JP2023130120A - ペプチド合成方法 - Google Patents

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洋平 岡田
Yohei Okada
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Tokyo University of Agriculture and Technology NUC
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Abstract

【課題】本発明は、担体(Tag)を用いた液相ペプチド合成方法において、ペプチドの特性に依存することなく、ペプチド合成を行うことができる担体(Tag)を提供することを目的とする。【解決手段】以下の式:JPEG2023130120000059.jpg3436(式中、Rは、(CH2)nR1、CH(CH3)R1、又はC(CH3)2R1であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基であり、mは2又は3であり、nは1~3の自然数である。)で表される不飽和アルコキシ置換芳香族化合物が提供される。また、該不飽和アルコキシ置換芳香族化合物を用いたペプチド合成方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、分離用担体又は液相ペプチド合成用試薬として用いることができる新規化合物に関する。本発明はまた、該化合物を用いたペプチド合成方法などに関する。
ペプチド合成技術には、固相ペプチド合成法(SPPS法)と液相ペプチド合成法(LPPS法)がある。固相ペプチド合成法は、原理的に、アミノ酸伸長反応の各段階で精製することができない。また、合成コストが高く、そのため、少量生産に向いている。一方、液相ペプチド合成法は、大量生産に汎用されているが、ペプチド鎖が長くなると、ペプチド伸長反応が難しくなり、長鎖のペプチド合成に課題がある。
そこで、溶解状態と不溶化(結晶化)状態を可逆的に繰り返すことができる担体を用いてペプチド合成を行うことが提案されている。溶解状態と不溶化状態を可逆的に繰り返すことができる担体として、様々な化合物が提案されている。例えば、本発明者らにより提案されている長鎖脂肪酸を導入したベンジル化合物(特許文献1~4:(1)特開2003-183298号公報、(2)特開2004-059509号公報、(3)WO2007/034812号公報、(4)WO2007/122847号公報)がある。これらの化合物を担体として用いることにより、ペプチド合成の工程において、担体が結合したペプチドを反応溶液に可溶化でき、また、反応後は結晶化して分離することができる。
ペプチドは、ペプチド同士が相互に作用し合って凝集することがある(いわゆる、自己集合という)。その結果、超分子ネットワークを形成して水溶液中でゲル化するという性質を持つ。凝集性が著しく高いペプチドとしてエラスチンペプチド(-Pro-Gly-Val-Gly-Val-)nが知られている。エラスチンペプチドは、C末端に上記の可溶化担体を導入したとしても有機溶媒中でゲル化してしまう。ゲル化してしまった場合には、通常の攪拌機では攪拌することができず、基質や試薬の運動性も低下することから反応は事実上停止するという問題がある。
この問題を解決する方法として、Okadaらは、基質や試薬等を含む有機溶媒に物理的に強い力を加え強制的に流動させることで混合を促し、分子同士の衝突機会を増やすことで、反応を進ませるシリンダーリアクターを用いる高圧攪拌を提案している(Okadaら、Organic Letters 2014, 16, 6448-6451:非特許文献1)。そこでは、耐圧性を有する2つのシリンダーをその先端の細管同士で連結したシリンダーリアクターを用いている。反応混合液を充填した一方のシリンダーのピストンを押すことにより、反応混合液が細管を通って別のシリンダー内に注入される。反応混合液は、細管を通る際、高圧になりまた強制的に流動させられるので、乱流を生じて混合されて、別のシリンダー内に移動した反応混合液内で反応が進む。その結果、通常のフラスコを用いた反応系では困難であったエラスチンペプチドの合成が可能となる。
しかしながらこの方法ではシリンダーリアクターのような特殊な反応装置を用いることが必要であり、反応液の混合操作が煩雑となる。また、次の工程に進めるためにはシリンダー内から反応が完了した混合液を回収しなければならない。従って、この反応系は、工業的ペプチド合成には不向きである。
特開2003-183298号公報 特開2004-059509号公報 WO2007/034812号公報 WO2007/122847号公報
Okadaら、Organic Letters 2014, 16, 6448-6451
本発明は、担体(Tag)を用いた液相ペプチド合成方法において、ペプチドの特性に依存することなく、ペプチド合成を行うことができる担体(Tag)を提供することを目的とする。より具体的には、凝集性の高いペプチドを合成する場合であっても、特殊な装置を用いることなく、ペプチド合成を行うことができる担体(Tag)を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、本明細書に記載の構造の化合物を担体として用いることにより前記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。本発明は以下の態様を含む。
[1]式(I):
(式中、Rは、(CH2)nR1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基であり、mは2又は3であり、nは1~3の自然数である。)
で表される不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
[2]前記式(I)が、以下のいずれかの式:
(ここで、Rは、(CH2)R1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基である。)
で表される上記1に記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
[3]前記式(I)が、以下のいずれかの式:

(ここで、Rは(CH2)R1であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基である。)
で表される上記1に記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
[4]Raが、直鎖状の不飽和炭化水素基である上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
[5]Raのそれぞれが独立して、ミリストレイン酸(C14)、パルミトレイン酸(C16)、サピエン酸(C16)、オレイン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、ガドレイン酸(C20)、エイコセン酸(C20)、エルカ酸(C22)、ネルボン酸(C24)、リノール酸(C18)、エイコサジエン酸(C20)、ドコサジエン酸(C22)、α-及びγ-リノレン酸(C18)、ピノレン酸(C18)、エレオステアリン酸(C18)、ミード酸(C20)、ジホモ-γ-リノレン酸(C20)、エイコサトリエン酸(C20)、ステアリドン酸(C18)、アラキドン酸(C20)、エイコサテトラエン酸(C20)、アドレン酸(C22)、ボセオペンタエン酸(C18)、エイコサペンタエン酸(C20)、オズボンド酸(C22)、イワシ酸(C22)、テトラコサペンタエン酸(C24)、ドコサヘキサエン酸(C22)、及びニシン酸(C24)からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である上記[4]に記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
[6]Raのそれぞれが、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、ガドレイン酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、エルカ酸、ドコサジエン酸及びドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である上記[5]に記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
[7]Raのそれぞれが、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、及びガドレイン酸からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である上記[5]に記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
[8]式(I)で表される化合物が、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,5-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((E)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylamine、2,4-Bis((Z,Z)-octadec-9,12-dien-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylethylamine、2,4-Bis((Z)-docos-13-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、3,4,5-Tris((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z,Z)-docos-13,16-dien-1-yl)oxy)benzylalcohol、3,5-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z,Z,Z,Z,Z,Z)-docos-4,7,10,13,16,19-hexaen-1-yl)oxy)benzylalcohol、及び 2,4,5-Tris((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol からなる群より選ばれる上記[1]に記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
[9]上記[1]~[8]のいずれか一つに記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物である分離用担体。
[10]上記[1]~[8]のいずれか一つに記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物の分離用担体としての使用。
[11]上記[1]~[8]のいずれか一つに記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物であるペプチド合成用試薬。
[12]上記[1]~[8]のいずれか一つに記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物のペプチド合成用試薬としての使用。
[13]下記式(I)で示される不飽和アルキル含有芳香族化合物由来の担体で保護された保護アミノ酸又は保護ペプチドの分離方法であって、以下の工程:
工程(1):有機溶媒又は有機溶媒の混合液中で、
以下の式(I):
式(I):
(式中、Rは、(CH2)nR1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基であり、mは2又は3であり、nは1~3の自然数である。)で表される不飽和アルコキシ置換芳香族化合物とN末端のアミノ基が保護された(以下、「N-保護」という)アミノ酸とを縮合させて、該不飽和アルコキシ置換芳香族化合物由来の担体でC末端が保護された(以下、「C-担体保護」という)N-保護アミノ酸を得る工程、若しくはC-担体保護アミノ酸又はC-担体保護ペプチドにN-保護アミノ酸又はN-保護ペプチドを縮合させて、C-担体保護-N-保護ペプチドを得る工程。
工程(2):工程(1)で得られたC-担体保護-N-保護アミノ酸又はC-担体保護-N-保護ペプチドのN末端の保護基を除去する工程、及び、
工程(3):工程(2)で得られたC-担体保護アミノ酸又はC-担体保護ペプチドを分離する工程、
を含む分離方法。
[14]前記工程(3)は、
(i)担体保護アミノ酸又は担体保護ペプチドを不溶化(結晶化)状態にして分離する固液分離工程、又は
(ii)担体保護アミノ酸又は担体保護ペプチドを含有する有機溶媒と、不純物を含有する、水あるいは有機溶媒を含む水溶液又は有機溶媒とを分離する分液操作工程、
により行う、上記[13]に記載の分離方法。
[15]前記N-保護アミノ酸又はN-保護ペプチドが、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基でアミノ基が保護された(以下、「N-Fmoc保護」という)アミノ酸又はN-Fmoc保護ペプチドである、上記[13]又は[14]に記載の分離方法。
[16]前記工程(1)の有機溶媒又は有機溶媒の混合液が、THF、DMF、ペンタン、ノルマルヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、CPME,MTBE、2-メチルTHF、4-メチルTHP、酢酸イソプロピル、DCM、クロロホルム、DMSO、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルピロリドン及びアセトニトリルからなる群より選ばれる少なくとも一つの有機溶媒又それらの2以上の混合液である、上記[13]~[15]のいずれか一つに記載の分離方法。
[17]前記式(I)で表される化合物が、以下の何れかの式:
(ここで、Rは、(CH2)R1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基である)
で表される化合物である、上記[13]~[16]のいずれか一つに記載の分離方法。
[18]Raが、直鎖状の不飽和炭化水素基である請求項[13]~[17]のいずれか一つに記載の分離方法。
[19]Raのそれぞれが独立して、ミリストレイン酸(C14)、パルミトレイン酸(C16)、サピエン酸(C16)、オレイン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、ガドレイン酸(C20)、エイコセン酸(C20)、エルカ酸(C22)、ネルボン酸(C24)、リノール酸(C18)、エイコサジエン酸(C20)、ドコサジエン酸(C22)、α-及びγ-リノレン酸(C18)、ピノレン酸(C18)、エレオステアリン酸(C18)、ミード酸(C20)、ジホモ-γ-リノレン酸(C20)、エイコサトリエン酸(C20)、ステアリドン酸(C18)、アラキドン酸(C20)、エイコサテトラエン酸(C20)、アドレン酸(C22)、ボセオペンタエン酸(C18)、エイコサペンタエン酸(C20)、オズボンド酸(C22)、イワシ酸(C22)、テトラコサペンタエン酸(C24)、ドコサヘキサエン酸(C22)、及びニシン酸(C24)からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である上記[18]に記載の分離方法。
[20]Raのそれぞれが独立して、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、ガドレイン酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、エルカ酸、ドコサジエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である上記[19]に記載の分離方法。
[21]Raのそれぞれが、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、及びガドレイン酸からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である上記[19]に記載の分離方法。
