JP2575896Y2 - 直動転がり案内ユニット - Google Patents

直動転がり案内ユニット

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JP2575896Y2 JP1992077177U JP7717792U JP2575896Y2 JP 2575896 Y2 JP2575896 Y2 JP 2575896Y2 JP 1992077177 U JP1992077177 U JP 1992077177U JP 7717792 U JP7717792 U JP 7717792U JP 2575896 Y2 JP2575896 Y2 JP 2575896Y2
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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、工作機械、産業用ロ
ボット、各種精密加工装置、試験装置等に適用され、軌
道レールと該軌道レールに跨るように配置されたスライ
ダとの間に多数の転動体を介在させて、スライダが軌道
レール上を摺動し得るように構成した直動転がり案内ユ
ニットに関する。
【0002】
【従来の技術】直動転がり案内ユニットは、軌道レール
と該軌道レールに跨るように配置されたスライダとの間
に多数の転動体を介在させて、スライダが軌道レール上
を摺動し得るように構成したものであって、比較的長い
距離に亘って高精度の前後進を案内するものであり、従
来、例えば、図8に示すようなものが開示されている。
図8は従来の直動転がり案内ユニットの一例を示す一部
破断の斜視図である。
【0003】図8に示すように、直動転がり案内ユニッ
トは、主として、長手方向両側壁面11の軌道溝に形成
した軌道面9を備えた軌道レール1と、該軌道レール1
を跨がって摺動可能に取り付けられたスライダ20から
構成されている。スライダ20は、軌道レール1に対し
て相対摺動可能であり且つ各軌道面9に対向する位置の
軌道溝に形成した軌道面8を備えたケーシング2、対向
する軌道面8,9間に嵌合され且つ相対移動可能な多数
の転動体であるボール4、及びケーシング2の摺動方向
即ち長手方向両端にそれぞれ取り付けたエンドキャップ
5を有している。エンドキャップ5の外側端面には、軌
道レール1とスライダ20との間のシールを達成する側
面シール19が取り付けられている。また、ケーシング
2と軌道レール1の長手方向両側壁面11及びケーシン
グ2の下面をシールするため、ケーシング2に下面シー
ル3が取り付けられている。
【0004】ところで、下面シール3は、形状が単純で
あり、製作が容易であるという利点を有しているが、そ
の反面、軌道面8,9を形成しているケーシング2と軌
道レール1との位置決め誤差や、該下面シール3が薄肉
であるため外力等により下面シール3が変化しやすい等
の問題があり、このため、下面シール3をケーシング2
にどのようにして取り付けるかが従来から課題となって
いた。
【0005】下面シール3をケーシング2に取り付ける
取付方法としては、種々の取付方法があり、例えば、特
開昭64−112021号公報に開示されたようなもの
がある。これについて図9及び図10を参照して説明す
る。図9は直動転がり案内ユニットの一例を示す断面
図、及び図10は図9に組み込んだ下面シールの一例を
示す斜視図である。図9及び図10に示す直動転がり案
内ユニットは、図8に示す直動転がり案内ユニットと基
本的には同一の構成及び機能を有するものであるので、
同一部品には同一の符号を付している。
【0006】図9及び図10に示すように、直動転がり
案内ユニットにおける下面シール3は、リップ状に突出
し且つ軌道レール1の側壁面11に沿って密封状態に当
接可能なシール部7、上面21をシール面とし且つケー
シング2及びエンドキャップ5の下面に密封状態に当接
可能なシール部10、及び転動体4を保持する保持部6
とが同一材料による一体構造に構成されている。該直動
転がり案内ユニットにおいて、下面シール3のシール部
10をケーシング2の下面12に接触状態に配置して、
下面シール3に形成された貫通孔15にねじ16を貫通
してケーシング2のねじ穴に螺入することによって、下
面シール3はケーシング2に取り付けられる。
【0007】また、別の取付方法として、例えば、実開
昭61−1717号公報に開示されたリニヤガイド装置
における取付方法がある。このリニヤガイド装置は、軸
方向に形成した複数の転動体転動溝を有する長尺のレー
ルと、一対の袖部を含む鞍形状を有し、前記レールの転
動体転動溝に対応する転動体転動溝を備えた摺動体と、
前記レール及び摺動体の転動体転動溝間を転動する多数
