JP2567161B2 - フェノール系樹脂およびその製造方法 - Google Patents

フェノール系樹脂およびその製造方法

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JP2567161B2 JP3201648A JP20164891A JP2567161B2 JP 2567161 B2 JP2567161 B2 JP 2567161B2 JP 3201648 A JP3201648 A JP 3201648A JP 20164891 A JP20164891 A JP 20164891A JP 2567161 B2 JP2567161 B2 JP 2567161B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摩擦材原料、成形材原
料、塗料原料、エポキシ樹脂の原料またはエポキシ化合
物に対する硬化剤等として多方面に利用される新しいフ
ェノール系樹脂およびその製造方法に関する。さらに詳
しくは、本発明は、硬化剤と反応させると優れた耐熱
性、電気特性、耐磨耗性、耐薬品性等を有する硬化物と
なり、かつ、良好な硬化反応性を有する新しいフェノー
ル系樹脂およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的にフェノール系樹脂は優れた耐熱
性、電気特性、耐磨耗性、耐薬品性を有する樹脂であ
り、産業上重要な役割を果たしている。しかしながら、
最近は関係する分野の技術の進歩に伴い、上記諸特性が
さらに改善されたフェノール系樹脂が求められ、構造の
異なる種々の樹脂が公知となった。
【0003】例えば、特公昭47−15111号公報に
はα,α’−ジメトキシ−p−キシレンなどのアラルキ
ル化合物とフェノール類との縮合反応によって得られ
る、いわゆるフリーデルクラフト樹脂と称される低分子
量ポリマーが開示されている。また、特開昭57−74
319号公報には、フリーデルクラフト樹脂であって、
融点が高く、常温流れの傾向を減少させたフェノールア
ラルキル樹脂の製造方法が提案されている。これは、ア
ラルキル化合物とフェノール類との縮合反応によってフ
リーデルクラフト樹脂を得るに際し、α,α’−ジメト
キシ−p−キシレンなどの2官能性モノマーを50モル
%以上含有するアラルキルエーテル化合物中のアルデヒ
ド含有量とアセタール含有量を調節する方法である。
【0004】しかし、これらのフリーデルクラフト型フ
ェノール系樹脂を、硬化剤、例えばヘキサメチレンテト
ラミン(以下ヘキサミンと略す)と反応させて得られる
硬化物は、フェノール性ノボラック樹脂から得られる硬
化物に比べより優れた耐熱性を有するがヘキサミンとの
硬化反応性が低いため、成形加工時の生産性が低いこと
が大きな欠点である。
【0005】そこで、この欠点を改良するために特公昭
51−45315号公報には、サリチル酸などを硬化促
進剤として添加する方法が開示されている。しかし、こ
の方法では、成形品の表面にブリスター(水ぶくれ)と
呼ばれるふくれが発生することがあるため、一定の形状
の成形品を得ることが難しい欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の問題点を解決することであり、硬化物と反応させると
優れた耐熱性、電気特性、耐磨耗性、耐薬品性等の物性
を有する硬化物となり、かつ、良好な硬化反応性をも兼
ね備えたフェノール系樹脂およびその製造方法を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定の3
官能性芳香族化合物とフェノール性化合物とを反応さ
せ、3官能性芳香核残基でフェノール性化合物を架橋す
ることによりフェノール系樹脂を得ることができ、ここ
で得られた樹脂は、硬化剤と反応して優れた耐熱性、電
気特性、耐磨耗性、耐薬品性等の物性を有する硬化物と
なり、しかも良好な硬化反応性を有することを見出し本
発明に到った。
【0008】すなわち、本発明は、一般式(1)〔化
4〕
【0009】
【化4】 (式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水酸基、
ハロゲン原子または炭素数が1〜3の低級アルコキシ基
であり、特にR2とR3が共同して1個の酸素原子であっ
てもよい。X1とX2はそれぞれ独立して水素原子、ハロ
ゲン原子、アルキル基を示す)で表される3官能性芳香
族化合物1モルに対してフェノール性化合物を2〜30
モルの比率で反応させることを特徴とする硬化反応性の
よいフェノール系樹脂の製造方法およびその方法により
得られるフェノール系樹脂である。この反応は、酸触媒
の存在下で行うことが便利であり、フェノール性化合物
としてはフェノールまたはクレゾールが便利である。
【0010】本発明の方法により得られる樹脂は、一般
式(2)〔化5〕
【0011】
【化5】 で代表される硬化反応性のよいフェノール系樹脂であ
る。この樹脂は、数平均分子量が350〜2000であ
ることが本発明の目的から好ましい。
【0012】本発明のフェノール系樹脂の最大の特徴
は、ヘキサミン等の硬化剤と反応させると優れた耐熱
性、電気特性、耐磨耗性、耐薬品性等の物性を有する硬
