JP2586080B2 - 共重合ポリエステル繊維およびフィルム - Google Patents

共重合ポリエステル繊維およびフィルム

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JP2586080B2 JP63018142A JP1814288A JP2586080B2 JP 2586080 B2 JP2586080 B2 JP 2586080B2 JP 63018142 A JP63018142 A JP 63018142A JP 1814288 A JP1814288 A JP 1814288A JP 2586080 B2 JP2586080 B2 JP 2586080B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は溶融重合のみで高重合度ポリマが得られ、光
学異方性、耐熱性および剛性に代表される機械的性質の
優れた共重合ポリエステル繊維およびフィルムに関する
ものである。
<従来の技術> 近年プラスチックの高性能化に対する要求がますます
高まり、種々の新規性能を有するポリマが数多く開発さ
れており、なかでも光学異方性の液晶ポリマが優れた機
械的性質を有する点で注目されている(特開昭51−8395
号公報、特開昭49−72393号公報)。
<発明が解決しようとする課題> 上記液晶ポリマとしては例えばp−ヒドロキシ安息香
酸にポリエチレンテレフタレートを共重合した液晶ポリ
マが知られている(特開昭49−72393号公報)。しかし
ながらこのポリマの繊維およびフィルムは耐熱性が十分
でなかったり、機械物性が不良であるという欠点を有
し、このポリマからは両者の特性を満足する繊維および
フィルムが得られないことがわかった。しかも耐熱性を
向上させるにはp−ヒドロキシ安息香酸の量を80モル%
以上必要とするが、この際重合時に固化が起こり、固相
重合が必要であることもわかった。
一方、このようなポリマの流動性を向上させて、溶融
成形性を改良し、さらに機械的性質を向上させる手段と
しては、例えば特開昭51−8395号公報に記載されている
ように、ポリエチレンテレフタレートにp−アシルヒド
ロキシ安息香酸とジカルボン酸および芳香族ジオールを
共重合する方法が提案されているが、この方法とて得ら
れる繊維およびフィルムの機械的性質は向上するが耐熱
性が不十分であることがわかった。一方、特公昭47−47
870号公報に記載されているようにp−ヒドロキ安息香
酸に4,4′−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸を
共重合せしめた全芳香族ポリエステルの繊維およびフィ
ルムは耐熱性は良好であるが軟化温度が400℃以上であ
るため溶融重合が困難となり、紡糸および製膜可能な範
囲も狭く、その機械的性質として十分満足できるもので
はないことがわかった。
よって、本発明は通常の成形機で成形可能で、すぐれ
た機械的性質および耐熱性を有する共重合ポリエステル
繊維およびフィルムの取得を目的とする。
<課題を解決するための手段> 本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結
果、本発明にいたった。
すなわち、本発明は、下記構造単位(I)〜(IV)か
らなり、構造単位[(I)+(II)]が[(I)+(I
I)+(III)]の77〜95モル%、構造単位(III)が
[(I)+(II)+(III)]の23〜5モル%であり、
構造単位(I)/(II)のモル比が75/25〜95/5であ
り、60℃、ペンタフルオロフェノール中で0.1g/dlで溶
解させたときの対数粘度が1.4〜10.0dl/gである光学異
方性ポリエステルからなる共重合ポリエステル繊維およ
びフィルムである。
O−R1−O …(II) O−CH2CH2−O …(III) OC−R2−CO …(IV) (ただし式中のR1 から選ばれた1種以上の基を、 R2 から選ばれた1種以上の基を示し、Xは水素原子または
塩素原子を示す。また構造単位[(II)+(III)]と
構造単位(IV)とは実質的に等モルである。
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生
成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4′−ジヒ
ドロキシビフェニル、ハイドロキノン、2,6−ジヒドロ
キシナフタレン、t−ブチルハイドロキノン、3,3′,5,
5′−テトラメチル−4,4′−ジヒドロキシビフェニルお
よびフェニルハイドロキノンから選ばれた芳香族ジオー
ルから生成した構造単位を示す。
また、上記構造単位(III)はエチレングリコールか
ら生成した構造単位を示し、構造単位(IV)はテレフタ
ル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,
4′−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキ
シ)エタン−4,4′−ジカルボン酸から選ばれた芳香族
ジカルボンから生成した構造単位である。これらのうち
R1としては R2としては が最も好ましい。
一方、上記構造単位(I)〜(III)のうち構造単位
[(I)+(II)]は[(I)+(II)+(III)]の7
7〜95モル%であり、好ましくは77〜87モル%である。
また構造単位(III)は[(I)+(II)+(III)]
の23〜5モル%であり、好ましくは23〜13モル%であ
る。構造単位[(I)+(II)]が[(I)+(II)+
(III)]の95モル%より大きいと溶融流動性が低下し
て重合時に固化し、77モル%より小さいと耐熱性が不良
となり好ましくない。また構造単位(I)/(II)のモ
ル比は75/25〜95/5であり、好ましくは78/22〜92/8であ
る。75/25未満であったり、95/5より大きい場合には強
度や耐熱性が不良となったり、流動性が不良となったり
して本発明の目的を達成することができない。また、構
造単位[(II)+(III)]と構造単位(IV)は実質的
に等モルである。
本発明で用いる光学異方性ポリエステルの代表的な製
造法としては次の方法が挙げられるが対数粘度を1.4dl/
g以上にするには(2)の方法が特に好ましい。
(1)p−アセトキシ安息香酸などのヒドロキシ安息香
酸のアシル化物、4,4′−ジアセトキシビフェニル等の
芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフタル
