JP2579829Y2 - 車輪後退防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、上下２段に自転車を駐
車させることができる自転車の立体駐車装置の上段に駐
車させた自転車の車輪の後退を防止することのできる車
輪後退防止装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、駅周辺や商店街周辺の車道，歩道
等への自転車の違法駐車が増加し、交通や歩行者の安全
性の障害，商業活動の妨害等種々の社会問題が起こって
いる。そこで、このような問題を解決するために限られ
た面積の土地に効率良く自転車を駐車させることのでき
る２段式の自転車駐車装置が開発され、狭い土地に多数
の自転車を駐車することができるようになってきた。上
記した如き２段式の自転車駐車装置、すなわち上段と下
段とに自転車を駐車することができる装置は、例えば図
４に示す如く下段に自転車を駐車することのできるスペ
ースを形成し且つ上段に自転車を駐車できる所定高さに
なるようにフレームに溝形状の固定ガイドレール１を固
定し、この固定ガイドレール１内に移動自在に溝形状の
可動ガイドレール２を挿入されている構造になってい
る。そしてその可動ガイドレール２の後端部の上方に
は、可動ガイドレール２の溝内に案内された自転車が後
退して可動ガイドレール２から脱落することを防止する
ために、或る程度の高さで自転車の後輪の後側周縁と当
接するストッパ９が通常固定されている。

【０００３】このような２段式の自転車駐車装置の上段
に自転車を駐車するには、固定ガイドレール１から可動
ガイドレール２を引き出して図４に示す如く傾斜した状
態にした後、前記ストッパ９を乗り越えるように車輪を
持ち上げる操作を前輪及び後輪それぞれについて行いな
がら可動ガイドレール２の溝内に自転車を前輪側から案
内し、しかる後に可動ガイドレール２をその後端を持ち
上げながら前方に押し出し固定ガイドレール１内に挿入
して上段への自転車の駐車を行うのである。従って、可
動ガイドレール２の溝内に自転車を案内するときには前
輪及び後輪それぞれがストッパ９を乗り越えるように自
転車を持ち上げる作業を伴うので力を要し、特に女性や
子供等非力な者には大変な作業であるという欠点があっ
た。そして可動ガイドレール２の溝内に案内された自転
車は、可動ガイドレール２の後端部の上方に固定されて
いるストッパ９に後輪の後側周縁が当接して係止されて
いるだけで、可動ガイドレール２の溝内を前後方向に簡
単に移動してしまう状態で案内されているのである。従
って、溝内に自転車を案内された可動ガイドレール２を
持ち上げながら前方に押し出して固定ガイドレール１に
挿入する作業を行うときに、自転車が可動ガイドレール
２内を移動して不安定となり固定ガイドレール１内への
可動ガイドレール２の挿入が困難であったり、可動ガイ
ドレール２を急激に降ろしたり誤って手を離したりした
時に自転車が可動ガイドレール２の前後方向へ急激に移
動しその勢いで可動ガイドレール２内から飛び出してし
まったり、また可動ガイドレール２と自転車の後輪との
間で手を挟んで怪我をしたりすることがあり危険である
という問題点があった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】本考案は、上記従来技
術の欠点を解消して、上下２段に自転車を駐車させるこ
とができる自転車の立体駐車装置の上段に自転車を駐車
させるときに、可動ガイドレールの溝内に自転車を容易
に案内することができ且つ可動ガイドレールの溝内に一
旦自転車を案内するとその自転車の後退を防止して自転
車の搬出入作業を安全に行うことができる車輪後退防止
装置を提供することを課題とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案者らはかかる課題
を解決すべく種々検討した結果、所定の高さに固定され
ている溝形状の固定ガイドレール内に移動自在に挿入さ
れている溝形状の可動ガイドレールの後端近傍の底板に
開口部を形成し、この開口部に対応する可動ガイドレー
ルの両側方にその端部が突出して固定されているガイド
部材に係合片を設け、このガイド部材で可動ガイドレー
ルの溝方向両側をガイドされながら前記係合片と係合す
る係合部が形成されている揺動部材の下端部を可動ガイ
ドレールの開口部に鉛直方向に昇降自在に位置せしめら
れている自転車の車輪を受ける車輪受に回転自在に取り
付け、各揺動部材の上端部に自転車の車輪のリム部に当
接するストッパ材を対向して設け、揺動部材に上端部の
対向するストッパ材が離れる方向へばね力を常時作用せ
しめているばねを設ければ、自転車の車輪を可動ガイド
レールの底板に形成された開口部に位置せしめることに
よって自転車の後退を確実に防止することができること
を究明して本考案を完成したのである。