化物となり、しかも良好な硬化反応性を有することであ
る。
【0013】本発明のフェノール系樹脂は、公知のフリ
ーデルクラフト樹脂と同様に、ノボラック型フェノール
樹脂等の通常のフェノール系樹脂に比べ耐熱性が著しく
優れている。例えば、本発明のフェノール系樹脂をヘキ
サミンを用いて硬化させた硬化物は、400℃以上でも
安定であり、500℃における重量減少率が低く熱劣化
を受けにくいのに対し、通常のノボラック型フェノール
樹脂のヘキサミン硬化物は300℃付近から急激な熱分
解を起こす。
【0014】また、無機フィラーを添加して得られた成
形体の250℃における曲げ強度の経時変化の程度は、
本発明のフェノール系樹脂が200時間経過時点で80
%以上の曲げ強度保持率を有するのに対し、通常のノボ
ラック型フェノール樹脂の場合は、200時間経過時点
でほぼゼロとなる。また、寸法変化率および重量変化率
の経時変化も、通常のノボラック型フェノール樹脂に比
べ非常に低い。
【0015】本発明のフェノール系樹脂の硬化剤との硬
化反応性を、160℃におけるキュラストメーターによ
る評価値を用いて、公知のフリーデルクラフト樹脂と比
較すると、本発明のフェノール系樹脂の方が数倍速い。
これは分子構造の差によるものである。すなわち、本発
明のフェノール系樹脂は、3官能性芳香族残基でフェノ
ール性化合物を架橋した構造を有するのに対し、公知の
フリーデルクラフト樹脂は2官能性芳香族残基で架橋し
た構造を有することに起因すると思われる。
【0016】ここで、公知のフリーデルクラフト樹脂、
特に特開昭58−74319号公報に記載のものと本発
明の樹脂との構成を比較すると、両者は多官能性芳香核
(ベンゼン核)化合物を過剰のフェノール性化合物と縮
合反応させている。しかし、前者(公知物)は少なくと
も50モル%以上のアラルキレンジエーテルを必要と
し、3官能性乃至はそれ以上の多官能性芳香族化合物は
追加的に含み得るエーテル組成物とフェノール性化合物
を縮合反応させるのに対し、本願発明では、フェノール
性化合物と反応させる多官能性芳香族成分は特定の3官
能性成分であることとし、この特定の3官能性成分に添
加して用い得る2官能性成分については、その量をモル
比で3対2以下、すなわち、3官能性成分が60モル%
以上であり、従って、2官能性成分はたかだか40モル
%を超えることができない、と限定されている点に相違
がある。
【0017】本発明のこの条件を外れると後にも述べる
ように、硬化反応性が許容の限度を超えて低下し、本発
明の目的が達成されない。
【0018】このように、本発明のフェノール系樹脂
は、良好な硬化反応性を有するため、エポキシ化合物の
硬化剤として用いることができ、得られる硬化物は良好
な耐熱性等の物性を有する。例えば、オルソクレゾール
ノボラックのエポキシ化物(EOCN)を、本発明のフ
ェノール系樹脂を用いて硬化させた硬化物は、フェノー
ルノボラック樹脂を用いて硬化させた硬化物に比べ、ガ
ラス転移温度(Tg)が高く、しかも弾性率および吸水
率が低い。
【0019】さらに、本発明のフェノール系樹脂を原料
としたエポキシ化物は、種々の硬化剤と組み合わせるこ
とによってガラス転移温度(Tg)が高く、しかも低弾
性率、低吸水率を有する硬化物を与える。
【0020】本発明のフェノール系樹脂の製造方法を詳
しく説明する。撹拌機、分縮器、全縮器、温度制御装置
等を備えた反応容器に、フェノール、クレゾール等のフ
ェノール性化合物およびα,α,α’−トリクロルキシ
レン、α,α,α’−トリメトキシキシレン等の3官能
性芳香族化合物とを所定のモル比で装入する。次いで、
必要ならば触媒として塩酸、硫酸ジエチル等を所定量装
入し、撹拌しながら所定温度において常圧または減圧条
件下で反応させ、3官能性芳香族化合物でフェノール性
化合物を架橋させ、フェノール系樹脂または該樹脂を主
成分とする樹脂組成物とする。
【0021】本発明に用いられる3官能性芳香族化合
物、すなわち、前記一般式(1)で表される化合物とし
ては、α,α,α’−トリクロルキシレン、α,α,
α’−トリブロムキシレン等のα,α,α’−トリハロ
キシレン、α,α,α’−トリメトキシキシレン、α,
α,α’−トリエトキシキシレン等のα,α,α’−ト
リアルコキシキシレンの他、ヒドロキシメチルベンズア
ルデヒド、アルコキシメチルベンズアルデヒド、ハロメ
チルベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0022】さらに、上記の化合物の芳香核にフッ素、
塩素、臭素または沃素等のハロゲンまたはメチル基、エ
チル基等のアルキル基が結合している化合物でも差し支
えない。α,α,α’−トリクロルキシレンとしては、
キシレンについてはオルト、メタおよびパラ体のいずれ
でもよい。α,α,α’−トリアルコキシキシレンの例
としても、メトキシ、エトキシ、1−プロポキシ、2−
プロポキシのそれぞれについてのキシレンはオルト、メ
タおよびパラの各異性体の全てが例示される。また、ヒ
ドロキシメチルベンズアルデヒドとは、o−ヒドロキシ
メチルベンズアルデヒド、m−ヒドロキシメチルベンズ
アルデヒドおよびp−ヒドロキシメチルベンズアルデヒ
ドである。
【0023】本発明においては、上記3官能性芳香族化
合物、すなわち、前記一般式(1)で表される化合物
