないため、該繊維を身に
つける場合、汗の付着した皮膚、衣料等に微生物が繁殖
して腐敗現象を起し、汗くさい臭いを生ずる。従つて、
より清潔で悪臭を漂よわす事がなく、快適で安全なポリ
エステルあるいはポリアミド繊維製品の開発が望まれて
いた。
繊維に抗菌性を付与する方法として、繊維に有機錫、
有機水銀化合物を適用する方法が使用されていた時期が
あるが、これら化合物の毒性が問題視され、現在ではそ
れらのほとんど大部分が使用中止になつている。
後加工方法としては、従来より特に安全性の高い抗菌
防かび剤としてシリコーン第4級アンモニウム塩などが
用いられている。例えば、特開昭57−51874号にはオル
ガノシリコーン第4級アンモニウム塩を吸着させたカー
ペット及びその製造方法が開示されている。しかしなが
ら、シリコーン系第4級アンモニウム塩はセルロース系
繊維に対しては反応性を持ち洗たく耐久性のある抗菌効
果を示すが、合成繊維に対しては一時的に抗菌効果を示
すものしか得られていない。
また、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオンを溶出させる
銀、銅、亜鉛等の化合物が抗菌性を有することは古くか
ら知られており、例えば、硝酸銀の水溶液は消毒剤や殺
菌剤として広く利用されて来た。しかしながら、溶液状
では取り扱いの点で不便であり、又用途の点でも限定さ
れる欠点がある。そこで、銀、銅、亜鉛等のイオン又は
塩を高分子体に保持されるならば、かかる欠点を少なく
広い分野での利用を期待することができる。例えば、
銀、銅、亜鉛等の金属化合物を重合体中に混合し繊維と
する方法が特開昭54−147220号に提案されている。ま
た、銀イオン、銅イオン交換したゼオライト系固体粒子
を有機高分子体に添加混合する方法が特開昭59−133235
号に提案されている。これらの方法では金属化合物が高
分子へ及ぼす影響が大きくて利用できる範囲が著しく限
定されたり、繊維化工程での工程性特に紡糸時の単糸切
れ、パツクフイルター詰りによるパツク寿命が短かくな
つたり、あるいは延伸時の毛羽頻発などのトラブルが多
くなる問題が発生する。そうでない場合でも、金属イオ
ンが高分子中に単に含有されているだけでは、繊維表面
への抗菌作用に効果のある金属イオンの徐放性が不十分
なため、抗菌性の効果の絶対レベルが低く、十分な効果
が期待できない。
又、銅、銀又は亜鉛の化合物とカゼインとの複合物を
水不溶化の状態で繊維表面に付着させる方法が特開昭56
−123474号に提案されている。この繊維は複合物を水不
溶化させることにより、水洗等による複合物の脱落を防
ぐことができるが、カゼインを不溶化するためにはホル
マリンを用いなければならず、織編物とした後、使用中
にホルマリンの遊離を生じることが危惧される。
(本発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は、使用する合成ポリマーで得られる本
来の物性を損なうことなく、又水洗、温水洗たく等の後
でも、抗菌、抗かび性の低下しない、洗濯耐久性の極め
て優れた抗菌性の合成成形物を提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明の合成成形物は、ポリエステル及び/又はポリ
アミドの如き融点が200℃以上の熱可塑性成形物中に、
平均粒子径が5ミクロン以下の金属銅微粒子と、融点が
10℃より低くかつ25℃下での粘度が10ポイズ以上を有す
る液状ポリエステル系化合物との混合物を、金属銅微粒
子で0.1〜10重量%、ポリエステル系可塑剤で0.1〜10重
量%分散せしめたことを特徴とする抗菌性成形物であ
る。
また本発明方法は、金属銅微粒子とポリエステル系化
合物の混合物を、ポリマーの重合完了後成形吐出直前の
間で、該ポリマー溶融流体中へ添加し、その後スタチツ
クミキサー等で混練した後、吐出孔より吐出し、繊維化
