JP2574204B2 - 縦葺き屋根構造 - Google Patents

縦葺き屋根構造

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JP2574204B2 JP14581594A JP14581594A JP2574204B2 JP 2574204 B2 JP2574204 B2 JP 2574204B2 JP 14581594 A JP14581594 A JP 14581594A JP 14581594 A JP14581594 A JP 14581594A JP 2574204 B2 JP2574204 B2 JP 2574204B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、流れ方向に縦葺き屋
根板を葺いた縦葺き屋根構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】瓦棒式の縦葺き屋根板を流れ方向に接続
する従来技術として、実公平5−38176号公報や実
公昭63−18658号に開示されているものがある。
前者では図8に示すように屋根板の水上側に、溝部10
0と、主板101の平面より一段高くなるような上向き
段部102と、被重合部103とが形成され、屋根板の
水下側に、前記溝部100に当接する平坦状端縁104
と、前記上向き段部102に当接する屈曲縁105と、
前記被重合部103に重合する重合部106が形成され
ていた。後者では図9に示すように下段に位置する屋根
板の棟側端200が釘201などの固着手段により野地
板202に固着され、その棟側端200が上段に位置す
る屋根板の軒側端203に重ね合わされて連結されてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の場合、
重合部分の上向き段部102と屈曲縁105により、屋
根面に段部が形成されていたので意匠的に好ましくなか
ったという問題点ばかりでなく、風圧がその段部に作用
し、捲れる恐れがあった。また後者の場合、単に下段に
位置する屋根板の棟側端200に上段に位置する屋根板
の軒側端が重合していただけなので重合部分に隙間が生
じ易く、風雨によって隙間から雨水が侵入し易いという
問題があった。特に下段の屋根板の棟側端200を釘2
01などによって固定しているので雨仕舞に問題があっ
た。さらに上記隙間に風圧などが作用した場合、上段に
位置する屋根板の軒側端203が捲れ上がる恐れもあっ
た。
【0004】そこで、この発明は風圧に対する縦葺き屋
根板の軒側端の保持強度を高め、その接続部分に風圧が
作用しても軒側端が捲れあがることのない耐風圧に優れ
た縦葺き屋根構造を提供し、このことによって雨水の浸
入や風を伴う雨水の吹き付けによる浸入を確実に防止し
て雨仕舞を向上させるとともに、意匠的にも優れた縦葺
き屋根構造を提供することも目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ため、この発明は流れ方向に隣接する縦葺き屋根板を接
続する縦葺き屋根構造において、前記縦葺き屋根板は、
軒側端に係合部を有する重合部を設ける一方、棟側端に
屋根面レベルより低い位置となる被重合部を設け、前記
重合部の係合部と係合する被係合部を備えた保持部材を
設け、前記被係合部に前記重合部の係合部を係合させた
前記保持部材を下地に固定して、縦葺き屋根構造を構成
した。
【0006】この発明において、前記保持部材の被係合
部は、前記縦葺き屋根板の棟側端の被重合部にも係合さ
れるように構成してもよい。
【0007】また、前記保持部材に該保持部材を下地に
固定する固定部を設け、該固定部から軒側に延設された
延設部を設けるようにしてもよい。
【0008】
【作用】本願発明では縦葺き屋根板の軒側端が重合部に
なり、その重合部に係合部を設け、その係合部と係合す
る被係合部を備えた保持部材を設け、前記係合部を前記
被係合部に係合させた前記保持部材を下地に固定して構
成したので、該保持部材を介して前記縦葺き屋根板の軒
側端が下地に強固に保持されることになる。また前記縦
葺き屋根板の棟側端の被重合部は屋根面レベルより低い
位置に形成されているので、その被重合部の上に前記縦
葺き屋根板の軒側端の重合部を重ね合わせた場合、屋根
面をほぼ面一にすることができる。従って、風圧に対す
る屋根板の軒側端の保持強度を高め、接続部分に風圧が
作用しても軒側端が捲れあがることがない耐風圧に優れ
