JP2592297Y2 - 空気清浄装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、自動車の空調装置等
に用いられる空気清浄装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の空気清浄装置の集塵部は、例え
ば、特開平３−２７０７４４号公報に見られる荷電部の
放電電極よりフロート電極にバイアス電圧が誘起されて
所定の高電圧を保持する高電圧側電極と、接地された低
電圧側電極との間に生じる電界によって荷電部で帯電さ
れた塵埃を電気的に補集していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、従来のフロー
ト電極に接続された高電圧側電極はそれ自体大地から浮
遊されているため、空気清浄装置を停止しても所定の高
電圧がかかったままの状態になる。このような状態は、
自然放電においても直ぐに消滅せず長い時間が必要であ
り、例えばメンテナンス時などの集塵部を取り外す際
に、誤って接触してしまうと感電するおそれがあった。

【０００４】このために、この考案は、例えばメンテナ
ンスの時などの集塵部を取り外す作業時や、一般ユーザ
ー等技術知識のない人々による交換、分解時に誤って高
電圧側電極に接触しても感電しない空気清浄装置を提供
することにある。

【０００５】

【問題を解決するための手段】しかして、この考案は、
塵埃粒子を帯電させる荷電部と、この荷電部の下流側に
おいて第１構成電極と第２構成電極とを対峙して構成さ
れた集塵部と、前記第２構成電極に接続し、前記荷電部
と集塵部との間に浮遊して配置されたフロート電極とを
有し、前記集塵部は空調ダクトの側面からスライドさせ
て着脱自在に収納され、集塵部の収納時において前記第
１構成電極を接地し、前記集塵部を引き出す途中におい
て前記第２構成電極を接地する手段を具備することにあ
る。

【０００６】

【作用】したがって、この考案においては、第１構成電
極（低電圧側）と第２構成電極（高電圧側）とを対峙し
て構成され、空調ダクトの側面からスライドさせて着脱
自在に収納される集塵部において、集塵部の収納時にお
いては第１構成電極と接触し、また集塵部を取り外す際
においてはその途中で第２構成電極を接地するように形
成された接地手段が設けられているため、第２構成電極
に溜まっていた電荷を大地に逃がすことができ、そのた
め、感電が防げ、上記課題が達成できるのである。

【０００７】

【実施例】以下、この考案の実施例について図面により
説明する。

【０００８】図１に示すように自動車用空調装置１は、
送風部２と、冷却部３と、図示しないが温調部とを接合
して基本的に構成されている。

【０００９】送風部２は、外気吸入口５と内気吸入口６
とを有し、インテーク切替ドア７で選択導入された吸入
口からの空気をモータ８で駆動されるファン９によって
下流側に送風するようになっている。なお、ファン９の
下流側には、空気中に混入する荒いゴミを除去するため
のプレフィルタ１０が設けられている。

【００１０】冷却部３は、冷房サイクルの一部を構成す
るエバポレータ１１を配して基本的に構成され、送風部
２からの送風空気を冷却するようになっている。上記送
風部２のプレフィルタ１０と冷却部３のエバポレータ１
１との間には、空気清浄装置２１が設けられており、以
下これについて説明すると、空気清浄装置２１は、エバ
ポレータ１１の上流側に配された荷電部２２と、その後
方に配される集塵部２３とを具備して基本的に構成され
ている。

【００１１】荷電部２２は、負極側接地の直流電源２０
の正極側に接続された放電電極２４と、この放電電極２
４に対向して設けられ、直流電源２０の接地側に接続さ
れた放電対極２５とを、交互に複数段に配置して構成さ
れている。

【００１２】集塵部２３は、図２にも示されるように、
第１構成電極２６と、それと対峙して成る第２構成電極
２７とを交互に複数段に配置して構成され、空調ダクト
３１の側方に設けられた挿入口２９から差し込まれて収
納されている。各第１構成電極２６は、挿入口２９に臨
む側片に設けられた第１の共通端子２６ａに接続され、
各第２構成電極２７は、挿入口２９から最も離れた側方
に設けられている第２の共通端子２７ａに接続されてい
る。

