JP2573550B2 - 農園芸用殺菌剤 - Google Patents

農園芸用殺菌剤

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JP2573550B2
JP2573550B2 JP5304572A JP30457293A JP2573550B2 JP 2573550 B2 JP2573550 B2 JP 2573550B2 JP 5304572 A JP5304572 A JP 5304572A JP 30457293 A JP30457293 A JP 30457293A JP 2573550 B2 JP2573550 B2 JP 2573550B2
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拓雄 和田
一幸 辻本
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Hokko Chemical Industry Co Ltd
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Hokko Chemical Industry Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は、下記の化学構造式で示
されるマンガニーズエチレンビスジチオカーバメート
(以下「マンネブ」と称する)、ジンクエチレンビスジ
チオカーバメート(以下「ジネブ」と称する)、ビスジ
メチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカ
ーバメート(以下「ポリカーバメート」と称する)、ジ
ンクジメチルジチオカーバメート(以下「ジラム」と称
する)またはビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスル
フィド(以下「チウラム」と称する)のいずれか1種と
4−クロロベンジル−N−2,4−ジクロロフェニル−
2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)チ
オアセトイミダート(以下「化合物A」と称する)との
混合物を活性成分として含有することを特徴とする農園
芸用殺菌剤に関する。
【0002】本発明の農園芸用殺菌剤は、果樹、野菜、
穀類などの各種作物を加病して多大な被害をもたらす植
物病原菌の防除に有効である。
【0003】ゆえに、本発明は農業ならびに園芸分野で
殺菌剤として使用することができる。
【0004】
【化1】
【0005】
【化2】
【0006】
【化3】
【0007】
【化4】
【0008】
【化5】
【0009】
【化6】
【0010】
【従来の技術】本発明の農園芸用殺菌剤の一方の活性成
分であるジチオカーバメート系殺菌成分、例えば、マン
ネブ、ジネブ、ポリカーバメート、ジラムおよびチウラ
ムは、農園芸用殺菌剤として公知であり、野菜、果樹、
花卉、穀類の各種病害防除に散布剤として、あるいは土
壌施用剤、種子消毒剤として広く使用されている。これ
らの薬剤は、防除活性スペクトラムが広く、また薬害の
ない優れた薬剤である。これらのことは、「農薬ハンド
ブック1985年版」(社団法人 日本植物防疫協会
昭和60年1月30日発行)の第166頁、第170頁
〜第181頁などに記載されている。また、これらの1
種を含む混合剤が農園芸用殺菌剤として使用されること
も、例えば、マンネブとチオファネートメチル、チウラ
ムとチオファネートメチル、チウラムとベノミル、チウ
ラムとポリオキシン、チウラムとTPN、チウラムとキ
ャプタンとPCNBなどの組み合わせについて、前記
「農薬ハンドブック1985年版」の第172頁、第1
79頁〜第181頁に記載されている。
【0011】なお、上記薬剤名は、前記の「農薬ハンド
ブック」に記載の一般名である。
【0012】一方、化合物Aは、本発明者らによって見
出された化合物であって、野菜、果樹のうどんこ病、さ
び病、黒星病、ビートの褐斑病などの防除に有効な公知
化合物である(特開昭58−65281号公報)。ま
た、化合物Aを含む混合剤として、特開昭59−710
5号公報(化合物A+プロシミドン)、特開昭59−7
103号公報(化合物A+カスガマイシン)、特開昭5
