JP2574731Y2 - サスペンションの支持部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】本考案は、自動車等に使用さ
れている重ね板バネ或いはスタビライザ等のサスペンシ
ョンの固定端側における支持部構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種サスペンションとして、図
６に示すような、キャブ用スタビライザが存在する。す
なわち、図において、Ａはシャシ側に回転可能に固定さ
れた軸で、この軸Ａの両端には夫々アームＢの基端が固
定され、この両アームＢの他端は支持部Ｃを介してキャ
ブに固定されている。

【０００３】そして、キャブが左右方向に傾斜するロー
リング時には、前記両アームＢに段差を生じ、これによ
り戻り反力が発生してローリングを制御するのである。
しかし、上記ローリング時には、支持部Ｃ自体に無理な
力（こじり力）が働く結果、支持部Ｃが摩耗，損傷する
といった不都合が生じる虞れがある。

【０００４】このような不都合を解決するため、図７に
示すように、支持部Ｃに球面軸受を採用し、この球面軸
受の変位によりローリング時に生じるこじり力を逃す支
持部構造が開発されている。すなわち、図において、Ｂ
はアームで、その他端には、該アームＢの長手方向と直
交方向に大径穴Ｄが形成され、該大径穴Ｄ内には、内輪
Ｅ１と外輪Ｅ２とからなる球面軸受Ｅが設けられてい
る。

【０００５】そして、前記アームＢの他端に跨架される
逆Ｕ字形状のスタビライザリンクＦの両脚部には、前記
球面軸受Ｅの挿入孔Ｅａと同一径の挿入孔Ｆａが形成さ
れている。なお図中、Ｇは円筒形状で、球面軸受Ｅの挿
入孔Ｅａと同一径の挿入孔Ｇａを有する合成樹脂製のデ
ィスタンススペーサであり、Ｋは前記スタビライザリン
クＦに固定されたキャブの固定用リングである。

【０００６】そこで、前記支持部Ｃを組み立てるには、
先ず内輪Ｅ１の左右両側端部に左右一対のディスタンス
スペーサＧを配置し、該ディスタンススペーサＧの前記
大径穴Ｄから突出する後端部を介してスタビライザリン
クＦの両脚部を跨架し、その後に、このスタビライザリ
ンクＦとディスタンススペーサＧと内輪Ｅ１の各挿入孔
Ｅａ，Ｇａ，Ｆａに前記脚部の外側からピンボルトＨを
挿入し、該ボルトＨにスプリングワッシャＩを介してナ
ットＪを締着するのである。

【０００７】

【考案が解決しようとする問題点】しかし、上記のよう
な従来の支持部構造では、その組立工程において、ピン
ボルトＨを組み付ける際、内輪Ｅ１の左右に配設した一
対のディスタンススペーサＧをその先端部が内輪Ｅ１の
側端面と当接した状態で、且つ前記内輪Ｅ１とディスタ
ンススペーサＧとの挿入孔Ｅａ，Ｇａの軸心を一致させ
た後、球面軸受ＥとディスタンススペーサＧとが離間し
ないように支持しながら、これをスタビライザリンクＦ
の両脚部間に挿入する。

【０００８】そして、再度、前記ディスタンススペーサ
ＧとスタビライザリンクＦの両挿入孔Ｇａ，Ｆａの軸心
を一致させる必要があるので、合計５個の挿入孔合わせ
を行った後でないとピンボルトＨの挿入ができず、生産
性が非常に悪いものとなる。また、アームＢの大径孔Ｄ
に装着される球面軸受Ｅは露呈状態なので、塵埃が侵入
する虞れもあり、球面軸受Ｅの耐久性が低下し、異常音
を発生する原因ともなる、といった諸問題点がある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記のような
従来の問題点を解決するために成されたもので、組付作
業が容易であり、且つ支持部の耐磨耗性が良好なものを
提供することを目的としたものであり、その要旨は、サ
スペンションの支持部に形成した円孔内に球面軸受を装
着するとゝもに、該球面軸受の左右両側端側に配設した
左右一対のディスタンススペーサをその先端部に形成し
た弾性フランジ部を押入して前記円孔内に固定し、該円
孔から突出する両ディスタンススペーサの後端部を介し
て前記支持部に跨架した逆Ｕ字形状のシャックルを、そ
の外側から前記ディスタンススペーサ及び球面軸受の各
挿入孔内に挿入したピンボルトで締結することにより、
前記サスペンションの支持部に対して回転自在に支承し
たことを特徴とするサスペンションの支持部構造にあ
る。

【００１０】

【考案の実施の形態】以下、本考案を図１乃至図５に示
す実施例により詳細に説明するに、図において、１はサ
スペンションで、実施例ではキャブとシャシとを連結す
るスタビライザが示されており、その固定支持部１Ａに
形成された円孔２内には、挿入孔３ａを有する内輪３Ａ
と外輪３Ｂとからなる球面軸受３が設けられている。そ
して、この球面軸受３の左右幅は前記円孔２の中心軸方
向の長さより小さく設定されており、この円孔２内の中
心部に球面軸受３を装着することにより、該球面軸受３
の左右には空間部４が形成されている。

【００１１】５は前記円孔２内において、球面軸受３の
左右に配置するディスタンススペーサで、このディスタ
ンススペーサ５は、前記内輪３Ａの挿入孔３ａと同径の
挿入孔５ａを有するスティールパイプ６の外周面にラバ
ー等の弾性材によるシールリング７を同心円上に焼付け
るとゝもに、該シールリング７の一側端には、前記円孔
２より少し大径な弾性フランジ部８を設けた構造のもの
であり、該弾性フランジ部８の前面側には、前記円孔２
内への挿入を容易にするため面取り８ａが形成されてい
る。

