JPH0551816A - 抗菌性繊維及びその製造法 - Google Patents

抗菌性繊維及びその製造法

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JPH0551816A
JPH0551816A JP23405191A JP23405191A JPH0551816A JP H0551816 A JPH0551816 A JP H0551816A JP 23405191 A JP23405191 A JP 23405191A JP 23405191 A JP23405191 A JP 23405191A JP H0551816 A JPH0551816 A JP H0551816A
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compound
fiber
antibacterial
polyester
polymer
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JP23405191A
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Masao Kawamoto
正夫 河本
Kazuhiko Tanaka
和彦 田中
Seiji Hirakawa
清司 平川
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐久性のある抗菌性能を有する白色系の抗菌
性繊維を提供する。 【構成】 ポリエステル及び/又はポリアミドの如き熱
可塑性繊維中に、平均粒子径が5ミクロン以下の抗菌性
を有する金属イオン及び安定剤化合物を含有するリン酸
塩型の層状化合物と、融点が10℃より低くかつ25℃
下での粘度が10ポイズ以上を有する液状ポリエステル
系化合物との混合物を右図のような装置を用いて分散せ
しめたことを特徴とする抗菌性繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性の繊維に関し、染
色等の繊維加工工程を経ても十分な抗菌性を有し更に洗
濯耐久性に優れた抗菌力を有する抗菌性の合成繊維に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリエステル及び/又はポリ
アミド繊維は、ユニフォーム、和装品、スポーツ衣料等
の各種衣料、寝装製品、インテリア製品などに広く使用
されている。一方、我々の生活環境中には、さまざまな
細菌、かびが存在しており、媒介物を経て人体や繊維に
付着して繁殖し、皮膚障害を与えたり、繊維の変質、劣
化現象を起こしたり、悪臭を放って不快感を与えたりす
る。特に合成繊維は汗を吸収することが少ないため、該
繊維を身につける場合、汗の付着した皮膚、衣料等に微
生物が繁殖して腐敗現象を起こし、汗くさい臭いを生ず
る。従って、より清潔で悪臭を漂よわす事がなく、快適
で安全なポリエステルあるいはポリアミド繊維製品の開
発が望まれていた。
【0003】繊維に抗菌性を付与する方法として、繊維
に有機錫、有機水銀化合物を適用する方法が使用されて
いた時期があるが、これら化合物の毒性が問題視され、
現在ではそれらのほとんど大部分が使用中止になってい
る。後加工方法としては、従来より特に安全性の高い抗
菌防かび剤としてシリコーン第4級アンモニウム塩など
が用いられている。例えば、特開昭57−51874号
公報にはオルガノシリコーン第4級アンモニウム塩を吸
着させたカーペット及びその製造方法が開示されてい
る。しかしながら、シリコーン系第4級アンモニウム塩
はセルロース系繊維に対しては反応性を持ち洗たく耐久
性のある抗菌効果を示すが、合成繊維に対しては一時的
な抗菌効果を示すものしか得られていない。
【0004】また、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオンを
溶出させる銀、銅、亜鉛等の化合物が抗菌性を有するこ
とは古くから知られており、例えば、硝酸銀の水溶液は