9−13703号公報(化合物A+ポリオキシン群抗生
物質)、特開昭59−16803号公報(化合物A+イ
プロジオン、ビンクロゾリン)、特開昭59−1680
8号公報[化合物A+ベノミル、チオファネートメチ
ル、チアベンダゾール、MBC<2−(メトキシカルボ
ニルアミノ)−ベンツイミダゾール>]などが知られて
いる。かっこ内は、前記の「農薬ハンドブック」に記載
の一般名である。しかし、マンネブ、ジネブ、ポリカー
バメート、ジラムおよびチウラムなどのジチオカーバメ
ート系殺菌成分と化合物Aとの混合剤を農園芸用殺菌剤
として用いることは知られていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の活性成分の1
つであるマンネブ、ジネブ、ポリカーバメート、ジラム
およびチウラムは広い防除活性スペクトラムを有する。
しかし、常に安定した高い防除効果を得ようとすれば、
著しく高濃度で散布しなければならず、このような高濃
度散布は作物に薬害をもたらす危険性がある。しかも、
病害発生前から予防的に散布する必要があり、病原菌の
植物体侵入後の散布では効果がない。また、高濃度で散
布しても多発下での病害防除効果は不十分である。その
ため、散布回数を多くするなどの必要があり、経済的、
労力的に問題がある。
【0014】また、もう一方の活性成分である化合物A
は、キュウリ、メロン、ナス、リンゴ、ブドウ、バラ、
ムギ類のうどんこ病や、ムギ類、ブドウ、ネギ、キクな
どの銹病に対しても比較的低薬量で高い効果を示す。そ
して、化合物Aは、ビート褐斑病、リンゴ斑点落葉病、
リンゴ黒星病、リンゴ赤星病、モモ縮葉病、ブドウ黒と
う病などの病害に防除活性を示すが、これらの病害を防
除するに要する薬量は、各種作物のうどんこ病、銹病を
防除する場合の薬量の5倍以上を散布しなければならな
いという欠点を有する。
【0015】さらに、本発明の各々の活性成分の単独成
分では、後記試験例でも明らかなように、従来の薬剤耐
性菌に対しても感受性菌と同等の効果を示すにとどま
り、持続性も低いため実用性に欠ける。
【0016】本発明は、従来の薬剤の有するこのような
欠点を補い、低薬量の散布でも安定して相乗的で持続性
の高い防除効果を発揮しうる農園芸用殺菌剤を提供する
ことを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の殺
菌剤の欠点を補い、活性成分の優れた特性を活かした農
園芸用殺菌剤を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結
果、本発明を完成した。
【0018】本発明によれば、マンネブ、ジネブ、ポリ
カーバメート、ジラムおよびチウラムのいずれか1種と
化合物Aからなる2種混合殺菌剤を散布することによ
り、予期しがたい低薬量で相乗的で持続性の高い病害防
除効果を発揮し、各種植物病害を完全に防除しうること
を見出して、本発明を完成するにいたった。
【0019】
【作用】本発明の農園芸用殺菌剤において、マンネブ、
ジネブ、ポリカーバメート、ジラムおよびチウラムから
選ばれた1種と化合物Aとの組み合わせは、野菜のうど
んこ病、リンゴ、ナシの黒星病、赤星病、輪紋病、リン
ゴ斑点落葉病、ナシ黒斑病、モモの縮葉病、黒星病、灰
星病、ブドウ黒とう病、ビート、ラッカセイの褐斑病、
トマト葉かび病、イチゴ灰色かび病、麦類のなまぐさ黒
穂病などの防除のための活性成分として作用する。そし
て、これらの活性成分を使用したときの効果は、単独使
用では防除効果の弱い薬剤耐性菌や薬剤感受性菌に対し
ても併用することによって、実用上、十分な防除効果が
発揮される。
【0020】このような優れた作用を発揮するようにな
る原因は必ずしも明らかではないが、本発明の化合物A
は、病原菌の細胞膜に含まれる必須成分であるエルゴス
テロールの生合成を阻害して膜機能を失わせることによ
って、病原菌の生育を阻止するものと思われる。
【0021】一方、マンネブ、ジネブ、ポリカーバメー
ト、ジラムおよびチウラムの殺菌作用は、菌体内のSH
酵素や金属酵素と反応して、その働きを抑制することに
よると考えられている。この相互に異なった作用特性を
有する2剤の混用による相乗活性は、化合物Aにより病
原菌の膜機能の低下によって、マンネブ、ジネブ、ポリ
カーバメート、ジラムおよびチウラムなどの殺菌成分の
