JP2568124Y2 - タイヤ滑り止め具用補助具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、タイヤ滑り止め具用の
補助具、即ちすでにタイヤに巻回装着されているタイヤ
滑り止め具の上に補助的に更に重ねて取付けて使用する
補助具に関する。

【０００２】

【従来の技術】今日におけるタイヤ滑り止め具にあって
は、ゴム等の非金属材からなる網目ネット状のものや、
ラダー型のもの、あるいは金属材からなる亀甲状、ラダ
ー型など多種多様あるが、中でも網目ネット状に形成さ
れたゴム等の非金属製タイヤ滑り止め具は、金属製ある
いはラダー型等の他のタイヤ滑り止め具に比してグリッ
プ力が強く登坂能力に大変優れているものであり、殆ど
の雪路（凍結路含む）に対応できるものであった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記網目ネッ
ト状のタイヤ滑り止め具を装着していたとしても、例え
ば急勾配の坂で登れなくなったり、深雪等に入り込んで
嵌まってしまい抜け出れなくなったりする虞れがないわ
けではなく、通常のタイヤ滑り止め具だけでは対応でき
ない場合が生じた時が問題であった。

【０００４】本考案は、従来技術の有するこのような問
題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところ
は、各種のタイヤ滑り止め具を装着している時でも何等
かの事情により走行が不可能又は困難になった状況にな
った場合に、そのタイヤ滑り止め具の上から緊急的に容
易かつ迅速に取り付けでき、走行可能とすることができ
る補助具を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本考案がなした技術的手段は、ゴムあるいは合成樹脂
で所望形状の接地片を形成し、該接地片の端部に、前記
タイヤ滑り止め具の内側および外側に設けられている内
側締付け用ロープおよび外側締付け用ロープ又はゴムバ
ンドに係止せしめる係止爪部を設け、その内側締付け用
ロープに係止する係止爪部の爪先端側を内側に向くよう
に構成したことである。

【０００６】また、そのタイヤ滑り止め具が網目形状を
有するネット状のものである場合、所望形状に形成され
た接地片本体の下面に、該タイヤ滑り止め具の網目に嵌
合する嵌合部を一体的に設け、該嵌合部をそのタイヤ滑
り止め具の網目に嵌合せしめると共に、接地片の各端部
に設けられる夫々の係止爪部を滑り止め具の内側縁及び
外側縁に夫々係止して上記接地片を滑り止め具表面に突
出状に掛け渡すものとしてもよい。

【０００７】

【作用】上記技術的手段により、すでに巻回装着されて
いるタイヤ滑り止め具の表面に本考案の補助具を配し、
接地片の各端部に設けられた係止爪部を、そのタイヤ滑
り止め具の内側および外側に設けられている内側締付け
用ロープおよび外側締付け用ロープ又はゴムバンドに係
止すれば、タイヤ滑り止め具の表面に補助的にかつ容易
に掛け渡されて、結果的に上記補助具の接地片の高さ
（厚み）だけ溝が深くなり、雪路においてより大きな雪
柱せん断力（雪を踏み固めて抵抗を増やす力）が得られ
る。

【０００８】また、所望形状に形成された接地片本体の
下面にタイヤ滑り止め具の網目に嵌合する嵌合部を一体
的に設けた場合、該嵌合部がタイヤ滑り止め具の網目に
嵌合して該タイヤ滑り止め具と一体化する。

【０００９】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図に基づいて説明
する。

【００１０】図中Ａは本考案のタイヤ滑り止め具用補助
具を示し、該補助具Ａは、接地片１と該接地片１の各端
部に設けられる係止爪部３とからなり、すでにタイヤＣ
に巻回装着されている所望なタイヤ滑り止め具Ｂの上に
掛け渡し、その係止爪部３をタイヤ滑り止め具Ｂの内側
および外側に設けられている内側締付け用ロープＢ2お
よび外側締付け用ロープ又はゴムバンドＢ3 などに係止
して、該タイヤ滑り止め具Ｂの上に夫々個別的かつ突状
に取り付ける。

【００１１】補助具Ａは、例えば図示せるようにゴムあ
るいは合成樹脂等で平面矩形状（断面四角形状）に形成
される接地片１内に芯材２を内設し、そして上記複数の
接地片１を接続金具５を介して放射状に所望数接続して
形成したも若しくは一本条のものので、各接地片１の遊
端側１ａには係止爪部３を夫々設けている。

【００１２】上記芯材２は、例えば高張力性繊維等で帯
状に形成したものであって、単一のものあるいは複数重
合せしめたもののいずれであってもよく、その帯状の両
端部にリング部材４，４を捲着せしめてゴムあるいは合
成樹脂などで被覆し、接地片１内にこれらを内設してお
り、また、上記リング部材４，４の一方のリング部材４
は、他の接地片１のリング部材４が接続している接続金
具５に接続し、他方のリング部材４は接地片１の遊端側
１ａにて係止爪部３を連結している。

