JP2590375Y2 - 直液式筆記具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、先端にペン体が配置さ
れた軸筒内にインキが直接充填された直液式筆記具に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば水性インキを使用するボールペン
は、極細繊維を引き揃えて棒状に成形した中綿にインキ
を吸蔵させ、この中綿を軸筒内に収容した中綿式のもの
が実用化されているが、この中綿式筆記具は、インキの
吸蔵量に限界があって筆記可能距離が短く、またインキ
を使い尽くして筆記不能になるエンドポイントが分かり
にくい問題点がある。

【０００３】一方、軸筒内にインキを直接充填して中綿
を使用しない直液式筆記具は、インキを直接目視するこ
とができるのでエンドポイントが明確であり、また筆記
距離が長い利点を有する。かかる直液式筆記具は、軸筒
内の空気が高温になって膨張すると、インキが過剰に吐
出してボタ落ちするので、過剰に吐出したインキを一時
貯溜してボタ落ちを防止するとともに、インキの消費に
伴って空気を軸筒内に導入する気液交換機能を有するペ
ン芯を配置したものが多いが、ペン芯は構造が複雑であ
り、部品点数も多くなる不具合がある。

【０００４】このため、尾端が外気と連通した軸筒の尾
端側をペースト状の逆流防止体で封止するとともに、逆
流防止体の前方にインキを充填してペン体と逆流防止体
の間をインキのみで充満させ、インキの消費にともなっ
て逆流防止体が前進するようにしたものが実用化されて
いる。つまり、逆流防止体がインキの逆流を防止して軸
筒の尾端開口から流出するのを阻止するが、逆流防止体
の前方にはインキのみが存在して空気が存在しないの
で、高温になって膨張した空気によってインキが押し出
されることがない。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】ところで、かかる直液
式の筆記具においても、筆記可能距離を長くする要請が
大きく、軸筒の内容積を大きくすることが試みられてい
る。しかし、軸筒の尾端側をペースト状の逆流防止体で
封止するとき、軸筒の内径を大きくすると、この逆流防
止体の封止能力が低下し、筆記具を床上に落下した時な
どにインキが軸筒の後端開口から流失してしまう。従っ
て、軸筒の尾端側をペースト状の逆流防止体で封止する
直液式の筆記具では、軸筒の内径はせいぜい４ｍｍφが
限度であり、筆記可能距離を長くするにも限界があっ
た。

【０００６】そこで本考案は、軸筒の内径を大きくする
ことが可能で、筆記可能距離が長く、しかも興趣に富ん
だ直液式の筆記具を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本考案は、先端にペン体が配置された内径の大き
な軸筒内にインキが直接充填された直液式筆記具におい
て、軸筒の尾端側を周囲にペースト状の逆流防止体が塗
布された柱状体によって封止するとともに、柱状体の前
方にインキを充填し、インキの消費にともなって柱状体
が前進するようにするが、軸筒を透明材料で成形し、柱
状体の外周面に文字や図形からなるメッセージを記載す
る。

【０００８】

【作用】軸筒の尾端側を周囲にペースト状の逆流防止体
が塗布された柱状体によって封止するので、軸筒の内径
を大きくして長距離筆記を可能にしても、軸筒の内周面
と柱状体の間隙が狭く、この狭い間隙を柱状体に塗布さ
れたペースト状の逆流防止体が封止するので、衝撃に強
く、インキが軸筒の尾端開口から流出することがない
が、軸筒を透明材料で成形し、柱状体の外周面に文字や
図形からなるメッセージを記載するので、インキの消費
にともなって柱状体が前進するとき、メッセージの位置
が移動し、興趣に富んで大きな広告宣伝効果を得ること
ができ、また、柱状体に手などが接触しないので、文字
や図形などが薄くなったり部分的に消えて見苦しくなる
ことがない。

【０００９】

【実施例】以下に図面に示す実施例に基いて本考案を具
体的に説明する。図１において、軸筒１は、透明の合成
樹脂で射出成形された内径が７．０ｍｍφの筒体であ
り、従来の直液式筆記具の軸筒に比べて内径が大きく、
従って大量のインキを充填できるようになっている。そ
して、軸筒１の先端開口にボールペンのチップ２が取り
付けられている。

【００１０】チップ２は、ステンレスにて砲弾型に成形
されており、チップ２先端のボールハウスに、超硬合金
からなるボール３がその一部がチップ２の先端から臨出
した状態で回転自由に抱持されている。チップ２内に
は、バネ力が例えば４０ｇの小さなスプリング４が配置
されており、このスプリング４がボール３を弾発してチ
ップ２の内向きの先端縁２１に圧接させ、ボール３と先
端縁２１で弁機構を構成している。なお、ペン体はボー
ルペンチップ２に限られるものでなく、例えば繊維を棒
状に成形した繊維チップであってもよい。

