JP2567133B2

JP2567133B2 - 自動車用乗員拘束装置

Info

Publication number: JP2567133B2
Application number: JP2182907A
Authority: JP
Inventors: 義文下瀬
Original assignee: Nissan Motor Co Ltd
Current assignee: Nissan Motor Co Ltd
Priority date: 1990-07-11
Filing date: 1990-07-11
Publication date: 1996-12-25
Anticipated expiration: 2011-12-25
Also published as: JPH0471948A; US5186494A

Description

【発明の詳細な説明】産業上の利用分野この発明は、自動車用乗員拘束装置に関するものであ
る。

従来の技術自動車用乗員拘束装置としては、例えば、第20図に示
すものがある。

同図において、１はシートベルト装置であって、セン
ターピラー２内にリトラクタ３に巻き取られたシートベ
ルト４が、センターピラー２の上方に取り付けられたス
ルーアンカ５に挿入されサイドシル６に係止させたアン
カプレート７に取り付けられている。

また、シートベルト４にはショルダベルト4aとラップ
ベルト4bとに分けるようタングを有するスルーリング８
が挿通され、スルーリング８はプリローダ装置９に支持
されたバックル10に係合されている。

上記プリローダ装置９は、シリンダ11とインフレータ
12と点火装置13とを有し、信号が点火装置13に入力され
ると、インフレータ12を爆発させガスをシリンダ11内に
導いて、シリンダロッド11aの一端を一瞬にして引き込
ませ、シリンダロッド11bの他端に係合されたバックル1
0、即ちシートベルト４を引張して乗員を拘束するもの
である。尚、シリンダ11はフロアパネル14に取り付けら
れている。

シート15はエアランバサポートタイプのシートであっ
て、シートクッション16内にはエア供給装置17が一方シ
ートバック18内にはバッグ19が内装され、これらエア供
給装置17とバッグ19とは給排気バルブ20によって接続さ
れている。そして、この給排気バルブ20によってバッグ
19内へ送られるエア供給装置17のエアーを調整して乗員
の腰部の支持を最適なものにしている（この種の技術と
しては、例えば特開昭57−136413号公報に示されたもの
がある）。

発明が解決しようとする課題しかしながら、上記従来の自動車用乗員拘束装置にあ
っては、自動車の前面衝突時にシートベルト４がプリロ
ータ装置９により乗員の腰部を拘束する一方で、乗員は
慣性によって前方へ移動しようとするため、前側に傾斜
した乗員の頭部がステアリングホイール21に干渉しない
ように乗員の着座位置をできるだけ後方に設定しなけれ
ばならず、したがって、ステアリングホイール21の位置
が乗員から離れてしまうという問題がある。

また、この対策として自動車の前面衝突時にシート15
全体を後方に移動させるようにすることも考えられる
が、乗員が着座している関係で、シート15を後方に引く
には大きな力が必要となり、更に後席乗員の足元スペー
スが狭くなってしまうという問題もある。

そこで、この発明は、適正なドライビングポジション
を確保でき、かつ自動車の前面衝突時の安全性をより一
層高められる自動車用乗員拘束装置を提供するものであ
る。

課題を解決するための手段上記目的を達成するために、この発明の自動車用乗員
拘束装置にあっては、シートに着座した乗員を拘束する
シートベルトを備えた自動車用乗員拘束装置において、
自動車の前面衝突を検知する衝突検出手段と、この衝突
検出手段の信号に基づいてシートベルトに張力を発生さ
せる引張手段と、衝突検出手段の信号に基づいて着座姿
勢にある乗員の後方移動を補助する移動許容装置とを備
えている。

また、移動許容装置には、シートバック内に設けられ
たエア封入式バッグであって、前面衝突時にエア封入式
バッグ内にのエアーを開放して排出させる手段を有する
ものや、シートバックのシートバッククッションであっ
て前面衝突時にシートバッククッションの反力を低減さ
せて後方に変位させる手段を有するものを用いることが
できる。

作用自動車の前面衝突時には、衝突検出手段の信号に基づ
いて、引張手段によってシートベルトに張力が作用する
と共に移動許容装置、例えばシートバック内のエア封入
式バッグのエアーを抜いたり、シートバックのシートバ
ッククッションを後方に変位させて乗員を後方へ移動さ
せ、乗員の頭部がステアリングホイールと干渉するのを
防止する。

