JP2588932Y2 - 修正液塗布器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、紙面に表記された文
字、線、模様等を修正液の塗布により隠蔽消去するのに
使用される、バルブ機構付きの修正液塗布器に関する。

【０００２】

【従来技術とその課題】一般に、バルブ機構付きの修正
液塗布器は、修正液を収容した容器の開口部に、先端に
流出孔を有して該流出口孔傍の内周を弁座とする塗布先
部材が嵌着され、この塗布先部材内に、塗布軸が先端部
を上記流出口から突出する状態に装填され、この塗布軸
に設けた弁部がばね部材の付勢により上記弁座に圧接し
ており、紙面の修正部位に塗布軸の先端を押し付けるこ
とにより、該塗布軸が退入して開弁し、容器内の修正液
が塗布軸と塗布先部材の内周面との間隙を通って上記流
出孔より紙面上に流出するように構成されている。

【０００３】従来、このような修正液塗布器の塗布先部
は、先端外径が１〜２ｍｍ程度の細い丸軸状や円錐状を
なしており、小さい文字やその一部、入り組んだ図面や
模様の一部等の細かい部分を消去修正するのに適してい
る。しかるに、例えば複数字にわたる修正や書面の行単
位の修正等の広範囲の消去を行う場合、従来の塗布器で
は、何度も往復させたり塗布先で塗り広げる必要があ
り、非常に手間がかかる上、修正塗膜が厚く且つ不均一
な凹凸状になり易く、塗膜表面に訂正文字等を書き込む
に当たって、塗膜の乾燥のために待つ時間が長くなると
共に塗膜表面の凹凸により筆記性も悪く、校正等の能率
が著しく低下するという問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明は、上述の状況
に鑑み、バルプ機構付きの修正液塗布器として、修正領
域の大きさに応じて細塗りと太塗りに自在に使い分ける
ことができ、しかもこの使い分けが操作的に非常に容易
である上、太塗りにおいて薄く平滑な修正塗膜が得られ
るものを提供することを目的としている。

【０００５】上記目的を達成するために、この考案の請
求項１に係る修正液塗布器は、修正液容器の一端側に設
けた塗布先部の流出孔よりバルブ機構を介して修正液を
流出させる塗布器本体と、この塗布先部に対して外嵌装
着及び離脱自在な筒状の太塗り用チップとを具備し、前
記塗布先部の内部に装填された弁軸が、先端部を上記流
出孔より突出して且つばね力により当該流出孔を封止す
る方向に付勢されており、上記の太塗り用チップの先端
面が幅広に形成されると共に、このチップの上記塗布先
部への装着状態において前記幅広の先端面より弁軸の先
端部が突出するように設定されてなる構成を採用したも
のである。

【０００６】また、この考案の請求項２は、上記請求項
１の修正液塗布器において、太塗り用チップの幅広の先
端面が、チップ軸心に直交する面に対して傾斜してなる
構成を採用したものである。

【０００７】この考案の請求項３は、上記請求項１又は
２の修正液塗布器において、太塗り用チップの先端面に
液溜め凹部を有してなる構成を採用したものである。

【０００８】

【作用】この考案の修正液塗布器において通常の細塗り
による修正を行う場合は、塗布器本体に太塗り用チップ
を装着せずに、該本体をそのまま従来と同様に用いれば
よい。すなわち、塗布器本体の流出孔より突出している
弁軸の先端部を紙面の修正部位に押し付けることによ
り、該弁軸が退入して開弁し、容器内の修正液が流出孔
から流出し、この流出孔周囲の塗布先の幅で紙面に塗布
される。

【０００９】一方、例えば複数字にわたる修正や書面の
行単位の修正等の広範囲の消去を行う場合は、塗布器本
体の塗布先部に太塗り用チップを装着し、このチップの
幅広の先端面を紙面の修正部位に押し付け、その幅方向
に直交する向きに塗布器を移動させればよい。すなわ
ち、太塗り用チップの先端面の紙面への押し付けによ
り、該先端面より突出していた弁軸の先端部が退入して
開弁するが、流出孔から流出した修正液は太塗り用チッ
プの先端面全体に行き渡るから、この先端面の幅で帯状
の修正塗膜が形成されることになる。この修正塗膜は、
均一で薄く平滑なものとなり、乾燥が速く、訂正文字等
を短い待ち時間で容易に綺麗に書き込むことができる。

【００１０】なお、太塗り用チップの先端面をチップ軸
心に直交する面に対して傾斜するように設定すれは、該
チップを用いて広幅の塗布を行う場合に、塗布器を筆記
具と同様に紙面に対して傾けた状態で塗布できるため、
塗布の操作性がよい。また太塗り用チップの先端面に液
溜め凹部を設けておけば、塗布中に紙面への押し付け力
が弱まったり塗布速度が速くなって一時的に修正液の導
出量が不足しても、該凹部に溜まった修正液が塗布され
るから、塗膜のかすれを生じることなく安定した太塗り
修正を施せる。