[22]式(I)で表される化合物が、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,5-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((E)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylamine、2,4-Bis((Z,Z)-octadec-9,12-dien-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylethylamine、2,4-Bis((Z)-docos-13-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、3,4,5-Tris((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z,Z)-docos-13,16-dien-1-yl)oxy)benzylalcohol、3,5-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z,Z,Z,Z,Z,Z)-docos-4,7,10,13,16,19-hexaen-1-yl)oxy)benzylalcohol、及び 2,4,5-Tris((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol からなる群より選ばれる上記[13]~[16]のいずれか一つに記載の分離方法。
[23]液相ペプチド合成方法であって、以下の工程:
工程(A):有機溶媒又は有機溶媒の混合液中で、
以下の式(I):
式(I):
(式中、Rは、(CH2)nR1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基であり、mは2又は3であり、nは1~3の自然数である。)で表される不飽和アルコキシ置換芳香族化合物由来する担体でC末端が保護された(以下、「C-担体保護」という)アミノ酸又はC-担体保護ペプチドと、N末端のアミノ基が保護された(以下、「N-保護」という)アミノ酸又はN-保護ペプチドとを縮合剤の存在下で縮合して、C-担体保護-N-保護ペプチドを得る工程、
工程(B):前記C-担体保護-N-保護ペプチドのN末端の保護基を脱保護してC-担体保護ペプチドを得る工程、及び
工程(C):前記C-担体保護ペプチドを分離する工程、
を含むペプチド合成方法。
[24]前記N-保護アミノ酸又はN-保護ペプチドが、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基でアミノ基が保護された(以下、「N-Fmoc保護」という)アミノ酸又はN-Fmoc保護ペプチドである、上記[23]に記載のペプチド合成方法。
[25]前記工程(A)の有機溶媒又は有機溶媒の混合液が、THF、DMF、ペンタン、ノルマルヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、CPME,MTBE、2-メチルTHF、4-メチルTHP、酢酸イソプロピル、クロロホルム、DCM、DMSO、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルピロリドン及びアセトニトリルからなる群より選ばれる少なくとも一つの有機溶媒又それらの2以上の混合液である、上記[23]又は[24]に記載のペプチド合成方法。
[26]前記工程(A)の後に、以下の工程(a1):縮合反応後の反応液に水溶性アミンを添加する工程(以下、本発明のスカベンジ反応工程という場合がある)、をさらに含む上記[23]~[25]のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
[27]前記工程(B)が、水溶性アミンの存在下で脱保護を行う工程(以下、本発明の脱保護反応工程という場合がある)である、上記[26]に記載のペプチド合成方法。
[28]前記工程(C)が、反応液に酸を添加して中和し、さらに酸性水溶液を添加して洗浄した後、分液し、水層を除去し、有機層を得てC-担体保護ペプチドを分離する工程である、上記[23]~[27]のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
[29]前記式(I)の化合物が、以下のいずれかの式:
(ここで、Rは、(CH2)R1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基である。)
で表される化合物である、上記[23]~[28]のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
[30]Raが、直鎖状の不飽和炭化水素基である上記[23]~[29]のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
[31]Raのそれぞれが独立して、ミリストレイン酸(C14)、パルミトレイン酸(C16)、サピエン酸(C16)、オレイン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、ガドレイン酸(C20)、エイコセン酸(C20)、エルカ酸(C22)、ネルボン酸(C24)、リノール酸(C18)、エイコサジエン酸(C20)、ドコサジエン酸(C22)、α-及びγ-リノレン酸(C18)、ピノレン酸(C18)、エレオステアリン酸(C18)、ミード酸(C20)、ジホモ-γ-リノレン酸(C20)、エイコサトリエン酸(C20)、ステアリドン酸(C18)、アラキドン酸(C20)、エイコサテトラエン酸(C20)、アドレン酸(C22)、ボセオペンタエン酸(C18)、エイコサペンタエン酸(C20)、オズボンド酸(C22)、イワシ酸(C22)、テトラコサペンタエン酸(C24)、ドコサヘキサエン酸(C22)、及びニシン酸(C24)からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である上記[30]に記載のペプチド合成方法。
[32]Raのそれぞれが独立して、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、ガドレイン酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、エルカ酸、ドコサジエン酸及びドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である上記[31]に記載のペプチド合成方法。
[33]Raのそれぞれが、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、及びガドレイン酸からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である上記[31]に記載のペプチド合成方法。
[34]式(I)で表される化合物が、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,5-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((E)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylamine、2,4-Bis((Z,Z)-octadec-9,12-dien-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylethylamine、2,4-Bis((Z)-docos-13-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、3,4,5-Tris((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z,Z)-docos-13,16-dien-1-yl)oxy)benzylalcohol、3,5-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z,Z,Z,Z,Z,Z)-docos-4,7,10,13,16,19-hexaen-1-yl)oxy)benzylalcohol、及び 2,4,5-Tris((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol からなる群より選ばれる上記[23]~[28]のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
[35]前記工程(C)より分離されたC-担体保護ペプチドを用いて、前記工程の繰り返しを1回以上行うことを含む、上記[23]~[34]のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
[36]前記各工程をワンポットで行う、上記[23]~[35]のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
本発明により、新規な分離用担体又はペプチド合成用試薬が提供される。本発明の一つの態様において、液相ペプチド合成において、本発明の不飽和アルキル含有芳香族化合物を担体として用いることにより高濃度の合成中間体を含む溶液を用いることができるため、高効率でペプチドを合成することが可能となる。
以下、本発明を、例示的な実施態様を例として、本発明の実施において使用することができる好ましい方法及び材料とともに説明する。
なお、文中で特に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味をもつ。また、本明細書に記載されたものと同等又は同様の任意の材料及び方法は、本発明の実施において同様に使用することができる。
また、本明細書に記載された発明に関連して本明細書中で引用されるすべての刊行物及び特許は、例えば、本発明で使用できる方法や材料その他を示すものとして、本明細書の一部を構成するものである。
本明細書中で、「X~Y」という表現を用いた場合は、下限としてXを上限としてYを、あるいは上限としてXを下限としてYを含む意味で用いる。本明細書において「約」とは、±10%を許容する意味で用いる。
本明細書中で「アミノ酸」とは、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸、L型アミノ酸、D型アミノ酸のいずれも含む意味であり、また、アミノ酸アミドなどの特殊なアミノ酸も含む意味である。さらには、公知の技術を参照して作成可能な任意の修飾を加えたアミノ酸も含む意味である。
本発明の不飽和アルキル含有芳香族化合物(以下、「本発明化合物」という場合がある。)は、下記式(I)で表される化合物である。
式(I):
式中の記号の定義は以下の通りである。Rは、(CH2)nR1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基である。Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に、炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基である。mは2又は3である。nは1~3の自然数である。
本発明化合物は、好ましくは、以下のいずれかの式で表される化合物である。
式中、Rは、(CH2)R1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1及びRaは上記と同じである。
本発明化合物は、より好ましくは、以下のいずれかの式で表される化合物である。
式中、Rは(CH2)R1であり、R1及びRaは上記と同じである。
本発明化合物は、ベンジル位に一つの反応性基を持ち、かつ、ベンゼン環上に2又は3個の炭素数14以上60以下の不飽和炭化水素基からなる不飽和アルコキシ基を持つベンジル化合物であることを特徴とする。反応性基は、ベンジル位炭素を含み、(CH)nR1、CH(CH)R1、又はC(CH21の式で表され、nは1~3の自然数であり、好ましくは1又は2、より好ましくは1である。R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、好ましくはヒドロキシル基、アミノ基又はアルキルアミノ基、より好ましくはヒドロキシル基である。例えば、具体的には、OH、NH、NHCH、NHCが例示される。不飽和炭化水素基の炭素数は、14以上60以下、より好ましくは14以上40以下、さらに好ましくは16以上30以下、よりさらに好ましくは16以上24以下である。2又は3個の不飽和炭化水素基は、同じであっても異なってもよいが、好ましくは同じある。不飽和炭化水素基に含まれる不飽和結合の数は特に制限はないが、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下、よりさらに好ましくは2以下である。また、不飽和炭化水素基に含まれる不飽和結合の位置も特に制限がない。本発明化合物は、不飽和結合に対してcis配置及びtrans配置のいずれの立体構造を取ることができ、いずれも構造も本発明化合物に含まれる。
本発明化合物におけるベンジル環上の不飽和アルコキシ基の位置は特に制限はないが、2,4-置換、2,5-置換、2,6-置換、3,4-置換、3,5-置換、2,3,4-置換、2,4,5-置換、2,4,6-置換、又は3,4,5-置換であり、好ましくは2,4-置換、2,5-置換、3,5-置換、2,4,5-置換又は3,4,5-置換であり、より好ましくは2,4-置換、3,5-置換、又は3,4,5-置換である。
ベンジル環上の置換基である不飽和アルコキシ基を構成する不飽和脂肪族基の種類は、炭素数14以上60以下の不飽和炭化水素基であれば特に制限がないが、例えば、ヘキサ不飽和脂肪酸、ペンタ不飽和脂肪酸、テトラ不飽和脂肪酸、トリ不飽和脂肪酸、ジ不飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸から由来する不飽和炭化水素基をあげることができる。ヘキサ不飽和脂肪酸としては、例えば、ドコサヘキサエン酸(C22)、及びニシン酸(C24)、ペンタ不飽和脂肪酸としては、例えば、ボセオペンタエン酸(C18)、エイコサペンタエン酸(C20)、オズボンド酸(C22)、イワシ酸(C22)、及びテトラコサペンタエン酸(C24)、テトラ不飽和脂肪酸としては、例えば、ステアリドン酸(C18)、アラキドン酸(C20)、エイコサテトラエン酸(C20)、及びアドレン酸(C22)、トリ不飽和脂肪酸としては、例えば、α-及びγ-リノレン酸(C18)、ピノレン酸(C18)、エレオステアリン酸(C18)、ミード酸(C20)、ジホモ-γ-リノレン酸(C20)、及びエイコサトリエン酸(C20)、ジ不飽和脂肪酸として、例えば、リノール酸(C18)、エイコサジエン酸(C20)、及びドコサジエン酸(C22)、モノ不飽和脂肪酸として、例えば、ウンデシレン酸(C10)、ミリストレイン酸(C14)、パルミトレイン酸(C16)、サピエン酸(C16)、オレイン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、ガドレイン酸(C20)、エイコセン酸(C20)、エルカ酸(C22)、及びネルボン酸(C24)をあげることができる。置換基として、好ましくはオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、ステアリドン酸、パルミトレイン酸、ガドレイン酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、エルカ酸、ドコサジエン酸又はドコサヘキサエン酸、より好ましくはオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、又はガドレイン酸から由来する不飽和炭化水素基をあげることができる。
本発明化合物の製造は公知の方法を適宜参照して行うことができる。Rがヒドロキシル基である本発明化合物は、これに限定されないが、例えば以下の工程により製造できる。本発明化合物の不飽和炭化水素基(式(I)の「Ra」)となる不飽和カルボン酸を原料とし、それを還元反応に付すことにより、対応するアルコールを製造する。次いで、アルコールをBr化して不飽和アルキルブロミドを製造する。その後、不飽和アルキルブロミドをジ又はトリ-ヒドロキシベンズアルデヒドと縮合させ、ヒドロキシル基が不飽和アルキル基で置換されたジ又はトリ-不飽和アルキル置換ベンズアルデヒドを得る。得られた化合物を還元することにより、Rがヒドロキシル基である式(I)の本発明化合物を得ることができる。
不飽和カルボン酸としてオレイン酸を用いて、本発明化合物を製造する例を以下に記載する。
「-(CH)nR」がアミノメチル基である式(I)の本発明化合物は、これに限定されないが、例えば以下の工程により製造できる。上記の方法で製造した「-(CH)nR」がメチルヒドロキシル基である本発明化合物を出発物質とし、アジド化を行い、ベンジルアジド誘導体を製造する。それをシュタウディンガー反応に付し、「-(CH)nR」がアミノメチル基である本発明化合物を得る。