た縦葺き屋根構造になり、また軒側端が捲れあがること
がないので雨水の浸入や風を伴う雨水の吹き付けによる
浸入を確実に防止して、雨仕舞を向上させた縦葺き屋根
構造となり、また意匠的に優れた縦葺き屋根構造とな
る。
【0009】また、前記縦葺き屋根板の棟側端の被重合
部も前記保持部材の被係合部に係合させたので、前記保
持部材を介して上方の縦葺き屋根板の軒側端と下方の縦
葺き屋根板の棟側端の両端が下地に強固に取り付けられ
ることになる。従って更に耐風圧に優れた屋根構造とな
る。
【0010】また、前記保持部材に該保持部材を下地に
固定する固定部を設け、該固定部から軒側に延設された
延設部を設けたので、その延設部が野地材等を支持する
支持部の機能を発揮する。
【0011】
【実施例】以下、この発明の一実施例について図面を参
照しながら詳細に説明する。図1は縦葺き屋根に用いら
れる実施例に係る縦葺き屋根構造の要部分解斜視図、図
2は実施例に係る縦葺き屋根の構造の要部断面図であ
る。
【0012】図1及び図2に示すように、実施例に係る
縦葺き屋根の構造では、後述する縦葺き屋根板1の軒側
端10を重合部11とし、一方、前記縦葺き屋根板1の
棟側端12を被重合部13とし、前記重合部11の先端
に係合部14を設け、前記被重合部13を屋根面15よ
りも低い位置に設けるとともに、後述する2段状の保持
部材20を設け、上段を前記係合部14に係合される被
係合部21とし、下段を下地30に固定される固定部2
2としている。そして、流れ方向Xの上方に位置する縦
葺き屋根板1の前記係合部14に前記保持部材20の被
係合部21を係合させ、流れ方向Xの下方に位置する縦
葺き屋根板1の前記被重合部13に前記被係合部21を
配置し、前記保持部材20の固定部22を下地30に固
定している。
【0013】このような実施例に係る縦葺き屋根の構造
では、前記縦葺き屋根板1の軒側端10が前記保持部材
20を介して下地30に取り付けられることにより、ま
た前記被係合部21と前記重合部11とが接して前記軒
側端10の保持強度が増すことにより、接続部分16に
風圧が作用しても前記縦葺き屋根板1の軒側端10が捲
れ上がることがなくなる。
【0014】前記縦葺き屋根板1は、流れ方向Xに隣接
して敷設される定尺な金属板製のもので、平坦な面板部
17の棟側端12には、傾斜部18を介して前記面板部
17(屋根面15レベル)よりも低位置に被重合部13
が設けられている。一方、前記縦葺き屋根板1の軒側端
10には前記保持部材20の被係合部21を介して前記
被重合部13の上に重ね合わせる重合部11が設けられ
ており、該重合部11の先端を裏面側に向け折り返して
前記係合部14が形成されている。このように前記被重
合部13を前記面板部17よりも低位置に設けたのは、
接続部分16に段部ができるのを無くし、前記屋根面1
5をほぼ面一にするためである。図1及び図2中、19
で示すものは前記被重合部13の先端に設けられている
止水片である。
【0015】この実施例では前記面板部17の左右両側
縁に外側に向け拡開するように傾斜させた立上がり部1
7a,17aと、その上端に内側に折返し形成される水
切り部17b,17bとによって前記縦葺き屋根板1の
側縁部が形成されている。前記立ち上がり部17a,1
7aは図1に示すように上吊子2と下吊子3との間に挟
持され、角桟状のカバー4が両立上がり部17a,17
a間を保護している。なお、屋根板の側縁部の形状はこ
の実施例のようにカバーで覆うような形状でもよく、ま
た一方の側縁部を他方の側縁部に重ねるような形状でも
よい。
【0016】前記保持部材20は前記縦葺き屋根板1の
軒側端10を下地30に取り付けるもので、この実施例
ではステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、硬
質樹脂などによって2段状に成形されている。そして、
上段の前記被係合部21は、前記軒側端10の重合部1
1を取付けるため、その左右方向の幅W1は前記重合部
11の左右方向の幅w1と略同一であり、またその上下
方向の幅W2も前記重合部11の上下方向の幅w2(図
2参照)と略同一である。また、下段の前記固定部22
の左右方向の幅W3は前記被重合部13の左右方向の幅
w3それと略同一であり、その上下方向の幅W4は固定
強度を確保するために所定の幅に成形されている。ま
た、上段と下段との段差23は前記固定部22を下地3
0に固定し、前記被係合部21に前記重合部11を重
