JP2590396Y2 - 乗用型田植機における株間変速レバーの配設構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、株間変速機構を備えた
乗用型田植機における株間変速レバーの配設構造に関す
るものである。

【０００２】

【従来技術及び考案が解決しようとする課題】一般に、
この種乗用型田植機の植付動力伝動経路には、植付動力
の変速に基づいて植付株間を調整する株間変速機構が設
けられている。しかるに従来では、株間変速機構を操作
するための株間変速レバーを、機体の運転席床部下方に
配設していたため、株間調整を行う際には、オペレータ
がいちいち機体から降りたりして株間変速操作レバーを
操作する必要が生じて操作性が問題となつていた。そこ
で、前記株間変速レバーを、運転席近傍に配設して操作
性の改善を計ることが提案されるが、この場合には、株
間変速レバーがオペレータの居住スペースを圧迫した
り、乗降経路を遮つて居住性や乗降性の低下を招く惧れ
がある。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記の如き実
情に鑑みこれらの欠点を一掃することができる乗用型田
植機における株間変速レバーの配設構造を提供すること
を目的として創案されたものであつて、植付動力伝動経
路に、植付動力の変速に基づいて植付株間を調整する株
間変速機構を設けてなる乗用型田植機において、前記株
間変速機構の株間調整を行うための株間変速レバーを設
けるにあたり、該株間変速レバーを、運転席床前端部に
て立ち上がるカバー体の運転席側の面に近接対向する運
転席床面位置にて上方に突設し、かつ該株間変速レバー
の変速方向を、前記カバー体の運転席側の面に沿う方向
に設定したことを特徴とするものである。そして本考案
は、この構成によつて、株間変速レバーを、居住性や乗
降性を低下させることなく運転席近傍に配設して、株間
変速の操作性を向上できるようにしたものである。

【０００４】

【実施例】次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。図面において、１は乗用型田植機の走行機体で
あつて、該走行機体１の前部には、エンジン２およびト
ランスミツシヨン３が搭載される一方、機体後部には、
昇降リンク機構４を介して植付作業部５が昇降自在に連
結されている。そして植付作業部５は、トランスミツシ
ヨン３を経由してエンジン２から伝動される植付動力に
よつて植付作動することになるが、これらの基本構成は
何れも従来通りである。

【０００５】６は前記走行機体１に配設される運転席で
あつて、該運転席６の前方下方には左右の乗降部に繋が
る平坦な床部（ステツプ）７が形成されているが、さら
に床部７の前端位置には、各種の操作具が組込まれるカ
バー体８が立上り状に配設されている。

【０００６】さらに、９は前記カバー体８の左端部位置
に組込まれる主変速レバーであつて、該主変速レバー９
の基端部は、前後方向を向く第一支軸１０に左右揺動自
在に支持されているが、さらに第一支軸１０は左右方向
を向く第二支軸１１に回動自在に支持されるため、主変
速レバー９の前後揺動も許容されるようになつている。
即ち、主変速レバー９を前後方向に操作した場合には、
エンジン２とトランスミツシヨン３との間に介設される
無段変速機構１２が変速アーム１３を介して無段変速作
動せしめられる一方、主変速レバー９を左右方向に操作
した場合には、トランスミツシヨン３内の前後進切換機
構（図示せず）が変速ロツド１４を介して切換作動せし
められるように構成されているが、前記変速ロツド１４
を軸支する上下一対のブラケツト１５、１６のうち、上
側ブラケツト１５の後端部には後述するレバー支軸１７
が後方に向けて突設されている。

【０００７】一方、１８はトランスミツシヨン３に内装
される株間変速ギヤであつて、該株間変速ギヤ１８は、
シフタフオーク１９の操作に基づき、歯数の異る変速ギ
ヤ（図示せず）に選択的に噛合して株間変速を行うもの
であるが、前記シフタフオーク１９に連結されるシフタ
ロツド２０は、トランスミツシヨン３から外側方に向け
て突出している。