【００１３】集塵部２３を取り付ける空調ダクト３１の
下部内面には、集塵部２３を挿入する道筋に所定の間隔
をあけて第１及び第２の接続端子２６ｂ，２７ｂが設け
られ、各々の接続端子２６ｂ，２７ｂは、空調ダクト３
１内面から所定の高さを有して突設しており、直流電源
２０の負極側、即ち大地に接続されている。また、接続
端子間の長さは、集塵部２３の第１の共通端子２６ａと
第２の共通端子２７ａとの間隔よりも小さくなってお
り、集塵部２３が完全に挿入されている状態において
は、第１の接続端子２６ｂと第１の共通端子２６ａとが
接触して、第１構成電極が大地に接続され、第２の接続
端子２７ｂと第２の共通端子２７ａは離れて、第２構成
電極２７が電源及び大地から浮遊した状態となってい
る。

【００１４】そして、荷電部２２と集塵部２３の間に
は、フロート電極２８が設けられており、このフロート
電極２８は、前記第２構成電極２７に電気的に接続さ
れ、電源及び大地から浮遊した状態で保持されている。

【００１５】しかして、フロート電極２８は、荷電部２
２の放電電極２４よりイオン電流が供給されるため、自
動的にバイアス電圧が誘起されて直流電源２０の電圧よ
りも低い所定の電圧を保持する。このため、バイアス電
圧が誘起されて所定の電圧を保持した第２構成電極２７
とその対向電極である第１構成電極２６との間には、電
界が発生することとなる。

【００１６】このように構成された、自動車用空調装置
１において、送風部２によって送られる空気は、まず、
プレフィルタ１０によって荒いゴミは除去されて、次の
集塵装置２１を通過することになる。

【００１７】そして、空気中の塵埃粒子は、直流電源２
０に接続された電極２４，２５間に生じる放電によって
帯電し、この帯電させられた塵埃粒子は、その下流にあ
る集塵部２３を流れる。

【００１８】集塵部２３においては、フロート電極２８
に接続された第２構成電極２７とこれに対向する第１構
成電極２６との間に電界が生じているために、ここを通
過する帯電させられた塵埃粒子は、静電気的に捕集され
る。

【００１９】このように塵埃粒子を捕集する空気清浄装
置２１において集塵部２３を取り外す場合は、収納ケー
ス３０より引き出すが、第２の接続端子２７ｂは、引き
出される道筋に設置されているので、引き出す途中で尚
且つ、第２構成電極２７がまだ収納ケース３０内に在る
状態において第２の共通端子２７ａと接触することとな
り、この時点で第２の共通端子２７ａが第２の接続端子
２７ｂを介して大地に接続され、第２構成電極２７の帯
電状態が解消される。

【００２０】したがって、集塵部２３を収納ケース３０
から取り外す時は、この第２の接続端子２７ｂと第２の
共通端子２７ａとが接触しないと取り外せない構造にな
っているため、第２構成電極２７を帯電していない状態
で取り外すことができ、作業中に感電することがなくな
る。

【００２１】図３乃至図５において、その考案の他の実
施例が示されている。尚、同一箇所には同一番号を振っ
て説明を省略する。

【００２２】集塵部２３は、収納ケース３０への装着時
において、挿入口２９から最も遠く離れた奥面下部に短
絡用ＳＷ３６を設けて形成されている。

【００２３】この短絡用ＳＷ３６は、短絡用ＳＷ３６本
体からスイッチング用アーム３７が外側に突設され、内
部に形成のバネによって常時スイッチング用アーム３７
を外側に押し出すようになっている。このスイッチング
用アーム３７は、バネに逆らって押されるとＯＦＦに成
り、バネを押さない状態だとＯＮに成るような動作をす
るものである。

【００２４】また、短絡用ＳＷ３６は、その上方にＳＷ
端子３８を設け、そこに高電圧側の第２の共通端子２７
ａへ接続のリード線３９を配し、下方にＳＷ端子４０を
設け、そこに接続アーム４１が配されている。