ね、前記被係合部21の裏側に前記被重合部13を配置
した場合に、接続部分16の屋根面15がほぼ面一にな
るような高さになっている。
【0017】このような構成によれば、接続部分16に
風圧が作用しても軒側端10が捲れ上がることがなくな
るばかりでなく、前記被係合部21の表面積は前記重合
部11の表面積と略同一になっているので前記軒側端1
0の保持強度が高まる。また、屋根面15がほぼ面一に
なるので段部が形成されず風圧等により接続部分16が
捲れることもなくなるし、意匠的にも優れている。
【0018】この実施例では前記保持部材20は前記縦
葺き屋根板1の重合部11の左右方向の幅w1や前記被
重合部12の左右方向の幅w3に略一致させて作られて
いるが、前記縦葺き屋根板1の軒側端10を下地30に
取り付けることができるものであれば、前記幅w1、w
3に一致させる必要はなく、例えば図3に示すような幅
狭(W1>W5)な保持部材20Aを構成してもよい。
また、該保持部材20Aよりもより幅狭な保持部材を複
数個、配置するようにしてもよい。
【0019】なお、図2に示すように前記保持部材20
の上段と前記被重合部13間にゴムなどの帯状の定形材
を止水材40として取付けるようにしてもよい。この場
合、前記保持部材20の前記段差23と前記固定部22
の左右方向の幅W3は前記被重合部13の左右方向の幅
w3と略同一であるので、前記保持部材20は止水材と
しても機能し、止水効果がより高まる。また前記止水材
40によって前記被重合部13を押さえる押さえ効果も
発揮される。一方、前記止水材40を前記保持部材20
Aに取り付けると、前記止水材40による止水効果とと
もに、その止水材40によって前記被重合部13を押さ
える押さえ効果も発揮される。
【0020】前記下地30は、例えばC型鋼材からなる
母屋5上に、木毛板などの野地材及びアスファルトルー
フィング等の防水材6を敷設して構成されているが、R
C造や木造のものでもよい。なお、図中7は前記屋根板
の裏面に貼着したポリエチレンフォーム等の裏貼りであ
る。
【0021】次ぎに図4及び図5に基づいて本発明に係
る第2実施例を説明する。この第2実施例が前記実施例
(以下第1実施例という)と異なる点は、前記保持部材
の上段裏面に前記縦葺き屋根板1の被重合部13を保持
させるように保持部材20Bを構成した点である。即ち
前記被重合部13を保持させるため、図4に示すように
前記被重合部13の先端に表面側に向け折り返した棟側
端係合部14Bを設け、該棟側端係合部14Bを前記被
係合部21の裏面に形成した引っ掛部25に引っ掛ける
ようにしている。該引っ掛部25は図4に示すように断
面針先形状のもの、複数の突条のようなもの(図6の2
7で示すもの)でもよい。また前記被重合部13を保持
させるため、その被重合部13を前記被係合部21と下
地30表面で挟着するようにして前記被重合部13を押
圧するようにしてもよい。この場合、図5に示すように
ゴム系、樹脂系、アスファルト系の定形シール41を取
り付ける取付凹部26を前記被重合部13に設け、その
取付凹部26に取付けた定形シール41を前記被係合部
21と前記被重合部13間に介在させて挟着するように
してもよい。
【0022】このような第2実施例では縦葺き屋根板1
の軒側端10と棟側端12の両端が前記保持部材20B
を介して下地30に固定されることになるので、更に耐
風圧に優れた接続部分を備えた縦葺き屋根構造を提供す
ることができる。
【0023】次ぎに図6に基づいて本発明に係る第3実
施例を説明する。この第3実施例が第1実施例と異なる
点は、断熱材8等の野地材を前記保持部材に載置できる
ような段差23Cを上下段間に設け、下段の固定部22
Cを軒側に延設して延設部24を設けて保持部材20C
とし、その延設部24を断熱材8等の野地材を支持する
支持部として機能させている点である。このような構成
であれば、前記延設部24と前記被重合部13との間で
野地材などを強固に保持することができるとともに、野
地材間の敷設面8Aを略同一レベルにすることができ
る。
【0024】なお、前記保持部材20、20B、20C
の段差23、23B、23Cや固定部22、22B、2
2Cの左右方向の幅を前記被重合部13の左右方向の幅
w3に一致させるようにすると、吊子部材との干渉が問
題になる場合がある。これはRC造のように前記保持部
材20等の固定個所が限定されない場合には吊子と保持
部材20が干渉しないようにずらして固定できるが、鉄
骨造のような場合には前記保持部材20等の固定個所が