は、必ずしも純粋のものでなくとも該化合物を60モル
%以上含有しているものであれば用いることができる。
好ましい含有量は70モル%以上であり、さらに好まし
くは80モル%以上である。この含有量が60モル%未
満の場合は、得られたフェノール系樹脂を硬化させて
も、得られる硬化物の耐熱性、電気特性、耐磨耗性、耐
薬品性等の諸物性は含有量が60モル%以上の場合と余
り変わらないが、硬化剤との硬化反応性が低下するので
本発明の目的を達成できない。
【0024】3官能性芳香族化合物中に40モル%未満
なら含有されてもよい化合物としては、上記の3官能性
芳香族化合物、すなわち、前記一般式(1)で表される
化合物を製造する際に副生する化合物であり、さらに、
本発明の目的に反しない限り、種々の目的で添加する化
合物を含めることができる。
【0025】具体的に説明すれば、3官能性芳香族化合
物としてトリクロルキシレンを用いる場合は、o−キシ
レン、m−キシレン、p−キシレンの単独、あるいは、
それらの2種以上の混合物を塩素化することによって
α,α,α’−トリクロルキシレンが製造される。例え
ば、光の存在下および/または過酸化物系ラジカル開始
剤、または、アゾ系ラジカル開始剤の存在下に、キシレ
ンに分子状の塩素を反応させることによって製造でき
る。
【0026】キシレンの塩素化反応は逐次反応であり、
塩素とキシレンのモル比によって生成物の組成が制御で
きることは一般的によく知られている。塩素とキシレン
のモル比が約3の場合にα,α,α’−トリクロルキシ
レンが反応マス中に最も多量に含まれるが、α,α,
α’−トリクロルキシレンの収率を上げるためには、塩
素とキシレンのモル比を3以下に抑え、低沸成分をリサ
イクルする方法がよく行われる。
【0027】上記の塩素化反応マスの他、α,α’−ジ
クロルキシレンの製造の際、蒸留塔の缶出液中に多量に
残存するα,α,α’−トリクロルキシレンでも精製す
ることにより、本発明の原料として使用することができ
る。
【0028】上記の塩素化反応マス、または、α,α’
−ジクロルキシレンの蒸留塔の缶出液からα,α,α’
−トリクロルキシレンを取り出す方法は、蒸留操作によ
る方法が最も適している。晶析法の場合はα,α,α’
−トリクロルキシレンとα,α’−ジクロルキシレンが
共晶化合物を形成するため好ましくない。
【0029】従って、本発明においては、純粋のα,
α,α’−トリクロルキシレンを用いる他、α,α,
α’−トリクロルキシレンを60モル%以上含有する芳
香族塩素化混合物を用いることができる。この芳香族塩
素化混合物に40モル%未満であれば含有されても良い
ものとしては、α,α,α’−トリクロルキシレンを製
造する際に副生する化合物または他の目的で添加される
化合物が挙げられる。
【0030】α,α,α’−トリクロルキシレンを製造
する際に副生する化合物としては、例えば、α−モノハ
ロキシレン、α,α−ジハロキシレン、α,α’−ジハ
ロキシレン、α,α,α’,α’−テトラハロキシレン
等の芳香核に、メチル基、クロルメチル基、ジクロルメ
チル基、アルデヒド基から選ばれる2個の官能基が結合
している化合物が挙げられる。また、これらの化合物の
芳香核に塩素が1〜4個結合している化合物も副生する
化合物である。
【0031】本発明の目的に反しない限度で用いられる
添加物としては、例えば、軟化点調整等を目的として、
ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド等は、α,
α,α’−トリクロルキシレンの濃度が60モル%を下
回らない様にすれば、添加しても差支えない。また、
α,α,α’−トリクロルキシレンの濃度が60モル%
を下回らなければ、上述したα,α,α’−トリクロル
キシレンを製造する際に副生する化合物を適宜添加して
も差支えない。
【0032】本発明において特定の多官能性芳香族化合
物として用いられるα,α,α’−トリアルコキシキシ
レンは、例えば、上記のキシレンの塩素化反応によって
得られるα,α,α’−トリクロルキシレンとメタノー
ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール
等の低級アルコールとの反応で得ることができる。
【0033】本発明においては純粋のα,α,α’−ト
リアルコキシキシレンは勿論のこと、α,α,α’−ト
リアルコキシキシレンを60モル%以上含有するアラル
キルエーテル混合物を用いることができる。このアラル
キルエーテル混合物とは、α,α,α’−トリアルコキ
シキシレンを60モル%以上含有し、それを製造する際
に副生する化合物および/または種々の目的で添加され
る化合物を含有するものである。
【0034】α,α,α’−トリアルコキシキシレンを
製造する際に副生する化合物としては、例えば、α,
α’−ジアルコキシキシレン、メチルベンズアルデヒ
ド、アルコキシメチルベンズアルデヒド、テレフタルア
ルデヒド等の芳香核にメチル基、アルコキシメチル基、
アルデヒド基またはアセタール基の内の2個の官能基が
結合した化合物が挙げられる。また、この化合物の芳香
核に塩素が1〜4個結合している化合物もα,α,α’
−トリアルコキシキシレンを製造する際に副生する化合
物である。