消毒剤や殺菌剤として広く利用されて来た。しかしなが
ら、溶液状では取り扱いの点で不便であり、また用途の
点でも限定される欠点がある。そこで銀、銅、亜鉛等の
イオンまたは塩を高分子体に保持させるならば、かかる
欠点が少なく広い分野での利用を期待することができ
る。例えば、銀、銅、亜鉛等の金属化合物を重合体中に
混合し繊維とする方法が特開昭54−147220号公
報に提案されている。また、銀イオン、銅イオン交換し
たゼオライト系固体粒子を有機高分子体に添加混合する
方法が特開昭59−133235号公報に提案されてい
る。これらの方法では金属化合物が高分子へ及ぼす影響
が大きくて利用できる範囲が著しく限定されたり、繊維
化工程での工程性特に紡糸時の単糸切れ、パックフイル
ター詰まりによるパック寿命が短くなったり、あるいは
延伸時の毛羽頻発などのトラブルが多くなる問題が発生
する。そうでない場合でも、金属イオンが高分子中に単
に含有されているだけでは、繊維表面への抗菌作用に効
果のある金属イオンの徐放性が不十分なため、抗菌性の
効果の絶対レベルが低く、十分な効果が期待できない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、使用
する合成ポリマーで得られる本来の物性を損なうことな
く、かつ、染色等の繊維加工工程を経ても十分な抗菌、
抗かび性を保持し、又水洗、温水洗たく等の後でも、抗
菌、抗かび性の低下しない、洗濯耐久性の極めて優れた
抗菌性の合成成形物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の合成繊維は、ポ
リエステル及び/又はポリアミドの如き熱可塑性繊維成
形ポリマー中に、平均粒子径が5ミクロン以下であり、
抗菌性を有する金属イオンを含有するリン酸塩型の層状
化合物と、融点が10℃より低くかつ25℃での粘度が
10ポイズ以上を有する液状ポリエステル系化合物が、
該リン酸塩型の層状化合物で好ましくは0.1〜10重
量%、該ポリエステル系化合物で好ましくは0.1〜1
0重量%含有されていることを特徴とする抗菌性繊維で
ある。
【0007】また本発明方法は、該リン酸塩型の層状化
合物と該ポリエステル系化合物の混合物を、ポリマーの
重合完了後成形吐出直前の間で、該ポリマー溶融流体中
へ添加し、その後スタチックミキサー等で混練した後、
吐出孔より吐出し、繊維化することを特徴とするもので
ある。
【0008】以下、本発明の繊維及びその製造法を詳細
に説明する。本発明に用いるリン酸塩型の層状化合物
は、平均粒子径が5ミクロン以下であることが好まし
い。粒径が5ミクロンを超えると溶融紡糸時にフイルタ
ー詰りや毛羽断糸を起し易く使用困難である。特に各種
衣料素材、寝装製品等への応用を考えた場合は、単繊維
デニールが1デニール前後の細デニール糸も必要とさ
れ、粒径が大きくなると延伸時の糸切れが激しくなり好
ましくない。従って本発明に用いるリン酸塩型の層状化
合物は平均粒径5ミクロン以下のものが、更に好ましく
は1ミクロン以下のものが望ましい。
【0009】基材としてのリン酸塩型の層状化合物とし
ては、例えば、リン酸ジルコニウムZr(HPO↓4)
↓2・nH↓2O、リン酸チタンTi(HPO↓4)↓2・
nH↓2O、トリポリリン酸アルミニウムAlH↓2P↓
3O↓10・nH↓2Oなどを用いることができる。重要な
ことは、基材としてのリン塩型の層状化合物のイオン交
換可能なプロトン部分が抗菌性を有する金属イオンの1
種又は2種以上とイオン交換させたものを用いることで
ある。
【0010】抗菌性を有する金属イオンの好適例として
は、Ag,Cu,Zn,Fe,Cr,Ni,Sn,Hg
が挙げられる。特にAg,Cu,Znのイオンが好まし
い。最も好ましいのは、抗菌性が高く、かつ繊維の商品
上着色がない方が好ましいことなどを総合的に考える
と、Agが好適である。抗菌性のある上記金属の単独ま
たは混合型の使用が可能である。
【0011】本発明で用いるリン酸塩型の層状化合物と
は、たとえば、ジルコニウム、チタン、アルミニウム等
