JP2575122B2 - 感熱転写記録媒体の製造法 - Google Patents

感熱転写記録媒体の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は感熱転写記録媒体を製造する方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、紙表面の平滑性が低いラフ
ペーパーについても良質な印字を形成することのでき、
しかもブロッキングを起しにくい感熱転写記録媒体を容
易に製造できる方法に関する。
[従来技術] 感熱転写記録媒方法は、支持体とこの支持体上に熱溶
融性物質中に着色剤が分散された熱溶融性着色剤層とか
らなる感熱転写記録媒体(感熱転写用インクリボン)を
用い、この着色剤層を被転写媒体(一般には紙)に重ね
た状態で感熱転写記録媒体の支持体側からサーマルヘッ
ドにより加熱し、加熱部分に対応した着色剤層を溶融状
態にして被転写媒体上に転写する方法である。
しかしながら、感熱転写記録媒体を用いた方法には、
表面平滑度の低い被転写媒体(所謂ラフペーパー)に対
して充分な品質を有する印字を行なうことができにくい
との問題があった。
この問題は、最も広範に使用されている被転写媒体で
ある紙を使用する場合に特に障害となる。すなわち、平
滑度の滝い紙はむしろ特殊であり、通常の紙は繊維の絡
み合いにより、表面にかなり凹凸を有している。たとえ
ば、ベック平滑度が10秒程度であるラフペーパーの表面
には、凸部頂上から凹部最深部迄の深さが10μm以上あ
る部分が数多くある。このような紙に熱転写を行なう
と、印字濃度が低かったり、印字の一部が欠けたりして
印字品質が低下する。
そこで、この改善策として支持体と溶融性着色剤層と
の間に剥離層と呼ばれる層を介在させて、熱溶融性着色
剤層の支持体上からの離脱を容易にさせる方法が採られ
ている(特開昭59−224392号、同60−97888号、同60−1
87593号、同60−183192号、同60−115488号等の公報参
照)。
しかしながら、このような感熱転写記録媒体は、支持
体上に熱溶融性着色剤層の形成成分を溶融状態にして塗
布する、所謂ホットメルト塗布法あるいは、形成成分を
有機溶剤に分散もしくは溶融した溶液を塗布する、所謂
有機溶媒法などを利用して製造されているのが一般的で
ある。したがって、熱溶融性着色剤層が塗布の際に剥離
層の一部と混合されて両者の区画が不明確な連続層にな
り易く、それぞれの層の特性が発揮されなくなるので、
ラフペーパーに対する印字品質は充分には改善されな
い。さらに、有機溶剤塗布法を利用した場合には、有機
溶剤が残留することがあり、こうした残留有機溶媒によ
って熱溶融性着色剤層の表面に「ベタツキ」が発生し、
このような場合にも、ラフペーパーに対する印字品質が
低下する。
[発明の目的] 本発明は、前記事情に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明の目的は、表面平滑性の優れた被転
写紙は勿論のこと、表面平滑性の低い被転写紙に対して
も高品質の印字を実現することができ、しかもブロッキ
ング現象のない感熱転写記録媒体を製造する方法を提供
することである。
[前記目的を達成するための手段] 前記目的を達成するための本発明の構成は、支持体上
に、少なくとも一層の剥離層をホットメルト塗布により
塗設した後、該剥離層上に少なくとも一層の、フッ素系
界面活性剤を含む熱軟化性層を水性塗工により形成する
ことを特徴とする感熱転写記録媒体の製造法である。
ラフペーパー対応性を向上させるための熱軟化性層の
特性について、本発明者が検討した結果、次のことが判
明した。
一般に、着色剤を含有する層(以下、単に「インク
層」と記載することもある)が、サーマルヘッドによる
加熱によって支持体から剥離して被転写媒体(具体的に
はラフペーパー)に転写される際には、 インク層と被転写媒体との接着性 支持体からのインク層の剥離性 インク層の凝集力 インク層の破断伸度 が印字品質に作用する。
そして、通常の方法によって製造された感熱転写記録
媒体においては、インク層のこれらの特性は、用いる材
料により一義的に決定される傾向がある。
たとえば、インク層の凝集力は、この層の接着力や破
断伸度と相関関係にあり、凝集力を或る程度抑えようと
すると、インク層の破断伸度および接着力が低下する傾
向がある。したがって、ラフペーパーに対して良好な印