【0035】さらに、α,α,α’−トリアルコキシキ
シレンの場合も、この濃度が60モル%を下回らないよ
うにすれば、軟化点調整等を目的としてベンズアルデヒ
ド、テレフタルアルデヒド等も添加しても差支えない。
また、α,α,α’−トリアルコキシキシレンの濃度が
60モル%を下回らないようにすれば上述したα,α,
α’−トリアルコキシキシレンを製造する際に副生する
化合物も適宜添加しても差支えない。
【0036】本発明に用いられるヒドロキシメチルベン
ズアルデヒドとは、o−ヒドロキシメチルベンズアルデ
ヒド、m−ヒドロキシメチルベンズアルデヒドまたはp
−ヒドロキシメチルベンズアルデヒドである。このヒド
ロキシメチルベンズアルデヒドは、キシレンのハロゲン
化反応によって得られるα,α,α’−トリハロキシレ
ンを加水分解する方法、または、フタルアルデヒドの水
素添加による方法等により得られる化合物である。
【0037】本発明においては、上記の純粋のヒドロキ
シメチルベンズアルデヒドを用いる他、ヒドロキシメチ
ルベンズアルデヒドを主成分とし、その製造時に副生す
る化合物および/または種々の目的で添加される化合物
を含有する芳香族混合物を用いることができる。該芳香
族混合物にヒドロキシメチルベンズアルデヒドが60モ
ル%以上含有されれば用いることができる。ヒドロキシ
メチルベンズアルデヒドの含有量が60モル%未満の場
合は、本発明のフェノール系樹脂の硬化物の耐熱性、電
気特性、耐磨耗性、耐薬品性等の諸物性はさほど変わら
ないが、硬化剤との硬化反応性が低下する。
【0038】ヒドロキシメチルベンズアルデヒドを製造
する際に副生する化合物には、例えば、メチルベンズア
ルデヒド、キシリレングリコール、テレフタルアルデヒ
ド等の芳香核にメチル基、ヒドロキシメチル基、ジヒド
ロキシメチル基およびアルデヒド基の内の2個の官能基
が結合している化合物が挙げられる。また、これらの化
合物の芳香核にハロゲン原子が1〜4個結合している化
合物もこの際に副生する化合物である。この場合も軟化
点調整等を目的として、ベンズアルデヒド等を適宜添加
しても差支えなく、また、上述の下限を守る限り、この
ものを製造する際に副生する化合物を適宜添加しても差
支えない。
【0039】本発明に用いられるフェノール性化合物の
例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾ
ール、p−クレゾール、2,6−キシレノール、4−メ
チルカテコール、カテコール、レゾルシン、2,2−ビ
ス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(p−ヒ
ドロキシフェニル)メタン、p−エチルフェノール、p
−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノー
ル、o−フェニルフェノール、m−フェニルフェノー
ル、p−フェニルフェノール、p−アミノフェノール、
ピロガロール、フロログルシノール、α−ナフトール
、β−ナフトール、フェナントロール、オキシアント
ラセン等が挙げられる。
【0040】前記の多官能性芳香族化合物、すなわち、
前記一般式(1)で表される化合物(以下、主原料とい
う)とフェノール性化合物とを架橋反応させる際のモル
比は、主原料中の芳香核のモル数に対し、フェノール性
化合物は2〜30倍モルであることが必要であり、好ま
しくは3〜25倍モルである。モル比が2未満の場合
は、架橋反応が進み過ぎ数平均分子量が2000を超え
る高分子量ポリマーとなり易く、ゲル化することがあ
る。また、モル比が30を超える場合は、耐熱性が低下
して本発明の目的が達成できない。
【0041】上記の架橋反応は、酸性触媒の存在下で行
うことが好ましい。しかし、α,α,α’−トリハロキ
シレン、ハロメチルベンズアルデヒド等を主原料として
用いる場合には、無触媒でも架橋反応が進むことがあ
る。
【0042】酸性触媒の例としては、塩酸、硫酸、リン
酸、ギ酸、蓚酸、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化第
二錫、塩化第二鉄、三フッ化ホウ素、塩化第二銅、硫酸
第二銅、硫酸第二水銀、硫酸第一水銀、塩化第二水銀、
塩化第一水銀、硫酸銀、硫酸水素ナトリウム、メタンス
ルホン酸、p−トルエンスルホン酸、および炭素原子数
が1〜6個のアルキル基を有するジアルキル硫酸等が挙
げられる。
【0043】ジアルキル硫酸の例としては、ジメチル硫
酸、ジエチル硫酸、ジイソプロピル硫酸などを挙げるこ
とができる。これらの酸性触媒は単独で用いても、2種
以上の混合物として用いてもよい。
【0044】酸性触媒の使用量には特に制限はないが、
主原料とフェノール性化合物との合計重量に対し、好ま
しくは0.0001〜10重量%、さらに好ましくは
0.01〜5重量%である。
【0045】架橋反応の温度は主原料およびフェノール
性化合物の種類、触媒の使用の有無、触媒を使用する場
合は使用する触媒の種類および量によって大きく影響を
受けるが、通常50〜250℃であり、さらに好ましく
は、70〜200℃である。50℃未満の場合は架橋反
応が完結するまでの時間が長くなり、生産性が低くな
る。また、250℃を超える場合は、架橋反応の速度が
高すぎて、反応のコントロールが難しくなり好ましくな