の原子が隣接するジルコニウム、チタン、アルミニウム
等の原子と結合して平面的な広がりを有し、その平面の
上下にPO↓3(OH)基がその酸素原子を介してジル
コニウム、チタン、アルミニウム等の原子と結合し、か
つ該PO↓3(OH)基のOH基は該平面と反対側(該
平面から見て外側)に存在している。そして、このよう
な平面的広がりを有する原子団は複数枚積層されて、本
発明で用いる層状化合物が形成されている。そして上記
OH基のHプロトン(H↑+)が種々の陽イオンと交換
可能である。陽イオンとしては、前述の抗菌性を有する
金属イオンであり、そのイオン交換量(結合量)は、リ
ン酸塩型の層状化合物の基本単位1モルに対して最大値
で2モルである。2モルを越える量を配合しても過剰の
金属イオンはリン酸塩型の層状化合物と有効なイオン結
合が形成されず、事実上好ましくない。
【0012】金属イオンの結合量は多ければ多い程抗菌
性能が発現されるわけであるが、コスト上及び性能上適
度のレベルに保持する必要がある場合、適宜金属イオン
結合量をMax2モルの範囲で変更しても良い。また、
銀、銅および亜鉛イオンを併用して利用することも可能
であり、この場合も金属イオンの合計量はリン酸塩型の
層状化合物に対して2モル以下である。また、銀、銅、
亜鉛以外の金属イオン、例えばナトリウム、カリウム、
カルシウムあるいは他の金属イオンが共存していても殺
菌効果をさまたげることはないので、これらのイオンの
残存又は共存は何らさしつかえない。
【0013】また、最も好適な金属イオンの例として銀
イオンを挙げたが、銀イオンは、酸素存在下では酸化し
やすく、酸化銀になるため、白色から灰色を呈する場合
がある。繊維製品の場合、白生地が灰色に変色すること
は、外観上からも好ましくないケースが多い。このため
に変色のトラブルを避けるため本発明のリン酸塩型の層
状化合物へ安定剤化合物を含有させることは有効であ
る。例えばアルカリ金属及び又はアンモニア及び又はア
ミン等の塩基性化合物または塩基性原子などを利用する
ことが好ましい。安定剤化合物を使用する場合は、金属
イオン結合量と安定剤化合物のトータルがリン酸塩型の
層状化合物の基本単位1モル当たり2モル以下である。
2モルを越える量にしても、過剰の化合物は耐久性がな
く脱落してしまうので何らメリットがない。
【0014】抗菌性能を調べる手段としは、一般的には
(1)シェークフラスコ法、(2)菌数測定法、(3)
ハローテスト法があり、例えばシェークフラスコ法の場
合、減菌率が目安として対照標準試料との比較で、減菌
率差が26%以上であれば抗菌性能としては十分に役目
をはたすと言われている。減菌率差が26%以下となる
と抗菌性能としては不十分になってくるため、微生物が
繁殖して腐敗現象を起こし、汗くさい臭が繊維に生じ防
臭効果があまり認められなくなってくる結果となり、抗
菌繊維製品としては欠陥商品と言わざるを得ない。
【0015】単に本発明のリン酸塩型の層状化合物をポ
リマー中に分散させて繊維にされたものは、添加量を多
くしなければ安定して減菌率差が26%以上にならない
ばかりか、時々性能がバラツイて不安定になる場合が発
生し好ましくない状況があった。これの理由としては、
繊維が抗菌効果を発揮させるためには繊維表面に常に微
量の抗菌性金属イオンが存在していることが必要である
と考えられ、単にリン酸塩型の層状化合物を樹脂中に分
散させるだけでは、該層状化合物より放出される抗菌性
金属イオンがスムースに繊維表面へ放出されないためと
思われる。この推定を裏づけるモデルテストとして、ポ
リマー中の添加量と同じ量の該層状化合物パウダーを繊
維表面に単に付着させたものについて抗菌性を調べた
所、十分な性能が認められたことから上記の推定が正し
いと思われる。しかし、単に繊維表面へ付着させたもの
は、当然のことながら使用中に脱落しやすく、本発明の
洗濯耐久性を有する抗菌性繊維にはなりえない。
【0016】我々はポリエステル及び/又はポリアミド
ポリマー中に該層状化合物を分散させた繊維で、抗菌性
