JP2579699B2 - ペプチドの可溶化および合成方法 - Google Patents

ペプチドの可溶化および合成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はペプチドの可溶化方法、および液相における
ペプチドの合成方法に関する。
ペプチドの合成方法は文献に多数記載されている。こ
れらは次の共通点をすべて有する。すなわち ペプチド合成の終りに分離できる保護基で、アミノ酸
の側鎖の官能基を保護し、 アミノ酸縮合の後に分離できる保護基で、前記アミノ
酸のアミド官能基(Nα)を保護し、 前記保護されたアミノ酸のカルボン酸官能基を活性化
し、次にこれを、末端Cの官能基が保護されており、か
つアミノ基が遊離しているペプチドまたはアミノ酸と、
縮合させ、 すべてのアミノ酸を縮合した後に、すべての保護基を
分離してペプチドを得る。
多様な合成方法は、合成されるときの相の物理的状
態、すなわち液相または固相であるかによって相違す
る。
液相の前記合成方法は、すべての反応を均質相で行
う。
Journal of American Chemical Society 81,5688−56
91(1959)に記載するBodanskyおよびdu Vigneaudの方
法は、出発物質のアミノ酸をメチル基で保護し、アミン
官能基をベンジルオキシカルボニルで保護し、かつカル
ボキシル官能基をニトロフェニルエステルで活性化した
後に、アミノ酸を1個ずつ順次縮合させる。順次生成す
る中間体は析出または洗浄によって精製する。この技術
は微妙でかつ長い多数の合成工程を必要とし、そのため
生成物が多量に損失することを避けられない。それ故、
Helvetica Chemica Acta,49,134−158(1966)に記載す
るSchwyzerおよびSieberがこの技術によって得たACTHの
収率はわずかに6.85%である。
Rec.Trav.Chim.Pays Bas 92,481(1973)に記載するB
eyermannおよびCollの合成方法は前記方法を、カルボキ
シル基がベンジル基で保護されているアミノ酸またはペ
プチドから出発して、保護されたアミノ酸の無水物を過
剰に存在させて結合させることによって、収率を増加さ
せる。従って、操作の数は前記方法と同様に多く、かつ
アミノ酸の数が4または5を超えると、生成したペプチ
ドは有機媒質中で溶解度を失うことが多い。
ある液相の合成方法は、原料のペプチドまたはアミノ
酸を保護するさらに手の込んだ溶解性保護剤を使用す
る。従って欧州特許0017536は、保護基としてフェニル
アゾベンジルスルホニルエチルオキシ(OPSE)を記載す
る。この基は、生成したペプチドをジメチルホルムアミ
ド中で可溶性とし、他の有機溶剤中と同様に水中におい
ては不溶化する。この合成は、新規なアミノ酸を加える
前に、生成した各ペプチド中間体を常に1つずつ析出さ
せて行う。これは固体の濾過工程において問題を提起す
る。この方法は、前述の方法と同様に、アミノ酸の数が
多いペプチドを溶液としておくことができない。
液相方法のうち、分枝状でない直鎖のポリマー、たと
えばポリエチレングリコールを使用して、アミノ酸を溶
液とする方法を、Nature237,512(1972)のMutterおよ
びBayerが開示する。これは超遠心分離または析出によ
って副生物を除去する。
前記固相合成方法のうち、Journal of American Chem
ical Society 85,2149〜2154(1963)のMerri−fieldの
方法は、最初のアミノ酸または最初のペプチド基の末端
Cのカルボキシル官能基を不溶性の担体に固定する。こ
れらの結合および洗浄は標準化して自動化することがで
きる。この技術は今日でも費用がかかる。なぜならば、