い。
【0046】反応時間は、反応温度の他、上記の諸要因
により大きく変化するが、架橋反応を完結させる為には
一般に数分〜100時間である。
【0047】反応の進行に伴い生成するハロゲン化水
素、低級アルコ─ル、水等は系外に排出する事が極めて
望ましい。通常は常圧または減圧条件下で反応を行い、
気相部のそれらの生成物をベントラインより排出する。
また、反応開始前に反応器内の空気を特に除去しておく
必要はないが、反応温度が高い場合は、樹脂が酸化劣化
されることがあるので、あらかじめ不活性ガスで置換し
ておくことが好ましい。
【0048】反応に伴い生成するハロゲン化水素、低級
アルコール、水等の除去を促進するため、例えば、不活
性ガスを連続的に反応機中に通じることもできる。
【0049】反応終了後、必要ならば過剰のフェノール
性化合物を減圧蒸留等により除去し、本発明のフェノー
ル系樹脂を得る。
【0050】上記の方法で得られる本発明のフェノール
系樹脂は、通常、冷却すると固化するので、これを粉砕
し、ヘキサミンなどの硬化剤およびその他の添加剤を適
宜添加、混合し、該混合物を硬化物とする。
【0051】硬化剤として添加するヘキサミンの量は、
本発明のフェノール系樹脂100重量部に対し、5〜2
0重量部である。硬化剤としては、ヘキサミンが最も望
ましいが、キノン、クロルアニリン、無水ホルムアルデ
ヒドおよびエチレンジアミンホルムアルデヒドの如き公
知のフェノール樹脂に用いられる硬化剤も使用できる。
【0052】硬化剤の他に、種々の充填剤(フィラ
ー)、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を添加して硬
化物としても良い。
【0053】本発明のフェノール系樹脂、および、該樹
脂を主成分とするフェノール系樹脂は、硬化反応性が優
れているため、成形材原料、ブレーキ材原料として非常
に有用である。また、該樹脂をエポキシ化し、硬化剤と
反応させることによって良好な硬化物を得ることができ
る他、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることもでき
る。
【0054】
【実施例】以下、製造例、実施例、比較例を示して本発
明をさらに詳細に説明する。
【0055】製造例1 純度90重量%のα,α,α’−トリクロル−p−キシ
レンの製造 ジャケット、還流冷却器、撹拌機、塩素ガス吹き込み口
を備えた容積1リットルのガラス製の、内部照射型10
0W水銀ランプ付光反応器に、p−キシレンを200
g、溶剤として四塩化炭素を300g仕込んだ。次い
で、撹拌しながら、10g/分の速度で塩素を400g
吹き込んだ。反応温度はジャケットに冷水を送り70℃
に調節した。
【0056】反応マスの各種塩素化物の分析をガスクロ
マトグラフィーを用いて行った。その結果、四塩化炭素
を除いた分析値でα,α,α’−トリクロル−p−キシ
レン48重量%、α,α’−ジクロル−p−キシレン2
0重量%、α,α,α’,α’−テトラクロル−p−キ
シレン23重量%、その他9重量%であった。また反応
器から排出されるガス中には、塩素はほとんど認められ
なかった。
【0057】上記の反応液を300g取り出し、10段
のオルダショー型蒸留器(ガラス製、棚段式)を用いて
バッチ式蒸留を行った。還流比を3とし、塔頂圧を10
mmHgに設定し、塔頂温度135℃までの留分を留分
1、155℃までの留分を留分2として分取し、ガスク
ロマトグラフィーを用いて組成分析を行った。
【0058】その結果、留分1は73gで、その組成は
α,α’−ジクロル−p−キシレン72重量%、α,
α,α’−トリクロル−p−キシレン14重量%、その
他14重量%であった。また留分2は138gで、その
組成はα,α’−ジクロル−p−キシレン5重量%、
α,α,α’−トリクロル−p−キシレン90重量%、
α,α,α’,α’−テトラクロル−p−キシレン3重
量%、その他2重量%であった。留分1はα,α’−ジ
クロル−p−キシレンが多量に含まれている為、再度反
応に供給できる。留分2は90重量%のα,α,α’−
トリクロル−p−キシレンを含有する塩素化混合物であ
る。
【0059】製造例2 純度89重量%のα,α,α’−トリクロル−p−キシ
レンの製造 p−キシレンを、紫外線の存在下塩素化反応した反応混
合物から、α,α’−ジクロル−p−キシレンを蒸留し
て分離した後の缶出液(α,α,α’−トリクロル−p
−キシレンを40重量%含有)を300g取り出し、1
0段のオルダショー型蒸留器(ガラス製、棚段式)を用
いて、バッチ式蒸留を行った。その結果、α,α,α’
−トリクロル−p−キシレンを89重量%含有する塩素
化混合物が得られた。
【0060】製造例3 高純度α,α,α’−トリクロル−p−キシレンの製造 製造例1と同様にして純度90重量%のα,α,α’−
トリクロル−p−キシレンを得て、それを20段のオル
ダーショー型蒸留器 (ガラス製、棚段式)を用いて還
流比10で精製した。精留を3回繰り返したところ、純
度99.9重量%以上のα,α,α’−トリクロル−p
−キシレンが得られた。
【0061】製造例4 純度87.5重量%のα,α,α’−トリメトキシ−p
−キシレンの製造 撹拌器、還流冷却器、滴下漏斗を備えた500mlのガ