酸などの芳香族ジカルボン酸とポリエチレンテレフタレ
ートなどのエチレングリコールと芳香族ジカルボン酸か
らのポリエステルとを脱酢酸重合によって製造する方
法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸、4,4′−ジヒドロキシ
ビフェニル等の芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル
酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させてフ
ェノール性水酸基をアシル化した後、ポリエチレンテレ
フタレート等のエチレングリコールと芳香族ジカルボン
酸からのポリエステルとを脱酢酸重合によって製造する
方法。
これらの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第
一錫、テトラブチルチタネート、酢酸ナトリウムおよび
酢酸カリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウム等
の金属化合物を添加した方が好ましいときもある。
また本発明で用いる光学異方性ポリエステルの溶融粘
度は100〜30,000ポイズが好ましく、特に300〜15,000ポ
イズがより好ましい。
なお、この溶融粘度は(液晶開始温度+40℃)でずり
速度1,000(1/秒)の条件下で高化式フローテスターに
よって測定した値である。
一方、この光学異方性ポリエステルの対数粘度は0.1g
/dl濃度、60℃のペンタフルオロフェノール中で測定し
た値が、1.4〜10.0dl/gであることが好ましく、1.6〜8.
0dl/gが特に好ましい。
なお、本発明で用いる光学異方性ポリエステルを重縮
合する際には上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成
分以外にイソフタル酸、3,3′−ジフェニルカルボン
酸、2,2′−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカ
ルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ド
デカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒド
ロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイ
ドロキノン、メチルハイドロキノン、4,4′−ジヒドロ
キシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニルプロパン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4′−ジ
ヒドロキシジフェニルエーテル等の芳香族ジオール、1,
4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペン
チルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオー
ルおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナ
フトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸などを本発
明の目的を損なわない程度の少割合の範囲でさらに共重
合せしめることができる。
本発明の共重合ポリエステル繊維およびフィルムは、
上記詳述した光学異方性ポリエステルを通常、シリンダ
ー温度が液晶開始温度以上330℃以下、好ましくは(液
晶開始温度+10℃)以上320℃以下で紡糸、製膜するこ
とにより得られる。
本発明の共重合ポリエステル繊維およびフィルムは、
核剤、顔料、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、および難燃
剤などの添加剤や他の熱可塑性樹脂を添加して、所望の
特性を付与することができる。
なお、このようにして得られた繊維およびフィルム
は、熱処理によって強度を増加させることができ、弾性
率をも増加させることができることもある。
この熱処理は、繊維およびフィルムを不活性雰囲気
(例えば窒素、アルゴン、ヘリウムまたは水蒸気)、ま
たは酸素含有雰囲気(例えば空気)中でポリマの融点以
下の温度で熱処理することによって行なうことができ
る。この熱処理は緊張下であってもなくてもよく、数十
分〜数日の間で行なうことができる。
<実施例> 以下に実施例により本発明をさらに説明する。
実施例1 重合用試験管にp−ヒドロキシ安息香酸(I)46.62g
(33.75×10-2モル)、4,4′−ジヒドロキシビフェニル
(II)8.38g(4.5×10-2モル)、テレフタル酸7.47g
(4.5×10-2モル)固有粘度が約0.6のポリエチレンテレ
フタレート(III)12.97g(6.75×10-2モル)および無
水酢酸48.01g(47.1×10-2モル)を[(I)+(II)]
/[(I)+(II)+(III)]が85モル%、(I)/
(II)のモル比が88/12になるように仕込み次の条件で
脱酢酸重合を行なった。
まず窒素ガス雰囲気下に100〜250℃で5時間、250〜3
00℃で1時間反応後、300℃、1時間で0.5mmHgに減圧
し、さらに2.25時間反応させ、重縮合を完結させたとこ
ろ、ほぼ理論量の酢酸が留出し、ベージュ色のポリマが
得られた。さらに同一条件で5バッチ重合を行ないポリ
マを回収し、朋来(株)製粉砕機でポリマを粉砕した。
このポリマの理論構造式は次のとおりであり、そのポ
リエステルの元素分析結果は理論値とよい一致を示して
いた。
また、このポリエステルを偏光顕微鏡の試料台にの
せ、昇温して光学異方性の確認を行なった結果、液晶開
始温度は264℃であり、良好な光学異方性を示した。
このポリエステルを口金径0.3mmで300℃で紡糸し、強
度7.2g/d、弾性率476g/dの糸を得た。この繊維の150℃
での弾性率保持率は51%であった。なお、このポリマの
対数粘度は1.96dl/gであり、溶融粘度は304℃、ずり速
度1,000(1/秒)で910ポイズと流動性が極めて良好であ
った。
比較例1 重合用試験管にp−ヒドロキシ安息香酸(I)24.32g
(13.5×10-2モル)、ハイドロキノン(II)14.87g(1
3.5×10-2モル)、テレフタル酸22.43g(13.5×10-2
ル)、ポリエチレンテレフタレート(III)34.59g(18.