菌体内への取り込みが容易となり、より強力に作用する
ようになるためではないかと推定される。
【0022】
【実施例】農園芸用殺菌剤の製剤化方法 本発明の農園芸用殺菌剤を製造するには、本発明の活性
成分と適当な担体および補助剤、例えば、界面活性剤、
結合剤、安定剤などを配合して、常法によって、水和
剤、乳剤、液剤、ゾル剤(フロアブル剤)、油剤、粉
剤、DL(ドリフトレス型)粉剤、微粒剤、粗粉剤など
に製剤化すればよい。
【0023】これらの製剤中の活性成分の含有率は、水
和剤、乳剤、液剤、ゾル剤、油剤の場合は1〜90%
(重量%;以下同じ)の範囲、粉剤、DL粉剤、微粒剤
の場合は0.5〜10%の範囲、粒剤の場合は1〜10
%の範囲で含有することができる。
【0024】前記において、使用できる担体としては、
農園芸用薬剤に常用されるものであれば固体、または液
体のいずれでも使用でき、特定のものに限定されるもの
ではない。
【0025】例えば、固体担体としては、鉱物質粉末
(カオリン、ベントナイト、クレー、モンモリロナイ
ト、タルク、珪藻土、雲母、バーミキュライト、石膏、
炭酸カルシウム、燐灰石、ホワイトカーボン、消石灰、
珪砂、硫安、尿素、など)、植物粉末(大豆粉、小麦
粉、木粉、タバコ粉、でんぷん、結晶セルロース、な
ど)、高分子化合物(石油樹脂、ポリ塩化ビニル、ケト
ン樹脂、ダンマルガムなど)、アルミナ、珪酸塩、糖重
合体、高分散性珪酸、ワックス類などが挙げられる。
【0026】また、液体担体としては、水、アルコール
類(メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピ
ルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチ
ルアルコール、エチレングリコール、ベンジルアルコー
ル、など)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、
キシレン、エチルベンゼン、クロルベンゼン、クメン、
メチルナフタレン、など)、ハロゲン化炭化水素類(ク
ロロホルム、四塩化炭素、ジクロルメタン、クロルエチ
レン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロ
メタン、など)、エーテル類(エチルエーテル、エチレ
ンオキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、な
ど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シク
ロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、など)、エス
テル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコール
アセテート、酢酸アミル、など)、酸アミド類(ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、など)、ニト
リル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロ
ニトリル、など)、スルホキシド類(ジメチルスルホキ
シド、など)、アルコールエーテル類(エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、など)、脂肪族または脂環式炭化水素類
(n−ヘキサン、シクロヘキサン、など)、工業用ガソ
リン(石油エーテル、ソルベントナフサ、など)、そし
て石油留分(パラフィン類、灯油、軽油、など)が挙げ
られる。
【0027】また、乳剤、水和剤、ゾル剤(フロアブル
剤)などの製剤に際して、乳化、分散、可溶化、湿潤、
発泡、潤滑、拡展などの目的で界面活性剤(または乳化
剤)が使用される。このような界面活性剤としては、次
に示されるものが挙げられるが、もちろんこれらの例示
のみに限定されるものではない。
【0028】非イオン系 ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン
アルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、な
ど。
【0029】陰イオン系 アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホサクシ
