JP3155073B2 - フェノールアラルキル樹脂およびその製法 - Google Patents

フェノールアラルキル樹脂およびその製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフェノールアラルキル樹
脂およびその製法に関する。更に詳しくは本発明は、二
官能成分の少ないフェノールアラルキル樹脂およびその
製法に関するものである。本発明のフェノールアラルキ
ル樹脂は、電気的特性、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性等
に優れ、成形材、摩擦材、塗料、特に封止材等の基材と
して有用される。
【0002】
【従来の技術】従来、フェノール性化合物とアラルキル
エーテルの反応生成物であるフェノールアラルキル樹脂
の製造方法は多数の方法が公知となっている。例えば、
特公昭47−15111号公報ではフェノール化合物の
アラルキル化合物に対するモル比が1.3ないし3:1
で、触媒として酸性ボールクレー、フリーデルクラフツ
型、ジエチル硫酸、硫酸を用いる方法が開示され、特公
昭52−14280号公報では触媒として銅、水銀、銀
またはナトリウム化合物を、アラルキルエーテルは関連
化合物を含んだものを用いてフェノールアラルキル樹脂
を得る製造方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれら特
公昭47−15111号公報、特公昭52−14280
号公報に開示されている方法で得られるフェノールアラ
ルキル樹脂では、反応終了モル比と二官能成分含有量、
軟化点、分子量、溶融粘度とは密接な関係を示し、殆ど
の物性は反応終了モル比で決まる。すなわち、モル比コ
ントロールの製造で得られる樹脂は、二官能成分含有量
を少なくすれば軟化点、分子量、溶融粘度が高くなり、
溶融粘度等を低くして流動性の良好な樹脂を得ようとす
れば二官能成分の含有量が必然的に多くなるという欠点
がある。一方、成形材料、封止材分野の用途では樹脂の
粘度が低く、硬化させた場合に架橋密度が高く、高いガ
ラス転移温度を持った二官能成分の含有量の少ない樹脂
が要望され、その改良が求められていた。
【0004】本発明の目的は、フェノール性化合物とア
ラルキル化合物を反応させて得られるフェノールアラル
キル樹脂から二官能成分を除去して、しかも溶融粘度が
低く、硬化させた場合には高いガラス転移温度を持った
硬化物を与えるフェノールアラルキル樹脂およびその製
法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため二官能成分の除去方法について鋭意検討
した結果、本発明に到った。
【0006】即ち、本発明はフェノール性化合物と下記
一般式(1)〔化5〕
【0007】
【化5】 (Xはハロゲン原子、ヒドロキシ基またはオキシアルキ
ル基である。)で示されるアラルキル化合物とから得ら
れる、下記一般式(2)〔化6〕
【化6】 (式中nは1以上の整数を示し、R、R’は水素原子、
アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子を示す。)で表
される樹脂であって、(1)150℃の溶融粘度が10
ポイズ未満であり、(2)軟化点が95℃未満であり、
且つ、(3)フェノール性水酸基に関して二官能成分が
15重量%未満であることを特徴とするフェノールアラ
ルキル樹脂である。
【0008】また、本発明の他の発明は、無触媒または
酸性触媒存在下、一般式(1)〔化7〕
【化7】 で示されるアラルキル化合物1モルに対し、フェノール
性化合物1.8〜2.5モルとを反応したのち、未反応
のフェノール性化合物を除去した後下記一般式(2)
〔化8〕
【化8】 (式中nは1以上の整数を示し、R、R’は水素原子、
アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子を示す。)にお
けるnが1である成分の一部を水または有機溶剤の少な
くとも一種類の溶剤を用いて抽出除去することを特徴と
する、上記一般式(2)で表される、(1)150℃の
溶融粘度が10ポイズ未満であり、(2)軟化点が95
℃未満であり、且つ、(3)フェノール性水酸基に関し
て二官能成分が15重量%未満であるフェノールアラル
キル樹脂の製法である。
【0009】以下本発明の粗原料について説明する。フ
ェノール性化合物は、芳香族核に結合した1個の水酸基
を含有するが、芳香核の炭素原子に結合した置換基が全
体で3個以下の芳香族化合物、またはそれらの混合物で
ある。例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレ
ゾール、p−クレゾール、2,6−キシレノール、p−
tert−ブチルフェノール、p−フェニルフェノー
ル、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。
特に好ましいフェノール性化合物はフェノール、o−ク
レゾール、p−クレゾール等である。
【0010】またアラルキル化合物としては下記一般式
(1)〔化5〕
【0011】
【化5】 (Xはハロゲン原子、ヒドロキシ基またはオキシアルキ
ル基である。)で表される。
【0012】例えば、α,α’−ジクロロp−キシレ
ン、α,α’−ジクロロo−キシレン、α,α’−ジク
ロロm−キシレン、p−キシリレングリコール、α,
α’−ジメトキシp−キシレン(以下PXDMと略称す
る。)、α,α’−ジエトキシp−キシレン、α,α’
−ジメトキシo−キシレン、α,α’−ジメトキシm−
キシレン等が挙げられ、特に好ましいアラルキル化合物
はPXDMである。
【0013】フェノールアラルキル樹脂は反応系の反応
終了モル比がフェノール性化合物/アラルキル化合物=
1.3/1以上の割合で、好ましくは1.8/1〜2.