ラス製反応器に、メタノール320.4g、97%カセ
イソーダ13.6gを仕込んだ後、製造例1と同様にし
て得た純度90重量%のα,α,α’−トリクロル−p
−キシレンを204.95g滴下し反応させた。反応温
度は反応器をオイルバスに浸し、メタノールを還流させ
る事により調節した。滴下終了後、さらに、5時間この
状態を続けて反応を完結させた。反応液をガスクロマト
グラフィーを用いて分析した結果、α,α,α’−トリ
クロル−p−キシレンは検出されず、87.5重量%の
純度のα,α,α’−トリメトキシ−p−キシレンが得
られた。
【0062】また,不純物としてα,α’ジメトキシ−
p−キシレン4.9重量%、p−メトキシメチルベンズ
アルデヒド2.9重量%、α,α,α’,α’−テトラ
メトキシ−p−キシレン1.8重量%、2,5,6−ト
リクロル−p−キシレン0.5重量%、α,α’−ジメ
トキシ−2−クロル−p−キシレン0.6重量%、α−
モノメトキシ−2,5−ジクロル−p−キシレン0.5
重量%、その他1.3重量%であった。かくして、8
7.5重量%のα,α,α’−トリメトキシ−p−キシ
レンを含有するアラルキルエーテル混合物が得られた。
【0063】製造例5 純度86重量%のα,α,α’−トリメトキシ−p−キ
シレンの製造 p−キシレンを、紫外線の存在下塩素化反応した反応混
合物から、α,α’−ジクロル−p−キシレンを蒸留に
より回収した後の缶出液(α,α,α’−トリクロル−
p−キシレンを40重量%含有)を300g取り出し、
10段のオルダショー型蒸留器(ガラス製、棚段式)を
用いてバッチ式蒸留を行った。その結果、α,α,α’
−トリクロル−p−キシレンを89重量%含有する塩素
化物が得られた。この塩素化物を、製造例4と同様にし
てメタノールと反応させ、86重量%のα,α,α’−
トリメトキシ−p−キシレンを含有するアラルキルエー
テル混合物を得た。
【0064】製造例6 高純度α,α,α’−トリメトキシ−p−キシレンの製
造 製造例3と同様にして純度99.9重量%以上のα,
α,α’−トリクロル−p−キシレンを得た。それを原
料として用い、製造例4と同様にして反応、精製を行っ
た。さらに、20段のオルダーショー型蒸留器(ガラス
製、棚段式)を用いて還流比10で精製した。精留を3
回繰り返して、純度99.9重量%以上のα,α,α’
−トリメトキシ−p−キシレンを得た。
【0065】製造例7 純度85重量%のヒドロキシメチルベンズアルデヒドの
製造 還流冷却器、保温した滴下ロート、温度計及び撹拌機付
の4つ口フラスコに、炭酸ナトリウムを167.0g、
蒸留水を1200g入れ、内部を窒素置換後,100℃
に調節した。次いで、製造例1と同様にして得た純度9
0重量%のα,α,α’−トリクロル−p−キシレン1
00gを10分間で滴下させた。熟成反応を10時間行
った後、反応液の分析をガスクロマトグラフィーを用い
て行った。その結果、p−ヒドロキシメチルベンズアル
デヒド85重量%、p−キシリレングリコール4.8重
量%、テレフタルアルデヒド2.8重量%、その他7.
4重量%であった。かくして、85重量%のp−ヒドロ
キシメチルベンズアルデヒドを含有する芳香族混合物を
得た。
【0066】実施例1 攪拌器、温度計、分縮器、全縮器を備えた反応容器に、
製造例6で得たα,α,α’−トリメトキシ−p−キシ
レン(高純度品)50g(0.26モル)、フェノール
112.9g(1.2モル)、硫酸ジエチル0.08g
を装入し、その混合溶液を約140℃に保ちながら攪拌
下に架橋反応を行った。反応中に生成したメタノールは
ベント口より系外へ除去した。約2時間反応させた後、
未反応のフェノールを減圧蒸留により除去し、反応機内
に残存する樹脂状生成物を冷却した。
【0067】得られた反応生成物は赤褐色の固体であ
り、さらに乾燥雰囲気中にて粉砕し、淡赤色の微細粉末
状の樹脂を得た。この樹脂の軟化点(JIS K−25
48による)は107.5℃であった。この樹脂を樹脂
Aとする。また、得られた樹脂Aをテトラヒドロフラン
に溶解させ、GPCを用いて分子量分布を測定した。そ
の結果、樹脂Aの数平均分子量は630であった。GP
Cチャートを図1に示す。
【0068】さらに、同一の溶液を上記のGPCを用い
て4つのフラクションに分別した。得られた各フラクシ
ョン溶液を試料として各フラクションの樹脂の核磁気共
鳴(H−NMR)スペクトル、赤外線(IR)吸収スペ
クトルを測定した。結果をそれぞれ図2〜図5および図
6〜図9に、また、各フラクションが示した構造を次に
示す。
【0069】
【化6】 フラクション1
【0070】
【化7】 フラクション2
【0071】
【化8】 フラクション3
【0072】
【化9】 フラクション4 樹脂A100重量部とヘキサミン12重量部を均一に混
合した粉末を調製した。この粉末の160℃における硬
化反応性をJSR型キュラストメーターで評価した。得
られた結果を〔表1〕に示す。なお、樹脂Aの縮合反応
の条件は、他の樹脂の場合も含めて後記の〔表1〕に示
す。また、この粉末を、ギヤーオーブン式加熱器内で1
70℃、1時間硬化反応させた。得られた硬化物の耐熱
性を理学電機(株)製、示差熱分析装置(商品名:サー
モフレックス)を用い測定した。試料を約7mg、昇温
