JP2576732Y2 - 床暖房パネル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、住宅用の建材および
暖房設備としての床暖房パネルに関するものである。さ
らに詳しくは、この考案は、隣接するパネルの電熱ヒー
ター間の配線接続とパネル自体の取付施工を簡単に行な
うことのできる新しい床暖房パネルに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より、室内暖房システムの一つとし
て、たとえば図４にその側面図を例示したようなヒータ
ー内蔵型の床暖房パネルが知られている。この床暖房パ
ネル（ア）の場合には、たとえば表面化粧を施した表層
材（イ）と、断熱性に優れた基材合板（ウ）とからなる
パネル本体の内部に、鉄板等の均熱板（エ）と電熱式ヒ
ーター（オ）を内蔵している。

【０００３】この床暖房パネル（ア）は、床暖房施工に
要する部材を積層一体化した構造からなるため、個々の
パネルを接合させて床面を施工することによって、任意
の広さの床暖房システムを完成することができようにな
っている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の床暖房パネルの場合には、複数枚のパネルを
敷き合わせる場合に、各々のヒーター（オ）に電源を供
給するための配線接続が容易ではなかった。従来、この
ようなパネル間の配線には、たとえば図５（ａ）（ｂ）
に示したように、床暖房パネル（ア）の基材合板（ウ）
に形成した切欠溝（カ）にヒーター線（キ）とアース線
（ク）を引き出し、これらを直結する方法が採られてき
た。しかしながら、このような配線接続を行なうために
は、全ての床暖房パネル（ア）を裏返して各配線（キ）
（ク）をたとえば圧着かしめ接続しなければならず、パ
ネルの取付け施工に多大な労力と時間を必要とした。ま
た、たとえば図６に示したように、床暖房パネル（ア）
の裏面に端子台（ケ）を設け、これにヒーター線（キ）
やアース線（ク）のソケットを挿入することにより、各
床暖房パネル（ア）間を配線接続する方法も知られてい
る。しかしながら、この構造の場合には、各配線（キ）
（ク）の接続作業は容易であるものの、パネル全体の構
造としては、端子台（ケ）がパネル（ア）の裏面に突出
するため、床暖房パネル（ア）を下地材に直貼りするこ
とができないという欠点があった。しかも、このような
端子台（ケ）を用いた配線接続の場合にも、その作業を
パネルの裏側で行なうことには変わりなく、パネル施工
における作業性の問題を抜本的に解決するものではなか
った。

【０００５】さらにまた、上記のような配線接続方法に
よって複数枚のパネルに共通の電源から電流を供給する
場合には、たとえば図７（ａ）に示したように、各床暖
房パネル（ア）をから順次直列に配線接続して、分電
盤（Ａ）から各ヒーターへの電流供給経路を構成する方
法が採られてきた。しかしながら、この方法の場合に
は、配線接続方向に沿ってパネルを順番に並べなければ
ならないため、パネルの取付作業がきわめて煩雑であっ
た。さらに、この方法の場合には、図７（ｂ）にその回
路図を示したように、電流がパネルから順次流れる間
にその強度が減衰していくため、最後のパネルまで必要
な強度の電流を供給するためには、大量の電流（たとえ
ば１６〜２０Ａ）を分電盤（Ａ）より流されなければな
らず、しかもこの電流を初めに受けるパネルには、他
のパネルよりも太い内部配線（２０mm² 以上）を配設し
なければならなかった。このため、たとえば図８に示し
たよに、分電盤（Ａ）からの電流をジョイントボックス
（コ）を介して、３枚の床暖房パネル（ア）毎に並列で
供給する配線方法も用いられている。この方法の場合に
は、各パネル内の配線方向が−−といずれも同一
方向であり、電流が直列で流れるパネル数が少ないた
め、各パネル間に流れる電流量が大きく変化することも
ない。しかしながら、各パネル列からの引出し線（サ）
をすべてジョイントボックス（コ）内で一本づつ圧着か
しめ接続しなければならず、その作業がきわめて面倒で
あった。

【０００６】この考案は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであり、従来の床暖房パネルの配線接続に係
る欠点を解消し、パネル施工における配線接続を容易か
つ正確に行なうことができる新しい床暖房パネルを提供
することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この考案は、上記の課題
を解決するものとして、基材合板の一側面および一端面
の各々に、蛇行コードの先端に設けられた端子部が、そ
の蛇行コードとともに引出しおよび収納自在に配設さ
れ、また、これら端子部とは別の端子部が、これを先端
に設けた蛇行コードとともに着脱自在なカバーの内側に
納められ、その引出しおよび収納が、基材合板の前記側
面および端面とは異なる側面または端面のいずれかに変
更自在とされていることを特徴とする床暖房パネルを提
供する。

【０００８】

【作用】この考案の床暖房パネルを用いて隣接する各床
暖房パネル間を配線接続する場合には、まず、各パネル
間の配線接続方向を決定し、それに従って、カバー内に
納められた端子部をこれを先端に設けた蛇行コードとと
もに基材合板の所望の側面または端面に引出しおよび収
納自在とする。２枚のパネル間を長手方向に接続する場
合には、その端子部および蛇行コードを基材合板の端面
に引出しおよび収納自在とし、互いの端面から蛇行コー
ドとともに端子部を引き出して接合する。一方、短手方
向に接続する場合には、カバー内に納められた端子部お
よび蛇行コードを基材合板の側面に引出しおよび収納自
在とし、互いの側面から蛇行コードとともに端子部を引
き出して接合する。