の転動体と、前記摺動体の両端部に取り付けられて転動
体の循環路を形成するとともに、側方から転動部へのダ
ストの侵入を防止するエンドキャップと、前記摺動体の
袖部よりも長い長さを有して該袖部の下面側に配置さ
れ、その両端部を前記各エンドキャップにより支持され
るとともに、その一側縁を前記レールの側面に接触さ
れ、下方から転動部へのダストの侵入を防止する防塵部
材とを含むものである。即ち、各エンドキャップの袖部
には、摺動体と当接する側の面に溝が形成されており、
防塵部材の両端部を各エンドキャップの該溝に挿入する
ことによって、防塵部材は二つのエンドキャップで挟ま
れるようにして支持される。なお、このリニヤガイド装
置における防塵部材は、直動転がり案内ユニットにおけ
る下面シールに相当することはいうまでもない。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
64−112021号公報に開示された直動転がり案内
ユニット、即ち図9及び図10に示す直動転がり案内ユ
ニットでは、下面シール3を合成樹脂で製作した場合、
該下面シール3を長期にわたって使用していると、下面
シール3の両端が金属材料で製作したケーシング2にね
じ16で固定されているため、該合成樹脂の下面シール
3が潤滑油によって膨潤した時に、ケーシング2に対し
て相対移動ができず、下面シール3が変形する。下面シ
ール3が変形すると、ケーシング2の下面12と下面シ
ール3の上面21との間の接触状態即ち密着状態が不良
になり、或いはシール部7が変形し、該シール部7と軌
道レール1の側壁面11との当接状態が悪化し、直動転
がり案内ユニットに対するシール性能、特に防塵効果が
低下すると共に、ボール4を保持する保持部6が変形
し、保持部6の先端縁14と保持バンド17との間隔が
大きくなり、軌道レール1とスライダ20とを分離した
時、複数個のボール4の自重も加わってケーシング2に
ボール4を保持できなくなり、ボール4がケーシング2
から脱落してしまうという問題があった。
【0009】また、前記実開昭61−1717号公報に
開示されたリニヤガイド装置では、下面に配置されてい
る防塵部材は、各エンドキャップにより支持されてい
る。しかしながら、防塵部材とエンドキャップとは材質
が異なるもので製作されているものであり、温度変化に
伴う熱膨張が異なるのが一般的である。そのため、防塵
部材の熱膨張がエンドキャップの熱膨張より大きくなる
と、防塵部材にたわみが発生し、レールとの間或いは袖
部の下面との間に隙間が発生し、シール効果が低下して
ダストの侵入を防止できなくなるという問題がある。
【0010】この考案の目的は、上記の課題を解決する
ことであり、下面シールをケーシングの下面に取り付け
るためのねじ或いは雌ねじ加工を必要とせず、ケーシン
グに形成された軌道溝の研削時に砥石の干渉を避けるた
めの傾斜部のスペースを有効に利用して下面シールを取
り付け、下面シールによるケーシングとベースとの距離
の低減を無くし、エンドキャップへの下面シールの取り
付けを簡単に且つ容易にし、また、下面シールに構造上
弾性を持たせることで歪みや座屈等による隙間の発生を
防止し、常に良好なシールを確保できる直動転がり案内
ユニットを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この考案は、上記の目的
を達成するために、次のように構成されている。即ち、
この考案は、長手方向両側壁面に軌道面を形成した軌道
レール、該軌道レールに対して相対摺動可能であり且つ
前記各軌道面に対向する位置に軌道面を形成したケーシ
ング、該ケーシングの長手方向両端に取り付けたエンド
キャップ、前記軌道面間を循環移動する多数の転動体、
前記エンドキャップの外側端面に接触状態に配置した側
面シール、及び前記ケーシングの下面と前記軌道レール
の側壁面に対して密封状態に当接可能なシール部を備え
た下面シールを有する直動転がり案内ユニットにおい
て、前記下面シールは、芯金バンド、該芯金バンドに固
着した前記ケーシング下面に対して密封状態に当接可能
なシール部、及び前記芯金バンドに固着した前記軌道レ
ールの側壁面に対して密封状態に当接可能な別のシール
部から構成され、前記芯金バンドは長手方向に直線状に
延びる芯金部、該芯金部の両端部からそれぞれ屈曲して
前記エンドキャップの側面に沿って延びるフック部及び
該フック部からそれぞれ屈曲して前記芯金部とほぼ平行
な方向に延びる前記フック部の先端部を備えており、前
記エンドキャップの外側端面には前記芯金バンドの前記
フック部が係合する水平方向に延びる溝及び該溝の端に
前記フック部の前記先端部が係合する係止穴が形成さ