「-(CH)nR」がアミノエチル基である式(I)の本発明化合物は、これに限定されないが、例えば以下の工程により製造できる。不飽和アルキルブロミドをジ又はトリ-ヒドロキシベンズアルデヒドと縮合させて得たヒドロキシル基が不飽和アルキル基で置換されたジ又はトリ-不飽和アルキル置換ベンズアルデヒドに対し還元的アミノ化反応を行うことにより製造することができる。
本発明化合物の例を以下に記載する。
(1)不飽和炭化水素基(Ra)としてオレイン酸を用いた化合物としては以下が例示される。
(2)不飽和炭化水素基(Ra)としてエライジン酸を用いた化合物としては以下が例示される。
(3)不飽和炭化水素基(Ra)としてリノール酸を用いた化合物としては以下が例示される。
(5)不飽和炭化水素基(Ra)としてエルカ酸を用いた化合物としては以下が例示される。
(6)不飽和炭化水素基(Ra)としてドコサヘキサエン酸を用いた化合物としては以下が例示される。
(7)不飽和炭化水素基(Ra)としてドコサジエン酸を用いた化合物としては以下が例示される。
本発明化合物は、長鎖の脂肪族炭化水素基を有することから有機溶媒に対する溶解度が高く、これにより優れた反応性が期待できる。有機溶媒とは、本技術分野において一般的に用いられる溶媒を意味し、例えば、液相ペプチド合成において用いられる溶媒が該当する。具体的には、THF、DMF、ペンタン、ノルマルヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、CPME、MTBE、2-メチルTHF、4-メチルTHP、酢酸イソプロピル、クロロホルム、ジクロロメタン(DCM)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルピロリドン、又はこれらの2種以上の混合溶媒である。本発明化合物は、例えば、20℃における酢酸イソプロピル100g中の飽和溶解度を、1~95重量%とすることができる。
以下、有機溶媒の代表例として酢酸イソプロピルを例として、本発明化合物の有機溶媒に対する溶解度を示す。20℃における酢酸イソプロピル100g中の本発明化合物の飽和溶解度の下限値は、反応基質との結合やその後の反応が進行しさえすれば特に制限はないが、工業的にあらゆる基質に対しても安定的に反応を進行させられるという観点から2重量%が好ましく、5重量%がより好ましく、10重量%がさらに好ましく、25重量%がよりさらに好ましく、50重量%が特にも好ましい。
本発明化合物は、アミノ酸又はペプチドに結合させ、アミノ酸又はペプチドとともに分離・回収することができる。分離・回収は、溶媒に溶解している本発明化合物が結合したアミノ酸又はペプチドを不溶化又は結晶化することにより容易に行える。不溶化又は結晶化の条件は、公知の報告を参照して行うことができ、例えば、WO2007/034812号公報やWO2007/122847号公報を参考にすることができる。本発明化合物はまた、分液操作性の優れた溶媒、例えば、シクロヘキサン、2-メチルTHF、酢酸イソプロピル、CPME、DCMなどに容易に溶解する。そのため、本発明化合物が結合したアミノ酸やペプチドは分液操作により、反応残渣から分離することが容易である。分液操作は、例えば、本発明化合物が結合したアミノ酸又はペプチドを含む反応液に水、又は水とアセトニトリルなどの親水性有機溶媒の混合物、又は本発明化合物が溶解している有機溶媒と混和しない有機溶媒(例えば、極性有機溶媒)を添加し、攪拌、洗浄し、水及び/又は親水性有機溶媒に可溶の反応残渣を分層により除去することで行える。よって、本発明化合物は、アミノ酸やペプチドの分離用担体としても用いることができる。本発明は、分離用担体を提供するものであり、また、本発明化合物の分離用担体としての使用も含む。さらには、本発明は、本発明化合物を用いた分離方法を提供するものである。
[分離方法]
本発明化合物を用いたアミノ酸やペプチドの分離方法は、以下の工程により行うことができる。
工程(1):有機溶媒又は有機溶媒の混合液中で、本発明化合物である不飽和アルコキシ置換芳香族化合物と、N末端のアミノ基が保護された(N-保護)アミノ酸とを縮合させて、該不飽和アルキル含有芳香族化合物由来の担体で保護された(C-担体保護)N-保護アミノ酸を得る工程、又はC-担体保護アミノ酸若しくはC-担体保護ペプチドにN-保護アミノ酸若しくはN-保護ペプチドを縮合させて、C-担体保護-N-保護ペプチドを得る工程、
工程(2):工程(1)で得られたC-担体保護-N-保護アミノ酸又はC-担体保護-N-保護ペプチドのN末端の保護基を除去して、C-担体保護アミノ酸又はC-担体保護ペプチドを得る工程、及び
工程(3):工程(2)で得られたC-担体保護アミノ酸又はC-担体保護ペプチドを分離する工程。
本発明の分離方法においては、最初に本発明化合物あるいはアミノ酸又はペプチドと結合した本発明化合物を有機溶媒又は有機溶媒の混合液に溶解する。本発明の分離方法においては、本発明化合物あるいはアミノ酸又はペプチドと結合した本発明化合物が溶解する限り、一般的な有機溶媒を用いることができ、エーテル類、酢酸エステル類、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、エチレン系炭化水素類、環状飽和炭化水素類などをあげることができる。具体的な溶媒としては、これに限定されないが、例えば、THF、DMF、ペンタン、ノルマルヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、CPME,MTBE、2-メチルTHF、4-メチルTHP、酢酸イソプロピル、DCM,クロロホルム、DMSO、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルピロリドンを挙げることができる。また、上記溶媒の2種以上の混合溶媒でもよい。分液操作性に優れた溶媒であれば上記溶媒を制限なく用いることができるが、特に好ましくは、THF、DMF、シクロヘキサン、CPME,MTBE、2-メチルTHF、4-メチルTHP、酢酸イソプロピル、DCM、DMSO及びN-メチルピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも一つの有機溶媒又それらの2以上の混合液である。
なお、上記有機溶媒には、反応時点における基質の溶解性を向上させるため;抽出時点における未反応物及び副生物の水層への溶解度を向上させるため(すなわち、未反応物及び副生物の除去を容易にするため);又は分層性を向上させるために、各種親水性有機溶媒を添加しても構わない。また、抽出時点で未反応物や副生物を除去・洗浄するために、水の代わりに、各種親水性有機溶媒、例えばアセトニトリルやメタノールを使用しても構わない。具体的には、ヘプタンを反応溶媒として使用した場合に、アセトニトリルを用いて抽出・洗浄しても構わない。
各種親水性有機溶媒としては、具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン、2-ブタノン等のケトン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類が挙げられる。溶解性を補助しつつ、分層性に影響を与えないという観点から、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンが好ましく、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、DMSOがより好ましく、N-メチルピロリドンがさらに好ましい。
本発明の分離方法の工程(1)で用いるN-保護アミノ酸(又はペプチド)におけるN末端の保護は、公知の保護基を用い公知の方法を参照して行うことができる。例えば、t-ブトキシカルボニル(Boc)基又は9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基をあげることができるが、好ましくはFmoc基である。
本発明の分離方法の工程(1)における、本発明化合物と、N-保護アミノ酸との縮合は、縮合剤を用いた公知の方法を用いて行うことができる。これに限定されないが、例えば、本発明化合物をTHF等の溶媒に溶解し、N-Fmoc保護アミノ酸(又はペプチド)及び縮合剤、例えば、DIPCIを添加して縮合を行い、アミノ酸のカルボキシル基に本発明化合物(担体)が結合したC-担体保護-N-Fmoc保護アミノ酸(又はペプチド)を作製できる。又は、本発明化合物(担体)をTHF等の溶媒に溶解し、Boc保護アミノ酸(又はペプチド)及び縮合剤、例えば、DIPCIを添加して縮合を行い、アミノ酸のカルボキシル基に担体が結合したC-担体保護-N-Boc保護アミノ酸(又はペプチド)を作製できる。
本発明化合物に対する、N-保護アミノ酸(又はペプチド)の使用量は、本発明化合物に対して、通常1.01~4当量、好ましくは1.03~3当量、より好ましくは1.05~2当量、さらに好ましくは1.1~1.5当量である。この範囲より少ないと、未反応の本発明化合物が残存することがある。
本発明の分離方法の工程(1)における、アミノ酸又はペプチドと結合した本発明化合物(C-担体保護アミノ酸又はC-担体保護ペプチド)と、N-保護アミノ酸(又はペプチド)との縮合は、縮合剤を用いた公知の方法を用いて行うことができる。これに限定されないが、例えば、C-担体保護アミノ酸(又はペプチド)をTHF等の溶媒に溶解し、N-Fmoc保護アミノ酸(又はペプチド)、及び縮合剤、例えば、HBTUを添加して縮合を行い、C-担体保護-N-Fmoc保護ペプチドを作製できる。又は、C-担体保護アミノ酸(又はペプチド)をTHF等の溶媒に溶解し、Boc保護アミノ酸又はBoc保護ペプチド、及び縮合剤、例えば、HBTUを添加して縮合を行い、C-担体保護-N-Boc保護ペプチドを作製できる。
縮合剤としては、本技術分野において一般的に用いられる縮合剤が、本発明においても制限なく用いることができ、これに限定されないが、例えば、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホニウムクロリド(DMT-MM)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU(6-Cl))、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TCTU)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)を挙げることができ、好ましくは、DMT-MM、HBTU、HATU、又はCOMUである。縮合剤の使用量は、本発明化合物に対して、通常1~4当量、好ましくは1~2当量、より好ましくは1.05~1.3当量である。
本発明の分離方法の工程(1)において作製されたC-担体保護-N-Fmoc保護アミノ酸(又はペプチド)、あるいはC-担体保護-N-Boc保護アミノ酸(又はペプチド)は、分液操作により回収してもよく、また、固形化(結晶化)させて回収してもよい。以下、本発明化合物(担体)が結合したアミノ酸(C-担体保護アミノ酸)を例にして説明する。例えば、分液操作を行う場合は、これに限定されないが、縮合反応後の反応液にヘキサン、トルエン等の有機溶媒を加えて攪拌、洗浄し、分層して、水層(及び/又は親水性溶媒層)を除去することによりC-担体保護-N-Fmoc保護アミノ酸又はC-担体保護-N-Boc保護アミノ酸を得ることができる。また、固形化で回収する場合は、これに限定されないが、縮合反応後の反応液を、減圧下で留去し、次いで、残渣に、C-担体保護-N-Fmoc保護アミノ酸又はC-担体保護-N-Boc保護アミノ酸が固形化(結晶化)する溶媒、例えば、メタノールやアセトニトリルを添加して析出させ、沈殿物をろ過した後、溶媒で懸洗を行い、得られた固形物を乾燥してC-担体保護-N-Fmoc保護アミノ酸又はC-担体保護-N-Boc保護アミノ酸を得ることができる。C-担体保護―N-保護ペプチドの場合も同様に適用できる。
このようにして得られたC-担体保護-N-Fmoc保護アミノ酸又はC-担体保護-N-Boc保護アミノ酸はペプチド合成等の技術分野において用いられる、公知の方法を適宜参照してN末端保護基を除去することで、本発明化合物(担体)が結合したアミノ酸を作製することができる。例えば、これに限定されないが、C-担体保護-N-Fmoc保護アミノ酸はTHF等の溶媒に溶解し、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]-オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペラジン等(好ましくは、DBU)の脱Fmoc試薬を添加して脱Fmoc反応を行い、作製できる。一方、これに限定されないが、C-担体保護-N-Boc保護アミノ酸はCPME等の溶媒に溶解し、TFA等の脱Boc試薬を添加して脱Boc反応を行い、C-担体保護アミノ酸が作製できる。このようにして作製したC-担体保護アミノ酸は、分液操作又は固形化(結晶化)を行い、分離することができる。C-担体保護―N-保護ペプチドの場合も同様に適用できる。
[ペプチド合成方法]
本発明化合物は、ペプチド合成において、アミノ酸又はペプチドの保護化試薬あるいは担体としても用いることができる。よって、本発明は、ペプチド合成試薬を提供するものであり、又は本発明化合物のペプチド合成試薬としての使用も含む。さらには、本発明は、本発明化合物を用いたペプチド合成方法も含む。
本発明化合物を用いた分離方法やペプチド合成方法においては、一般に知られているアミノ酸やペプチドを制限なく用いることができる。アミノ酸は、天然のアミノ酸又は非天然のアミノ酸のいずれもよく、L型又はD型のいずれのアミノ酸でもよく、アミノ酸アミドなどの特殊なアミノ酸でもよい。非天然アミノ酸としては、特に制限されず、公知の非天然の任意のアミノ酸をあげることができ、これに限定されないが、例えば、N-メチル修飾アミノ酸、N-2,4-ジメトキシベンジル修飾アミノ酸、2-アミノイソ酪酸、D-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、及び、L-オクタヒドロインドリン-2-カルボン酸を挙げることができる。また、必要に応じて天然又は非天然の又は特殊なアミノ酸の側鎖官能基を一時的に保護する保護基を用いて保護されたアミノ酸も本発明の方法において用いることが出来る。さらに、天然のアミノ酸又は非天然のアミノ酸又は特殊なアミノ酸に、公知の技術を参照して任意の修飾を加えたアミノ酸も本発明の方法において用いることができる。任意の修飾としては、特に制限されず、アミノ酸合成に関わる技術分野において、公知又は慣用の技術を用いてアミノ酸に付加できる修飾であれば制限なく用いることができる。例えば、低分子の有機化合物の付加、リン酸化、ビオチン化、PEG化、糖鎖修飾、蛍光修飾を挙げることができる。ペプチドは、上記のアミノ酸の任意の組み合わせから構成されるものをあげることができるが、それに加え、シュードプロリン型ジペプチドやO-アシルイソペプチドも本発明において用いることができる。
本発明化合物を用いたペプチド合成方法は、以下の工程により行うことができる。
工程(A):有機溶媒又は有機溶媒の混合液中で、本発明化合物に由来する担体でC末端が保護された(以下、「C-担体保護」という)アミノ酸又はC-担体保護ペプチドと、N末端のアミノ基が保護された(以下、「N-保護」という)アミノ酸又はN-保護ペプチドとを縮合剤の存在下で縮合して、C-担体保護-N-保護ペプチドを得る工程(以下、本発明の縮合反応工程という場合がある);
工程(B):前記C-担体保護-N-保護ペプチドのN末端の保護基を脱保護してC-担体保護ペプチドを得る工程(以下、本発明の脱保護工程という場合がある);及び
工程(C):前記C-担体保護ペプチドを分離する工程(以下、本発明の分離・回収工程という場合がある)。
本発明化合物を用いたペプチド合成方法は、さらに工程(A)の後に、工程(a1):縮合反応後の反応液に水溶性アミンを添加する工程(以下、本発明のスカベンジ反応工程という場合がある)、を含むことができる。
本発明化合物を用いたペプチド合成方法は、工程(B)において、水溶性アミンの存在下で脱保護を行う工程とすることができる。
本発明化合物を用いたアミノ酸やペプチド合成方法は、工程(C)において、反応液に酸を添加して中和し、さらに酸性水溶液を添加して洗浄した後、分液し、水層を除去し、有機層を得てC-担体保護ペプチドを分離する工程(以下、本発明の酸性水溶液洗浄工程という場合がある)とすることができる。
本発明化合物を用いたアミノ酸やペプチド合成方法は、工程(C)より得られたC-担体保護ペプチドを用いて、工程(A)~(C)の繰り返しを1回以上行うこともでき、また、前記の各工程をワンポットで行うこともできる。