字品質を得るために、インク層の上記のすべての特性を
材料の選択だけによって好適な範囲に制御するのは非常
に難しいことが判明した。
本発明者は、ラフペーパーに対する印字品質が、従来
からのインク層を構成する材料を選択する方法によらず
に、製造方法によって改善できることができることを見
出して本発明に到達した。
支持体 本発明の感熱転写記録媒体の製造法で用いる支持体
は、耐熱強度を有し、寸法安定性および表面平滑性の高
いことが望ましい。
その材料としては、例えば普通紙、コンデンサー紙、
ラミネート紙、コート紙等の紙類、あるいはポリエチレ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ
プロピレン、ポリイミド等の樹脂フィルム類、紙と樹脂
フィルムとの複合体およびアルミ箔等の金属シート等が
いずれも好適に使用される。
支持体の厚さは、良好な熱伝導性を得る上で、通常の
場合、60μm以下であり、本発明においては、特に1.5
〜15μmの範囲内にあるものを用いることが好ましい。
また、本発明において、支持体の裏面の構成は任意で
あり、支持体がスティッキング防止などを目的とするバ
ッキング層を有していてもよい。
剥離層の調製 この支持体上に少なくとも一層の剥離層を塗設する。
剥離層は、支持体上に二層以上塗設することもできる
が、本発明においては、剥離層が一層であることが好ま
しい。
この剥離層は、通常は、熱溶融性物質と熱可塑性樹脂
とを含み、さらに場合によっては、着色剤を含み、この
うち、熱溶融性物質の有する属性が支配的になる層であ
って、主に熱軟化性層と支持体との接着力を調節すると
の作用を有する層である。
ここで使用する熱溶融性物質は、融点(柳本MPJ−2
型による測定値)が40〜150℃の固体または半固体状物
質であることが好ましい。
具体的な例としては、カルナバロウ、木ロウ、オウリ
キュリーロウおよびエスパルロウ等の植物ロウ、 蜜ロウ、昆虫ロウ、セラックロウおよび鯨ロウ等の動
物ロウ、 パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワック
ス、ポリエチレンワックス、エステルワックスおよび酸
ワックス等の石油ロウ、 モンタンロウ、オゾケライトおよびセレシン等の鉱物
ロウ等のワックス類、 パルミチン酸、ステアリン酸、マルガリン酸およびベ
ヘン酸等の高級脂肪酸、 パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘ
ニルアルコール、マルガニルアルコール、ミリシルアル
コールおよびエイコサノール等の高級アルコール、 パルミチン酸セチル、パルミチン酸ミリシル、ステア
リン酸セチルおよびステアリン酸ミリシル等の高級脂肪
酸エステル、 アセトアミド、プロピオン酸アミド、パルミチン酸ア
ミド、ステアリン酸アミドおよびアミドワックス等のア
ミド類、ならびに、 ステアリルアミン、ベヘニルアミンおよびパルミチル
アミン等の高級アミン類が挙げられ、これらは単独で用
いられてもよいし併用してもよい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリアミド系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン
系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロー
ス系樹脂、ロジン系樹脂、アイオノマー樹脂および石油
系樹脂等の樹脂類、 天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム
およびクロロプレンゴムなどのエラストマー類、 エステルガム、ロジンマレイン酸樹脂、ロジンフェノ
ール樹脂および水添ロジン等のロジン誘導体、ならび
に、 フェノール樹脂、テルペン樹脂、シクロペンタジエン
樹脂および芳香族系炭化水素樹脂等の軟化点50〜150℃
の高分子化合物などを挙げることができる。
この中でも好ましい熱可塑性樹脂としては、アクリル
系樹脂が挙げられる。
アクリル系樹脂は、たとえば、アクリル酸およびメタ
クリル酸等の一塩基性カルボン酸あるいはそのエステル
と、これらと共重合し得る少なくとも一種のモノマーと
を乳化重合させることにより得られる。この際に使用す
るカルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メ
チルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、
(メタ)アクリル酸イソプロピルエステル、(メタ)ア
クリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸イソブチ
ルエステル、(メタ)アクリル酸アミルエステル、(メ
タ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸
オクチルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘ
キシルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、
(メタ)アクリル酸ドデシルエステル、(メタ)アクリ
ル酸ヒドロキシエチルエステルおよび(メタ)アクリル
酸ヒドロキシエチルエステル等が挙げられる。また共重
合し得るモノマーとしては、酢酸ビニル、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、無水マレイン酸、無水フマル酸、スチ
レン、2−メチルスチレン、クロルスチレン、アクリロ
ニトリル、ビニルトルエン、N−メチロールアクリルア
ミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシ
メチルアクリルアミド、N−ブトキシメタクリルアミ
ド、ビニルピリジンおよびN−ビニルピロリドン等が挙
げられ、これらの一種あるいは二種以上より選ばれる。
また、熱可塑性樹脂として、ジエン系コポリマーも好
適に使用できる。具体的には、ブタジエン、イソプレ
ン、イソブチレンおよびクロロプレン等のジエン系モノ
マーと、上記共重合し得るモノマーとの乳化重合物を挙
げることができ、この乳化重合物の具体的な例として
は、ブタジエン−スチレン重合物、ブタジエン−スチレ
ン−ビニルピリジン重合物、ブタジエン−アクリロニト
リル重合物、クロロプレン−スチレン重合物およびクロ
ロプレン−アクリロニトリル重合物等がある。
さらに、好ましいポリマーとしては、エチレン共重合
体を挙げることができる。例えば、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エ
チレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アク
リル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重
合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン
−塩化ビニル共重合体およびエチレン−アクリル酸金属
塩共重合体等である。
前記着色剤としては、通常使用されている無機顔料お
よび有機顔料などの顔料ならびに染料を使用することが
できる。
前記無機顔料の例としては、二酸化チタン、カーボン
ブラック、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウ
ム、酸化鉄ならびに鉛、亜鉛、バリウムおよびカルシウ
ムのクロム酸塩などが挙げられる。前記有機願料の例と
しては、アゾ系、チオインジゴ系、アントラキノン系、
アントアンスロン系、トリフェンジオキサジン系の顔
料、バット染料顔料、フタロシアニン顔料、例えば銅フ
タロシアニンおよびその誘導体ならびにキナクリドン顔
料などがある。
有機染料の例としては、酸性染料、直接染料、分散染
料、油溶性染料および含金属油溶性染料などが挙げられ
る。
剥離層中での熱溶融性物質の含有率は、限定はされな
いが、この熱溶融性物質と熱可塑性物質との合計重量に
対して、通常は、50重量%以上(好ましくは50〜97重量
%の範囲内)である。
この剥離層中には、着色剤を含有させてもさせなくと
よいが、含有させる場合には層全体の重量に対して通常
は、30重量%以下とする。
その他、剥離層には、ポリオキシエチレン鎖含有化合
物、無機あるいは有機微粒子(金属粉、シリカゲルな
ど)、オイル類(アマニ油鉱油など)を添加することも
できる。
剥離層の膜厚は、通常は、0.5〜4μmであり、好ま
しくは1.0〜2.5μmである。
剥離層の100℃における粘度が、2〜1000cpsの範囲内
になるように各成分の配合量および成分の種類等を調整
するのがよい。
この剥離層は、ホットメルト塗布法を採用して塗設さ
れる。