実施例以下、この発明の実施例を図面と共に前記従来の構成
と同一態様部分に同一符号を付して説明する。

第１〜19図において、１はシートベルト装置であっ
て、センターピラー２内のリトラクタ３に巻き取られた
シートベルト４がセンターピラー２の上方に取り付けら
れたスルーアンカ５に挿通されサイドシル６に係止され
たアンカプレート７に取り付けられている点、シートベ
ルト４にはショルダベルト4aとラップベルト4bとに分け
るよう、タングを有するスルーリング８が挿通され、ス
ルーリング８はプリローダ装置９に支持されたバックル
10に係合されている点及び引張手段としてのプリローダ
装置９が、シリンダ11とインフレータ12と点火装置13に
入力されると、インフレータ12を爆発させガスをシリン
ダ11内に導いて、シリンダロッド11aの一端を一瞬にし
て引き込ませ、シリンダロッド11bの他端に係合された
バックル10、即ちシートベルト４を引張して乗員を拘束
する点は前記従来と同様である。尚、シリンダ11はフロ
アパネル14に取り付けられている。

ここで、シート15には、シートバック18に移動許容装
置としてのエアバック装置22が、シートクッション16に
はエア許容装置23が各々設けられている。

エアバック装置22は第4,5図に示すようにエア封入式
バックとしてのバッグ24が内装され、このバッグ24の背
面は一対のリンク25により支持されている。

リンク25は方形状に形成され、一辺には上記バッグ24
を挟む挟持部26を有するものであり、各リンク25は挟持
部26に隣接する辺の中央部分に設けられた支持点27で回
転自在に支持されている。

リンク25の挾持部26の対辺にはワイヤ28が取り付けら
れ、このワイヤ28はローラ29,29…をガイドとしてシリ
ンダ30のシリンダロッド30aに取り付けられている。そ
して、シリンダ30には点火装置31を備えたインフレータ
32が設けられている。

したがって、点火装置31に信号が入力されると、イン
フレータ32が爆発してガスが発生し、シリンダ30のシリ
ンダロッド30aがガスにより引き込まれてワイヤ28を引
張し、各リンク25を支持点回りに回動させ各挾持部26を
外側へ移動させてバック24を破るのである。

一方、エア供給装置23は第６〜９図に示すようにシー
トクッション16内に設けられたポンプ32にバック24に延
びるチューブ33が接続されたもので、舵腹状に形成され
たポンプ32の吸込口34には弁35が設けられ、ポンプ32に
荷重を加えると閉弁してエアーをバッグ24に送り出し、
除荷すると開弁して吸込口34からエアーが供給されてポ
ンプ32が復元するようになっている。

一方、チューブ33のバッグ24側にも弁36が設けられ、
エアー供給時には開弁し、逆にバッグ24内からのエアー
流出を抑えるようになっている。

尚、37はリリーフ弁を示し、バッグ24内圧が所定値以
上となると開弁し、バッグ24内エアーを外気に逃がすも
のである。

第10〜12図は、ヘッドレスト回動装置38を有するヘッ
ドレスト39を示す。

ヘッドレスト39はシートバック18に取り付けられるサ
ポート40に回動自在に支持されるステイ41を備えてい
る。シートバック18にはコの字断面形状のプレート42が
取り付けられ、このプレート42にはソレノイド43が取り
付けられ、このソレノイド43のストッパピン43aがステ
イ41の溝44に挿入されてヘッドレスト39の回動を規制し
ている。

したがって、ソレノイド43に信号が入力されると、ソ
レノイド43のストッパピン43aが溝44から抜け、ヘッド
レスト39の回動が許容される。

ここで、プレート42の前後側壁42a,42bはストッパと
して機能しステイ41及びヘッドレスト39の回動が所定角
度を超えないようになっている。

尚、前記シートベルト装置１のリトラクタ３はプリロ
ーダ付のタイプである。

そして、車体前部のバンパ45内には第13図に示すよう
に衝突検出手段としての衝突検知センサ46が設けられ、
この衝突検知センサ46は衝突を検知してシートベルト装
置１のプリローダ付リトラクタ３、エアバッグ装置22の
点火装置31、プリローダ装置９の点火装置13及びヘッド
レスト回動装置38のソレノイド43に信号を送るようにな
っている。

次に、作用を説明する。

自動車が前面衝突すると、第13図に示すようにバンパ
45内の衝突検出センサ46がこれを検出して、シートベル
ト装置１のプリローダ付リトラクタ３、エアバック装置
22の点火装置31、プリローダ装置９の点火装置13及びヘ
ッドレスト回動装置38のソレノイド43に信号を送る。

