JPH07316193A - ペプチド誘導体およびその用途 - Google Patents

ペプチド誘導体およびその用途

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JPH07316193A
JPH07316193A JP6109998A JP10999894A JPH07316193A JP H07316193 A JPH07316193 A JP H07316193A JP 6109998 A JP6109998 A JP 6109998A JP 10999894 A JP10999894 A JP 10999894A JP H07316193 A JPH07316193 A JP H07316193A
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peptide
residue
megly
amino acid
asp
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JP6109998A
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Inventor
Yoko Tsukamoto
洋子 塚本
Atsushi Isoai
敦 礒合
Hiromichi Kumagai
博道 熊谷
Tsuguhide Isemura
次秀 伊勢村
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】動物細胞の接着を阻害する作用を有する環状ペ
プチドを提供する。 【構成】シクロ(−Arg−MeGly−Asp−R
−)m で表される合成環状ペプチド誘導体(ただし、m
は1以上の整数)。 【効果】本発明のペプチド誘導体は酵素による加水分解
に対して安定であり、本発明の薬剤は動物細胞の基質に
対する接着阻害、癌細胞の転移抑制、血小板の凝集阻害
などに有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な合成環状ペプチド
あるいはその塩からなるペプチド誘導体、およびそれを
有効成分とする動物細胞の接着阻害剤に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】動物細胞の細胞外基質に対する接着性に
関与する因子として、フィブロネクチンやビトロネクチ
ンが知られている。これらの細胞接着因子は−Arg−
Gly−Asp−なる接着部位を有している。従って、
この接着部位と同じトリペプチド残基を有する化合物は
細胞接着因子による接着性を阻害する。このような細胞
接着阻害因子としてはArg−Gly−Asp−Ser
−Proが知られている。この細胞接着阻害因子は動物
細胞の接着性に関する研究用の試薬として用いられてい
るほか、癌細胞の転移の抑制(転移先での接着固定化の
阻止)のための薬剤として期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来公知の細胞接着阻
害因子は鎖状ペプチドであるため溶液中で特定の立体構
造が安定的に存在しにくく、その効果を充分に発揮しが
たい場合があった。また、アミノ末端やカルボキシル末
端が存在しているためアミノペプチターゼやカルボキシ
ペプチターゼなどの酵素による加水分解を受けやすく、
これら酵素の存在する溶液中での安定性が不充分であっ
た。
【0004】細胞接着因子の構造安定性を向上すべく、
前記トリペプチド残基を有するポリペプチドを合成し、
ジスルフィド結合で環化した化合物が知られている(M.
D.Pierschbacher他、J.Biol.Chem.,262,17294ー17298(19
87)) 。しかしながら、ジスルフィド結合を有する細胞
接着阻害因子も上記問題を充分に解決するまでにはいた
っていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決した新規なペプチド誘導体、およびそれを有効成分と
する細胞接着阻害活性を有する薬剤に関する下記発明で
ある。
【0006】式(1)で表される環状ペプチドまたはそ
の塩からなるペプチド誘導体。 シクロ(−Arg−MeGly−Asp−R−)m ・・・(1) (ただし、MeGlyはN−メチルグリシン残基を示
し、Rはアミノ酸残基〜ペプチド残基を示し、mは1以
上の整数を表す)上記のペプチド誘導体を有効成分とす
る動物細胞の接着を阻害する薬剤。
【0007】式(1)は、()内のペプチド残基がm回