等成形物とすることを特徴とするものである。
以下、本発明の成形物及びその製造法を詳細に説明す
る。
本発明において成形物とは、繊維で代表される線状
物、フイルム状物、テープ状物、パイプ状物、各種容器
並びにその他の任意の成形物を包含意味するものである
が、以下は、便宜上、又厳しい製造条件を必要とする繊
維の場合を例にとつて説明する。
本発明に用いる金属銅微粉末は、平均粒子径が5ミク
ロン以下であることが好ましい。粒径が5ミクロンを超
えると溶融紡糸時にフイルター詰りや毛羽断糸を起し易
く使用困難である。特に各種衣料素材、寝装製品等への
応用を考えた場合は、単繊維デニールが1デニール前後
の細デニール糸も必要とされ、粒径が大きくなると延伸
時の糸切れが厳しくなり好ましくない。従つて本発明に
用いる金属銅微粉末は平均粒径5ミクロン以下のもの
が、更に好ましくは1ミクロン以下のものが望ましい。
金属銅微粉末は、例えば三井金属鉱業(株)社製のMFP
パウダーのように、純度が高く、かつ球状粒子であり、
粒径分布もシヤープなものが、繊維中へ練込み分散させ
るには好都合である。
金属銅は結晶構造より極微量の銅イオンを放出し、こ
の極微量の銅イオンが殺菌効果があることが知られてい
る。1893年植物学者のネーゲリーが1千万分の1(0.1p
pm)ほどの微量の銅イオンがアオミドロを死滅させるこ
とを発見したことが初めて言われており(工業材料第35
巻第3号)、原理的には、銅イオンが細菌の細胞壁を通
過し、細胞内部の酵素の−SH基と化合することにより酵
素活性を減退させ、細胞の代謝作用を停止させ死滅させ
ると言われている(農技研報告(1960):豊田栄)。し
かも極く微量の銅イオンですぐれた殺菌効果が発揮され
るにもかかわらず、人体に対しては微量であるならばそ
れほど有害ではないと言われている。むしろ銅はミネラ
ルの一種として生体にとつて必要欠くことのできない金
属の一つであり、体内の銅成分が不足すると貧血をおこ
したり、骨がもろくなつたりすることが報告されてい
る。つまり微量の銅が体の中にないといくら鉄分があつ
てもヘモグロビンのできが悪く、寿命の短い赤血球がで
きて貧血を起すと言われている。このように、銅金属は
微量の銅イオン放出作用により人体にあまり有害となら
ず、すぐれた殺菌効果が発揮されることから、本発明の
目的にに最適の物質として選択された。
しかしながら、意外なことに、金属銅を単にポリマー
中に分散させて繊維にされたものについては、十分な抗
菌性能が発揮されないことがわかつた。
抗菌性能を調べる手段としては、一般的には(1)シ
エークフラスコ法、(2)菌数測定法、(3)ハローテ
スト法があり、例えばシエークフラスコ法の場合、滅菌
率が目安として70%以上であれば抗菌性能としては十分
に役目をはたすと言われている。減菌率が70%以下とな
ると抗菌性能としては不十分になつてくるため、微生物
が繁殖して腐敗現象を起し、汗くさい臭が繊維に生じ、
防臭効果があまり認められなくなつてくる結果となり、
抗菌繊維製品としては欠陥商品と言わざるを得ない。
単に金属銅をポリマー中に分散させて繊維にされたも
のは、減菌率が30〜40%という結果しか得られず、抗菌
性繊維としては不十分なレベルにしか至らないことがわ
かつた。これの理由としては、繊維が抗菌効果を発揮さ
せるためには繊維表面に常に微量の銅イオンが存在して
いることが必要であると考えられ、単に金属銅を樹脂中
に分散させただけでは、金属銅より放出される銅イオン
がスムースに繊維表面へ放出されないためと思われる。
この推定を裏づけるモデルテストとして、ポリマー中の
添加量と同じ量の金属銅パウダーを繊維表面に単に付着
させたものについて抗菌性を調べた所、十分な性能が認
められたことから上記の推定が正しいと思われる。しか
し、単に繊維表面へ付着させたものは、当然のことなが
ら使用中に脱落しやすく、本発明の洗濯耐久性を有する
