JP2570399Y2 - 伸縮ブーム装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、伸縮ブーム装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の伸縮ブーム装置は、クレー
ン車や高所作業車等の伸縮ブームを有する作業車に配置
されているもので、ここでは図５に図示する如くのクレ
ーン車Ａを例に説明する。図５において、クレーン車Ａ
は、車両１上に旋回自在に旋回台２を設け、この旋回台
２にその基端部を枢支され起伏自在な伸縮ブーム３を設
けている。伸縮ブーム３は、外ブーム４の内側に内ブー
ム５を嵌挿しており、外ブーム４と内ブーム５間には油
圧シリンダ等の適宜の伸縮駆動手段を配置している。外
ブーム４と旋回台２の適所間には起伏用油圧シリンダ６
を配置し、この起伏用油圧シリンダ６により伸縮ブーム
３を起伏駆動可能に構成している。旋回台２上にはウイ
ンチ７を配置し、このウインチ７より繰り出したワイヤ
ロープ８を伸縮ブーム３の先端部を経過させ、伸縮ブー
ム３の先端部にフック９を吊下させている。このように
構成されたクレーン車Ａは、フック９に吊荷を吊下さ
せ、旋回台２の旋回ならびに伸縮ブーム３を適宜伸縮、
起伏させることで、吊荷を目的のところへ移動させクレ
ーン作業するものである。

【０００３】ところでこのような伸縮ブーム３の外ブー
ム４と内ブーム５間には摺動自在に支持させて伸縮でき
るよう図４に図示するようなスライドプレート１０，１
１を配置している。すなわち、内ブーム５基端外側の上
部と外ブーム４先端内側の下部にスライドプレート１
０，１１を配置している。そして外ブーム４に内ブーム
５をこのスライドプレート１０，１１で摺動自在に支持
させながら、外ブーム４に対して内ブーム５を伸縮させ
るようになつている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところが、前記伸縮ブ
ーム３を伸縮させている時に、内ブーム５がブーム軸線
方向に振動するように段付が生じるという問題があっ
た。これは前記スライドプレート１０，１１に発生する
摩擦抵抗の変動により、前記スライドプレート１０，１
１が滑らかに摺動せず、段付いて摺動していることによ
り発生しているものである。特に、伸縮ブーム３を起仰
させている場合は、ブームから前記スライドプレート１
０，１１に受ける反力が減少することから、摩擦抵抗が
変動し易く段付が発生し易いものとなっていた。また、
吊荷を吊下させる時には、吊荷により伸縮ブーム３に上
下方向に負荷がかかり伸縮ブーム３に撓みを発生させる
ことになり、この撓みにより伸縮ブーム３を上下方向に
振動させ、この振動により前記スライドプレート１０，
１１に作用する反力が変動し、前記スライドプレート１
０，１１に発生する摩擦抵抗の変動を生じさせ、段付を
発生させるものとなっていた。そして一旦段付いて摺動
すると、更に段付いて摺動し振動が増幅されるようにな
って、伸縮ブーム３は共振して更に大きくブーム軸線方
向に振動する状態になることもあった。本考案は、上記
伸縮ブーム３の振動による段付を可及的に阻止させるこ
とのできる伸縮ブームを提供することを目的とするもの
である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本考案の伸縮ブーム装置は、外ブームの内側に内ブ
ームを伸縮自在に嵌挿し、両者間に適宜の伸縮駆動手段
を配置した伸縮ブーム装置であって、内ブーム基端外側
の上部と外ブーム先端内側の下部にスライドプレートを
配置し、外ブームの内側に内ブームを摺動自在に支持さ
せるようにした伸縮ブーム装置において、内ブーム基端
外側の下部と外ブーム先端内側の上部に、スライドプレ
ートとこのスライドプレートをブームの伸縮方向と直交
する方向に付勢する弾性体を備えるスライドプレート装
置を配置したことを特徴とするものである。（請求項
１）また、本考案の伸縮ブーム装置は、内ブームの外側
に外ブームを伸縮自在に嵌挿し、両者間に適宜の伸縮駆
動手段を配置した伸縮ブーム装置であって、内ブーム先
端外側の上部と外ブーム基端内側の下部にスライドプレ
ートを配置し、内ブームの外側に外ブームを摺動自在に
支持させるようにした伸縮ブーム装置において、内ブー
ム先端外側の下部と外ブーム基端内側の上部に、スライ
ドプレートとこのスライドプレートをブームの伸縮方向
と直交する方向に付勢する弾性体を備えるスライドプレ
ート装置を配置したことを特徴とするものである。（請
求項２）