ホットメルト塗布法は、この層を構成する成分を混合
し、得られた混合物を溶融状態にして塗布する方法であ
る。この場合に、加熱温度は、この層を形成する主成分
である熱溶融性物質が溶融状態になればよく、通常は、
150℃以下である。溶融した成分は、ワイヤーバーを用
いた塗布法など公知の方法を採用して塗布することがで
きる。
なお、上記ホットメルト塗布において、粘度調整など
を目的として、用いる成分に対して例えば20重量%程度
までの有機溶媒を配合することもできる。
熱軟化性層の調製 本発明の感熱転写記録媒体の製造法においては、次い
で、上記の剥離層上に少なくとも一層の熱軟化性層を水
性塗工により形成する。
この熱軟化性層は、熱可塑性樹脂および熱軟化性物質
を主成分とし、さらに必要に応じて着色剤を含有する層
であるが、前記の剥離層とは異なり、これらの成分の内
の熱可塑性樹脂の有する属性が支配的になる層である。
したがって、熱軟化性物質における熱可塑性樹脂および
熱軟化性物質の配合率は、この属性が維持される範囲内
で適宜に設定することができるが、この層が着色剤を被
転写媒体上に良好に定着させるためには、この層を形成
する熱可塑性樹脂および熱軟化性物質の合計重量に対し
て、熱可塑性樹脂が、50重量%以上(好適には50〜97重
量%の範囲内)含むようにすることが好ましい。
ここで使用する熱溶融性物質、熱可塑性樹脂および着
色剤としては、前記剥離層で用いたものを使用すること
ができる。
この熱軟化性層において着色剤は、この層における熱
溶融性物質と熱軟化性物質との合計重量に対して5〜35
重量%程度の範囲内で含有させることが好ましい。
この熱軟化性層の水性塗工には、熱可塑性樹脂、熱軟
化性物質および着色剤を含む水性エマルジョンを調製
し、これを塗布する方法を採用することが好ましい。
この水性エマルジョンは、たとえば、上記熱溶融性物
質、熱可塑性樹脂および着色剤などをそれぞれ個別に乳
化して得られた水性エマルジョンを混合することにより
調製することができる。
ここで、熱溶融性物質、熱可塑性樹脂および着色剤の
水性エマルジョンは、乳化剤を含有する系で、転相法、
高圧乳化法、超音波分散法等の既存の方法で水中に乳化
させることにより調製することができる。乳化剤として
は、ノニオン系乳化剤、アニオン系乳化剤、カチオン系
乳化剤および両性乳化剤のいずれでも使用することがで
きる。
この水性エマルジョンには、乳化剤のほかにフッ素系
界面活性剤を含有することが重要である。フッ素系界面
活性剤によって熱軟化性層のブロッキング現象を有効に
防止できると共に、水性エマルジョンの剥離層に対する
親和性を向上させて塗布の際の所謂「はじき」を有効に
防止するとの作用を有する。
フッ素系界面活性剤としては、下記式[I]〜[VI]
で示される化合物の使用が好ましい。
式[I] CnF2n+1SO3M 上記式[I]〜[VI]において、Mはアルカリ金属ま
たはアンモニウム基を表わし、R1は水素原子または炭素
原子数1〜20のアルキル基を表わす。R2およびR3は各
々、炭素原子数1〜20のアルキル基を表わし、同じでも
異なっていてもよい。Zは2価の連結基を表わし、アル
キレン基、アリールアルキレン基が好ましい。Xはアニ
オン残基を表わし、nは3〜20の整数、mは2〜20の整
数を表わす。
これらの中で好ましいのは式[I]、[II]、[II
I]および[V]であり、特に好ましいのは式[I]お
よび[III]で示される化合物である。
以下、本発明で用いられるフッ素系界面活性剤の代表
的化合物を例示する。
I−1 C8F17SO3K I−2 C8F17SO3Na I−3 C8F17SO3Li I−4 C8F17SO3NH4 I−5 C6F13SO3K I−6 C6F13SO3NH4 II−1 C8F17SO2N(CH2CH2O)11H III−1 C8F17SO2NHCH2CH2OSO3Na V−1 C8F17SO2NH2C2COONa VI−1 C7F15CONHCH2CH2CH2N+H(CH32Cl- VI−2 C9F19CONHCH2CH2CH2N+(CH3・Cl- VI−3 C7F15CONHCH2CH2CH2N+(CH3・I- この層におけるフッ素系界面活性剤の含有率は、熱軟
化性層の全固形分に対し、0.05〜3重量%であるのが好
ましく、特に、0.1〜2重量%が好ましい。なお、複数
の熱軟化性層を有する場合、下層(支持体により近い
層)における含有率よりも上層(支持体により遠い層)