金属イオンのすぐれた殺菌作用を十分な洗濯耐久性を保
持して持続発揮させることが、いかにしたらできるのか
鋭意検討した結果、ある特定の物質をもつポリエステル
系化合物をリン酸塩型層状化合物と共にポリマー中に共
存させることにより、実現出来ることをはじめて見い出
した。
【0017】このポリエステル系化合物は、室温で流動
性を示す必要があり、そのために融点が10℃より低い
ことが非常に重要なポイントであると同時に、25℃で
の粘度が10ポイズ以上を有するものでなければならな
い。ポリエステル系化合物は、ポリエステル又はポリア
ミドに対してマクロなオーダーで相溶性が良く均一分散
混合しやすいことと、室温で流動性を示すために、ポリ
マー中に内在している層状化合物から放出される抗菌性
金属イオンをポリマー中にとじこめておくことなく繊維
表面へ運搬する役割をはたしていると推定される。層状
化合物と室温で流動性を示すポリエステル系化合物が共
存することによってはじめて、殺菌効果を発揮する抗菌
性金属イオンが半永久的に繊維表面へ繊維中のポリエス
テル系化合物の一種の通路を流れて徐放されるシステム
ができあがったわけである。なおかつ、ポリエステル系
化合物は水に不溶であり耐水性が十分あることから、温
水洗濯後でも全く性能が低下することなく抗菌効果が維
持されることが大きな特徴であり、本発明の重要な効果
の一つである。
【0018】室温で流動性のない、つまり固体で室温以
上の融点を持つポリエステル系化合物を用いた場合に
は、後に実施例で詳しく述べるがあまり抗菌性能が十分
に発現されない結果が得られた。これの理由としては繊
維中で固体状態で分散し存在しているために、抗菌性金
属イオンを表面へ運搬させる徐放機能が十分に働かない
ためではないかと推定される。
【0019】ポリエステル系化合物の粘度は10ポイズ
以上であることが必要である。10ポイズ未満になっく
ると、温水洗濯後の抗菌性レベルがやや低下してくる傾
向が認められた。このことは今迄知られていなかった新
しい事実であり、明確な理由は現時点では不明である
が、おそらくポリエステル系化合物の粘度があまり低く
なってくると、化合物自身の移行性が発生しやすくな
り、温水洗濯時に繊維中より少し抜け出しやすくなるた
めか、あるいは耐水性がやや減少してくるためではない
かと推定される。ポリエステル系化合物としては、例え
ばアデカアーガス社製の、商品名ADK CIZERシ
リーズとして市販されているポリエステル系可塑剤、あ
るいは大日本インキ化学社製の、商品名POLYCIZ
ERシリーズとして市販されているポリエステル系可塑
剤等が好ましく用いられる。そのポリエステル化合物の
うち、酸成分としてセバシン酸、アジピン酸、フタル酸
を主成分として、グリコール成分を適宜選択したものを
用いるのが、コスト的にも物性的にも適当である。
【0020】繊維中への添加量としては、本発明のリン
酸塩型層状化合物の微粒子とポリエステル系可塑剤との
重量比が5:95〜80:20にある混合物を添加し、
繊維に対してリン酸塩型層状化合物粒子として0.1〜
10重量%、ポリエステル系化合物として0.1〜10
重量%分散していることが望ましいことがわかった。
【0021】リン酸塩型層状化合物添加量が少ない場合
には、繊維表面への抗菌性金属イオンの徐放性を活発に
するためポリエステル系化合物の添加量を多くし、逆に
リン酸塩型層状化合物添加量が多い場合には、ポリエス
テル系化合物の添加量が少な目でも良い。抗菌性能とし
ては添加量が多い程、当然のことながら性能が向上する
が逆に繊維化工程での毛羽、断糸率が大きくなるので、
所定デニールに応じて、上記範囲内でリン酸塩型層状化
合物微粒子とポリエステル系化合物の混合物及び繊維に
対する添加量を調節することが好ましい。
【0022】本発明に言うポリエステルとは、ポリエチ
レンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートを
主成分とするポリエステルであり、テレフタール酸、イ
ソフタール酸、ナフタリン2,6ジカルボン酸、フター