エアバッグ装置22では第５図に示すようにインフレー
タ32が爆発してガスがシリンダ30内に送られ、瞬時にシ
リンダロッド30aがシリンダ30内に引き込まれ、シリン
ダロッド30aの先端に係止されているワイヤ28が下方に
引き下げられる。すると、ワイヤ28の端部に係止された
リンク25,25が車幅方向外側へ開かれ、これによって離
反する各挾持部26によりバッグ24が引き裂かれ、バッグ
24内のエアーが放出されてバッグ24は萎み、シートバッ
ク18は薄くなる。したがって、乗員とシートバック18に
間隙ができる。

そして、同時に第２図に示すようにプリローダ装置９
のインフレータ12が爆発してガスがシリンダ11に送ら
れ、シリンダロッド11aがシリンダ11に引き込まれ、シ
ョルダベルト4aとラップベルト4bが下方へ引き下げられ
る。

また、シートベルト装置１のプリローダ付リトラクタ
３は衝突検知センサ46の信号を受け、シートベルト４を
巻き取る。したがって、前記バッグ24が萎むことによっ
てできた乗員とシートバック18の隙間分だけ乗員はプリ
ローダ装置９及びプリローダ付リトラクタ３によって発
生したショルダベルト4aとラップベルト4bの張力によっ
て後方へ移動する。この移動距離分乗員とステアリング
ホイール21との距離が長く確保される。

ここで、第14図に車両速度、この実施例の乗員胸部速
度、及び、従来技術の乗員胸部速度の時間履歴を表して
いる。

ここで、斜線部Ａは従来技術の乗員胸部の車両に対す
る前方移動量を表し、斜線部Ｂはこの実施例の乗員胸部
の車両に対する後方移動量を表し、斜線部Ｃは前方移動
量を表している。

即ち、斜線部Ｃ−斜線部Ｂがこの発明の乗員胸部の車
両に対する前方移動量を表しており、従来技術の前方移
動量Ａに比較して、明らかに減少することが確認され
た。したがって、乗員胸部の前方移動量も減少するた
め、頭部の前方移動量も減少し、乗員とステアリングホ
イール21との干渉が抑制されるのである。

そして、このようにシートベルト装置１やエアバッグ
装置22が作動すると同時に、ヘッドレスト回動装置38の
ソレノイド43にも衝突検知センサ46からの信号が入力さ
れるため、ソレノイド43のストッパピン43aが引っ込
み、ヘッドレスト39が所定角度だけ回動可能な状態とな
っており、乗員が後方へ移動したときに頭部とヘッドレ
スト39が干渉してもヘッドレスト39が後方へ回動するこ
とで頭部への衝撃を少なくでき、かつ頭部の後方移動を
許容できる。

ところで、バッグ24にエアーを充満させておいても超
時間経つとエアーが抜けてしまい、上記効果を十分発揮
できないことがあるので、エアー供給装置23によりバッ
グ24内に常にエアーを充填させておく。

即ち、乗員が着座すると、シートクッション16内のポ
ンプ32が第７図に示すように押圧されて下方に圧縮さ
れ、このときポンプ32内のエアーがチューブ33からバッ
グ24内へ送られるのである。尚、バッグ24内に既にエア
ーが供給されている場合には、バッグ24内圧が高くなる
ためリリーフ弁37から排出される。

次に、この発明の第２実施例について説明する。

この実施例では、エアバッグ装置のみが異なるので、
エアバッグ装置以外の説明は省略する（後述する第３実
施例も同様である）。

エアバッグ装置44は第15,16図に示すように、バッグ4
5の後面にこのバッグ45の生地を挟む一対のプレート46
が設けられたものである。各プレート46にはバッグ45の
孔47に沿って大きな孔48が同位置（シートバック18の上
部）に形成され、この孔48を閉塞可能な板状の弁49が各
プレート46間にスプリング50によって下方に付勢されて
いる。

上記プレート46にはサポート51が取り付けられ、サポ
ート51にはソレノイド52が取り付けられ、ソレノイド52
のストッパピン52aが閉弁位置にある弁49とプレート46
とに差し込まれ、閉弁位置を保持するようになってい
る。尚、上記ソレノイド52は衝突検知センサ46に接続さ
れている。