ネート、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンア
ルキルサルフェート、アリールスルホネート、など。
【0030】陽イオン系 アルキルアミン類(ラウリルアミン、ステアリルトリメ
チルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルベンジル
アンモニウムクロリド、など)ポリオキシエチレンアル
キルアミン類など。
【0031】両性型 カルボン酸(ベタイン型)、硫酸エステル、など。
【0032】また、これらのほかに、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CM
C)、アラビアゴム、ポリビニルアセテート、ゼラチ
ン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、トラガカントガム、
などの各種補助剤を使用することができる。
【0033】また、本発明の農園芸用殺菌剤に他の殺菌
成分、殺虫成分を混合して用いることができる。そし
て、その混用により適用病害虫、使用方法、使用時期、
などの拡大をはかることができる。
【0034】次に本発明の実施例を示す。なお、実施例
中で部とあるのはすべて重量部である。
【0035】実施例1(水和剤) マンネブ 60部、化合物A 3部、ホワイトカーボン
10部、ラウリルサルフェート 3部、リグニンスル
ホン酸カルシウム 2部およびクレー 22部を混合し
て十分粉砕し、水和剤を得る。
【0036】実施例2(水和剤) ポリカーバメート 40部、化合物A 3部、ホワイト
カーボン 10部、ラウリルサルフェート 3部、ナフ
タレンスルホン酸ソーダホルマリン縮合物 2部および
クレー 42部を混合して十分粉砕し、水和剤を得る。
【0037】実施例3(水和剤) ジネブ 50部、化合物A 5部、ホワイトカーボン
10部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
3部、リグニンスルホン酸カルシウム 2部およびクレ
ー 30部を混合して十分粉砕し、水和剤を得る。
【0038】実施例4(水和剤) チウラム 40部、化合物A 4部、ホワイトカーボン
10部、アルキルベンゼンスルホン酸 3部、リグニ
ンスルホン酸カルシウム 2部およびクレー41部を混
合して十分粉砕し、水和剤を得る。
【0039】実施例5(水和顆粒剤) ジラム 50部、化合物A 5部、ラウリルサルフェー
ト 8部およびクレー37部を混合し、粉砕する。次い
で、水15部を添加し、混練後、押し出し造粒機で造粒
し、乾燥後、篩別(14〜32mesh)して水和顆粒
剤を得る。
【0040】実施例6(フロアブル) 水 22部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル 1部およびリグニンスルホン酸ナトリウム塩 4部
を加えて撹拌し、次に微粉砕したジラム 60部と化合
物A 3部を加えて撹拌し、更に2%キサンタンガム水
溶液 10部を加えて更に撹拌し、フロアブルを得る。
【0041】本発明の農園芸用殺菌剤の使用方法は、一
般に次のとおりである。すなわち、水和剤、ゾル剤(フ
ロアブル剤)の場合は、水で200〜3000倍に希釈
して、一般に200〜2000ppmの溶液に調製され
る。そして10アール当り、この希釈液を50〜400
lの範囲で植物の病害発生部位の茎葉に散布される。
【0042】また、粉剤の場合は、10アール当り2〜
5kg(活性成分として50〜500g程度)を植物体
上に散布すればよい。
【0043】
【発明の効果】本発明の農園芸用殺菌剤を使用すると、
次のような作用効果がもたらされる。すなわち、各種の
植物病害、リンゴの黒星病、赤星病、うどんこ病、斑点
落葉病、輪紋病、黒点病、すす点病、すす斑病、モニリ
ア病、褐斑病、ナシの黒星病、赤星病、うどんこ病、黒
斑病、輪紋病、モモの縮葉病、黒星病、フォモプシス腐
敗病、灰星病、ブドウの晩腐病、褐斑病、灰色かび病、
黒とう病、うどんこ病、さび病、オウトウの灰星病、ウ
メの黒星病、カキの円星落葉病、うどんこ病、キュウ
リ、メロン、カボチャのうどんこ病、炭そ病、べと病、
黒星病、ナスのうどんこ病、トマトのうどんこ病、疫