ル酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)エタン、
4,4′−ジカルボキシジフェニル、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸もしくはア
ジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、また
はこれらのエステル類と、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノー
ル、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリ
コールなどのジオール化合物とから合成される繊維形成
性ポリエステルであり、その構成単位の80モル%以上
が、特には90モル%以上がポリエチレンテレフタレー
ト単位又はポリブチレンテレフタレート単位であるポリ
エステルが好ましく、なおかつ融点が200℃以上であ
ることが望ましい。融点が低くなると耐熱性不十分等の
理由により衣料用等の繊維素材としての用途がやや限定
されてくるため好ましくない。また、ポリエステル中に
は、少量の添加剤、たとえば、酸化チタンなどの艶消し
剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、安定剤あるいは紫外線吸
収剤などを含くんでいても良い。
【0023】またポリアミドとは、ナイロン6、ナイロ
ン66、ナイロン610、ナイロン46又はメタキシレ
ンジアミンナイロンを主成分とするポリアミドであり、
少量の第3成分を含む共重合ポリアミドでも良いが、融
点は200℃以上を維持することが好ましい。
【0024】本発明の繊維は、仮撚捲縮加工等の高次加
工により、5角、6角に類似した形状になったり、紡糸
時の異形断面ノズルにより3葉形、T形、4葉形、5葉
形、6葉形、7葉形、8葉形等多葉形や各種の断面形状
をとることができ、その効果は十分に発現される。また
さらに、いわゆる芯鞘構造や、背腹構造の複合繊維とす
ることもでき、この場合でも、リン酸塩型層状化合物と
ポリエステル系化合物の混合物が添加されているポリマ
ー部分が繊維断面占有面積で20%以上であり、なおか
つ望ましくは、該ポリマー部分が一部繊維表面に存在し
ているならば本発明の効果は十分に発現される。
【0025】次に本発明の抗菌性繊維の製造例について
説明する。リン酸塩型層状化合物微粉末とポリエステル
系化合物の混合物をポリエステルポリマーの重合完了後
紡糸直前までに添加し、その後混練した後ノズル孔より
押出し繊維化する方法がポリマーの粘度低下、副反応、
可塑剤の分解等の問題を発生させないことから、好まし
い。重合完了後一旦ペレットの形状に成形する工程を経
る場合は、重合完了後重合釜中へリン酸塩型層状化合物
とポリエステル系化合物の混合物を添加し、混練攪拌後
ペレット化しても良いが、好ましくは紡糸時にポリマー
溶融流体流れ中に、該混合物を所定量供給し、その後ス
タチックミキサーにより混練した後、紡糸ノズル孔より
押出し、繊維化する方が望ましい。なぜならば、重合釜
へ該混合物を添加しその後混練攪拌してペレット化する
場合には、ポリマー粘度低下が発生したり、該混合物の
均一分散が難しかったり、更には重合釜のコンタミネー
ションの問題等が生ずるからである。重合前にモノマー
と共に該混合物を添加するのは、副反応等の問題が発生
し好ましくない。
【0026】重合完了後ペレット化する工程を経ず連続
的に溶融ポリマーを紡糸ノズルへ供給して吐出させるよ
うな連続プロセスにおいては、紡糸直前までの段階で溶
融ポリマー流中へリン酸塩型層状化合物とポリエステル
系化合物の混合物を定量供給し、その後スタチックミキ
サーで混練した後紡糸ノズル孔より吐出させるとよい。
【0027】スタチックミキサーを用いて混練する場合
に大切なことは、ある一定エレメント数以上のスタチッ
クミキサーを用いて混練する必要があることである。現
在、実用化されている静止型混合器は数種類あるが、例