本発明のペプチド合成方法の工程(A)におけるN-保護アミノ酸(又はペプチド)におけるN末端の保護は、公知の保護基を用いて行うことができ、例えば、t-ブトキシカルボニル基(Boc基)又は9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基をあげることができるが、好ましくはFmoc基である。
以下、N-Fmoc保護アミノ酸(又はペプチド)を用いた例を参考に本発明のペプチド合成方法を説明する。
1.溶媒
本発明のペプチド合成方法において用いることができる溶媒は、特に制限されず、液相ペプチド合成において用いられる溶媒をあげることができる。溶媒としては、これに限定されないが、例えば、THF、DMF、ペンタン、ノルマルヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、CPME,MTBE、2-メチルTHF、4-メチルTHP、酢酸イソプロピル、クロロホルム、DCM、DMSO、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルピロリドンを挙げることができ、好ましくは、THF、DMF、シクロヘキサン、CPME,MTBE、2-メチルTHF、4-メチルTHP、酢酸イソプロピル、DMSO、N-メチルピロリドンをあげることができる。さらに、上記溶媒の2種以上の混合溶媒でもよい。
本発明のペプチド合成方法に用いる出発物質の調製のために、又は、本発明のペプチド合成方法を用いて合成したペプチドを回収するために、本発明化合物(担体)を固体化(結晶化)する場合は、極性溶媒を用いる。用いる極性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、DMF、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、水等、ならびにこれら2種以上の混合溶媒が挙げられる。中でも、メタノール又はアセトニトリルが好適に使用される。
2.液相ペプチド合成用担体
本発明のペプチド合成方法で用いる担体とは、以下の式で表される不飽和アルコキシ置換芳香族化合物に由来する化合物であり、
式(I):
(式中、Rは、(CH2)nR1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基であり、mは2又は3であり、nは1~3の自然数である。)、好ましくは、上記式において、Rが、(CH2)nR1で表される不飽和アルコキシ置換芳香族化合物に由来する化合物である。
本発明化合物は、好ましくは、溶解している溶媒の組成変化により、溶解状態と不溶化(結晶化又はオイル化)状態とが可逆的に変化する特性を有する化合物である。なお、本発明のペプチド合成方法の実施態様において、担体である本発明の化合物を不溶化(結晶化)して分離することもできるが、担体が不溶化することは必須ではなく、また、担体が不溶化するような溶媒の組成変化を行うことも必須ではない。担体を不溶化(結晶化)する工程としては、これに限定されないが、本発明のペプチド合成方法に用いるC-担体保護アミノ酸(又はペプチド)を調製する工程、又は、本発明のペプチド合成方法により得られた有機層(有機溶媒又は有機溶媒の混合物の層)に溶解したC-担体保護ペプチドを回収する工程をあげることができる。
3.リンカー
本発明のペプチド合成方法で用いるC-担体保護アミノ酸(又はペプチド)は、アミノ酸又はペプチドのカルボキシル基に、直接又はリンカーを介して本発明化合物に結合している。
ここでいうリンカーとは、リンカーの一方が、アミノ酸又はペプチドが有するカルボキシル基と結合し、他方が担体である本発明化合物の反応基(式(I)の「(CH2)nR1、CH(CH)R1、又はC(CH21」)と結合する2つの反応基をもつ有機基である。好ましくは、本発明で用いることができるリンカーは、分子量が約2000以下(好ましくは約1500以下、より好ましくは約1000以下)の有機基であって、反応基として、同じでも異なってもよい、アミノ基、カルボキシル基、及びハロメチル基からなる群より選ばれる少なくとも2つの基を分子内にもつ化合物である。これらに限定されないが、例えば、以下の化合物を挙げることができる。
(式中、Yは1~6、好ましくは1~4の整数である)。
(式中、Xはハロゲン原子、好ましくは、塩素又は臭素である)。
(式中、Zは2~40、好ましくは2~35、より好ましくは、2~28の整数である)。
(上記リンカーの構造式は、アミノ酸又はペプチドのカルボキシル基に結合する前の状態かつ担体である本発明化合物の反応基と結合する前の状態を示す)。
上記リンカーを含むC-担体保護アミノ酸(又はペプチド)の調製においては、リンカーへの結合の順番は特に限定されず、上記リンカーの一方をアミノ酸又はペプチドに結合した後に他方を担体である本発明化合物に結合しても良く、あるいは、上記リンカーの一方を担体である本発明化合物に結合した後に他方をアミノ酸又はペプチドに結合してもよい。
上記リンカーの一方とアミノ酸又はペプチドとの結合は、互いに結合するリンカーの基及びアミノ酸又はペプチドの基に応じて、公知の方法を適宜参照して行うことができる。例えば、これに限定されないが、DIPCI/HOBtによるアミド化を挙げることができる。
上記リンカーの一方と担体としての本発明化合物の結合は、互いに結合するリンカーの基及び担体の基に応じて、公知の方法を適宜参照して行うことができる。例えば、これに限定されないが、DIPCIによるエステル化を挙げることができる。
4.N-Fmoc保護アミノ酸及びN-Fmoc保護ペプチド
9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基でアミノ基が保護されたアミノ酸(N-Fmoc保護アミノ酸)又はN-Fmoc保護ペプチドとは、アミノ酸又はペプチドのアミノ基がFmoc基で保護されており、一方、カルボキシル基は保護されておらず反応性であるアミノ酸又はペプチドを意味する。アミノ酸又はペプチドが1以上のアミノ基を有する場合は、少なくとも一つのアミノ基がFmoc基で保護されていれば良い。
なお、N-Fmoc保護アミノ酸(又はペプチド)が、水酸基、アミノ基、グアニジル基、カルボキシル基、チオール基、インドール基、イミダゾール基等の反応性に富む官能基を有する場合、これらの官能基にペプチド合成で用いられる一般的な保護基が導入されていてもよく、反応終了後の任意の時点で、必要に応じて保護基を除去することで目的化合物を得ることができる。
水酸基の保護基としてはtBu基、Trt基、Bz基、アセチル基、シリル基等が挙げられ、アミノ基の保護基としては、Boc基、Fmoc基、Cbz基、Trt基、Mmt基、ivDde基等が挙げられ、グアニジル基の保護基としては、Pbf基、Pmc基、ニトロ基等が挙げられ、カルボキシル基の保護基としてはtBu基、メチル基、エチル基、Bz基等が挙げられ、チオール基の保護基としては、Trt基、Acm基、tBu基、S-tBu基等が挙げられ、インドール基の保護基としては、Boc基等が挙げられ、イミダゾール基の保護基としては、Boc基、Bom基、Bum基、Trt基等を挙げることができる。
また、水酸基又はチオール基とα-アミノ基をアセタール架橋したシュードプロリン構造持つペプチドがFmocで保護されたものを挙げることが出来る。
また、水酸基に対してN-Fmoc保護アミノ酸をエステル結合させ、α-アミノ基をBoc基で保護したO-アシルイソペプチドを挙げることが出来る。
5.C-担体保護アミノ酸及びC-担体保護アミノ酸ペプチド
本発明化合物に由来する液相ペプチド合成用担体で保護されたアミノ酸(C-担体保護アミノ酸)又はC-担体保護ペプチドとは、アミノ酸又はペプチドのC末端のカルボキシル基が上記の本発明化合物(担体)により直接又はリンカーを介して保護されており、少なくともN末端のアミノ基が反応性の状態であるアミノ酸又はペプチドをいう。
なお、C-担体保護アミノ酸(又はペプチド)が、水酸基、アミノ基、グアニジル基、カルボキシル基、チオール基、インドール基、イミダゾール基等の反応性に富む官能基を有する場合、これらの官能基にペプチド合成で用いられる一般的な保護基が導入されていてもよく、反応終了後に、必要に応じて保護基を除去することで目的化合物を得ることができる。
水酸基の保護基としてはtBu基、Trt基、Bz基、アセチル基、シリル基等が挙げられ、アミノ基の保護基としては、Boc基、Fmoc基、Cbz基、Trt基、Mmt基、ivDde基等が挙げられ、グアニジル基の保護基としては、Pbf基、Pmc基、ニトロ基等が挙げられ、カルボキシル基の保護基としてはtBu基、メチル基、エチル基、Bz基等が挙げられ、チオール基の保護基としては、Trt基、Acm基、tBu基、S-tBu基等が挙げられ、インドール基の保護基としては、Boc基等が挙げられ、イミダゾール基の保護基としては、Boc基、Bom基、Bum基、Trt基等を挙げることができる。
6.ペプチドの合成方法
本発明のペプチド合成方法は、縮合反応工程、Fmoc基の脱保護工程、及びC-担体保護ペプチドの分離・回収工程までの各工程の間で固液分離操作を行ってもよく、あるいは、これらの一連の工程を、固液分離操作を行うことなく連続して行ってもよいが、好ましくは、固液分離操作を行うことなく連続して行う。また、本発明のペプチド合成方法においては、合成工程で発生する不純物を分液分離により軽減又は除去することができる。そのため、連続ペプチド合成方法として適している。
本発明のペプチド合成方法によるペプチドの合成の好ましい態様は、任意の工程であるスカベンジ反応工程及び/又は酸性水溶液洗浄工程を含む、以下の工程(i)~(iv)を含む。以下は、アミノ基の保護基としてFmocを用いた場合を記載しているが、保護基としてBocを用いても同様に行うことができる。
(i)縮合反応工程
有機溶媒又は有機溶媒の混合液中で、縮合剤の存在下、C-担体保護アミノ酸又はC-担体保護ペプチドと、N-Fmoc保護アミノ酸又はN-Fmoc保護ペプチドとを縮合して、C-担体保護-N-Fmoc保護ペプチドを得る工程、
(ii)スカベンジ反応工程
縮合反応後の反応液に、水溶性アミン(以下、アミンスカベンジャーと呼ぶ場合がある)を添加して、アミノ酸活性エステルのスカベンジ体を形成する工程、
(iii)脱Fmoc工程
水溶性アミンの存在下で保護されたN末端からFmoc基を脱保護する工程、及び
(iv)酸性水溶液洗浄工程
反応液に酸を添加して中和し、さらに酸性水溶液を添加し洗浄した後、分液し、水層を除去し、C-担体保護ペプチドを含む有機溶媒層を回収する工程。
上記工程は、C-担体保護アミノ酸又はC-担体保護ペプチド、C-担体保護-N-Fmoc-担体保護ペプチドの固形化(結晶化)を伴う固液分離操作を必要としないので、ワンポットで行うことができる。
さらに、上記工程を行うことにより、合成反応の開始時に比べアミノ酸又はペプチドが付加されたC-担体保護ペプチドが有機層に溶解された状態で回収できる。また、C-担体保護ペプチドが溶解した有機層からは不純物が軽減又は除去されているので、そのままの状態で、次のペプチド合成反応を続けて行うことができる。
よって、本発明化合物を用いたペプチド合成方法の一つの態様として、上記工程(i)~(iv)の工程を必要回数繰り返す工程からなる、ペプチド合成方法を挙げることができる。本発明の方法を用いることにより、連続するペプチド合成をワンポットで行うことができる。
本発明のペプチド合成方法の工程(i)におけるC-担体保護アミノ酸又はC-担体保護ペプチドは、ペプチド合成において用いられる公知の方法を適宜参照して作製することができる。以下、C-担体保護アミノ酸を例にして説明する。例えば、本発明化合物(担体)は、アミノ酸のカルボキシル基に、直接又はリンカーを介して結合させることができる。これに限定されないが、例えば、担体化合物をTHF等の溶媒に溶解し、N-Fmoc保護アミノ酸、及び縮合剤、例えば、DIPCIを添加して縮合を行い、アミノ酸のカルボキシル基に担体が結合した中間体であるC-担体保護-N-Fmoc保護アミノ酸を作製できる。又は、担体化合物をTHF等の溶媒に溶解し、Boc保護アミノ酸、及び縮合剤、例えば、DIPCIを添加して縮合を行い、アミノ酸のカルボキシル基に担体が結合した中間体であるC-担体保護-N-Boc保護アミノ酸を作製できる。
作製されたC-担体保護-N-Fmoc保護アミノ酸又はC-担体保護-N-Boc保護アミノ酸は、好ましくは、固形化(結晶化)させて回収することにより、高純度で得ることができる。例えば、これに限定されないが、C-担体保護-N-Fmoc(又はBoc)保護アミノ酸を含んだ反応液を、減圧下で留去し、次いで、残渣に、C-担体保護-N-Fmoc(又はBoc)保護アミノ酸が固形化(結晶化)する溶媒、例えば、メタノールやアセトニトリルを添加して析出させ、沈殿物をろ過した後、溶媒で懸洗を行い、得られた固形物を乾燥してC-担体保護-N-Fmoc(又はBoc)保護アミノ酸として得ることができる。
このようにして得られたC-担体保護-N-Fmoc(又はBoc)保護アミノ酸はペプチド合成において用いられる、公知の方法を適宜参照してN末端保護基を除去することで、C-担体保護アミノ酸を作製することができる。例えば、これに限定されないが、C-担体保護-N-Fmoc保護アミノ酸をTHF等の溶媒に溶解し、DBU、ピペラジン等の脱Fmoc試薬を添加して脱Fmoc反応を行うことができる。又はC-担体保護-N-Boc保護アミノ酸をCPME等の溶媒に溶解し、TFA等の脱Boc試薬を添加して脱Boc反応を行うことができる。
このようにして得られたC-担体保護アミノ酸は、溶液状態で調製できるので、そのままの状態で、本発明の工程(iv)と同様の酸性水溶液洗浄工程に供することが可能であり、酸性水溶液洗浄を行った後のC-担体保護アミノ酸を、本発明の方法の工程(i)の原料として本発明の方法に用いることができる。かかる場合は、C-担体保護アミノ酸の調製工程も含めて、ワンポットでのペプチド合成が可能である。
また、必要に応じて、得られたC-担体保護アミノ酸は、固形化(結晶化)させて回収することもできる。例えば、これに限定されないが、C-担体保護アミノ酸を含んだ反応液を、減圧下で留去し、次いで、残渣に、担体が固形化(結晶化)する溶媒、例えば、メタノールやアセトニトリルを添加して析出させ、沈殿物をろ過した後、溶媒で懸洗を行い、得られた固形物を乾燥してC-担体保護アミノ酸として得ることができる。
このようにして得たC-担体保護アミノ酸を出発物質として、本発明のペプチド合成方法に用いることができる。
よって、本発明のペプチド合成方法の一つの態様として、上記工程(i)~(iv)の前に、C-担体保護アミノ酸の調製工程をさらに含むペプチド合成方法を挙げることができる。
本発明のペプチド合成方法を用いて得たC-担体保護ペプチドは、ペプチド合成分野で用いられている公知の方法を用いて回収できる。例えば、結晶化させることにより溶媒中から回収できる。例えば、これに限定されないが、得られたC-担体保護ペプチドを含んだ有機層を、減圧下で溶媒留去し、次いで、残渣に、貧溶媒、例えば冷アセトニトリルを添加して析出させ、沈殿物をろ過した後、溶媒で懸洗を行い、得られた固形物を乾燥して合成した担体保護ペプチドを得ることができる。
よって、本発明のペプチド合成方法の一つの態様として、上記工程(i)~(iv)の後に、C-担体保護ペプチドを晶析・分離する工程を含むペプチド合成方法を挙げることができる。
以下、それぞれの工程について説明する。なお、以下の説明においては、C-担体保護ペプチドとN-Fmoc保護アミノ酸を例として記載しているが、C-担体保護ペプチドは、本発明において用いることができるC-担体保護アミノ酸又はC-担体保護ペプチドの例示であり、N-Fmoc保護アミノ酸は、本発明において用いることができるN-Fmoc保護アミノ酸又はN-Fmoc保護ペプチドの例示である。
6-1.縮合反応工程
本工程では、溶媒中において、C-担体保護ペプチドと、N-Fmoc保護アミノ酸と、縮合剤(好ましくは縮合剤及び活性化剤)とを混合することによって、アミノ酸残基数が伸長したC-担体保護-N-Fmoc保護ペプチドが得られる。
各成分の添加の方法や順序は、特に制限なく行うことができ、ペプチド合成における縮合工程において通常用いられている方法を用いることができる。
担体保護ペプチドに対する、N-Fmoc保護アミノ酸の使用量は、C-担体保護ペプチドに対して、通常1.01~4当量、好ましくは1.03~3当量、より好ましくは1.05~2当量、さらに好ましくは1.1~1.5当量である。この範囲より少ないと、未反応の担体保護ペプチドが残りやすく、アミノ酸の欠落を起こし易くなる。本発明のペプチド合成方法では、未反応のアミノ酸の活性エステルをその後に添加する水溶性アミンでスカベンジして(捕獲して)不活性化することができる。そのため、より多くのN-Fmoc保護アミノ酸を用いても、従来の方法に比べ残存の問題が生じない。