病、葉かび病、イチゴのうどんこ病、灰色かび病、ネギ
のさび病、茶の炭そ病、網もち病、もち病、麦類のうど
んこ病、さび病、なまぐさ黒穂病、眼紋病、ビート、ラ
ッカセイの褐斑病、バラの黒星病、うどんこ病、黒点
病、キクの白さび病、黒さび病、芝のさび病、ブラウン
パッチ、ピシウムパッチなどに対し、相乗的で持続性の
高い防除効果を示す。この高い防除効果は、化合物A
1部(重量部;以下同じ)に対して、マンネブ、ジネ
ブ、ポリカーバメート、ジラム、チウラムの殺菌成分を
10〜25部の混合比で配合することによりもたらされ
る。
【0044】第2に、本発明の農園芸用殺菌剤はこのよ
うな優れた作用効果を奏するため、薬剤の使用量を各々
の単独使用の場合の2分の1から5分の1に減らしても
十分な防除効果が得られ、薬量低減効果を有する。
【0045】上記したような優れた防除効果を発揮させ
るには、本発明の農園芸用殺菌剤を、病害の発生前ある
いは発生後に適当な散布装置を用いて、植物茎葉に直接
散布することによって、対象病害を有効に防除すること
ができる。
【0046】第3に、このような使用によっても有用作
物、例えば、リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、オウトウ、
ウメ、カキ、キュウリ、メロン、スイカ、ナス、トマ
ト、イチゴ、ネギ、茶、大麦、小麦、ビート、ラッカセ
イ、バラ、キク、芝などに薬害を与えることもない。
【0047】第4に、本発明の農園芸用殺菌剤は、耐性
菌による植物病害にも有効である。すなわち、本発明の
活性成分は、現在問題となっているベノミル、チオファ
ネートメチルなどのベンズイミダゾール系薬剤あるいは
ビンクロゾリン、イプロジオン、プロシミドンなどのジ
カルボキシイミド系薬剤とは、全く化学構造の異なる薬
剤の組み合わせである。そのため、ベンズイミダゾール
系薬剤、ジカルボキシイミド系薬剤の多用により発生し
た耐性菌による病害(例えば、ベンズイミダゾール系薬
剤耐性菌としてリンゴやナシの黒星病、リンゴうどんこ
病、ジカルボキシイミド系薬剤耐性菌としてキュウリ灰
色かび病など)には、感受性菌による病害と同等かある
いはむしろより有効に作用する。
【0048】以上から本発明の農園芸用殺菌剤は各種の
植物防除剤として有用である。
【0049】次に、このような本発明の作用効果を試験
例により示す。
【0050】試験例1 ビート褐斑病防除効果試験(ポ
ット試験) 直径9cmの大きさの素焼鉢に播種したビート(品種ハ
イラーベ)の第4葉が展開したときに、実施例4に準じ
て調製した水和剤を所定濃度に希釈し、ターンテーブル
上で3鉢当り30mlをスプレーガンで散布した。播種
源は、まえもってチオファネートメチルに耐性を有する
ビート褐斑病菌(サーコスポーラ ベチコラ:Cerc
ospora beticola)の胞子を播種して発
病させた罹病葉を、2日間湿室に入れて胞子形成させ、
これを展着剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
の50ppm液で胞子懸濁液としたものを用いた。そし
てこの胞子懸濁液を胞子濃度が106spores/m
lとなるよう調整後、散布1日後および散布7日後の植
物体上に噴霧接種した。接種後は25℃、湿度100%
の湿室内に2日間静置後、ガラス温室に移して発病させ
た。
【0051】発病調査は、病菌接種の16日後に1葉当
りの病斑数を調査し、これより無散布区との対比から下
記式により防除価(%)を求めた。また、薬害程度は、
下記の薬害指数によりその程度を表示した。
【0052】その結果は表1に示すとおりである。
【0053】
【数1】
【0054】
【0055】
【表1】ビート褐斑病に対する防除効果(持続性効果)
【0056】試験例2 リンゴ斑点落葉病防除効果試験
(ほ場試験) 試験方法 (1)供試品種:ふじ 11年生 (2)区制:1区1樹3連制 (3)薬剤散布量・方法:実施例3に準じて調製した水
和剤を所定濃度に希釈し、5月28日、6月10日、6
月21日、7月2日に合計4回、動力噴霧機を用い1樹
当りに1回につき301の希釈液を散布した。 (4)病害の発生状況:リンゴ斑点落葉病の初期の自然
発生は少なかったが、6月中旬から増加し、多発生とな
った。 (5)発病調査:7月16日(最終散布14日後)に各