合理的な時間における合成中にすべてのペプチド鎖を変
換するように、大過剰の反応剤を使用する必要があるか
らである。生成したペプチドの純度および均質性は、理
想から遠いものであり、不完全なペプチド鎖からなる副
生物は反応の終りに除去しなければならない。実際最終
状態での精製が困難であり、他方、中間体の状態での精
製は、不可能である。それは精製に、高圧液体クロマト
グラフィーのように高価であり、準備するのに込み入っ
た技術および複雑な装置を必要とするためである。
この技術を工業的段階に応用する課題は、撹拌反応器
でも固定床でも大量の樹脂の処理が困難であるので、今
日まで解決されていない。
本発明は、従来技術において懸案となっていた問題の
大部分を解決することができる。
本発明によって、非水性液相における合成、および精
製できるペプチドの可溶化の方法を見出すことができ
た。
保護または塩化されていてもよいペプチドを、水と混
和しない有機溶媒中で可溶化する方法は、このペプチド
のC末端基を、アミドまたはエステル結合を介して親油
性基に結合し、この親油性基は、L−セリンに結合して
いるとき、25℃の水中における溶解度が30g/未満であ
る分子を与え、かつ化学的に規定されていて非重合性の
ものである。
水と混合しない有機液相でペプチドを合成することが
できる親油性基は、好ましくは単位AおよびLが相互に
共有結合したものであり、単位Aを介してペプチドに共
有結合する。
ペプチド−CO−A−L (式中、二官能性連結基を表す、 単位Lは単位A−Lの親油性部分を表す) 単位Lはいかなる場合でも重合しない。これは炭化水
素基が好ましく、ハロゲンを含んでもよい。そして次の
一般式に対応する。
C(a)H(b)O(c)N(d)S(e)Si(f)X(g) (式中、aは1〜50の整数、 bは3〜101の整数、 cは0〜6の整数、 dは0〜2の整数、 eは0〜2の整数、 fは0〜2の整数、 gは0〜20の整数であり、 Xはフッ素、塩素および臭素から選ぶハロゲンを表す) 単位Lを表すことができる組合せのなかで、aが6よ
り大きく、さらに12より大きい整数を表すものが好まし
く、gが2より大きい整数を表すものが好ましい。
単位Aはさきに規定したように、二官能性連結基を表
し、その一端に少なくともアルコールまたはアミン
(B)の官能基を有し、他端にカルボニル官能基または
エーテル官能基を有する。これは次の一般式で表すこと
ができる。
{式中、 Bが、ヒドロキシ基から誘導された酸素又はアミノ基
から誘導されたアミドを表し、 Arが、単環又は多環の芳香族基を表し、 R1は共有結合基であって、炭素原子1〜4個を含むア
ルキレン基を表し、フェニル基またはアルキレンカルボ
ニル基で置換されていてもよく、R2は共有結合基であっ
て、炭素原子1〜4個を含むアルキレン基を表し、アル
キレン鎖中に炭素原子1〜4個を含むオキシアルキレン
基または酸素原子で置換されていてもよく、 k,mおよびnは0または1の整数、 pは1または2の整数である}。
本明細書において、2つの単位AおよびLは、次式に
対応する単一の基を表すことができる。
−B−R1−Ar′または−B−CH(3-4)−Ar″(q) (式中、BおよびR1は前記規定と同じく、 Ar′は多環式芳香族基を表し、 Ar″はベンゼン基を表し、qは2または3の整数であ
る) 単位Aのうち、次式の基をあげることができる。
−O−CH2−CO−O− (式中、D1およびD2はそれぞれO,CO,CH2O,CH2CO,OCOの
原子または基から選ぶ同一または異なる基を表し、D1
たはD2はHを表す) D1またはD2は上記と同じ。
D1またはD2は上記と同じ。
親油性単位Lのうち、次式の基をあげることができ
る。
(式中、D3は炭素原子1〜12個を有するアルキル基を表