繰り返した構造を有する線状ペプチドの両末端がペプチ
ド結合で結合して、全体として環状ペプチドとなってい
る構造を表す。mは1以上の整数であり、好ましくは2
〜5の整数である。最も好ましいmは2〜3である。
【0008】本発明において、Rはアミノ酸残基あるい
はペプチド残基を示し、Rがペプチド残基である場合、
そのペプチド残基におけるアミノ酸残基数は5以下、特
に3以下が好ましい。
【0009】アミノ酸残基におけるアミノ酸とはα−ア
ミノ酸はもちろん、ほかのアミノ酸(β−アミノ酸、γ
−アミノ酸など)をも意味する。α−アミノ酸以外のア
ミノ酸としては、H2N(CH2)nCOOH (nは2以上の整数)
で表されるアミノ酸が適当であり、たとえば、3−アミ
ノプロピオン酸、4−アミノブタン酸、5−アミノペン
タン酸、6−アミノカプロン酸、7−アミノペンタン
酸、8−アミノカプリル酸などがある。好ましくは、n
は8以下の整数である。また、α−アミノ酸としては、
L−アミノ酸はもちろん、D−アミノ酸あるいはD,L
−アミノ酸であってもよい。
【0010】本発明における好ましいアミノ酸はα−ア
ミノ酸であり、特にそのうちのL−アミノ酸である(以
下、特に言及しない限りアミノ酸はこのL−アミノ酸を
意味する)。アミノ酸残基とはアミノ基の水素原子1個
とカルボキシル基のヒドロキシ基を除いた残基をいう。
このアミノ酸残基の具体例としては以下のようなアミノ
酸の残基があるが、これらに限られるものではない。
【0011】フェニルグリシン、セリン、トリプトファ
ン、バリン、アスパラギン酸、アラニン、イソロイシ
ン、フェニルアラニン、リシン、ロイシン、スレオニ
ン。
【0012】好ましいRはアミノ酸残基であり、その内
でもフェニルグリシン残基が最も好ましい。
【0013】本発明における環状ペプチドは後述の細胞
接着阻害効果を発揮するためには、−Arg−MeGl
y−Asp−で表されるペプチドブロックの存在が必要
である。しかし、このペプチドブロックのみの環状ペプ
チドでは効果の発揮が充分ではなく、それ以外に少なく
とも1つのアミノ酸残基の存在が必要である。
【0014】式(1)で表される環状ペプチドはRのカ
ルボキシル末端とアルギニンのアミノ末端とがペプチド
結合で連結した構造を有するものである。ただし、環状
ペプチドを表す式(1)の表現はその合成経路を示すも
のではない。即ち、この環状ペプチドは(−Arg−M
eGly−Asp−R−)m で表される線状ペプチドを
合成した後にそれを環化する方法は勿論、他の任意の位
置のペプチド結合部分を形成することにより環化する方
法で合成できるものである。たとえば、−Arg−Me
Gly−、−MeGly−Asp−、あるいは−Asp
−R−間のペプチド結合は勿論、R内の任意のペプチド
結合部分を形成して環化することができる。
【0015】以下に本発明環状ペプチドを具体的に例示
するが、本発明はこれらに限られるものではない。な
お、下記の環状ペプチドにおける通常のα−アミノ酸残
基は、一文字記号で表示する。下記におけるPhgはフ
ェニルグリシン残基、Abuは4−アミノブタン酸残基
を表し、好ましいmは2である。
【0016】 1.シクロ(−R−MeG−D−Phg−)m 、 2.シクロ(−R−MeG−D−S−)m 、 3.シクロ(−R−MeG−D−W−)m 、 4.シクロ(−R−MeG−D−V−)m 、 5.シクロ(−R−MeG−D−D−)m 、 6.シクロ(−R−MeG−D−A−)m 、 7.シクロ(−R−MeG−D−I−)m 、 8.シクロ(−R−MeG−D−F−)m 、 9.シクロ(−R−MeG−D−K−)m 、 10.シクロ(−R−MeG−D−L−)m 、 11.シクロ(−R−MeG−D−T−)m 、 12. シクロ(−R−MeG−D−Abu−)m
【0017】上記環状ペプチドの塩としては、有機酸や
無機酸などの酸との塩、あるいは無機塩基や有機塩基な
どの塩基との塩がある。酸との塩の具体例としては、た
とえば、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、トリフルオロ
酢酸塩、メタンスルホン酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸
塩、リン酸塩などがある。塩基との塩の具体例として
は、たとえば、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカ
リ金属塩類、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩
類、およびアンモニウム塩、エタノールアミン塩、トリ
エチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩などの有機
アミン類との塩類がある。
【0018】本発明の環状ペプチドは通常のペプチド合
成法によって合成できる。前記のように、環化は線上の
ペプチド合成後に環化反応で行われるが、その環化を行
う部分は隣接アミノ酸残基間の任意のペプチド結合を形
成することによって行うことができる。
【0019】本発明のペプチド誘導体は動物細胞の接着
を阻害するための薬剤として有効である。動物細胞とし
ては哺乳動物細胞が望ましく、さらに通常の体細胞や生
殖細胞はもちろん、癌細胞などがある。また、血小板細
胞などの無核細胞の接着阻害(即ち、血小板凝集阻害)
にも有効である。
【0020】特に対象となる動物細胞は各種癌細胞であ
る。癌の転移は癌細胞の他の細胞や細胞外基質に対する
接着が関与している。従って、癌細胞の接着を阻害する
ことは癌の転移防止に有効であると考えられる。よっ
て、本発明のペプチド誘導体は癌細胞の接着を阻害する
薬剤、特に癌転移防止用の薬剤として有用である。
【0021】また、血小板の血管内壁への接着を阻害す
ることができれば血栓などの発生を防止することが可能
となると考えられる。従って、本発明のペプチド誘導体
は血小板凝集を阻害する薬剤として有用である。
【0022】本発明のペプチド誘導体は動物細胞の接着
阻害効果が優れているばかりでなく、酵素による加水分
解を受けにくく生体内安定性に優れている。しかも、た
とえ加水分解を受けたとしても前記必須のペプチドブロ
ック部分やその近傍が加水分解を受けない限り、加水分
解により生じる線状ペプチドもまたある程度の接着阻害
効果を有する。
【0023】以下、本発明を実施例によって具体的に説
明するが、本発明はこの実施例に限られるものではな
い。
【0024】なお、本明細書おいて、アミノ酸、保護
基、活性基などについてはIUPAC-IUBCommission on Bio
logical Nomenclature に基づく略号で示す。また、溶
剤等についても当該分野における慣用略号で表示する場
合があり、それらを例示すると下記のとおりである。
【0025】Asp:アスパラギン酸残基、 Arg:アルギニン残基、 Gly:グリシン残基、 MeGly:α−N−メチルグリシン残基、 Phg:フェニルグリシン残基、 Boc:t−ブトキシカルボニル基、 OBzl:ベンジルエステル、 HOBt:p−ヒドロキシベンゾトリアゾール、
【0026】ONSu:N−ヒドロキシスクシンイミド
エステル、 WSC.HCl:1−エチル−3−(3−ジメチルアミ
ノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、 TFA:トリフルオロ酢酸、 OcHex:シクロヘキシルエステル、 Tos:p−トルエンスルホニル基、 DMF:N,N−ジメチルホルムアミド。
【0027】
【実施例】
[実施例1]環状ペプチド;シクロ(-Arg-MeGly-Asp-Ph
g)2 の合成:
【0028】(1)Boc-Arg(Tos)-MeGly-OBzl の合成:
Boc-Arg(Tos) 42.9g(100mmol) とMeGly-OBzl 40.4g(110
mmol) をDMF300cm3に溶解し、氷冷下HOBt 18.4gとWS
C.HCl 23.0g を加えNーメチルモルフォリンでpH6に調
整して終夜撹拌した。減圧下でDMFを留去したのち、
酢酸エチル350gを加え、水350g (2回)、10wt%クエン
酸水溶液350g (2回)、水350g (1回)、および5wt%
炭酸水素ナトリウム水溶液350g (1回)の順に酢酸エチ
ル層を洗浄し、さらに5wt%炭酸水素ナトリウム水溶液
350gを加えた後2時間放置し、析出したペプチドを濾過
し、濾紙上にてよく水洗したのち減圧下にて乾燥させ白
色粉末26.3g(95.5mmol、収率95.5%)を得た。
【0029】(2)Boc-PhgArg(Tos)MeGly-OBzl の合
成:Boc-Arg(Tos)MeGly-OBzl 54.4g(92.3mmol)を1000cm
3 のナスフラスコに入れ、TFA200gを加え、室温で30
分撹拌した後、減圧濃縮した。ここへ、エーテル500gを
加えると白色結晶が析出し、これを濾過し、エーテルで
よく洗浄したのち、減圧下でエーテルを除去した。DM
F180gを加え、氷冷下でNーメチルモルフォリンを加え
てpH6に調整した。
【0030】次にBoc-Phg 16.0g(63.7mmol) 、HOBt 11.