5/1の割合で無触媒またはフリーデルクラフツ型、硫
酸系等の触媒で反応して得られる樹脂である。
【0014】更に、所望により比較的高沸点のアルコー
ル等の有機溶剤が用いられる。
【0015】上記原料成分のほかに、触媒として、塩化
第二錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化第二銅、硫酸第二
銅、硫酸第二水銀、硫酸第一水銀、塩化第二水銀、塩化
第一水銀、硫酸銀、塩化銀、硫酸水素ナトリウム、硫酸
等の無機化合物、あるいは、モノエチル硫酸、ジエチル
硫酸、ジメチル硫酸等の硫酸化合物、p−トルエンスル
ホン酸、p−フェノールスルホン酸、メタンスルホン酸
等の有機スルホン酸類が使用され、反応には少なくとも
一種類の触媒が使用される。好ましい触媒としては、塩
化第二錫、ジエチル硫酸、p−フェノールスルホン酸で
ある。
【0016】反応温度は通常120〜200℃の範囲で
行われるが、好ましくは130〜160℃である。
【0017】また、反応中発生する副生アルコールを主
成分とする蒸発物を分縮器を通して反応系外に除去する
温度は、副生アルコールの沸点〜150℃の範囲である
が、好ましくは65〜100℃である。
【0018】反応は加圧、常圧のいずれでも良いが、常
圧あるいは1000mmH2O以下の僅かな加圧が好ま
しい。
【0019】反応時間は反応のスケール、触媒濃度、反
応温度、分縮器の能力にもよるが通常30分〜10時間
である。好ましくは1〜5時間である。
【0020】反応終了後、減圧下で未反応のフェノール
性化合物が除去されるが、温度、真空度等に特に制限は
ない。反応液の粘度、フェノール性化合物の蒸気圧によ
り所望の条件で行われる。また、反応液中に不活性のガ
ス、例えば窒素、水蒸気を装入して同伴除去する方法も
効果的である。
【0021】次に本発明の樹脂およびその製法について
説明する。本発明の方法は、主として、フェノール性化
合物とアラルキル化合物とを反応した後、未反応のフェ
ノール性化合物を除去して得られるフェノールアラルキ
ル樹脂に少なくとも一種類の溶剤を加えて溶解、混合し
た後、樹脂相と溶剤相とに分離して、フェノールアラル
キル樹脂に含まれる二官能成分の一部を溶剤相とともに
除去することを特徴とする。他の方法としては、高温高
真空下での蒸留によって二官能成分を除去する方法、水
蒸気、窒素によるストリッピングにより二官能成分を除
去する方法、アラルキル化合物を加え、反応によって残
存二官能成分を少なくする方法が挙げられる。また、1
20〜250℃に保持した固定式羽根を有する配管内に
初期縮合反応液と水蒸気を同時供給混合して、混合物を
反応装置へ戻すことからなる循環処理を行って、未反応
のフェノール性化合物や二官能成分を除去する方法も
げられる。
【0022】最初に水及び有機溶剤の少なくとも一種類
以上を用いて樹脂中の二官能成分を高い選択性で抽出除
去する方法について説明する。水としては蒸留水、イオ
ン交換水が好ましく使用される。
【0023】有機溶剤としては、例えば、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノン、アセトフェノン等のケトン類、メタノール、
エタノール、イソプロピルアルコール、オクタノール、
2−エチルヘキサノール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール等のアルコール類、エチルセロソルブ、
ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビ
トール、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジ
エチルエーテル等のエーテル類、ギ酸エチル、酢酸エチ