す) (式中、D4はアリール基またはアルアルキル基を表す) 親油性基と結合して可溶性となるペプチドの溶媒は水
と混和しない有機溶媒であって、たとえばハロゲン化脂
肪族誘導体、特に塩化メチレン、芳香族誘導体たとえば
アニソールまたはクロロベンゼン、エステルたとえば酢
酸エチルである。
可溶化方法は特に有機相におけるペプチドの溶解度を
大きくすることができる。たとえば濃度50g/以上の均
質な溶液を得ることができる。
本発明の他の利益は、さきに定義した単位A−Lに結
合したペプチドを、水の存在で傾斜分離するときに、有
機相についての分離係数が大きいことである。
この性質は水洗によるペプチドの精製に有利である。
また本発明は、保護されていてもよいペプチドを液体
媒質中で合成する方法であって、さきに定義した単位A
−Lによって有機媒質に可溶化されて、出発物質のアミ
ノ酸またはペプチドのカルボキシル官能基に結合された
アミノ酸またはペプチドから出発すること、および酸官
能基を活性化され、アミン官能基または分枝鎖を保護さ
れた縮合すべきアミノ酸またはペプチドを加えることを
特徴とする。
アミノ酸のアミン官能基の保護は、イソブチルオキシ
カルボニルのような基でアミノ酸の官能基の水素原子を
置換するか、またはたとえばβ−ジカルボニル化合物で
アミン官能基と反応させるDANEの塩の生成によって行う
ことができる。
窒素が保護されたアミノ酸またはペプチドの活性化
は、酸塩化物による混合無水物の生成か、クロロギ酸ア
ルキルによる混合無水物の生成か、カルボジイミドによ
る対称性無水物の生成か、古典的な合成技術によって活
性化されたエステルの生成か、あるいは窒素が保護され
たアミノ酸の他のすべての活性化技術によって行うこと
ができる。
本発明の利益は、さきに定義した親油性基A−Lに結
合されたペプチドが常に溶液の状態を保つ有機媒質中
で、反復性かつ生産性をもって合成できることである。
窒素が保護されているか否かに拘らず、各中間体である
ペプチド−A−Lは有機溶媒に溶解している。
本発明の他の重要な利益は、有機相から、過剰の反応
剤および合成副生物を、次のような単なる水洗によって
除去できることである。縮合工程の後に、生成物たとえ
ば活性化されたアミノ酸またはペプチドの過剰、および
塩、酸、アルコールまたは合成されたペプチド鎖に結合
していない他のすべての反応副生物を除去し、脱保護工
程の後に、所望の官能基の開放剤、および窒素基保護剤
が分離して生成する副生物を除去できる。
このように、本発明の方法は、従来技術で必要であっ
た、析出によるすべての精製工程を省略することができ
る。
合成中にペプチドの純度をモニタすることは、単に試
料を採取して、すべての技術たとえば高圧液体クロマト
グラフィー、プロトンまたは炭素の核磁気共鳴、電位差
測定、質量スペクトル分析によって、すべての工程で行
うことができる。
本発明の方法は、それぞれのアミノ酸を加えるとき
に、縮合および脱保護の操作が単純であるので、反復性
を有する操作でペプチドを合成することができる。
合成が反復性を有するので、この方法は自動化して実
施できる利益を有する。
最後に、ペプチドの最初の連続の合成が終ったとき
に、ペプチドを保護剤の基および可溶化基A−Lから分
離することは、水和、水添分解またはペプチド合成で使
用される他のすべての脱保護方法によって行うことがで
きる。
この方法は、特にアミノ酸を分子鎖に有する親水性基
の担体または親水性ペプチド、たとえばアルギニン、グ
ルタミン、アスパラギン、セリン、トレオニン、グリシ
ンの合成に有用である。
この合成によるペプチドは、薬剤、ワクチン、農業肥
料または植物用薬剤の合成にも使用される。
次の実施例によって本発明をさらに説明するが、これ
が本発明を限定するものと考えてはならない。
I.可溶化剤の基A−Lを得る反応剤の合成 例1 4−フェニルベンジルの3−クロロメチル安息香