縮合剤としては、ペプチド合成において一般的に用いられる縮合剤が、本発明においても制限なく用いることができ、これに限定されないが、例えば、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホニウムクロリド(DMT-MM)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU(6-Cl))、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、O-(6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TCTU)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)を挙げることができ、好ましくは、DMT-MM、HBTU、HATU、又はCOMUである。縮合剤の使用量は、担体保護ペプチドに対して、通常1~4当量、好ましくは1~2当量、より好ましくは1.05~1.3当量である。
縮合工程において、反応を促進し、ラセミ化などの副反応を抑制するために、好ましくは、活性化剤が添加される。ここで活性化剤とは、縮合剤との共存化で、アミノ酸を、対応する活性エステル、対称酸無水物などに導いて、ペプチド結合(アミド結合)を形成させやすくする試薬である。活性化剤としては、ペプチド合成において一般的に用いられる活性化剤が、本発明においても制限なく用いることができ、例えば、HOBt、HOCt、HOAt、HOOBt、HOSu、HOPht、HONb、ペンタフルオロフェノール、シアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル(Oxyma)等を挙げることができ、好ましくは、HOBt、HOOBt、HOCt、HOAt、HONb、HOSu、Oxymaである。活性化剤の使用量は、担体保護ペプチドに対して、通常1~4当量、好ましくは1~2当量、より好ましくは1.05~1.3当量である。
縮合工程で使用する溶媒は、ペプチド合成において一般的に用いられる溶媒が、本発明においても制限なく用いることができ、これに限定されないが、例えば、前記した溶媒が例示される。溶媒の使用量は、担体保護ペプチド等を溶解した濃度が、通常0.1mM~1Mとなる量であり、好ましくは1mM~0.5Mとなる量である。
反応温度は、ペプチド合成において一般的に用いられる温度が、本発明においても用いられ、例えば、通常-20~40℃、好ましくは0~30℃の範囲内である。反応時間(1サイクルの時間)は、通常0.5~30時間である。
6-2.スカベンジ反応工程
本発明のペプチド合成方法は、アミノ酸の縮合反応工程の後に、水溶性アミンを反応系に添加して、未反応のアミノ酸活性エステルをスカベンジ(捕獲)する工程を追加することができる。本工程において、水溶性アミンはアミノ酸活性エステルと結合してスカベンジ体を形成し、活性エステルを不活性化する。本明細書においては、本発明で用いる水溶性アミンを、アミンスカベンジャーと称する場合がある。
本発明において用いることができるスカベンジャーとしての水溶性アミンは、好ましくは、1級又は2級のアミノ基を少なくとも1つ持つ2価以上の水溶性アミンであり、例えば、1-メチルピペラジン、4-アミノピペリジン、ジエチレントリアミン、トリアミノエチルアミン、1-エチルピペラジン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、ピペラジンを挙げることができ、好ましくは、1-メチルピペラジン、4-アミノピペリジン、ジエチレントリアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミンであり、より好ましくは、1-メチルピペラジン、4-アミノピペリジン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミンであり、さらに好ましくは、1-メチルピペラジンである。ここで、2価以上の水溶性アミンとは、2つ以上のアミノ基を有する水溶性アミンを意味する。
工程(ii)における水溶性アミンの添加量は、理論上残存するアミノ酸当量に対して、通常1~10当量、好ましくは1~6当量、より好ましくは1~4当量である。アミンの添加量がこの範囲より少ないと、アミノ酸活性エステルのスカベンジ(捕獲)が不充分となり、残存したアミノ酸活性エステルと次工程(iii)の際に再生したアミノ基が反応するダブルヒットが起こり、純度、収率を低下させ、一方、この範囲より多いと、同時に脱Fmoc反応が進行し、残存しているアミノ酸活性エステルが再生したアミノ基と反応するダブルヒットが起こり、純度、収率を低下させる。
本発明のペプチド合成方法においては、本工程を追加することにより、次の工程であるN-Fmoc-担体保護ペプチドからのFmoc基の除去を、反応系中のアミノ酸活性エステルをアミンスカベンジャーによりスカベンジ(捕獲)してスカベンジ体を形成させた後に行うことができる。これにより、脱Fmoc反応時においては、反応液中のアミノ酸活性エステルが不活性化されており、それらを反応系から取り除かなくても脱保護時にアミノ酸のダブルヒットを防ぐことができる。また、水溶性アミンに捕捉されたアミノ酸活性エステルは、後の洗浄工程において容易に除去できる。
6-3.脱Fmoc工程
本発明のペプチド合成方法においては、C-担体保護-N-Fmoc保護ペプチドからFmoc基の除去を行う。N末端からのFmoc基の除去は、ペプチド合成において一般的に用いられる除去方法が、必要に応じて適宜変更して本発明において用いることができる。本発明において用いることができる脱Fmoc試薬としては、これに限定されないが、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]-オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、トリブチルアミンを挙げることができ、好ましくは、DBUである。
Fmoc基の除去は、水溶性アミンの存在下で行うのが好ましく、さらには、本工程において水溶性アミンを反応系に追加で添加するのが好ましい。本工程において用いることができる水溶性アミンは、好ましくは、1級又は2級のアミノ基を少なくとも1つ持つ2価以上の水溶性アミンであり、例えば、1-メチルピペラジン、4-アミノピペリジン、ジエチレントリアミン、トリアミノエチルアミン、1-エチルピペラジン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、ピペラジンを挙げることができ、好ましくは、1-メチルピペラジン、4-アミノピペリジン、ジエチレントリアミンであり、より好ましくは、1-メチルピペラジンである。本工程における水溶性アミンは、工程(ii)(スカベンジ反応工程)で添加した水溶性アミンと同じでも異なってもよい。
本工程(iii)において添加する水溶性アミンの当量は、系に存在するFmoc基の量に対して、5~30当量、好ましくは5~20当量、より好ましくは10~20当量である。アミンの添加量がこの範囲より少ないと、脱Fmoc反応により生じるジベンゾフルベン(DBF)のスカベンジ(捕獲)が不充分となり、不純物を後の酸性水溶液洗浄工程で除去しにくくなり、一方、この範囲より多いと、中和に要する酸の量が増大し、それに伴う中和工程によって副反応(分解、ラセミ化)が起き、純度低下、収率減少の原因となる。
本工程は水溶性アミンの存在下で脱Fmoc反応を行うが、系に存在する水溶性アミンが脱Fmoc試薬としての機能を有する場合は、他の脱Fmoc試薬を系に添加しなくてもよい。一方、効率よく脱Fmoc反応を行うために他の脱Fmoc試薬を系に添加してもよい。脱Fmoc試薬としての機能を有する水溶性アミンとして、例えば、上記で例示した水溶性アミンを挙げることができる。好ましくは、本工程では、水溶性アミンとともに脱Fmoc試薬が添加される。
本工程において水溶性アミンとともに脱Fmoc試薬を反応系に添加する場合は、水溶性アミンと脱Fmoc試薬の添加は、同時に系に添加してもよく、あるいは、水溶性アミンを系に添加した後、脱Fmoc試薬を添加してもよい。ここでいう、同時とは、本技術分野における反応において同時と考えられる範囲内で前後して添加することを含む意味である。なお、水溶性アミンを系に添加した後に脱Fmoc試薬を添加する場合、添加間隔の時間は、操作やその他の要因を考慮して、適宜調整できる。
脱Fmoc反応時には、DBFが生じるが、本工程で添加した水溶性アミンは、これらの不純物をスカベンジ(捕捉)することができる。水溶性アミンに捕捉されたDBFは、後の酸性水溶液洗浄工程において容易に除去できる。
6-4.酸性水溶液洗浄工程
工程(iv)の中和工程により、系に存在する過剰な塩基、スカベンジ体を塩に変え、それらの水溶性を向上させることができる。中和に使用する酸としては、反応液中の塩基を中和できるものであれば特に限定されないが、例えば、塩化水素、リン酸、酢酸、硫酸等の水溶液が挙げられる。例えば、塩酸を用いる場合は、これに限定されないが、1N~12N、好ましくは2N~12N、より好ましくは5N~12Nの塩酸を添加する。
ここでいう中和とは、反応液が中性のpHになれば良く、pHが7.0以下になってもよい。
工程(iv)においては、酸で中和した反応中和液に、さらに、酸性水溶液を加え、洗浄し、次いで、分液して、水層を廃棄し、有機層を回収する。これにより、酸性水溶液に溶解性の不純物を除くことができる。
用いる酸性水溶液は、特に限定されないが、例えば、塩酸水、希硫酸、リン酸水溶液、酢酸水溶液が挙げられ、好ましくは、塩酸水である。酸性水溶液のpHは、1~5、好ましくは1~4、より好ましくは1~3である。
洗浄に用いる酸性水溶液は、添加量は洗浄効果を示す限り特に制限がないが、反応液に対して、0.1~3倍量、好ましくは0.5~2倍量、より好ましくは0.8~1.5倍量で用いることができる。
洗浄、分液、水層の廃棄工程は、回数に制限なく、1回でもよくまた複数回行ってもよい。回数は、反応系中の化合物の種類や不純物の量、及び目的に応じて、適宜選択される。
本発明においては、工程(iv)の酸性水溶液の洗浄により不純物を除くことができる。酸性水溶液の分液操作により、例えば、H2N-AAx-アミン(スカベンジャー)結合体(AAはアミノ酸を示し、xはその数を示す)、縮合剤分解物、pH調整塩基、DBF-アミン(スカベンジャー)結合体、アミン(スカベンジャー)、脱Fmoc試薬などの不純物を除去することができ、不純物が軽減又は除去された反応系に溶解した担体保護ペプチドを得ることができる。
また、水溶液を用いた分液操作は、簡便であり、工程時間の短縮に寄与する。更には、固液分離操作が必要でなく担体保護ペプチドの固形化のための貧溶媒の使用を削減できる。
なお、本発明の方法を用いた連続するペプチド合成では、最後のサイクルにおいて、脱Fmoc工程後に、酸で中和した後、担体保護ペプチドを固形化(結晶化)して、固液分離操作を用いて担体保護ペプチドを回収してもよいが、不純物のより完全な除去の観点より、酸性水溶液による洗浄を行うのが好ましい。
本発明のペプチド合成方法の一態様においては、縮合工程及び脱Fmoc工程において生じる不純物を軽減又は除去するための酸性水溶液での洗浄工程を含むが、C-担体保護ペプチドを有機溶媒中に溶解された状態で回収することを妨げない限り、他の洗浄工程を追加してもよい。例えば、弱塩基性水溶液での洗浄や食塩水での洗浄を挙げることができる。また、食塩水での洗浄に代えて無水硫酸ナトリウム等の脱水剤を加えて脱水することもできる。弱塩基性水溶液での洗浄は、例えば、pH8~12(好ましくは8~10)の炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、又は炭酸カリウム水溶液での洗浄を挙げることができる。
7.C-担体保護ペプチドの晶析・分離工程
本発明のペプチド合成方法で合成したC-担体保護ペプチドは、工程(iv)の酸による中和後、好ましくは工程(iv)の酸性水溶液による分液操作の後に、不溶化して(例えば、結晶化又はオイル化させて)分離することができる。または、本発明の方法を用い、工程(i)~(iv)を必要回数繰り返して合成したC-担体保護ペプチドは、工程(i)の後、N末端を脱保護しない場合は工程(iii)を行わず、工程(i)以降の任意の工程後に不溶化して分離することができる。不溶化は、C-担体保護ペプチドが溶解している溶媒を濃縮して固化させる方法、あるいは溶媒の組成変化により不溶化(結晶化又はオイル化)させる方法をあげることができる。溶媒の組成変化により不溶化させる場合は、溶解状態と不溶化状態とが可逆的に変化する特性を有する担体を用いるペプチド合成分野において公知の方法を適宜参照して行うことができる。
8.担体脱保護工程
担体脱保護は、本発明の方法で合成したC-担体保護ペプチドにおいて、ペプチドに直接又はリンカーを介して結合した担体を、切り離すことにより行う。
担体が直接、ペプチドに結合している場合は、担体脱保護は、合成したペプチドのカルボキシル基に結合した担体を除去(脱保護)することによって行うことができる。
担体の除去の方法は特に限定はなく、公知の脱保護法を使用すればよいが、好ましくは酸処理により行われる。例えば、TFAを用いた脱保護法を用いることができ、より具体的には、以下の担体A又はDを用いた場合は50~100%トリフルオロ酢酸で、担体B又はEを用いた場合は1~100%トリフルオロ酢酸で、担体Cを用いた場合は95~100%トリフルオロ酢酸で脱保護するのが好ましい。
本発明の方法において、担体がリンカーを介してペプチドに結合している場合は、担体の脱保護は、(i)リンカーとペプチドの間の結合を切断することにより行う、又は、(ii)リンカーと担体の間の結合を切断することにより行う、のいずれでもよい。後者の場合は、ペプチドはリンカーをもった状態で担体から切り離され、末端又は側鎖がリンカーにより修飾されたペプチドを得ることができる。
(i)の場合における担体脱保護は、これに限定されないが、例えば、エステル結合又はアミド結合によりリンカーとペプチドが結合している場合は、TFAを用いた脱保護法により行うことができる。
(ii)の場合における担体脱保護は、上記の直接結合した場合における脱保護法を用いることができる。
9.C末端修飾ペプチドの合成
C末端のアミド化は、生物活性があるペプチドで頻繁に見られる修飾であり、例えば、カルシトニン、カストリン、セクレチン、ホルモン放出因子などを挙げることができる。本発明のペプチド合成方法を用いて、アミノ基を含む反応基を有する担体を使用することにより、C末端がアミド化されたペプチドを効率良く合成することができる。
例えば、本発明の方法において、任意のアミノ酸又はペプチドのカルボキシル基末端に、カルボキシル基と結合するアミノ基を反応性基として持つ本発明化合物(担体)が結合したC-担体保護アミノ酸(又はペプチド)を用いることにより、C末端がアミド化された、例えば、アミノ基やアミノアルキル基で修飾されたペプチドを得ることができる。アミド担体としては、反応基にアミノ基又はアルキルアミノ基を有する本発明の化合物を挙げることができる。
このような本発明化合物(担体)を用いることにより、アミノ基又はアルキルアミノ基でC末端が修飾されたペプチドを得ることができる。これに限定されないが、例えば、C末端のプロリンがアミノエチル化されたペプチドを得ることができる。本発明の一態様として、アミド担体を用いた本発明の方法は、C末端のアミド化されたペプチドの合成において有用である。
本発明のペプチド合成方法を用いて得られたペプチドは、ペプチド合成で常用される方法に従って、単離精製することができる。例えば、反応混合物を抽出洗浄、晶析、クロマトグラフィーなどによって、目的物であるペプチドを単離精製することができる。
本発明のペプチド合成方法により製造されるペプチドは特に限定されないが、ペプチドのアミノ酸残基数が、例えば、数十以下程度であることが好ましい。本発明のペプチド合成方法によって得られるペプチドは、既存の又は未知の合成ペプチドや天然ペプチドと同様に、様々な分野、例えばこれに限定されないが、医薬、食品、化粧品、電子材料等の分野に利用できる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例のようにして本発明の担体(TAG)を合成した。
(実施例1)2,4-Di-{(Z)-octadec-9-enyloxy)}benzylalcohol(1)の合成
(1-1)Oleyl-OH(1)の合成
Oleic Acid(14.26g、50.00mmol)を、LiAlH(2.850g、75.00mmol)が入っている脱水THF(250mL)に氷浴上で加え、室温で19時間攪拌させた。反応終了後、反応液を冷やしながら1N HCl(4mL)を水(10mL)で希釈した水溶液を加え、10分間攪拌した。静置して沈殿が落ち着いたら、EtOAcでセライトろ過に供した。ろ液を0.5N NaHCOaq.(20mL)で洗い、水層をEtOAcで抽出した後、17% NaClで洗浄し、NaSOを加えて乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧濃縮し、化合物1を収率90%(12.22g、45.50mmol)で得た。