えば、ケーニクス(Kenics)社の180°左右に
ねじった羽根を90°ずらして配列したn個のエレメン
トを通過させると2↑n層分割することとなる。このタ
イプのスタチックミキサーを用いた場合は、エレメント
数が15エレメント以上のものを用いる必要がある。1
5エレメントより少なくなると、添加物とポリマーとの
均一混練が十分でないため、紡糸時の断糸、毛羽捲付の
発生が多くなると同時に延伸性も低下し、工程性上好ま
しくない。工程性を向上させる点からもエレメント数は
15エレメント以上、すなわち2↑15層分割以上は最低
実施するのが好ましく、更に好ましくは20エレメント
以上、すなわち2↑20層分割以上することが好ましい。
【0028】ケーニクス社以外の静止型混合器を用いる
場合も2↑15層分割以上に相当するエレメント数に設定
した混合器を使用する必要がある。東レ(株)製ハイミ
キサーやチャールスアンドロス(Charless &
Ross)社製ロスISGミキサーなどは、nエレメ
ント通過する時の層分割数は4↑n層分割であるので、
エレメント数は8エレメント以上、更に好ましくは10
エレメント以上が必要である。
【0029】本発明の製造工程の一例を図1に示す。溶
融押出機1により押出されたポリマー溶融流は、計量機
2により所定量計量される。一方、リン酸塩型層状化合
物とポリエステル系化合物は、添加剤供給機4により供
給され、計量機3により所定量計量された後、計量機2
により計量されたポリマー溶融ライン中へ添加される。
その後、所定エレメント数を設置したスタチックミキサ
ー中で、該混合物とポリマーが混練され、紡糸口金パッ
ク6より吐出されて繊維化される。スタチックミキサー
は、ポリマー流ライン中に設置しても良いし、あるいは
紡糸口金パック内に設置してもよい。あるいはポリマー
流ライン中と紡糸口金パック中に分割して設置してもさ
しつかえはない。
【0030】
【発明の効果】本発明の成形物は、リン酸塩型層状化合
物微粉末とポリエステル系化合物の混合物を繊維中に分
散させることにより、該層状化合物より放出される殺菌
効果を有する微量の抗菌性金属イオンを有効に徐放し、
優れた抗菌性を保持するものである。しかも、頻繁な洗
濯を行なっても抗菌、防かび性が低下しないので、例え
ば耐洗濯性を高度に要求されるソックス等の衣料分野に
用いても、十分に菌の繁殖を抑えかつ防臭効果を発揮さ
せることが可能である。
【0031】
【実施例】以下実施例をあげて本発明を具体的に説明す
る。実施例中の殺菌効果の評価及び洗たく条件は、以下
の試験方法によって行なった。
【0032】<菌の減菌率の測定>シェークフラスコ法
により実施。使用菌種は黄色ブドー状球菌(Staph
ylococcus aureus FDA209p)
を用い、三角フラスコ中に試験菌液を所定量加えさらに
測定試料片0.75gを加え、リアクション振とう33
0rpm×1hr、25℃で振とうを実施した後、フラ
スコ中の生菌数を培養計測した後、減菌率を算出した。 減菌率(%)=100×(B−A)/B A;振とう後の三角フラスコ内1ml当たりの菌数 B;振とう前の三角フラスコ内1ml当たりの菌数
【0033】<洗濯試験法>JIS L0217−10
3法に従って実施。液温40℃の水1lに2gの割合で
衣料用合成洗剤を添加溶解し、洗たく液とする。この洗
たく液に浴比が1対30になるように試料及び必要に応
じて負荷布を投入して運転を開始する。5分間処理した
後、運転を止め、試料及び負荷布を脱水機で脱水し、次
に洗たく液を常温の新しい水に替えて同一の浴比で2分
間すすぎ洗いをした後脱水し、再び2分間すすぎ洗いを
行い風乾させる。以上の操作を50回くりかえし50回
後のサンプルとした。
【0034】実施例1 〔η〕=0.65dl/g(フェノールとテトラクロル
エタンの等温混合溶媒を用い30℃恒温槽中でウーペロ
ーデ型粘度計を用い測定した極限粘度)でTiO↓2を
0.5wt%添加したポリエチレンテレフタレートを4
0φ押出機にて押出し、該ポリマーの溶融ポリマーライ
ンに、平均粒径0.3ミクロンのトリポリリン酸アルミ