酸エステルの調製 500mlの三口フラスコに下記を導入した。
ビフェニルメタノール 40g (0.217モル) トルエン 150 ml 3−クロロメチルベンゾイル塩化物42.9g(0.227モル) 混合物を撹拌して40℃に加熱し、10分間でN−メチル
モルホリン25ml(0.227モル)を加えた。
反応媒質の温度は自発的に60℃に上昇し、次に2時間
30分80℃で加熱した。
最終反応混合物を傾斜用フラスコに移し、酢酸エチル
を加えて1に希釈した後に、N−塩酸450ml、次にN
−炭酸水素ナトリウム水溶液400ml、次に水で中性にな
るまで洗浄した。
溶媒の蒸留は固体残渣を得るまで行い、この固体をメ
タノール1.6中で加熱し冷却して結晶とした。
3−クロロメチル安息香酸の4−フェニルベンジルエ
ステルを収率81%(59.5g)で得、これは融点102℃の白
色固体であった。
この構造は質量スペクトル分析およびプロトン核磁気
共鳴(360MHz)で確めた。
Merck 60F 254シリカ板上の薄層(CCM)上のクロマト
グラフィー分析は、次の2つの溶出剤の系で、それぞれ
単一の点を示した。
酢酸エチル/シクロヘキサン(2/5)Rf=0.7 ヘキサン/アセトン(4/1)Rf=0.6 例2〜14 例1と同様の操作によって次の化合物を調製した。
例2 3−クロロメチル安息香酸−3−フェノキシベン
ジル 外観:油状 収率:94% 例3 3−クロロメチル安息香酸−9−メチレンアント
ラシル 外観:固体、融点148℃(メタノール再結晶) 収率:82% 例4 3−ブロロメチル安息香酸−4−フェニルベンジ
ル 外観:固体、融点63〜65℃ 収率:26% 例5 3−クロロメチル安息香酸−4−イソブチルベン
ジル 外観:油状 収率:47% 例6 3−クロロメチル安息香酸−2,4−ジクロロベン
ジル 外観:固体、融点75℃(アセトン+水で再結晶) 収率:75% 例7 3−クロロメチル安息香酸コレステリル 外観:固体、融点122℃(ジクロロメタン+メタノール
で再結晶) 収率:78% 例8 3−クロロメチル安息香酸フィチル 外観:油状 収率:53% 例9 3−クロロメチル安息香酸−2,2,3,3,4,4,4−ヘ
プタフルオロブチル 外観:油状 収率:79% 例10 3−クロロメチル安息香酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,
6,7,7,8,8, 8−ペンタデカフルオロオクチル 外観:油状 収率:81% 例11 クロロ酢酸コレステリル 外観:結晶 収率:72% 例12 クロロ酢酸−2,2,3,3,4,4,4,−ヘプタフルオロブ
チル 外観:液体、沸点80℃(2660Pa) 収率:20% 例13 クロロ酢酸2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペ
ンタデカフルオロオクチル 外観:油状 収率:72% 例14 クロロ酢酸−4−(3′,5′−ジクロロフェノキ
シ)ベンジル 外観:油状 収率:97% II.多様な、窒素が保護されたペプチド−A−Lまたは
アミノアシル−A−Lの合成 例15 3−メチル安息香酸−4−ヒドロキシメチルビフ
ェニルとN−イソブチルオキシカルボニル−L−ロイシ
ンとのエステルの合成 500mlの三口フラスコに、下記を順次導入した。
N−イソブチルオキシカルボニル−L−ロイシンのカリ
ウム塩 15 g(0.056モル) 乾燥DMF 180 ml 乾燥DMF100mlに溶解した3−クロロメチル安息香酸−4
−ヒドロキシメチルビフェニル 14.905g(0.044モル) ヨウ化ナトリウム 1.5 g この混合物を撹拌して75℃に保った。2時間反応させ
た後に、酢酸エチル490mlを加えた。
有機溶液を、水100mlで2回、KHCO3希釈溶液(pH8.