(1-2)Oleyl-Br(2)の合成
Oleyl-OH(化合物1、12.22g、45.50mmol)を脱水DCM(250mL)に溶解させ、溶液を冷やしながらPPh(14.32g、54.60mmol)及びCBr(22.63g、68.25mmol)を加え、室温で17時間撹拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、MeCNとヘキサンで抽出した。ヘキサン層を減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物2を定量的に(15.08g、45.50mmol)得た。
(1-3)2,4-Di-{(Z)-octadec-9-enyloxy)}benzylalcohol(3)の合成
2,4-Dihydroxybenzaldehyde(17.96g、13.00mmol)を脱水DMF(27mL)に溶解させ、そこに乳鉢で砕いたKCO(5.75g、41.60mmol)及びOleyl-Br(2、10.77g、32.50mmol)を加え、110℃で21時間撹拌した。反応終了後、ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。濃縮物を脱水THF(60mL)及び脱水2-プロパノール(24mL)の混合溶媒に溶解させ、NaBH(0.74g、19.50mmol)を加え、室温で18.5時間撹拌した。ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物3を収率52%(4.37g、6.81mmol)で得た。
(実施例2)2,5-Di-{(Z)-octadec-9-enyloxy)}benzylalcohol(4)の合成
2,5-Dihydroxybenzaldehyde(69.1mg、0.50mmol)を脱水DMF(1mL)に溶解させ、そこに乳鉢で砕いたKCO(221.1mg、1.60mmol)及びOleyl-Br(2、414.2mg、1.25mmol)を加え、110℃で72時間撹拌した。反応終了後、ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。濃縮物を脱水THF(2.5mL)及び脱水2-プロパノール(1.0mL)の混合溶媒に溶解させ、NaBH(28.4mg、0.75mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物4を収率73%(141.8mg、0.22mmol)で得た。
(実施例3)2,4,5-Tri-{(Z)-octadec-9-enyloxy)}benzylalcohol(5)の合成
2,4,5-Trihydroxybenzaldehyde(308.2mg、2.00mmol)を脱水DMF(6.5mL)に溶解させ、そこに乳鉢で砕いたKCO(3703.9mg、26.80mmol)及びOleyl-Br(2、2584.8mg、7.80mmol)を加え、110℃で24時間撹拌した。反応終了後、ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。濃縮物を脱水THF(12.5mL)及び脱水2-プロパノール(5.0mL)の混合溶媒に溶解させ、NaBH(113.5mg、3.00mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物5を収率40%(727.5mg、0.80mmol)で得た。
(実施例4)3,5-Di-{(Z)-octadec-9-enyloxy)}benzylalcohol(6)の合成
Methyl 3,5-Dihydroxy benzoate(504.4mg、3.00mmol)を脱水DMF(15mL)に溶解させ、そこに乳鉢で砕いたKCO(3234.0mg、23.40mmol)及びOleyl-Br(2、2982.4mg、9.00mmol)を加え、110℃で44.5時間撹拌した。反応終了後、ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。濃縮物を、LiAlH(261.9mg、6.90mmol)が入っている脱水THF(60mL)に氷浴上で加え、45℃で3時間攪拌させた。反応終了後、反応液を冷やしながら1N HCl(4mL)を水(10mL)で希釈した水溶液を加え、10分間攪拌した。静置して沈殿が落ち着いたら、THFでセライトろ過に供した。ろ液を0.5N NaHCOaq.(20mL)で洗い、水層をヘキサンで抽出した後、ろ液を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=95:5)で精製し、化合物6を収率57%(1091.9mg、1.70mmol)で得た。
(実施例5)3,4,5-Tri-{(Z)-octadec-9-enyloxy)}benzylalcohol(7)の合成
Methyl gallate(552.5mg、3.00mmol)を脱水DMF(12mL)に溶解させ、そこに乳鉢で砕いたKCO(5555.8mg、40.20mmol)及びOleyl-Br(2、3877.2mg、11.70mmol)を加え、110℃で45.5時間撹拌した。反応終了後、ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。濃縮物を、LiAlH(535.1mg、14.10mmol)が入っている脱水THF(67mL)に氷浴上で加え、45℃で4時間攪拌させた。反応終了後、反応液を冷やしながら1N HCl(4mL)を水(10mL)で希釈した水溶液を加え、10分間攪拌した。静置して沈殿が落ち着いたら、THFでセライトろ過に供した。ろ液を0.5N NaHCOaq.(20mL)で洗い、水層をヘキサンで抽出した後、ろ液を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物7を収率31%(844.0mg、0.93mmol)で得た。
(実施例6)2,4-Di-{(Z)-octadec-9-enyloxy)}benzylazide(8)の合成
2,4-Di-{(Z)-octadec-9-enyloxy)}benzylalcohol(化合物3、320.5mg、0.50mmol)をモレキュラーシーブで脱水させたトルエン(5mL)に溶解させ、そこにDBU(224μL、1.50mmol)及びDPPA(323μL、1.50mmol)を加え、60℃で75分間撹拌した。反応終了後、ろ過によってモレキュラーシーブを除去し、減圧濃縮した。濃縮物をシクロヘキサン:ヘキサン=1:1の混合溶媒に溶かし、アセトニトリルで洗浄した。トルエン共沸させ濃縮した後、トルエン:ヘキサン=1:3の混合溶媒に溶かし、シリカゲルを加え、40℃で20分間撹拌した。綿ろ過によってシリカゲルを除去し、減圧濃縮・乾燥させ、化合物8を収率88%(294.1mg、0.44mmol)で得た。
(実施例7)2,4-Di-{(Z)-octadec-9-enyloxy)}benzylamine(9)の合成
2,4-Di-{(Z)-octadec-9-enyloxy)}benzylazide(化合物8、1332.1mg、2.00mmol)をトルエン(40mL)に溶解させ、そこに水(720μL、40.0mmol)及びPhP(2098.3mg、8.00mmol)を加え、60℃で1.5時間撹拌した。反応終了後は減圧濃縮し、ヘキサンとアセトニトリルで抽出し、ヘキサン層を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物9を収率94%(1203.4mg、1.88mmol)で得た。
(実施例8)2,4-Di-{(Z)-octadec-9-enyloxy)}benzyl ethylamine 塩酸塩(10)の合成
2,4-Dihydroxybenzaldehyde(138.1mg、1.00mmol)を脱水DMF(2mL)に溶解させ、そこに乳鉢で砕いたKCO(442.3mg、3.20mmol)及びOleyl-Br(2、828.5mg、2.50mmol)を加え、110℃で21時間撹拌した。反応終了後、ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。濃縮物を脱水THF(14mL)及び脱水DMF(6mL)の混合溶媒に溶解させ、そこにEthylamine Hydrochloride(407.7mg、5.00mmol)及びDIPEA(1742μL、10.0mmol)、硫酸マグネシウムを加え、そこに酢酸をpH 5になるまで添加し、室温で1.5時間撹拌した。反応液にNaBH(OAc)(1695.5mg、8.00mmol)を4回に分けて加え、室温でさらに80分間撹拌した。反応終了後、THFに反応液を溶かしてセライトろ過し、ろ液にシクロヘキサンを加えた。この溶液を0.1N HClaq.及び17% NaClaq.で洗浄し、有機層を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、化合物10を収率36%(250.5mg、0.36mmol)で得た。
(実施例9)2,4-Di-{(Z)-hexadec-9-enyloxy)}benzylalcohol(13)の合成
(9-1)(Z)-Hexadec-9-en-1-ol(11)の合成
cis-9-Hexadecenoic acid(2798.5mg、11.00mmol)を、LiAlH(626.2mg、16.50mmol)が入っている脱水THF(100mL)に氷浴上で加え、室温で2時間攪拌させた。反応終了後、反応液を冷やしながら1N HCl(4mL)を水(10mL)で希釈した水溶液を加え、10分間攪拌した。静置して沈殿が落ち着いたら、EtOAcでセライトろ過に供した。ろ液を0.5N NaHCOaq.で洗い、水層をEtOAcで抽出した後、17% NaClで洗浄し、NaSOを加えて乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧濃縮し、化合物11を収率96%(2539.0mg、10.56mmol)で得た。
(9-2)(Z)-16-Bromohexadec-7-ene(12) の合成
(Z)-Hexadec-9-en-1-ol(化合物11、2404.3mg、10.00mmol)を脱水DCM(100mL)に溶解させ、溶液を冷やしながらPPh(3147.5mg、12.00mmol)及びCBr(4974.5mg、15.00mmol)を加え、室温で21時間撹拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、MeCNとヘキサンで抽出した。ヘキサン層を減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物12を定量的に(3033.3mg、10.00mmol)得た。
(9-3)2,4-Di-{(Z)-hexadec-9-enyloxy)}benzylalcohol(13)の合成
2,4-Dihydroxybenzaldehyde(552.5mg、4.00mmol)を脱水DMF(8mL)に溶解させ、そこに乳鉢で砕いたKCO(1769.0mg、12.80mmol)及び(Z)-16-Bromohexadec-7-ene(化合物12、3033.3mg、10.00mmol)を加え、110℃で23時間撹拌した。反応終了後、ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。濃縮物を脱水THF(17mL)及び脱水2-プロパノール(7mL)の混合溶媒に溶解させ、NaBH(227.0mg、6.00mmol)を加え、室温で15時間撹拌した。ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物13を収率56%(1310.3mg、2.24mmol)で得た。
(実施例10)2,4-Di-{(E)-octadec-9-enyloxy)}benzylalcohol(16)の合成
(10-1)(E)-octadec-9-en-1-ol(14)の合成
Elaidic acid(2824.6mg、10.00mmol)を、LiAlH(569.3mg、15.00mmol)が入っている脱水THF(100mL)に氷浴上で加え、室温で16時間攪拌させた。反応終了後、反応液を冷やしながら1N HCl(4mL)を水(10mL)で希釈した水溶液を加え、10分間攪拌した。静置して沈殿が落ち着いたら、EtOAcでセライトろ過に供した。ろ液を0.5N NaHCOaq.で洗い、水層をEtOAcで抽出した後、17% NaClで洗浄し、NaSOを加えて乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧濃縮し、化合物14を定量的に(2684.9mg、10.00mmol)で得た。
(10-2)(E)-1-bromooctadec-9-ene(15)の合成
(E)-octadec-9-en-1-ol(化合物14、2684.9mg、10.00mmol)を脱水DCM(100mL)に溶解させ、溶液を冷やしながらPPh(3147.5mg、12.00mmol)及びCBr(4974.5mg、15.00mmol)を加え、室温で6.5時間撹拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、MeCNとヘキサンで抽出した。ヘキサン層を減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物15を定量的に(3313.8mg、10.00mmol)得た。
(10-3)2,4-Di-{(E)-octadec-9-enyloxy)}benzylalcohol(16)の合成
2,4-Dihydroxybenzaldehyde(345.3mg、2.50mmol)を脱水DMF(5mL)に溶解させ、そこに乳鉢で砕いたKCO(1105.6mg、8.00mmol)及び(E)-1-bromooctadec-9-ene(化合物15、2071.1mg、6.25mmol)を加え、110℃で56.5時間撹拌した。反応終了後、ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。濃縮物を脱水THF(12.5mL)及び脱水2-プロパノール(5.0mL)の混合溶媒に溶解させ、NaBH(141.9mg、3.75mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物16を収率62%(993.7mg、1.55mmol)で得た。
(比較例1)2,4-Di-(octadecyloxy)benzylalcohol(17)の合成
2,4-Dihydroxybenzaldehyde(345.3mg、2.50mmol)を脱水DMF(5mL)に溶解させ、そこに乳鉢で砕いたKCO(1105.6mg、8.00mmol)及び1-bromoactadecane(2083.8mg、6.25mmol)を加え、110℃で96時間撹拌した。反応終了後、水を使って吸引ろ過をし、濾過物をさらにIPAで洗浄した。濾過物を脱水THF(11.4mL)及び脱水2-プロパノール(4.6mL)の混合溶媒に溶解させ、NaBH(141.9mg、3.75mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮した。そこにアセトニトリルを添加し、析出した固体を吸引ろ過で回収し、乾燥させて化合物17を収率91%(1467.6mg、2.28mmol)で得た。
(実施例11)
(11-1)(9Z,12Z)-octadeca-9,12-dien-1-ol(18)の合成
Linoleic acid(15.99g、57.00mmol)を、LiAlH(3.24g、85.50mmol)が入っている脱水THF(250mL)に氷浴上で加え、50℃で19時間攪拌させた。反応終了後、反応液を冷やしながら1N HCl(4mL)を水(10mL)で希釈した水溶液を加え、10分間攪拌した。静置して沈殿が落ち着いたら、EtOAcでセライトろ過に供した。ろ液を0.5N NaHCOaq.で洗い、水層をEtOAcで抽出した後、17% NaClで洗浄し、NaSOを加えて乾燥させた。ろ過後、ろ液を減圧濃縮し、化合物18を収率99%(15.04g、56.43mmol)で得た。
(11-2)(6Z,9Z)-18-bromooctadeca-6,9-diene(19)の合成