したがって、車両前面衝突時に衝突検知センサ46の信
号がソレノイド52に入力されると、ソレノイド52のスト
ッパピン52aが引っ込み、これによって弁49の閉弁状態
が解除され、弁49はスプリング50によって下方へ引張さ
れる。これによりバッグ45内のエアーはバッグ45の孔47
とプレート46の孔48から大気に開放され、乗員とシート
バック18との間に間隙を形成するのである。

次に、この発明の第３実施例について説明する。

この実施例では、移動許容装置としてエアバッグタイ
プではなく、メカニカルタイプのものを用いたものであ
る。

第17〜19図において、シートバック18内にはフレーム
53が設けられ、このフレーム53にパイプ状の支持体54が
４箇所に設けられている。

支持体54にはＳバネ55が車幅方向に取り付けられ、こ
のＳバネ55にシートバッククッション56が支持されてい
る。

ここで、上記支持体54には外周の一部に割れ目54aが
設けられており所定の荷重がかかると割れ目54aが開
き、Ｓバネ55が外れる構造となっている。

また、支持体54にはワイヤ57の一端が取り付けられ、
ワイヤ57の他端はフレーム53に回転自在に係止されたロ
ーラ58を介してシリンダ59のシリンダロッド59aが取り
付けられている。尚、シリンダ59には点火装置60とイン
フレータ61が取り付けられている。

したがって、衝突検知センサ46から送られてきた信号
が点火装置60に入力されると、インフレータ61が爆発し
てガスが発生し、ガスはシリンダ59内に導かれて、瞬時
にシリンダロッド59aをシリンダ59内に引き込ませる。
これによりワイヤ57が引張され、支持体54に荷重がかか
り支持体54の割れ目54aが開いて支持されたＳバネ55が
外れるため、乗員が後方へ移動してきた際に乗員の移動
を妨げずにシートバッククッション56は後方へ移動す
る。

このようにして、第２実施例も第３実施例も車両前面
衝突時において乗員の後方への移動を可能とし乗員とス
テアリングホイールとの干渉を防止することができるの
である。

発明の効果以上説明してきたようにこの発明よれば、自動車の前
面衝突を検知する衝突検出手段と、この衝突検出手段の
信号に基づいてシートベルトに張力を発生させる引張手
段と、衝突検出手段の信号に基づいて着座姿勢にある乗
員の後方移動を補助する例えば、エアー封入式バッグや
シートバッククッション等の移動許容装置を備えている
ため、自動車の前面衝突時に乗員が後方へ移動すると共
にシートベルトによって確実に乗員を保護しつつ、乗員
とステアリングホイールとの干渉を防止することができ
るという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１〜14図はこの発明の第１実施例を示し、第１図は全
体側面説明図、第２図は衝突後の全体側面説明図、第３
図はシートの斜視説明図、第4,5図は各々エアバッグ装
置の作動説明斜視図、第６〜９図は各々エアー供給装置
の作動状況説明図、第10図はヘッドレスト回動装置の斜
視図、第11,12図は各々同作動状況説明図、第13図は電
気的接続状況を示す説明図、第14図はグラフ図、第15,1
6図は第２実施例の各々作動状況説明図、第17図は同斜
視説明図、第18,19図は各々第３実施例の作動状況説明
図、第20図は従来技術の全体側面説明図である。４……シートベルト、９……プリローダ装置、15……シ
ート、18……シートバック、22,44……エアバッグ装置
（移動許容装置）、24,25……バッグ（エア封入式バッ
グ）、46……衝突検知センサ（衝突検出手段）、56……
シートバッククッション。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】シートに着座した乗員を拘束するシートベ
ルトを備えた自動車用乗員拘束装置において、自動車の
前面衝突を検知する衝突検出手段と、この衝突検出手段
の信号に基づいてシートベルトに張力を発生させる引張
手段と、衝突検出手段の信号に基づいて着座姿勢にある
乗員の後方移動を補助する移動許容装置とを備えている
ことを特徴とする自動車用乗員拘束装置。
【請求項２】上記移動許容装置がシートバック内に設け
られたエア封入式バッグであって、前面衝突時にエア封
入式バッグ内のエアーを開放して排出させる手段を有す
ることを特徴とする請求項１記載の自動車用乗員拘束装
置。
【請求項３】上記移動許容装置がシートバックのシート
バッククッションであって、前面衝突時にシートバック
クッションの反力を低減させて後方に変位させる手段を
有することを特徴とする請求項１記載の自動車用乗員拘
束装置。