5)200ml、水200ml、KHSO4溶液(pH2)200ml、および水
200mlで順次洗浄した。
有機相はNa2SO4で乾燥した後に、濾過し、蒸留して油
状生成物を収率100%で得た。
生成物の構造を質量スペクトル分析およびプロトン核
磁気共鳴(360MHz)によって確めた。
シリカ板上の薄層上のクロマトグラフィーによる分析
の結果、次の溶出系で単一の点を示した。
酢酸エチル/ヘキサン(2/5)Rf=0.66 例16〜22 例15と同一の操作によって次の化合物を調製した。
例16 外観:油状 収率:98% 例17 外観:油状 収率:95% 例18 外観:油状 収率:100% 例19 外観:白色粉末 収率:100% 例20 外観:白色粉末 収率:77.5% 例21 外観:油状 収率:100% 例22 外観:粉末 収率:70% 例23 外観:白色粉末 融点:215℃ 例24 外観:白色粉末 融点:240℃ 例25 外観:白色粉末 III.多様なアミノアシル−A−Lの合成 例26 L−ロイシンの(3−メチル安息香酸−4−ヒド
ロキシメチルビフェニル)エステル塩酸塩の合成 250mlの三口フラスコに下記を順次導入した。
N−イソブチルオキシカルボニル−L−ロイシンの3−
メチル安息香酸−4−ヒドロメチルビフェニルエステル
24.6g(0.044モル) ジクロロメタン 100 g 次に、この混合物を撹拌しながら、常温で1時間30分
乾燥塩酸ガスをバブリングさせた。
次に、窒素ガスを20分間通して脱気した。
反応混合物を蒸発させて体積50mlとし、次にエチルエ
ーテル200mlを加えて析出させた。
濾過して得られた生成物は19.3g(0.0413モル)で、
収率は94%であった。これは白色粉末で、融点は121〜1
22℃であった。
生成物の構造は、質量スペクトル分析およびプロトン
核磁気共鳴(360MHz)によって確めた。
シリカ板上の薄層上のクロマトグラフィー分析は、次
の溶出系で単一の点を示した。ジクロロメタン/メタノ
ール/酢酸(90/10/5)Rf=0.55。
例27〜29 例26と同様な操作で次の化合物を調製した。
例27 外観:油状 収率:98% 例28 外観:白色粉末 収率:98% 例29 外観:白色粉末 収率:80% IV.式(L)−セリル−A−Lの分子の水中溶解度判定 例30 親油性基A−Lは、L−セリンと結合するときに、常
温の水中溶解度が30g/未満である分子を生成する。
式(L)−セリル−A−Lの分子の合成 式HC・(L)−セリル−A−Lの塩酸塩は例26〜29
記載の方法によって得られ、これをジクロロメタンに溶
解した。この溶液に常温でアンモニアガスを通し、得ら
れた塩化アンモニウム沈澱を急速に濾過し、次に瀘液を
極めて減圧で濃縮した。濃縮した後に得られた生成物は
直ちに常温で15分間水中で粉砕した後に、濾過した。
式(L)−セリル−A−Lの生成物の溶解度を瀘液中
で測定した。
式(L)−セリル−A−Lの分子の溶解度 L−セリンの3−ヒドロキシメチル安息香酸−4−ヒド
ロキシメチルビフェニルエステル 25℃の水中溶解度:0g/(不溶) L−セリンの3−ヒドロキシメチル安息香酸ベンジルエ
ステル 25℃の水中溶解度:0.2g/ L−セリンの3−ヒドロキシメチル安息香酸−3−フェ
ノキシベンジルエステル 25℃の水中溶解度:0.75g/ 比 較 L−セリンのメチルエステル 25℃の水中溶解度:>100g/ L−セリンのベンジルエステル 25℃の水中溶解度:>100g/ V.ペプチドのカルボキシル官能基の親油性保護基の有機
溶媒中の可溶化効果 親油性基の可溶化効果は、前述の溶解度測定によって
確めた。モデルのペプチドは特に親油性ペプチドのN−
イソブチルオキシカルボニルペンタグリシンとした。
VI.親油性基A−Lによる濃縮有機媒質中のペプチド合
成 ぺンタペプチドロイシンエンセファリンL−チロシル
グリシル−グリシル−L−フェニルアラニル−L−ロイ
シンの合成 親油性基A−Lとして、3−メチル安息香酸−4−ヒ
ドロキシメチル−4−ビフェニルで、構成するアミノ酸
のアミン官能基の保護基としてイソブチルオキシカルボ
ニル基、で合成する。
例31 例31a:N−イソブチルオキシカルボニル−L−フェニル