(9Z,12Z)-octadeca-9,12-dien-1-ol(化合物18、14.92g、56.00mmol)を脱水DCM(250mL)に溶解させ、溶液を冷やしながらPPh(17.63g、67.20mmol)及びCBr(27.86g、84.00mmol)を加え、40℃で20時間撹拌した。反応終了後、反応液を減圧濃縮し、MeCNとヘキサンで抽出した。ヘキサン層を減圧濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物19を定量的に(18.44g、56.00mmol)得た。
(11-3)2,4-Di-{(9Z, 12Z)-octadec-9,12-dienyloxy)}benzylalcohol(20)の合成
2,4-Dihydroxybenzaldehyde(3.45g、25.00mmol)を脱水DMF(50mL)に溶解させ、そこに乳鉢で砕いたKCO(11.06g、80.00mmol)及び(6Z,9Z)-18-bromooctadeca-6,9-diene(化合物19、20.59g、62.50mmol)を加え、110℃で96時間撹拌した。反応終了後、ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。濃縮物を脱水THF(117mL)及び脱水2-プロパノール(47mL)の混合溶媒に溶解させ、NaBH(1.42g、37.50mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。ヘキサンと17%食塩水で抽出し、有機層を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=100:1)で精製し、化合物20を収率51%(8.12g、12.75mmol)で得た。
以下に、本発明化合物を用いた分離方法及びペプチド合成の実施例を示す。
(実施例12)
本発明化合物として、2,4-Dioleyloxybenzylalcohol又は2,4-Dilinoleyloxybenzylalcoholを用い、以下のようにしてアミノ酸を結合させ、不純物から分離した。
Fmoc-Val-O-TAG(23a;oleyl、23b;linoleyl、23c;normal)の合成
担体(TAG)として2,4-dioleyloxybenzylalcohol(化合物3、640.8mg、1.00mmol;oleyl)または2,4-dilinoleyloxybenzylalcohol(化合物20、318.5mg、0.50mmol;linoleyl)と、Fmoc-Val-OH(1.50eq.)およびDMAP(0.05eq.)を脱水DCM(0.10M)に溶解させ、撹拌しながらDIPCI(1.50eq.)を加え室温で70分間攪拌させた。比較の担体として2,4-didocosyloxybenzyl alcohol(Kb-OH)(3023.2mg、4.00mmol;normal)を用いた。TLCで反応の終了を確認した後、反応液にDMFを添加し減圧濃縮した。濃縮後の反応液をヘキサン(Hex)(5mL)に溶解させた後、MeCN(10mLx2)でヘキサン層を洗浄した。ヘキサン層を減圧濃縮し、次の反応に供した。23cはMeCNでタグが沈殿したのでろ過により分離精製し、固体として得た。
(実施例13)
Fmoc-Pro-Gly-Val-Gly-Val-O-TAG(24a;oleyl、24b;linoleyl、24c;normal)(配列番号1-3)の合成
実施例12で得られた本発明化合物又はKb-OHにアミノ酸(Val)が結合したFmoc-Val-O-TAGを用い、以下のようにしてペプチド合成を行った。
(i)Fmoc-Val-O-TAG(23a-c)をシクロヘキサン(c-Hex):THF:DMF=5:4:1(0.10M)の混合溶媒に溶解させ、撹拌しながら1-Methylpiperazine(20.0eq.)およびDBU(1回目;1.50eq.、2回目以降;7.0eq.)を添加した。10分間撹拌してTLCで反応の終了を確認した後、反応液に氷浴上で6N HClaq.(1回目;42.5eq.、2回目以降;51.3eq.)を添加して中和した。THFを使って分液ロートに移送し、有機層(上層)を0.01N HClaq.および0.5N NaHCOaq.で洗浄した。有機層をそのまま次の反応に供した。
(ii)有機層にDMF(iで加えたのと同量)を加え、Fmoc-AA-OH(1.30eq.)およびCOMU(1.25eq.)を溶解させ、撹拌しながらDIPEA(2.50eq.)を加え室温で60分間攪拌させた。TLCで反応の終了を確認した後、1-Methylpiperazine(0.375eq.)を添加して10分間撹拌した。
以上(i)、(ii)を繰り返すことにより、ペプチドを伸長した。24cは4残基目のGlyを縮合させる際、撹拌開始から30分程度で、反応液がゲルのようになった。均一に撹拌することが困難で、反応は均一には進まなかった。
24aおよび24bに関しては、5残基目のProを縮合した後、反応液にアセトニトリルを添加して減圧濃縮した。反応溶媒が飛びきった後、目的物が入っているナスフラスコを冷却し、目的物を固体として析出させた。析出物を吸引ろ過により分離し、化合物24aを収率77%(981.8mg、0.77mmol)、化合物24bを収率30%(188.9mg、0.15mmol)で得た。
実施例13で合成した化合物24aを用い、さらに伸張したペプチドを合成した。
(実施例14)
Fmoc-Pro-Gly-Val-Gly-Val-OH(25)(配列番号4)の合成
Fmoc-Pro-Gly-Val-Gly-Val-O-(2,4-dioleyloxybenzylalcohol)(化合物24a:配列番号1、445.8mg、0.35mmol)を、DCM:TFE:TFA=88:10:2(DCM 3.1mL、TFE 0.350mL、TFA 0.070mL、0.10M)の混合溶媒に溶かし、2.5時間撹拌した。共沸用のアセトニトリル(2.1mL)を添加し、減圧濃縮した。残留物に冷やしたIPE(20mL)を添加し、3000rpm、-9℃の条件で20分間凍結遠心した。IPEで洗いながら沈殿物をろ過し、乾燥させて化合物25を収率86%(193.7mg、0.30mmol)で得た。
(実施例15)
HCl・H-Pro-Gly-Val-Gly-Val-O-(2,4-dioleyloxybenzylalcohol)(26)(配列番号5)の合成
Fmoc-Pro-Gly-Val-Gly-Val-O-(2,4-dioleyloxybenzylalcohol)(化合物24a:配列番号1、280.7mg、0.22mmol)をc-Hex(1.1mL)、THF(0.88mL)、DMF(0.22mL)の混合溶媒に溶かし、ピぺリジン(0.03mL、0.330mmol)およびDBU(0.033mL、0.22mmol)を添加した。10分間撹拌し、反応液に氷浴上で6N HCl(0.13mL、0.7mmol)を添加して中和した。THFを使って分液ロートに移送し、有機層(上層)を0.01N HClaq.(4.0mL)で洗浄し、有機層を減圧濃縮した。アセトニトリルを添加し、析出した沈殿物を吸引ろ過することにより、化合物26を収率71%(170.4mg、0.16mmol)で得た。
HCl・H-Pro-Gly-Val-Gly-Val-Pro-Gly-Val-Gly-Val-O-(2,4-dioleyloxybenzylalcohol)(27)(配列番号6)の合成
HCl・H-Pro-Gly-Val-Gly-Val-O-(2,4-dioleyloxybenzylalcohol)(化合物26:配列番号5、170.4 mg、0.16mmol)をc-Hex(0.784mL)、THF(0.627mL)、DMF(0.157mL)の混合溶媒に溶かし、Fmoc-Pro-Gly-Val-Gly-Val-OH(25、113.1mg、0.17mmol)及びCOMU(77.7mg、0.18mmol)を添加し、撹拌しながらDIPEA(68.3μL、0.39mmol)を加え室温で60分間攪拌させた。ピぺリジン(0.016mL、0.235mmol)及びDBU(0.164mL、1.097mmol)を添加した。10分間撹拌してTLCで反応の終了を確認した後、反応液に氷浴上で6N HClaq.(0.314mL、1.9mmol)を添加して中和した。THFを使って分液ロートに移送し、有機層(上層)を0.01N HClaq.(1.7mL)および13% NaClaq.(0.9mL)で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、アセトニトリルを添加して生じたゲルをスパチュラでほぐし、ろ過で固体を得た。固体を乾燥させ、化合物27を定量的に(238.5mg、0.159mmol)得た。
HCl・H-Pro-Gly-Val-Gly-Val-Pro-Gly-Val-Gly-Val-OH(28)(配列番号7)の合成
HCl・H-Pro-Gly-Val-Gly-Val-Pro-Gly-Val-Gly-Val-O-(2,4-dioleyloxybenzylalcohol) (化合物27:配列番号6、230.0mg、0.15mmol)をDCM:TFE:TFA=88:10:2(DCM 1.35mL、TFE 0.154mL、TFA 0.031mL,0.10M)の混合溶媒に溶かし、80分間撹拌した。塩酸塩を形成するため、4mol HCl/CPME(0.100mL)を添加し、さらに20分間撹拌した。共沸用のアセトニトリル(4.6mL)を添加し、減圧濃縮した。残留物に冷やしたIPE(12mL)を添加し、3000rpm、-9℃の条件で20分間凍結遠心した。上清を除去し、沈殿物をろ紙上で乾燥させて化合物28を収率92%(120.6mg、0.14mmol)で得た。
(実施例16)
本発明化合物である2,4-Dioleyloxybenzyl ethylamineを担体(TAG)として用い、以下のようにしてペプチド合成を行った。
H-Pyr-His(Trt)-Trp(Boc)-Ser(tBu)-Tyr(tBu)-D-Leu-Leu-Arg(Pbf)-Pro-NEt-(2,4-dioleyloxybenzylalcohol)(29)(配列番号8)の合成
2,4-Dioleyloxybenzyl ethylamine(化合物10、869.3mg、1.03mmol)、Fmoc-AA-OH(1.35eq.)およびCOMU(1.25eq.)をc-Hex(5mL)、THF(4mL)、DMF(1mL)の混合溶媒に溶解させ、撹拌しながらDIPEA(2.58eq.)を加え室温で20分間攪拌させた。1-Methylpiperazine(0.386eq.)を添加して10分間撹拌した。そして1-Methylpiperazine(20.6eq.)およびDBU(7.21eq.)を添加した。10分間撹拌してTLCで反応の終了を確認した後、反応液に氷浴上で6N HClaq.(52.8eq.)を添加して中和した。THFを用いて分液ロートに移送し、有機層(上層)を0.01N HClaq.および0.5N NaHCOaq.で洗浄した。有機層をそのまま次の反応に供した。この作業を9残基分繰り返し、H-Pyr-OHを縮合した反応液を減圧濃縮した。この際、アセトニトリルを加えてもタグペプチドは固体として沈殿せず、水あめ状の物性を呈した。クロロホルム:メタノール=20:1でカラムクロマトグラフィー精製をし、化合物29を含む分画をすべて濃縮し、化合物29との混合物を得た。
H-Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-D-Leu-Leu-Arg-Pro-NHEt(30)(配列番号9)の合成
H-Pyr-His(Trt)-Trp(Boc)-Ser(tBu)-Tyr(tBu)-D-Leu-Leu-Arg(Pbf)-Pro-NEt-(2,4-dioleyloxybenzylalcohol)(化合物29:配列番号8)をTFA:TIS:HO=95:2.5:2.5(TFA 6.516mL、TIS 0.172mL、HO 0.172mL、0.10M)の混合溶媒に溶解させ、30分間撹拌した。TLCで反応の終了を確認した後、塩酸塩を形成させるために4mol HCl/CPME(0.343mL)を添加し、さらに15分間撹拌した。共沸のためにアセトニトリルやトルエンを加えて減圧濃縮したものの、溶媒は飛びきらなかった。そこにIPEを40mL添加し、3000rpm、-9℃の条件で40分間凍結遠心した。上清を除去した後、もう一度IPEを添加し同条件で凍結遠心した。上清を除去した後、沈殿物を減圧濃縮により乾燥させた。得られた固形物をESI-MSに供し化合物30の生成を確認した。
上記の詳細な記載は、本発明の目的及び対象を単に説明するものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。添付の特許請求の範囲から離れることなしに、記載された実施態様に対しての、種々の変更及び置換は、本明細書に記載された教示より当業者にとって明らかである。
本発明の不飽和アルキル含有芳香族化合物を用いることにより、液相ペプチド合成方法において、ペプチドの特性に依存することなく、ペプチド合成を行うことができる。さらには、凝集性の高いペプチドを合成する場合であっても、特殊な装置を用いることなく、ペプチド合成を行うことができる。
また、本発明のペプチド合成方法は、分液操作のみで最終生成物を分離できるので、実用的な工業的プロセスとしても有用である。

Claims (36)

  1. 式(I):
    (式中、Rは、(CH2)nR1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基であり、mは2又は3であり、nは1~3の自然数である。)
    で表される不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
  2. 前記式(I)が、以下のいずれかの式:
    (ここで、Rは、(CH2)R1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基である。)
    で表される請求項1に記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
  3. 前記式(I)が、以下のいずれかの式:

    (ここで、Rは(CH2)R1であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基である。)
    で表される請求項1に記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
  4. Raが、直鎖状の不飽和炭化水素基である請求項1~3のいずれか一つに記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
  5. Raのそれぞれが独立して、ミリストレイン酸(C14)、パルミトレイン酸(C16)、サピエン酸(C16)、オレイン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、ガドレイン酸(C20)、エイコセン酸(C20)、エルカ酸(C22)、ネルボン酸(C24)、リノール酸(C18)、エイコサジエン酸(C20)、ドコサジエン酸(C22)、α-及びγ-リノレン酸(C18)、ピノレン酸(C18)、エレオステアリン酸(C18)、ミード酸(C20)、ジホモ-γ-リノレン酸(C20)、エイコサトリエン酸(C20)、ステアリドン酸(C18)、アラキドン酸(C20)、エイコサテトラエン酸(C20)、アドレン酸(C22)、ボセオペンタエン酸(C18)、エイコサペンタエン酸(C20)、オズボンド酸(C22)、イワシ酸(C22)、テトラコサペンタエン酸(C24)、ドコサヘキサエン酸(C22)、及びニシン酸(C24)からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である請求項4に記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
  6. Raのそれぞれが、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、ガドレイン酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、エルカ酸、ドコサジエン酸及びドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である請求項5に記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
  7. Raのそれぞれが、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、及びガドレイン酸からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である請求項5に記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