ル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ク
ロルベンゼン等の芳香族炭化水素及びその塩素化物等が
挙げられ、一般的に溶剤と称されるものは殆ど有効であ
る。
【0024】使用方法の特徴としては、フェノール性化
合物とアラルキル化合物の反応で得られるフェノールア
ラルキル樹脂はOH基当量が大きいため、水の単独使用
では二官能成分を高い選択率で抽出除去出来るものの、
あまりにも抽出率が低いため効率が悪く現実的では無
い。またケトン、アルコール、グリコール、グリコール
エーテルに対しては比較的良く溶解するが分液性、二官
能成分の選択的抽出除去の効率から水との併用が好まし
い。またエステル、芳香族炭化水素及びその塩素化物は
二官能成分の選択的抽出効率が悪いため、水以外の溶剤
と併用することが望ましい。これらの理由から有効な溶
剤の中でもケトン/水、アルコール/水の混合溶剤が好
ましく、特に水と低沸点のアルコールとを適宜組み合わ
せて使用することが最も有効な手段である。
【0025】以下、更に詳細に説明する。本発明の方法
に好ましく用いられるアルコールとしては沸点が100
℃未満のメタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール等が挙げられるが、水との併用によって該フェノー
ル樹脂中から最も効率良く二官能成分を抽出除去できる
アルコールはメタノールである。
【0026】この際用いるメタノールの等級は試薬、工
業用、またフェノール性合物とPXDMの反応で副生す
るものでも構わない。
【0027】また、メタノール/水の混合割合は重量比
で1/19〜9/1が好ましく、4/6〜6/4の混合
割合が最も好ましい。メタノール/水の混合割合が1/
19未満では二官能成分の選択的な抽出が行われるもの
の、抽出効果が著しく悪く、樹脂に対して大過剰の量を
必要とする。また9/1を超えると分液性の低下、二官
能成分以外の高分子物質も抽出され、選択性の低下、高
粘度化及び収率低下の原因となる。
【0028】メタノール/水混合溶剤の用いる量に特に
制限はない。抽出効率、所望の溶融粘度、二官能成分の
含有量によって選択できる。
【0029】本発明の抽出方法は、多段バッチ抽出で良
く、あるいは連続式の並流もしくは向流抽出によっても
よい。
【0030】本発明の抽出温度は室温から用いる溶剤の
沸点までの幅広い範囲で行うことが出来る。特に、最も
好ましいメタノール/水混合溶剤を用いる場合は、室温
ないし100℃未満の間で抽出効率、所望の溶融粘度、
二官能成分の含有量にあわせて選ぶことができる。
【0031】次に蒸留による二官能成分の除去方法につ
いて説明する。この方法は、常圧、真空下のいずれの方
法も良いが、二官能成分の沸点、融点が高いため5mm
Hg未満の高真空下で250℃以下に加熱して除去する
ことが好ましい。常圧及び低真空下の蒸留では樹脂温度
を著しく高温に加熱しなければならないため、大がかり
な加熱装置が必要となる。また400℃を超えると熱分
解の恐れも生ずる。
【0032】更に不活性ガスによる二官能成分のストリ
ッピング除去方法について説明する。この方法は、常圧
または減圧下で樹脂と不活性ガスである窒素または水蒸
気を100℃〜250℃で接触させ、不活性ガスととも
に二官能成分を除去する方法であり、樹脂中に不活性ガ
スを通しても良く、スタティックミキサーの如く混合機
を備えた、且つ加熱されたパイプ中に同時に樹脂及び不
活性ガスを通した後、蒸発缶を経て除去しても高い効果
がある。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。以下
に示す濃度(%)はすべて重量パーセントである。 製造例1 907.5g(9.643モル)のフェノールと31.