れ、前記下面シールは前記ケーシングの下面に形成され
た研削時に砥石の干渉を避けるための傾斜部のスペース
に配置されたことを特徴とする直動転がり案内ユニット
に関する。
【0012】
【作用】この考案による直動転がり案内ユニットは、上
記のように構成されており、次のような作用をする。即
ち、この直動転がり案内ユニットは、下面シールの芯金
バンドに形成したフック部をエンドキャップに形成した
係止穴に引っ掛けることによって、下面シールをエンド
キャップに簡単に取り付けられる。そして、下面シール
のエンドキャップへの取付状態においては、芯金バンド
はスライダの両端に取り付けたエンドキャップを外側か
ら挟んだ状態になり、下面シールはフック部による弾性
を有することになる。従って、温度変化に伴う熱膨張に
よって、ケーシング及びエンドキャップと弾性バンドと
の間に熱膨張差があっても、また、潤滑剤による下面シ
ールの膨潤等による変形が発生しても、芯金バンドに形
成したフック部が弾性変形して対応することができ、下
面シールとケーシング下面及び軌道レール側面との間に
隙間が発生するのを防止することができる。
【0013】例えば、エンドキャップの熱膨張の方が大
きい場合、芯金バンドは引張力を受けるが、コ字状のフ
ック部が弾性的に拡がるように変形するだけなので、下
面シールに歪みを生じない。また、エンドキャップの熱
膨張の方が小さい場合、フック部はエンドキャップの外
側端面に位置しているので、何ものからも反力を受けな
いから、下面シールが座屈を起こすことはない。
【0014】また、ケーシングの下面には、軌道溝の研
削時に砥石の干渉を避けるための傾斜部のスペースが形
成されており、該スペースに下面シールを配置すること
によって、ケーシングとベースとの間の空間を大きなも
のにすることができる。また、ケーシングの下面の空間
が大きくなるので、ケーシング自体を少し下げた構成に
することも可能になる。その結果、直動転がり案内ユニ
ットの全体の高さ寸法を抑えることができる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照しながら、この考案による
直動転がり案内ユニットの一実施例について説明する。
図1はこの考案による直動転がり案内ユニットの右半分
を示す断面図、図2は図1の直動転がり案内ユニットに
取り付けられる下面シールの斜視図、図3は図2の線B
−Bにおける断面図、図4は図1における符号Aで示す
部分の拡大図、図5は符号Aで示す部分のエンドキャッ
プの拡大図、図6は符号Aで示す部分のケーシングの拡
大図、及び図7は図1に示す直動転がり案内ユニット全
体を下から見た下面図である。なお、図1〜図7に示す
直動転がり案内ユニットは、四条列無限直動転がり案内
ユニットである。図1〜図7では、図8〜図10の部品
と同一の部品には同一の符号を付している。
【0016】図1に示すように、軌道レール1はベース
22に固定され、該軌道レール1に対して摺動可能にス
ライダ20が跨架されている。軌道レール1は、その長
手方向の両側壁面11にそれぞれ二条の軌道溝に形成し
た軌道面9を有しており、スライダ20が該軌道レール
1上を跨って摺動可能に取り付けられている。スライダ
20は、軌道レール1の各軌道面9に対向する位置の軌
道溝に形成した軌道面8を形成したケーシング2、対向
する軌道面8,9間に嵌合されていて相対移動可能な多
数の転動体としての円筒ころ13、軌道レール1とケー
シング2との間のシールを達成するための下面シール
3、及びケーシング2の摺動方向即ち長手方向両端面に
取り付けられたエンドキャップ5を有している。
【0017】下面シール3は、図2及び図3に示すよう
に、長手方向に延びるステンレススチール製の芯金バン
ド23と、芯金バンド23を挟んで両側に固着されたゴ
ム製のシール部7及び別のシール部10とから構成され
ており、これらが一体構造となっている。シール部7は
軌道レール1の側壁面11に当接するものであり、ま
た、シール部10はケーシング2の下面12の傾斜面3
2に当接するものである。芯金バンド23は、リップシ
ール部7とシール部10とが連結された直線状の心金部
24と、該心金部24の両端に形成されたコ字状のフッ
ク部25とから成る。フック部25の先端部26は心金
部24とほぼ平行に形成されている。フック部25の断
面形状は、例えば、矩形である。即ち、下面シール3に
おける芯金バンド23は、 長手方向に直線状に延びる
芯金部24、芯金部24の両端部からそれぞれ屈曲して
エンドキャップ5の側面に沿って延びるフック部25、
及びフック部25からそれぞれ屈曲して芯金部24とほ
ぼ平行に延びるフック部25の先端部26を備えてい
る。
【0018】エンドキャップ5は一般に合成樹脂で製作