【０００６】

【作用】以上の如く構成した本考案の伸縮ブーム装置
は、内ブームの自重ならびに吊荷から受ける力（すなわ
ち内ブームが下方向へ作用する力）を支持するスライド
プレートのほかに、常に弾性体でその反力を作用させる
スライドプート装置を配置してあるものだから、従来の
スライドプレートにかかる反力が変動しても、弾性体で
付勢したスライドプレート装置による反力が作用するも
のであるから、比較的に摩擦抵抗の変動を少なくし、伸
縮ブームを伸縮している時に伸縮ブームの振動を可及的
に阻止させることができる。特に、伸縮ブームを起仰さ
せている場合でも、ブームから従来配置していたスライ
ドプレートに受ける反力が減少しても、弾性体で付勢し
たスライドプレート装置による反力が作用し反力状態が
安定するものであるから、摩擦抵抗による変動を可及的
に阻止し段付の発生を防止できる。また、内ブームの自
重ならびに吊荷から受ける力（すなわち内ブームが下方
向へ作用する力）を支持するスライドプレートのほか
に、内ブームが上方向へ作用した時に内ブームが上方向
へ作用するのを規制するスライドプレートと弾性体を備
えたスライドプレート装置を外ブームと内ブーム間に配
置したものであるから、伸縮ブームを伸縮させている時
に内ブームが上下方向へ振動するのを可及的に阻止する
ことができ、言い換えればスライドプレートに発生する
摩擦抵抗の変動を少なくすることになり、伸縮ブームを
伸縮している時に伸縮ブームの段付を可及的に阻止させ
ることができる。

【０００７】

【実施例】以下本考案の伸縮ブーム装置について、図１
および図２に図示し以下に説明する。なお、図４および
図５に図示し従来の技術で説明した符号１〜１１は、以
下の説明においても同じものとして同符号を用いここで
の詳細な説明は略する。図１において、１２は、内ブー
ム基端外側の下部に配置したスライドプレート装置であ
って、内ブーム基端外側の下部に取り付けたブラケット
１３とスライドプレート１４および皿バネ１５で構成し
ている。スライドプレート１４は、スライドプレート１
４の下面とブラケット１３間に配置した複数枚の皿バネ
１５により、ブームの伸縮方向と直交する方向に付勢さ
れている。

【０００８】１６は、外ブーム先端内側の上部に配置し
たスライドプレート装置であって、外ブーム先端内側の
上部に取り付けたブラケット１７とスライドプレート１
８および皿バネ１９で構成している。スライドプレート
１９は、スライドプレート１９の下面とブラケット１７
間に配置した複数枚の皿バネ１９により、ブームの伸縮
方向と直交する方向に付勢されている。

【０００９】このように従来の伸縮ブーム装置に二つの
スライドプレート装置１２，１６を配置した本考案の伸
縮ブーム装置は、次のように作用するものである。すな
わち、内ブーム５の自重ならびに吊荷から受ける力（す
なわち内ブーム５が下方向へ作用する力）を支持するス
ライドプレート１０，１１のほかに、常に弾性体でその
反力を作用させるスライドプート装置１２，１６を配置
してあるものだから、従来のスライドプレート１０，１
１にかかる反力が変動しても、皿バネ１５，１９で付勢
したスライドプレート１４，１８による反力が作用する
ものであるから、比較的に摩擦抵抗の変動を少なくし、
伸縮ブーム３を伸縮している時に伸縮ブーム３の振動に
よる段付を可及的に阻止させることができる。特に、伸
縮ブーム３を起仰させ、ブームから従来配置していたス
ライドプレート１０，１１に受ける反力が減少している
場合でも、皿バネ１５，１９で付勢したスライドプレー
ト装置１２，１６による反力が作用し反力状態が安定す
るものであるから、摩擦抵抗による変動を可及的に阻止
し伸縮ブーム３の伸縮時の振動による段付の発生を防止
できる。また、内ブーム５の自重ならびに吊荷から受け
る力（すなわち内ブーム５が下方向へ作用する力）を支
持するスライドプレート１０，１１のほかに、内ブーム
５が上方向へ作用した時に内ブーム５が上方向へ作用す
るのを外ブーム４と内ブーム５間に配置したスライドプ
レート装置１２，１６で規制することができるものであ
るから、伸縮ブーム３を伸縮させている時に内ブーム５
が上下方向へ振動するのを可及的に阻止することがで
き、言い換えればスライドプレートに発生する摩擦抵抗
の変動を少なくすることになり、伸縮ブーム３を伸縮し
ている時に伸縮ブーム３の振動による段付を可及的に阻
止させることができる。

