JP2569834Y2 - 刈取り機における方向センサの配置構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、コンバイン等の刈取り
機における方向センサの配置構造に関するものである。

【０００２】

【従来技術及び考案が解決しようとする課題】一般に、
この種コンバイン等の刈取り機のなかには、既刈り地側
端部および未刈り地側端部の穀稈導入経路に、内側方に
向けて突出する株元接触レバーの揺動角を検知する方向
センサをそれぞれ配置し、該方向センサの検知に基づい
て機体の走行方向を自動制御すべく構成されるものがあ
る。ところで、この様な刈取り機においては、穀稈を刈
り残すと大きな穀粒損失を生じるため、可及的に刈り残
しを防止する必要があり、そこで既刈り地側端部のデバ
イダを外側方に変位させて既刈り地側端部の穀稈導入経
路を幅広にすることが提案されている。しかるに従来で
は、前記既刈り地側の方向センサをデバイダ中心位置に
配置していたため、前述の如く既刈り地側端部のデバイ
ダを外側方に変位させ場合には、株元接触レバーの接触
部が穀稈導入経路から外れて正確な検知を行えなくなる
惧れがある。そこで、株元接触レバーを延長することが
考えられるが、この場合には、株元接触レバーの揺動角
が小さくなつて検知精度が低下する許りか、株元接触レ
バーの延長部分が後方の穀稈掻込み装置に干渉する等の
新たな欠点が生じるため、採用できないものである。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記の如き実
情に鑑みこれらの欠点を一掃することができる刈取り機
における方向センサの配置構造を提供することを目的と
して創案されたものであつて、機体前端部に並設される
デバイダ間に、穂先側を引起し体で引起しつつ穀稈を導
入する複数の穀稈導入経路を形成すると共に、これら穀
稈導入経路のうち、既刈り地側端部の穀稈導入経路を幅
広に形成してなる刈取り機において、前記既刈り地側端
部および未刈り地側端部の穀稈導入経路に、内側方に向
けて突出する株元接触レバーの揺動角に基づいて機体の
走行方向を制御するための方向センサをそれぞれ配置す
るにあたり、既刈り地側の方向センサを、未刈り地側の
方向センサよりも前側で、かつ既刈り地側端部のデバイ
ダ中心位置よりも内側の位置に配置したことを特徴とす
るものである。そして本考案は、この構成によつて、検
知精度の低下や穀稈掻込み装置との干渉を伴う不都合無
く、株元接触レバーを穀稈導入経路に位置させることが
できるようにしたものである。

【０００４】

【実施例】次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。図面において、１はコンバインの走行機体であ
つて、該走行機体１は、穀稈を刈取る前処理部２、刈取
つた穀稈を脱穀処理する脱穀部３、脱穀済みの排稈を排
出処理する後処理部４、クローラ型の走行部５等を備え
るが、これらの基本構成は何れも従来通りである。

【０００５】前記前処理部２には、穀稈を刈取り条数分
に分草すべく機体前端部に所定間隔を存して並設される
デバイダ６、該デバイダ６間の穀稈導入経路から導入さ
れる穀稈を引起こす引起し装置７、引起こされた穀稈の
株元を切断する刈刃８、該刈刃８の上方に位置して穀稈
を掻込む掻込み装置９、各掻込み装置９から掻込んだ穀
稈を前処理部２の左端部側において合流させる横搬送装
置１０、合流した穀稈を縦姿勢から横姿勢に変姿せしめ
ながら脱穀部３に搬送する穀稈搬送装置１１等が設けら
れるが、前記デバイダ６のうち、既刈り地側端の条列を
分草するデバイダ６、６の間隔は、刈り残しを少なくす
べく他のデバイダ間隔よりも幅広に設定されている。

【０００６】さらに、１２、１３は未刈り地側端部およ
び既刈り地側端部の穀稈導入経路に配置された左右一対
の方向センサであつて、該方向センサ１２、１３には、
導入穀稈の株元部に接触すべく内側方に向けて突出する
株元接触レバー１２ａ、１３ａが前後揺動自在に設けら
れ、該株元接触レバー１２ａ、１３ａの揺動角検知に基
づいて条列に対する機体位置を検知するようになつてい
る。