7g、およびWSC.HCl 14.6g をこの順に加え、再度pHを調
製し終夜撹拌した。減圧下でDMFを留去した後、酢酸
エチル280gを加え、水280g (2回)、10wt%クエン酸水
溶液280g (2回)、水280g、5wt%炭酸水素ナトリウム
水溶液280g (2回)、および水280gの順で酢酸エチル層
を洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。減圧
下で酢酸エチルを留去して白色粉末45.7g(63.2mmol) を
得た。
【0031】(3)Boc-Asp(OcHex)PhgArg(Tos)MeGly-O
Bzl の合成:Boc-PhgArg(Tos)MeGly-OBzl 45.0g(62.2mm
ol) をTFA190gに溶解し、30分間室温で撹拌した後減
圧下でTFAを留去した。ここへエーテル500gを加える
と白色結晶が析出し、これを濾過し、エーテルで洗浄
後、減圧下でエーテルを除去した。これをDMF130gに
溶解し、氷冷下N−メチルモルフォリンを加えてpH6に
調整した。
【0032】次にBoc-Arg(OcHex) 17.9g(56.8mmol)、HO
Bt 10.4g、およびWSC.HCl 13g をこの順に加え、再度pH
を調製後、終夜撹拌した。減圧下でDMFを留去後、酢
酸エチル180gを加えて溶解し、酢酸エチル層を水180g
(2回)、10wt%クエン酸水溶液180g (2回)、水180
g、5wt%炭酸水素ナトリウム水溶液180g (2回)、お
よび水180gの順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて
乾燥した。減圧下にて酢酸エチルを留去後、白色粉末5
3.2g(57.8mmol) を得た。
【0033】(4)Boc-Asp(OcHex)PhgArg(Tos)MeGly-O
H の合成:Boc-Asp(OcHex)PhgArg(Tos)MeGly-OBzl 152.
9g(57.5mmol)をメタノール250gに溶解し、酢酸25g と5
wt% のPd触媒を担持した活性炭9.5gを加え、水素を通気
した。濾過した後、濾液を減圧下で留去し、残渣にエー
テルを加えて固化させ、固体を濾取し乾燥した。収量は
47.1g(56.8mmol) であった。
【0034】(5)Boc-Asp(OcHex)PhgArg(Tos)MeGly-O
NSu の合成:Boc-Asp(OcHex)PhgArg(Tos)MeGly-OH 46.4
g(56mmol) をDMF275gに溶解し、HONSu 12.9g とWSC.
HCl 21.4g を加え、終夜撹拌した。減圧下でDMFを留
去した後、酢酸エチル500gに溶解し、酢酸エチル層を水
260g、10wt%クエン酸水溶液260g、および水260gの順に
洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。減圧下
で酢酸エチルを留去して白色粉末を得た。
【0035】(6)シクロ(-Asp(OcHex)PhgArg(Tos)MeG
ly-)2 の合成:Boc-Asp(OcHex)PhgArg(Tos)MeGly-ONSu
をTFA280gに溶解し、室温で20分間撹拌した。減圧下
でTFAを留去した後、エーテルを加えて固化させ、濾
取した。乾燥後、DMF370gに溶解し、55℃のピリジン
2200cm3 中に30分間で滴下し、最終濃度25mmolとして55
℃で4時間、室温で終夜撹拌した。減圧下にてピリジン
を留去した後、水を加えて固化させ、よく水洗して乾燥
し白色粉末42.4g(29.8mmol) を得た。また、LC−MA
SSによって分子量を測定し、目的物であることを確認
した。
【0036】(7)シクロ(-Asp-Phg-Arg-MeGly-)2の合
成:シクロ(-Asp(OcHex)PhgArg(Tos)MeGly-)2 25.1g(1
7.7mmol) にアニソール25cm3 を加えた後、HFを150cm
3加え0℃で1.5 時間反応させた。減圧下でHFを留去
した後、エーテルを加えて固化させ、グラスフィルター
上で濾過し、エーテルにてよく洗浄した後、これを水に
よって溶解し、凍結乾燥し、粗ペプチド18.8gを得た。
これをODSカラムを用いたHPLCによって精製し、
LC−MASSによって分子量を確認し、目的物4.7gを
得た。
【0037】(8)シクロ(-Asp-Phg-Arg-MeGly-)2の精
製:シクロ(-Asp-Phg-Arg-MeGly-)2を25mg/cm3になるよ
うに再蒸留水(D2W )に溶解し下記条件にてODSカラ
ムによる一次精製を行い、分取したサンプルを凍結乾燥