されている。図7に示すように、エンドキャップ5の外
側端面31には、軌道レール1とスライダ20との間の
シールを達成する側面シール19が取り付けられると共
に、軌道レール1とスライダ20間の摺動面に潤滑剤を
供給するためのグリースニップル18(図8参照)が取
り付けられている。エンドキャップ5には、軌道レール
1と共働して円筒ころ13の軌道路を形成する軌道溝、
及び円筒ころ13の循環のため円筒ころ13を方向転換
させる方向転換路が形成されている。また、図5に示す
ように、エンドキャップ5の外側端面31、即ち側面シ
ール19が取り付けられる側の端面31には、袖部27
の下部に水平方向に延びる溝28が形成されており、更
に、その溝28の内端に、フック部25の先端部26を
引っ掛けるための係止穴29が形成されている。係止穴
29の形状は先端部26が嵌入できる相補形状に形成さ
れていることが好ましい。また、ケーシング2の下面1
2には、図1に示すように、研削時に砥石の干渉を避け
るための傾斜面32から成る傾斜部のスペース即ち砥石
用スペース30(図6)が形成されている。
【0019】下面シール3のエンドキャップ5への取付
けは、まず、下面シール3をケーシング2の砥石用スペ
ース30に配置し、次いで、芯金バンド23の両端に形
成されたフック部25の先端部26をエンドキャップ5
の係止穴29に引っ掛けることによって行われる。フッ
ク部25の先端部26の断面形状は係止穴29の断面形
状と同一なので、先端部26を係止穴29に引っ掛ける
だけで、下面シール3はエンドキャップ5に回転不能な
状態になる。この取付状態では、フック部25の先端部
26は心金部24と同じ方向に向いている。下面シール
3は砥石用スペースに水平方向に延びる溝28に沿って
配置されているので、ケーシング2の下面とベース22
と間の空間(高さH)を大きくすることができる。即
ち、図9に示すような、下面シール3をケーシング2の
下面12に当接させて配置した従来のものに比べて、ケ
ーシング2の下面とベース22との間の空間即ち距離
(符号Hで示す高さ)を大きくすることができる。従っ
て、逆に、ケーシング2をもっと下に下げて設けること
も可能になるので、全体的に高さの低い直動転がり案内
ユニットを提供できる。
【0020】軌道レール1上をスライダ20が摺動する
時に、温度変化に伴う熱膨張によって、エンドキャップ
5の熱膨張と下面シール3の熱膨張とで差異があって
も、芯金バンド23に形成したコ字状のフック部25が
弾性変形して寸法の変化を吸収するので、下面シール3
に歪みや座屈等の変形が発生するのを防止することがで
きる。即ち、エンドキャップ5の熱膨張が心金部24の
熱膨張よりも大きい場合、フック部25の先端部26が
エンドキャップ5によって押し出されて外側に拡がるだ
けで、心金部24が変形したりシール部7やシール部1
0が変形するなどの影響を受けない。逆に、もしエンド
キャップ5の熱膨張が心金部24の熱膨張よりも小さい
場合には、フック部25の先端部26が係止穴29から
抜ける方向に移動するだけであり、他の部材から反力を
受けないので、心金部24が座屈を起こさない。心金部
24が曲がることなくまっすぐに伸びる場合には、シー
ル部7及びシール部10は歪んだりしないので、シール
性能には影響がない。このように、いずれにしろ、温度
変化に伴う熱膨張に伴って、下面シール3が歪んだり、
座屈を起こしたりすることは防止することができる。
【0021】この直動転がり案内ユニットは、上記のよ
うに構成され、スライダ20を軌道レール1を跨がった
状態で載置し、循環する複数の円筒ころ13の介在でス
ライダ20が軌道レール1に沿って自在に摺動するもの
である。軌道レール1の軌道面9を走行する負荷域の円
筒ころ13は、エンドキャップ5内に形成された方向転
換路に導かれ、次いで、ケーシング2に形成されたリタ
ーン通路に移動し、多数の円筒ころ13は無限循環路内
を無限循環するものである。このように、ケーシング2
に形成された軌道面8と軌道レール1の軌道面9との間
に位置する負荷された円筒ころ13の転動により、軌道
レール1とスライダ20とが摺動自在に相対運動するこ
とができる。そして、スライダ20を介して作用する上
下、左右の各方向におけるラジアル荷重やモーメント荷
重は軌道レール1で支持される。
【0022】
【考案の効果】この考案による直動転がり案内ユニット
は、上記のように構成されているので、次のような効果
を有する。即ち、この直動転がり案内ユニットは、下面
シールの芯金バンドのフック部をエンドキャップの係止
穴に引っ掛けることによって、エンドキャップを外側か
ら挟むようにして下面シールをエンドキャップに取り付
けることができる。従って、温度変化に伴う熱膨張によ