の含有率を多くするのが好ましい。上層におけるフッ素
系界面活性剤の含有率を高くすることにより、耐ブロッ
キンブ性が向上する傾向がある。
また、本発明で用いる水性エマルジョンは、粘度を調
整するために、たとえばポリアクリル酸ナトリウムのよ
うな増粘剤、コロイダルシリカの如き表面すべり性を向
上させる物質を含有していてもよい。たとえば、ポリビ
ニルピロリドン、ポリビニルアルコール、水溶性ポリウ
レタン、水溶性アクリル、水溶性ポリエステルおよび水
溶性ポリアミドを水溶性ポリマーの代表例として挙げる
ことができる。
こうして調製した水性エマルジョンを上記の剥離層の
上に少なくとも一層塗設する。塗設方法には特に限定は
なく、たとえばワイヤバーなどを用いた方法等公知の方
法を採用することができる。
水性エマルジョンの塗布厚さは、この熱軟化性層の乾
燥厚が、通常は、0.6〜5.0μmの範囲内になるように設
定される。特に乾燥厚が1.0〜4.0μmの範囲内になるよ
うに塗布することが好ましい。
さらに、この熱軟化性層は、100℃における粘度が400
〜8000cpsの範囲内にあることが好ましく、この範囲内
になるように用いる熱溶融性物質および熱可塑性樹脂の
種類、配合量等を決定するのがよい。
なお、熱軟化性層が二層以上ある場合には、最外層の
熱軟化性層を水性塗工により塗設することが好ましく、
本発明においては、特に全熱軟化性層を水性塗工するこ
とが好ましい。
例えば水性エマルジョンを用いて水性塗工することに
より、水性エマルジョンを構成する成分の粒子が、その
粒子状態を或る程度保持した状態でこの熱軟化性層を形
成している。さらに、有機溶媒塗布法あるいはホットメ
ルト塗布法により塗布した場合と異なり、塗布の際に剥
離層の成分を溶出あるいは軟化させることがなく、熱軟
化性層と剥離層とが混合されることがないので両者の区
画が明確な不連続層を構成している。したがって、それ
ぞれの層の特性が損なわれることがない。また、有機溶
媒を実質的に含まないので、熱軟化性層の表面の「ベタ
ツキ」も発生しない。
−感熱転写記録媒体のその他の事項− このようにして得られる感熱転写記録媒体は、その平
面形状につき特に限定が無く、一般にタイプライターリ
ボン状あるいはラインプリンター等に用いられる広幅の
テープ状などの形態で使用される。また、カラー記録の
ために何種類かの色調の着色剤を配合してなる剥離層ま
たは熱軟化性層をストライプ状あるいはブロック状に塗
り分けた感熱転写記録媒体とすることもできる。
本発明で得られた感熱転写記録媒体を用いる感熱転写
方法は、通常の感熱転写記録方法と異なるものではない
が、最も典型的な熱ヘッドを使用する場合を例にして説
明する。
感熱転写記録媒体の熱軟化性層と被転写媒体(たとえ
ば転写紙)とを密着させ、必要に応じてさらに転写紙の
背面からプラテンによって熱パルスを与えながら、熱ヘ
ッドによって熱パルスを与えて、所望の印字ないし転写
パターンに対応させて剥離層および熱軟化性層を局部的
に加熱する。剥離層および熱軟化性層の被加熱部は、そ
の温度が上昇し、剥離層および熱軟化性層が速やかに軟
化し、熱軟化性層が被転写媒体に転写される。
[発明の効果] 本発明の製造方法により得られた感熱転写記録媒体を
用いて転写を行なうことにより、支持体上に塗設された
少くとも一層の剥離層と、この上に水性塗工により塗設
された少なくとも一層の、フッ素系界面活性剤を含む熱
軟化性層とが奏合的に作用して、表面平滑性の高い転写
紙は勿論のこと、表面平滑性の低い転写紙にも、高い品
質で印字を行うことができる。さらに、本発明に製造方
法で得られた感熱転写記録媒体は、ブロッキングを起す
ことが少ない。
[実施例] 以下、本発明の実施例を挙げるが、本発明がこれによ
り限定されることはない。なお、以下に用いる「部」と
は「重量部」を示す。
(実施例1) 厚さ3.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
上に下記の剥離層塗布組成物を膜厚1.8μmになるよう
にホットメルト塗布して剥離層を形成した。
剥離層塗布組成物 パラフィンワックス[融点70℃] ・・・95部 エチレン−酢酸ビニル共重合体 ・・・5部 次に、下記に示す熱軟化性層塗布組成物をワイヤーバ
ーを用いて膜厚2.0μmになるように剥離層の上に水性
塗工して熱軟化性層を形成し、感熱転写記録媒体を製造
した。