した後、イオン交換カラムによる二次精製を行った。精
製サンプルはHPLCによって分析後、凍結乾燥した。
【0038】1.一次精製 カラム:u-Bondasphere 15u C-18-100A 30mm×30cm 流速 :30ml/min 移動層:Buffer A 0.1%TFA/H2O Buffer B 0.1%TFA/CH3CN Gradient Bconc 5%(5min) 0%-25%(45min) 検出器:UV 214nm
【0039】2.二次精製 カラム:S-Sepharose 流速 :8ml/min 移動層:Buffer A D2W Buffer B 0.5M CH3COONH4(pH5.0) Gradient Bconc 0%(25min) 0%-10%(75min) 検出器:UV 260nm
【0040】3.分析条件 カラム:u-Bondasphere 5u C180100A 3.9cm×15cm 移動層:Buffer A 0.1%TFA/H2O Buffer B 0.1%TFA/CH3CN Gradient Bconc 0%-80%(30min)
【0041】図1に精製ペプチドのHPLCによる分析
結果のグラフを示す。
【0042】[実施例2] 血小板凝集阻害活性試験:合成ペプチドのin Vitro 血
小板凝集阻害活性作用をヒト富血小板血漿を用いて検定
した。採血したヒト血液に1/9 量の3.8%クエン酸ナトリ
ウムを加え遠心(1000rpm,10 分間) し、上層を富血小板
血漿(PRP) として分取した。PRP 0.2cm3に検体ペプチド
0.025cm3を加え、3分間37℃でインキュベートしたの
ち、 0.02 〜0.05M アデノシンニリン酸(ADP) 溶液ある
いはエピネフリン溶液、または0.05〜0.2 μg/cm3 のコ
ラーゲン溶液あるいは血小板活性化因子(PAF) 溶液を0.
025cm3加えて、凝集の様子をアグリコメーターで測定し
た。
【0043】
【数1】 凝集阻害率:(1−T/T0 )×100% T0 ;検体ペプチド非添加時の透過度 T;検体ペプチド添加時の透過度
【0044】試験に使用した合成ペプチドは下記アミノ
酸配列のペプチドI 〜III であり、そのペプチドI は線
状ペプチドであり、ペプチドIIは前記実施例と同様に合
成した環状ペプチドであり、ペプチドIII は前記実施例
で合成した本発明の環状ペプチドである。表1に血小板
凝集阻害試験の結果を示す。
【0045】ペプチドI :Gly-Arg-Gly-Asp-Ser-Pro-Al
a 、 ペプチドII :シクロ(-Arg-Gly-Asp-Phg-)2、 ペプチドIII :シクロ(-Arg-MeGly-Asp-Phg-)2
【0046】
【表1】
【0047】[実施例3]環状ペプチド;シクロ(-Arg-
MeGly-Asp-Phg-) およびシクロ(-Arg-MeGly-Asp-Phg-)3
のオキシム樹脂法による合成:
【0048】Boc-Phg(0.3mmol)をジクロロメタン(DC
M)に溶解し、1/2 当量のN,N-ジシクロヘキシルカルボ
ジイミドを加えて氷冷下20分間撹拌した。生成したウレ
ア化合物を濾去し、あらかじめDCMで膨潤した0.5gの
オキシム樹脂を入れた反応容器に入れ、一晩振盪した。
DCM、DCM/エタノール(1:1)、エタノール、
およびDCM2回ずつこの順で洗浄し、減圧下で溶媒を
充分に除去した。
【0049】アミノ酸カップリングは以下の方法で行っ
た。Boc基の除去は樹脂を25%TFA/DCMで30分間
振盪することにより行った。30分後、DCM2回、ジイ
ソプロピルアルコール1回、DCM4回の洗浄を行い、
カイザーテストにより Boc基の除去を確認した。次に、
カップリングするアミノ酸3当量をDMFに溶解し、Bo
p 試薬3当量を加えて溶解させた。このDMF溶液を反
応容器に入れ、撹拌後、6.5 当量のN,N-ジイソプロピル
アミンを加えて更に撹拌した後、30分間振盪して反応さ
せた。反応後、DMF、DCMで各2回ずつ洗浄し、カ
イザーテストにより反応終了を確認した。
【0050】上記の方法により順にBoc-D(OcHex)、Boc-
MeGly 、Boc-Arg(Tos)をカップリングし、Boc-Arg(Tos)
の Boc基を除去した。カイザーテストにより Boc基を除
去を確認した後、酢酸とトリエチルアミンを2当量(0.6
mmol) ずつDMFに加え、このDMF溶液を反応容器に
加え一晩振盪した。反応後、樹脂をDMFで洗浄し、洗
浄液を集めて減圧濃縮した。残渣に水を加えて固化さ
せ、これを濾取して充分乾燥し、HFにより脱保護し
た。
【0051】脱保護後の粗生成物を高速液体クロマトグ
ラフィーで精製し、分取したピークはFAB−MSで質