【００１３】上記のように構成された補助具Ａは、タイ
ヤＣに巻回されている例えば所望網目形状（ネット状）
のゴム製タイヤ滑り止め具Ｂの内側縁の内側締付け用ロ
ープＢ2 と、外側縁の外側締付け用ゴムバンドＢ3 ，Ｂ
4 及びＢ5 とに夫々の係止爪部３を係止して、各接地片
１をタイヤ滑り止め具Ｂ上に、トレッド面ｃの長手方向
に直交するように掛け渡して突状に配備され、本実施例
では相対向する箇所に４個装着している（装着数は適宜
状況に応じて増減する）。また、上記のように補助具Ａ
を装着する場合、初めにタイヤＣの内側に位置するタイ
ヤ滑り止め具Ｂの内側締付け用ロープＢ2 に一方側の係
止爪部３，３を係止し、そして各接地片１をタイヤ滑り
止め具Ｂ上に掛け渡して他方側の係止爪部３，３を外側
締付け用ロープ又はゴムバンドＢ3 等に係止するため、
内側締付け用ロープＢ2 に係止する係止爪部３，３を、
その爪先端側３ａ，３ａが内側に向くよう（タイヤＣに
対向するよう）に構成し装着容易性を向上せしめている
（図３参照）。

【００１４】従って、図３に示すように補助具Ａを取り
付けた箇所は補助具Ａの接地片１の高さ分（厚み）溝、
即ち接地片１の表面と滑り止め具本体Ｂ1 の表面あるい
はタイヤＣの表面との差による溝が深くなるため、雪路
においてより大きな雪柱せん断力（雪を踏み固めて抵抗
を増やす力）が得られることとなる。

【００１５】尚、補助具Ａは上記例に何等限定はされず
接地片１の形状（平面形状、断面形状等が種々の多角
形，円形等）、材質等、あるいは芯材２の形状材質等任
意であり、例えば図４に示すように長尺矩形状に形成さ
れた一本もの(a) や、表面形状が横向きに略Ｈ字状に形
成されたもの(b) 、あるいは表面形状が略Ｘ字状に形成
されたもの（図示省略）など、本考案の範囲内における
変更は自由である。また、図示例では上記各接地片１に
て形成される全体形状が、タイヤＣのトレッド面に相当
する大きさに形成されている（図３参照）が、タイヤＣ
の側面（ショルダー部又はサイドウオール部）に掛かる
大きさであってもよく（この場合タイヤ側面に掛かる接
地片はあらかじめ側面に添うようにＲを付けておくとよ
い）、また上記せる図４(a)(b)などの場合にあっても同
様である。

【００１６】また、補助具Ａを取り付けるタイヤ滑り止
め具Ｂも上記ゴム製ネット状のものに限らず、例えば非
金属剤からなるラダー型のもの、金属材からなる亀甲
型，梯子型等の従来周知の滑り止め具に対応可能であ
り、外側縁に外側締付け用ロープが設けられている場合
には、外側の係止爪部３，３を外側締付け用ゴムバンド
Ｂ3 などに代えて、その外側締付け用ロープに係止する
ことも可能である。

【００１７】また、本実施例においては、補助具Ａの係
止爪部３，３を、内側締付け用ロープＢ2 や外側締付け
用ゴムバンドＢ3 ，Ｂ4 及びＢ5 に夫々係止したものを
示しているが、これは一例を示したにすぎず、係止部の
係止場所は何等これに限定されず、例えば外側締付け用
ゴムバンドＢ3 やＢ4 あるいはＢ5 のいずれかを選択し
て係止してもよく、またタイヤ滑り止め具Ｂの内外両側
面に固定して内側締付け用ロープＢ2 や外側締付け用ゴ
ムバンドＢ3 等を係止する各フックを挟むように、又は
引っ掛けるように係止して左右への動きを抑制せしめる
ものとしてもよく任意である。

【００１８】次に請求項２記載の補助具Ａ1 について説
明すると、この補助具Ａ1 は所望網目形状（ネット状）
のタイヤ滑り止め具Ｂにおいて使用するもので、接地片
本体１ａの下面に嵌合部６を一体的に設けて接地片１を
構成したものであり、該嵌合部６をタイヤ滑り止め具Ｂ
の網目８に嵌合せしめると共に、係止爪部３，３を夫々
内側締付け用ロープＢ2 、や外側締付け用ゴムバンドＢ
3 ，Ｂ4 及びＢ5 に係止するものである。

【００１９】この補助具Ａ1 は、例えば平面菱形状に形
成された接地片本体１ａの下面に該本体１ａと同一形状
の嵌合部６を一体的に形成し、該嵌合部６はタイヤ滑り
止め具Ｂの網目８の平面形状と同一かつ同一厚み（高
さ）であり、そして上記接地片本体１ａは請求項１と同
様ゴムあるいは合成樹脂等によって芯材２を被覆して内
設形成すると共に、該芯材２の両端にはリング部材４を
介して夫々係止爪部３，３を連結している。また、図中
７はスパイクピンを示す。