アラニル−L−ロイシンの3−メチル安息香酸−4−ヒ
ドロキシメチルビフェニルのエステルの合成 500ml三口フラスコに下記を順次導入した。
N−イソブチルオキシカルボニル−L−フェニルアラニ
ン 10.33g(0.039モル) ジクロロメタン 75 ml 溶解後、反応媒質の温度を−5℃に下げ、撹拌しなが
ら、N−メチルモルホリン4.29ml(0.039モル)および
ピバロイル塩化物4.46ml(0.036モル)を順次加えた。
4時間反応させた後に、L−ロイシンの3−ヒドロオ
キシメチル安息香酸−4−ヒドロキシメチルビフェニル
エステル塩酸塩14.018g(0.030モル)、次にN−メチル
モルホリン3.3ml(0.030モル)を加えた。
2時間反応させた後に、反応混合物を下記のように順
次洗浄した。
水25ml×2(pH5.8〜6.44) 希釈KHCO3水30ml×3(pH8.2〜8.3) 水30ml×2(pH7.3〜7.2) H2SO4 30ml×2(pH3.89〜3.35) 希釈NaC水30ml×2(pH6.7〜6.5) 標準に対して測定した生成物の収率は100%であっ
た。
シリカ板上の薄層上のクロマトグラフィー分析の結
果、酢酸エチル/ヘキサン(2/5)の溶出系でRf=0.38
の単一の点を示した。
生成物の構造は質量スペクトル分析およびプロトン核
磁気共鳴によって確め、その純度は高圧液体クロマトグ
ラフィー(CLHP)によって確めた。
例31b:L−フェニルアラニン−L−ロイシンの3−ヒド
ロオキシメチル安息香酸−4−ヒドロキシメチルビフェ
ニルエステル塩酸塩の合成 例31で抽出後に得られた生成物は、ジクロロメタンの
減圧下で蒸留して乾燥した。最終の体積は150mlに減少
した。
常温で、この溶液に乾燥塩化水素を1時間45分バブリ
ングさせた。次にこの溶液に乾燥窒素を1時間バブリン
グさせて、反応混合物を脱気した。
反応混合物は減圧で濃縮して、体積を75mlとした。
シリカ板上の薄層上のクロマトグラフィーによって生
成物の純度を確めた。ジクロロメタン/メタノール(90
/10)の溶出系でRf=0.8であった。
CLHP分析の結果、N−イソブチルオキシカルボニル基
の結合は定量的(100%)であった。
酢酸エチル/エチルエーテル系で析出した生成物の試
料は融点が167〜169℃であった。
例31c:N−イソブチルオキシカルボニルグリシル−グリ
シル−L−フェニルアラニル−L−ロイシンの3−ヒド
ロキシメチル安息香酸−4−ヒドロオキシメチルビフェ
ニルエステルの合成 500mlの三口フラスコに、下記を順次導入した。
N−イゾブチルオキシカルボニル−グリシル−グリシン
5.1g(0.022モル) ジクロロメタン 75 ml 溶解した後に、反応媒質の温度を−5℃に下げ、撹拌
しながら、N−メチルモルホリン2.4ml(0.022モル)お
よびピバロイル塩化物2.7ml(0.0176モル)を順次加え
た。
2時間反応させた後に、−5℃で撹拌しながら、例31
bで得られたL−フェニルアラニル−L−ロイシンの3
−ヒドロキシメチル安息香酸−4−ヒドロキシメチルビ
フェニルエステル塩酸塩の溶液の一部(ジクロロメタン
40ml中の0.0147モル)、を加え、次にN−メチルモルホ
リン1.62ml(0.0147モル)を加えた。
2時間30分反応させた後に、撹拌しながら反応混合物
を下記で順次洗浄した。
希釈H2SO4 30ml(pH3.5) 水30ml×2(pH4.5〜3.6) 希釈NaOH 30ml×2(pH8.6〜7.3) 水30ml×2(pH6.8〜6.1)。
シリカ板上の薄層上のクロマトグラフィー分析の結
果、ジクロロメタン/メタノール(90/10)の溶出系でR
f=0.6であり、単一の生成物であることを確めた。
生成物の構造は、質量スペクトル分析およびプロトン
核磁気共鳴(360MHz)によって確め、純度は高圧液体ク
ロマトグラフィー(CLHP)分析によって確めた。
例31d:グリシル−グリシル−L−フェニルアラニル−L
−ロイシンの3−メチル安息香酸−4−ヒドロオキシメ
チルビフェニルエステルの合成 例31cで抽出した後に得られた溶液を、減圧下のジク