【０００６】以下、図面により本考案に係る車輪後退防
止装置の１実施例について詳細に説明する。図１は本考
案に係る車輪後退防止装置の１実施例を装着された可動
ガイドレールの一部を示す斜視図、図２は本考案に係る
車輪後退防止装置の１実施例を示す説明図であって左半
分は可動ガイドレールの溝方向におけるガイド部材間の
中央部での断面説明図であり右半分はガイド部材の手前
側から見た断面説明図、図３は図２の左側面説明図であ
る。

【０００７】図面中、１は下段に自転車を駐車すること
のできるスペースを形成し且つ上段に自転車を駐車でき
る所定の高さになるようにフレームに固定されている溝
形状の固定ガイドレール、２はこの固定ガイドレール１
内に移動自在に挿入されている溝形状の可動ガイドレー
ルであり、この可動ガイドレール２の底板2aには図１に
示す如く後端近傍に開口部2bが形成されている。

【０００８】３は可動ガイドレール２の底板2aに形成さ
れている開口部2bに対応する位置で可動ガイドレール２
の両側方にその端部が突出した状態に固定されているガ
イド部材であり、図示した実施例の如く縦断面略溝形状
の部材がそのフランジ部をそれぞれ所定の間隔で平行に
してそれぞれ可動ガイドレール２の両側方にその端部が
突出した状態に固定されていたり、縦断面略溝形状では
なくて単なる平板状であったり、それぞれ可動ガイドレ
ール２の上端部と下端部とに所定の間隔で２本の棒状体
が固定されていたりする種々の態様を挙げることがで
き、後述する揺動部材４が少なくとも上部と下部とで距
離を隔てた位置をガイドされ揺動部材４が確実に前後方
向すなわち可動ガイドレール２の溝方向両側でガイドさ
れるように構成されている。またこのガイド部材３に
は、後述する揺動部材４に形成されている係合部4aと係
合する係合片3aが設けられている。

【０００９】４は各ガイド部材３に可動ガイドレール２
の溝方向両側をガイドされた状態でガイド部材３の係合
片3aと係合部4aが係合する板状体や棒状体より成形され
て成る揺動部材であり、この係合部4aは図示した如く揺
動部材４の外縁に所定の形状を成して形成されていた
り、図示しないが揺動部材４が板状体より成形されてい
る場合にはこの板状体に所定の形状を成す確動カムが形
成されていたりすることにより設けられている。ここ
で、ガイド部材３の係合片3aは揺動部材４の係合部4aが
前記したいずれの形態に形成されていてもローラにより
構成されていることが好ましく、係合部4aが後者の確動
カムである場合にはカムフォロアとなる。

【００１０】また、この揺動部材４の上端部には可動ガ
イドレール２の溝内に案内される自転車の車輪８の内側
に位置してこの車輪８のリム部8aに当接するストッパ材
５が対向して設けられており、また下端部は可動ガイド
レール２の開口部2bに鉛直方向に昇降自在に位置せしめ
られていて自転車の車輪８を受ける車輪受７に回転自在
に取り付けられている。自転車の車輪８を受ける車輪受
７は、可動ガイドレール２の溝幅より僅かに狭い幅に形
成されており可動ガイドレール２の溝内に挿入されてい
て、この溝を構成している可動ガイドレール２の側板2c
にガイドされた状態で可動ガイドレール２の開口部2bに
鉛直方向に昇降自在に位置せしめられており、また可動
ガイドレール２の開口部2bに案内されてきた自転車の車
輪８を受ける車輪との当接部分7aが面状に形成されてい
ると車輪８の損傷を効果的に防止できて好ましい。