速度を10℃/min、空気量を100ml/minの
条件で、500℃における重量減少を求めた。得られた
結果を〔表1〕に示す。
【0073】実施例2〜6、比較例1〜2 実施例1と同様の方法で〔表1〕に示す原料および触媒
を用いて樹脂を合成した。実施例2〜5においては、製
造例6で得たα,α,α’−トリメトキシ−p−キシレ
ン(高純度品)、実施例6においては、製造例3で得た
α,α,α’−トリクロル−p−キシレン(高純度品)
を用いた。得られた樹脂をそれぞれ樹脂B〜Fとし、反
応条件および得られた各樹脂の軟化点を〔表1〕に示
す。
【0074】実施例2〜6で得られた樹脂B〜F、およ
び、比較例として〔表1〕に示す市販の樹脂2種を実施
例1と同様にして硬化物とし、その硬化反応性および耐
熱性を評価した。得られた結果を〔表1〕に示す。〔表
1〕から明らかなように、本発明の樹脂は硬化反応性が
極めて良好であり、かつ、それらより得られた硬化物は
優れた耐熱性を有する。
【0075】
【表1】
【0076】実施例7 撹拌器、温度計、分縮器、全縮器を備えた反応容器に、
製造例4で得たα,α,α’−トリメトキシ−p−キシ
レン(純度87.5重量%)を含むアラルキルエーテル
混合物50g(芳香核の合計量で0.26モル)、フェ
ノール121.9g(1.3モル)、硫酸ジエチル0.
17gを装入し、その混合物の温度を約140℃に保ち
ながら撹拌下で架橋反応を行った。反応中生成したメタ
ノールはベント口より系外へ除去した。約2時間撹拌
後、未反応のフェノールを減圧蒸留により除去し、反応
容器に残存した樹脂状生成物を冷却した。得られた反応
生成物は赤褐色の固体であった。これを乾燥雰囲気中で
粉砕し、淡赤色の微細粉末状の樹脂を得た。この樹脂の
軟化点(JIS K−2548による)は110℃であ
った。この樹脂を樹脂Gとする。
【0077】実施例8〜13 〔表2〕に示す如く実施例8〜11では、実施例7と同
一の原料を用いて、実施例12では実施例7と同一の原
料40gにα,α’−ジメトキシ−p−キシレン10g
を混合した原料を用いて、実施例7と同様の方法で樹脂
を合成した。得られた樹脂をそれぞれ樹脂H〜Lとす
る。実施例13では、製造例5で得た純度86重量%の
α,α,α’−トリメトキシ−p−キシレンを含むアラ
ルキルエーテル混合物を用いて実施例7と同様の方法で
樹脂を合成した。得られた樹脂を樹脂Mとする。反応条
件および得られた樹脂の軟化点を〔表2〕に示す。
【0078】このようにして得られた樹脂G〜M100
重量部とヘキサミン12重量部を均一に混合して粉末と
した。これらの粉末の160℃における硬化反応性を1
6R型キュラストメーターを用いて評価した。得られた
結果を〔表2〕に示す。また、これらの粉末を実施例1
と同じ条件で硬化物とし、その耐熱性を評価した。得ら
れた結果を〔表2〕に示す。〔表2〕から明らかなよう
に、本発明の樹脂は硬化反応性が良好であり、かつ、そ
れらより得られた硬化物は優れた耐熱性を有する。
【0079】
【表2】
【0080】比較例3 フェノールの装入量を36.7g(0.39モル)とし
た以外は実施例7と同様にして樹脂を合成しようとし
た。しかし、反応を開始して約30分後にゲル状物が生
成したため反応を中断した。
【0081】実施例14〜19 撹拌器、温度計、分縮器、全縮器を備えた反応容器に、
α,α,α’−トリクロル−p−キシレン混合物50g
(芳香核の合計量で0.24モル、実施例14〜18で
は製造例1で得た純度90重量%のもの、実施例19で
は製造例2で得た純度89重量%のもの)、フェノール
112.9g(1.2モル)、または、225.8g
(2.4モル)、但し、実施例15のみ1.2モルのo
−クレゾール、および、〔表3〕に示す触媒を装入し、
その混合物を〔表3〕に示す温度に保ちながら撹拌下に
架橋反応を行った。
【0082】反応中に生成した塩酸はベント口より系外
へ除去した。約2時間撹拌後、未反応のフェノールを減
圧蒸留により除去し、反応容器に残存の樹脂状生成物を
冷却した。得られた反応生成物は赤褐色の固体であっ
た。乾燥雰囲気中にて粉砕し、淡赤色の微細粉末状の樹
脂を得た。これらの樹脂を樹脂N〜Sとする。各樹脂の
軟化点(JIS K−2548による)はそれぞれ〔表
3〕に示す。このようにして得られた樹脂N〜S100
重量部とヘキサミン12重量部を均一に混合し粉末とし
た。これらの粉末の硬化反応性および耐熱性を実施例1
と同じ条件で評価した。得られた結果を表3に示す。表
3から明らかなように、本発明の樹脂は硬化反応性が良
好であり、それより得られた硬化物は優れた耐熱性を有
する。
【0083】
【表3】
【0084】比較例4 フェノールの装入量を36.7g(0.39モル)とし
た以外は実施例14と同様にして、樹脂を合成しようと
した。しかし、反応を開始して約30分後にゲル状物が
生成したため反応を中断した。
【0085】実施例20〜27 撹拌器、温度計、分縮器、全縮器を備えた反応容器に、
製造例7で得た純度85重量%のp−ヒドロキシメチル
ベンズアルデヒドを50g(芳香核の合計量で0.36
モル)、但し、実施例25では純度85重量%のp−ヒ
ドロキシメチルベンズアルデヒド40gにp−キシリレ
ングリコール10gを混合したもの、および、表4に示
すフェノール性化合物と触媒を装入し、その混合物を加