【００１１】なお、太塗り用チップの先端面は、長手方
向幅Ｌ（図２参照）を４．０〜７．０ｍｍ程度、チップ
軸心に直交する面に対する傾斜角度θ（図２参照）を２
０〜４０度程度にそれぞれ設定するのがよい。また閉弁
状態において、弁軸の先端部が太塗り用チップの先端面
から突出する高さは０．５〜２．０ｍｍ程度とするのが
よい。

【００１２】

【実施例】図１はこの考案の一実施例に係る修正液塗布
器を示す。この塗布器は、ポリアミド系樹脂等の弾性合
成樹脂材料からなる容器１の開口部１ａに硬質合成樹脂
からなる先筒２が外嵌螺着されたバルブ機構付きの塗布
器本体１０と、その先筒２の先端側で構成された塗布先
部２ａに嵌着される硬質合成樹脂製の太塗り用チップ２
０とを具備し、塗布器本体１０内には酸化チタン等の白
色顔料を高濃度で分散含有した修正液（図示略）が収容
されている。

【００１３】塗布器本体１０の先筒２は、先端側半部が
円錐状をなす細径の塗布先部２ａと、先端側半部が円錐
台状をなす太径の中間筒部２ｂと、より太径で内周に容
器１側の雄ねじ３ａに対応する雌ねじ３ｂを刻設した螺
合筒部２ｂとからなり、塗布先部２ａの先端に流出孔４
を有すると共に、該塗布先部２ａの基部側外周に環状凸
部５が形成され、また塗布先部２ａと中間筒部２ｂとの
間に構成される段部６の径方向両側に係止突起６ａ，６
ａが設けてある。

【００１４】７は先筒２の塗布先部２ａの内側に装填さ
れた硬質合成樹脂からなる弁軸であり、先細り状の前部
７ａと、太径丸軸状の中間部７ｂと、細径丸軸状の後部
７ｃとからなり、中間部７ｂの後端段部に押接するコイ
ルスプリング８の弾圧付勢により、前部７ａの先端に設
けた突子９を先筒２の流出孔４から外方へ突出して、且
つ該突子９の根元周囲に設けた弁部１１ａを先筒２の流
出孔４の内側内周に設けた弁座１１ｂに押接している。

【００１５】１２は上部を二重筒状とした半硬質合成樹
脂製のばね受け部材であり、外筒部１２ａの内側上部に
内筒部１２ｂが一体形成され、内筒部１２ｂの下縁の内
向きフランジ部１２ｃにてコイルスプリング８を係止す
ると共に、外筒部１２ａの外周に設けたフランジ部１２
ｄを容器１の開口部１ａ端面と先筒２の内周段部１３と
の間で挟着することにより、自身を固定すると同時に容
器１と先筒２との間を封止するパッキンの機能を担うよ
うに設定されている。

【００１６】図２〜図４に示すように、太塗り用チップ
２０は、円筒状をなす下部２０ａの下端の径方向両側に
Ｕ字形の切欠部２１，２１を有し、上部２０ｂが下部２
０ａより続く円筒の肉部を両側から斜めに切除した形の
偏平状に形成されており、上端面（先端面）２２が長手
方向幅Ｌ（図２参照）を４．０〜７．０ｍｍ程度とした
幅広の矩形状で、且つチップ軸心に直交する面Ｆに対す
る角度θが２０〜４０度程度に傾斜（図２参照）してい
る。この上端面２２の長手方向に沿う中央部は、長辺側
両縁に二山状の隆起部２２ａ，２２ａを設けることによ
り、平坦な底面の液溜め用凹部２２ｂを構成している。
また、該チップ２０の内側は塗布器本体１０の塗布先部
２ａの外周に適嵌する形状であり、下部が円孔２３ａを
なし、その内周に環状係止溝２４を有すると共に、該円
孔２３ａに連続する上部が液溜め用凹部２２ｂの中央に
開口した先細りの円錐孔２３ｂとなっている。

【００１７】この太塗り用チップ２０は、塗布器本体１
０の塗布先部２ａに対し、図１及び図４に示すように切
欠部２１，２１が係止突起６ａ，６ａに嵌合するように
強制的に外嵌させることにより、環状係止溝２４と先筒
２の環状凸部５とが嵌合し、相対回転せず且つ抜落しな
い状態に装着できる。しかして、この装着状態において
は、図１に示すように、該チップ２０の内周全体が塗布
先部２ａの外周に密接し、且つ塗布先部２ａの流出孔４
より突出した弁軸７の突子９が該チップ２０の上端面２
２から０．５〜２．０ｍｍ程度に飛び出すように設定さ
れている。