8gのメタノール及び0.853gのジエチル硫酸を7
0℃の冷却水を通した凝縮器を備えた反応器に装入し、
撹拌しながらオイルバスで昇温した。液温が140℃に
達したところでPXDMの装入を開始した。800g
(4.813モル)のPXDMを4時間かけて連続的に
装入した後、更に液温140℃で90分間熟成反応を行
った。次いで液温を160℃に昇温し、減圧下で未反応
のフェノールを除去して、1025gの樹脂を得た。こ
れを化合物Aという。
【0034】実施例1 製造例1で得た樹脂Aを150gと、300gの50%
メタノール水溶液をコンデンサー、撹拌機を備えたフラ
スコに入れオイルバスで昇温した。75℃を保ち、30
分間撹拌した後静置し、溶剤相と樹脂相に分液させ、溶
剤相を取り除いた。新たな300gの50%メタノール
水溶液を樹脂相の入ったフラスコに入れ、同様にして7
5℃で、撹拌、静置、分液を行い溶剤相を取り除いた。
次いでフラスコ内の樹脂相を昇温しながら常圧下で溶剤
の除去を行い、更に160℃に昇温して、減圧下で完全
に溶剤の除去を行い樹脂を得た。これを化合物Bとい
う。
【0035】実施例2 実施例1と同様に抽出操作を4回繰り返し、実施例1と
同様に溶剤除去を行い樹脂を得た。これを化合物Cとい
う。
【0036】実施例3 実施例1と同様に抽出操作を6回繰り返し、実施例1と
同様に溶剤除去を行い樹脂を得た。これを化合物Dとい
う。
【0037】実施例4 実施例1と同様に抽出操作を8回繰り返し、実施例1と
同様に溶剤除去を行い樹脂を得た。これを化合物Eとい
う。
【0038】実施例5 実施例1と同様に抽出操作を10回繰り返し、実施例1
と同様に溶剤除去を行い樹脂を得た。これを化合物Fと
いう。
【0039】製造例2 188.2g(2.0モル)のフェノールと6.6gの
メタノール及び0.186gのジエチル硫酸を70℃の
冷却水を通した凝縮器を備えた反応器に装入し、撹拌し
ながらオイルバスで昇温した。液温が140℃に達した
ところでPXDMの装入を開始した。183.3g
(1.103モル)のPXDMを3時間かけて連続的に
装入した後、更に液温140℃で90分間熟成反応を行
った。次いで液温を160℃に昇温し、減圧下で未反応
のフェノールを除去して235gの樹脂を得た。これを
化合物Gという。
【0040】実施例6 製造例2で得た樹脂Gを15gと、30gのトルエンを
コンデンサー、撹拌機を備えたフラスコに入れ25℃の
室温で30分間撹拌した後静置し、溶剤相と樹脂相に分
液させ、溶剤相を取り除いた。次いでフラスコ内の樹脂
相を昇温しながら常圧下で溶剤の除去を行い、更に16
0℃に昇温して、減圧下で完全に溶剤の除去を行い樹脂
を得た。これを化合物Hという。
【0041】実施例7 製造例2で得た樹脂Gを15gと、39gの76.92
%メタノール水溶液をコンデンサー、撹拌機を備えたフ
ラスコに入れ25℃の室温で30分間撹拌した後静置
し、溶剤相と樹脂相に分液させ、溶剤相を取り除いた。
次いでフラスコ内の樹脂相を昇温しながら常圧下で溶剤
の除去を行い、更に160℃に昇温して、減圧下で完全
に溶剤の除去を行い樹脂を得た。これを化合物Iとい
う。
【0042】比較例1 188.2g(2.0モル)のフェノールと6.6gの
メタノール及び0.185gのジエチル硫酸を70℃の
冷却水を通した凝縮器を備えた反応器に装入し、撹拌し
ながらオイルバスで昇温した。液温が140℃に達した
ところでPXDMの装入を開始した。182g(1.0
95モル)のPXDMを3時間かけて連続的に装入した
後、更に液温140℃で90分間熟成反応を行った。次
いで液温を160℃に昇温し、減圧下で未反応のフェノ
ールを除去して233gの樹脂を得た。これを化合物J
という。
【0043】比較例2 0.210gのジエチル硫酸及び207g(1.245
モル)のPXDMを使用した以外は比較例1と同様にし
て、265gの樹脂を得た。これを化合物Kという。