【００１１】自転車の車輪８のリム部8aに当接するスト
ッパ材５は、車輪８のリム部8aを傷付けないようにゴム
や軟質合成樹脂等の弾性体により形成されていることが
好ましい。またこのストッパ材５は、可動ガイドレール
２の底板2aに形成されている開口部2bに自転車の車輪８
が位置して車輪受７の下降に伴って揺動部材４の下端部
が下降せしめられたときにストッパ材５が可動ガイドレ
ール２の中心線側に移動して車輪８の側面より内側に位
置して車輪８を係止するように、すなわち図２に一点鎖
線で示す如く車輪８のリム部8aに当接し得る位置に設け
られていることが必要である。従って、揺動部材４の係
合部4aの前記所定の形状とは、上方に行くに従って可動
ガイドレール２の側板2cから離れるように傾斜している
と共に、揺動部材４の下端部が車輪受７の下降に伴って
下降するに従ってガイド部材３の係合片3aと接触する位
置が上方に移行し得る形状で、尚且つ車輪受７上に自転
車の車輪が位置していないときにガイド部材３の係合片
3aとの接触状態が安定するような屈曲された形状であ
る。

【００１２】６は揺動部材４に上端部の対向するストッ
パ材５が離れる方向へばね力を作用せしめているばねで
あり、例えば図示した実施例の如く揺動部材４の内縁を
可動ガイドレール２の側板2cから離れる方向に押圧する
薄板ばね６がガイド部材３に設けられていたり、図示し
ないが揺動部材４の下端部の下方位置であって揺動部材
４の対向する端部に引張コイルばねがそれぞれ取り付け
られていたりする態様がある。

【００１３】

【作用】このように構成された本考案に係る車輪後退防
止装置は、車輪受７が可動ガイドレール２の側板2cにガ
イドされた状態で可動ガイドレール２の溝内に位置せし
められていて、この可動ガイドレール２の溝内の開口部
2bに自転車の車輪８が位置していない状態では、車輪受
７の車輪との当接部分7aが可動ガイドレール２の溝内で
最も上昇した状態にある。

【００１４】この状態において、揺動部材４の下端部が
車輪受７に回転自在に取り付けられていると共に揺動部
材４には上端部のストッパ材５が引き離される方向（以
下、開く方向と言う）にばね６によるばね力が作用して
いるので、揺動部材４は車輪受７に回転自在に取り付け
られている下端部を中心に開く方向に回転しようとする
が、車輪受７が最も上昇した状態にある場合に揺動部材
４の係合部4aはガイド部材３の係合片3aとの接触状態が
安定するような屈曲されているので回転できずにその状
態で停止して、揺動部材４の上端部に設けられているス
トッパ材５同士が開いた状態を成すと共に車輪受７の車
輪との当接部分7aが可動ガイドレール２の溝内で最も上
昇した状態を維持するのである。

【００１５】この状態において、自転車の車輪８が可動
ガイドレール２の溝内に案内されてその後端近傍に形成
されている開口部2bに対応して位置する車輪受７の車輪
との当接部分7a上に載置されると、自転車の重量により
車輪受７が下方に移動するに伴って揺動部材４の下端部
が下方に移動すると共に、揺動部材４の所定形状に形成
されている係合部4aがガイド部材３の係合片3aと接触す
る位置を上方に移行しながら係合して揺動部材４の上端
部のストッパ材５同士が可動ガイドレール２の中心線側
に移動する方向（以下、閉じる方向と言う）に移動す
る。