【００１８】上記構成の修正液塗布器にて通常の細塗り
による修正を行う場合、太塗り用チップ２０を装着せ
ず、塗布器本体１０のみを使用すればよい。その操作は
従来のバルブ機構付きの修正液塗布器と同様であり、流
出孔４より突出している弁軸７の突子９を紙面の修正部
位に押し付ければ、弁軸７が退入して開弁し、容器１内
の修正液が流出孔４から流出可能となるから、この押し
付け状態で要すれば容器１の押圧による絞り出し作用を
加味しつつ該本体１０を移動させることにより、この流
出孔４周囲の塗布先の幅（通常０．５〜２．０ｍｍ程
度）で紙面に修正塗膜が線状に形成される。

【００１９】一方、複数字にわたる修正や書面の行単位
の修正等の広範囲の消去を行う場合、塗布器本体１０の
塗布先部２ａに太塗り用チップ２０を装着し、このチッ
プ２０の幅広の先端面２２を紙面の修正部位に押し付
け、その幅方向に直交する向きに塗布器を移動させれば
よい。この押し付けにより、該先端面２２より突出して
いた弁軸７の突子９が退入して開弁するが、流出孔４か
ら流出した修正液は該先端面２２全体に行き渡るから、
この先端面２２の幅で帯状の修正塗膜が形成される。こ
の修正塗膜は、均一で薄く平滑であり、乾燥が速く、訂
正文字等を短い待ち時間で容易に綺麗に書き込むことが
できる。

【００２０】なお、この考案の修正液塗布器は、前記実
施例の構造に制限されるものではなく、容器及び塗布先
部の形状や材質、弁軸を含むバルブ機構各部の形状及び
配置構成、太塗り用チップを塗布先部に対して回り止め
及び抜落防止する係止構造、該チップの先端面及び全体
の形状等、細部構成については実施例以外に種々設計変
更可能である。

【００２１】

【考案の効果】請求項１の考案によれば、紙面に表記さ
れた文字、線、模様等を修正液の塗布により隠蔽消去す
るバルブ機構付きの修正液塗布器として、修正領域の大
きさに応じて細塗りと太塗りに自在に使い分けることが
でき、しかもこの使い分けが操作的に非常に容易である
上、太塗りにおいて薄く平滑な修正塗膜が得られ、また
構造的に簡単で低コストで製作し得るものが提供され
る。

【００２２】請求項２の考案によれば、上記の修正液塗
布器として、特に広幅の塗布を行う場合に、筆記具と同
様に紙面に対して傾けた状態で塗布でき、塗布の操作性
がよいものが提供される。

【００２３】請求項３の上記の修正液塗布器として、特
に広幅の塗布を行う場合に、塗布中に紙面への押し付け
力が弱まったり塗布速度が速くなり、一時的に修正液の
導出量が不足してしも、溜まり分の修正液によって塗膜
のかすれが防止され、もって常に安定した連続塗布を行
えるものが提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この考案の一実施例に係る修正液塗布器の太
塗り用チップ装着状態における半断面側面図。

【図２】 同修正液塗布器の太塗り用チップの側面図。

【図３】 同太塗り用チップの平面図。

【図４】 同修正液塗布器の塗布器本体に対する太塗り
用チップの装着操作を示す斜視図。

【符号の説明】

１ 容器 １ａ 開口部 ２ 先筒 ４ 流出孔 ７ 弁軸 ８ コイルスプリング ９ 突子（弁軸の先端部） １０ 塗布器本体 １１ａ 弁部 １１ｂ 弁座 ２０ 太塗り用チップ ２２ 上端面（先端面） ２２ｂ 液溜め用凹部

フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭63−90478（ＪＰ，Ｕ) 実開 平５−31996（ＪＰ，Ｕ) 実開 平６−60469（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B43L 19/00 B43K 8/00 B05C 17/005

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 修正液容器の一端側に設けた塗布先部の
   流出孔よりバルブ機構を介して修正液を流出させる塗布
   器本体と、この塗布先部に対して外嵌装着及び離脱自在
   な筒状の太塗り用チップとを具備し、前記塗布先部の内
   部に装填された弁軸が、先端部を上記流出孔より突出し
   て且つばね力により当該流出孔を封止する方向に付勢さ
   れており、上記の太塗り用チップの先端面が幅広に形成
   されると共に、このチップの上記塗布先部への装着状態
   において前記幅広の先端面より弁軸の先端部が突出する
   ように設定されてなる修正液塗布器。
2. 【請求項２】 太塗り用チップの幅広の先端面が、チッ
   プ軸心に直交する面に対して傾斜してなる請求項１記載
   の修正液塗布器。
3. 【請求項３】 太塗り用チップの先端面に液溜め凹部を
   有してなる請求項１又は２に記載の修正液塗布器。