抗菌性繊維にはなりえない。
我々はポリエステル及び/又はポリアミドポリマー中
に金属銅を分散させた繊維で、銅イオンのすぐれた殺菌
作用を十分な洗濯耐久性を保持して持続発揮させること
が、いかにしたらできるのか鋭意検討した結果、ある特
定の物性をもつポリエステル系化合物を金属銅と共にポ
リマー中に共存させることにより、実現出来ることをは
じめて見い出した。
このポリエステル系化合物は、室温で流動性を示す必
要があり、そのために融点が10℃より低いことが非常に
重要なポイントであると同時に、25℃下での粘度が10ポ
イズ以上を有するものでなければならない。ポリエステ
ル系化合物は、ポリエステル又はポリアミドに対してマ
クロなオーダーで相溶性が良く均一分散混合しやすいこ
とと、室温で流動性を示すために、ポリマー中に内在し
ている金属銅から放出される銅イオンをポリマー中にと
じこめておくことなく繊維表面へ運搬する役割をはたし
ていると推定される。金属銅と室温で流動性を示すポリ
エステル系化合物が共存することによつてはじめて、殺
菌効果を発揮する銅イオンが半永久的に繊維表面へ繊維
中のポリエステル系化合物の一種の通路を流れて徐放さ
れるシステムができあがつたわけである。なおかつ、ポ
リエステル系化合物は水に不溶であり耐水性が十分ある
ことから、温水洗濯後でも全く性能が低下することなく
抗菌効果が維持されることが大きな特徴であり、本発明
の重要な効果の一つである。
室温で流動性のない、つまり固体で室温以上の融点を
持つポリエステル系化合物を用いた場合には、後に実施
例で詳しく述べるがあまり抗菌性能が発現されない結果
が得られた。これの理由としては繊維中で固体状態で分
散し存在しているために、銅イオンを表面へ運搬させる
徐放機能が十分に働かないためではないかと推定され
る。
ポリエステル系化合物の粘度は10ポイズ以上であるこ
とが望ましい。10ポイズ未満になつてくると、温水洗濯
後の抗菌性レベルがやや低下してくる傾向が認められ
た。このことは今迄知られていなかつた新しい事実であ
り、明確な理由は現時点では不明であるが、おそらくポ
リエステル系化合物の粘度があまり低くなつてくると、
化合物自身の移行性が発生しやすくなり、温水洗濯時に
繊維中より少し抜け出やすくなるためか、あるいは耐水
性がやや減少してくるためではないかと推定される。ポ
リエステル系化合物としては、例えばアデカアーガス社
製の、商品名ADK CIZERシリーズとして市販されている
ポリエステル系可塑剤、あるいは大日本インキ化学社製
の、商品名POLYCIZERシリーズとして市販されているポ
リエステル系可塑剤等が好ましく用いられる。そのポリ
エステル化合物のうち、酸成分としてセバシン酸、アジ
ピン酸、フタル酸を主成分として、グリコール成分を適
宜選択したものを用いるのが、コスト的にも物性的にも
適当である。
繊維中への添加量としては、金属銅微粒子とポリエス
テル系化合物との重量比が5:95〜80:20にある混合物を
添加し、繊維に対して金属銅微粒子として0.1〜10重量
%、ポリエステル系化合物として0.1〜10重量%分散し
ていることが望ましいことがわかつた。
金属銅添加量が少ない場合には、繊維表面への銅イオ
ンの徐放性を活発にするためポリエステル系化合物の添
加量を多くし、逆に金属銅添加量が多い場合には、ポリ
エステル系化合物の添加量が少な目でも良い。抗菌性能
としては添加量が多い程、当然のことながら性能が向上
するが逆に繊維化工程での毛羽、断糸率が大きくなるの
で、所定デニールに応じて、上記範囲内で金属銅微粒子
とポリエステル系化合物の混合比及び繊維に対する添加
量を調節することが必要である。
本発明に言うポリエステルとは、ポリエチレンテレフ
タレート又はポリブチレンテレフタレートを主成分とす
るポリエステルであり、テレフタール酸、イソフタール