【０００９】このため、パネル間の配線接続作業は極め
て容易であり、しかも全てのパネルを表向きにしたまま
取付けることができる。さらに、電流供給経路を自由に
設定することができるため、パネルの施工順序に沿って
配線接続が可能であり、また、回路も分岐することがで
きるため、各パネルの内部配線を流れる電流も均一化す
ることができる。

【００１０】

【実施例】以下、添付した図面に沿って実施例を示し、
この考案の床暖房パネルについてさらに詳しく説明す
る。図１は、この考案の床暖房パネルの一実施例を示し
た裏面斜視図である。たとえばこの床暖房パネル（１）
は、基材合板（２）の一側面および一端面に各々、端子
部（３）（４）を有している。これらの端子部（３）
（４）は、いずれも蛇行コード（５）の先端に設けられ
ており、この蛇行コード（５）によって、基材合板
（２）内の内部配線に接続されるとともに、基材合板
（２）の収納部（６）に対して引出しおよび収納自在と
なっている。また、端子部（３）（４）は、同一の接合
形態を有してもおり、この図１に例示した床暖房パネル
（１）の場合には、メスコネクタが採用されている。

【００１１】一方、端子部（３）（４）の各々と正反対
側の端面から側面にかけての基材合板（２）には、Ｌ字
形の切欠溝（７）が形成されている。この切欠溝（７）
は、ビス（８）により着脱が自在であるカバー（９）に
よって封止されている。切欠溝（７）内には、内部配線
に接続され、先端に端子部（１１）を備えた蛇行コード
（１０）が配線されている。こうして、端子部（１１）
および蛇行コードは、ともに着脱自在なカバー（９）の
内側に納められているのである。 また、蛇行コード（１
０）は、Ｌ字形の切欠溝（７）内のいずれの方向にも移
動可能で、これら蛇行コード（１０）および端子部（１
１）は、基材合板（２）の端面または側面に形成された
いずれの収納部（６）に対しても引出しおよび収納自在
となってもいる。端子部（１１）は、オスコネクタから
なっている。

【００１２】このような床暖房パネルを互いに長手方向
に配線接続する場合には、たとえば図２（ａ）に示した
ように、床暖房パネル（１ａ）の端子部（１１）を、こ
れを先端に設けた図１に示した蛇行コード（１０）とと
もに基材合板（２）の端面に予め移動しておき、長手方
向に隣接する床暖房パネル（１ｂ）の基材合板（２）の
端面に位置する端子部（４）を蛇行コード（５）ととも
に引き出し、端子部（１１）（４）を互いに接合し、配
線接続する。一方、床暖房パネルを短手方向に接続する
場合には、図２（ｂ）に示したように、床暖房パネル
（１ａ）の端子部（１１）を蛇行コード（１０）ととも
に基材合板（２）の側面に移動し、隣接する床暖房パネ
ル（１ｂ）の基材合板（２）の側面に位置する端子部
（３）と接合する。このようにして長手方向または短手
方向に配線接続した２枚の床暖房パネル（１ａ）（１
ｂ）を、次いで互いの相対向面を突き合わせて取付け施
工する。その際に、接合した端子部（４）−（１１）ま
たは（３）−（１１）を蛇行コード（５）（１０）とと
もに基材合板（２）のそれぞれの収納部（６）内に収納
する。

【００１３】図３は、この床暖房パネル（１）の敷設例
を示した平面模式図である。この考案の床暖房パネル
（１）は、上記の通り、端子部（１１）によってパネル
間を長手方向にも短手方向にも配線接続することができ
るため、この図３に例示したように、各パネルを→
→→……→というような通常のフロア貼りと同様の
順序で施工することができる。また、電源（Ａ）から供
給される電流の経路も分岐させることが可能であり、図
中破線で示したパネル内部配線を流れる電流量を均一化
させることもできる。

【００１４】もちろんこの考案は以上の例によって限定
されものではなく、細部の構成等については様々な態様
が可能であることは言うまでもない。

【００１５】

【考案の効果】以上詳しく説明した通り、この考案の床
暖房パネルにより、パネル間の配線接続作業およびパネ
ル取付施工が容易となり、しかも各パネルへ効率よく電
流を供給することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の床暖房パネルの一実施例を示した裏
面斜視図である。

【図２】各々、この考案の床暖房パネルにおける配線接
続方法を例示した平面模式図である。

【図３】この考案の床暖房パネルの敷設例を示した平面
模式図である。

【図４】一般的な床暖房パネルの内部構造を例示した断
面図である。

【図５】従来の配線接続構造を例示した斜視図である。

【図６】従来の別の配線接続構造を例示した斜視図であ
る。

【図７】（ａ）（ｂ）は、各々、従来の配線接続方法を
例示した平面模式図と、その回路図である。

【図８】従来の別の配線接続方法を例示した平面模式図
である。

【符号の説明】

１ 床暖房パネル ２ 基材合板 ３，４，１１ 端子部 ５，１０ 蛇行コード ６ 収納部 ７ 切欠溝 ８ ビス ９ カバー

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F24D 13/02 H05B 3/02

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 基材合板の一側面および一端面の各々
   に、蛇行コードの先端に設けられた端子部が、その蛇行
   コードとともに引出しおよび収納自在に配設され、ま
   た、これら端子部とは別の端子部が、これを先端に設け
   た蛇行コードとともに着脱自在なカバーの内側に納めら
   れて基材合板に引出しおよび収納自在とされ、その引出
   しおよび収納が、基材合板の前記側面および端面とは異
   なる側面または端面に変更自在とされていることを特徴
   とする床暖房パネル。