ロロメタンで蒸留して乾燥させた。最終体積は75mlに減
少した。
常温で、溶液に乾燥塩化水素を1時間30分バブリング
させた。次にこの溶液に乾燥窒素を1時間バブリングさ
せて反応混合物を脱気した。
こうして得られた溶液の生成物収率は100%であっ
た。
生成物の純度はシリカ板上の薄層上のクロマトグラフ
ィーおよびCLHPによって確めた。
例31e:N−イソブチルオキシカルボニル−L−チロシル
−グリシル−グリシル−L−フェニルアラニル−L−ロ
イシンの(3−メチル安息香酸−4−ヒドロオキシメチ
ルビフェニル)エステル合成 250mlの三口フラスコに下記を順次導入した。
N−イソブチルオキシカルボニル−L−チロシン 5.26g ジクロロメタン 40 ml 溶解した後、反応媒質の温度を−15℃に下げ、撹拌し
ながら、N−メチルモルホリン2.23ml(0.02モル)およ
びクロロギ酸イソブチル2.5ml(0.019モル)を順次加え
た。
10分間反応させた後に、この溶液を例31dで得られた
グリシル−グリシル−L−フェニルアラニル−L−ロイ
シンの3−メチル安息香酸−4−ヒドロオキシメチルビ
フェニルエステル塩酸塩の(0.0135モル)のジクロロメ
タン溶液40mlに、−15℃で撹拌しながら加え、次にN−
メチルモルホリン(0.0135モル)1.5mlを加えた。
4時間反応させた後に、撹拌しながら反応混合物を下
記のように順次洗浄した。
希釈H2SO4 50ml(pH6.6) 希釈H2SO4 25ml(pH2.2) 水40ml×2(pH4.3〜3.8) 希釈KHCO3 40ml(pH8.1) 水40ml×2(pH7.9〜6.9) 有機相を蒸発乾涸してメリング状の白色固体14.4gを
得た。
シリカ板上の薄層上のクロマトグラフィー分析で単一な
生成物であることを確めた。
生成物の構造は、質量スペクトル分析およびプロトン
核磁気共鳴(360MHz)によって確め、純度は高圧液体ク
ロマトグラフィー(CLHP)によって確めた。
例31f:N−イソブチルオキシカルボニル−L−チロシル
−グリシル−グリシル−L−フェニルアラニル−L−ロ
イシンの合成 100mlの三口フラスコに、N−イソブチルオキシカル
ボニル−L−チロシル−グリシル−グリシル−L−フェ
ニルアラニル−L−ロイシンの3−メチル安息香酸−4
−ヒドロキシメチルビフェニルエステル5gをメタノール
15ml中に懸濁させた。
N−Na2CO3 15.7mlとアセトニトリル15mlとを加え
た。
4時間反応させた後に、エチルエーテル20mlを加え
た。
水相を傾斜分離し、エチルエーテル20ml×2で洗浄し
た後、5%KHSO4溶液でpH3の酸性とした。
酢酸エチル/エチルエーテル(75/5)混合液でN−イ
ソブチルオキシカルボニルペンタペプチドを抽出した。
有機相75mlを水30ml×2で洗浄した(pH4.0〜5.0)。
最終の有機相はメスフラスコで100mlに希釈して、純
粋な照合用標準に対比してCLHPで測定した。
抽出および酸化をした後の収率はL−ロイシンの3−
メチル安息香酸−4−ヒドロキシメチルビフェニルエス
テル塩酸塩に対して94.5%であり、各工程における収率
が99%を超えることを示した。
測定した後に、有機溶液を濃縮し、強い減圧下で乾燥
した。得られた残渣は3.5gで、収率は100%であった。
これをイソプロピルアルコールに溶解した後に、ジイソ
プロピルエーテルを加えて析出させた。
この操作を2回反復して、終りに粉末2.42gを得、純
粋に分離した生成物の収率は71%であった。
生成物の純度はCLHP、プロトン核磁気共鳴(360MHz)
および質量スペクトル分析によって確めた。
例31g:L−チロシル−グリシル−グリシル−L−フェニ
ルアラニル−L−ロイシンのトリフルオロ酢酸エステル
の合成 50mlの三口フラスコに、例31fで調製した、N−イソ
ブチルオキシカルボニル−L−チロシル−グリシル−グ
リシル−L−フェニルアラニル−L−ロイシン2.12g
(2.78モル)を常温で、ジクロロメタン/アニソール
(50:50体積比)混合液10mlおよびトリフルオロ酢酸5ml
に溶解した。
1時間撹拌して溶解した後に、溶液を減圧下で濃縮し