酸、ナフタリン2,6ジカルボン酸、フタール酸、α,β
−(4−カルボキシフエノキシ)エタン、4′,4′−ジ
カルボキシジフエニル、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸などの芳香族ジカルボン酸もしくはアジピン酸、セ
バシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、またはこれらのエ
ステル類と、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、
シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレング
リコール、ポリテトラメチレングリコールなどのジオー
ル化合物とから合成される繊維形成性ポリエステルであ
り、その構成単位の80モル%以上が、特には90モル%以
上がポリエチレンテレフタレート単位又はポリブチレン
テレフタレート単位であるポリエステルが好ましく、な
おかつ融点が200℃以上であることが望ましい。融点が
低くなると耐熱性不十分等の理由により衣料用等の繊維
素材としての用途がやや限定されてくるため好ましくな
い。また、ポリエステル中には、少量の添加剤、たとえ
ば、酸化チタンなどの艶消し剤、酸化防止剤、蛍光増白
剤、安定剤あるいは紫外線吸収剤などを含んでいても良
い。
またポリアミドとは、ナイロン6、ナイロン66、又は
メタキシレンジアミンナイロンを主成分とするポリアミ
ドであり、少量の第3成分を含む共重合ポリアミドでも
良いが、融点は200℃以上を維持することが好ましい。
本発明において、金属銅微粒子の他に、抗菌性を有す
る化合物として公知の銀イオン、亜鉛イオンを溶出させ
る銀、亜鉛等の化合物を添加させることもできる。
本発明の繊維は、仮撚捲縮加工等の高次加工により、
5角、6角に類似した形状になつたり、紡糸時の異形断
面ノズルにより、3葉形、T形、4葉形、5葉形、6葉
形、7葉形、8葉形等多葉形や各種の断面形状をとるこ
とができ、その効果は十分に発現される。またさらに、
いわゆる芯鞘構造や、背腹構造の複合繊維とすることも
でき、この場合でも、金属銅とポリエステル系化合物の
混合物が添加されているポリマー部分が繊維断面占有面
積で20%以上であり、なおかつ望ましくは、該ポリマー
部分が一部繊維表面に存在しているならば本発明の効果
は十分に発現される。
次に本発明の抗菌性繊維の製造例について説明する。
金属銅微粉末とポリエステル系化合物の混合物をポリエ
ステルポリマーの重合完了後紡糸直前までに添加し、そ
の後混練した後ノズル孔より押出し繊維化する方法がポ
リマーの粘度低下、副反応、可塑剤の分解等の問題を発
生させないことから、好まし。重合完了後一旦ペレツト
の形状に成形する工程を経る場合は、重合完了後重合釜
中へ金属銅とポリエステル系化合物の混合物を添加し、
混練攪拌後ペレツト化しても良いが、好ましくは紡糸時
にポリマー溶融流体流れ中に、該混合物を所定量供給
し、その後スタチツクミキサーにより混練した後、紡糸
ノズル孔より押出し、繊維化する方が望ましい。なぜな
らば、重合釜へ該混合物を添加しその後混練攪拌してペ
レツト化する場合には、ポリマー粘度低下が発生した
り、該混合物の均一分散が難しかつたり、更には重合釜
のコンタミネーションの問題等が生ずるからである。重
合前にモノマーと共に該混合物を添加するのは、副反応
等の問題が発生し好ましくない。
重合完了後ペレツト化する工程を経ず連続的に溶融ポ
リマーを紡糸ノズルへ供給して吐出させるような連続プ
ロセスにおいては、紡糸直前までの段階で溶融ポリマー
流中へ金属銅とポリエステル系化合物の混合物を定量供
給し、その後スタチツクミキサーで混練した後紡糸ノズ
ル孔より吐出させるとよい。
スタチツクミキサーを用いて混練する場合に大切なこ
とは、ある一定エレメント数以上のスタチツクミキサー