【００１１】軸筒１の尾端開口には、空気孔７１を有す
る尾栓７が嵌着されている。そして、軸筒１の尾端側内
部には、有底筒状の軽量の柱状体５が配置されている
が、柱状体５は、例えば外径が６ｍｍφ、長さが１５ｍ
ｍである。柱状体５の周囲には、例えばワセリンのよう
なペースト状の逆流防止体６が塗布されており、この逆
流防止体６が軸筒１の内周面と柱状体５の間隙を埋めて
いる。つまり、軸筒１の尾端側が、周囲にペースト状の
逆流防止体６が塗布された柱状体５によって封止されて
いる。

【００１２】柱状体５前方の軸筒１内に、例えば粘度が
３０〜４０ｃｐｓの水性インキＩが充填されており、柱
状体５前方の軸筒１内には空気は存在していない。そし
て、筆記によってインキＩが消費されると、それに応じ
て周囲にペースト状の逆流防止体６が塗布された柱状体
５が前進するが、軸筒１の内径が大きくて内容積が大き
いので、多量のインキＩを軸筒１に充填することがで
き、筆記距離が長い利点を有する。

【００１３】そして、軸筒１の尾端側が、周囲にペース
ト状の逆流防止体６が塗布された柱状体５によって封止
されているので、軸筒１の内径が大きいにもかかわら
ず、軸筒１の内周面と柱状体５の間隙が狭く、この狭い
間隙を柱状体５に塗布されたペースト状の逆流防止体６
が封止するので、逆流防止体６の量が少なく、衝撃に強
い利点を有する。

【００１４】図２に示すように、柱状体５の前部に鍔部
５１を形成し、柱状体５の前面には逆流防止体６を塗布
しないのもよい。つまり、インキＩを柱状体５の前面に
直接接触させると、使用中に逆流防止体６が分離してイ
ンキＩ内に流れ出すことがほとんどなく、更には、イン
キＩを軸筒１内に充填する際に、インキＩが柱状体５の
前面に当っても、逆流防止体６が乱れてインキＩ内に流
れ出すことがない利点を有する。

【００１５】次に、図３に示すように、柱状体５の外周
面に文字や図形からなる広告宣伝用などのメッセージが
記載されており、軸筒１が透明であるので、このメッセ
ージを読み取ることが出来るようになっている。そし
て、柱状体５はインキの消費にともなって前進するの
で、メッセージの位置が移動する。従って、軸筒１の表
面にメッセージを記載した場合に比べて興趣に富み、大
きな広告宣伝効果を得ることができる。また、軸筒１の
表面にメッセージを記載した場合は、筆記時に手などが
触れるので、文字や図形などが薄くなったり部分的に消
えて見苦しくなるが、本考案では、柱状体５に手などが
接触しないので、これらの不具合を解消することができ
る。

【００１６】

【考案の効果】以上説明したように、本考案の直液式筆
記具は、軸筒の尾端側を周囲にペースト状の逆流防止体
が塗布された柱状体によって封止したので衝撃が加わっ
ても封止機能が失われず、従って、軸筒の内径を大きく
することが可能で、筆記可能距離の長い直液式の筆記具
とすることができるが、軸筒を透明の合成樹脂で成形す
るとともに柱状体の外周面に文字や図形からなる広告宣
伝用などのメッセージを記載するので、メッセージが移
動するために興趣に富み、大きな広告宣伝効果を得るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】直液式筆記具の説明図である。

【図２】直液式筆記具の説明図である。

【図３】本考案実施例の正面図である。

【符号の説明】

１ 軸筒 ２ ボールペンチップ ３ ボール ４ スプリング ５ 柱状体 ６ 逆流防止体 ７ 尾栓

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B43K 7/02 B43K 7/06 B43K 5/12

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 先端にペン体が配置された内径の大きな
   軸筒内にインキが直接充填された直液式筆記具であっ
   て、 前記軸筒が透明材料で成形され、該軸筒の尾端側は、周
   囲にペースト状の逆流防止体が塗布され、外周面に文字
   や図形からなるメッセージが記載された柱状体によって
   封止され、該柱状体の前方にインキが充填され、インキ
   の消費にともなって該柱状体が前進することを特徴とす
   る直液式筆記具。