た。
生成物を純度100%の照合用試料に対して測定した。
分離した後の収率は100%であり、測定した生成物は
2.78ミリモルであった。
次に、測定した溶液を親油性として白色粉末1.72gを
得た。回収した生成物の最終収率は、N−イソブチルオ
キシカルボニル−L−チロシル−グリシル−グリシル−
L−フェニルアラニル−L−ロイシンに対して92.5%で
あった。
生成物の純度はCLHP、プロトン核磁気共鳴および質量
スペクトル分析によって確めた。
最終生成物の元素分析の結果は C=53.1% H=5.7% N=9.9% F=8.1% であり、粗分子式は C28H37O7N5,CF3COOH,2H2O であった。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】保護又は塩化されることができるアミノ酸
    又はペプチドを水と混和しない有機溶媒中に可溶化する
    方法であって、 そのアミノ酸又はペプチドのC−末端カルボキシル基が
    そのC−末端カルボキシル基から誘導されたエステル又
    はアミド基を通じて非ポリマーの親油性基に結合された
    支持体を用意し、そして その支持体を、それが水と混合しない有機溶媒中に1リ
    ッター当たり少なくとも50グラムの溶解度をもつように
    溶解させる、 段階を含んで成り、そして その非ポリマー親油性基が、13以上50以下の炭素原子を
    もち、かつ、共有結合により互いに結合されている2つ
    の化学的単位A及びLから成り: (i)その化学的単位Aが、以下の式: −O−CH2−CO−O− (式中、D1及びD2はそれぞれO,CO,CH2O,CH2CO,OCOの原
    子または基から選ぶ同一または異なる基を有し、D1また
    はD2はHを表す) (D1またはD2は上記と同じ) (D1またはD2は上記と同じ) から成る群から選ばれた基であり、そして (ii)化学的単位Lが、以下の式: (式中、D3は炭素原子1〜12個を有するアルキル基を表
    す) −O−CH2−(CF2−CF3 −O−CH2−(CF2
    F −O−CH2−(CF2−CF3 から成る群から選ばれた基であり;そして その非ポリマー親油性基が、L−セリンに結合するとき
    に25℃におけるその水中溶解度が30g/未満である分子
    を与えるように選ばれる、 ことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】液体媒質中でのペプチドの合成方法であっ
    て、 以下の段階: (a)請求項1に記載の方法により可溶化された支持体
    を、そのC未満カルボキシル基が活性化され、そしてそ
    のアミン官能基が保護されているアミノ酸又はペプチド
    と縮合することを含んで成るペプチド合成方法。
  3. 【請求項3】液体媒質が、ハロゲン化脂肪族誘導体、芳
    香族誘導体及びエステルから成る群から選ばれた溶媒か
    ら成る、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】N−末端のアミン官能基が、tert−イソブ
    チルオキシカルボニル(Boc)によって、又はβ−ジカ
    ルボニル化合物との反応によって保護されている請求項
    2又は3に記載の方法。
  5. 【請求項5】C−末端カルボキシル基が、酸塩化物、ク
    ロロ蟻酸アルキル、カルボジイミド、又は活性化エステ
    ルにより、活性化されている、請求項2〜4のいずれか
    1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】段階(a)の後に、以下の段階: (b)段階(a)により生じた副生成物及び過剰の反応
    剤を、酸性、中性、又は塩基性の水溶液により洗浄し
    て、有機相から除去し、その後、保護されたアミン官能
    基を遊離させる、 をさらに含んで成る、請求項2〜5のいずれか1項に記
    載の方法。
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