【0044】比較例3 0.247gのジエチル硫酸及び246g(1.480
モル)のPXDMを使用した以外は比較例1と同様にし
て、307gの樹脂を得た。これを化合物Lという。
【0045】比較例4 0.249gのジエチル硫酸及び249g(1.498
モル)のPXDMを使用した以外は比較例1と同様にし
て、311gの樹脂を得た。これを化合物Mという。
【0046】仕込みと反応終了モル比 製造例1及び比較例1〜4について仕込みと下記数式
(1)〔数1〕
【0047】
【数1】 A:仕込みフェノールのモル数 B:分縮によって反応系外に回収したアルコール中のフ
ェノールのモル数 C:仕込みPXDMのモル数 D:分縮によって反応系外に回収したアルコール中のP
XDMのモル数 で求めた反応終了モル比を〔表1〕にまとめた。
【0048】
【表1】
【0049】軟化点の測定 製造例1で得られた化合物A、実施例1〜5で得られた
化合物B、C、D、E、F、製造例2で得られた化合物
G、実施例6〜7得られた化合物H、I及び比較例1〜
4で得られた化合物J、K、L、Mについて軟化点を測
定した。結果を〔表2〕に示す。軟化点の測定方法はJ
IS K2207による。
【0050】
【表2】
【0051】溶融粘度の測定 製造例1で得られた化合物A、実施例1〜5で得られた
化合物B、C、D、E、F、製造例2で得られた化合物
G及び比較例1〜4で得られた化合物J、K、L、Mに
ついて溶融粘度を測定した。結果を〔表2〕に示す。測
定機器はリサーチ・エクィップメント(ロンドン)社
(RESEACH EQUIPMENT(LONDO
N)LTD.)製のアイ.シー.アイ.コーン.アン
ド.ビスコメーター(I.C.I.CONE&VISC
OMETER)を使用。150℃の溶融粘度を0〜10
ポイズ用のコーンを使用して測定した。
【0052】二官能成分含有量の測定 製造例、実施例、比較例で得られたすべての化合物につ
いて二官能成分含有量をカラム(東洋曹達(株)社製、
TSKゲルG−4000HB及びG−2000HBを直
列に構成)を用いて、高速液体クロマトグラフ測定装置
(東洋曹達(株)社製、HLC−802UR、及び昭和
電工(株)社製、ショーデックス(Shodex)RI
検出器により分析を行った。またデータ処理は島津製作
所製、クロマトパックC−R4AXにより行った。結果
を〔表2〕に示す。
【0053】化合物AのGPCチャートは〔図1〕に、
化合物B、C、D、E、FのGPCチャートは〔図
2〕、〔図3〕、〔図4〕、〔図5〕、〔図6〕に、化
合物G、H、IのGPCチャートは〔図7〕、〔図
8〕、〔図9〕に、化合物J、K、L、MのGPCチャ
ートは〔図10〕、〔図11〕、〔図12〕、〔図1
3〕に示した。また二官能成分のピークをで表し、二
官能成分含有量はベンゼンを内部標準物質として求め
た。なおベンゼンのピークはで表した。
【0054】硬化物のガラス転移温度の測定 製造例、実施例、比較例で得られたすべての化合物につ
いてエポキシ樹脂との硬化反応を行い、得られた硬化物
を東洋ボールドウィン(株)社製、自動動的粘弾性測定
器(RHEOVIBRON)を用いて測定、tanδ
(損失弾性率/動的弾性率)のピーク温度をガラス転移
温度として、結果を〔表2〕に示す。
【0055】次にガラス転移温度の測定用試料の調製方
法を示す。 1.配合:化合物とエポキシ樹脂及び硬化触媒の使用割
合は〔表3〕に示す。また用いたエポキシ樹脂及び触媒
は次の通り。 エポキシ樹脂:日本化薬(株)社製、EOCN−103
S 触媒:四国化成(株)社製、2E4MZ(2−エチル−
4−メチルイミダゾール) 配合は、粉砕した化合物とエポキシ樹脂をアルミ容器に
入れ、スパチュラで混合した後触媒を添加し、次いで1
40℃の熱板上で溶融し、5分間スパチュラで充分混練
した。混練後冷却、固化、粉砕した。
【0056】2.フィルムの作成:配合した混合樹脂を