区15新梢を任意に選び、その全葉にリンゴ斑点落葉病
の発病の有無を調査し(平均調査葉数は約400枚)、
発病葉率(%)を求め、これより防除価(%)を算出し
た。また薬害程度は、試験例1と同様な指標で調べた。
【0057】その結果は、表2に示すとおりである。
【0058】
【表2】リンゴ斑点落葉病防除効果
【0059】試験例3 リンゴ黒星病、リンゴ赤星病に
対する防除効果試験(ほ場試験) 試験方法 (1)供試品種:千秋 5年生矮性台 (2)区制:1区1樹3連制 (3)薬剤散布量・方法:実施例3に準じて調製した水
和剤を所定濃度に希釈し、5月20日(開花直前)、5
月30日(落花直後)、6月14日、6月30日の合計
4回、動力噴霧機を用い1樹当りに1回につき10lの
希釈液を散布した。 (4)病害の発生状況:リンゴ黒星病は多発生、リンゴ
赤星病は中発生であった。 (5)発病調査:黒星病は7月14日(最終散布14日
後)に1樹当り30新梢の完全展開葉全葉について発病
の有無を調査し、発病葉率(%)を求めた。また、赤星
病は6月14日(第2回散布15日後)に、発病の有無
を調査し、発病葉率(%)を求め、これより無散布区と
の対比から防除価(%)を算出した。また薬害程度は、
試験例1と同様な指標で調べた。
【0060】その結果は、表3に示すとおりである。
【0061】
【表3】リンゴ黒星病、リンゴ赤星病に対する防除効果
【0062】試験例4 モモ縮葉病に対する防除効果試
験(ほ場試験) 試験方法 (1)供試品種:白鳳 7年生 (2)区制:1区1樹3連制 (3)薬剤散布量・方法:実施例1に準じて調製した水
和剤を所定濃度に希釈して、萌芽直前(3月27日)に
動力噴霧機を用いて、1樹当りに7lを散布した。 (4)病害の発生状況:4月上旬からの出芽期に降雨が
多く多発生であった。 (5)発病調査:5月25日に1樹当り約400葉につ
いて、もも縮葉病の発病の有無を調査し、発病葉率
(%)を求め、これより無散布区との対比で防除価
(%)を算出した。また薬害程度は、試験例1と同様な
指標で調べた。
【0063】その結果は、表4に示すとおりである。
【0064】
【表4】モモ縮葉病に対する防除効果
【0065】試験例5 ブドウ黒とう病に対する防除効
果(ほ場試験) 試験方法 (1)供試品種:巨峰 (2)区制:1区1樹3連制 (3)薬剤散布量・方法:実施例3に準じて調製した水
和剤を所定濃度に希釈して、5月10日(萌芽期)、5
月25日の2回、動力噴霧機を用いて、1樹当りに1回
につき20lを散布した。 (4)病害の発生状況:多発生であった。 (5)発病調査:最終散布14日後の6月8日に、各樹
の果房200房について発病程度別に調査し、下記式に
より発病度を求め、これより無散布区との対比から防除
価(%)を算出した。また薬害は試験例1と同様な指標
で調べた。
【0066】その結果は、表5に示すとおりである。
【0067】
【数2】
【0068】 N:調査果房数 a:1果房の発病粒数11以上の果房数 b:1果房の発病粒数6〜10以上の果房数 c:1果房の発病粒数5以下の下房数
【0069】
【表5】 ブドウ黒とう病に対する防除効果

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マンガニーズエチレンビスジチオカーバメ
    ート、ジンクエチレンビスジチオカーバメート、ビスジ
    メチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカ
    ーバメート、ジンクジメチルジチオカーバメートまたは
    ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィドの少な
    くとも1種と4−クロロベンジル−N−2,4−ジクロ
    ロフェニル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−
    1−イル)チオアセトイミダートとの混合物を活性成分
    として含有することを特徴とする農園芸用殺菌剤。
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農薬ハンドブック1985 社団法人日本植物防疫協会発行

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