って、エンドキャップの熱膨張と下面シールの熱膨張と
で差異があっても、弾性バンドに形成したフック部が弾
性変形して寸法の変化を吸収するので、下面シールの各
シール部に歪みや座屈等の変形が発生するのを防止する
ことができる。従って、下面シールの各シール部は、常
にケーシングの下面と軌道レールの側壁面に密着した状
態を維持することができ、良好なシール状態を確保でき
る。即ち、軌道レールとスライダ間の摺動面に常に良好
なシール部を提供でき、該摺動面へのごみ、ちり、水等
の異物の侵入を防止でき、防塵性が向上する。また、下
面シールはケーシングとは別体に構成しているので、ケ
ーシングに軌道面を容易に研削加工することができ、軌
道面を高精度に加工でき、直動転がり案内ユニットの軸
受性能を大幅に向上させることができる。
【0023】また、下面シールは、芯金バンドのフック
部をエンドキャップの係止穴に引っ掛けるだけで簡単に
取り付けることができる。従って、従来は下面シールを
スライダに取り付けるためにスライダのケーシングにね
じ穴加工をしていたが、そのような加工は不要になり、
製造コストを大幅に低減することができる。
【0024】更に、ケーシングには、軌道溝の研削時に
砥石の干渉を避けるため形成した傾斜部のスペースがあ
り、このスペースに下面シールを配置するようにしたの
で、ケーシングの下面の空間を大きなものにすることが
できる。また、前記スペースに下面シールを配置するこ
とにより、ケーシングの下面の空間が大きくなるので、
ケーシング自体を少し下げた構成にすることも可能にな
る。その結果、直動転がり案内ユニットの全体の高さ寸
法を抑えることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案による直動転がり案内ユニットの右半
分を示す断面図である。
【図2】図1の直動転がり案内ユニットに取り付けられ
る下面シールの斜視図である。
【図3】図2の線B−Bにおける断面図である。
【図4】図1における符号Aで示す部分の拡大図であ
る。
【図5】符号Aで示す部分のエンドキャップの拡大図で
ある。
【図6】符号Aで示す部分のケーシングの拡大図であ
る。
【図7】図1に示す直動転がり案内ユニット全体を下か
ら見た下面図である。
【図8】従来の直動転がり案内ユニットの一例を示す一
部破断の斜視図である。
【図9】従来の直動転がり案内ユニットの一例を示す断
面図である。
【図10】図9に組み込んだ下面シールの一例を示す斜
視図である。
【符号の説明】
1 軌道レール 2 ケーシング 3 下面シール 4 転動体 5 エンドキャップ 7,10 シール部 8,9 軌道面 11 側壁面 12 ケーシングの下面 13 円筒ころ(転動体) 19 側面シール 20 スライダ 23 芯金バンド 25 フック部 29 係止穴 30 砥石用スペース(傾斜部のスペース) 31 外側端面

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向両側壁面に軌道面を形成した軌
    道レール、該軌道レールに対して相対摺動可能であり且
    つ前記各軌道面に対向する位置に軌道面を形成したケー
    シング、該ケーシングの長手方向両端に取り付けたエン
    ドキャップ、前記軌道面間を循環移動する多数の転動
    体、前記エンドキャップの外側端面に接触状態に配置し
    た側面シール、及び前記ケーシングの下面と前記軌道レ
    ールの側壁面に対して密封状態に当接可能なシール部を
    備えた下面シールを有する直動転がり案内ユニットにお
    いて、前記下面シールは芯金バンド、該芯金バンドに固
    着した前記ケーシング下面に対して密封状態に当接可能
    なシール部及び前記芯金バンドに固着した前記軌道レー
    ルの側壁面に対して密封状態に当接可能な別のシール部
    から構成され、前記芯金バンドは長手方向に直線状に延
    びる芯金部、該芯金部の両端部からそれぞれ屈曲して前
    記エンドキャップの側面に沿って延びるフック部及び該
    フック部からそれぞれ屈曲して前記芯金部とほぼ平行な
    方向に延びる前記フック部の先端部を備えており、前記
    エンドキャップの外側端面には前記芯金バンドの前記フ
    ック部が係合する水平方向に延びる溝及び該溝の端に前
    記フック部の前記先端部が係合する係止穴が形成され、
    前記下面シールは前記ケーシングの下面に形成された研
    削時に砥石の干渉を避けるための傾斜部のスペースに配
    置されたことを特徴とする直動転がり案内ユニット。
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