【００２５】空調ダクト３１に配される収納ケース３０
の下部内面には、集塵部２３を挿入する道筋に所定の間
隔を開けて挿入口２９側から第１及び第２の接続端子４
２，４３が設けられ、各々の接続端子４２，４３は、収
納ケース３０の内面からそれぞれ所定の高さを有して突
設していると同時に、直流電源２０の負極側即ち大地に
接続されている。

【００２６】第１の接続端子４２の位置は、集塵部２３
が収納ケース３０に完全収納されている状態において第
１の共通端子２６ａと接触できるように配されている。

【００２７】また、第２の接続端子４３は、第２の共通
端子２７ａとは直に接触させずに接続アーム４１のみと
接触でき、また、第２の接続端子４３は、収納ケース３
０に完全収納された状態及び、収納ケース３０から引き
出す時の短絡用ＳＷ３６がＯＮになる状態において接続
アーム４１と接触し続けられる位置を確保できる所定の
長さを有している。

【００２８】このように形成された集塵部２３におい
て、集塵部２３が収納ケース３０に完全収納された状態
においては、収納ケース３０の壁面と集塵部２３に配さ
れた短絡用ＳＷ３６のスイッチング用アーム３７とが接
触して押されてＳＷはＯＦＦの状態になるため、接地側
接続の第２の接続端子４３からの接続が絶たれて、第２
構成電極２７は電源及び大地から浮遊した状態となる。
また、この状態において第１の共通端子２６ａは、第１
の接続端子４２と接触しており、接地側と導通が保たれ
ている。

【００２９】次に、集塵部２３を収納ケース３０から引
き出す時は、押圧より開放されたバネが短絡用ＳＷ３６
のスイッチング用アーム３７を外側に押し出し短絡用Ｓ
Ｗ３６がＯＮの状態になると共に、この時点において、
まだ短絡用ＳＷ３６の接続アーム４１は接地側接続の第
２の接続端子４３と接続されているため、第２構成電極
２７は、接地側と導通することとなり、電荷を大地に逃
がすことができ、第２構成電極２７の帯電状態が解消さ
れる。

【００３０】

【考案の効果】以上述べたように、この考案において
は、集塵部の収納時に大地から浮遊していた電極をこの
集塵部を引き出す途中において接地させるようにしたの
で、電極に溜まっていた電荷を大地に逃がして感電しな
い安全な状態で集塵部を取り外すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係わる自動車用空調装置の概略図で
ある。

【図２】この考案に係わる集塵部の概略図である。

【図３】この考案に係わる他の実施例の空気清浄装置と
集塵部の斜視図である。

【図４】この考案に係わる他の実施例の集塵部の奥面下
部に配された短絡用ＳＷを含んだ部分拡大図である。

【図５】この考案に係わる他の実施例の集塵部の概略図
である。

【符号の説明】

１ 自動車用空調装置 ２０ 直流電源 ２１ 空気清浄装置 ２２ 荷電部 ２３ 集塵部 ２６ 第１構成電極 ２６ａ，４２ 第１の共通端子 ２６ｂ 第１の接続端子 ２７ 第２構成電極 ２７ａ，４３ 第２の共通端子 ２７ｂ 第２の接続端子 ２９ 挿入口 ３０ 収納ケース ３６ 短絡用ＳＷ ３７ スイッチング用アーム ４１ 接続アーム

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−270744（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−53146（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−31345（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−87223（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−25748（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B03C 3/00 - 3/88 B08B 6/00

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 塵埃粒子を帯電させる荷電部と、この荷
   電部の下流側において第１構成電極と第２構成電極とを
   対峙して構成された集塵部と、前記第２構成電極に接続
   し、前記荷電部と集塵部との間に浮遊して配置されたフ
   ロート電極とを有し、前記集塵部は空調ダクトの側面か
   らスライドさせて着脱自在に収納され、集塵部の収納時
   において前記第１構成電極を接地し、前記集塵部を引き
   出す途中において前記第２構成電極を接地する手段を具
   備することを特徴とする空気清浄装置。