  8. 式(I)で表される化合物が、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,5-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((E)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylamine、2,4-Bis((Z,Z)-octadec-9,12-dien-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylethylamine、2,4-Bis((Z)-docos-13-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、3,4,5-Tris((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z,Z)-docos-13,16-dien-1-yl)oxy)benzylalcohol、3,5-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z,Z,Z,Z,Z,Z)-docos-4,7,10,13,16,19-hexaen-1-yl)oxy)benzylalcohol、及び 2,4,5-Tris((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcoholからなる群より選ばれる請求項1に記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物。
  9. 請求項1~8のいずれか一つに記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物である分離用担体。
  10. 請求項1~8のいずれか一つに記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物の分離用担体としての使用。
  11. 請求項1~8のいずれか一つに記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物であるペプチド合成用試薬。
  12. 請求項1~8のいずれか一つに記載の不飽和アルコキシ置換芳香族化合物のペプチド合成用試薬としての使用。
  13. 下記式(I)で示される不飽和アルキル含有芳香族化合物由来の担体で保護された保護アミノ酸又は保護ペプチドの分離方法であって、以下の工程:
    工程(1):有機溶媒又は有機溶媒の混合液中で、
    以下の式(I):
    式(I):
    (式中、Rは、(CH2)nR1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基であり、mは2又は3であり、nは1~3の自然数である。)で表される不飽和アルコキシ置換芳香族化合物にN末端のアミノ基が保護された(「N-保護」)アミノ酸と縮合させて、該不飽和アルコキシ置換芳香族化合物由来の担体でC末端が保護された(「C-担体保護」)N-保護アミノ酸を得る工程、若しくはC-担体保護アミノ酸又はC-担体保護ペプチドにN-保護アミノ酸を縮合させて、C-担体保護-N-保護ペプチドを得る工程。
    工程(2):工程(1)で得られた担体保護-N-保護アミノ酸又は担体保護-N-保護ペプチドのN末端の保護基を除去する工程、及び、
    工程(3):工程(2)で得られた担体保護アミノ酸又は担体保護ペプチドを分離する工程、
    を含む分離方法。
  14. 前記工程(3)は、
    (i)担体保護アミノ酸又は担体保護ペプチドを不溶化(結晶化)状態にして分離する固液分離工程、又は
    (ii)担体保護アミノ酸又は担体保護ペプチドを含有する有機溶媒と、不純物を含有する水あるいは有機溶媒を含む水溶液又は有機溶媒とを分離する分液操作工程、
    により行う、請求項13に記載の分離方法。
  15. 前記N-保護アミノ酸又はN-保護ペプチドが、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基でアミノ基が保護された(以下、「N-Fmoc保護」という)アミノ酸又はN-Fmoc保護ペプチドである、請求項13又は14に記載の分離方法。
  16. 前記有機溶媒又は有機溶媒の混合液が、THF、DMF、ペンタン、ノルマルヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、CPME,MTBE、2-メチルTHF、4-メチルTHP、酢酸イソプロピル、DCM、クロロホルム、DMSO、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルピロリドン、及びアセトニトリルからなる群より選ばれる少なくとも一つの有機溶媒又それらの2以上の混合液である、請求項13~15のいずれか一つに記載の分離方法。
  17. 前記式(I)で表される化合物が、以下の何れかの式:
    (ここで、Rは、(CH2)R1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基である。)
    で表される化合物である、請求項13~16のいずれか一つに記載の分離方法。
  18. Raが、直鎖状の不飽和炭化水素基である請求項13~17のいずれか一つに記載の分離方法。
  19. Raのそれぞれが独立して、ミリストレイン酸(C14)、パルミトレイン酸(C16)、サピエン酸(C16)、オレイン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、ガドレイン酸(C20)、エイコセン酸(C20)、エルカ酸(C22)、ネルボン酸(C24)、リノール酸(C18)、エイコサジエン酸(C20)、ドコサジエン酸(C22)、α-及びγ-リノレン酸(C18)、ピノレン酸(C18)、エレオステアリン酸(C18)、ミード酸(C20)、ジホモ-γ-リノレン酸(C20)、エイコサトリエン酸(C20)、ステアリドン酸(C18)、アラキドン酸(C20)、エイコサテトラエン酸(C20)、アドレン酸(C22)、ボセオペンタエン酸(C18)、エイコサペンタエン酸(C20)、オズボンド酸(C22)、イワシ酸(C22)、テトラコサペンタエン酸(C24)、ドコサヘキサエン酸(C22)、及びニシン酸(C24)からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である請求項18に記載の分離方法。
  20. Raのそれぞれが独立して、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、ガドレイン酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、エルカ酸、ドコサジエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である請求項19に記載の分離方法。
  21. Raのそれぞれが、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、及びガドレイン酸からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である請求項19に記載の分離方法。
  22. 式(I)で表される化合物が、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,5-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((E)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylamine、2,4-Bis((Z,Z)-octadec-9,12-dien-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylethylamine、2,4-Bis((Z)-docos-13-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、3,4,5-Tris((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z,Z)-docos-13,16-dien-1-yl)oxy)benzylalcohol、3,5-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z,Z,Z,Z,Z,Z)-docos-4,7,10,13,16,19-hexaen-1-yl)oxy)benzylalcohol、及び 2,4,5-Tris((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcoholからなる群より選ばれる請求項13~16のいずれか一つに記載の分離方法。
  23. 液相ペプチド合成方法であって、以下の工程:
    工程(A):有機溶媒又は有機溶媒の混合液中で、
    以下の式(I):
    式(I):
    (式中、Rは、(CH2)nR1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基であり、mは2又は3であり、nは1~3の自然数である。)で表される不飽和アルコキシ置換芳香族化合物由来する担体でC末端が保護された(「C-担体保護」)アミノ酸又はC-担体保護ペプチドと、N末端のアミノ基が保護された(「N-保護」)アミノ酸又はN-保護ペプチドとを縮合剤の存在下で縮合して、C-担体保護-N-保護ペプチドを得る工程、
    工程(B):前記C-担体保護-N-保護ペプチドのN末端の保護基を脱保護してC-担体保護ペプチドを得る工程、及び
    工程(C):前記C-担体保護ペプチドを分離する工程、
    を含むペプチド合成方法。
  24. 前記N-保護アミノ酸又はN-保護ペプチドが、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基でアミノ基が保護された(「N-Fmoc保護」)アミノ酸又はN-Fmoc保護ペプチドである、請求項23に記載のペプチド合成方法。
  25. 前記有機溶媒又は有機溶媒の混合液が、THF、DMF、ペンタン、ノルマルヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、CPME,MTBE、2-メチルTHF、4-メチルTHP、酢酸イソプロピル、DCM、クロロホルム、DMSO、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルピロリドン及びアセトニトリルからなる群より選ばれる少なくとも一つの有機溶媒又それらの2以上の混合液である、請求項23又は24に記載のペプチド合成方法。
  26. 前記工程(A)の後に、以下の工程(a1):縮合反応後の反応液に水溶性アミンを添加する工程、をさらに含む請求項23~25のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
  27. 前記工程(B)が、水溶性アミンの存在下で脱保護を行う工程である、請求項26に記載のペプチド合成方法。
  28. 前記工程(C)が、反応液に酸を添加して中和し、さらに酸性水溶液を添加して洗浄した後、分液し、水層を除去し、有機層を得てC-担体保護ペプチドを分離する工程である、請求項23~27のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
  29. 前記式(I)の化合物が、以下のいずれかの式:
    (ここで、Rは、(CH2)R1、CH(CH)R1、又はC(CH21であり、R1は、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、アルキルアミノ基又はカルボキシル基であり、Raは、同一でも異なってもよく、それぞれ独立に炭素数14以上60以下である不飽和炭化水素基である。)
    で表される化合物である、請求項23~28のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
  30. Raが、直鎖状の不飽和炭化水素基である請求項23~29のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
  31. Raのそれぞれが独立して、ミリストレイン酸(C14)、パルミトレイン酸(C16)、サピエン酸(C16)、オレイン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、ガドレイン酸(C20)、エイコセン酸(C20)、エルカ酸(C22)、ネルボン酸(C24)、リノール酸(C18)、エイコサジエン酸(C20)、ドコサジエン酸(C22)、α-及びγ-リノレン酸(C18)、ピノレン酸(C18)、エレオステアリン酸(C18)、ミード酸(C20)、ジホモ-γ-リノレン酸(C20)、エイコサトリエン酸(C20)、ステアリドン酸(C18)、アラキドン酸(C20)、エイコサテトラエン酸(C20)、アドレン酸(C22)、ボセオペンタエン酸(C18)、エイコサペンタエン酸(C20)、オズボンド酸(C22)、イワシ酸(C22)、テトラコサペンタエン酸(C24)、ドコサヘキサエン酸(C22)、及びニシン酸(C24)からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である請求項30に記載のペプチド合成方法。
  32. Raのそれぞれが独立して、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、ガドレイン酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、エルカ酸、ドコサジエン酸及びドコサヘキサエン酸からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である請求項31に記載のペプチド合成方法。
  33. Raのそれぞれが、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、及びガドレイン酸からなる群より選ばれる化合物に由来する不飽和炭化水素基である請求項31に記載のペプチド合成方法。
  34. 式(I)で表される化合物が、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,5-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((E)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylamine、2,4-Bis((Z,Z)-octadec-9,12-dien-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylethylamine、2,4-Bis((Z)-docos-13-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、3,4,5-Tris((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z,Z)-docos-13,16-dien-1-yl)oxy)benzylalcohol、3,5-Bis((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcohol、2,4-Bis((Z,Z,Z,Z,Z,Z)-docos-4,7,10,13,16,19-hexaen-1-yl)oxy)benzylalcohol、及び 2,4,5-Tris((Z)-octadec-9-en-1-yl)oxy)benzylalcoholからなる群より選ばれる請求項23~28のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
  35. 前記工程(C)より分離されたC-担体保護ペプチドを用いて、前記工程の繰り返しを1回以上行うことを含む、請求項23~34のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
  36. 前記各工程をワンポットで行う、請求項23~35のいずれか一つに記載のペプチド合成方法。
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