【００１６】すなわち、揺動部材４の係合部4aは上方に
行くに従って可動ガイドレール２の側板2cから離れるよ
うに傾斜しているので、揺動部材４の下端部が車輪受７
の下降に伴って下降するに従ってガイド部材３の係合片
3aと接触する位置が上方に移行し、下降している車輪受
７に回転自在に取り付けられている揺動部材４の下端部
を中心にして揺動部材４は上端部のストッパ材５同士を
閉じる方向にばね６のばね力に抗して回転する。そして
ストッパ材５は車輪受７の車輪との当接部分7a上に自転
車の車輪８が位置したときに、図２に一点鎖線で示す如
く車輪８の内側すなわち車輪８のリム部8aに当接する位
置に位置せしめられるので、車輪８の後退が防止される
のである。

【００１７】可動ガイドレール２の溝内に自転車を駐車
させる場合には、先ず固定ガイドレール１内に挿入され
ている可動ガイドレール２を引き出して後端が下方に位
置するように傾倒せしめ、次いで自転車の前輪を可動ガ
イドレール２の溝内に位置せしめてこの溝に沿って自転
車を押し上げるのである。このとき可動ガイドレール２
の後端部の上方には自転車の後輪の後側周縁と当接して
自転車が後退するのを防止するためのストッパが固設さ
れていないので、自転車を押すだけで容易に可動ガイド
レール２の溝内に案内することができる。

【００１８】このようにして自転車の前輪が可動ガイド
レール２の後端近傍に形成されている開口部2bの位置で
可動ガイドレール２の溝内に挿入されている車輪受７の
車輪との当接部分7a上に載置されると、上記したように
自転車の重量により車輪受７の車輪との当接部分7aが下
降するのに伴って揺動部材４の下端部が下降してガイド
部材３の係合片3aに係合部4aが係合しながら揺動部材４
が上端部のストッパ材５同士を閉じる方向にばね６のば
ね力に抗して揺動部材４の下端部を中心に回転して、自
転車の前輪の内側にストッパ材５が位置せしめられる。
この状態では自転車の前輪のみが可動ガイドレール２内
に案内されているだけであるので更に自転車を可動ガイ
ドレール２の溝に沿って押し込むと、自転車の前輪が開
口部2bから可動ガイドレール２の溝の底板2a上に移動し
て車輪受７の車輪との当接部分7a上から離れるので、ば
ね６の作用によって揺動部材４の係合部4aがガイド部材
３の係合片3aとの接触状態が安定するような屈曲されて
いる部分で接触する方向すなわち対向するストッパ材５
同士が開く方向へ車輪受７に取り付けられている下端部
を中心に回転して揺動部材４の下端部が上昇すると共に
車輪受７が上昇し、ストッパ材５が車輪８のリム部8aか
ら離れる方向に移動する。かくして自転車の前輪を可動
ガイドレール２の前方向に更に押し込むと、ストッパ材
５同士が開いた状態になるので可動ガイドレール２の前
方向に自転車を容易に押し上げることができる。

【００１９】そして更に可動ガイドレール２の溝に沿っ
て自転車を押し込んで後輪が車輪受７の車輪との当接部
分7a上に位置すると、再び自転車の重量により上述した
如く自転車の重量により車輪受７の車輪との当接部分7a
が下降するのに伴って揺動部材４の下端部が下降してガ
イド部材３の係合片3aに係合部4aが係合しながら揺動部
材４が上端部のストッパ材５同士を閉じる方向にばね６
のばね力に抗して揺動部材４の下端部を中心に回転し
て、自転車の後輪の内側にストッパ材５が位置せしめら
れる。この状態において自転車が後退しようとすると、
ストッパ材５が後輪のリム部8aに当接して自転車の後退
が防止されるのである。