【００２０】また、上記の実施例はタイヤ滑り止め具Ｂ
の一つの網目８に嵌合する嵌合部６を一つだけ設けたも
のであるが、図７(a) に示すように複数の網目８に嵌合
する複数の嵌合部６を設けたものであってもよく、更に
嵌合部６がタイヤ滑り止め具Ｂの網目８と嵌合する大き
さに形成されているものであれば、接地片本体１ａの形
状、大きさ等は任意であり、例えば図７(b) にて示すよ
うにタイヤＣのトレッド面ｃの横方向（短手方向）に掛
け渡す程度の長さとしたり、平面Ｈ字状に形成したもの
(c) であってもよく何等限定されない。

【００２１】従って、上記補助具Ａ1 はタイヤ滑り止め
具Ｂの上に掛け渡すと、両端の係止爪部３，３による係
止作用と共に、嵌合部６の網目８への嵌合作用によって
接地片１ａがずれることなく保持される。

【００２２】

【考案の効果】本考案は、タイヤに巻回装着されている
タイヤ滑り止め具の上に重ねて取付ける補助具におい
て、ゴムあるいは合成樹脂で所望形状の接地片を形成
し、該接地片の端部に、前記タイヤ滑り止め具の内側お
よび外側に設けられている内側締付け用ロープおよび外
側締付け用ロープ又はゴムバンドに係止せしめる係止爪
部を設け、その内側締付け用ロープに係止する係止爪部
の爪先端側を内側に向くように構成したことにより、夫
々の係止爪部を、すでにタイヤに巻回装着しているタイ
ヤ滑り止め具の内側締付け用ロープ及び外側締付け用ロ
ープ又はゴムバンドの所望箇所に夫々係止して、上記接
地片をタイヤ滑り止め具の表面に突出状に掛け渡せば、
結果的に上記補助具の接地片の高さ分（厚み）溝（接地
片表面と滑り止め具表面あるいはタイヤ表面との差によ
る溝）が深くなり、雪路において、より大きな雪柱せん
断力（雪を踏み固めて抵抗を増やす力）が得られ、グリ
ップ力が向上することとなるため、万が一タイヤ滑り止
め具の装着だけでは坂を登れない場合や走行不能となっ
た場合等に上記のように緊急的かつ容易に取り付けるこ
とができ、緊急時に十分対応できるものである。

【００２３】また、単にタイヤ滑り止め具をもう一つ重
ねて装着すればよいのではと考えられるが、この場合例
えばジャッキアップ不可能な場所（坂道、深雪）で走行
不能となったとき等取り付けできないが、本考案補助具
はタイヤ滑り止め具の表面に部分的に取り付けるため、
車を動かさずに容易かつ迅速に取り付けることができ大
変使用勝手に優れ目的達成が容易である。

【００２４】更に、請求項２において所望形状に形成さ
れた接地片本体の下面に滑り止め具の網目に嵌合する嵌
合部を一体的に設けるものとしたため、滑り止め具が網
目形状を有するネット状のものである場合、該嵌合部を
滑り止め具の網目に嵌合せしめてタイヤ滑り止め具との
一体化が図れ接地片のずれを防止するため、接地片の各
端部に設けられる夫々の係止爪部を所望箇所に夫々係止
して上記接地片を滑り止め具表面に突出状に掛け渡して
接地片の高さ分（厚み）溝を深くすることと相俟ってグ
リップ力の向上がより一層高まり確実な滑り止め効果が
期待できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案補助具の装着状態を示す使用状態図。

【図２】補助具の一部切り欠いて示す全体斜視図。

【図３】装着状態の縦断正面図。

【図４】他の実施例を示す全体斜視図。

【図５】請求項２記載の補助具を示す全体斜視図。

【図６】使用状態を拡大して部分的に示す縦断側面図。

【図７】他の実施例を示す全体斜視図。

【符号の説明】

Ａ，Ａ1 ：補助具 １：接地片 １ａ：接地片本体 ３：係止爪部 ３ａ：係止爪部の爪先端側 ６：嵌合部 ８：網目 Ｂ：タイヤ滑り止め具 Ｂ2 ：内側締付け用ロープ Ｂ3 〜5 ：外側締付け用ゴムバンド Ｃ：タイヤ

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】タイヤに巻回装着されているタイヤ滑り止
   め具の上に重ねて取付ける補助具において、ゴムあるい
   は合成樹脂で所望形状の接地片を形成し、該接地片の端
   部に、前記タイヤ滑り止め具の内側および外側に設けら
   れている内側締付け用ロープおよび外側締付け用ロープ
   又はゴムバンドに係止せしめる係止爪部を設け、その内
   側締付け用ロープに係止する係止爪部の爪先端側を内側
   に向くように構成したことを特徴とするタイヤ滑り止め
   具用補助具。
2. 【請求項２】所望形状に形成された接地片本体の下面
   に、タイヤ滑り止め具の網目に嵌合する嵌合部を一体的
   に設けたことを特徴とする請求項１記載のタイヤ滑り止
   め具用補助具。