熱しながら撹拌下に架橋反応を行った。反応中に生成し
た水はベント口より系外へ除去した。約2時間撹拌後、
未反応のフェノールを減圧蒸留により除去し、反応容器
に残存の樹脂状生成物を冷却した。
【0086】得られた反応生成物は赤褐色の固体であっ
た。これを乾燥雰囲気中で粉砕し、淡赤色の微細粉末状
の樹脂を得た。これらの樹脂を樹脂T〜ZZとする。こ
れらの樹脂の軟化点を測定した。また、樹脂T〜ZZ1
00重量部とヘキサミン12重量部を均一に混合し粉末
とした。これらの粉末の硬化反応性および硬化物の耐熱
性を実施例1と同様に評価し、得られた結果を〔表4〕
に示す。〔表4〕から明らかなように、本発明の樹脂は
優れた硬化反応性を有し、かつ、それらより得られた硬
化物は優れた耐熱性を有する。
【0087】
【表4】
【0088】比較例5 フェノールの装入量を50.82g(0.54モル)と
した以外は実施例20と同様にして、樹脂を合成しよう
とした。しかし、反応を始めて約30分後にゲル状物が
生成したため反応を中断した。
【0089】
【発明の効果】本発明のフェノール系樹脂は硬化反応性
が良好であり、かつ、本発明のフェノール系樹脂を硬化
して得られる硬化物は優れた耐熱性を有する。そのた
め、本発明のフェノール系樹脂はブレーキバインダー等
の摩擦材料、成形材料、塗料用、エポキシ樹脂の原料ま
たは他のエポキシ化合物に対する硬化剤等として多方面
に利用可能であり、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】は樹脂AのGPCチャート
【図2】は樹脂Aのフラクション1のNMRスペクトル
【図3】は樹脂Aのフラクション2のNMRスペクトル
【図4】は樹脂Aのフラクション3のNMRスペクトル
【図5】は樹脂Aのフラクション4のNMRスペクトル
【図6】は樹脂Aのフラクション1のIRスペクトル
【図7】は樹脂Aのフラクション2のIRスペクトル
【図8】は樹脂Aのフラクション3のIRスペクトル
【図9】は樹脂Aのフラクション4のIRスペクトル
【符号の説明】
〔図1〕において 1はフラクション1 2はフラクション2 3はフラクション3 4はフラクション4をそれぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 前置審査

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1)〔化1〕 【化1】 (式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ独立に水酸
    基、ハロゲン原子または炭素数が1〜3の低級アルコキ
    シ基を示し、特にR2 とR3 が共同して1個の酸素原子
    であってもよい。X1 とX2 はそれぞれ独立して水素原
    子、ハロゲン原子、アルキル基を示す)で表される3官
    能性芳香族化合物1モルに対してフェノール性化合物を
    2〜30モルの比率で反応させることを特徴とする硬化
    反応性のよいフェノール系樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】一般式(1)で表される化合物が、α,
    α,α’−トリアルコキシキシレン、α,α,α’−ト
    リハロキシレン、アルコキシメチルベンズアルデヒドま
    たはヒドロキシメチルベンズアルデヒドである請求項1
    記載のフェノール系樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】フェノール性化合物がフェノールまたはク
    レゾールであり、反応を酸性触媒の存在下で行う請求項
    1記載のフェノール系樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】一般式(1)で表される化合物がα,α,
    α’−トリメトキシ−p−キシレンであり、フェノール
    性化合物がフェノールである請求項1記載のフェノール
    系樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】α,α,α’−トリアルコキシキシレンを
    少なくとも60モル%(芳香核ベース)以上含有するハ
    ロゲン化キシレンのアルコキシ化混合物とフェノール性
    化合物を酸性触媒の存在下で縮合反応させる請求項1記
    載のフェノール系樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】α,α,α’−トリハロキシレンを少なく
    とも60モル%(芳香核ベース)以上含有するハロゲン
    化混合物とフェノール性化合物を縮合反応させる請求項
    1記載のフェノール系樹脂の製造方法。
  7. 【請求項7】ヒドロキシメチルベンズアルデヒドを少な
    くとも60モル%(芳香核ベース)以上含有するハロゲ
    ン化キシレンの加水分解混合物とフェノール性化合物を
    酸性触媒の存在下で縮合反応させる請求項1記載のフェ
    ノール系樹脂の製造方法。
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