【００２０】ここで、ガイド部材３の係合片3aがローラ
により構成されていると、この係合片3aに係合部4aが係
合しながら揺動部材４が移動するときに係合片3aと係合
部4aとの摩擦抵抗が少なく揺動部材４を円滑に揺動させ
ることができる。更にこのローラが、ゴムや合成樹脂よ
り形成されていれば消音効果が得られる。

【００２１】自転車の車輪８が載置される車輪受７は、
揺動部材４が上方向又は下方向に移動しながら下端部を
中心として回転しても車輪との当接部分7aは回転するこ
と無く単に昇降するだけであるので、車輪受７の車輪と
の当接部分7aと車輪８との間での摩擦抵抗が少なく車輪
８の損傷が防止され、この車輪との当接部分7aが面状に
形成されていると更に効果的に車輪８の損傷が防止され
る。このように自転車の後輪の後退を防止した状態とし
て、可動ガイドレール２の後端を持ち上げながら押し出
して固定ガイドレール１内に可動ガイドレール２を挿入
することによって自転車の駐車が完了する。

【００２２】また自転車を搬出する場合には、先ず自転
車が駐車されている可動ガイドレール２を固定ガイドレ
ール１から引き出して後端が下方に位置するように傾斜
した状態とする。このとき自転車の後輪が車輪受７の車
輪との当接部分7a上に位置してストッパ材５が車輪８の
リム部8aに当接して車輪８の後退が防止された状態にあ
るので、可動ガイドレール２を傾斜させたときに衝撃が
生じても可動ガイドレール２からの車輪８の脱落が防止
される。次いで、車輪８の後退が防止された状態を解除
する。この車輪８の後退を防止された状態を解除するに
は、車輪８を持ち上げることによって車輪受７を上昇さ
せ、対向するストッパ材５同士が開く方向へ揺動部材４
を回転させれば良い。

【００２３】すなわち、自転車の前輪が車輪受７の車輪
との当接部分7a上から離れるので、ばね６の作用すなわ
ち図示した実施例では揺動部材４の内縁を可動ガイドレ
ール２の側板2cから離れる方向に押圧している薄板ばね
６の作用によって、この揺動部材４の下端部を中心とし
て揺動部材４の上側がストッパ材５同士を開く方向へ回
転しようとするが、揺動部材４の係合部4aはガイド部材
３の係合片3aに係合しているので揺動部材４の下端部が
上昇し、この上昇に伴って揺動部材４が回転して揺動部
材４の係合部4aがガイド部材３の係合片3aとの接触状態
が安定する位置に到達して上端部の対向するストッパ材
５同士を開いた状態となるのである。

【００２４】そして対向するストッパ材５同士が開いた
状態で可動ガイドレール２の底板2aの後端近傍に形成さ
れている開口部2bから外れる位置まで車輪８を僅かに後
退させて後、可動ガイドレール２の溝に沿って自転車を
後退せしめて行くと今度は前輪が車輪受７の車輪との当
接部分7a上に位置して前輪の後退が防止されるので、再
びこの前輪を持ち上げながらストッパ材５を開いた状態
にせしめて自転車を後退させるのである。このとき可動
ガイドレール２の後端部の上方には自転車の後輪の後側
周縁と当接して自転車が後退するのを防止するためのス
トッパが固設されていないので、ストッパ材５同士を開
いた状態とし得る高さに自転車の前輪及び後輪を僅かに
持ち上げるだけで自転車を可動ガイドレール２から容易
に搬出することができるのである。

【００２５】

【考案の効果】以上に詳述した如く本考案に係る車輪後
退防止装置は、自転車の車輪を車輪受の車輪との当接部
分上に位置させるだけで車輪のリム部に当接するストッ
パ材同士を閉じた状態にして車輪の後退を防止できるの
で、可動ガイドレールの溝に沿って自転車を案内させる
ときには自転車の前方への移動を容易に行うことがで
き、且つ自転車を可動ガイドレールの溝内に案内した後
には車輪の後退を確実に防止することができ、また可動
ガイドレールの後端部の上方に自転車の後輪の後側周縁
と当接して自転車が後退するのを防止するためにストッ
パを固設する必要が無いので自転車を容易に可動ガイド
レールの溝内に案内することができる。そして、車輪受
の車輪との当接部分又は揺動部材の下端に載置されてい
る後輪又は前輪を僅かに持ち上げるだけでストッパ材同
士は開くので、自転車の搬出を容易に行うことができ
る。