150℃、5分間、100kg/cm 2Gの条件下でプ
レスして厚さ約0.1mmのフィルムを得た。次いで、
175℃のオーブン中で5時間ポストキュアーを行っ
た。
【0057】3.切り出し:ポストキュアーを行ったフ
ィルムを幅2mm、長さ20mmに切り出し測定用試料
とした。
【0058】
【表3】
【0059】
【発明の効果】本発明のフェノール系樹脂は同一軟化点
を有する従来のフェノール系樹脂と比較した場合、二官
能成分の含有量が少なく、しかも溶融粘度が低い。その
ため、エポキシ樹脂の硬化剤として使用した場合には、
配合物の粘度も低下し、成形時の作業性が著しく向上す
るとともに、更に硬化物のガラス転移温度が高くなる特
徴を有し、耐熱性が改良される。またヘキサメチレンテ
トラミンを硬化剤として使用、成形材料等の基材として
用いた場合も成形時の作業性が著しく向上するととも
に、硬化物の熱時硬度が高く、耐熱性、接着性、機械的
強度等の改良が期待できる樹脂である。
【図面の簡単な説明】
【図1】は化合物AのGPCチャートである。
【図2】は化合物BのGPCチャートである。
【図3】は化合物CのGPCチャートである。
【図4】は化合物DのGPCチャートである。
【図5】は化合物EのGPCチャートである。
【図6】は化合物FのGPCチャートである。
【図7】は化合物GのGPCチャートである。
【図8】は化合物HのGPCチャートである。
【図9】は化合物IのGPCチャートである。
【図10】は化合物JのGPCチャートである。
【図11】は化合物KのGPCチャートである。
【図12】は化合物LのGPCチャートである。
【図13】は化合物MのGPCチャートである。
【符号の説明】 二官能成分のピーク ベンゼンのピーク 但し、二官能成分含有量はベンゼンを内部標準物質とし
て求めた。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール性化合物と下記一般式(1)
    〔化1〕 【化1】 (Xはハロゲン原子、ヒドロキシ基またはオキシアルキ
    ル基である。)で示されるアラルキル化合物とから得ら
    れる、下記一般式(2)〔化2〕 【化2】 (式中nは1以上の整数を示し、R、R’は水素原子、
    アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子を示す。)で表
    される樹脂であって、(1)150℃の溶融粘度が10
    ポイズ未満であり、(2)軟化点が95℃未満であり、
    且つ、(3)フェノール性水酸基に関して二官能成分が
    15重量%未満であることを特徴とするフェノールアラ
    ルキル樹脂。
  2. 【請求項2】 無触媒または酸性触媒存在下、一般式
    (1)〔化3〕 【化3】 で示されるアラルキル化合物1モルに対し、フェノール
    性化合物1.8〜2.5モルとを反応し、未反応のフェ
    ノール性化合物を除去した後下記一般式(2)〔化
    4〕 【化4】 (式中nは1以上の整数を示し、R、R’は水素原子、
    アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子を示す。)にお
    けるnが1である成分の一部を水または有機溶剤の少な
    くとも一種類の溶剤を用いて抽出除去することを特徴と
    する、上記一般式(2)で表される、(1)150℃の
    溶融粘度が10ポイズ未満であり、(2)軟化点が95
    ℃未満であり、且つ、(3)フェノール性水酸基に関し
    て二官能成分が15重量%未満であるフェノールアラル
    キル樹脂の製法。
  3. 【請求項3】 有機溶剤がメタノールである請求項2
    載のフェノールアラルキル樹脂の製法。
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