を用いて混練する必要があることである。現在、実用化
されている静止型混合器は数種類あるが、例えば、ケー
ニクス(Kenies)社の180゜左右にねじつた羽根を90゜
ずらして配列したnエレメント通過させると2n層分割す
るタイプのスタチツクミキサーを用いた場合は、エレメ
ント数が最低15エレメント以上のものを用いる必要があ
る。15エレメントより少なくなると、添加物とポリマー
との均一混練が十分でないため、紡糸時の断糸、毛羽捲
付の発生が多くなると同時に延伸性も低下し、工程性上
好ましくない。工程性を向上させる点からもエレメント
数は15エレメント以上、すなわち215層分割以上は最低
実施するのが好ましく、更には好ましくは20エレメント
以上、すわわち220層分割以上することが好ましい。
ケーニクス社以外の静止型混合器を用いる場合も、2
15層分割以上に相当するエレメント数に設定した混合器
を使用する必要がある。東レ(株)製ハイミキサーやチ
ヤールスアンドロス(Charless & Ross)社製ロスISG
ミキサーなどは、nエレメント通過する時の層分割数は
4n層分割であるので、エレメント数は8エレメント以
上、更に好ましくは10エレメント以上が必要である。
本発明の製造工程の一例を第1図に示す。溶融押出機
1により押出されたポリマー溶融流は、計量機2により
所定量計量される。一方、金属銅とポリエステル系化合
物は、添加剤供給機4により供給され、計量機3により
所定量計量された後、計量機2により計量されたポリマ
ー溶融ライン中へ添加される。その後、所定エレメント
数を設置したスタチツクミキサー中で、該混合物とポリ
マーが混練され、紡糸口金パツク6より吐出されて繊維
化される。スタチツクミキサーは、ポリマー流ライン中
に設置しても良いし、あるいは紡糸口金パツク内に設置
してもよい。あるいはポリマー流ライン中と紡糸口金パ
ツク中に分割して設置してもさしつかえはない。
(発明の効果) 本発明の成形物は、金属銅微粉末とポリエステル系化
合物の混合物を成形物中に分散させることにより、金属
銅より放出さる殺菌効果を有する微量の銅イオンを有効
に徐放し、優れた抗菌性を保持するものである。しかも
本発明の成形法は、それが繊維の場合、頻繁な洗濯を行
なつても抗菌、防かび性が低下しないので、例えば耐洗
濯性を高度に要求されるソツクス等の衣料分野に用いて
も、十分に菌の繁殖を抑えかつ防臭効果を発揮させるこ
とが可能である。
(実 施 例) 以下実施例をあげて本発明を具体的に説明する。実施
例中の殺菌効果の評価及び洗たく条件は、以下の試験方
法によつて行なつた。
<菌の減菌率の測定> シエークフラスコ法により実施。使用菌種は黄色ブド
ウ状球菌(Staphylococcus aureus FDA209p)を用い、
三角フラスコ中に試験菌液を所定量加えさらに測定試料
片1.5gを加え、8字振とう、80rpm×1hr、25℃で振とう
を実施した後、フラスコ中の生菌数を培養計測した後、
減菌率を算出した。
A;振とう後の三角フラスコ内1ml当りの菌数 B;振とう前の三角フラスコ内1ml当りの菌数 <洗濯試験法> JIS L0217−103法に従つて実施。液温40℃の水1に
2gの割合で衣料用合成洗剤を添加溶解し、洗たく液とす
る。この洗たく液に浴比が1対30になるように試料及び
必要に応じて負荷布を投入して運転を開始する。5分間
処理した後、運転を止め、試料及び負荷布を脱水機で脱
水し、次に洗たく液を常温の新しい水に替えて同一の浴
比で2分間すすぎ洗いをした後脱水し、再び2分間すす
ぎ洗いを行い風乾させる。以上の操作を10回くりかえし
10回後の測定サンプルとした。
〔実施例1〕 〔η〕=0.65dl/g(フエノールとテトラクロルエタン
の等温混合溶媒を用い30℃恒温槽中でウーベローデ型粘
度計を用い測定した極限粘度)でTiO2を0.5wt%添加し