熱軟化性層塗布組成物 アクリル水系エマルジョン [「ボンコート3226」] ・・・50 部 パラフィンワックス水系エマルジョン [融点70℃のパラフィンワックスを水に乳化したエマル
ジョン] ・・・25 部 カルナバワックス水系エマルジョン ・・・10 部 カーボンブラック水分散物 ・・・25 部 フッ素系界面活性剤 [「FT−248」;バイエル社製] ・・・0.5部 (なお、上記エマルジョンにおける「〜部」との表現
は、エマルジョン中の有効成分の換算重量である。以下
本発明において同じ。) 得られた感熱転写記録媒体をサーマルプリンターA
(24ドット シリアルヘッド、プラテン圧250g/ヘッ
ド、プラテンゴム硬度70℃)を用いて、印字速度40cps
でラフペーパー(スピカボンド紙、ベック平滑度10秒)
に記録(印字)し、印字品質を評価した。
同様に、サーマルプリンターB(24ドット シリアル
ヘッド、プラテン圧400g/ヘッド、プラテンゴム硬度80
℃)を用いて、印字速度40cpsでラフペーパー(ランカ
スタボンド紙、ベック平滑度2秒)に記録(印字)し、
印字品質を評価した。
いずれの場合にも、カスレ、滲み、地汚れのない極め
て鮮明な印字(アルファベット)が得られた。
また、この感熱転写記録媒体につき、温度傾斜法によ
る荷重80g/cm2のブロッキング開始温度は、63℃であっ
た。
(実施例2) 実施例1における熱軟化性層塗布組成物の代わりに、
下記の塗布組成物を用いた以外は同様にして感熱転写記
録媒体を製造した。
熱軟化性層塗布組成物 エチレン−酢酸ビニル水系エマルジョン ・・・50 部 パラフィンワックスエマルジョン [融点70℃のパラフィンワックスを水に乳化したエマル
ジョン] ・・・25 部 カーボンブラック水分散物 ・・・25 部 フッ素系界面活性剤 [「FT−248」;バイエル社製] ・・・0.5部 得られた感熱転写記録媒体につき、実施例1と同様に
して印字品質を評価したところ、いずれの場合にも、カ
スレ、滲み、地汚れのない鮮明な印字(アルファベッ
ト)が得られた。
また、この感熱転写記録媒体につき、温度傾斜法によ
る荷重80g/cm2のブロッキング開始温度は、60℃であっ
た。
(比較例1) 実施例1における熱軟化性層の塗布組成物の代わり
に、下記の熱軟化性層塗布組成物をボールミルを用いて
トルエン300部に加熱分散させた後、冷却して調製した
塗布液を、ワイヤーバーを用いて塗布した以外は同様に
して感熱転写記録媒体を製造した。
熱軟化性層塗布組成物 エチレン−酢酸ビニル共重合体 ・・・50部 パラフィンワックス[融点70℃] ・・・25部 カーボンブラック ・・・25部 得られた感熱転写記録媒体につき、実施例1と同様に
して印字品質を評価したところ、いずれの場合にも、カ
スレ、滲み、地汚れが生じて鮮明な印字(アルファベッ
ト)は得られなかった。
また、温度傾斜法による荷重80g/cm2のブロッキング
開始温度は、53℃であった。
(比較例2) 比較例1における塗布組成物の代わりに、下記の塗布
組成物を用いた以外は同様にして感熱転写記録媒体を製
造した。
熱軟化性層塗布組成物 エチレン−アルリル酸エステル共重合体 ・・・50部 パラフィンワックス[融点70℃] ・・・25部 カーボンブラック ・・・25部 カルナバワックス ・・・10部 得られた感熱転写記録媒体につき、実施例1と同様に
して印字品質を評価したところ、いずれの場合にも、カ
スレ、滲み、地汚れが生じて鮮明な印字(アルファベッ
ト)は得られなかった。
また、温度傾斜法による荷重80g/cm2のブロッキング
開始温度は、54℃であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−206693(JP,A) 特開 昭61−206695(JP,A) 特開 昭60−166485(JP,A) 特開 昭61−68290(JP,A) 特開 昭61−206694(JP,A) 特開 昭61−295084(JP,A) 特開 昭62−37189(JP,A) 特開 昭63−47192(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に、少なくとも一層の剥離層をホ
    ットメルト塗布により塗設した後、該剥離層上に少なく
    とも一層の、フッ素系界面活性剤を含む熱軟化性層を水
    性塗工により形成することを特徴とする感熱転写記録媒
    体の製造法。
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