【００１２】９は前記スタビライザ１の固定支持部１Ａ
に跨架される逆Ｕ字形状のシャックルで、その左右の両
脚部には前記球面軸受３の挿入孔３ａと同一径の挿入孔
９ａが形成されている。なお、図中、１０は前記シャッ
クル９の挿入孔９ａに挿入するピンボルトで、１１は該
ピンボルト１０に螺合するナット、１２はスプリングワ
ッシャで、１３は前記シャックル９の天面部に固定され
たキャブへの固定用リングである。

【００１３】次に、実施例の組立工程について説明する
に、先ず図３に示すように、固定支持部１Ａの円孔２の
左右から、左右一対のディスタンススペーサ５をその弾
性フランジ部８を先端にして空間部４内に挿入し、その
先端面が予め前記円孔２内に装着した前記球面軸受３の
内輪３Ａの側端面と当接するまで押し込む。

【００１４】これにより、ディスタンススペーサ５は円
孔２より少し大径の弾性フランジ部８が弾性変形して円
孔２内に支持されるとゝもに、球面軸受３の挿入孔３ａ
とディスタンススペーサ５の挿入孔５ａとは自動的に軸
心が一致する。同時に、弾性フランジ部８により円孔２
内がシールされるので、該円孔２内へのダストの侵入が
防止され、球面軸受３はダストから保護されることにな
る。

【００１５】そして、図４に示すように、前記円孔２内
にディスタンススペーサ５を固定した固定支持部１Ａを
シャックル９の両脚部内に挿入し、ディスタンススペー
サ５とシャックル９の両挿入孔５ａ，９ａの軸心を一致
させる。次に、図５に示すように、前記球面軸受３，デ
ィスタンススペーサ５及びシャックル９の各挿入孔３
ａ，５ａ，９ａ内に、前記シャックル９の脚部の外側か
らピンボルト１０を挿入する。

【００１６】しかる後に、このピンボルト１０の先端部
にスプリングワッシャ１２を嵌め、ナット１１で締結す
れば、図１に示すような状態に組立られ、組み立て作業
が終了する。なお、前記ディスタンススペーサ５は弾性
フランジ部８の弾性変形により円孔２内に支持されてい
るので、このディスタンススペーサ５は前記球面軸受３
の変位に容易に追従することができる。

【００１７】なお、前記実施例では、キャブサスペンシ
ョンにより説明したが、これに限定されることなく、シ
ャシサスペンションやシャシスタビライザ或いはトルク
ロッドのように、少なくとも球面軸受３及びピンボルト
１０が用いられ回動および揺動を許容したい部位にも適
用することができ、同様な効果が得られる。

【００１８】

【考案の効果】本考案に係るサスペンションの支持部構
造は、上記のように、サスペンションの支持部に形成し
た円孔内に球面軸受を装着するとゝもに、該球面軸受の
左右両側端側に配設した左右一対のディスタンススペー
サをその先端部に形成した弾性フランジ部を押入して前
記円孔内に固定し、該円孔から突出する両ディスタンス
スペーサの後端部を介して前記支持部に跨架した逆Ｕ字
形状のシャックルを、その外側から前記ディスタンスス
ペーサ及び球面軸受の各挿入孔内に挿入したピンボルト
で締結することにより、前記サスペンションの支持部に
対して回転自在に支承した構成であるから、従来のよう
に、ディスタンススペーサを球面軸受と離間しないよう
に支持し、且つ球面軸受とディスタンススペーサとシャ
ックルとの各挿入孔を一致させた後、該挿入孔にピンボ
ルトを挿入するといった面倒な作業が必要なく、ディス
タンススペーサとシャックルとの挿入孔を一致させるだ
けで該挿入孔にピンボルトが挿入できるので、組付性，
生産性が格段に向上する。また、ディスタンススペーサ
の弾性フランジ部がサスペンションの円孔を閉塞して球
面軸受に対するダストシールとしても機能するので、球
面軸受の耐摩耗性が向上するとゝもに、異常音の発生を
も防止することができる、といった諸効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るサスペンションの支持部構造を示
す一部切除の正面図である。

【図２】同支持部構造の要部を示す斜視図である。

【図３】同支持部構造の要部の第１組立工程図である。

【図４】同第２組立工程図である。

【図５】同第３組立工程図である。

【図６】スタビライザの斜視図である。

【図７】同スタビライザ支持部構造の従来例を示す一部
切除の正面図である。

【符号の説明】

１ サスペンション ２ 円孔 ３ 球面軸受 ３ａ 挿入孔 ５ ディスタンススペーサ ５ａ 挿入孔 ８ 弾性フランジ部 ９ シャックル ９ａ 挿入孔 １０ ピンボルト １１ ナット

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 サスペンションの支持部に形成した円孔
   内に球面軸受を装着するとゝもに、該球面軸受の左右両
   側端側に配設した左右一対のディスタンススペーサをそ
   の先端部に形成した弾性フランジ部を押入して前記円孔
   内に固定し、該円孔から突出する両ディスタンススペー
   サの後端部を介して前記支持部に跨架した逆Ｕ字形状の
   シャックルを、その外側から前記ディスタンススペーサ
   及び球面軸受の各挿入孔内に挿入したピンボルトで締結
   することにより、前記サスペンションの支持部に対して
   回転自在に支承したことを特徴とするサスペンションの
   支持部構造。