0×10-2モル)および無水酢酸45.48g(44.6×10-2
ル)(構造単位[(I)+(II)]は全体の60モル%、
(I)/(II)モル比は50/50)を仕込み実施例1の条
件に従って重縮合を行ない液晶開始温度251℃のポリエ
ステルを得た。
このポリエステルを291℃で紡糸を行ったが、強度2.1
g/d、弾性率250g/dであり、150℃の弾性率保持率は20%
と低強度であった。
実施例2〜10、比較例2〜4 重合用試験管にp−ヒドロキシ安息香酸(I)、4,
4′−ジヒドロキシビフェニル(II−1)、ハイドロキ
ノン(II−2)、2,6−ジヒドロキシナフタレン(II−
3)、t−ブチルハイドロキノン(II−4)、フェニル
ハイドロキノン(II−5)、3,3′,5,5′−テトラメチ
ル−4,4′−ジヒドロキシビフェニル(II−6)、テレ
フタル酸(IV−1)、4,4′−ジフェニルジカルボン酸
(IV−2)、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4′−
ジカルボン酸(IV−3)、1,2−ビス(2−クロルフェ
ノキシ)エタン−4,4′−ジカルボン酸(IV−4)、2,6
−ナフタレンジカルボン酸(IV−5)(このうち(II−
1)〜(II−6)の成分と(IV−1)〜(IV−5)の成
分のモル数を同一にして仕込む)、固有粘度が0.60のポ
リエチレンテレフタレート(III)および無水酢酸を重
合用試験管に仕込み、実施例1と同様の条件で重縮合反
応を行ない、製膜し、液晶開始温度、対数粘度および機
械物性、熱特性を測定した。第1表から明らかなよう
に、本発明のポリマは流動性が良好であり、一軸配向フ
ィルムの強度、耐熱性は極めて優れていた。これに対し
て比較例2のポリマは強度および耐熱性が大きく劣り、
比較例3のポリマは流動性が不良となり、機械物性が大
きく劣り、耐熱性も本発明のポリエステルよりは劣って
いることがわかった。
一方、比較例4のポリマは融点が450℃以上であり製
膜不可能であった。
実施例11〜13 重合用試験管にp−ヒドロキシ安息香酸(I)51.80g
(37.50×10-2モル)、4,4′−ジヒドロキシビフェニル
(II)9.31g(5.0×10-2モル)、テレフタル酸8.31g
(5.0×10-2モル)および0.5%濃度、25℃、オルトクロ
ロフェノール中で測定した対数粘度が0.68dl/gのポリエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(実施例1
2)または対数粘度が0.72dl/g、ポリエチレン−1,2−ビ
ス(フェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボキシレート
(実施例13)または対数粘度が0.86dl/gのポリエチレン
−1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4′−
ジカルボキシレート(実施例14)をそれぞれ7.50×10-2
モル量実施例1と同様に仕込み重合を行ない得られたポ
リマの液晶開始温度、対数粘度を測定した。そして実施
例1と同様に紡糸して評価を行なった。
これらの結果を第2表に示す。
第2表からこれらポリエステルの流動性は良好ですぐ
れた機械的特性と耐熱性を有していることがわかる。
<発明の効果> 本発明の共重合ポリエステル繊維およびフィルムは、
良好な耐熱性および機械的性質を示すものであるので種
々の用途に使用することができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記構造単位(I)〜(IV)からなり、構
    造単位[(I)+(II)]が[(I)+(II)+(II
    I)]の77〜95モル%、構造単位(III)が[(I)+
    (II)+(III)]の23〜5モル%であり、構造単位
    (I)/(II)のモル比が75/25〜95/5であり、60℃、
    ペンタフルオロフェノール中で0.1g/dlで溶解させたと
    きの対数粘度が1.4〜10.0dl/gである光学異方性ポリエ
    ステルからなる共重合ポリエステル繊維。 O−R1−O …(II) O−CH2CH2−O …(III) OC−R2−CO …(IV) (ただし式中のR1 から選ばれた1種以上の基を、R2 から選ばれた1種以上の基を示し、Xは水素原子または
    塩素原子を示す。また構造単位[(II)+(III)]と
    構造単位(IV)は実質的に等モルである。)
  2. 【請求項2】請求項(1)における光学異方性ポリエス
    テルからなる共重合ポリエステルフィルム。
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