ニウムをベースとした層状化合物を基材とし、基材のプ
ロトンと銀イオンが1.5モルとナトリウムイオンが
0.5モルイオン交換した微粒子と25℃での流動性を
示す粘度が約100ポイズのポリエステル化合物(アデ
カ・アーガス化学社製のポリエステル可塑剤:商品名P
N−350)を重量比40:60に混合し、120℃で
あらかじめ絶乾したものを、ポリマー流に対して該混合
物が25重量%、つまり該層状化合物が1重量%、ポリ
エステル化合物が1.5重量%になるように注入し、そ
の後ケーニクス社製の40エレメントスタチックミキサ
ーで混練し、丸孔ノズルより吐出し紡糸した。該紡糸原
糸をローラープレート方式で通常の条件により延伸し、
75デニール36フイラメントのマルチフイラメントを
得た。編地を作成し、洗濯前と洗濯50回後の抗菌性を
測定したところ、減菌率が洗たく前95.0%、洗濯後
94.5%といずれもすばらしい抗菌性が認められた。
この時に対照の無加工試料としてナイロン標準白布を用
いて測定した時の減菌率は22.1%であった。
【0035】また同一の方法により、延伸後20デニー
ル4フイラメントの延伸糸を採取した。該延伸糸をナイ
ロン6延伸糸に対して約5%の割合で混繊し靴下を編製
した。得られた靴下について実際の抗菌性能を測定した
結果、初期性能は減菌率93.0%、10回洗濯後減菌
率92.0%と十分に満足のいく抗菌性能を保持してい
ることが確認された。
【0036】比較例1 実施例1と同一のトリポリリン酸アルミニウムを基材と
して、銀イオンを同量イオン結合させた層状化合物微粉
末とエチレングリコールに均一分散させ、テレフタル酸
と常法によりエステル化反応を行った後、常法により重
縮合反応を行い、〔η〕0.70で、層状化合物微粉末
を1重量パーセント含有しているポリエチレンテレフタ
レートペレットを得た。該ペレットを押出機に供給し、
孔径0.2mmの紡糸孔36ホール有する口金により紡
糸温度300℃、紡糸速度1000in/minで紡糸
を行った。得られた紡糸原糸を通常の条件により延伸
し、75デニール36フイラメントのマルチフイラメン
トを得た。編地を作成し、洗濯前と洗濯10回後の抗菌
性を測定したところいずれも42%の減菌率でレベルと
しては低い性能しか得られなかった。紡糸性、延伸性が
単糸切れ頻発し不良であった。
【0037】比較例2 分散媒として、室温で液体で粘度が5ポイズの、アジピ
ン酸と1,3ブタンジオールの縮合物であるポリエステ
ル化合物を用い、実施例1と同様の方法で繊維化した。
抗菌性能は低いレベルであった。特に洗濯後の性能低下
が認められた。
【0038】比較例3 ポリエステル系化合物として、アジピン酸と1,4−ブ
タンジオールを主成分とする融点65℃の室温で固体状
のものを用い、100℃下で実施例1と同一の層状化合
物微粉末と重量比1:1で混合したものを溶融ポリマー
中へ混入し、実施例1と同様の方法で繊維化した。抗菌
性能は低いレベルであった。紡糸時口金汚れが激しく発
生し、単糸切れが頻発した。延伸性もやや不良であっ
た。
【0039】実施例2〜5 実施例1と同一の方法によりリン酸塩型層状化合物とポ
リエステル化合物含有ポリエステル繊維を得た。実施例
2では、リン酸塩型層状化合物とポリエステル化合物の
重量比25:75に混合したものを用い、実施例3で
は、ポリエステル化合物の粘度が室温で45ポイズのも
のを用い、実施例4、5では、添加量を変更して実施し
た以外は表1に示す実施例1と同様の方法で実施した。
いずれも抗菌性としては満足のいくものであった。
【0040】実施例6 〔η〕=0.68のポリエチレンテレフタレートを押出
機にて押出し、該ポリマーの溶融ポリマーラインに、平
均粒径0.3ミクロンの実施例1と同一の層状化合物微
粉末と25℃で流動性を示す粘度約100ポイズのポリ
エステル化合物を重量比40:60に混合したものを、
ポリマーに対して2.5重量%になるように注入し、そ
の後、ケーニクス社製の30エレメントスタチックミキ
サーで混練したポリマーを鞘成分とし、別の押出機より
押出した、〔η〕=0.65のポリエチレンテレフタレ