たポリエチレンテレフタレートを40φ押出機にて押出
し、該ポリマーの溶融ポリマーラインに、平均粒径0.3
ミクロンの金属銅微粉末と25℃下での流動性を示す粘度
が約100ポイズのポリエステル化合物(アデカ・アーガ
ス化学社製のポリエステル可塑剤:商品名PN−350)を
重量比1:1に混合し、120℃であらかじめ絶乾したもの
を、ポリマー流に対して該混合物が2重量%、つまり金
属銅微粉末が1重量%、ポリエステル化合物が1重量%
になるように注入し、その後ケーニクス社製の40エレメ
ントスタチツクミキサーで混練し、丸孔ノズルより吐出
し紡糸した。該紡糸原糸をローラープレート方式で通常
の条件により延伸し、75デニール36フイラメントのマル
チフイラメントを得た。編地を作成し、洗濯前と洗濯10
回後の抗菌性を測定したところ、減菌率が洗たく前85.1
%、洗濯後98.2%といずれもすばらしい抗菌性が認めら
れた。
また同一の方法により、延伸後20デニール4フイラメ
ントの延伸糸を採取した。該延伸糸をナイロン6延伸糸
に対して約5%の割合で混繊し靴下を編製した。得られ
た靴下について実際の抗菌性能を測定した結果、初期性
能は減菌率85.1%、10回洗濯後減菌率98.2%と十分に満
足のいく抗菌性能を保持していることが確認された。
〔比較例1〕 ポリエステル系化合物として、アジピン酸と1,4−ブ
タンジオールを主成分とする融点65℃の室温で固体状の
ものを用い、100℃下で金属銅微粉末と重量比1:1で混合
したものを溶融ポリマー中へ混入し、実施例1と同様の
方法で繊維化した。抗菌性能は低いレベルであつた。紡
糸時口金汚れが激しく発生し、単糸切れが頻発した。延
伸性もやや不良であつた。
〔比較例2〕 分散媒としてレゾルシンとフエニルフオスフエートの
化合物である室温で液体、粘度が35ポイズの有機リン系
化合物を用い、金属銅微粉末と重量比1:1で混合したも
のを溶融ポリマー中へ混入し、実施例1と同様の方法で
繊維化した。抗菌性能は、低いレベルであつた。特に洗
濯後の性能低下が激しかつた。
〔比較例3〕 実施例1と同一の金属銅微粉末とエチレングリコール
に均一分散させ、テレフタル酸と常法によりエステル化
反応を行つた後、常法により重縮合反応を行い、〔η〕
0.70で、金属銅微粉末を1重量パーセント含有している
ポリエチレンテレフタレートペレツトを得た。該ペレツ
トを押出機に供給し、孔径0.2mmの紡糸孔36ホール有す
る口金により紡糸温度300℃、紡糸速度1000in/minで紡
糸を行つた。得られた紡糸原糸を通常の条件により延伸
し、75デニール36フイラメントのマルチフイラメントを
得た。編地を作成し、洗濯前と洗濯10回後の抗菌性を測
定したところいずれも30%の減菌率でレベルとしては低
い性能しか得られなかつた。紡糸性、延伸性が単糸切れ
頻発し不良であつた。
〔比較例4〕 分散媒として、室温で液体で粘度が5ポイズの、アジ
ピン酸と1,3−ブタンジオールの縮合物であるポリエス
テル化合物を用い、実施例1と同様の方法で繊維化し
た。抗菌性能は低いレベルであつた。特に洗濯後の性能
低下が認められた。
〔比較例5〕 分散媒としてプロピレンオキサイドとエチレンオキサ
イドが25:75のランダム共重合体(PO・EO共重合体)で
室温で流動性のある粘度約200ポイズの粘稠液体を用
い、金属銅微粉末と重量比1:1で混合したものを溶融ポ
リマー中へ混入し、実施例1と同様の方法により繊維化
した。抗菌性能は、初期性能としては満足のいくレベル
であつたが、洗濯後の性能低下が激しく洗濯耐久性が認
められなかつた。
〔実施例2〜6〕 実施例1と同一の方法により金属微粉末とポリエステ
ル化合物含有ポリエステル繊維を得た。実施例2では、
実施例1と同様のポリエステル化合物を用い、金属銅微
粉末とポリエステル化合物の重合比1:9に混合しちもの
をポリエステル中へ30重量%、つまり金属銅微粉末が0.