【０００８】またさらに、２１は株間変速レバーであつ
て、該株間変速レバー２１は、前後方向の肉厚が薄く、
かつ上下方向に長い板体により形成されると共に、所定
の中間位置（上端からα、下端からβの位置、但しα＞
β）が前記レバー支軸１７に揺動自在に支持され、さら
に下端部には前記シフタロツド２０の先端部が枢結され
ている。即ち、株間変速レバー２１の揺動操作に基づい
て前記株間変速ギヤ１８の変速作動が行われることにな
るが、該株間変速レバー２１の上半側である操作部は、
前記カバー体８の運転席側の面に対し、板面が面対向す
る姿勢で近接対抗する床面位置にて床面から上方に向け
て突出し、かつ株間変速レバー２１の操作方向は、カバ
ー体８の運転席側の面に沿う左右方向になるよう設定さ
れている。

【０００９】叙述の如く構成された本考案の実施例にお
いて、株間変速レバー２１は、運転席６の床部７前端位
置に突出状に配設されているため、運転席に座つたまま
の姿勢で容易に株間調整を行うことが可能になるが、さ
らに、株間変速レバー２１は、カバー体8の運転席側の
面に沿う左右方向に操作されるレバー部材で構成される
と共に、床部７の前端位置から立ち上がるカバー体８の
運転席側の面に対し、 運転席側床面位置にて上方に突出
する配置となつている。従つて、株間変速レバー２１を
運転席６の近傍に配設したものでありながら、オペレー
タの居住スペースを圧迫したり、乗降経路を遮ることが
なく、この結果、良好な居住性や乗降性を維持すること
ができる。しかも株間変速レバー２１は、板面がカバー
体８の運転席側板面と面対向する構成になつているた
め、広い居住スペースの一層の確保ができる。

【００１０】しかも、前記実施例においては、株間変速
レバー２１のレバー支軸１７を、主変速レバー９の変速
ロツド１４を支持するために設けられるブラケツト１５
を利用して取付けているため、殊更専用のブラケツトを
設ける必要がなく、このため部品点数および組付工数を
減らすことができるうえに、構造の簡略化にも寄与する
ことができる。

【００１１】さらに、前記実施例では、株間変速レバー
２１の操作側レバー長αを作用側レバー長βよりも長く
設定しているため、テコの原理を利用して株間変速レバ
ー２１の操作力を軽減でき、故にシフタロツド２０を直
接押し引きするものに比して株間変速レバー２１の操作
性を向上できる。

【００１２】

【作用効果】以上要するに、本考案は叙述の如く構成さ
れたものであるから、株間変速機構に連繋される株間変
速レバーは、運転席床前端側部位に位置するため、株間
調整を行う際には、従来の如くいちいち機体から降りた
りすることなく、運転席に座つたままの姿勢で容易に株
間変速レバーを操作でき、もつて株間変速レバーの操作
性を向上できる。しかも該株間変速レバーは、運転席床
前端部にて立ち上がるカバー体の運転席側の面に近接対
向する床面位置において、しかもカバー体の運転席側の
面に沿う方向に変速操作すればよいことになるため、株
間変速レバーがオペレータの居住スペースを圧迫した
り、乗降経路を遮ることを回避して良好な居住性や乗降
性を確保できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】乗用型田植機の側面図である。

【図２】株間変速レバーの配設状態を示す要部斜視図で
ある。

【図３】同上要部側面図である。

【図４】株間変速機構と株間変速レバーとの連結状態を
示す要部側面図である。

【図５】同上背面図である。

【符号の説明】

１ 走行機体 ２ エンジン ３ トランスミツシヨン ５ 植付作業部 ６ 運転席 ７ 床部 ８ カバー体 １６ ブラケツト １７ レバー支軸 １８ 株間変速ギヤ ２１ 株間変速レバー

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 植付動力伝動経路に、植付動力の変速に
   基づいて植付株間を調整する株間変速機構を設けてなる
   乗用型田植機において、前記株間変速機構の株間調整を
   行うための株間変速レバーを設けるにあたり、該株間変
   速レバーを、運転席床前端部にて立ち上がるカバー体の
   運転席側の面に近接対向する運転席床面位置にて上方に
   突設し、かつ該株間変速レバーの変速方向を、前記カバ
   ー体の運転席側の面に沿う方向に設定したことを特徴と
   する乗用型田植機における株間変速レバーの配設構造。