【００２６】更に揺動部材の下端部が回転自在に取り付
けられている車輪受の車輪との当接部分が面状を成して
形成されている場合には、この車輪受の車輪との当接部
分は揺動部材が揺動しても回転すること無く単に昇降す
るだけで、車輪受の車輪との当接部分と車輪との間の摩
擦によって車輪が損傷することがない。そして対向する
揺動部材の下端部がいずれも一つの車輪受に回転自在に
取り付けられているので、揺動部材が対称的に揺動して
ストッパ材に係止されている自転車の後輪のガタツキを
防止することができる。また手間のかかる溶接作業は、
ガイド部材を可動ガイドレールに固定するときにのみ行
うだけであるから組立作業が容易である。

【００２７】このように可動ガイドレールの溝内に自転
車を容易に案内することができ且つ自転車の後退を確実
に防止して自転車の搬出入作業を安全に行うことができ
る本考案に係る車輪後退防止装置は、その実用的価値の
非常に大きなものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る車輪後退防止装置の１実施例を装
着された可動ガイドレールの一部を示す斜視図である。

【図２】本考案に係る車輪後退防止装置の１実施例を示
す説明図であって左半分は可動ガイドレールの溝方向に
おけるガイド部材間の中央部での断面説明図であり右半
分はガイド部材の手前側から見た断面説明図である。

【図３】図２の側面説明図である。

【図４】従来の自転車駐車装置を示す縦断面説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 固定ガイドレール ２ 可動ガイドレール 2a 底板 2b 開口部 2c 側板 ３ ガイド部材 3a 係合片 ４ 揺動部材 4a 係合部 ５ ストッパ材 ６ ばね ７ 車輪受 7a 車輪との当接部分 ８ 車輪 8a リム部 ９ ストッパ

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定の高さに固定されている溝形状の固
   定ガイドレール(１)内に移動自在に挿入されている溝形
   状の可動ガイドレール(２)の後端近傍の底板(2a)に開口
   部(2b)を形成されており、該開口部(2b)に対応する可動
   ガイドレール(２)の両側方にその端部が突出して固定さ
   れているガイド部材(３)に係合片(3a)が設けられてお
   り、該ガイド部材(３)の係合片(3a)と係合する係合部(4
   a)が形成されている揺動部材(４)が、該ガイド部材(３)
   により可動ガイドレール(２)の溝方向両側をガイドされ
   た状態で該可動ガイドレール(２)の開口部(2b)に鉛直方
   向に昇降自在に位置せしめられていて自転車の車輪(８)
   を受ける車輪受(７)にその下端部を回転自在に取り付け
   られており、各揺動部材(４)の上端部にそれぞれ可動ガ
   イドレール(２)の溝内に案内される自転車の車輪(８)の
   リム部(8a)に当接するストッパ材(５)が互いに対向して
   設けられており、揺動部材(４)に上端部の対向するスト
   ッパ材(５)が離れる方向へばね力を常時作用せしめてい
   るばね(６)が設けられていることを特徴とする車輪後退
   防止装置。
2. 【請求項２】 揺動部材(４)の係合部(4a)が係合するガ
   イド部材(３)の係合片(3a)が、ローラにより構成されて
   いる請求項１に記載の車輪後退防止装置。
3. 【請求項３】 可動ガイドレール(２)の溝内に案内され
   る自転車の車輪(８)を受ける車輪受(７)の車輪との当接
   部分(7a)が面状である請求項１又は２に記載の車輪後退
   防止装置。