3重量%ポリエステル化合物が2.7重量%になるように添
加した。実施例3では、金属銅微粉末とポリエステル化
合物の重量比7:3に混合したものをポリエステル中へ3.6
重量%、つまり金属銅微粉末が2.5重量%、ポリエステ
ル化合物が1.1重量%になるように添加した。実施例4
では、実施例3と同一の混合物をポリエステル中へ1.0
重量%、つまり金属銅微粉末が0.7重量%、ポリエステ
ル化合物が0.3重量%になるように添加した。実施例5
では、金属銅微粉末とポリエステル化合物の重量比5:95
に混合したものをポリエステル中へ4.2重量%、つまり
金属銅微粉末が0.2重量%、ポリエステル化合物が3.8重
量%になるように添加した。実施例6では、ポリエステ
ル化合物の粘度が室温で45ポイズのものを用い、実施例
1と同一の添加量の繊維を得た。いずれも抗菌性能とし
ては満足のいくものであつた。
〔実施例7〕 〔η〕=0.68のポリエチレンテレフタレートを押出機
にて押出し、該ポリマーの溶融ポリマーラインに、平均
粒径0.3ミクロンの金属銅微粉末と25℃下で流動性を示
す粘度約100ポイズのポリエステル化合物を重量比1:1に
混合したものを、ポリマーに対して2重量%になるよう
に注入し、その後、ケーニクス社製の30エレメントスタ
チツクミキサーで混練したポリマーを鞘成分とし、別の
押出機より押出した、〔η〕=0.65のポリエチレンテレ
フタレートを芯成分とし、芯/鞘=50/50重量比でL/D=
2.0の丸孔ノズルより芯鞘複合紡糸を行つた。通常の方
法により延伸し、75デニール36フイラメントのマルチフ
イラメント延伸糸を作製した。抗菌性能としては十分な
レベルを維持していることが確認された。
〔実施例8〕 宇部興産(株)製ナイロン6(銘柄1013B)ポリマー
を用い押出機にて溶融押出し、該ポリマーの溶融ポリマ
ーラインに、平均粒径0.3ミクロンの金属銅微粉末と、2
5℃下で流動性を示す粘度が約100ポイズのポリエステル
化合物を重量比に1に混合し、120℃であらかじめ絶乾
したものを、ポリマー流に対して該混合物が2重量%、
つまり金属銅微粉末が1重量%、ポリエステル化合物が
1重量%になるように注入し、その後ケーニクス社の40
エレメントスタチツクミキサーで混練し、丸孔ノズルよ
り吐出し紡糸し、ひきつづき連続して延伸した後捲取つ
た。得られた50デニール36フイラメントのマルチフイラ
メントの抗菌性能は良好な結果であつた。
〔比較例6〕 ポリエチレンテレフタレート50デニール36フイラメン
ト延伸糸を用い、タフタの織物を作製した。金属銅微粉
末とウレタン樹脂とを混合し、混合したものをタフタ織
物に金属銅が1重量%となるようにコーテイング処理し
た。織物の風合としてはやや硬くなり風合が悪いものと
なつた。抗菌性能を測定した結果、初期性能は減菌率9
5.0%と十分にあつたが、洗濯10回後はコーテイングし
た金属銅の脱落が激しく、減菌率が50%と性能が低下し
た。
〔比較例7〕 ポリエチレンテレフタレート50デニール36フイラメン
ト延伸糸を用い、タフタの織物を作製した。一般に市販
の抗菌加工繊維処理剤 の化合物の50%メタノール溶液を用い、該加工剤を1g/
の水溶液に希釈した後ポリエステル織物を100℃×30
分間浸漬処理した。ポリエステル織物表面への抗菌加工
剤は純分で1%owfとなるようにした。抗菌性能を測定
した結果初期性能は減菌率83.0%と十分にあつたが、洗
濯後減菌率5.0%と性能がほとんどなくなることが認め
られた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の製造工程の一例を示す概略図、 1;溶融押出機、2,3;計量機、4;添加剤供給機、5;スタチ
ツクミキサー、6;紡糸口金パツク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/90 301 D01F 6/90 301 6/92 301 6/92 301M 301Q (56)参考文献 特開 昭54−68856(JP,A) 特開 昭56−159248(JP,A) 特開 昭62−290756(JP,A) 特開 昭62−195038(JP,A) 特開 昭62−195037(JP,A) 特開 昭63−230771(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子径が5ミクロン以下の金属銅微粒
    子と、融点が10℃より低く、かつ25℃下での粘度が10ポ
    イズ以上の液状ポリエステル系化合物との混合物が、融
    点が200℃以上のポリアミドまたはポリエステルからな
    る成形物中に分散していることを特徴とする抗菌性成形
    物。
  2. 【請求項2】成形物中に金属銅微粒子が0.1〜10重量
    %、液状ポリエステル系化合物が0.1〜10重量%分散し
    ている特許請求の範囲第1項記載の抗菌性成形物。
  3. 【請求項3】金属銅微粒子と液状ポリエステル系化合物
    との重量比が5:95〜80:20である特許請求の範囲第1項
    記載の抗菌性成形物。
  4. 【請求項4】平均粒子径が5ミクロン以下の金属銅微粒
    子と、融点が10℃より低く、かつ25℃下での粘度が10ポ
    イズ以上の液状ポリエステル系化合物との混合物を、ポ
    リマーの重合完了後成形吐出直前の間で該ポリマー溶融
    流体中へ添加し、混練した後吐出孔より吐出し、成形物
    とすることを特徴とする抗菌性成形物の製造法。
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