ートを芯成分とし、芯/鞘=50/50重量比でL/D
=2.0の丸孔ノズルより芯鞘複合紡糸を行った。通常
の方法により延伸し、75デニール36フイラメントの
マルチフイラメント延伸糸を作製した。抗菌性能として
は十分なレベルを維持していることが確認された。
【0041】実施例7 宇部興産(株)製ナイロン6(銘柄1013B)ポリマ
ーを用い押出機にて溶融押出し、該ポリマーの溶融ポリ
マーラインに、平均粒径0.3ミクロンの実施例1と同
一の層状化合物微粉末と、25℃下で流動性を示す粘度
が約100ポイズのポリエステル化合物を重量比1:1
に混合し、120℃であらかじめ絶乾したものを、ポリ
マー流に対して該混合物が2.5重量%、つまり層状化
合物微粉末が1重量%、ポリエステル化合物が1.5重
量%になるように注入し、その後ケーニクス社の40エ
レメンスタチックミキサーで混練し、丸孔ノズルより吐
出し紡糸し、ひきつづき連続して延伸した後捲取った。
得られた50デニール36フイラメントのマルチフイラ
メントの抗菌性能は良好な結果であった。
【0042】実施例8 三菱化成(株)ポリブチレンテレフタレート(ノバドー
ル5008)を用いて実施した以外は実施例1と同様に
して実施した。工程性及び性能は良好な結果であった。
【0043】比較例4 ポリエチレンテレフタレート50デニール36フイラメ
ント延伸糸を用い、タフタの織物を作製した。実施例1
と同一のリン酸塩型層状化合物微粉末とウレタン樹脂と
を混合し、混合したものをタフタ織物に層状化合物が1
重量%となるようにコーティング処理した。織物の風合
としてはやや硬くなり風合が悪いものとなった。抗菌性
能を測定した結果、初期性能は減菌率95.0%と十分
にあったが、洗濯50回後はコーティングした層状化合
物の脱落が激しく、減菌率が35%と性能が低下した。
【0044】比較例5 ポリエチレンテレフタレート50デニール36フイラメ
ント延伸糸を用い、タフタの織物を作製した。一般に市
販の下記化1の抗菌加工繊維処理剤の50%メタノール
溶液を用い、該加工剤を1g/lの水溶液に希釈した後
ポリエステル織物を100℃×30分間浸漬処理した。
ポリエステル織物表面への抗菌加工剤は純分で1%ow
fとなるようにした。抗菌性能を測定した結果初期性能
は減菌率83.0%と十分にあったが、洗濯後減菌率
5.0%と性能がほとんどなくなることが認められた。
【0045】
【化1】
【0046】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造工程の一例を示す概略図
【符号の説明】
1:溶融押出機 2,3:計量機 4:添加剤供給機 5:スタチックミキサー 6:紡糸口金パック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D02G 3/02 7199−3B D04B 1/16 7199−3B D06M 11/72 23/00 7199−3B D06M 11/08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径が5ミクロン以下であり、抗
    菌性を有する金属イオンを含有するリン酸塩型の層状化
    合物と、融点が10℃より低くかつ25℃での粘度が1
    0ポイズ以上を有する液状ポリエステル系化合物が含有
    されている熱可塑性ポリマーからなることを特徴とする
    抗菌性繊維。
  2. 【請求項2】 平均粒子径が5ミクロン以下であり、抗
    菌性を有する金属イオンを含有するリン酸塩型の層状化
    合物と、融点が10℃より低くかつ25℃での粘度が1
    0ポイズ以上を有する液状ポリエステル系可塑剤との混
    合物を、ポリマーの重合完了後成形吐出直前の間で該ポ
    リマー溶融流体中へ添加し、混練した後吐出孔より吐出
    し、繊維とすることを特徴とする抗菌性繊維の製造法。
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