【００１０】なお上記実施例では、スライドプレート装
置１２をブラケット１３とスライドプレート１４および
皿バネ１５で構成したが、図２に図示する如くＬ形のベ
ルクランク２０、皿バネ２１、スライドプレート２２、
および調整用ボルト２３で構成したスライドプレート装
置２４を配置してもよい。この場合、皿バネ２１による
押しつけ力を伸縮ブーム３の後端から簡単に調整できる
という特長がある。

【００１１】次に請求項２に対応する実施例について図
３に基いて説明する。図３に図示する伸縮ブーム２５
は、上記実施例の伸縮ブーム３とは伸縮するブームが内
ブーム５に変わって外ブーム４を伸縮させるようにした
点が異なっている。したがって、スライドプレート１０
を内ブーム５先端外側の上部に、スライドプレート１１
を外ブーム４基端内側の下部に配置するとともに、スラ
イドプレート装置１２を内ブーム５先端外側の下部にス
ライドプレート装置１６を外ブーム基端内側の上部に配
置している。このように配置された伸縮ブーム２５の作
用については、上記伸縮ブーム３で説明したものと同様
に作用すること明らかであるのでここでは説明を略す
る。

【００１２】また上記実施例では、弾性体として皿バネ
を使用した例で説明したが、コイルバネ等の違ったバ
ネ、ゴム等の弾性体であってもよいこと勿論である。更
に上記実施例では、２段ブームの例について説明した
が、多数のブームを順次伸縮自在に嵌挿させた多段ブー
ムに実施できること勿論である。

【００１３】

【考案の効果】以上の如く構成した本考案の伸縮ブーム
装置は、伸縮ブームを伸縮させている時に内ブームがブ
ーム軸線方向に振動して段付のを可及的に阻止すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の伸縮ブーム装置を説明する説明図であ
る。

【図２】本考案の伸縮ブーム装置を説明する説明図であ
って、他の実施例を説明する説明図である。

【図３】本考案の伸縮ブーム装置を説明する説明図であ
って、請求項２に対応する説明図である。

【図４】従来の伸縮ブーム装置を説明する説明図であ
る。

【図５】クレーン車を説明する説明図である。

【符号の説明】

３ 伸縮ブーム装置 ４ 外ブーム ５ 内ブーム １０ スライドプレート １１ スライドプレート １２ スライドプレート装置 １４ スライドプレート １５ 皿バネ（弾性体） １６ スライドプレート装置 １８ スライドプレート １９ 皿バネ（弾性体） ２１ 皿バネ（弾性体） ２２ スライドプレート ２４ スライドプレート装置

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外ブームの内側に内ブームを伸縮自在に
   嵌挿し、両者間に適宜の伸縮駆動手段を配置した伸縮ブ
   ーム装置であって、内ブーム基端外側の上部と外ブーム
   先端内側の下部にスライドプレートを配置し、外ブーム
   の内側に内ブームを摺動自在に支持させるようにした伸
   縮ブーム装置において、 内ブーム基端外側の下部と外ブーム先端内側の上部に、
   スライドプレートとこのスライドプレートをブームの伸
   縮方向と直交する方向に付勢する弾性体を備えるスライ
   ドプレート装置を配置したことを特徴とする伸縮ブーム
   装置。
2. 【請求項２】 内ブームの外側に外ブームを伸縮自在に
   嵌挿し、両者間に適宜の伸縮駆動手段を配置した伸縮ブ
   ーム装置であって、内ブーム先端外側の上部と外ブーム
   基端内側の下部にスライドプレートを配置し、内ブーム
   の外側に外ブームを摺動自在に支持させるようにした伸
   縮ブーム装置において、 内ブーム先端外側の下部と外ブーム基端内側の上部に、
   スライドプレートとこのスライドプレートをブームの伸
   縮方向と直交する方向に付勢する弾性体を備えるスライ
   ドプレート装置を配置したことを特徴とする伸縮ブーム
   装置。