母屋上に限定されることによる。そこで、吊子部材との
干渉を避けるため、例えば前記保持部材20Cに図7に
示すような切り欠き28を前記段差23Cや前記固定部
22Cの左右両端に設ける必要が出てくる。
【0025】
【発明の効果】請求項1に記載の発明では、縦葺き屋根
板の軒側端が重合部になり、その重合部に係合部を設
け、その係合部に係合される被係合部を備えた保持部材
を設け、前記係合部を前記被係合部に係合させた前記保
持部材を下地に固定して構成したので、該保持部材を介
して前記縦葺き屋根板の軒側端が下地に強固に取り付け
られることになる。また前記縦葺き屋根板の棟側端の被
重合部は屋根面レベルより低い位置に形成されているの
で、その被重合部の上に前記縦葺き屋根板の重合部を重
ね合わせた場合、屋根面をほぼ面一にすることができ
る。従って、風圧に対する屋根板の軒側端の保持強度を
高め、接続部分に風圧が作用しても軒側端が捲れあがる
ことがない耐風圧に優れた縦葺き屋根構造になり、また
軒側端が捲れあがることがないので雨水の浸入や風を伴
う雨水の吹き付けによる浸入を確実に防止して、雨仕舞
を向上させた縦葺き屋根構造を提供することができし、
これらの効果に加えて意匠的に優れた縦葺き屋根構造を
提供することができる。
【0026】請求項2に記載の発明では、前記縦葺き屋
根板の棟側端の被重合部も前記被係合部に係合したの
で、前記保持部材を介して上方の縦葺き屋根板の軒側端
と、下方の縦葺き屋根板の棟側端の両端が下地に強固に
取り付けられることになる。従って更に耐風圧に優れた
屋根構造を提供することができる。
【0027】請求項3に記載の発明では、前記保持部材
に該保持部材を下地に固定する固定部を設け、該固定部
から軒側に延設された延設部を設けたので、その延設部
が野地材等を支持する支持部として機能し、野地材を強
固に保持できるとともに、野地材の敷設面を一定にする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 縦葺き屋根に用いられる実施例に係る縦葺き
屋根構造の要部分解斜視図。
【図2】 実施例に係る縦葺き屋根の構造の要部断面
図。
【図3】 変形例に係る保持部材の斜視図。
【図4】 第2実施例に係る保持部材の側面図。
【図5】 第2実施例に係る保持部材の側面図。
【図6】 第3実施例に係る保持部材の側面図。
【図7】 切り欠きが設けられた保持部材の斜視図。
【図8】 従来技術の説明図。
【図9】 従来技術の説明図。
【符号の説明】
1・・・縦葺き屋根板、 2・・・上吊子、 3・・・下吊子、 4・・・カバー、 5・・・母屋、 6・・・防水材、 7・・・裏貼り、 8・・・断熱材、 10・・・軒側端、 11・・・重合部、 12・・・棟側端、 13・・・被重合部、 14・・・係合部、 15・・・屋根面、 16・・・接続部分、 17・・・面板部、 17a,17a・・・立上がり部 17b,17b・・・水切り部 18・・・傾斜部、 20、20A、20B、20C・・・保持部材、 21・・・被係合部、 22・・・固定部、 23・・・段差、 24・・・延設部、 25・・・引っ掛部、 26・・・取付凹部、 27・・・突条、 28・・・切り欠き、 30・・・下地、 40・・・止水材、 41・・・定形シール、 X・・・流れ方向。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流れ方向に隣接する縦葺き屋根板を接続
    する縦葺き屋根構造において、 前記縦葺き屋根板は、軒側端に係合部を有する重合部を
    設ける一方、棟側端に屋根面レベルより低い位置となる
    被重合部を設け、前記重合部の係合部と係合する被係合
    部を備えた保持部材を設け、前記被係合部に前記重合部
    の係合部を係合させた前記保持部材を下地に固定したこ
    とを特徴とする縦葺き屋根構造。
  2. 【請求項2】 前記保持部材の被係合部は、前記縦葺き
    屋根板の棟側端の被重合部にも係合されることを特徴と
    する請求項1に記載の縦葺き屋根構造。
  3. 【請求項3】 前記保持部材に該保持部材を下地に固定
    する固定部を設け、該固定部から軒側に延設された延設
    部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の縦葺き屋根構造。
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