量分析を行い、シクロ(-Arg-MeGly-Asp-Phg-) であるこ
とを確認した。
【0052】また、シクロ(-Arg-MeGly-Asp-Phg-)3を上
記と同様に合成した。すなわち、上記方法でBoc-Arg(To
s)-MeGly-Asp(OcHex)-Phg を作成した後、 Boc基を除去
してさらにカップリングを繰り返しBoc-Arg(Tos)-MeGly
-Asp(OcHex)-Phg-Arg(Tos)-MeGly-Asp(OcHex)-Phg-Arg
(Tos)-MeGly-Asp(OcHex)-Phg を合成し、ここで Boc基
を除去した。以降は上記と同様に精製まで行い、FAB
−MSによる質量分析で確認を行った。
【0053】[実施例4] 血小板凝集阻害活性試験:実施例1および3で合成した
環状ペプチドを用い、実施例2と同様に血小板凝集阻害
活性試験を行った。その結果を表2に示す。なお、相対
活性はシクロ(-Arg-MeGly-Asp-Phg-) の活性を1とした
場合の相対的な活性を示す。
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】本発明の環状ペプチドは、その構造より
酵素による加水分解に対して安定であり、動物細胞に対
して動物細胞の接着阻害活性を有する。特に血小板細胞
の凝集阻害活性に優れている。また、式(1)で示され
る環状ペプチドの内、mが2である環状ペプチドは極め
て高い血小板細胞の凝集阻害活性を有し、mが3である
環状ペプチドはこれに次いで高い血小板細胞の凝集阻害
活性を有する。
【0056】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジー:環状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴 他の情報:2位および6位のGly はMeGly 、4位および
8位のXaa はフェニルグリシン 配列 Arg Gly Asp Xaa Arg Gly Asp Xaa 1 5 配列番号:2 配列の長さ:12 配列の型:アミノ酸 トポロジー:環状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴 他の情報:2位、6位および10位のGly はMeGly 、4
位、8位および12位のXaa はフェニルグリシン 配列 Arg Gly Asp Xaa Arg Gly Asp Xaa Arg Gly Asp Xaa 1 5 10 配列番号:3 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 トポロジー:環状 配列の種類:ペプチド 配列の特徴 他の情報:2位のGly はMeGly 、4位のXaa はフェニル
グリシン 配列 Arg Gly Asp Xaa 1
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のHPLC分析結果を示すグラフ。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 7/64 8318−4H (72)発明者 伊勢村 次秀 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(1)で表される環状ペプチドまたはそ
    の塩からなるペプチド誘導体。 シクロ(−Arg−MeGly−Asp−R−)m ・・・(1) (ただし、MeGlyはα−N−メチルグリシン残基を
    示し、Rはアミノ酸残基〜ペプチド残基を示し、mは1
    以上の整数を表す)
  2. 【請求項2】式(1)においてRがアミノ酸残基、かつ
    mが2〜3である、請求項1のペプチド誘導体。
  3. 【請求項3】式(1)においてRがアミノ酸残基、かつ
    mが2である、請求項1または2のペプチド誘導体。
  4. 【請求項4】式(1)においてRがフェニルグリシン残
    基である、請求項1、2または3のペプチド誘導体。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項のペプチド誘
    導体を有効成分とする動物細胞の接着を阻害する薬剤。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれか1項のペプチド誘
    導体を有効成分とする血小板凝集を阻害する薬剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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