【０００７】前記未刈り地側の方向センサ１２は、未刈
り地側端部のデバイダ６後方で、かつデバイダ６の中心
線上に位置すべく、前処理フレーム１４に突設される引
起しステー１５に取り付けられるが、既刈り地側の方向
センサ１３は、未刈り地側の方向センサ１２よりも前側
で、かつ既刈り地側端部のデバイダ中心位置よりも内側
の位置に配置されるべく引起しステー１５に取り付けら
れている。即ち、前述の如く既刈り地側端部のデバイダ
６を外側方に変位させるにあたり、既刈り地側方向セン
サ１３から内側方に突出する株元接触レバー１３ａを、
殊更大幅に延長形成することなく穀稈導入経路に位置さ
せると共に、後方に配置される掻込み装置９から株元接
触レバー１３ａを可及的に離間せしめるようになつてい
る。

【０００８】叙述の如く構成された本考案の実施例にお
いて、可及的に刈り残しを減少させるべく既刈り地側端
部のデバイダ間隔を幅広に設定しているが、既刈り地側
端部の穀稈導入経路に配置される方向センサ１３は、未
刈り地側の方向センサ１２よりも前側で、かつ既刈り地
側端部のデバイダ中心位置よりも内側の位置に配置され
るため、既刈り地側方向センサ１３から内側方に突出す
る株元接触レバー１３ａを、殊更大幅に延長形成するこ
となく穀稈導入経路に位置させることができる。従つ
て、株元接触レバー１３ａを延長した場合の如く、株元
接触レバー１３ａの揺動角範囲が小さくなつて検知精度
の低下を招くことを回避でき、この結果、精度の高い検
知を行つて方向自動制御の制御精度を著しく向上させる
ことができる。

【０００９】しかも、後方に配置される掻込み装置９か
ら株元接触レバー１３ａを可及的に離間させることがで
きるため、株元接触レバー１３ａが掻込み装置９に干渉
することを確実に防止できる許りでなく、掻込み装置９
の掻込み作用を受ける以前の段階で穀稈に接触して精度
の高い検知を行うことができる。

【００１０】

【作用効果】以上要するに、本考案は叙述の如く構成さ
れたものであるから、複数の穀稈導入経路のうち、既刈
り地側端部の穀稈導入経路を幅広に形成したものである
が、既刈り地側端部の穀稈導入経路に設けられる方向セ
ンサは、未刈り地側の方向センサよりも前側で、かつ既
刈り地側端部のデバイダ中心位置よりも内側の位置に配
置されるため、方向センサから内側方に突出する株元接
触レバーの接触部を、殊更大幅に延長することなく穀稈
導入経路に位置させることができると共に、後方に配置
される掻込み装置から株元接触レバーを可及的に離間さ
せることができる。従つて、株元接触レバーを延長した
場合の様にレバー揺動角が小さくなることを回避し、し
かも掻込み装置の影響を受ける以前での検知を可能にし
て検知精度の著しい向上を計ることができる許りか、株
元接触レバーが穀稈掻込み装置に干渉する不都合も確実
に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンバインの斜視図である。

【図２】前処理部の正面図である。

【図３】同上内部側面図である。

【図４】同上内部平面図である。

【図５】左右方向センサの配置構造を示す同上要部平面
図である。

【図６】作用説明図である。

【符号の説明】

１ 走行機体 ２ 前処理部 ６ デバイダ １２ 未刈り地側方向センサ １２ａ 株元接触レバー １３ 既刈り地側方向センサ １３ａ 株元接触レバー

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 機体前端部に並設されるデバイダ間に、
   穂先側を引起し体で引起しつつ穀稈を導入する複数の穀
   稈導入経路を形成すると共に、これら穀稈導入経路のう
   ち、既刈り地側端部の穀稈導入経路を幅広に形成してな
   る刈取り機において、前記既刈り地側端部および未刈り
   地側端部の穀稈導入経路に、内側方に向けて突出する株
   元接触レバーの揺動角に基づいて機体の走行方向を制御
   するための方向センサをそれぞれ配置するにあたり、既
   刈り地側の方向センサを、未刈り地側の方向センサより
   も前側で、かつ既刈り地側端部のデバイダ中心位置より
   も内側の位置に配置したことを特徴とする刈取り機にお
   ける方向センサの配置構造。